【実施例】
【0038】
一般合成
アミノ酸誘導体は民間提供会社(Aapptec、EMD MilliporeおよびPeptides International)から購入した。樹脂は民間供給業者(PCAS BioMatrix Inc.およびEMD Millipore)から購入した。追加の試薬、化学品および溶媒は全てSigma−AldrichおよびVWRから購入した。
【0039】
本明細書に記載されている化合物は、固相ペプチド化学の標準的方法によって、Fmoc法を利用して合成した。ペプチドは、手動で、Tribute Peptide Synthesizer(Protein Technologies Inc.,Tucson,Arizona)を用いて自動的に、または手動および自動合成の組合せによって組み立てた。
【0040】
分取用HPLCは、Waters Prep LC SystemでPrepPackカートリッジDelta−Pack C18、300Å、15μm、47×300mmを用いて100mL/minの流量で、および/またはPhenomenex Luna C18カラム、100Å、5μm、30×100mmで40mL/minの流量で行った。分析用逆相HPLCは、Agilent Technologies 1200rr Series液体クロマトグラフでAgilent Zorbax C18カラム、1.8μm、4.6×110mmを用いて1.5mL/minの流量で行った。最終化合物の分析は、Agilent Technologies 1200 Seriesクロマトグラフで逆相HPLCによりPhenomenex Gemini 110Å C18カラム、3μm、2×150mmで0.3mL/minの流量で行った。質量スペクトルは、MAT Finningan LCQエレクトロスプレー質量分析計で記録した。他に断らない限り、全ての反応は室温で行った。以下の標準的参考文献は、全般的実験セットアップ、ならびに必要とされる出発材料および試薬の入手可能性に関するさらなる指針を提供する:Kates,S.A.,Albericio,F.,Eds.,Solid Phase Synthesis:A Practical Guide,Marcel Dekker,New York,Basel,2000;Greene,T.W.,Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley Sons Inc.,2nd Edition,1991;Stewart,J.M.,Young,J.D.,Solid Phase Synthesis,Pierce Chemical Company,1984;Bisello,et al.,J.Biol.Chem.1998,273,22498−22505;Merrifield,J.Am.Chem.Soc.1963,85,2149−2154;およびChang and White P.D.,‘Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:a Practical Approach’,Oxford University Press,Oxford,2000。
【0041】
以下の保護基を利用して所与のアミノ酸側鎖官能基を保護した:Argに対してPbf(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル);Tyrに対してtBu(t−ブチル);Cys、GlnおよびAsnに対してTrt(トリチル)。
【0042】
Fmocで保護されたアミノ酸のTribute合成機でのカップリングはDMF中のHBTU/NMMにより仲介したが、システイン誘導体はDMF中のDIC/HOBtでカップリングさせた。合成中、5倍過剰の活性化されたFmoc保護アミノ酸による30〜60分の単一のサイクルを使用した。Fmoc保護基の除去はUVでモニターした。DMF中20%ピペリジンによるペプチド樹脂の複数の(必要に応じて10回まで)2分洗浄を行った。
【0043】
