特許第6387119号(P6387119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387119
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】材料ITQ−55、調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20180827BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20180827BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20180827BHJP
   B01J 29/035 20060101ALI20180827BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20180827BHJP
   B01J 29/89 20060101ALI20180827BHJP
   B01J 29/86 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C01B39/48
   B01J20/30
   B01J20/10 C
   B01J29/035 M
   B01J29/70 M
   B01J29/89 M
   B01J29/86 M
【請求項の数】23
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2016-574136(P2016-574136)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-524637(P2017-524637A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】US2015036584
(87)【国際公開番号】WO2015196018
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年4月6日
(31)【優先権主張番号】P201430935
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】ES
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593005895
【氏名又は名称】コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス(シーエスアイシー)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
(73)【特許権者】
【識別番号】500104934
【氏名又は名称】ウニベルシダッド・ポリテクニカ・デ・バレンシア
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】アベリノ・コルマ・カニョス
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド・レイ・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】スサナ・バレンシア・バレンシア
(72)【発明者】
【氏名】アンヘル・カンティン・サンス
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・ルイス・ホルダ・モレット
(72)【発明者】
【氏名】ング・マン・キット
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ブラント
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・エル・ペレッティ
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/156638(WO,A1)
【文献】 特表2009−528244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成状態であって、シラノールの存在によって示される結晶マトリックス中の欠陥がない状態で、以下の実験式:
x(M1/nXO):yYO:gGeO:(1−g)SiO
[式中、
Mは、H、電荷+nの少なくとも1種の無機カチオンおよび両方の組合せから選択され、
Xは、酸化状態+3の少なくとも1種の化学元素であり、
Yは、Siとは異なる酸化状態+4の少なくとも1種の化学元素であり、
xは、0〜0.2(0および0.2を含む)の値であり、
yは、0〜0.1(0および0.1を含む)の値であり、
gは、0〜0.5(0および0.5を含む)の値である]
を有し、合成されたままの状態で、少なくとも、以下の角度の値2θ(度)および相対強度(I/I):
【表1】
[表中、
は、100の値が割り当てられる最も強いピークからの強度であり、
wは、0〜20%の弱い相対強度であり、
mは、20〜40%の中間の相対強度であり、
fは、40〜60%の強い相対強度であり、
mfは、60〜100%の非常に強い相対強度である]
を有するX線回折パターンを有する、ゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項2】
焼成状態であって、少なくとも、以下の角度の値2θ(度)および相対強度(I/I):
【表2】
[表中、
wは、0〜20%の弱い相対強度であり、
mは、20〜40%の中間の相対強度であり、
fは、40〜60%の強い相対強度であり、
mfは、60〜100%の非常に強い相対強度である]
を有するX線回折パターンを有する、請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項3】
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項4】
Yが、Zr、Ti、Sn、Vおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項5】
Mが、H、アルカリ、アルカリ土類金属およびそれらの組合せからなる群から選択される電荷+nの少なくとも1種の無機カチオンから選択される、請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項6】
「x」が0であり、「y」が0であり、「g」が0である、請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項7】
「x」が0であり、「y」が0であり、「g」が0以外である、請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項8】
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せからなる群から選択され、
yの値が0であり、
gの値が0である、
請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項9】
Yが、Ti、Zr、Snおよびそれらの組合せからなる群から選択され、
xの値が0であり、
gの値が0である、
請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項10】
Xが、Al、Ga、B、Fe、Cr、およびそれらの組合せからなる群から選択され、
Yが、Ti、Zr、Sn、およびそれらの組合せからなる群から選択され、
gの値が0である、
請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項11】
Xが、Al、Ga、B、Fe、Cr、およびそれらの組合せからなる群から選択され、
yの値が0であり、
gの値が0以外であり、0.33未満である、
請求項1または2に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項12】
Yが、Ti、Zr、Sn、およびそれらの組合せからなる群から選択され、
xの値が0であり、
gの値が0以外であり、0.33未満である、
請求項1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項13】
Xが、Al、Ga、B、Fe、Cr、およびそれらの組合せからなる群から選択され、
Yが、Ti、ZrまたはSn、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
gの値が0以外であり、0.33未満である、
請求項1または2に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【請求項14】
反応混合物を形成することによる、請求項1に記載の微孔性結晶質材料を合成するための方法であって、
前記反応混合物が、
1種又は幾つかのSiO供給源、
1種又は幾つかの有機カチオンR供給源、
水酸化物アニオン、フッ化物アニオンおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のアニオン供給源、ならびに水を含み、
80℃〜200℃の温度に加熱することを含み、前記反応混合物が、モル比に関して、以下の範囲:
/SiO=0.01〜1.0
OH/SiO=0〜3.0
/SiO=0〜3.0
(F+OH)/SiO=0.01〜3.0
O/SiO=1〜50
に含まれる組成を有する、方法。
【請求項15】
前記反応混合物が、1種以上のGeO供給源を含み、モル比に関して、以下の範囲:
GeO/SiO=00.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0.0〜3.0
OH/(SiO+GeO)=0.0〜3.0
(F+OH)/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
