【文献】
Katsuyuki Tagichi et al.,“An analytical model of the effects of pulse pileup on the energy spectrum recorded by energy resolved photon counting x-ray detectors”,Medical Physics,米国,2010年 8月,Vol.37, No.8,p.3957-3969
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生成部は、前記X線検出器に入射されるX線のスペクトルである入射スペクトルと、前記X線検出器のX線に対する応答モデルと、前記パラメータベクトルとに基づいて、前記合成スペクトルを生成する、請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
前記パイルアップイベントの確率に関するパラメータが、単一光子入射イベントの確率と、2光子入射イベントの確率と、少なくとも3光子の入射イベントの確率とを含む、請求項1又は2に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
前記パラメータは、前記2光子入射イベントにおいて、一方のスペクトルにおけるピークに対して他方のスペクトルが重複するように2光子が入射された第1の2光子入射イベントと、一方のスペクトルにおけるピーク以降に対して他方のスペクトルが重複するように2光子が入射された第2の2光子入射イベントとを区別する時間閾値を更に含み、
前記生成部は、前記2光子入射イベントに前記第1の2光子入射イベントと前記第2の2光子入射イベントとを含めた合成スペクトルを生成する、請求項3に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
前記生成制御部は、前記差異度が所定の閾値未満に達する、又は、前記生成部による合成スペクトルの生成回数が所定の回数に達するまで前記合成スペクトルを生成するように制御する、請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
X線を発生するX線管と、前記X線管から発生されたX線光子を検出して測定スペクトルを出力するX線検出器とを備えるX線コンピュータ断層撮影装置によって実行されるパイルアップ補正方法であって、
パイルアップイベントの確率に関するパラメータと前記X線検出器の不感時間に関するパラメータとを含むパラメータベクトルに基づいて、合成スペクトルを生成し、
前記X線検出器によって出力された測定スペクトルと、前記生成された合成スペクトルとの差異度が所定の閾値を下回るように、前記パイルアップイベントの確率に関するパラメータを含むパラメータベクトルを変化させながら前記合成スペクトルを生成するように制御し、
前記差異度が所定の閾値を下回った合成スペクトルに基づいて、前記パイルアップイベントを補正した補正スペクトルを生成し、生成した補正スペクトルに基づいて画像を再構成する、
ことを含む補正方法。
X線を発生するX線管と、前記X線管から発生されたX線光子を検出して測定スペクトルを出力するX線検出器とを備えるX線コンピュータ断層撮影装置によって実行されるパイルアップ補正方法であって、
単一光子入射イベントの確率、2光子入射イベントの確率、及び、少なくとも3光子の入射イベントの確率を含むパイルアップイベントの確率に関するパラメータと前記X線検出器の不感時間に関するパラメータとを含むパラメータベクトルに基づいて、合成スペクトルを生成し、
前記X線検出器によって出力された測定スペクトルと、前記生成された合成スペクトルとの差異度が所定の閾値を下回る合成スペクトルを生成するように前記パイルアップイベントの確率に関するパラメータを含むパラメータベクトルの変化を制御し、
前記差異度が所定の閾値を下回った合成スペクトルに基づいて、前記パイルアップイベントを補正した補正スペクトルを生成し、生成した補正スペクトルに基づいて画像を再構成する、
ことを含む補正方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、X線コンピュータ断層撮影装置及び補正方法の実施形態を詳細に説明する。本明細書に記載の実施形態、及び、それに付随する諸利点の多くは、添付図面と併せて考察すれば、以下の詳細な説明を参照することによって理解がより深まり、より完全に把握することが容易である。なお、以下では、X線コンピュータ断層撮影装置を、X線CT装置と記載する。
【0010】
本願の実施形態は、概してスペクトルコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)システムの光子計数検出器(Photon-counting detector)のためのパイルアップ補正に関し、具体的には、本明細書に記載の実施形態は、第4世代のスペクトル光子計数CT検出器のためのパイルアップモデリングおよび補正のための新しいX線CT装置を対象としている。
【0011】