DMF中のDIC/HOBtで仲介されるカップリングを全てのアミノ酸に手動モードで使用した。合成中3倍過剰の活性化されたFmoc保護アミノ酸による少なくとも2時間の単一サイクルを使用した。カップリングの完結はニンヒドリン(Kaiser)試験で評価した。Fmoc保護基の除去はDMF中の20%ピペリジンを用いたペプチド樹脂の単一の30分洗浄で達成した。
【0044】
ペプチド合成の完了時、ペプチド樹脂をDCMで洗浄し、真空中で乾燥した。樹脂を96:2:2(v/v/v)のTFA/H
2O/TISで2h処理して側鎖保護基を除去し、同時に樹脂からペプチドを開裂させた。ペプチドをろ過し、ジエチルエーテルで沈殿させ、デカントした。ジスルフィド架橋を有するペプチドを得るには、沈殿を純なTFAに溶解させ、続いて溶液を水中10%アセトニトリルに注ぎ入れた。場合によっては追加の量のアセトニトリルを加えて基質を可溶化した。線状ペプチドを0.1MのI
2/MeOHで酸化した。黄色の色が消えずに残るようになるまで酸化剤溶液を滴下して加えた。過剰のヨウ素を固体アスコルビン酸で還元した。次に濃アンモニアでpHを約4に調節した。得られた溶液を直接HPLC prepカラムに載せ、成分B(下記表参照)の勾配で溶出した。
【0045】
アミド結合の形成によりペプチドを環化させるには、粗製線状ペプチドをDMFに溶解させ、DMF中のHBTUの溶液も調製した。ペプチド溶液と活性化剤溶液を、DIPEAを含有するある容積の激しく撹拌されているDMFに交互に加えた。純なDIPEAの添加によりpHを9〜10に維持した。反応をHPLCでモニターしたところ、通例活性化剤およびペプチド溶液の最後の部分を加えた後は基質ピークが検出されなかった。反応混合物を0.1%AcOHで希釈し、得られた溶液を直接HPLC prepカラムに載せ、成分Bの勾配で溶出した。
【0046】
緩衝剤系Tを用いて各々の粗製ペプチドを精製した。逆相分析用HPLCにより決定される純度が93%を超える画分をプールし、再度カラムに載せ、緩衝剤Tで溶出してトリフルオロ酢酸塩を用意した。場合によっては緩衝剤系Cによる追加の精製を実施した。酢酸塩を得るために緩衝剤TまたはCによる試行の画分を再度カラムに載せ、カラムを5容積の0.1M酢酸アンモニウムで洗浄した。最終生成物を緩衝剤Aで溶出した。画分をプールし、凍結乾燥した。
【0047】
【表5】
【0048】
調製された化合物は通例少なくとも約95%純粋品であることが判明した。
【0049】
実施例1−配列番号:21
7.8g(6.9mmol)のH−Pro−2−クロロトリチルAM樹脂(EMD Millipore、カタログ番号856057、0.88mmol/g)から出発して1−7断片を手動で組み立てた。DMF中でDIC/HOBtで仲介されるカップリングを使用した。合成中3倍過剰の活性化されたFmoc保護アミノ酸を用いる少なくとも2時間の単一サイクルを使用した。カップリングの完結はニンヒドリン試験で評価した。Fmoc保護基の除去はDMF中20%ピペリジンによるペプチド樹脂の単一の30minの洗浄で達成された。次のアミノ酸誘導体を使用して、樹脂に結合したペプチドの残基1〜7を組み立てた:Fmoc−Cys((CH
2)
3C(O)OtBu)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Thi−OHおよびBoc−Cpa−OH。1−7ペプチド断片を組み立てた後、樹脂をDCMで十分に洗浄し、DCM/HFIPの7:3(v/v)混合物で処理した(2×1h、各30mL)。その後溶媒を蒸発させ、残渣をエチルエーテルで沈殿させ、ろ過し、真空中で乾燥した。5.79g(4.63mmol、67%)の粗製の保護された線状ペプチドを得た。(この生成物の残りは本明細書に記載されている他の化合物の合成に使用した。)
【0050】
H−D−Arg−NEt
2×2TFA。
2.81g(5.4mmol)のBoc−D−Arg(Pbf)−OH(Chem Impex、カタログ#05282)、1.95mL(11.2mmol)のDIPEAおよび2.13g(5.6mmol)のHBTUを10mLのDMFに溶解した。その後0.62mL(6mmol)のジエチルアミンを溶液に加えた。5min後基質は分析用HPLCで検出されなかった。反応混合物を500mLの水に注ぎ入れ、沈殿を遠心分離によって分離し、真空中で乾燥した。残渣を20mLのTFA/TIS/H
