(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
信号検出のための第2標識物質及びレポーター分子と反応する第2リガンドを含む第2接合体をさらに含む、前記第2標識物質と第2リガンドは、物理的又は化学的に連結されており、
前記第2標識物質は、前記第1標識物質と同一又は相異なものである請求項1に記載の免疫分析用キット。
前記第1標識物質は、ラテックス粒子、金粒子、着色ポリスチレン微細粒子、酵素、蛍光性染料、伝導性高分子及び磁性粒子からなる群より選択される請求項1に記載の免疫分析用キット。
前記免疫クロマトグラフィー用ストリップは、検体内の分析物質を捕獲するための検査線が形成された多孔性メンブレンパッド及び前記多孔性メンブレンパッドの一末端に検体移送のための駆動力を提供する吸収パッドを備えるものである請求項1に記載のキット。
第1リガンドを通じて第1標識物質と結合した分析物質が、第3リガンドによって検査線に捕獲され、検査線上の第1標識物質からの信号を測定して検体内の分析物質の有無、量又はいずれも測定できるものである請求項17に記載のキット。
前記免疫クロマトグラフィー用ストリップは、検査線の前又は後に、検体の展開を確認できる対照線をさらに含み、前記対照線は、レポーター分子が固定されているものである請求項14に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記の目的を達成するための一態様として、本発明は、免疫クロマトグラフィー用の凍結乾燥接合体構造物として、信号検出のための第1標識物質及び分析物質と反応する第1リガンドを含む第1接合体を含み、前記第1標識物質と第1リガンドは、物理的又は化学的に連結されており、前記接合体構造物は、既知濃度の前記第1接合体が溶媒内に分散されている分散液を均一体積の滴形態として急速冷凍させた後、凍結乾燥して溶媒を除去し形成されたもので、急速冷凍された滴から溶媒が占める空間は、溶媒除去によって孔隙を形成することを特徴とする凍結乾燥接合体構造物を提供する。
【0013】
本発明の用語「免疫クロマトグラフィー」は、抗原-抗体反応に基づいた免疫反応の原理と検体及び試薬が移動相によって媒質に沿って移動するクロマトグラフィーの原理を結合させた分析方法である。簡略に、多孔性膜(membrane)に分析しようとする抗体又は抗原を改めて分注させて固定し膜の一末端から前記固定しておいた抗体又は抗原に向かって検体を展開させ、検体中の抗原又は抗体との反応を観察することである。一般的な意味の免疫反応は、抗原-抗体の反応を意味するが、本発明では、広義的に、抗原-抗体の反応以外にも、お互いに特異的に結合する受容体と、これに特異的に結合するリガンド反応も含み、これに制限されることなく、酵素と基質間の反応など、お互いを特異的に認識して起こる反応までも全て含むことができる。
【0014】
前記抗原-抗体反応を肉眼で又はセンサーを用いて容易に確認できるようにするために、標識物質を利用することができる。また、このような標識物質が、分析しようとする分析物質と結合できるように、分析物質に特異的に結合できるリガンドを標識物質に連結させて利用することができる。本発明の用語「接合体(conjugate)」は、前記標識物質とリガンドを連結させた結合体を意味する。前記標識物質とリガンドは、物理的又は化学的に連結させることができる。つまり、標識物質とリガンドが、パッシブ吸着(passiveadsorption)によって連結するようにできるし、反応性グループを有するように標識物質を改質させ、リガンドと共有結合で連結するようにすることができるが、これに制限することなく、前記標識物質とリガンドの連結は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。
【0015】
本発明の用語「標識物質」(label)は、肉眼又はセンサーを用いて感知できる信号を発生させる物質を意味する。前記標識物質としては、ラテックス粒子、金粒子、着色ポリスチレン微細粒子、酵素、蛍光性染料、伝導性高分子又は磁性粒子などを使用することができるが、これに制限されるものではない。また、前記信号は、発光などのような標識物質の内在的特性によって自ら発生できるものであったり、蛍光などのような外部の刺激によって発生するものであり得る。
【0016】