一実施形態によれば、X線CT装置は、X線管と、X線検出器と、生成部と、生成制御部と、再構成部とを備える。X線管は、X線を発生する。X線検出器は、X線管から発生されたX線フォトンを検出して測定スペクトルを出力する。生成部は、パイルアップイベントの確率に関するパラメータとX線検出器の不感時間に関するパラメータとを含むパラメータベクトルに基づいて、合成スペクトルを生成する。生成制御部は、X線検出器によって出力された測定スペクトルと、生成部によって生成された合成スペクトルとの差異度が所定の閾値を下回るように、パラメータベクトルを変化させながら合成スペクトルを生成するように生成部を制御する。再構成部は、差異度が所定の閾値を下回った合成スペクトルに基づいて、パイルアップイベントを補正した補正スペクトルを生成し、生成した補正スペクトルに基づいて画像を再構成する。
【0012】
また、一実施形態によれば、一実施形態によれば、X線CT装置は、X線管と、X線検出器と、生成部と、生成制御部と、再構成部とを備える。X線検出器は、X線管から発生されたX線フォトンを検出して測定スペクトルを出力する。生成部は、単一光子入射イベントの確率、2光子入射イベントの確率、及び、少なくとも3光子の入射イベントの確率を含むパイルアップイベントの確率に関するパラメータとX線検出器の不感時間に関するパラメータとを含むパラメータベクトルに基づいて、合成スペクトルを生成する。生成制御部は、X線検出器によって出力された測定スペクトルと、生成部によって生成された合成スペクトルとの差異度が所定の閾値を下回る合成スペクトルを生成するように生成部を制御する。再構成部は、差異度が所定の閾値を下回った合成スペクトルに基づいて、パイルアップイベントを補正した補正スペクトルを生成し、生成した補正スペクトルに基づいて画像を再構成する。
【0013】
上述した実施形態は、例えば、光子計数検出器の検出器パイルアップモデルの複数のパラメータを含むパラメータベクトルを決定する方法によって実現される。ここで、検出器パイルアップモデルはスペクトルコンピュータ断層撮影スキャナ(X線CT装置)のためのパイルアップ補正のために使用されるものであり、上記方法は、例えば、(1)不感時間と、単一光子入射イベントの確率、2光子入射イベントの確率、及び、少なくとも3光子入射イベントの確率を含む異なるパイルアップイベントの個々の確率とを含む複数のパラメータの値を設定する設定ステップと、(2)(a)検出器の応答モデル、(b)入射スペクトル、および(c)パラメータベクトルの設定値を使って、異なるパイルアップイベントの個々の確率のうちの1つにそれぞれ対応する複数のコンポーネントスペクトルを決定する決定ステップと、(3)複数のコンポーネントスペクトルを合計して、出力スペクトル(合成スペクトルともいう)を生成する生成ステップと、(4)出力スペクトルと測定された測定スペクトルとに基づいて、コスト関数の値を計算する計算ステップと、(5)パラメータベクトルの値のうちの少なくとも1つを更新する更新ステップと、(6)コスト関数を最適化するパラメータベクトルを決定できるように、停止基準が満たされるまで、決定、合計、計算、および更新するステップを反復する反復ステップと、を含むものである。
【0014】
一実施形態では、設定ステップは、スキャナ形状(X線検出器の検出素子ごとの特性)に基づいて不感時間パラメータを設定するステップを含む。
【0015】
別の実施形態では、計算ステップは、下記数式(1)を使って、コスト関数の値を計算するステップを含む。
【0017】
ここで、Ψ(a)はコスト関数、aはパラメータベクトル、S
out(E,a)は出力スペクトル(合成スペクトル)、S
M(E)は測定スペクトル、Eはエネルギーを示す。
【0018】
別の実施形態では、パラメータは、ピークパイルアップイベントとテイルパイルアップイベントとを区別する時間しきい値をさらに含み、決定するステップは、2光子入射イベントのピークパイルアップコンポーネントスペクトルとテイルパイルアップコンポーネントスペクトルとを決定するステップを含む。
【0019】
別の実施形態では、反復ステップは、コスト関数が、所定の閾値未満に、または所定数の反復に収まるまで、決定ステップ、合計ステップ、計算ステップ、および更新ステップを反復するステップを含む。
【0020】
別の実施形態では、更新ステップは、網羅的な検索方法によってパラメータベクトルaを更新するステップを含む。
【0021】
別の実施形態では、更新ステップは、非線形最小二乗法によってパラメータベクトルaを更新するステップを含む。
【0022】
別の実施形態では、決定ステップは、複数のコンポーネントスペクトルのうちの1つとして、単一光子入射イベントに対応する第1のコンポーネントスペクトルを決定するステップを含み、第1のコンポーネントスペクトルは、下記数式(2)のように決定される。
【0024】
ここで、S
inは入射スペクトル、nは入射計数率、μ
CZT(E)は線形減衰値、zは深さ、τ
dは不感時間を示す。
【0025】
また、別の実施形態では、スペクトルコンピュータ断層撮影スキャナ(X線CT装置)のためにパイルアップ補正を実行する方法が提供される。ここで、X線CT装置は光子計数検出器を含むものであり、方法は、(1)上述の方法を使って、光子計数検出器の検出器パイルアップモデルの複数のパラメータを含むパラメータベクトルを決定するステップと、(2)スキャナを用いてスキャンを実行し、光子計数検出器のために測定されたスペクトルを生成するステップと、(3)検出器パイルアップモデルと測定されたスペクトルとを用いて、光子計数検出器のために入射スペクトルを決定するステップと、を含むものである。
【0026】