2O(96/2/2、v/v/v)で1h処理し、溶媒を蒸発させた。残渣をエチルエーテルで処理し、デカントした。1.65g(3.6mmol、67%)の半固体誘導体を得、これを精製することなく次のステップで使用した。
【0051】
H−D−Arg−NEt
2とのカップリング。
2.3g(約1.86mmol)の線状の保護されたペプチドおよび0.76g(2mmol)のHBTUを、0.73mL(4.2mmol)のDIPEAを含有する10mLのDMFに溶解させた。その後1mLのDMF中の0.93g(2.05mmol)のH−D−Arg(Pbf)−OH×2TFAを反応混合物に加えた。5min後基質はHPLCで検出されなかった。生成物を1Lの水で沈殿させ、ろ過して除き、真空中で乾燥した。2.6g(1.78mmol、96%)の粗製の保護された線状ペプチドを得た。完全に保護されたペプチドを20mLのTFA/TIS/H
2O(96/2/2、v/v/v)で1h処理し、溶媒を蒸発させた。保護されてない線状ペプチドをエチルエーテルで沈殿させ、凍結乾燥した。収量1.82g(1.55mmol、83%)。
【0052】
線状ペプチドの全量を50mLのDMFに溶解させた。10mLのDMF中の0.59g(約1.55mmol)のHBTUの溶液も調製した。ペプチド溶液および活性化剤溶液を、それぞれ5mLおよび1mLずつの10の部分に分けて、200μLのDIPEAを含有する50mLの激しく撹拌されているDMFに交互に加えた。純なDIPEAの添加によりpHを9〜10に維持した。活性化剤およびペプチド溶液の最後の部分を加えた後HPLCで基質ピークは検出されなかった。反応混合物を0.1%AcOHで1Lに希釈した。得られた溶液を直接HPLC prepカラムに載せ、成分B(上記表参照)の勾配で溶出させた緩衝剤系Tで精製した。逆相分析用HPLCで決定される純度が93%を超える画分をプールし、カラムに再度載せた。カラムを5容積の0.1MAcONH
4で洗浄し、その後化合物を緩衝剤Cで溶出して酢酸塩を用意した。画分をプールし、凍結乾燥した。703.1mg(0.60mmol、89.6%ペプチド含量に基づいて全体で22%)の白色のペプチド粉末を得た。生成物の純度は分析用HPLCで99.7%と決定され、観測されたM+Hは1045.6であった(計算M+H=1045.5)。
【0053】
実施例2−配列番号:10
2.32g(約1.8mmol)の、配列番号:21の合成で調製した保護された線状ペプチドを7mLのDMFに溶解させ、0.63mL(3.6mmol、2当量)のNMMを、次いで0.76g(2mmol、1.1当量)のHBTUを加えた。別のバイアルで、0.64g(2.8mmol、1.5当量)の硫酸アグマチンを、0.49mL(2.8mmol)のDIPEAを含有する7mLのDMFに懸濁させた。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BTA、Sigma−Aldrich、カタログ#128910)を、時々ボルテックス/超音波処理される懸濁液に加えた。懸濁液に4当量のBTAを加えた後透明な溶液が得られた。2つの溶液を合わせたところ、5min後HPLCにより基質ペプチドは検出されなかった。生成物を1Lの水で沈殿させ、ろ過して除き、真空中で乾燥した。得られた粉末を50mLのTFA/TIS/H
2Oの96/2/2(v/v/v)混合物で1.5時間処理した。溶媒を蒸発させ、線状ペプチドをエチルエーテルで沈殿させ、水/アセトニトリルで再構成し、凍結乾燥した。
【0054】