本発明の用語「リガンド」は、お互いに特異的に結合する物質を意味する。例えば、抗原に対して特異的に結合する抗体、特定の受容体に特異的に結合するリガンドなどがお互いにリガンドとして作用する。その他にも、本発明において、リガンドは、前記定義された特性を表す物質であれば、制限なく使用することができる。本発明の全般で使用されたリガンドの意味は、特定の受容体に特異的に結合するリガンドとであると具体化して表記されない限り、前記定義されたように、お互いに特異的に結合する物質を意味する。
【0017】
前記接合体は、標識物質とリガンドをそれぞれ既知濃度の溶液で製造して混合させた後、一定時間反応するようにして製造することができる。この際、それぞれの溶液の濃度及び混合比率は、標識物質とリガンドの混合比を考慮して決定することができる。前記標識物質とリガンドの結合は、1つの標識物質に1つのリガンドが結合する場合、1つの標識物質に複数個のリガンドが結合する場合又は複数個の標識物質が1つのリガンドに結合する場合であり得る。具体的な結合比は重要ではないが、好ましい態様は、一定の比率を維持することであり得る。前記結合比は、標識物質とリガンドの種類によって変化し得えるし、これらの相対的な大きさ及び結合位置の個数などを考慮して予測することができる。例えば、標識物質として、数ミクロンサイズのラテックスビードを、リガンドとして抗体を使用する場合、複数個の抗体が1つのラテックスに結合することができる。好ましくは、それぞれのラテックス表面に均一の個数で抗体を結合させるために、抗体がラテックス表面に飽和されて結合できるように、抗体及びラテックス溶液の濃度及び混合比率を調節することができるが、これに制限されるものではない。
【0018】
上記のように、それぞれの既知濃度の標識物質とリガンドを混合して反応させることによって、既知濃度の接合体の溶液を得ることができる。前記接合体の溶液は、一定濃度の接合体分子が、溶液上に均一に分散されている分散液の形態である。
【0019】
前記接合体分散液は、内部対照群(internal control)として利用できるように、信号検出のための標識物質及び対照線に固定されたレポーター分子と反応するリガンドを含む他の接合体分子を追加的に含むことができる。前記追加的な接合体は、上で言及した接合体の製造方法と同様の方法によって、均一な分散液の形態として製造されて前記接合体溶液に混合され得る。前記追加的な接合体分子に利用される標識物質は、前記接合体に利用されたものと同一又は相異するものであり得る。上記した用語及び内部対照群に対するものは、おって詳しく論議する。
【0020】
本発明の「凍結乾燥接合体構造物」は、保管の容易性及び検体との反応の均一性のために、前記接合体の分散液は、一定体積の滴形態として急速冷凍させた後、凍結乾燥して製造され得る。具体的に、既知濃度の接合体分子が溶媒に均一に分散された分散液を、一定体積で噴射して極低温の液体冷媒に滴下させて接触させることで、冷凍することができる。この際、冷媒の冷熱によって、外部から急速凍結されることによって、一般的には、一定の大きさの球形の固形物として冷凍される。前記極低温の液体冷媒としては、−270℃〜−180℃の気化点を有する液体を用いてもよい。例えば、液体窒素、液体ヘリウム、液体酸素、液体水素などを使用してもよく、費用及び安全性を考慮して選択してもよい。好ましくは、液体窒素又は液体ヘリウムであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0021】
本発明の免疫クロマトグラフィーは、定性又は定量分析に使用され得る。本発明の凍結乾燥接合体構造物を定量分析に用いるためには、個々の接合体の構造物質が、一定の数の接合体分子を含むように製造することができる。これは、上記のように、既知濃度の均一な接合体分散液を極低温の液体冷媒に一定の体積で噴射し滴下させて急速冷凍することによって行うことができる。前記既知濃度の均一な接合体分散液を一定の体積で噴射するために、選択的にディスペンサーを利用してもよい。前記ディスペンサーを利用することで、偏差を最小化し、一定の体積を有する滴として噴射されるとうにすることができる。この際、ディスペンサーのノズル穴の大きさ及び分注圧力などを調節することで、噴射される溶液滴の体積を調節することができる。それ以外にも、接合体溶液の組成及び粘性度、滴下する溶液の速度と量及び表面張力によって製造される接合体滴の大きさが調節され得る。前記溶液液滴の体積は、5〜30μlであり、大きさは、直径が0.5〜5mmである球形であり得るが、これに制限されるものではない。
【0022】