別の実施形態では、光子計数検出器の検出器パイルアップモデルの複数のパラメータを含むパラメータベクトルを決定するデバイスが提供される。ここで、検出器パイルアップモデルは、X線CT装置のためのパイルアップ補正のために使用されるものであり、デバイスは、例えば、(1)不感時間と、単一光子入射イベントの確率、2光子入射イベントの確率、及び、少なくとも3光子入射イベントの確率を含む異なるパイルアップイベントの個々の確率とを含む複数のパラメータの値を設定することと、(2)(a)検出器の応答モデル、(b)入射スペクトル、および(c)パラメータベクトルの設定値を使って、異なるパイルアップイベントの個々の確率のうちの1つにそれぞれ対応する複数のコンポーネントスペクトルを決定することと、(3)複数のコンポーネントスペクトルを合計して、出力スペクトル(合成スペクトルともいう)を生成することと、(4)出力スペクトルと測定されたスペクトルとに基づいて、コスト関数の値を計算することと、(5)パラメータベクトルの値のうちの少なくとも1つを更新することと、(6)コスト関数を最適化するパラメータベクトルを決定できるように、停止基準が満たされるまで、決定、合計、計算、および更新するステップを反復することと、を行うように構成された処理装置を含むものである。
【0027】
別の実施形態によると、光子計数検出器の検出器パイルアップモデルの複数のパラメータを含むパラメータベクトルから出力スペクトルを決定する方法が提供される。ここで、検出器パイルアップモデルは、X線CT装置のためのパイルアップ補正のために使用されるものであり、方法は、(1)不感時間と、単一光子入射イベントの確率、2光子入射イベントの確率、及び、少なくとも3光子入射イベントの確率を含む異なるパイルアップイベントの個々の確率とを含む複数のパラメータ値を設定するステップと、(2)(a)検出器の応答モデル、(b)入射スペクトル、および(c)パラメータベクトルの設定値を使って、複数のコンポーネントスペクトルを決定するステップと、を含む。ここで、各コンポーネントスペクトルは、異なるパイルアップイベントの個々の確率のうちの1つにそれぞれ対応するものであり、決定するステップは、複数のコンポーネントスペクトルのうちの1つとして、単一光子入射イベントのために第1のコンポーネントスペクトルを決定するステップを含み、第1のコンポーネントスペクトルは、下記数式(3)のように決定される。
【0029】
ここで、S
0(E)は検出されたエネルギーEから決定され、エネルギーEは下記数式(4)のように定義される。
【0031】
ここで、数式(3)及び数式(4)においては、S
inは入射スペクトル、E
0は入射エネルギー、z
0は干渉点、nは入射計数率、μ
CZT(E)は線形減衰値、τ
dは不感時間、ν
Pは前置増幅器の出力電圧、およびχ
0は単一光子入射イベントの確率を示す。そして、上記方法は、さらに、(3)複数のコンポーネントスペクトルを合計して、出力スペクトルを生成するステップを含む。
【0032】
以下、
図1〜
図7を用いて、上記の実施形態の一例について、詳細に説明する。上記したように、本願に係るX線CT装置は、パイルアップ補正の精度を向上させることができるように構成される。X線CT装置が備える光子計数検出器(Photon-counting detector)は、X線光子1つ1つをカウントすることで高い感度と定量性を有する。しかしながら、光子計数検出器は、1つの光子に対する処理中、他の光子に対する処理を行えない不感時間(dead time)があり、この間に他の光子が検出器に入ったとしても正確に処理することができない。このようなパイルアップに対して、従来技術では、固定した不感時間を用いた補正が行われている。しかしながら、上述した不感時間は、検出器の素材や、検出素子の製造工程におけるばらつき、或いは、検出素子の大きさなどによって変化する。
【0033】
例えば、不感時間(〜100ns)は、検出素子の素材である半導体の種類(例えば、CZTまたはCdTe)や、厚み、読み出し回路によって決定され、高いX線フラックス(〜10
8cps/mm
2)におけるパイルアップが非常に厳しくなる可能性があり、その結果、測定されたスペクトル信号がひずむ可能性がある。そして、ひずんだスペクトル信号は、再構成画像にアーチファクトを生じさせることになる。このような不感時間は、検出器セル内のパルス(電子−正孔対)形成の位置によっても、所与の読み出し回路に対して一定にならない。そこで、本実施形態に係るX線CT装置は、検出素子における種々の特性に基づいてパイルアップの影響を補正する検出器モデルを生成して、測定されたスペクトルを補正することでパイルアップ補正の精度を向上させ、画像品質を改善する。
【0034】
以下、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示す図である。ここで、
図1においては、入射スペクトルS
in(E)、計数率、およびパラメータベクトルaを受信する検出器パイルアップモデル10を示す。なお、検出器パイルアップモデル10は、生成部とも記載される。検出器パイルアップモデル10は、受信された値に基づいて、シミュレーションで測定された出力スペクトル(合成スペクトルともいう)S
out(E;a)を生成する。具体的には、検出器パイルアップモデル10は、X線検出器に入射されるX線のスペクトルである入射スペクトルと、X線検出器のX線に対する応答モデルと、パラメータベクトルとに基づいて、合成スペクトルを生成する。以下、シミュレーションで測定された出力スペクトルS
