(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様にしたがって、本発明は、ポリプロピレン組成物であって、
(a)プロピレン単独重合体またはプロピレンの共重合体である、成分(a)〜(c)の総重量に対して、68〜76重量%の第1の重合体成分として、前記プロピレンの共重合体が1.2重量%以下のエチレン由来ユニットを含む第1の重合体成分と、
(b)72〜86重量%のエチレン由来ユニットおよび14〜28重量%のプロピレン由来ユニットを含む共重合体である、成分(a)〜(c)の総重量に対して、24〜32重量%の第2の重合体成分と、
(c)造核剤と、を含み、
ここで、前記ポリプロピレン組成物は、室温で1.3dl/g以下のキシレン可溶性画分(XSIV)の固有粘度と、230℃および2.16kgで測定された30〜70g/10分のメルトフローレート(MFR)とを有するポリプロピレン組成物を提供する。
【0004】
一般に、造核剤は、成分(a)〜(c)の総重量に対して0.01〜2重量%の量で本明細書に開示されたポリプロピレン組成物中に存在する。一部の実施形態において、造核剤は、成分(a)〜(c)の総重量に対して、0.05〜1重量%の量で存在する。より具体的な実施形態において、造核剤は、成分(a)〜(c)の総重量に対して、0.1〜0.5重量%の量で存在する。
【0005】
本明細書に開示された組成物は、特に、耐衝撃性(穿刺耐性点で)、および透明性(ヘイズ点で)を含み、特性などの価値ある組み合わせを提供する。
【0006】
本明細書に開示されたポリプロピレン組成物は、逐次重合によって製造され得る。ポリプロピレン組成物を製造するために使用される逐次重合工程は、少なくとも2つの逐次重合段階を含む。好ましくは、第1の重合体成分(a)は、第2の重合体成分(b)の前に製造される。第1の重合段階で、第1の重合体成分(a)が形成され、後続重合段階で、第2の重合体成分(b)が形成される。第2および存在する場合に、後続段階は、先行段階で形成された重合体、および使用された触媒の存在下で行われる。一般に、触媒は、この活性がすべての後続段階の間に依然として活性があるため、第1の段階のみで添加される。
【0007】
本発明の他の態様は、本明細書に開示されたポリプロピレン組成物の製造方法であって、前記方法が、それぞれの後続重合が直前の先行重合反応で形成された重合体性物質の存在下で行われる、少なくとも2つの逐次重合段階を含み、ここで、重合体成分(a)へのプロピレンの重合段階が少なくとも1つの段階で行われた後、重合体成分(b)へのプロピレンとエチレンの混合物の少なくとも1つの共重合段階が行われる方法を提供する。前記重合段階は、一般に、立体特異的チーグラー・ナッタ触媒の存在下で行われる。
【0008】
更なる態様によれば、本発明は、プロピレン重合体組成物から得られる成形品であって、前記プロピレン重合体組成物が、
(a)プロピレン単独重合体またはプロピレンの共重合体である、成分(a)〜(c)の総重量に対して、68〜76重量%の第1の重合体成分として、前記プロピレンの共重合体が1.2重量%以下のエチレン由来ユニットを含む第1の重合体成分と、
(b)72〜86重量%のエチレン由来ユニットと、14〜28重量%のプロピレン由来ユニットとを含む共重合体である、成分(a)〜(c)の総重量に対して、24〜32重量%の第2の重合体成分と、
(c)造核剤と、を含み、
ここで、前記組成物は、室温で1.3dl/g以下のキシレン可溶性画分(XSIV)の固有粘度と、230℃および2.16kgで測定された30〜70g/10分のメルトフローレート(MFR)とを有する、成形品を提供する。
【0009】
さらに他の目的に従って、本発明は、プロピレン重合体組成物から得られる容器であって、前記プロピレン重合体組成物が、
(a)プロピレン単独重合体またはプロピレンの共重合体である、成分(a)〜(c)の総重量に対して、68〜76重量%の第1の重合体成分として、前記プロピレンの共重合体が1.2重量%以下のエチレン由来ユニットを含む第1の重合体成分と、
(b)72〜86重量%のエチレン由来ユニットと、14〜28重量%のプロピレン由来ユニットとを含む共重合体である、成分(a)〜(c)の総重量に対して、24〜32重量%の第2の重合体成分と、
