特許第6387002号(P6387002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387002
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】セメント急硬材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 22/08 20060101AFI20180827BHJP
   C04B 22/14 20060101ALI20180827BHJP
   C04B 22/10 20060101ALI20180827BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20180827BHJP
   C04B 103/14 20060101ALN20180827BHJP
【FI】
   C04B22/08 Z
   C04B22/14 B
   C04B22/10
   C04B22/14 A
   C04B28/02
   C04B103:14
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-522839(P2015-522839)
(86)(22)【出願日】2014年6月11日
(86)【国際出願番号】JP2014065502
(87)【国際公開番号】WO2014203788
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-129923(P2013-129923)
(32)【優先日】2013年6月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】樋口 隆行
(72)【発明者】
【氏名】森 泰一郎
(72)【発明者】
【氏名】西岡 朝明
(72)【発明者】
【氏名】原 啓史
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−337453(JP,A)
【文献】 特開2005−060154(JP,A)
【文献】 特開2008−273994(JP,A)
【文献】 特開平10−330140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 22/08
C04B 22/10
C04B 22/14
C04B 28/02
C04B 103/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物とを回転速度が40m/s以上の高速せん断方式によって混合せしめて生成するカルシウムサルホアルミネート水和物を含有するセメント急硬材の製造方法
【請求項2】
カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物との合計100部中、カルシウムアルミネートを25〜75部、セッコウを25〜75部、含水化合物を1〜10部の比率にて混合する、請求項1に記載のセメント急硬材の製造方法
【請求項3】
50〜120℃の加熱によって脱離する水分量が、0.05〜0.50質量%である、請求項1又は2に記載のセメント急硬材の製造方法
【請求項4】
カルシウムアルミネートが、非晶質のカルシウムアルミネートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント急硬材の製造方法
【請求項5】
セッコウが、無水セッコウ、半水セッコウ及び二水セッコウからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント急硬材の製造方法
【請求項6】
含水化合物が、硫酸塩又は炭酸塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセメント急硬材の製造方法
【請求項7】
粉末度が、ブレーン比表面積で3000〜9000cm/gである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメント急硬材の製造方法
【請求項8】
前記高速剪断方式による混合装置であるレーディゲミキサーのチョッパーの回転速度が40m/s以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載のセメント急硬材の製造方法。
【請求項9】
カルシウムアルミネートを混合装置に投入し高速せん断しながら、次いで、セッコウと含水化合物を投入して高速剪断する請求項1〜8のいずれか1項に記載のセメント急硬材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木・建築分野において使用されるコンクリート用のセメント急硬材、その製造方法、及びそれを用いたセメント組成物に関する。
【0002】
カルシウムアルミネートとセッコウの混合物をセメントに混和することによって、早期の強度発現性が得られることが知られている(特許文献1参照)。
また、カルシウムアルミネートとセッコウの混合物からなるセメント急硬材の使用にあたっては可使時間を確保するため、カルシウムアルミネートとセッコウからなる混合物に水を含有させる方法(特許文献2参照)、カルシウムアルミネートを硫酸の存在下で少量の水と混合する方法(特許文献3参照)、水和物で被覆されたカルシウムアルミネートと硫酸カルシウムに対して、アルミニウム硫酸塩、アルカリ金属硫酸塩、またはアルカリ金属炭酸塩を配合する方法(特許文献4参照)、二水セッコウで表面が被覆されてなる無水セッコウからなるセッコウとカルシウムアルミネートを配合する方法(特許文献5参照)などが知られている。
また、無水セッコウと二水セッコウの混合物に急硬成分やセメントを混合してなる注入材が知られている(特許文献6参照)。
【0003】
さらに、カルシウムアルミネート又はカルシウムアルミネートと無水セッコウの混合物に、半水セッコウ及び二水セッコウから選ばれる1種又は2種を配合して同時粉砕してなるセメント急硬材が知られている(特許文献7参照)。