前記急速冷凍させた接合体構造物は、凍結乾燥させて凍結乾燥接合体構造物を製造することができる。前記凍結乾燥の過程を通じて冷凍接合体構造物内の溶媒が除去されることで、構造物は孔隙を有するようになる。このように製作された孔隙を有する多孔性の凍結乾燥接合体構造物は、以後、検体との反応のために、緩衝液で溶解させる時、より素早く溶解されて均一な反応を誘導することができる。前記凍結乾燥は、凍結乾燥機を利用して行ってもよく、この際、凍結乾燥チェンバーの冷却温度は、-20℃以下であり得る。好ましくは、-40℃以下であり得るが、これに制限されるものではない。前記凍結乾燥の時間及び温度は、乾燥させたい試料の特性によって変化することができる。前記製造された凍結乾燥接合体構造物は、70〜90%の孔隙率を有し、緩衝液で溶解時、即時又は5秒以内に緩衝液に完全に溶解され得る。
【0023】
他の一態様として、本発明は、前記凍結乾燥接合体構造物及び免疫クロマトグラフィー用ストリップを備えた免疫分析用キットを提供する。
【0024】
本発明の用途「免疫分析」は、抗原-抗体反応などの特異的な免疫反応を利用して分析物質を検出する方法である。これに、クロマトグラフィーの原理を適用して免疫クロマトグラフィー法を行うことができる。つまり、免疫クロマトグラフィーによる分析は、媒質を通じて毛細管現象によって移動相と共に分析物質を含む検体が移動しながら行われる。従って、このような、免疫クロマトグラフィーの展開のための媒質として、ストリップを製造して利用することができる。このような、免疫クロマトグラフィー用ストリップの具体的な構成要素及びそれぞれの機能は、後述する。
【0025】
上記のように、免疫クロマトグラフィーは、媒質に沿って分析物質を含む移動相が移動するクロマトグラフィーの原理を利用する。従って、免疫クロマトグラフィー用ストリップを用いた免疫分析のためには、分析物質を含む検体をストリップに沿って移動させるための移動相を必要とする。これにより、本発明の免疫分析用キットは、緩衝液を追加で含むことができる。前記緩衝液は、免疫クロマトグラフィー用ストリップに沿って検体を移動させる移動相(mobile phase)として作用するだけでなく、接合体を溶解させる溶媒として作用することもでき、必要に応じては、検体を希釈させるための希釈液としての役割も兼ねることができる。また、全血分析のための赤血球などの血球成分を溶解(lysis)させるための成分を追加的に含むことができる。前記緩衝液としては、10mM〜1M濃度のリン酸塩緩衝液(phosphate buffered solution;PBS)、非イオン性又は両性界面活性剤又はこれらの混合物など通常の緩衝液を制限なく使用してもよく、抗原-抗体反応など、所望の反応の種類によって適宜、選択することができる。
【0026】
好ましくは、本発明の免疫分析用キットは、免疫クロマトグラフィーに検体を注入させる前に接合体と検体との均一な反応のために凍結乾燥接合体構造物を緩衝液に均一に溶解させた溶液と先に反応させた後、分析ストリップを用いて分析することができる。
【0027】
前記凍結乾燥接合体構造物の保管のために、さらに、緩衝液を用いた溶解及び検体との反応のために、追加的に備わるキャップを含むチェンバーと共に提供され得る。前記キャップを含むチェンバーに収容された凍結乾燥接合体構造物に直接緩衝液及び検体を添加し接合体構造物を溶解させて検体と均一に反応させることができる。前記チェンバーを用いると、キャップを装着したまま保管することができるため、凍結乾燥接合体構造物自体及び/又は緩衝液と検体との混合物を、汚染なく保管することができる。前記チェンバーは、好ましくは、ピペットなどの器具を用いて反応混合溶液を損失なく容易にストリップにローディングできるように、円錐形であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0028】
前記凍結乾燥接合体構造物は、既知濃度の分散液を一定の体積で、冷凍、凍結乾燥させたものであり、構造物中、接合体分子の含量が一定して分析物質の定量分析に利用されるのに適している。
【0029】
さらに、内部対照群として前記凍結乾燥接合体構造物と同様の原理及び製造方法を用いて、信号検出のための第2標識物質及びレポーター分子と反応する第2リガンドを含む第2接合体を備えた凍結乾燥接合体構造物を追加的に含むことができる。内部対照群は、前記のように、凍結乾燥接合体構造物の製造時に、接合体分散液に第2接合体構造物を添加して、1つの構造物として製造して利用したり、同様の方法を利用して第2の凍結乾燥接合体構造物を別途製造して検体と接合体の混合液に添加することができる。内部対照群及びレポーター分子については、後述する。
【0030】
前記免疫クロマトグラフィー用ストリップは、検体内の分析物質を捕獲するための検査線が形成された多孔性メンブレンパッド及び前記多孔性メンブレンパッドの一末端に検体移送のための駆動力を提供する吸収パッドを備えることができる。