(c)造核剤と、を含み、
ここで、前記組成物は、室温で1.3dl/g以下のキシレン可溶性画分(XSIV)の固有粘度と、230℃および2.16kgで測定された30〜70g/10分のメルトフローレート(MFR)とを有する容器を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の重合体成分(a)は、好ましくは成分(a)〜(c)の総重量に対して、68〜75重量%の量で存在する。
【0011】
第2の重合体成分(b)は、好ましくは成分(a)〜(c)の総重量に対して、25〜32重量%の量で存在する。
【0012】
造核剤は、この物理的および/または光学的特性を向上させるためにポリプロピレンに添加される。
【0013】
本発明の異なる目的に使用され得る造核剤の例は、次の通りである。
安息香酸ナトリウム、
タルク、
1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール、
1,3:2,4−ビス−(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、
1,3:2,4−ビス−(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、
1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトル、
1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)ベンゼン、および
下記化学式のリン酸エステル。
【0015】
前記の式において、
Mはアルミニウムであり、Xはヒドロキシ基であり、mは3であり、nは1または2であり、これは、アデカパルマロ−ルによって商標名ADK STAB NA−21およびADK STAB NA−71で販売される。これらの結晶造核剤は、単独でまたは2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0016】
本明細書に開示された組成物は、室温で、好ましくは0.1〜1.3dl/g、より好ましくは0.5〜1.3dl/g、さらにより好ましくは0.5〜1.2dl/gのキシレン可溶性画分(XSIV)の固有粘度を有する。
【0017】
本明細書に開示された組成物は、230℃および2.16kgで測定された、好ましくは35〜60g/10分、より好ましくは40〜50g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0018】
重合体成分(a)がプロピレンの共重合体である場合、これは、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下のエチレン由来ユニットを含む。
【0019】
重合段階などは、液相、気相または液体−気相で起こり得る。好ましくは、重合体成分(a)の重合は、液体単量体中で(例えば、希釈剤として液体プロピレンを使用して)行われる一方、共重合体成分(b)の共重合段階は、気相中で行われる。代替的に、すべての逐次重合段階は、気相中で行われることができる。
【0020】
重合体成分(a)の製造および共重合体成分(b)の製造のための重合段階における反応温度は、同じでも異なっていてもよく、好ましくは40〜100℃である。より好ましくは、反応温度は、重合体成分(a)の製造の場合には、50〜90℃の範囲であり、重合体成分(b)の製造の場合には、70〜100℃の範囲である。
【0021】
液体単量体中で行われる場合、重合体成分(a)を製造するための重合段階の圧力は、使用された作動温度で液体プロピレンの蒸気圧と競合する圧力であり、これは、触媒混合物を供給するために使用された少量の不活性希釈剤の蒸気圧によって、任意の単量体の過圧によって、および分子量調節剤として使用された水素によって変更され得る。
【0022】
重合圧力は、液相で行われた場合、好ましくは33〜45barの範囲であり、気相で行われた場合、5〜30barの範囲である。段階などに対する滞留時間は、重合体成分(a)と(b)との間の所望の比に依存し、一般に、15分〜8時間の範囲であり得る。連鎖移動剤(例えば、水素またはZnEthyl