の組成を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アニオンがフッ化物であり、モル比に関して、以下の範囲:
GeO/SiO=00.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
の組成を有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記アニオンが水酸化物であり、モル比に関して、以下の範囲:
GeO/SiO=00.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
OH/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
の組成を有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
前記反応混合物が、1種以上の三価X元素の少なくとも1種の供給源をも含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記反応混合物が、SiおよびGe以外の他の四価元素Yの少なくとも1種の供給源をも含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記有機カチオンR供給源が、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記有機カチオンRが、水酸化物、別の塩、ならびに水酸化物混合物および別の塩からなる群から選択されて添加される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
添加される無機酸化物の全量に関して、0.01〜20重量%の量が、結晶化の促進剤として、前記微孔性結晶質材料の前記反応混合物に添加される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
架橋原子によって連結された四面体(T)原子のフレーム構造を有し、前記四面体原子が、以下の表:
【表5】
【表6】
に記載される様式で、最も近いT原子を連結することによって定義される、請求項1または2に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、気相または液相中の有機化合物および無機化合物の変換プロセス、特に吸着および分離のための吸着剤、触媒または触媒的成分(又はコンポーネント)として有用なゼオライト性の微孔性結晶質材料の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ゼオライトは、全ての頂点を共有して、分子次元のチャネルおよび/またはキャビティを含有する三次元構造を生じさせるTO4四面体のマトリックスによって形成された微孔性結晶質材料である。それらは可変的な組成を有し、そしてTは、一般に、例えば、Si、Ge、Ti、Al、BまたはGaなどの酸化状態+3または+4を有する原子を表す。T原子のいくつかが+4未満の酸化状態を有する場合、形成された結晶質マトリックスは負電荷を与え、これは、チャネルまたはキャビティ中の有機または無機カチオンの存在によって補償される。これらのチャネルおよびキャビティは、有機分子およびHOを含有していてもよく、そのために、一般的な様式で、ゼオライトの化学組成は次の実験式:
x(M1/nXO):yYO:zR:wH
(式中、Mは、1種またはいくつかの電荷+nの有機または無機カチオンであり;Xは、1種またはいくつかの三価元素であり;Yは、1種またはいくつかの四価元素、一般にSiであり;かつRは、1種またはいくつかの有機物質である)によって表されてよい。合成後の処理によってM、X、YおよびRの性質、ならびにx、y、zおよびwの値は変化してもよいが、(合成直後または焼成後の)ゼオライトの化学組成は、それぞれのゼオライトおよびその調製方法に特徴的な範囲を有する。
【0003】
チャネルおよび特定のキャビティの系を有するそれぞれのゼオライトの結晶構造は、X線の特徴的な回折パターンを生じ、それによって互いから識別可能となる。
【0004】
多くのゼオライトは、構造指向剤として作用する有機分子の存在下で合成されている。構造指向剤(SDA)として作用する有機分子は、一般に、それらの組成中に窒素を含有し、それらによって反応媒体中で安定性の有機カチオンを生じることが可能である。
【0005】
ゼオライト合成間の先駆体種の可動化は、例えば、ゼオライトZSM−5の場合、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドなどの同SDAの水酸化物として導入可能であるヒドロキシル基および塩基性媒体の存在下で実行することができる。フッ化物イオンは、ゼオライトの合成中の可動化剤としても作用することができ、例えば、特許文献1には、HO中低pHでのゼオライトZSM−5合成のためのシリカの可動化剤としてHFを使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP−TO−337479号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、ゼオライト性(zeolitic nature)の新規の微孔性結晶質材料(又は微孔性結晶材料)(microporous crystalline material)(「ゼオライトITQ−55」として識別される)ならびにその調製方法およびその使用に関する。
【0008】
ITQ−55(INSTITUTO DE TECNOLOGIA QUIMICA ナンバー55)は、架橋原子によって連結された四面体原子(又は四配位原子)(tetrahedral atoms)のフレーム構造(又はフレームワーク)を有する新規結晶質微孔性材料である。この四面体原子フレーム構造は、そのフレーム構造中の四面体で配位した原子間の相互結合(インターコネクション)によって定義される。ITQ−55は、空気中での焼成に安定であり、炭化水素を吸収し、そして炭化水素転換に関して触媒的に活性である。
【0009】
この材料は、その焼成された形態および焼成されずに合成された場合の両方で、他の周知のゼオライト材料と異なり、したがって、この材料の特徴を示すX線回折パターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例2に従って得られた、合成されたままの純粋にケイ質のITQ−55材料の最も特徴的なピークのX線回折パターンを表す。
図2図2は、焼成状態の実施例2の材料の最も特徴的なピークのX線回折パターンを表す。
図3図3は、実施例4に従って得られた、合成されたままの、その組成にAlおよびSiを含有するITQ−55材料の最も特徴的なピークのX線回折パターンを表す。
図4図4は、実施例2に従って得られた焼成状態のITQ−55材料におけるメタンの吸着選択性に対するCOの吸着選択性を表す。選択性は、純粋な気体の等温線から出発して得られた吸着容量の比率として表される。
図5図5は、四面体原子のみを示すITQ−55のフレーム構造を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の詳細な説明)
本発明は、第一に、ゼオライト性の微孔性結晶質材料に関し、この材料は、焼成状態であって、シラノールの存在によって示されるその結晶マトリックス(crystalline matrix)中の欠陥がない状態で、次の実験式:
x(M1/nXO):yYO:gGeO:(1−g)SiO
(式中、
Mは、H+、電荷(又はチャージ)+nの少なくとも1種の無機カチオンおよび両方の混合物(又は組合せ)から選択され、好ましくは、H+、アルカリ、アルカリ土類金属およびそれらの組合せから選択される電荷+nの少なくとも1種の無機カチオンならびに両方の混合物(又は組合せ)から選択され、
Xは、好ましくは、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの混合物(又は組合せ)から選択される酸化状態+3の少なくとも1種の化学元素であり、
Yは、好ましくは、Ti、Sn、Zr、Vおよびそれらの混合物(又は組合せ)から選択される、Siとは異なる酸化状態+4の少なくとも1種の化学元素であり、
xは、0〜0.2(0および0.2を含む)、好ましくは、0.1未満の値であり、
yは、0〜0.1(0および0.1を含む)、好ましくは、0.05未満の値であり、
gは、0〜0.5(0および0.5を含む)、好ましくは、0.33未満の値である)
を有し、
そして、この材料は、合成されたままの状態で、少なくとも、以下の表Iに示す角度の値2θ(度)および相対強度(I/I)を有するX線回折パターン(Iは100の値が割り当てられた最高ピークの強度である)を有する。
【0012】
【表1】
【0013】
(表中、wは、0〜20%の弱い相対強度であり、
mは、20〜40%の中間の相対強度であり、
fは、40〜60%の強い相対強度であり、かつ
mfは、60〜100%の非常に強い相対強度である)
【0014】
本発明によるゼオライト性微孔性結晶質材料は、その内部で塞がれた有機化合物を除去するために焼成した後、少なくとも、表IIに示す角度の値2θ(度)および相対強度(I/I)を有するX線回折パターンを有する。
【0015】
【表2】
【0016】
(表中、w、m、fおよびmfは上記の意味を有する)
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、焼成状態であり、かつシラノールの存在によって明らかにされる結晶マトリックス中の欠陥がない状態で、次の実験式:
x(M1/nXO):yYO:gGeO:(1−g)SiO
(式中、
Mは、H、電荷+nの少なくとも1種の無機カチオン、好ましくは、アルカリまたはアルカリ土類、アルカリ、アルカリ土類金属およびそれらの組合せから選択され、