【0031】
検体内の分析物質を検出するために、これと特異的に結合して選択的に捕獲できるリガンド又は分析しようとする物質との競争的反応を誘導して、これを検出できるように分析物質と同様の物質又はその類似体をリガンドとして、多孔性メンブレンパッドに固定して「検査線」を形成した。本発明の免疫クロマトグラフィー用ストリップの検査線には、検体内の分析物質と結合できる物質又は分析物質との競争的反応を誘発できるように、分析物質と同様の物質又はその類似体を第3のリガンドとして固定させることができる。前記第3リガンドの種類は、使用される免疫分析法の種類によって異なって選択され得る。免疫分析法の種類は、後述する。前記レポーター分子と反応する第2リガンド及び検体内の分析物質と結合する第3リガンドは、前記接合体に含まれるリガンドと同じ抗原、抗体、受容体又は前記受容体に特異的に結合するリガンドなどであり得る。
【0032】
移動相と検体の展開のための媒質としては、多孔性メンブレンパッドを利用して毛細管現象によって移動できるようにしており、この一末端には、検体移送のための駆動力を提供するために、吸収パッドを備えた。前記吸収パッドは、多孔性メンブレンパッドに一部重畳して位置することができる。前記メンブレンとしては、ニトロセルロースメンブレン、ガラス繊維メンブレン、ポリエーテルスルフォンメンブレン、セルロースメンブレン、ナイロンメンブレン及びこれらの組み合わせを利用することができ、好ましくは、5〜15μmの気孔を有するニトロセルロースメンブレンが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0033】
前記免疫クロマトグラフィー用ストリップは、下部に固体支持体をさらに含んで製造することができる。このような固体支持体としては、プラスチック材質の支持体を利用することができ、前記固体支持体上に、ストリップを付着して製造することによって、耐久性を高めることができ、取り扱い及び保管を容易にすることができる。また、追加的に外部ケースの装着を容易にすることができる。前記固体支持体として使用できるプラスチック材質としては、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルムなどが利用されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記免疫クロマトグラフィー用ストリップは、追加的にケース内に固定され得る。下部のケースの内部には、前記クロマトグラフィー用ストリップを適切な位置に配置させ固定又は圧着させるための多数のガイド及び/又はストリップ支持体が備わってもよい。選択的に、下部のケースに備わったガイド及びストリップ支持体に対応される位置にガイド及びストリップ支持体が、上部のケースにも備わったものでもよい。つまり、上記ガイド及び/又はストリップ支持部は、必要に応じて、下部のケースに形成されたり、又は上部のケース及び下部のケースのいずれに形成され得る。また、上部のケースには、検体の投入口及び検査線に相応する位置に、標識物質からの信号を検出するための結果確認窓を備えることができる。前記検体の投入口は、多孔性メンブレンの一末端に、つまり、検査線に基づいた吸収パッドが位置した反対側末端に、検査線と検体がメンブレインに沿って展開できるように十分に離隔した地点にホール又はスリットなどの形態として形成され得る。前記結果窓は、多孔性メンブレン上に、検査線が位置した地点及び/又は場合によって、追加的に対照線が形成されている場合、対照線まで含んで外部から肉眼で又はセンサーを通じて識別可能であるため、十分な大きさに形成され得る。前記検査線及び/又は対照線を確認できる限り、その大きさ及び形は、制限なく形成され得る。
【0035】
前記上部及び下部のケースは、通常のプラスチック素材を利用して製造することができ、例えば、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレンなどの素材が利用され得るが、これに制限されるものではない。前記上部及び下部のケースは、別途製作して結合ホーム、結合突起などを備えて通常の手段として結合され得るし、場合によっては、一体型として製造され得る。
【0036】
本発明の免疫分析用キットを使用すると、第1接合体と結合した分析物質、つまり、第1リガンドを通じて第1標識物質と結合した分析物質が、これに特異的に結合する第3リガンドによって検査線に捕獲され、この際、検査線上の第1標識物質からの信号を測定して検体内の分析物質の有無、量又は両方を測定することができる。つまり、検査線上においての第1標識物質からの信号の有無によって、分析物質の定性的な分析が可能であり、検査線上においての第1標識物質からの信号の量、つまり、強さを測定して定量的に分析することができる。