前のステップで得られたペプチドの全量(2.13g、約2mmol)を50mLのDMFに溶解させた。10mLのDMF中の0.76g(2mmol)のHBTUの溶液も調製した。ペプチド溶液および活性化剤溶液をそれぞれ2.5mLおよび0.5mLずつの10の部分に分けて、400μLのDIPEAを含有する50mLの激しく撹拌されているDMFに交互に加えた。純なDIPEAの添加によりpHを9〜10に維持した。活性化剤およびペプチド溶液の最後の部分を加えた後基質ピークは検出されなかった。反応混合物を0.1%AcOHで1Lに希釈し、得られた溶液を直接HPLC prepカラムに載せ、成分B(上記表参照)の勾配で溶出される緩衝剤系Tで精製した。逆相分析用HPLCで決定される純度が93%を超える画分をプールし、カラムに再度載せた。カラムを5容積の0.1MのAcONH
4で洗浄し、その後化合物を緩衝剤Cで溶出して酢酸塩を用意した。画分をプールし、凍結乾燥した。656.7mg(0.62mmol、89.5%のペプチド含量に基づいて23%の全収率)の白色のペプチド粉末を得た。生成物の純度は分析用HPLCにより100.0%と決定され、観測されたM+Hは946.6であった(計算M+Hは946.4であった)。
【0055】
実施例3−配列番号:5
1g(約1mmol)のFMPB AM樹脂(EMD Millipore、カタログ#855028)を15mlのDCE/TMOFの1:1混合物に膨潤させた。この樹脂懸濁液に、イソブチルアミン(1.5mL、15mmol)を、続いて3.2gの固体トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。懸濁液を一晩振盪した。樹脂をMeOH、DMFおよびDCMで洗浄し、その後DCM中でFmoc−D−Arg(Pbf)−OH/DIC(4当量)によりアシル化した。樹脂をDMFで洗浄し、クロラニル試験でアシル化の完結を試験した(陰性)。樹脂を3つの等しい部分に分割し、合成を0.33mmolスケールでTribute Synthesizerにより続けた。5倍過剰のFmocで保護されたアミノ酸を用い、DMF中でHBTU/NMMにより、または(Cysの場合)DIC/HOBtにより仲介される単一のカップリングを使用した。Fmoc保護基は、DMF中の20%ピペリジンによる幾つかの連続した2minの洗浄で除去した。次のアミノ酸誘導体を自動合成に使用した:Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Cys((CH
2)
3C(O)OtBu)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Thi−OHおよびBoc−Cpa−OH。全ペプチド配列を組み立てた後ペプチドを20mLの96:2:2(v/v/v)のTFA/H
2O/TISで2hかけて樹脂から開裂した。線状ペプチドを、200μLのDIPEAを含有する40mLのDMFに溶解させた。5mLのDMF中の152mg(約0.4mmol)のHBTUの溶液も調製した。ペプチド溶液および活性化剤溶液をそれぞれ4mLおよび0.5mLずつ10の部分に分けて40mLの激しく撹拌されているDMFに交互に加えた。純なDIPEAの添加によりpHを9〜10に維持した。活性化剤溶液の最後の部分を加えた後基質ピークはHPLCで検出されなかった。反応混合物を0.1%AcOHで1Lに希釈した。得られた溶液を直接HPLC prepカラムに載せた。緩衝剤Tによる3つの連続した試行で化合物を精製した。
【0056】
97%の純度を超える画分をプールし、凍結乾燥した。49.0mg(0.042mmol、90%ペプチド含量を仮定して全体で12%)の白色のペプチド粉末を得た。この生成物の純度は分析用HPLCで99.5%と決定され、観測されたM+Hは1045.6であった(計算M+H=1045.5)。
【0057】
実施例4−配列番号:9
0.37g(約0.3mmol)の1,4−ジアミノブタン−2−クロロトリチル樹脂(EMD Millipore、カタログ#856085)を10mLのDMFに膨潤させ、樹脂を自動合成反応容器に入れた。ペプチドの組み立てはTribute Synthesizerで行った。5倍過剰のFmocで保護されたアミノ酸を用い、DMF中でHBTU/NMMにより、または(Cysの場合)DIC/HOBtにより仲介される単一のカップリングを使用した。Fmoc保護基はDMF中の20%ピペリジンによる幾つかの連続した2minの洗浄で除去した。次のアミノ酸誘導体を自動合成に用いた:Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Cys((CH