Xは、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの混合物から選択される酸化状態+3の少なくとも1種の化学元素であり、
Yは、Ti、Sn、V、Zrおよびそれらの混合物から選択される、Siとは異なる酸化状態+4の少なくとも1種の化学元素であり、
xは、0〜0.1(0および0.1を含む)の値であり、
yは、0〜0.05(0および0.05を含む)の値であり、
gは、0〜0.33(0および0.33を含む)の値である)を有し、
かつ合成されたままの状態で、少なくとも、上記(表I)の角度の値2θ(度)および相対強度を有するX線回折パターンを有し、かつ焼成状態で、少なくとも、上記(表II)の角度の値2θ(度)および相対強度(I/I)を有するX線回折パターンを有する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、純粋シリカ材料であり、すなわち、上記一般式において、「x」、「y」および「g」の値は0である。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態によると、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、上記一般式において、0に等しい「x」、0に等しい「y」および0とは異なる「g」を有することができる材料である。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態によると、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、その一般式において、
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せから選択され、
yの値が0であり、かつ
gの値が0である材料である。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態によると、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、その一般式において、
Yが、Ti、Zr、Snおよびそれらの組合せから選択され、
xの値が0であり、かつ
gの値が0である材料である。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態によると、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、その一般式において、
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せであり、
Yが、Ti、Zr、Snおよびそれらの組合せであり、かつ
gの値が0である材料である。
【0023】
1つの特定の実施形態において、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、その一般式において、
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せであり、
yの値が0であり、かつ
gの値が0とは異なり、かつ0.33未満である材料である。
【0024】
別の特定の実施形態は、その一般式において、
Yが、Ti、Zr、Snおよびそれらの組合せであり、
xの値が0であり、かつ
gの値が0とは異なり、かつ0.33未満である材料であるゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55を記載する。
【0025】
別の特定の実施形態において、ゼオライト性微孔性結晶質材料ITQ−55は、その一般式において、
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せであり、
Yが、Ti、ZrまたはSnであり、かつ
gの値が0とは異なり、かつ0.33未満である材料である。
【0026】
ITQ−55のX線回折パターンは、1/8°の固定発散スロットおよびCuのKα放射線を使用する粉末法によって得た。このゼオライト試料ITQ−55に関して記載された単一または独特の線としての回折データは、結晶学的変化の差異などの特定の条件下において解像線または部分的解像線として出現し得る複数の反射の重なりによって形成される可能性があることに留意すべきである。一般的には、結晶学的変化には、単位格子パラメータの小さな変化および/または構造内で変化をもたらさないような単位格子の対称性の変化が含まれる。したがって、ピークの位置、幅および相対強度は、材料の化学組成、ならびに水和度および結晶サイズによってある程度依存する。
【0027】
特に、マトリックスが酸化ケイ素のみから排他的に構成され、かつ構造指向剤として第四級カチオンジアンモニウムN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチロ−オクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムを使用してフッ化物アニオンの存在下で合成された場合、合成されたITQ−55ゼオライトは、図1に示すもののようなX線回折パターンを示す。この図は、表IIIに示す角度の値2θ(度)および相対強度(I/I)によって特徴づけられ、「w」、「m」、「f」および「mf」は表Iと同意義である。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
その内部で塞がれた有機化合物を排除するために上記のITQ−55の試料を800℃で焼成した後のX線回折パターンを図2に示す。この図は、表IVに示す角度の値2θ(度)および相対強度(I/I)によって特徴づけられ、「w」、「m」、「f」および「mf」は表Iと同意義である。合成されたままのゼオライトITQ−55に相当するX線回折パターンを焼成状態のものと比較すると、この材料は熱的に安定であることが示される。
【0031】
【表5】
【0032】
いずれの多孔性結晶質材料とも同様に、ITQ−55の構造は、そのX線回折パターンによってのみではなく、そのフレーム構造、すなわち、そのフレーム構造中の四配位原子間の相互結合によって定義されることができる。特に、ITQ−55は、架橋原子によって連結された四面体(T)原子のフレーム構造を有し、四面体原子フレーム構造は、表Vに示される様式で最も近い四面体(T)原子を連結することによって定義される。
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
四面体原子は、限定されないが、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、インジウム、スズおよびアンチモンの1種またはそれ以上を含む四配位を有することが可能なものである。
【0036】
本発明の合成多孔性結晶質材料、ITQ−55は、四配位原子の8員環を含んでなる独特の一次元チャネル系を有する結晶相である。
【0037】
上記の表Vにおけるように四面体原子の相互結合によるITQ−55の構造の記載に加えて、それは、材料の全ての構造要素を含有する最小繰り返し単位であるその単位格子によって定義されてもよい。ITQ−55の細孔構造は、線形10員環チャネルの方向の下方に(四面体原子のみを示す)図5に例証される。図5に、その境界が箱によって画定されている単一単位格子単位がある。表VIは、オングストロームの単位での単位格子におけるそれぞれの四面体原子の典型的な位置を記載する。それぞれの四面体原子は、隣接した四面体原子にも結合する架橋原子に結合する。四面体原子は、限定されないが、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、インジウム、スズおよびアンチモンの1種またはそれ以上を含む四配位を有することが可能なものである。架橋原子は、2個の四面体原子を結合することが可能なものであり、限定されないが、酸素、窒素、フッ素、硫黄、セレンおよび炭素原子が含まれる。
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
酸素の場合、架橋酸素が水素原子と結合して、ヒドロキシル基(−OH−)を形成することも可能である。炭素の場合、炭素が2個の水素原子と結合して、メチレン基(−CH−)を形成することも可能である。例えば、架橋メチレン基は、ジホスホン酸ジルコニウム、MIL−57に存する。C.Serre,G.Ferey,J.Mater.Chem.12,p.2367(2002)を参照のこと。窒素の場合、窒素架橋原子がイミダゾレートアニオンの一部であることも可能である。例えば、架橋イミダゾレート基は、亜鉛(II)イミダゾレートゼオライト型化合物、Zn(mim)・2HO、Zn(eim)・HOおよびZn(eim/mim)・1.25HOに存在する。X−C.Huang,Y−Y.Lin,J−P.Zhang,X−M.Chen,Angew.Chem.Int.Ed.45,p.1557−1559(2006)を参照のこと。架橋硫黄およびセレン原子は、微孔性材料のUCR−20−23系統群に見られる。N.Zheng,X.Bu,B.Wang,P.Feng,Science 298,p.2366(2002)を参照のこと。架橋フッ素原子は、ABW構造型を有するリチウムヒドラジニウムフルオロベリレートに見られる。M.R.Anderson,I.D.Brown,S.Vilminot,Acta Cryst.B29,p.2626(1973)を参照のこと。四面体原子が他の結晶作用(例えば、無機または有機種の存在)のために、あるいは四面体および架橋原子の選択によって移動し得るため、x座標位置に関しては±1.0オングストロームの範囲が暗示され、そしてyおよびz座標位置に関しては±0.5オングストロームの範囲が暗示される。
【0041】