さらに、エトリンガイト(エトリンジャイト)の加熱変化について詳細に検討されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本特開昭48−1024号公報
【特許文献2】日本特開昭53−125431号公報
【特許文献3】日本特開昭54−157129号公報
【特許文献4】日本特開2005−60154号公報
【特許文献5】日本特開2007−176744号公報
【特許文献6】日本特開2005−162949号公報
【特許文献7】日本特開2012−121774号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】坂内秀雄、中川晃次、エトリンジャイトの加熱変化、石膏と石灰、No.97、pp.11−17、1968年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンクリート打設後に可使時間を確保でき、貯蔵安定性に優れるセメント急硬材、その製造方法、及びそれを用いたセメント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(12)の要旨を有する。
(1)カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物を回転速度が20m/s以上の高速せん断方式によって混合して生成したカルシウムサルホアルミネート水和物を含有することを特徴とするセメント急硬材。
(2)カルシウムアルミネート、セッコウ及び含水化合物の合計100部中、カルシウムアルミネートを25〜75部、セッコウを25〜75部、含水化合物を1〜10部の混合割合で含有する、上記(1)に記載のセメント急硬材。
(3)50〜120℃の加熱によって脱離する水分量が、0.05〜0.50質量%である上記(1)又は(2)に記載のセメント急硬材。
(4)カルシウムアルミネートが非晶質のカルシウムアルミネートである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセメント急硬材。
(5)セッコウが、無水セッコウ、半水セッコウ及び二水セッコウからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のセメント急硬材。
(6)含水化合物が、硫酸塩又は炭酸塩である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のセメント急硬材。
(7)粉末度が、ブレーン比表面積で3000〜9000cm/gである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のセメント急硬材。
(8)セメントと上記(1)〜(7)のいずれかに記載のセメント急硬材を含有してなるセメント組成物。
【0008】
(9)セメント急硬材の含有量が、セメントとセメント急硬材からなるセメント組成物100部中、5〜50部である、上記(8)に記載のセメント組成物。
(10)カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物を回転速度が20m/s以上の高速せん断方式によって混合することを特徴とするセメント急硬材の製造方法。
(11)高速剪断方式における混合装置のチョッパーの回転速度が20m/s以上である上記(10)に記載のセメント急硬材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、貯蔵安定性に優れるセメント急硬材が提供でき、該セメント急硬材とセメントの混合物は、早期の強度発現性を有し、さらに可使時間を充分に確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
なお、本発明で使用する、「部」、「パーセント(%)」は、特に指定しない限り質量基準である。
また、本発明でいうコンクリートとは、セメントペースト、セメントモルタル、及び/又はセメントコンクリートを総称するものである。
【0011】
本発明でいうカルシウムアルミネートとは、CaOとAlを主成分とする化合物を総称するものである。その具体例としては、例えば、CaO成分とAl成分を主成分とする非晶質の化合物や、CaO・2Al、CaO・Al、12CaO・7Al、3CaO・Al、11CaO・7Al・CaF、及び3CaO・3Al・CaFなどと表わされる結晶性のカルシウムアルミネートが挙げられる。このうち、非晶質のカルシウムアルミネートが好ましい。
なお、カルシウムアルミネートは、セッコウ、含水化合物等と混合する前に、ボールミル等を用いて、混合時の効率向上のためにも、粉砕しておくことが好ましい。粉砕されたカルシウムアルミネートの粉末度は、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)で3,000〜9,000cm/g、好ましくは4,000〜8,000cm/gである。
【0012】
本発明で使用するセッコウとは、CaSOなる分子式で示される硫酸カルシウムを主成分とする鉱物の総称である。具体的には、CaSO、CaSO・1/2HO、及びCaSO・2HOなる分子式でそれぞれ示される無水セッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコウの総称である。なかでも、無水セッコウが好ましい。
【0013】
本発明で使用する含水化合物とは、化学的若しくは物理的に結合した水(結晶水、ゲル水など)を含む化合物をいうが、水そのものも含む。
特に限定されるものではないが、例えば、Al(SO・8HO、Al(SO・18HO、AlNa(SO・12HO、AlK(SO・12HO、NaSO・10HO、NaCO・10HO、セメント水和物である、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)やモノサルフェート(3CaO・Al・CaSO・12HO)、有機化合物であるC・HOなどが挙げられる。
【0014】