【0037】
従って、前記免疫クロマトグラフィー用ストリップは、検査線の前又は後に検体の展開を確認できる対照線を追加で備えることができる。前記対照線は、多孔性メンブレン上の検査線の前又は後に検査線とは重畳されないように適切に離隔した位置にレポーター分子を固定させることによって形成され得る。
【0038】
前記本発明の用語「対照線(conrol line)」は、検体又は検体中の分析物質の濃度と関係なく、一定の信号を出す部分を意味する。上記対照線は、上記検査線と類似した方法を用いて形成することができるが、分析しようとする物質とは結合せず、検体と結合体の混合溶液に内部対照群として追加的に含まれて検体と共に移動相によって、多孔性メンブレンに沿って移動する第2接合体のリガンドと特異的に結合して捕獲することで、検体中の分析物質の濃度及び存在有無と関係なく、一定の信号を放出できる物質をリガンドで固定させて形成することができる。前記対照線として使用できるリガンドは、「レポーター分子」という用語を使用して表現しており、例えば、前記レポーター分子としては、抗-ラビットIgG、抗-チキンIgY、ストレプトアビジン(streptavidin)などが使用できる。前記検査線及び対照線の大きさ及び位置は、使用される抗原-抗体などによって適宜、選択してもよい。前記対照線の信号の有無から成功的な検体の展開のほどを確認でき、検査線の信号の強さを対照線の信号の強さと比較して分析物質の定量分析を行うことができる。
【0039】
免疫分析は、その原理によって大きく2つに分類される。まず、サンドイッチ分析(sandwich assay)の場合、接合体の第1リガンドが、検体内の分析物質と先に免疫学的反応で免疫複合体を形成する。前記免疫複合体は、移動相の流れに沿って免疫クロマトグラフィー用ストリップに沿って移動し分析物質と特異的に結合するまた他のリガンド、つまり、第3リガンドが固定された検査線に免疫特異的結合反応によって捕獲される。一方、競争型分析(competitive or inhibition assay)の場合、多孔性メンブレンの検査線に第3リガンドとして接合体のリガンド、つまり、第1リガンドと特異的に反応するリガンドを固定させる。前記第3リガンドは、検体内の分析しようとする物質と同様の物質であったり、これの類似体であり得るが、分析物質と競争的に接合体の第1リガンドに結合できる物質であれば、制限なく使用され得る。前記免疫反応によって検査線に捕獲された接合体の標識物質が発生させる信号の強さは、検体中の分析物質の濃度に比例又は半比例するため、信号の陽性又は陰性で分析物質が存在するかどうかを判断する定性分析だけでなく、信号の強さを標準比色表又は内部対照群と比較して定量分析することができる。
【0040】
また一つの態様として、本発明は、前記免疫分析用キットを使用して検体内の分析物質を定性又は定量分析する方法として、接合体構造物に緩衝液及び検体を同時に又は順次に加えて接合体構造物の溶解及び接合体と検体の反応を同時に又は順次に行う段階;前段階の結果物を免疫クロマトグラフィー用ストリップにローディングして展開させる段階;及び検査線から第1標識物質の信号の有無及び強さを確認する段階を含むことが特徴である分析の方法を提供する。
【0041】
本発明の免疫分析用キットを使用して検体中の分析物質を定性及び/又は定量分析する具体的な原理は、上記のようである。
【0042】
具体的な分析方法を行うに至って、下記の順に進行することができる。まず、接合体構造物に緩衝液を加えて溶解させた後、該当溶液に検体を添加して均一に混合して一定時間反応させたり、接合体構造物に緩衝液及び検体を同時に添加して接合体構造物を溶解すると同時に、検体中の分析物質と反応できるように誘導することができる。好ましくは、接合体構造物を緩衝液に完全に溶解させ接合体分子が均一に分散された溶液を形成し、これに検体を添加して分析物質との免疫反応を行うことができるが、接合体構造物が完全に溶解して、接合体分子が溶液上に均一に分散されて検体と十分に反応し免疫複合体を形成できる限り、接合体構造物、緩衝液及び検体の混合順番及び反応順番に制限されるものではない。以後、前記溶解及び免疫反応段階の結果物である免疫複合体を含む溶液を、免疫クロマトグラフィー用ストリップにローディングして展開させた後、検査線から第1標識物質の信号有無及び強さを確認して検体中の分析物質の定性又は定量分析を行うことができる。