2)のような当該技術分野において周知の通常の分子量調節剤が使用され得る。
【0023】
本明細書に開示された組成物は、また、先に説明されたものと同一の触媒、および実質的に同一の重合条件下で作動させることによって、前記成分(a)および(b)を別々に製造した後(完全な逐次重合工程が行われないが、前記成分などが別々の重合段階で製造される場合は除外する)、前記成分などを溶融状態または軟化された状態で機械的にブレンドすることによって得ることができる。スクリュー押出機、特に、ツインスクリュー押出機のような通常的な混合装置が使用され得る。
【0024】
すべての重合段階は、トリアルキルアルミニウム化合物、任意に電子供与体、および無水塩化マグネシウム上に支持されたTiのハロゲン化物またはハロゲン−アルコラートおよび電子供与体化合物を含む固体触媒成分を含む触媒の存在下で適切に行われる。前記言及された特性などを有する触媒などは、特許文献においてよく知られており、米国特許第4,399,054号およびヨーロッパ特許第45977号に記載された触媒が特に有利である。他の例などは、米国特許第4,472,524号に記載されている。
【0025】
好ましくは、重合触媒は、
(i)Mg、Ti、ハロゲン、および電子供与体(内部供与体)を含む固体触媒成分と、
(ii)アルミニウム−アルキル化合物(共触媒)と、
(iii)任意に、しかし、好ましくは電子供与体化合物(外部供与体)と、を含む立体特異的チーグラー・ナッタ触媒である。
【0026】
内部供与体は、ベンゾエート、マロネート、フタレートおよび特定のスクシネートのようなモノまたはジカルボキシル有機酸のエステルから適切に選択される。これらは、例えば、米国特許第4,522,930号、ヨーロッパ特許第45977号および国際特許公開WO00/63261号およびWO01/57099号に記載されている。フタル酸エステル、具体的に、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレートおよびベンジルブチルフタレートのようなアルキルフタレート、およびコハク酸エステルが特に適している。
【0027】
好ましい内部供与体は、下記の化学式(I)のスクシネートタイプの化合物である。
【0029】
前記の式において、ラジカルR
1およびR
2は、互いに同一であるかまたは異なっており、任意にヘテロ原子を含むC1−C20直鎖または分枝アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、ラジカルR
3〜R
6は、互いに同一であるかまたは異なっており、水素または任意にヘテロ原子を含むC1−C20直鎖または分枝アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基であり、前記R
3〜R
6ラジカルうちの任意の2つは、共に連結されて環を形成することができる。
【0030】
共触媒として使用されるアルミニウムアルキル化合物は、Al−トリエチル、Al−トリイソブチルおよびAl−トリ−n−ブチルなどのAl−トリアルキル、およびOまたはN原子、またはSO
4またはSO
3基によって互いに結合された2つ以上のAl原子を含む直鎖または環状Al−アルキル化合物を含む。Al−アルキル化合物は、一般に、Al/Ti比が1〜1000になるような量で使用される。
【0031】
外部供与体は、同一のタイプであり得るか、または化学式(I)のスクシネートと異なることができる。好適な外部電子供与体化合物は、ケイ素化合物、エーテル、エステル、例えば、フタレート、ベンゾエート、また化学式(I)の化合物と異なる構造を有するスクシネート、アミン、ヘテロ環化合物、および特に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ケトン、および下記の化学式(II)の1,3−ジエーテルを含む。
【0033】
前記の式において、R
IおよびR
IIは、同一であるかまたは異なり、C1−C18アルキル、C3−C18シクロアルキルまたはC7−C18アリールラジカルであり、R
IIIおよびR
IVは、同一であるかまたは異なり、C1−C4アルキルラジカルであるか、または前記1,3−ジエーテルは、位置2の炭素原子が5、6または7個の炭素原子から成され、2または3個の不飽和を含む環式または多環式構造に属する1,3−ジエーテルである。このようなタイプのエーテルは、ヨーロッパ特許出願第361493号および第728769号に記載されている。