また、セッコウのうち、半水セッコウ(CaSO・1/2HO)や二水セッコウ(CaSO・2HO)も該当する。さらに、水量の一定しない水和物も含まれ、例えばFe・nHO、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO)やケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO)の水和生成物であるCaO−SiO−HO系水和物などが挙げられる。
【0015】
本発明では、これら含水化合物の中から選ばれる一種又は二種以上を使用できる。これら含水化合物は、なかでも、本発明では、二水セッコウ、半水セッコウ、カリミョウバン12水塩、又は硫酸ナトリウム10水塩を用いるのが好ましい。
【0016】
本発明のセメント急硬材は、カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物を配合後、高速剪断方式によって混合し、カルシウムサルホアルミネート水和物を生成させることが好ましい。本発明で云う高速剪断とは、剪断速度で20m/s以上である。
カルシウムサルホアルミネート水和物とは、特に限定されるものではないが、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)やモノサルフェート(3CaO・Al・CaSO・12HO)など、CaO、Al、CaSO、HO等を含む化学式で表されるものである。特に、エトリンガイトが好ましい。
【0017】
カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物の混合割合は、特に限定されるものではないが、通常、カルシウムアルミネート、セッコウ、及び含水化合物の合計100部中、カルシウムアルミネートは25〜75部、好ましくは30〜70部、セッコウは25〜75部、好ましくは30〜70部、含水化合物は1〜10部、好ましくは2〜8部である。混合割合が、前記の範囲外である場合、コンクリートの可使時間の確保が難しくなる場合や初期の強度発現性が不良となる場合がある。
【0018】
また、カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物を配合後、高速剪断方式によって混合した後の試料において、50〜120℃の加熱によって脱離する水分量は、カルシウムサルホアルミネート水和物の結合水の一部に相当することから、カルシウムサルホアルミネート水和物が所定量生成していることを確認する目安となる。なお、カルシウムサルホアルミネート水和物が生成は、SEM観察によってカルシウムアルミネート及びセッコウの粒子表面を観察し、元素分析によって、カルシウム、アルミニウム、硫黄を含むことを確認することで同定した。
【0019】
かかる50〜120℃の加熱によって脱離する水分量は、例えば、示差熱重量分析(TG−DTA)や示差熱熱量測定(DSC)、カールフィッシャー法などによって、定量することができる。特にカールフィッシャー法は、加熱によって脱離する水分を直接定量できることから、精度が高く好ましい。実施例では、カールフィッシャー分析装置を使用し、50℃における脱離水分量と120℃における脱離水分量とを測定し、その差を50〜120℃脱離水分量(質量%)とする。
【0020】
本発明では、50〜120℃の加熱によって脱離する水分量は、0.05〜0.50%であることが好ましく、0.10〜0.45%がより好ましい。この範囲外であるとコンクリートの可使時間の確保が難しくなる場合や、コンクリートの初期強度発現性が不良となる場合がある。
【0021】
本発明では、カルシウムアルミネートとセッコウと含水化合物の混合方法は重要であり、高速剪断方式を採用するものである。
具体的には、混合装置のチョッパーの回転速度が20m/s以上であることが好ましく、40m/s以上でせん断混合することがより好ましい。20m/s未満では、カルシウムサルホアルミネート水和物を均一に生成できず可使時間や初期強度を確保できない場合がある。回転速度の上限は特に制限されないが、通常、100m/s以下が好ましい。
なお、混合装置としては、マツボー社製レディゲミキサーなどを使用することが可能である。
【0022】
セメント急硬材の製造時の各材料の混合の仕方は、すべての材料をミキサー内に投入した後に高速剪断してもよいし、高速剪断を続けながら、順次上記材料を投入してもよい。これらの材料の投入順序には制限はないが、ボールミル等で粉砕しておいたカルシウムアルミネートを最初に投入し、高速剪断を続けながら、他の材料を投入するのが好ましい。
高速剪断方式により混合して得られたミキサー内の生成物は、そのままセメント急硬材として使用することが可能である。
【0023】
高速剪断方式で混合して得られたセメント急硬材の粉末度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積で3000〜9000cm/gが好ましく、4000〜8000cm/gがより好ましい。3000cm/g未満では初期強度の発現性が不充分となる場合があり、9000cm/gを超えると流動性や可使時間の確保が困難となる場合がある。なお、可使時間は、注水後20分〜60分が好ましく25分〜50分が好ましい。また、初期強度は、注水後3hrで10N/mm以上が好ましく、12N/mm以上がより好ましい。
【0024】
本発明のセメント急硬材の配合量は、コンクリートの配合によって変化するため特に限定されるものではないが、通常、セメントとセメント急硬材からなるセメント組成物100部中、5〜50部が好ましく、10〜40部がより好ましい。5部未満では充分な急硬性能が得られない場合があり、50部を超えて使用すると、長期材齢で強度低下が生じる場合がある。
【0025】
本発明のセメント組成物で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカを混合した各種混合セメント、及び石灰石粉末を混合したフィラーセメント、並びに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのポルトランドセメントが挙げられ、このうちの一種又は二種以上が使用可能である。中でも、早強ポルトランドセメントを選定することが好ましい。