out(E;a)を決定する工程をより詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように、モデルパラメータ推定デバイス20は、シミュレーションで測定された出力スペクトルS
out(E;a)と実際に測定された測定スペクトルS
M(E)とを比較して、所定のコスト関数を最小にできるようにパラメータベクトルaを更新する。更新されたパラメータベクトルaは、検出器パイルアップモデル10へフィードバックされ、検出器パイルアップモデル10は、新しくシミュレーションで測定される出力スペクトルS
out(E;a)を生成する。この工程は、所定数の反復回数、または、パラメータベクトルaの変化が、所定の閾値未満に収まるまで継続される。ここで、後述するように、モデルパラメータ推定デバイス20は、例えば、パラメータベクトルaのための所定のレンジ内での網羅的な検索、または最適なパラメータベクトルaを発見するための非線形最小二乗法を適用することができる。それぞれの最適なパラメータベクトルaは、各光子計数検出器それぞれに対して見つけられる。なお、モデルパラメータ推定デバイス20は、生成制御部とも記載される。
【0036】
入射スペクトルS
in(E)は、スキャナの各光子計数検出器(Photon-Counting Detector:PCD)に対して、計算(すべての製造供給元は、自社のX線管からの出力を計算するためのモデルを有する)、または測定値(至適基準の分光器検出器、例えば、高純度ゲルマニウム分光計を用いた測定値)によって決定できる。測定スペクトルS
Mは、各入射スペクトルに対応する各PCDからの出力スペクトルである。
【0037】
パラメータベクトルaは、不感時間値τ
dと、例えば、2光子入射イベントがピークパイルアップイベントであるか、テイルパイルアップイベントであるかを決定する時間閾値Tと(閾値であるにもかかわらず、この時間閾値Tが、ピークまたはテイルのパイルアップイベントが任意のパイルアップ順序で発生するか否かを決定するために適用される)、異なる数の入射光子χ
0、χ
1p、χ
1t、χ
2p、χ
2tなどの個々の確率と、を含む。ここで、ピークパイルアップイベントは、2光子入射イベントにおいて、一方のスペクトルにおけるピークに対して他方のスペクトルが重複するように2光子が入射されたイベント(第1の2光子入射イベント)であり、テイルパイルアップイベントは、2光子入射イベントにおいて、一方のスペクトルにおけるピーク以降に対して他方のスペクトルが重複するように2光子が入射されたイベント(第2の2光子入射イベント)である。また、例えば、χ
0は単一光子入射イベントの確率、χ
1pはピーク2光子入射パイルアップイベントの確率、χ
1tはテイル2光子入射パイルアップイベントの確率、χ
2pは3光子入射ピークパイルアップイベントの確率などである。なお、実際には、高次スペクトルの寄与は、次数の増加とともに急速に減少するため、大部分の実施形態において、これらのスペクトルは、合計されるスペクトルを計算する際に無視できる。なお、個々の確率の合計は1に等しいまたは1未満である。
【0038】
検出器パイルアップモデル10は、
図2に示した方法により、S
in(E)およびパラメータaからS
out(E)を計算する。
図2は、本実施形態に係る検出器パイルアップモデル10による処理の手順を示すフローチャートである。
【0039】
図2に示すように、まず、検出器パイルアップモデル10は、上限不感時間τ
dと、異なる数の入射光子χの個々の確率とを含むパラメータベクトルaおよび入射スペクトルS
in(E)を受信または設定される(ステップS200)。
【0040】
次に、検出器パイルアップモデル10は、ポアソン分布に従った単一光子入射イベントに対応する第1のコンポーネントスペクトルS
0(E)を、S
in(E)およびパラメータベクトルaを用いて計算する(ステップS210)。ここで、ポアソン分布で単一光子入射イベントを推定すると、画素の重み付けポテンシャル(pixel weighting potential)、干渉深さ(depth of interaction)、弾道欠損(ballistic deficit)、および空間電荷(space charge)の影響が、S
1(E)の計算に含まれることとなる。なお、ポアソン分布を使用すると、後述するコンポーネントスペクトル方程式(S
0、S
1、S
2など)に含まれる項e
-nτd、ne
-nτd、1/2 n
2e
-nτdなどに反映されることとなる。以下、第1のコンポーネントスペクトルの計算の一例を説明する。
【0041】
まず、上記した重み付けポテンシャルは下記数式(5)のように定義される。
【0043】
ここで、数式(5)においては、zはCZTの点とカソードとの間の距離を示し、z
0はX線光子が電子正孔対に変換する点を示し、t
TOFは生成された電子が干渉点z
0から検出器のアノードへ浮遊する時間を示す。また、αは検出器の重み付けポテンシャル分布を記述するモデルパラメータを示し、Lは検出器の厚さを示し、ν
eは、光子計数検出器内の電子キャリヤーの浮遊速度を示す。
【0044】
また、上記した弾道欠損に対する基本的な方程式は、下記数式(6)で示される。
【0046】
ここで、数式(6)においては、Eは入射エネルギーを示し、Kはフロントエンドゲイン(所与の読み出し構成のための定数)を示し、τ