2)
3C(O)OtBu)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Thi−OHおよびBoc−Tyr(tBu)−OH。全ペプチド配列を組み立てた後、30mLの3:7(v/v)のHFIP/DCMで2hかけてペプチドを樹脂から開裂させた。樹脂をろ過し、溶媒を蒸発させた。線状の保護されたペプチドは無水のエチルエーテルで沈殿させた。沈殿をデカントし、20mLのアセトニトリルに懸濁させた。その後、111mg(0.4mmol)のZ(2−Cl)−OSuおよび0.136mL(0.8mmol)のDIPEAを懸濁液に加えた。基質を溶解させた後、溶媒を蒸発させ、残渣を20mLのTFA/TIS/H
2Oの95/2.5/2.5混合物で1.5h処理した。次いで、TFAを蒸発させ、残渣をジエチルエーテルで沈殿させた。粗製の線状ペプチドを、200μLのDIPEAを含有する100mLのDMFに溶解させた。その後、5mLのDMF中の120mg(0.31mmol)のHBTUの溶液を激しく撹拌されている反応混合物に加えた。30min後、反応混合物を1Lの0.1%AcOHで希釈し、得られた溶液をprep HPLCカラムに載せた。環状ペプチドは速く(約3%MeCN/min)緩衝剤系T中に溶出させた。分析用HPLCで97%の純度を超える画分をプールし、凍結乾燥した。凍結乾燥物を5mLのTMSBr/チオアニソール/TFA混合物(1/1/6、v/v/v)で1h0℃において処理した。TFAを蒸発させ、ペプチドをエチルエーテルで沈殿させた。最終の生成物は緩衝剤Tによる単一の試行により精製した。
【0058】
97%の純度を超える画分をプールし、凍結乾燥した。77.5mg(0.079mmol、90%のペプチド含量を仮定して全体で26%)の白色のペプチド粉末を得た。生成物の純度は分析用HPLCで99.6%と決定され、観測されたM+Hは886.4であった(計算M+H=886.4)。
【0059】
実施例5−配列番号:17
0.43g(約0.3mmol)のH−Arg(Pbf)−O−2−クロロトリチル樹脂(EMD Millipore、カタログ#856067)を10mLのDMFに膨潤させ、樹脂を自動合成反応容器に入れた。ペプチドの組み立てはTribute Synthesizerで行った。5倍過剰のFmocで保護されたアミノ酸を用い、DMF中でHBTU/NMMにより、またはDIC/HOBtにより(Cysの場合)仲介される単一のカップリングを使用した。Fmoc保護基はDMF中の20%ピペリジンによる幾つかの連続した2minの洗浄で除去した。次のアミノ酸誘導体を自動合成に使用した:Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Cys((CH
2)
3C(O)OtBu)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Val−OHおよびFmoc−Thi−OH。3−8のペプチド配列が組み立てられた後、2倍過剰の試薬と共にDIC/HOBt方法を用いてFmoc−Phe(4−Et)−OHを手動でカップリングさせた。次に、樹脂を20%PIP/DMFで30min処理し、N−末端アミノ官能基をDMF中のBoc
2Oでアシル化することにより、Fmoc基をBoc基で置換した。30mLの3:7(v/v)のHFIP/DCMを2h用いて線状ペプチドを樹脂から開裂した。樹脂をろ過し、溶媒を蒸発させた。線状の保護されたペプチドを無水のエチルエーテルで沈殿させた。沈殿をデカントし、真空中で乾燥した。450mgの粗製の保護されたペプチドが得られた。ペプチドの全量(約0.3mmol)を、0.5mLのDMFと61μL(0.45mmol)のNMMを含有する10mLの1,2−ジクロロエタンに溶解させた。溶液を氷浴上で0℃に冷却し、61μL(0.45mmol)のクロロギ酸イソブチルを加えた。反応混合物を0℃で10min磁気により撹拌した。5mLの水中の160mg(4.5mmol)の水素化ホウ素ナトリウムの溶液を一度に加えた。反応を200mLの水で希釈し、生成物を遠心分離により分離し、真空中で乾燥した。その後生成物を20mLのTFA/TIS/H