【0026】
本発明のセメント急硬材を含むコンクリートは、砂、砂利等の他に、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、高分子エマルジョン、凝結調整剤等、ベントナイト等の粘土鉱物、ゼオライト等のイオン交換体、及びシリカ質微粉末、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム等の無機系材料、並びに有機系材料として、ビニロン繊維、アクリル繊維、炭素繊維等の繊維状物質を併用することが可能である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定して解釈されるものではない。
【0028】
「実験例1」
カルシウムアルミネート(以下、CAという)をボールミルでブレーン値5000cm/gに粉砕して、表1に示すように、カルシウムアルミネートと、セッコウと、含水化合物とを20℃で配合し、チョッパーの回転速度を60m/sとして、レーディゲミキサー(マツボー社製)を用いて高速剪断混合した。得られた混合物は、そのままセメント急硬材として使用した。
【0029】
次に、得られたセメント急硬材を全セメント組成物中の10部使用した、セメントとセメント急硬材からなるセメント組成物100部と、砂を150部、水を30部、及び凝結調整剤の0.8部とを配合して、セメントモルタルを20℃の室内で、モルタルミキサーを用いて調製した。得られたセメントモルタルの可使時間と圧縮強度を測定した。
【0030】
なお、比較例として、カルシウムアルミネート、セッコウ、及び含水化合物を低速混合(剪断速度5m/s)して得られたセメント急硬材「低速混合」の場合や、ボールミルで混合粉砕して得られたセメント急硬材「同時粉砕A」の場合、カルシウムアルミネート、セッコウを混合せずに使用した場合「−」についても同様の実験を行った。結果を表1に示す。
【0031】
<使用材料>
CA(6):CaO/Alがモル比で1.7であり、SiOを3%含む、非晶質CAである。試薬1級の炭酸カルシウム、アルミナ、及びシリカを用いて、1650℃で溶融した後、急冷して合成した(10メッシュ通過品)。
セッコウ:市販品、無水セッコウ、10メッシュ通過品。
含水化合物(1):ニ水セッコウ、市販品、10メッシュ通過品。
含水化合物(2):半水セッコウ、市販品、10メッシュ通過品。
含水化合物(3):硫酸アルミニウム18水塩、市販品、10メッシュ通過品。
含水化合物(4):カリミョウバン12水塩、市販品、10メッシュ通過品。
含水化合物(5):硫酸ナトリウム10水塩、市販品、10メッシュ通過品。
含水化合物(6):炭酸ナトリウム10水塩、市販品、10メッシュ通過品。
凝結調整剤:試薬1級のクエン酸25部と試薬1級の炭酸カリウム75部の混合物。
砂:JIS標準砂、市販品。
セメント:普通ポルトランドセメント。市販品、ブレーン値3000cm/g。
水:水道水。
【0032】
<測定方法>
脱離水分量:50〜120℃の脱離水分量:カルシウムサルホアルミネート水和物の生成量を確認するため、カールフィッシャー分析装置(京都電子工業株式会社製)を使用し、50℃における脱離水分量と120℃における脱離水分量を測定し、その差を50〜120℃脱離水分量(質量%)とした。
【0033】
可使時間:温度記録計(キーエンス社製)を使用し、モルタルの温度が練上りから2℃上昇するまでの時間を測定した。
圧縮強度:JIS R 5201に準じて、4×4×16cmの試験体を作製し、3時間後の圧縮強度を測定した。(マルイ社製、全自動圧縮試験機)
上記「実験例1」における結果を、以下の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
「実験例2」
含水化合物の配合量を表2に示すように変えたこと以外は、実験例1と同様に実施し、測定、評価を行った。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
「実験例3」
カルシウムアルミネートの種類を表3に示すように変えたこと以外は、実験例1と同様に実施し、測定、評価を行った。結果を表3に示す。
【0038】
<使用材料>
CA(1):CaO/Alがモル比で1.0であり、結晶質のCAである、主成分がCaO・Alの、10メッシュ通過品。
CA(2):CaO/Alがモル比で1.5であり、結晶質のCAである、主成分がCaO・Alと12CaO・7Alの、10メッシュ通過品。
CA(3):CaO/Alがモル比で1.7であり、結晶質のCAである、主成分がCaO・Alと12CaO・7Alの、10メッシュ通過品。
【0039】
CA(4):CaO/Alがモル比で2.0であり、結晶質のCAである、主成分がCaO・Alと12CaO・7Alの、10メッシ通過品。
CA(5):CaO/Alがモル比で1.5であり、SiOを3%含み、非晶質のCAである。試薬1級の炭酸カルシウム、アルミナ、及びシリカを用いて、1650℃で溶融した後、急冷して合成した。10メッシュ通過品。
CA(7):CaO/Alがモル比で2.0であり、SiOを3%含み、非晶質のCAである。試薬1級の炭酸カルシウム、アルミナ、及びシリカを用いて、1650℃で溶融した後、急冷して合成した。10メッシュ通過品。
【0040】
【表3】
【0041】
「実験例4」
CA(6)を50部、セッコウを49部、及び含水化合物(1)を1部に配合量を固定し、チョッパーの回転速度(剪断速度)を表4に示すように変えたこと以外は、実験例1と同様に実施し、測定、評価を行った。結果を表4に示す。
【0042】


【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のセメント急硬材は貯蔵安定性に優れており、該セメント急硬材を用いた急硬コンクリートは、可使時間を充分確保でき、土木・建築分野で幅広く使用することができる。
【0044】
なお、2013年6月20日に出願された日本特許出願2013−129923号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。