pは前置増幅器の時定数を示し、ν
p(t)は前置増幅器の出力電圧を示す。
【0047】
なお、0≦t≦t
TOFの場合、基本的な方程式から、前置増幅器出力は、下記数式(7)のように示すことができる。
【0049】
ただし、ν
0は、下記数式(8)に示す初期条件により決定される。
【0051】
そして、数式(5)で示す重み付けポテンシャル方程式を上記の数式(7)方程式に挿入することで、下記数式(9)を得る。
【0053】
そして、数式(9)の積分を計算することで、下記数式(10)を得る。
【0055】
さらに、上記した初期条件を適用すると、定数ν
0は、下記数式(11)のように示すことができる。
【0057】
ただし、数式(11)は、下記数式(12)である。
【0059】
ここで、下記数式(13)を満たす場合に、生成された電子が検出器のアノードに到達し、前置増幅器出力が最大限に達する。
【0063】
なお、t
TOFは、空間電荷が無視できなくなると、異なることとなる。
【0064】
ここで、t>t
TOFの場合、t
TOFの後、信号収集は終了し、出力振幅は、フロントエンド回路時定数τ
pで指数的に減衰する。すなわち、下記数式(15)に示すようになる。
【0066】
上記したように、ν
p(t)の公式化は、干渉点z
0と入射エネルギーE
0に依存する。したがって、出願人らは、それを下記数式(16)のように示す。なお、下記では、表示を簡単にするために、ν
p(t)内のE
0を省略するものとする。また、下記では、イベントjの飛行時間および干渉深さをそれぞれ定義するために下記数式(17)も適用される。
【0069】
以下、第1のコンポーネントスペクトルの計算について説明する。検出器パイルアップモデル10は、パイルアップ無しの場合、第1のコンポーネントスペクトルを以下のように計算する。ここで、検出されるエネルギーEが下記数式(18)のように定義され、第1のコンポーネントスペクトルは、下記数式(19)のように示される。
【0072】
ただし、数式(19)における積分は、エネルギー状態によってボリューム全体にわたって広がる。また、フレキシブルな不感時間が、真の不感時間に近似した場合、検出確率はχ
0~
1となる。上記の方程式において、nは入射計数率、μ
CZT(E)はエネルギーEにおけるCZTの線形減衰である。
【0073】
図2に戻って、次に、検出器パイルアップモデル10は、ピークパイルアップイベントとテイルパイルアップイベントを含む2光子入射イベントに対応する第2のコンポーネントスペクトルS
1(E)をS
in(E)とパラメータベクトルaとを使って計算する(ステップS220)。ここで、2光子入射イベントの場合、入射イベント間の時間間隔が閾値Tよりも小さい場合、ピークパイルアップイベントが発生したと決定され、時間間隔が閾値Tより大きい場合、テイルパイルアップイベント発生したと決定される。閾値Tは、パラメータベクトルaに含まれる。
【0074】
まず、ピークパイルアップイベントの場合、エネルギーは下記数式(20)のように定義される。
【0076】
そして、ピークコンポーネントスペクトルは、下記数式(21)のように示される。
【0078】
なお、フレキシブルな不感時間が、真の不感時間に近似した場合には、検出確率は下記数式(22)となる。
【0080】
次に、テイルパイルアップイベントの場合、第1のピークエネルギーが下記数式(23)のように定義される。
【0082】
そして、コンポーネントスペクトルは、下記数式(24)のように示される。
【0084】
さらに、第2のピークエネルギーが下記数式(25)のように定義される。
【0086】
そして、コンポーネントスペクトルは、下記数式(26)のように示される。
【0088】
なお、フレキシブルな不感時間が、真の不感時間に近似した場合、検出確率は下記数式(27)となる。そして、検出器パイルアップモデル10は、ピークおよびテイルのパイルアップコンポーネントスペクトルを式S
1(E)に加算する。
【0090】
図2に戻って、次に、検出器パイルアップモデル10は、ピークパイルアップイベントおよびテイルパイルアップイベントを含む複数(少なくとも3光子以上)の光子入射イベントに対する第3のコンポーネントスペクトルS
2(E)をS
in(E)とパラメータベクトルaとを使って計算する(ステップS230)。
【0091】
ここで、3光子のパイルアップの場合、ピークパイルアップに対して、エネルギーが下記数式(28)のように定義される。
【0093】
そして、ピークコンポーネントスペクトルは、下記数式(29)のように示される。
【0095】
なお、フレキシブルな不感時間が、真の不感時間に近似した場合、検出確率は数式(30)となる。そして、近似式としては、下記数式(31)である。
【0098】
ただし、数式(31)においては、下記数式(32)が満たされ、Nが規格化因子を示す。
【0100】
次に、テイルパイルアップの場合、または、テイル及びピークが混合した混合パイルアップの場合、計算は2光子のパイルアップの計算と類似しているが、より多くの組合せが考慮される。例えば、第1の組み合わせ(0−1−2)の場合、エネルギーは下記数式(33)のように定義される。
【0102】
また、第2の組み合わせ((01)−2)の場合、エネルギーは下記数式(34)のように定義される。
【0104】
なお、((02)−1)および((12)−0)などの他の組み合わせは、上記第2の組み合わせと類似する。
【0105】