ITQ−55の完全な構造は、上記で完全結合3次元フレーム構造において定義されるように、複数の単位格子を結合することによって構築される。1つの単位格子中の四面体原子は、その全ての隣接した単位格子の特定の四面体原子に結合する。表Vは、ITQ−55の所定の単位格子に関する全ての四面体原子の結合を記載するが、結合は同一単位格子の特定の原子に対するものではなく、隣接した単位格子に対するものであり得る。表Vに記載される全ての結合は、それらが同一単位格子または隣接した単位格子におけるかどうかにかかわらず、それらが最も近い四面体(T)原子に対するものであるような結合である。
【0042】
表VIに与えられたデカルト座標は、理想化された構造における四面体原子の位置を正確に反映し得るが、真の構造は、上記の表Vに示されたフレーム構造原子間の結合性によってより正確に記載することができる。
【0043】
この結合性を記載する別の方法は、W.M.MeierおよびH.J.Moeckによって、the Journal of Solid State Chemistry 27,p.349(1979)において微孔性フレーム構造に適用される配位配列の使用による。微孔性フレーム構造において、それぞれの四面体原子、N(T−原子)は、架橋原子(典型的に酸素)を通ってN=4隣接T−原子に結合する。これらの隣接T−原子は、次いで、次のシェルのNT−原子に結合する。第2のシェルのN原子は第3のシェルのNT−原子などに結合する。それぞれのT−原子は、例えば、T−原子が第4のシェルにおいて4員環にある場合、N原子が2回数えられないように、1回のみ数えられる。この方法論を使用して、配位配列は、T−原子の4結合ネットのそれぞれの独特のT−原子に関して決定されることができる。次の行は、それぞれのシェルのT−原子の最大数を記載する。
=1 N≦4 N≦12 N≦36 N≦4・3k−1
【0044】
【表10】
【0045】
所与の構造の配位配列を決定する1つの方法は、コンピュータプログラムzeoTsitesを使用してフレーム構造原子の原子座標からである(G.Sastre,J.D.Gale,Microporous and mesoporous Materials 43,p.27(2001)を参照のこと)。
【0046】
ITQ−55構造の配位配列を表VIIに示す。表Vで記載されるT−原子結合性はT−原子のみに関する。酸素などの架橋原子が通常T−原子を結合する。ほとんどのT−原子は、架橋原子を通して他のT−原子に結合するが、フレーム構造を有する材料の特定の結晶において、多数のT−原子が互いに結合しなくてよいことが可能であることは認識される。非結合性の理由には、限定されないが、結晶の端部に位置するT−原子および例えば結晶の空格子点によって生じる欠陥部位が含まれる。表Vおよび表VIIに記載されるフレーム構造は、その組成、単位格子寸法または空間群対称によっていずれかの様式で限定されない。
【0047】
理想化された構造は4配位T−原子のみを含有するが、特定の条件下で、フレーム構造原子のいくつかが5配位または6配位であってよいことが可能である。これは、例えば、材料の組成が主にリンおよびアルミニウムT−原子を含有する場合に水和の条件下で生じ得る。これが生じる場合、T−原子は、水分子(−OH)の、またはヒドロキシル基(−OH)の1個もしくは2個の酸素原子に配位してもよいことが見出される。例えば、A.Tuelらによって、J.Phys.Chem.B 104,p.5697(2000)で記載されるように、モレキュラーシーブAlPO−34は、水和において4配位から5および6配位へといくつかのアルミニウムT−原子の配位を可逆的に変化させることが知られている。H.Kollerによって、J.Am.Chem Soc.121,p.3368(1999)に記載されるように、材料がフッ素の存在下で調製されて、5配位T−原子を有する材料が製造される場合、いくつかのフレーム構造T−原子はフッ化物原子(−F)に配位することができることも可能である。
【0048】
第二に、本発明は、微孔性結晶質材料ITQ−55の合成方法に関する。
【0049】
本発明によると、微孔性結晶質材料ITQ−55の合成方法は、少なくとも、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、水酸化物アニオン、フッ化物アニオンおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1種の供給源、ならびに水を含む反応混合物を含み得、これを80℃〜200℃で加熱し、かつ反応混合物は、モル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
OH/SiO=0〜3.0
/SiO=0〜3.0
(F+OH)/SiO=0.01〜3.0
O/SiO=1〜50
【0050】
この方法の追加的な特定の実施形態によると、反応混合物は1種またはそれ以上のGeO供給源も含んでよく、これは、モル比に関して以下の間隔間を含む組成を有する。
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0.0〜3.0
OH/(SiO+GeO)=0.0〜3.0
(F+OH)/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0051】
この方法の1つの追加的な特定の実施形態によると、アニオンは好ましくはフッ化物であり、かつ反応混合物は、モル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0052】
この方法の別の追加的な特定の実施形態によると、アニオンは好ましくは水酸化物であり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する反応混合物を有し得る。
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
OH/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0053】
この方法の1つの追加的な特定の実施形態によると、反応混合物は、1種またはそれ以上の三価元素Xの少なくとも1種の供給源も含むことができる。
【0054】
1つの特定の実施形態において、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの三価元素Xの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、水酸化物アニオン、フッ化物アニオンおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1種の供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
OH/SiO=0〜3.0
/SiO=0〜3.0
(OH+F)/SiO=0.0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0055】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0
/(SiO+GeO)=0〜3.0
(OH+F)/(SiO+GeO)=0.0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0056】
別の特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの三価元素Xの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、1種またはいくつか水酸化物アニオン供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
OH/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0057】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0058】
特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、
1種またはいくつかのSiO供給源、
1種またはいくつかの三価元素Xの少なくとも1種の供給源、
1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、
1種またはいくつかフッ化物アニオン供給源、および

を含む反応混合物を含んでなり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0059】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0060】
別の好ましい実施形態によると、上記の方法において、反応混合物は、SiおよびGeとは異なる他の四価元素Yの少なくとも1種の供給源を含んでなってもよい。
【0061】
1つの特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの四価元素Yの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、水酸化物アニオン、フッ化物アニオンおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1種の供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
YO/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
OH/SiO=0〜3.0
/SiO=0〜3.0
(OH+F)/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0062】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0
/(SiO+GeO)=0〜3.0
(OH+F)/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0063】