【0034】
外部供与体として使用され得る好ましい電子供与体化合物は、少なくとも一つのSi−OR結合を含む芳香族ケイ素化合物を含み、ここで、Rは炭化水素ラジカルである。特に好ましい部類の外部供与体化合物は、化学式(R
5)
a(R
6)
bSi(OR
7)
cのケイ素化合物であり、ここで、aおよびbは、0〜2の整数であり、cは1〜4の整数であり、その和(a+b+c)は4であり、R
5、R
6およびR
7は、任意にヘテロ原子を含むC1−C18炭化水素基である。aは1であり、bは1であり、cは2であり、R
5およびR
6中の少なくとも一つは、任意にヘテロ原子を含み、3〜10個の炭素原子を有する分枝アルキル、アルケニル、アルキレン、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、R
7は、C1−C10アルキル基、特にメチルであるケイ素化合物が特に好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピル−2−エチルピペリジル−ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2−エチルピペリジニル−2−t−ブチルジメトキシシラン、(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル)−メチルジメトキシシランおよび(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル)−2−エチルピペリジニルジメトキシシルランである。また、aが0であり、cが3であり、R
6が任意にヘテロ原子を含む分枝アルキルまたはシクロアルキル基であり、R
7がメチルであるケイ素化合物がまた好ましい。ケイ素化合物の特に好ましい具体的な例は、(tert−ブチル)
2Si(OCH
3)
2、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH
3)
2、(フェニル)
2Si(OCH
3)
2、(シクロペンチル)
2Si(OCH
3)
2、およびジイソプロピルジメトキシシルランである。
【0035】
好ましくは、外部電子供与体化合物は、有機アルミニウム化合物と前記電子供与体化合物のと間のモル比が0.1〜500、より好ましくは1〜300、特に3〜30になるような量で使用される。
【0036】
触媒は、一つ以上の内部供与体および一つ以上の外部供与体を含むことができる。
【0037】
前述したように、固体触媒成分は、前記電子供与体に加えて、Ti、Mgおよびハロゲンを含む。特に、触媒成分は、Mgハロゲン化合物上に支持された、少なくともTi−ハロゲン結合を有するチタン化合物、および前記言及された電子供与体化合物を含む。マグネシウムハロゲン化物は、好ましくは、活性形態のMgCl
2であり、これは、チーグラー・ナッタ触媒のための支持体として特許文献に広く知られている。米国特許第4,298,718号および米国特許第4,495,338号は、チーグラー・ナッタ触媒におけるこれら化合物の使用を最初に記載した。これらの特許からオレフインの重合のための触媒成分中の支持体または共支持体として使用される活性形態のマグネシウムジハロゲン化物が、非活性ハロゲン化物のスペクトルで示される最も強い回折線は強度が減少され、この最大強度がより強い線の角度対比より低い角度の方に取り替えられるハロ(halo)で取り替えられるX−線スペクトルを特徴とするものであると知られている。
【0038】
好ましいチタン化合物は、TiCl
4およびTiCl
3であり、さらに、化学式Ti(OR)
n−yX
yのTi−ハロアルコラートがまた使用されることができ、ここで、nはチタンの原子価であり、yは1〜nの数であり、Xはハロゲンであり、Rは1〜10個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルである。固体触媒成分の製造は、当該技術分野においてよく知られており、記載されているいくつかの方法などに従って行われることができる。
【0039】