【0043】
前記ストリップの多孔性メンブレンを通じて移動する検体を含む溶液が均質するほど、移動相の移動速度及び抗原-抗体反応時間を一定にするため、検体分析の正確度を向上させることができる。従って、検体を緩衝液に完全に溶解させた均一な接合体溶液と混合して十分に反応させた後、免疫クロマトグラフィー用ストリップにローディングして展開させる本発明の分析方法は、分析の正確度を向上させるのに適している。
【0044】
本発明の具体的な実施例においては、本発明の分析方法と接合体が吸着された接合体パッドを追加で含む既存の免疫分析ストリップを利用した分析方法を行って、その結果を比較することで、本発明の方法を利用した糖化血色素分析でより再現性の高い結果が得られたことを確認した(表1)。さらに、定量分析において、濃度と測定された信号の強さが、高い線型性を有する比例関係を示すことを確認した(
図6)。
【0045】
本発明の免疫分析のための検体としては、哺乳類、好ましくは、ヒトから分離した全血、血球、血清、血漿、骨髄液、汗、尿、涙、唾、皮膚、粘膜、毛髪などの全ての生体試料を含み、要するに、血液であり得る。血液は、血球成分を除去した血清又は血漿成分を利用してもよく、全血を利用する場合、血球成分を溶解(lysis)できる成分を緩衝液に追加して使用することができる。
【0046】
本発明による免疫分析方法は、マラリア抗原(Ag)、エイズ、C型肝染、B型肝染、梅毒、胃潰瘍原因菌、ガンマーカー(AFP、PSA、CEA)、結核、サース、デング熱、らい病(ハンセン病)など主に全血を検体として使用する疾病の診断及び血糖検査などに有用である。好ましくは、分析物質は、糖化血色素であり得るが、これに制限されるものではない。
【0047】
本発明の具体的な実施例によると、検体として血液を使用し、前記検査線には、第2リガンドとして糖化血色素に対する抗体を固定して、これに捕獲された接合体の標識物質の発色程度を測定して血中糖化血色素の濃度を測定することができた。例えば、前記測定は、センサーとして分光器を使用して行うことができるが、検出方法は、これに制限されるものではない。糖化血色素の濃度は、通常、全体血色素の濃度に対する糖化血色素の濃度の百分率(比率)で表記される。全体血色素に対する糖化血色素の濃度百分率は、下記の式で計算することができ、前記糖化血色素の濃度百分率が、3〜6.5%である場合、正常として判断し、6.5〜20%である場合、糖尿病として判断する。
【0049】
ヒトの赤血球中の血色素(ヘモグロビン)及び糖化血色素を測定するためには、赤血球を溶解させる段階を必要とする。通常の糖化血色素検査のように、赤血球を溶解させる前処理段階を含み、前記赤血球の溶解は、検体前処理段階に使用される液状緩衝液に血球の溶解緩衝液を混合して使用することで、別途の過程が必要なく、接合体との反応と同時に行うことができる。従って、本発明のキットは、現場診断用として活用度が高い。
【0050】
以下、添付された図面を参考して、本発明を詳細に説明すると、次のようである。
図3は、本発明の一実施例による免疫分析装置の分解斜視図であり、
図4は、本発明による凍結乾燥接合体の写真である。また、
図5は、本発明による免疫分析方法の順番である。
図3及び
図5に図示されたように、本発明による免疫分析装置は、免疫クロマトグラフィー分析法で検出が可能な検体の定性及び定量的分析のために、検体内の分析物質(analyte)及び/又は接合体(conjugate)と免疫特異的結合、つまり、抗原-抗体反応で結合する結合体(抗原、抗体又はその他リガンド)が固定された検査線が形成されている多孔性メンブレンを含む1つ以上のメンブレンストリップ、前記メンブレンストリップの上部を覆って検体の投入口及び結果確認窓を備えた上部のケース、前記メンブレンストリップの下部を覆って検体の貯蔵所が備わっている下部のケース及び前記接合体を含む凍結乾燥接合体が入っており、前記検体、液状緩衝液及び接合体を混合して前記検体貯蔵所へ投入する検体前処理装置(
図5)を含む。また、本発明による免疫分析装置は、前記メンブレンストリップ及び前記検体前処理装置のみにより成され得る。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明しようとする。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例>
実施例1:凍結乾燥された接合体-ビードを用いた糖化血色素の検査
A.抗体の固定化ニトロセルロースパッドの製造