この方法の別の特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの四価元素Yの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、1種またはいくつかの水酸化物アニオン供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
YO/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
OH/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0064】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0065】
この方法の別の特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの四価元素Yの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、1種またはいくつかのフッ化物アニオン供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつモル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
YO/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0066】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0067】
上記方法の別の特定の実施形態によると、反応混合物は、いくつかの三価元素Xの1種またはいくつかの供給源、ならびに1種またはいくつかの四価元素の1種またはいくつかの供給源を含んでもよい。
【0068】
1つの特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの三価元素Xの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの四価元素Yの少なくとも1種の供給源、および/またはいくつかの有機カチオンR供給源、水酸化物アニオン、フッ化物アニオンおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1種の供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつ反応混合物は、モル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
YO/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
OH/SiO=0〜3.0
/SiO=0〜3.0
(OH+F)/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0069】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0
/(SiO+GeO)=0〜3.0
(OH+F)/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0070】
別の特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの三価元素Xの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの四価元素Yの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、1種またはいくつかの水酸化物アニオン供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつ反応混合物は、モル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
YO/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
OH/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0071】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0072】
別の特定の実施形態によると、反応混合物は、排他的に、1種またはいくつかのSiO供給源、1種またはいくつかの三価元素Xの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの四価元素Yの少なくとも1種の供給源、1種またはいくつかの有機カチオンR供給源、1種またはいくつかのフッ化物アニオン供給源、ならびに水を含む反応混合物を含んでなり、かつ反応混合物は、モル比に関して以下の間隔間の組成を有する。
/SiO=0.01〜1.0
/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
YO/SiO=0〜0.1(0の値を除く)
/SiO=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/SiO=1〜50
【0073】
本実施形態によると、反応混合物に少なくとも1種のGeOの供給源を添加する場合、その組成は、モル比に関して以下の間隔間であろう。
GeO/SiO=0および0.5(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1(0の値を除く)
/(SiO+GeO)=0〜3.0(0の値を除く)、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0074】
上記の方法によると、反応混合物は、H、アルカリ、アルカリ土類金属およびそれらの組合せから選択される電荷+nの少なくとも1種の無機カチオンならびに両方の混合物から選択される電荷+nの無機カチオンMの供給源を含むこともできる。
【0075】
上記方法の好ましい実施形態によると、カチオンRは、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムであることが可能である。一般的に、反応混合物は、モル比に関して以下の間隔間の組成を有することができると言ってよい。
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
+n/(SiO+GeO)=0〜1.0
OH/(SiO+GeO)=0〜3.0
/(SiO+GeO)=0〜3.0
(F+OH)/(SiO+GeO)=0〜3
/(SiO+GeO)=0〜0.1
YO/(SiO+GeO)=0〜0.1、および
O/(SiO+GeO)=1〜50
【0076】
1つの特定の実施形態によると、ITQ−55が得られる反応混合物の組成は、一般的に、モル比に関して示されるパラメータの値を有する以下の式を表してよい。
rR1/p(OH):sM1/nOH:tX:uYO:vF:gGeO:(1−g)SiO:wH
(式中、Mは、電荷+nの1種またはいくつかの無機カチオン、好ましくはアルカリまたはアルカリ土類であり、Xは、1種またはいくつかの三価元素、好ましくは、Al、B、Ga、Fe、Crまたはそれらの混合物であり、Yは、Siとは異なる1種またはいくつかの四価元素、好ましくは、Zr、Ti、Sn、Vまたはそれらの混合物であり、Rは、1種またはそれ以上の有機カチオンであり、pは、カチオンの電荷またはカチオンの平均電荷であり、好ましくは、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチロ−オクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムであり、Fは、1種またはそれ以上のフッ化物イオン供給源、好ましくは、HF、NHFまたは両方の混合物であり、g、r、s、t、u、vおよびwの値は以下の間隔で変化する。
g=0〜0.5、好ましくは、0〜0.33
r=ROH/SiO=0.01〜1.0、好ましくは、0.1〜1.0
s=M/nOH/SiO=0〜1.0、好ましくは、0〜0.2
t=X/SiO=0〜0.1、好ましくは、0〜0.05
u=YO/SiO=0〜0.1、好ましくは、0〜0.05
v=F/SiO=0〜3.0、好ましくは、0〜2.0
w=HO/SiO=1〜50、好ましくは、1〜20
【0077】
合成混合物の成分は種々の供給源から由来してもよく、これら次第で、時間および結晶化条件は変動してもよい。
【0078】
好ましくは、混合物の熱処理は、110℃〜200℃の温度で行なわれる。反応混合物の熱処理は、静的に、または混合物を攪拌しながら行なうことができる。結晶化が終了したら、固体生成物をろ過、または遠心処理によって分離し、そして乾燥させる。350℃より高い温度、好ましくは400〜1300℃、より好ましくは600〜1000℃でのその後の焼成によって、ゼオライト内をふさぐ有機残物が分解および除去され、ゼオライトのチャネルが清浄となる。
【0079】
SiOの供給源は、例えば、テトラエチルオルトシリケート、コロイダルシリカ、非晶質シリカおよびそれらの混合物であってよい。
【0080】
フッ化物アニオンは、先駆体種の可動化剤として使用されてもよい。フッ化物イオンの供給源は、好ましくは、HF、NHFまたは両方の混合物である。
【0081】
Rによって表される有機カチオンは、好ましくは別の塩、例えばハロゲン化物の水酸化物型、ならびに水酸化物混合物および別の塩で反応混合物に添加され、すなわち、追加的に、水酸化物型または塩型のアルカリ、アルカリ土類イオンの供給源が添加されてもよい。
【0082】
好ましい様式において、有機カチオンRは、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチル−オクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムであり、これは好ましくは、水酸化物、別の塩ならびに水酸化物混合物および別の塩、好ましくはハロゲン化物から選択される形態で添加される。