好ましい方法に従って、固体触媒成分は、化学式Ti(OR)
n−yX
yのチタン化合物(ここで、nはチタンの原子価であり、yは1〜nの数である)、好ましくは、TiCl
4を化学式MgCl
2・pROHの付加物から由来される塩化マグネシウム(ここで、pは0.1〜6の数であり、好ましくは2〜3.5の数であり、Rは1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル)と反応させることによって製造され得る。付加物は、前記付加物の溶融温度(100〜130℃)で撹拌条件下でに行い、前記付加物と不混和性である不活性炭化水素との存在下でアルコールと塩化マグネシウムとを混合することによって球状形態で適切に製造され得る。次いで、エマルジョンは、迅速に急冷され、それによって球状粒子形態で付加物の固化を引き起こす。
【0040】
このような過程に従って製造された球状付加物の例は、米国特許第4,399,054号および米国特許第4,469,648号に記載されている。このようにして得られた付加物は、Ti化合物と直接的に反応することができるとか、またはアルコールのモル数が一般に3未満、好ましくは0.1〜2.5である付加物を得るように、熱的に調節された脱アルコール化(80〜130℃)を予めさせることができる。Ti化合物との反応は、付加物(脱アルコール化されるかまたはそのまま)を冷たいTiCl
4(一般に、0℃)に懸濁させることによって行われることができ、前記混合物は、80〜130℃まで加熱され、このような温度で0.5〜2時間保持される。TiCl
4による処理は、1回以上行われることができる。電子供与体化合物(類)は、TiCl
4による処理中に添加され得る。
【0041】
使用された製造方法にかかわらず、電子供与体化合物(類)の最終量は、好ましくは、MgCl
2に対するモル比が0.01〜1、より好ましくは0.05〜0.5になるようにする。前記触媒成分および触媒は、国際特許公開WO00/63261号およびWO01/57099号に記載されている。
【0042】
触媒は、前記触媒を炭化水素溶媒中に懸濁させ、保持しながら少量のオレフインと予備接触することができ(予備重合)、周囲温度〜60℃の温度で重合し、これにより、触媒の重量の0.5〜3倍の量の重合体を生成することができる。前記作業は、また液体単量体中で行うことができ、この場合に、触媒重量の1000倍の量の重合体を生成することができる。
【0043】
前記言及された触媒を使用することにより、ポリオレフイン組成物は、球状形態で得られ、前記粒子は、約250〜7,000マイクロメートル(μm)の平均直径、30秒未満の流動性および0.4g/mlを超える嵩密度(bulk density)(圧縮)を有する。
【0044】
造核剤の他に、本明細書に開示された組成物は、抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤、着色剤および充填剤のような当該技術分野において通常的に使用される他の添加剤などを含むことができる。
【0045】
タルク、炭酸カルシウムおよびミネラル纎維のような無機充填剤の添加は、屈曲弾性率および熱変形温度(HDT)のようないくつかの機械的特性に対する向上をもたらす。
【0046】
本明細書に開示された組成物は、優れた衝撃挙動を有する成形品を製造するために使用され得る。
【0047】
このようにして得られる成形品は、特に低温でのこれらの優れた衝撃特性によって、食品容器、特に冷蔵庫内に食品を保管するための容器として使用するのに適している。
【0048】
以下の実施例などは、どのような制限する目的なく本発明を説明するために与えられる。
【0049】
実施例
方法
エチレン含量
エチレン共単量体の含量は、フーリエ(Fourier)変換赤外分光計(FTIR)によってサンプル対空気バックグラウンドのIRスペクトルを収集することにより、赤外分光法によって測定した。装備データ獲得パラメータは、次の通りである。
−パージ時間:最小30秒
−収集時間:最小3分
−アポダイゼーション:Happ−Genzel
−分解能:2cm
-1。
【0050】