糖化血色素に対する単クローン抗体を、0.1Mリン酸緩衝液で1mg/mLの濃度に希釈した後、分注機を用いてニトロセルロースパッド(幅25mm、気孔の大きさ10〜12μm)の検査線の位置に噴射した。また、ラビット免疫グロブリンGをマウスに免疫して得られた抗-ラビット免疫グロブリンG抗体を、0.1M PBSで1mg/mLの濃度で希釈して前記にニトロセルロースパッドの対照線の位置に噴射し、37℃の恒温器で乾燥して固定化させた。前記ニトロセルロースパッドの抗体が固定された部分を除いた残りの余白には、0.05重量%のウシ血清アルブミン、4重量%のスクロース及び0.0625重量%のイオン性界面活性剤を含有したPBSを噴霧して遮断させたあと、30℃の恒温器で60〜120分間乾燥させた。前記製作されたニトロセルロースパッドを接着剤が塗布されたポリプロピレン(polypropylene)プレート支持体に吸着し、吸湿パッド(Millipore、USA)を前記支持体に付着したニトロセルロースパッド上段に1mm重畳するように付着した。
【0052】
B.抗体-ラテックス接合体の凍結乾燥接合体-ビードの製造
次の方法で接合体溶液を製造した。まず、pH6.0の0.1M MES(2−(N−morpholino)ethanesulfonic acid)緩衝液に溶かしたラテックス水溶液1mLに、糖化血色素に対する単クローン抗体とラビット免疫グロブリンGをそれぞれ濃度別に添加した後、37℃恒温器で1時間反応させた。前記製造された接合体溶液を遠心分離機で12,000rpmで1回遠心分離して上清液を除去することで、未反応の抗体を除去した。ここに、1重量%のウシ血清アルブミンを含む緩衝液を添加し24時間反応させることで、反応してないラテックス表面が、ウシ血清アルブミンで遮断されるようにした。前記緩衝液としては、1重量%ウシ血清アルブミン以外に、0.5重量%スクロース、1重量%PEG(polyethylene glycol)、1% PVA(polyvinyl alcohol)などを追加で含む0.1M PBSを使用した。前記製造した接合体を含有する溶液をディスペンサーを用いて20μL体積で一滴ずつ液体窒素に滴下して急速凍結させる過程を繰り返して接合体‐ビードを獲得した後、凍結乾燥機内で20時間乾燥させた。
【0053】
C.免疫分析装置の製造
前記A段階で製造されたストリップを下部のケースに装着した後、上部のケースを覆って、本発明の実施例による免疫分析ストリップデバイス(
図3)を製造した。前記B段階で製造された凍結乾燥接合体-ビード(
図4)をそれぞれ1つずつ前処理装置(
図5)に入れてキャップを閉じた。前記製造された免疫分析ストリップデバイスと前処理装置は、除湿密封して単一パウチで包装して保管した。
<比較例>
比較例1:接合体パッドを用いる従来の分析ストリップの製造方法
A.抗体固定化ニトロセルロースパッドの製造
前記実施例1のA段階と同様の方法を用いて製造した。
【0054】
B.抗体-ラテックス接合体パッドの製造
抗体−ラテックス接合体溶液は、前記実施例1のB段階と同様の方法で製造した。上のように製造した接合体を含有した溶液をディスペンサーを用いて
図1に示した接合パッドであるガラス繊維パッドに10μl/25mm2の密度で塗布した。前記抗体-ラテックス接合体を含有したパッドを液体窒素で急速凍結させた後、凍結乾燥機内で20分間乾燥させ、乾燥されたパッドを7mm×30mmの大きさで切断した。
【0055】
前記製作された接合体パッドを前記支持体に付着したニトロセルロースパッドの下段に1mm重畳するように、接着剤が塗布されたポリプロピレンプレート支持体(backing plate)に付着した。
【0056】
C.免疫分析装置の製造
前記比較例1のA及びB段階で製造された接合体パッドを含んで
図1に示したように重畳して配列した後、下部のケースに装着して上部のケースを覆い、本発明の比較例による免疫分析ストリップディバイス(
図2)を製造した。前記製造したストリップディバイスは、除湿密封して単一のパウチで包装及び保管した。
【0057】
実験例1:接合体パッドと凍結乾燥された接合体-ビードを用いた分析ストリップの糖化血色素測定性能の比較
本発明の実施例1と比較例1で製造された分析ストリップの性能を比較するために、10個の血液検体を利用して各10回ずつ測定した。前記測定に使用された10個の血液検体は、自動化大型装備(VariantII Turbo;Bio−Rad Laboratories,Hervules,CA,USA)で糖化血色素の値を測定して、前記実施例1と比較例1によって製造された分析ストリップを利用して測定した結果と比較した。前記製造された分析ストリップを利用した測定値は、検査線及び対照線などのメンブレン上の特定の領域での発色程度(intensity)を測定できる分光学器を用いて数値化した。分光学器で測定した検査線及び対照線などでの数値からHbA1c%値を計算して表した。その結果を下記の表1に表した。