【0083】
有機カチオンのN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチロ−オクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムは、以下の略図に表されるプロセスに従って合成される。
【化1】
【0084】
このプロセスにおいて、アルドール縮合反応が生じ、それに続いて、1,3−アセトンジカルボン酸ジメチルと2,3−ブタノジオンとの間で脱炭酸反応が生じ、相当するジケトン、3a,6a−ジメチルテトラヒドロペンタレン−2,5(1H,3H)−ジオンが得られる。このジケトンは、ジメチルアミンの存在下、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用して還元アミノ化反応によって相当するジアミンに変換されて、N,N,N,N,3a,6a−ヘキサメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアミンが得られる。このジアミンを、その後、ヨウ化メチルによって四級化し、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヨージドの塩が得られる。
【0085】
ジアルキルアンモニウムニジヨージドの塩を水に溶解し、そして水酸化物型のアニオン交換樹脂を使用して、その水酸化物型と交換してもよい。
【0086】
本方法の別の特定の実施形態によると、本発明からの微孔性結晶質材料、ITQ−55の反応混合物に、結晶化の促進剤として、添加された無機酸化物の合計に関して0.01〜20重量%、好ましくは、0.05〜10重量%の量が添加される。
【0087】
また、本発明の手段によって製造された材料は、周知の技術によってペレット化され得る。
【0088】
本発明は、上記され、かつ上記のプロセスによって得られる微孔性結晶質材料の使用にも関する。
【0089】
本発明の材料は、有機化合物の変換プロセスにおける触媒または触媒成分として、あるいは有機化合物の吸着および分離プロセスにおける吸着剤として使用されてもよい。
【0090】
上記プロセスにおけるその使用のために、ITQ−55は、その内部に有機物質を含まない焼成型であることが好ましい。
【0091】
これらの触媒用途で使用されるITQ−55材料は、その酸型であってもよく、かつ/あるいはHならびに/またはアルカリ、アルカリ土類金属、ランタニドおよびそれらの組合せから選択される電荷+nの無機カチオンなどの適切なカチオンと交換されてもよい。
【0092】
吸着/分離プロセスで使用されるITQ−55材料は、純粋なケイ質型であり得、すなわち、その組成にケイ素および酸素以外の元素を含有しない。
【0093】
吸着/分離プロセスで使用されるITQ−55材料は、シリカ−ゲルマニア型であり得、すなわち、その組成にケイ素、ゲルマニウムおよび酸素以外の元素を含有しない。
【0094】
ITQ−55材料は、それらの気体を含有する流れにおいて、炭化水素、好ましくは、メタン、エタン、エチレンおよびそれらの組合せの存在下でのCOの選択的吸着剤、ならびに粉末状、ペレット型、または膜型の吸着剤としての使用のために特に適切である。
【0095】
1つの特定の実施形態によると、ITQ−55材料は、COおよびメタンの分離のために使用され得る。
【0096】
1つの特定の実施形態によると、ITQ−55材料は、COおよびエタンの分離のために使用され得る。
【0097】
1つの特定の実施形態によると、ITQ−55材料は、COおよびエチレンの分離のために使用され得る。
【0098】
別の特定の実施形態によると、ITQ−55材料は、これらの気体を含有する1個または2個の炭素原子の炭化水素の吸着プロセスにおける分離、ならびに粉末状、ペレット型、または膜型の吸着剤のために特に適切である。
【0099】
1つの特定の実施形態によると、ITQ−55材料は、エタンの存在下でのエチレンの選択的吸着剤として使用される。
【0100】
別の特定の実施形態によると、ITQ−55材料は、メタンの存在下でのエチレンの選択的吸着剤として使用される。
【0101】
明細書および請求項を通して、「含む」という用語およびその変形は、他の技術的特徴、添加物、成分またはステップを排除しない。当業者は、本発明の他の対象、利点および特徴が部分的に明細書から、そして部分的に本発明の実施から理解するであろう。
【0102】
本発明を、それらを限定することを目的としない以下の実施例の手段によって例証する。
【実施例】
【0103】
実施例1 N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシドの調製
360.0mLのHO中5.6gのNaHCOの新しく調製され、強力に混合された溶液(pH=8)に、48.2mL(526.3mmol)の1,3−アセトンジカルボキシレートと、それに続いて、23.0mL(263.2mmol)の2,3−ブタノジオンを添加する。混合物を72時間、連続的に攪拌し続ける。この期間の後、得られた大量の沈殿物を真空化でろ過し、氷浴中で冷却し、HCl(5%)を用いてpH=5まで酸性化する。未加工の沈殿物をCHClで3回抽出し、組み合わせた有機相を塩水で洗浄し、そしてMgSO上で乾燥させる。混合物を、折られたろ過材を通してろ過し、そして得られたろ液を真空下で濃縮し、そして追加的な精製を行わずに次の段階で使用する。
【0104】
得られた固体を300.00mLの塩酸(1M)および30.0mLの氷酢酸の混合物中に懸濁させ、その後、24時間、還流させながら加熱する。得られた混合物を最初に室温まで冷却し、次いで、氷浴中で冷却し、その後、CHClを用いて5回抽出し、組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させる。得られた粗製沈殿物を、折られたろ過材を通してろ過し、真空下で濃縮して、32.7g(75%)の所望のジケトン、3a,6a−ジメチルテトラヒドロペンタレン−2,5(1H,3H)−ジオンが得られる。
【0105】
以下に記載する方法によって、このジケトンを、相当するジアミンへと変換する。350.0mLのメタノール中1.0Mのジメチルアミン溶液を氷浴中で冷却し、そしてその上に、pH=7〜8が得られるまで、MeOH中5NのHCl溶液を滴下する。次いで、可能な限り最小量のMeOH中に溶解された、以前に調製されたジケトン16.7g(100.7mmol)を添加し、続いて、10.2g(161.2mmol)のNaBHCNを添加する。温度を室温まで上昇させ、72時間、連続的に攪拌し続ける。
【0106】
pH=2に達するまでMeOH中5NのHClを添加して、KOH中飽和溶液まで、形成したHCNをNの流れによって置き換えることによって、可能な限り過剰のNaBHCNを中和する。混合物を真空下で部分的に濃縮し、そしてpH=12に達するまで、得られた粗製物をKOH(25%)溶液によって塩基化し、そしてそれをNaClによって飽和させる。得られた粗製物をCHClによって3回抽出し、組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させる。これを、21.4g(95%)の所望のジアミン、N,N,N,N,3a,6a−ヘキサメチルオクタヒドロ−ペンタレン−2,5−ジアミンが得られるまで、真空下で濃縮する。
【0107】
その後、ジアミンを第4級ジアンモニウムケトンへと変換する。21.6gの以前に得られたジアミンを100.0mLのMeOHに溶解し、そしてこれに、補償圧力漏斗によって、ゆっくり、40.0mLのMeOH中45.0mL(722.8mmol)のCHIを添加する。ほぼ直後に黄色状沈殿物が生じる。混合物を72時間、連続的に攪拌し続け、次いで、45.0ml(722.8mmol)のCHIを添加し、1週間が終わるまで連続攪拌下に保持する。得られた沈殿物を真空下でろ過し、大量のジエチルエーテルで洗浄すると、37.1gのヨーシド型の所望の第4級アンモニウム塩、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヨージドが得られる。
【0108】
ろ液を真空下で濃縮し、そして得られた粘性固体を大量のアセトンで洗浄すると、新たな沈殿物が現れ、これをろ過および真空下で乾燥後、さらに2.0gの上記アンモニウム塩(80%)が得られる。
【0109】
以下の方法に従って、イオン交換樹脂を使用して、カチオンのヨージドをヒドロキシドと交換する。20g(44mmol)のカチオンのヨージド(RI)を水に溶解する。得られた溶液に、89gのDowex SBR樹脂を添加し、そしてこれを翌日まで攪拌下に保持する。その後、これをろ過し、蒸留水で洗浄して、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))が得られる。フェノールフタレインを指示薬として使用して、HCl(水)を用いてこれを滴定し、92%より高い交換効率が得られる。
【0110】
最終溶液は、溶液1000gあたり0.47当量のヒドロキシドを含有する。
【0111】
実施例2 ゼオライト調製物ITQ−55
40%のコロイド状シリカの水溶液(Ludox ACE−40)6gを、1000g中0.47当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液42.5gに添加する。過剰量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで、攪拌下で混合物をエバポレーションさせる。最後に、0.74gのフッ化アンモニウムを2.5gの水中に添加する。ゲルの組成は、SiO:0.25R(OH):0.5NHF:5HOである。