サンプル製造−油圧プレスを使用して、厚いシートを2枚のアルミニウムホイルの間に約1gのサンプルを押し込むことによって得る。小さな部分をこのシートから切断してフィルムを成形する。勧められるフィルム厚さは、0.02〜0.05cm(8〜20ミル)の範囲である。加圧温度は、180±10℃(356°F)であり、約10kg/cm
2(142.2PSI)の圧力が約1分間印加される。圧力が解除された後、サンプルをプレスから取り出し、室温で冷却させる。
【0051】
加圧されたフィルムサンプルのスペクトルは、吸光度波数(cm
−1)で記録する。次の測定は、エチレン含量を計算するために使用される。
−フィルム厚さの分光正規化のために使用される4482〜3950cm
−1の組み合わせ吸収帯の面積(At)。
−800〜690cm
−1範囲のアイソタクチック非添加型(non−additivated)ポリプロピレンの基準スペクトルの分光学的減算後、750〜700cm
−1の吸収帯の面積(A
C2)。
【0052】
エチレン含量を計算するために、既知の量のエチレンのサンプルを使用することによって得られたエチレンに対する較正直線が必要であり、A
C2/At対エチレンモールパーセント(%C2m)をプロットすることによって得られる。勾配GC2は、線形回帰から計算される。
【0053】
未知サンプルのスペクトルが記録された後、未知サンプルの(At)および(A
C2)が計算される。重量基準のエチレン含量は、サンプルのエチレン含量(%モル分率C2m)から換算されて得られ、次のように計算される。
【0055】
成分(a)のエチレン含量は、第1の反応器から取り出したプロピレン共重合体サンプルで測定された。
【0056】
成分(b)のエチレン含量は、重合体の沈澱された“非結晶質”画分で測定された。沈澱された“非結晶質”画分は、次のようにして得られた。“キシレン可溶性画分の固有粘度”という見出しの段落で後述することのように得られた濾過液の一つの100ml分割量に、200mlのアセトンを激しい撹拌下で添加した。沈澱は、透明な固体−溶液分離によって立証されるように完了でなければならない。このようにして得られた固体を金属スクリーンで濾過し、一定の重量に逹するまで70℃の真空オーブン内で乾燥させる。非常に高いエチレン含量を有する(b)の部分が結晶化し、キシレン−可溶性画分から排除されるから、同じ触媒システムを使用することによってオートクレーブで重合されたエチレンとプロピレンの共重合体のデータから得られた後、数式を使用することによって“非結晶質”画分のエチレン含量に対する較正が行われた。
(成分(b)のエチレン含量)=1.37×(“非結晶質”画分のエチレン含量)−5.7
前記の数式は、“非結晶質”のエチレン含量が50〜70重量%((b)のエチレン含量が63〜90重量%で含まれる)であるときに有効である。
【0057】
キシレン−可溶性画分(XSIV)の固有粘度
2.5gの重合体および250mlのキシレンを冷却装置およびマグネチックスターラーが備えられたガラスフラスコに注入した。温度を30分内に溶媒の沸点まで上昇させる。次いで、このようにして得られた透明な溶液を更に30分間還流下で撹拌しながら保持させる。次いで、密閉されたフラスコを恒温水槽内に25℃で30分間保持させる。このように形成された固体を濾過紙上で迅速に濾過させる。濾液の100ml分取をアルミニウム容器内に注ぎ、窒素気流下で加熱プレート上で加熱して、蒸発によって溶媒を除去する。測定用サンプルを室温で30分間冷却させた後、容器から取り出した。固有粘度は、135℃でテトラヒドロナフタリン中で測定した。
【0058】
メルトフローレート(MFR)
ISO 1133(230℃、2.16Kg)に従って測定した。
【0059】
ヘイズ
ASTM D10003−61に従って測定する。5×5cmの試片を1mm厚さの成形されたプラークから切断し、ヘイズ値をフィルター“C”備えたG.E.1209光源を有するヘイズメータータイプUX−10または同等の装備に接続されたGardner光度計を使用して測定する。既知のヘイズの基準サンプルを使用して装備を較正する。試験されるプラークは、下記の方法に従って製造される。75×75×1mmのプラークを下記の加工条件下でGBF Plastiniector G235/90射出成形機、90トンを用いて成形する。
・軸回転速度:120rpm
・背圧:10bar
・溶融温度:260℃
・射出時間:5秒
・転換保圧:50bar