ここで、テイルパイルアップの場合、または、テイル及びピークが混合した混合パイルアップの場合、対応する公式は、2光子のパイルアップに対して使われた公式を一般化することによって容易に得ることができる。一実施形態では、例えば、ピークパイルアップのための近似式を使ってテイルパイルアップを無視する。
【0106】
また、別の実施形態では、3光子イベントを(1)2光子イベント(1次パイルアップ)と単一光子イベント(パイルアップ無し)との間の2光子イベントとして処理する。この場合、コンポーネントスペクトルを2光子イベントのコンポーネントスペクトルとパイルアップ無しのコンポーネントスペクトルから計算する。一方のコンポーネントスペクトルを上記の2光子イベント方程式S
1(E)の一方の項S
in(E)に代入すると同時に、他方のコンポーネントスペクトルを同じ方程式の他方のS
in(E)に代入する。この技法は、高次パイルアップイベントまで広げることができる。
【0107】
図2に戻って、次に、検出器パイルアップモデル10は、計算されたコンポーネントスペクトルS
i(E)、i=0,1,2などを合計して、S
out(E;a)を生成する(ステップS240)。
図4は、本実施形態に係る検出器パイルアップモデルによるコンポーネントスペクトルの合計を示す図である。ここで、P0は、単一光子入射イベントに対応する第1のコンポーネントスペクトルS
0(E)を示し、P1は、第1および第2のコンポーネントスペクトルS
0(E)+S
1(E)の合計を示す。また、P2は、S
out(E;a)に相当し、第1、第2、および第3のコンポーネントスペクトルの合計を示す。
【0108】
図5は、一定値の検出確率で計算されたコンポーネントスペクトルの合計を示す図である。
図5に示すように、一定の検出確率を用いた場合、パイルアップの影響は、過大評価される。しかしながら、
図4に示すように、検出器パイルアップモデル10によって計算されるスペクトルは、各パイルアップの確率を考慮したスペクトルとなる。
【0109】
図1に戻って、モデルパラメータ推定デバイス20は、シミュレーションされて測定された出力スペクトルS
out(E;a)と実際に測定された測定スペクトルとを比較して、所定のコスト関数を最小にできるようにパラメータベクトルaを更新する。
図3は、本実施形態に係るモデルパラメータ推定デバイス20による処理の手順を示すフローチャートである。
【0110】
例えば、
図3に示すように、モデルパラメータ推定デバイス20は、パラメータベクトルaのパラメータのそれぞれのための適切なレンジを定義して、コスト関数Ψ(a)を、例えば、下記数式(35)のように定義する(ステップS300)。
【0112】
すなわち、モデルパラメータ推定デバイス20は、出力スペクトルS
out(E;a)と測定スペクトルS
M(E)の差異度を示すコスト関数を用いる。なお、コスト関数は、数式(35)に限られず、別の適切なコスト関数を使用してもよい。
【0113】
そして、モデルパラメータ推定デバイス20は、コスト関数の値をS
out(E,a)の受信された値と測定されたスペクトルS
M(E)とに基づいて計算する(ステップS310)。さらに、モデルパラメータ推定デバイス20は、コスト関数Ψ(a)の値を現在のパラメータベクトルaに対応付けて格納する。
【0114】
その後、モデルパラメータ推定デバイス20は、停止基準が満たされたか否かを判定する(ステップS320)。例えば、モデルパラメータ推定デバイス20は、パラメータベクトルaの変化が決定されて、パラメータベクトルaの変化が所定の閾値未満に収まった場合、処理を終了する。一方、停止基準が満たされていなければ、ステップS330へと続く。あるいは、パラメータベクトルaの更新の反復の回数が所定回数を超えた場合、処理を終了する。なお、反復の回数が所定回数を超えたとき、またはパラメータベクトルaの変化が所定の閾値未満に収まったとき停止するなどの停止基準の他の組み合わせを使ってもよい。
【0115】
そして、モデルパラメータ推定デバイス20は、所定の最適化方法によって、パラメータベクトルaを更新する(ステップS330)。例えば、モデルパラメータ推定デバイス20は、網羅的な検索アルゴリズムによりパラメータベクトルaを更新する。かかる場合、パラメータベクトルaは、パラメータごとに定義されたレンジ内で所定の体系的方法で更新される。あるいは、モデルパラメータ推定デバイス20は、レーベンバーグマーカート法などの非線形最小二乗適合法を用いることができる。かかる場合には、コスト関数の勾配が推定される。なお、コスト関数の最小化には、別の最適化方法を用いることもできる。
【0116】
そして、モデルパラメータ推定デバイス20は、更新されたパラメータベクトルaを検出器パイルアップモデルにフィードバックする(ステップS340)。検出器パイルアップモデルは、更新されたパラメータベクトルaを使って新しいS
out(E、a)を計算して、ステップS310戻る。ここで、ステップS310では、新しいS
out(E、a)値が受信されて、コスト関数が同じ測定されたスペクトルS
M(E)を使って再計算される。
【0117】
別の実施形態では、不感時間τ
dなどのパラメータの値のうちの1つまたは複数を検出器の配置および読み出し電子機器の構成から直接的に引き出すことができる。さらに、別の実施形態では、直接計算方法と