【0112】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で10日以上、150℃で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体のX線ディフラクトグラムを図1に示す。これは、表IIIに現れる最も特徴的なピークの一覧を表す。空気中3時間の800℃における焼成によって、収蔵された有機種を排除することが可能である。焼成されたゼオライトITQ−55のX線回折パターンを図2に示す。これは、表IVに現れる最も特徴的なピークの一覧を表し、材料がこのプロセスの間に安定であることを示す。
【0113】
実施例3 ゼオライト調製物ITQ−55
8gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を、1000g中0.47当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液40.8gに添加する。TEOSの加水分解から生じるエタノールおよび必要量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで、攪拌下で混合物をエバポレーションさせる。最後に、0.77gのフッ化水素酸の溶液を添加する(重量で50%のHF)。ゲルの組成は、SiO:0.25R(OH):0.5HF:5HOである。
【0114】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で10日以上、15で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体はITQ−55である。
【0115】
実施例4 ゼオライト調製物ITQ−55
40%のコロイド状シリカの水溶液(Ludox ACE−40)6gを、1000g中0.47当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液42.5gに添加する。その後、0.14gの水酸化アンモニウムを添加し(57%Al)、そして過剰量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで混合物をエバポレーションさせる。最後に、0.74gのフッ化アンモニウムを2.5gの水中に添加する。ゲルの組成は、SiO:0.02Al:0.25R(OH):0.5NHF:5HOである。
【0116】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で14日以上、150℃で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体は、図3に示すX線回折を示し、これはITQ−55であることを示す。
【0117】
実施例5 ゼオライト調製物ITQ−55
0.087gのTiテトラエトキシド(IV)(TEOTi)に、8gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を添加する。次に、1000g中0.47当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液40.8gを添加する。TEOSおよびTEOTiの加水分解から生じるエタノールおよび必要量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで、攪拌下で混合物をエバポレーションさせる。最後に、0.77gのフッ化水素酸の溶液を添加する(重量で50%のHF)。ゲルの組成は、SiO:0.01TiO:0.25R(OH):0.5HF:5HOである。
【0118】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で14日以上、150℃で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体はITQ−55である。
【0119】
実施例6 ゼオライト調製物ITQ−55
40%のコロイド状シリカの水溶液(Ludox ACE−40)6gを、1000g中0.47当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液42.5gに添加する。次に、0.1gのHBOを添加し、そして過剰量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで、攪拌下で混合物をエバポレーションさせる。最後に、0.74gのフッ化アンモニウムを2.5gの水中に添加する。ゲルの組成は、SiO:0.02B:0.25R(OH):0.5NHF:5HOである。
【0120】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で14日以上、150℃で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体はITQ−55である。
【0121】
実施例7 ゼオライト調製物ITQ−55
8gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)に、1000g中0.53当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液36.6gを添加する。次に、0.0476gのHBOを添加する。TEOSの加水分解から生じるエタノールおよび必要量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで、攪拌下で混合物をエバポレーションさせる。ゲルの組成は、SiO:0.01B:0.25R(OH):10HOである。
【0122】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で14日以上、150℃で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体はITQ−55である。
【0123】
実施例8 ゼオライト調製物ITQ−55
8gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)に、1000g中0.532当量のヒドロキシドを含有するN,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムジヒドロキシド(R(OH))の溶液36.3gを添加する。次に、0.805gのGeOを添加する。TEOSの加水分解から生じるエタノールおよび必要量の水が完全に排除され、示される最終組成に達するまで、攪拌下で混合物をエバポレーションさせる。ゲルの組成は、SiO:0.2GeO:0.25R(OH):10HOである。
【0124】
得られた混合物を、ポリテトラフルオロエチレンの内部スリーブを備えたオートクレーブに導入し、そしてこれを、回転システムを備えた電気炉中で14日以上、150℃で加温する。ろ過、蒸留水による洗浄および100℃での乾燥時に得られた固体はITQ−55である。
【0125】
実施例9 実施例2のITQ−55材料における30℃でのCOの吸着
30℃および9バールにおける、実施例2に従って調製されたITQ−55材料のCOの吸着能力の測定は、2.96ミリモル/gに相当する。同様に、20回の吸着/脱着サイクルを実行した後に得られた値は2.95ミリモル/gであり、このことは、材料ITQ−55は、高いサイクル数の後にその吸着能力を保持することを実証する。
【0126】
実施例10 実施例2のITQ−55材料における60℃でのCOの吸着
60℃および9バールにおける、実施例2に従って調製されたITQ−55材料のCOの吸着能力の測定は、2.35ミリモル/gに相当する。
【0127】
実施例11 実施例2のITQ−55材料における60℃でのメタンの吸着
60℃および9バールにおける、実施例2に従って調製されたITQ−55材料のメタンの吸着能力の測定は、この温度および圧力で24時間の平衡後、0.22ミリモル/gに相当する。
【0128】
実施例12 実施例2のITQ−55材料における30℃でのメタンの吸着
30℃および9バールにおける、実施例2に従って調製されたITQ−55材料のメタンの吸着能力の測定は、この温度および圧力で24時間の平衡後、0.18ミリモル/gに相当する。実施例5において観察されたものに関するこれらの条件下での最低吸着能力は、ゼオライトITQ−55細孔を通してのメタンの拡散能力の低下を示す。
【0129】
実施例13 実施例2のITQ−55材料におけるCOおよびメタンの分離の選択性の決定
メタンおよびCO分離の選択性は、同一圧力および温度におけるCOおよびメタンの純粋気体の等温線の吸着値の比率から考察されている。分離プロセスの選択性は、これらの値間の比率がより高い限り、より良好であると考えられる。図4中、様々な温度における気体気圧に対するこの比率の変動を示す。
【0130】
実施例14 実施例2のITQ−55材料における30℃でのエタンの吸着
30℃および9バールにおける、実施例2に従って調製されたITQ−55材料のエタンの吸着能力の測定は、この温度および圧力で24時間の平衡後、0.14ミリモル/gに相当する。
【0131】
実施例15 実施例2のITQ−55材料における30℃でのエチレンの吸着
30℃および9バールにおける、実施例2に従って調製されたITQ−55材料のエチレンの吸着能力の測定は、この温度および圧力で24時間の平衡後、0.75ミリモル/gに相当する。
【0132】
追加的な実施形態
追加的に、または代わりに、本発明は以下の実施形態の1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0133】
実施形態1
焼成状態(calcined state)であって、シラノールの存在によって示される結晶マトリックス(crystalline matrix)中の欠陥がない状態(absence of defects)で、以下の実験式:
x(M1/nXO):yYO:gGeO:(1−g)SiO
[式中、