・第1段階の保圧:30bar
・第2段階の圧力:20bar
・保圧プロファイル:第1の段階:5秒
・保圧プロファイル:第2の段階:10秒
・冷却時間:20秒
・モールド水温:40℃
【0060】
屈曲弾性率
ISO 178に従って測定する。
【0061】
−20℃での穿刺耐性
下記の方法に従って製造されたプラークに対してHydroshot HITS−T10(島津社)を使用して測定する。130×130×2mmのプラークを230℃の溶融温度および500barの保圧下でα100C射出成形機(ファナック社)で成形する。
【0062】
スパイラル流れ
流路の台形断面(上部底:9.5mm、下部底:10mm、高さ:1mm)を有するアルキメデススパイラルのモールドで射出成形された物品のスパイラル長さを測定することによって決定する。試験されるスパイラル物品は、下記の加工条件下でα100C射出成形機(ファナック社)で成形する。
・溶融温度:250℃
・射出圧力:765bar
・射出速度:10mm/秒
・保圧:735〜745bar
・保圧時間:3秒
・冷却時間:10秒
・モールド水温:40℃
【0063】
実施例
一連の重合実行を、第1の反応器から第2の反応器に生成物を伝達する装置が備えられた、一連の第1の液相反応器および第2の流動層気相反応器に連続的に作動するプラント内で行われた。
【0064】
実施例1および2C(比較例)
触媒の製造および予備重合
チーグラー・ナッタ触媒成分をヨーロッパ特許第728769号の実施例5の48〜55行に従って製造した。このようにして製造した触媒成分をアルミニウムトリエチル(TEAL)および外部電子供与体成分としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)と12℃で24分間接触させた。TEALと固体触媒成分との間の重量比は20であり、TEALとDCPMSとの間の重量比は10であった。このようにして得られた触媒システムを、第1の重合反応器に取り入れる前に、20℃で約5分間これを液体プロピレン中に懸濁させたまま維持することによって予備重合させた。
【0065】
重合
成分(a)としてプロピレン単独重合体を第1の反応器内で製造する一方、成分(b)としてエチレン−プロピレン共重合体を第2の反応器で製造した。温度および圧力を反応過程にわたって一定になるように維持した。水素を分子量調節剤として使用した。気相(プロピレン、エチレンおよび水素)の組成物をガスクロマトグラフィー分析によって連続的に測定した。実行の末期に粉末を排出し、窒素気流下で乾燥させた。液相および気相反応器に対する重合条件およびそれから得られた重合体の特性化に対するデータを表1および表2にそれぞれ示す。重合体特性化データは、そのようにして得られ、必要時に安定化された重合体に対して行われた測定から得る。
【0066】
押出
次いで、重合体粒子などを押出機に取り入れ、ここで、それらを下記のものと共に混合する。
・2000ppmの1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、商標名Millad 3988でミリケン社によって市販される清澄剤、
・0.10重量%の商標名B225でBASF社によって市販される抗酸化剤、および
・0.05重量%のステアリン酸カルシウム。
次いで、重合体粒子などを220rpmの回転速度および200〜250℃の溶融温度でツインスクリュー押出機で窒素大気下に押出した。このように押出された重合体上で行われた測定から得られた、最終重合体組成物の物理機械的特性に対するデータを表3に記録する。
【0067】
実施例3、4C(比較例)および5C(比較例)
最初の温度上昇時、温度を100℃の代わりに110℃に上昇させる点を除いて、チーグラー・ナッタ触媒を国際出願WO2009/050045の実施例1に従って製造する点を異なりにして、実施例1および2Cで説明した過程を繰り返した。比較例5Cの場合、清澄剤Millad 3988を押出用重合体粒子などと混合しなかった。液相および気相反応器に対する重合条件およびそれから得られた重合体の特性化に対するデータをそれぞれ表1および表2に示す。このように押出された重合体上で行われた測定から得られた、最終重合体組成物の物理機械的特性に対するデータを表3に記録する。