2Oの95/2.5/2.5混合物で1.5h処理した。次いでTFAを蒸発させ、残渣をジエチルエーテルで沈殿させた。粗製の線状ペプチドを、200μLのDIPEAを含有する80mLのDMFに溶解させた。続いて、5mLのDMF中の61mg(0.15mmol)のHBTUの溶液を激しく撹拌されている反応混合物に加えた。30min後反応混合物を1Lの0.1%AcOHで希釈し、得られた溶液をprep HPLCカラム上に載せた。環状ペプチドを緩衝剤Tによる2つの連続した試行によって精製した。
【0060】
97%の純度を超える画分をプールし、凍結乾燥した。41.7mg(0.039mmol、90%のペプチド含量を仮定して全体で13%)の白色のペプチド粉末を得た。生成物の純度は分析用HPLCで95.1%と決定され、観測されたM+Hは970.6であった(計算M+H=970.5)。
【0061】
実験(生物試験)
インビトロ受容体アッセイ
V
2受容体活性
ヒトV
2受容体(hV
2R)に対する化合物のアゴニスト活性を、ホタルルシフェラーゼの発現を調節する細胞内カルシウム応答性プロモーターエレメントを含有するレポーターDNAと共にhV
2受容体発現DNAをHEK−293(ヒト胚性腎臓293セルライン)細胞内に一過性にトランスフェクトすることにより、転写レポーター遺伝子アッセイで決定した。このアッセイに関するさらなる指針については、Boss、V.、Talpade、D.J.、Murphy、T.J.J.Biol.Chem.1996、May 3;271(18)、10429−10432参照。細胞を用量毎に10倍に希釈した連続希釈の化合物に5h曝した後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性を測定し、非線形回帰によって化合物の効能およびEC
50値を決定した。デスモプレシン(dDAVP)を各実験の内部標準として使用した。試験した化合物に対する結果を表3に示す。
【0062】
V
1b受容体活性
選択性を決定するために、ヒトV
1b受容体(hV
1bR)を発現するルシフェラーゼに基づく転写レポーター遺伝子アッセイで化合物を試験した。hV
1bRに対する化合物のアゴニスト活性を、hV
1bRを発現するように安定してトランスフェクトされたFlp−In(商標)293セルライン(HEK−flpin)において転写レポーター遺伝子アッセイで決定した。これらの細胞はNFAT応答性エレメント−ルシフェラーゼ(NFAT−Luc)レポーターで一過性にトランスフェクトされる。細胞を用量毎に10倍に希釈された連続希釈の化合物に5時間曝した後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性を測定し、化合物の効能およびEC
50値を非線形回帰により決定した。AVPを各実験で内部標準として使用した。試験した化合物に対する結果を表3に示す。
【0063】
腎クリアランス
デスモプレシンは主として腎臓により身体から排泄される(「腎クリアランス」)。本発明の化合物は非腎性メカニズムを介するより高い程度のクリアランスを有する。薬物動態実験を腎摘出され偽手術されたラットで行った。非腎性クリアランス(CLnr)は腎摘出されたラットで決定し、総クリアランスは偽手術されたラット(CLsham)で決定した。非腎性クリアランス%は(CLnr/CLsham)×100で計算した。
【0064】