Mは、H+、電荷+nの少なくとも1種の無機カチオンおよび両方の混合物(又は組合せ)から選択され、
Xは、酸化状態+3の少なくとも1種の化学元素であり、
Yは、Siとは異なる酸化状態+4の少なくとも1種の化学元素であり、
xは、0〜0.2(0および0.2を含む)の値であり、
yは、0〜0.1(0および0.1を含む)の値であり、
gは、0〜0.5(0および0.5を含む)の値である]
を有し、合成されたままの状態で、少なくとも、以下の角度の値2θ(度)および相対強度(I/I):
【0134】
【表11】
【0135】
[表中、
は、100の値が割り当てられる(又は帰属される)最も強いピーク(pick)からの強度であり、
wは、0〜20%の弱い相対強度であり、
mは、20〜40%の中間(又はアベレージ)の相対強度であり、
fは、40〜60%の強い相対強度であり、
mfは、60〜100%の非常に強い相対強度である]
を有するX線回折パターンを有することを特徴とする、ゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0136】
実施形態2
焼成状態であって、少なくとも、以下の角度の値2θ(度)および相対強度(I/I):
【0137】
【表12】
【0138】
[表中、
wは、0〜20%の弱い相対強度であり、
mは、20〜40%の中間の相対強度であり、
fは、40〜60%の強い相対強度であり、
mfは、60〜100%の非常に強い相対強度である]
を有するX線回折パターンを有することを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0139】
実施形態3
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せから選択されることを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0140】
実施形態4
Yが、Zr、Ti、Sn、Vおよびそれらの組合せから選択されることを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0141】
実施形態5
Mが、H+、アルカリ、アルカリ土類金属およびそれらの組合せから選択される電荷+nの少なくとも1種の無機カチオン、ならびにそれらの混合物(又は組合せ)から選択されることを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0142】
実施形態6
「x」が0であり、「y」が0であり、「g」が0であることを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0143】
実施形態7
「x」が0であり、「y」が0であり、「g」が0以外であることを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0144】
実施形態8
Xが、Al、Ga、B、Fe、Crおよびそれらの組合せであり、
yの値が0であり、
gの値が0である
ことを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0145】
実施形態9
Yが、Ti、Zr、Snおよびそれらの組合せであり、
xの値が0であり、
gの値が0である
ことを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0146】
実施形態10
Xが、Al、Ga、B、Fe、Cr、およびそれらの組合せであり、
Yが、Ti、Zr、Sn、およびそれらの組合せであり、
gの値が0である
ことを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0147】
実施形態11
Xが、Al、Ga、B、Fe、Cr、およびそれらの組合せであり、
yの値が0であり、
gの値が0以外であり、0.33未満である
ことを特徴とする、実施形態1または2に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0148】
実施形態12
Yが、Ti、Zr、Sn、およびそれらの組合せであり、
xの値が0であり、
gの値が0以外であり、0.33未満である
ことを特徴とする、実施形態1に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0149】
実施形態13
Xが、Al、Ga、B、Fe、Cr、およびそれらの組合せであり、
Yが、Ti、ZrまたはSnであり、
gの値が0以外であり、0.33未満である
ことを特徴とする、実施形態1または2に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0150】
実施形態14
反応混合物が、少なくとも、
1種又は幾つかのSiO供給源、
1種又は幾つかの有機カチオンR供給源、
水酸化物アニオン(又はヒドロキシドアニオン)、フッ化物アニオン(又はフルオリドアニオン)およびそれらの組合せから選択される少なくとも1種のアニオン供給源、ならびに水を含み、
80℃〜200℃の温度に加熱すること(又は工程もしくはステップ)を含み、反応混合物が、モル比に関して、以下の範囲(又はインターバル):
/SiO=0.01〜1.0
OH/SiO=0〜3.0
/SiO=0〜3.0
(F+OH)/SiO=0.01〜3.0
O/SiO=1〜50
に含まれる組成を有することを特徴とする、微孔性結晶質材料の合成方法。
【0151】
実施形態15
反応混合物が、1種以上のGeO供給源をも含み、モル比に関して、以下の範囲(又はインターバル):
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0.0〜3.0
OH/(SiO+GeO)=0.0〜3.0
(F+OH)/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
の組成を有することを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0152】
実施形態16
前記アニオンがフッ化物であり、モル比に関して、以下の範囲(又はインターバル):
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
の組成を有することを特徴とする、実施形態14または15に記載の方法。
【0153】
実施形態17
前記アニオンが水酸化物であり、モル比に関して、以下の範囲(又はインターバル):
GeO/SiO=0および0.5
/(SiO+GeO)=0.01〜1.0
OH/(SiO+GeO)=0.01〜3.0
O/(SiO+GeO)=1〜50
の組成を有することを特徴とする、実施形態14または15に記載の方法。
【0154】
実施形態18
前記反応混合物が、1種以上の三価X元素の少なくとも1種の供給源をも含むことを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0155】
実施形態19
前記反応混合物が、SiおよびGe以外の他の四価元素Yの少なくとも1種の供給源をも含むことを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0156】
実施形態20
前記有機カチオンR供給源が、N,N,N,N,N,N,3a,6a−オクタメチルオクタヒドロペンタレン−2,5−ジアンモニウムであることを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0157】
実施形態21
前記有機カチオンRが、水酸化物、別の塩、ならびに水酸化物混合物(又はヒドロキシド混合物)および別の塩から選択されて添加されることを特徴とする、実施形態20に記載の方法。
【0158】
実施形態22
添加される無機酸化物の全量に関して、0.01〜20重量%の量が、結晶化の促進剤(又はプロモータ)として、前記微孔性結晶質材料の前記反応混合物に添加されることを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
【0159】
実施形態23
架橋原子によって連結された四面体(T)原子のフレーム構造(又はフレームワーク)を有し、前記四面体原子が、以下の表:
【0160】
【表13】
【0161】
【表14】
【0162】
に記載される様式で、最も近いT原子を連結することによって定義される、ゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0163】
実施形態24
架橋原子によって連結された四面体(T)原子のフレーム構造を有し、前記四面体原子が、以下の表:
【0164】
【表15】
【0165】
【表16】
【0166】
に記載される様式で、最も近いT原子を連結することによって定義される、実施形態1または2に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0167】
実施形態25
合成されたままの状態で、少なくとも、以下の角度の値2θ(度)および相対強度(I/I):
【0168】
【表17】
【0169】
[表中、
は、100の値が割り当てられる最も強いピーク(pick)からの強度であり、
wは、0〜20%の弱い相対強度であり、
mは、20〜40%の中間(又はアベレージ)の相対強度であり、
fは、40〜60%の強い相対強度であり、
mfは、60〜100%の非常に強い相対強度である]
を有するX線回折パターンを有する、実施形態23に記載のゼオライト性の微孔性結晶質材料。
【0170】
特定の実施形態を参照することによって、本発明が説明および例示されたが、当業者は、本発明が、必ずしも本明細書に例示されていない変形型に導かれることを認識するであろう。この理由のため、本発明の真の範囲を定義する目的のためには、添付の請求の範囲のみが参照されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5