図1〜3に関して上に述べた経験的な方法との組み合わせを実行する。例えば、パラメータの値のうちのいくつかは、直接的に計算でき、残りの値は、経験的に決定できる。あるいは、パラメータの値の初期推定値は、直接的に計算でき、計算負荷を低減する上記の経験的方法において初期値として使用できる。
【0118】
一旦検出器パイルアップモデルの最適パラメータを上で示したように決定すると、モデルを使ったスペクトル補正のためのさまざまなアルゴリズムを使うことができる。すなわち、測定スペクトルに基づいて入射スペクトルの値を求めることができる。例えば、(1)コスト関数を最小にするための傾斜ベースの方法、(2)コスト関数を最小にできるように所定の検索領域内の入射スペクトルを発見する検索ベースの方法、および(3)応答関数ベースの反復方法などが挙げられる。
【0119】
例えば、応答関数ベースの方法では、パイルアップの無い線形例の場合、検出器パイルアップモデル(出力スペクトル)を下記数式(36)のように定義またはモデル化する。
【0121】
ここで、数式(36)においては、R(E,E’)は、検出器モデルの応答マトリックスを示し、決定されたパラメータベクトルaを包含する。パイルアップ無しの場合のコンポーネントスペクトルの式から、応答マトリックスを下記数式(37)のように定義することができる。
【0123】
そして、入射スペクトルS
in(E)は、下記数式(38)を反復して解くことによって得られる。
【0125】
次に、パイルアップの有る非線形例の場合、検出器パイルアップモデル(出力スペクトル)を下記数式(39)のように定義またはモデル化する。
【0127】
ここで、数式(39)においては、R
2(E,E’,E’’)は、検出器モデルの2光子の応答マトリックスであり、パラメータベクトルaを使用して決定される。2光子のピークパイルアップに対するコンポーネントスペクトル式から、応答マトリックスを下記数式(40)のように定義できる。
【0129】
同様に、テイルパイルアップに対する2光子応答マトリックスを下記数式(41)のように定義する。そして、総合の2光子応答マトリックスを下記数式(42)のように示す。
【0132】
そして、入射スペクトルS
in(E)は、下記数式(43)を反復して解くことによって得られる。
【0134】
なお、これらの2つの方程式は、高次のパイルアップを表す複数の(3つ以上の)光子応答マトリックスを含めるために容易に展開することができる。
【0135】
検出器パイルアップモデルを決定するための上記の実施形態には、従来のパイルアップ補正方法に対する多くの利点が含まれる。例えば、上記した実施形態は、フレキシブルな不感時間に対応し、光子計数検出器内の変動する実際の不感時間、並びにフレキシブルなパルス形状に対応できる。さらに、上記した実施形態は、従来の方法で用いられた一定の検出確率の代わりに異なる数の入射光子に対する個々の検出確率を含めることができる。
【0136】
上述のモデル方程式は、特定の重み付けポテンシャルと弾道欠損方程式とに基づく。例えば、重み付けポテンシャルおよび弾道欠損方程式は、ν
p(t)の計算が閉形式を有する唯一の例を示すために使われる。他の方程式の使用も可能であり、コンポーネントスペクトルも同様に計算可能である(確率方法は、まだ有効である)が、もはや閉形式解をもつことができない異なるν
p(t)関数が伴う。
【0137】
また、パルス形状が、重み付けポテンシャルおよび弾道欠損方程式に組み込まれる。したがって、異なるパルス形状が、異なる方程式をもたらす。
【0138】
さらに、開示した実施形態は、現実的な画素の重み付けポテンシャル、干渉深さ、弾道欠損、および空間電荷をモデル化する。上記した実施形態は、重み付けポテンシャルおよび弾道欠損モデルの1つの例を示す。しかしながら、別の実施形態では、検出器構成によって決定される信号誘導および検出器の応答の別のモデルを本方法に組み込むことができる。
【0139】
図6は、本実施形態に係るX線CT装置を示す図である。
図6のX線CT装置は、X線管1と、フィルタおよびコリメータ2と、検出器3とを含む。X線CT装置はまた、例えば、
図7の黒の矩形で示したように、第3世代検出器の半径とは異なる半径で配置されるまばらな固定エネルギー識別(例えば、光子計数)検出器も含む。X線CT装置はまた、ガントリモータおよびコントローラ4などの機械式および電気式の構成要素もさらに含み、ガントリの回転を制御したり、X線源を制御したり、被検体ベッドを制御したりできる。X線CT装置はまた、データ取得システム5および処理装置6も含み、データ取得システムによって取得した投影(視野)データに基づいてCT画像を生成できる。例えば、処理装置6は、スペクトルCT画像を再構成するために再構成処理装置を含む。すなわち、処理装置が含む再構成処理装置は、コスト関数が所定の閾値を下回った合成スペクトルに基づいて、パイルアップイベントを補正した補正スペクトルを生成し、生成した補正スペクトルに基づいて画像を再構成する。
【0140】
ここで、処理装置は、上述のように、検出器パイルアップモデルのパラメータを決定し、かつ光子計数検出器ごとにパイルアップ補正を実行するための方法を実行するために、プログラムされる。さらに、処理装置およびデータ取得システムは、記憶部7を利用する。記憶部7は、例えば、コンピュータプログラム、検出器から得られたデータ、検出器パイルアップモデル、および再構成された画像を格納するように構成される。
【0141】