薬物動態研究のために、成体雄Sprague Dawleyラットを、頸静脈(化合物投与用)と頸動脈(採血用)を介してカテーテル処置した。複数の化合物を含有する溶液(カセット投与)を頸静脈カテーテルに注入した(各化合物1ml当たり0.1mgFB、0.3ml/動物;名目用量0.1mgFB/kg/化合物)。投与後2、6、10、15、20、30、45、60、90および120分で自動化血液サンプル採取系、Instech Laboratories Automated Blood Sampling Unit第二世代(ABS2)を用いて血液サンプルを採取した。血液凝固防止剤としてK2EDTAを用いて全血から血漿を調製した。サンプルのその後の生物分析は、化合物抽出および標準のLC/MS法を用いる血漿濃度測定を含んでいた。ピーク面積と検定曲線からアナライト濃度を計算した。WINNONLIN(商標)v6.3ソフトウェア(Pharsight Corporation)を用いた非コンパートメント解析法によって各動物について化合物濃度−時間図の最良適合によりPKパラメーターを得た。
【0065】
抗利尿作用
化合物の抗利尿活性をラットモデルで試験した。簡単にいうと、カテーテル処置した正常血液量のSprague Dawleyラットを代謝ケージに入れた。各代謝ケージを、尿採集バイアルの上に配置した力変換器による自然尿量の連続測定用にセットし、NOTOCORD(商標)ソフトウェアを用いて尿量の時間経過をモニターし記録した。ラットに、シリンジポンプとスイベル/テザー法を用いて試験化合物またはビヒクルを3時間静脈内注入した。尿量のデータを化合物の投与中(0〜3時間)採取し、投与後5時間にわたって採取した。場合によっては、尿オスモル濃度も決定した。本発明の化合物は抗利尿活性を示した。
【0066】
医薬組成物
また、本明細書に定義されている式(I)の化合物の医薬としての使用も提供される。さらに、医薬として許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に、活性成分として本明細書に定義されている式(I)の化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0067】
医薬組成物は、例えば経口および経鼻を始めとする様々な投与モードに適合させることができる。したがって、組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、微小粒子剤、顆粒剤、シロップ剤、懸濁剤および溶液剤の形態であり得る。
【0068】
医薬組成物は所望により、例えば、崩壊剤、結合剤、滑剤、香料、保存剤、着色料およびこれらの任意の混合物から選択される少なくとも1種のさらなる添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤およびその他の添加剤の例は、‘Handbook of Pharmaceutical Excipients’;Ed.A.H.Kibbe、3
rd Ed.、American Pharmaceutical Association、USA and Pharmaceutical Press UK、2000に見られる。
【0069】
治療の方法
さらなる態様において、本発明は、上に概説した化合物の、尿崩症、一次性夜尿症および夜間頻尿の治療用の薬剤の製造のための使用を提供する。さらに、尿崩症、一次性夜尿症および夜間頻尿を治療する方法が提供される。本明細書で使用する「治療」とは、本発明の化合物が化合物が適切な用量で投与されるときの症状の軽減、疾患の発症の延期および/または疾患の治癒を意味する。
【0070】
本発明による化合物の典型的な投与量は広い範囲内で変化し、各患者の個人的ニーズおよび投与経路のような様々な要因に依存する。投与量は一日一回または一日一回より頻繁に、例えば断続的に投与することができる。当業界で通常の知識を有する医師は手元の状況に対して投与量を最適化することができる。
【0071】
本明細書で引用した全ての刊行物および特許出願は、各々の個々の刊行物または特許出願が参照によって本明細書に援用するために明確にかつ個々に示されているかのように、援用により本明細書に組み込まれている。
【0072】
以上、理解を容易にする目的で、例示および実例によって本発明を幾らか詳細に説明して来たが、本発明の教示に照らして当業者には直ぐに明らかなように、添付の特許請求の範囲の思想または範囲から逸脱することなく一定の変更および修正をなすことができる。