【0058】
【表1】
【0059】
前記表1に示した結果のように、本発明の実施例1によって製造された分析ストリップを用いて測定した値は、比較例1によって製造された分析ストリップを利用して測定した値と比較して高い再現性(低い分散係数CV%;coefficient of variation)を有することを確認した。また、前記測定された値を自動化大型装備によって測定された値と比較した時、実施例1による分析ストリップを利用して測定した値がより小さい偏差を示した。つまり、本発明による分析ストリップを利用した糖化血色素検査方法を用いる場合、既存の方法より検査の正確度及び再現性が向上されたことを確認した。
【0060】
実施例2:接合体パッドと凍結乾燥された接合体-ビードを用いた免疫測定装置の糖化血色素の定量分析能の比較
本発明の実施例1と比較例1で製造された免疫測定装置の定量分析能を比較するために、糖化血色素を様々な濃度として含む12個の血液検体について測定した。また、実験例1でのように、自動化大型装備(VariantII;Bio−Rad Laboratories,Inc)を用いて前記12個の同一な血液検体の糖化血色素値を測定して濃度に対する相関関係を分析し、その結果を
図6に示した。青いひし形は、本発明の実施例1で製造された免疫測定装置による測定された信号値(intensity)を示した結果であり、赤い四角形は、比較例1で製造された免疫測定装置による測定された信号値(intensity)を数値化した結果である。
図6に示したように、本発明の免疫測定装置によって測定された数値は、使用された糖化ヘモグロビンの濃度と比例し、糖尿病を診断できる領域を含む広い濃度範囲で高い線型性を有することを確認した(R
2=0.996)。一方、従来の免疫測定装置と類似した比較例1によって製造された免疫測定装置によって測定された数値は、全般的に測定値が実際糖化ヘモグロビン濃度に比例する傾向を示してはいるが、線型性が低く(R
2=0.919)、特に糖尿かどうかを判断する基準になる6.5%を含む5〜8%濃度の糖化ヘモグロビンを含む検体に対しては、信頼し難いほど低い線型性を示しことを確認した(R
2=0.747;データは示してない)前記濃度依存性の実験に使用された個別の濃度及び測定値は、下記の表2にまとめた。
【0061】
【表2】
【0062】
実験例3:凍結乾燥接合体の滴体積による糖化血色素の測定値の変化
凍結乾燥接合体構造物の製造時に、均一の粒子の体積が定量分析能と密接な関連があることを確認するために、5〜30μlの範囲内で5μl単位で均一な体積の凍結乾燥接合体構造物を製造して糖化血色素の定量分析を実施した。それぞれ異なる濃度の試料5種をそれぞれ異なる大きさの凍結乾燥接合体に適用して同様の方法で測定した。下記の表3に糖化血色素の数値の値とこれに相応するそれぞれの体積で製造された凍結乾燥接合体を利用して測定した測定値を一緒に表した。また、これを
図7に図示した。
【0063】
【表3】
【0064】
その結果、前記表3及び
図7に示すように、それぞれの均一の大きさの凍結乾燥接合体が、濃度に比例する高い線型の相関関係を有する測定値を示すと同時に、同一濃度の試料では、凍結乾燥接合体構造物の粒子の体積が増加するにつれて測定値が多少増加する傾向を示すことを確認した。このことから、5〜30μL範囲で一定の体積の滴形態として凍結乾燥接合体構造物を利用することが、免疫分析キットの正確性及び再現性を向上させ、定性及び定量分析のいずれも可能であることを確認した。
【0065】
一方、前記結果から他の体積の凍結乾燥接合体が混在する場合、測定される信号の強さは、試料の濃度だけではなく、凍結乾燥接合体の体積によって影響を受けることが分かった。要するに、15μL体積の凍結乾燥接合体を使用して糖化血色素の濃度が11.4%である試料に対して測定した値(1.1231)が、30μl体積の凍結乾燥接合体を使用して糖化血色素濃度が9.5%である試料に対して測定した値(1.1231)と同様の値を示した。言い換えれば、お互い異なる体積の凍結乾燥接合体が混在した場合、測定した値が、ある濃度の試料に対するものであるか不明確であり、正確性を担保できないことを類推することができる。これは、均一体積で製造されてない凍結乾燥接合体を利用する場合、定量分析結果の正確性及び再現性が低くなり得ることを暗示する。