一実施形態では、処理装置は、(1)不感時間と、単一光子入射イベントの確率、2光子入射イベントの確率、及び、少なくとも3光子入射イベントの確率を含む異なるパイルアップイベントの個々の確率とを含む複数のパラメータの値を設定する設定ステップと、(2)(a)検出器の応答モデル、(b)入射スペクトル、および(c)パラメータベクトルの設定値を使って、異なるパイルアップイベントの個々の確率のうちの1つにそれぞれ対応する複数のコンポーネントスペクトルを決定する決定ステップと、(3)複数のコンポーネントスペクトルを合計して、出力スペクトル(合成スペクトルともいう)を生成する生成ステップと、(4)出力スペクトルと測定された測定スペクトルとに基づいて、コスト関数の値を計算する計算ステップと、(5)パラメータベクトルの値のうちの少なくとも1つを更新する更新ステップと、(6)コスト関数を最適化するパラメータベクトルを決定できるように、停止基準が満たされるまで、決定、合計、計算、および更新するステップを反復する反復ステップと、を行うように構成される。
【0142】
当業者には自明であるが、処理装置6は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、または他の結合プログラム可能論理回路(Complex Programmable Logic Device:CPLD)のような個別論理ゲートとして実装できるCPUを含む。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL(VHSIC(Very High Speed Integrated Circuit) Hardware Description Language:超高速集積回路ハードウェア記述言語)、Verilog(ヴェリログ)、または他の任意のハードウェア記述言語でコード化されるとよい。コードは、直接、FPGAまたはCPLD内に、または、個別の電子メモリとして電子メモリに格納されるとよい。さらに、メモリは、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory:電気的プログラム可能読み取り専用メモリ)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory:電気的消去書込み可能読み出し専用メモリ)またはフラッシュ(FLASH)メモリなどの不揮発性であるとよい。メモリはまた、スタティックRAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)またはダイナミックRAMなどの揮発性であってもよい。マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサーなどの処理装置は、電子メモリ、並びに、FPGAまたはCPLDとメモリとの間の相互作用を管理するために設けられるとよい。
【0143】
あるいは、再構成処理装置のCPUは、本明細書に記載の機能を実行するコンピュータ可読の指令一式を含むコンピュータプログラムを実行でき、ここで、プログラムは、上記の非一時的電子メモリおよびハードディスク装置の両方または一方、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタル多用途ディスク)、フラッシュドライブまたは他のあらゆる既知の記憶媒体のうちのいずれかに格納される。さらに、コンピュータ可読指令は、米国のIntel(インテル)社からのXeon(ジオン)プロセッサまたは米国のAMD(Advanced Micro Devices:アドバンストマイクロデバイシーズ)社からのOpteron(オプテロン)プロセッサ、およびマイクロソフトVISTA、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple、MAC−OSなどのオペレーティングシステム、および当業者には周知の他のオペレーティングシステムなどの処理装置とともに実行するユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせとして提供されるとよい。
【0144】
一旦事前再構成処理装置によって処理されると、処理された信号は、CT画像を生成するように構成されている再構成処理装置に通される。画像は、メモリに保存、および表示部に表示の両方または一方が行われる。当業者には自明であるが、メモリは、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または技術的に周知の任意の他の電子格納部であるとよい。表示部は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示)表示装置、CRT(Cathode Ray Tube:ブラウン管)表示装置、プラズマ表示装置、OLED(Organic Light Emitting Display:有機発光表示装置)、LED(Light Emitting Display:発光表示装置)、または技術的に周知の任意の他の表示装置として実装されるとよい。そのように、本明細書に提供した記憶部および表示部の説明は、単なる例であって、本進歩の範囲を決して限定するものではない。
【0145】
以上、説明したとおり本実施形態によれば、パイルアップ補正の精度を向上させることができる。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。