特許第6387144号(P6387144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6387144
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20180827BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B60C11/12 D
   B60C11/03 100B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-88805(P2017-88805)
(22)【出願日】2017年4月27日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 信行
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−006559(JP,A)
【文献】 特開2015−054681(JP,A)
【文献】 特開2016−199118(JP,A)
【文献】 特開平11−321239(JP,A)
【文献】 米国特許第03411559(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02483332(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
B60C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝又はこれらに加えてタイヤ幅方向に延びる横溝によって画定された複数の陸部と、を備えた空気入りタイヤであって、
前記陸部は、
タイヤ周方向に延びる周方向サイプと、
前記周方向サイプのタイヤ幅方向の少なくとも一方側において、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプと、
前記周方向サイプと前記幅方向サイプの幅方向一端部との間に位置しており、これらを互いに隔てる隔壁部とを有し、
前記隔壁部は、タイヤ幅方向において、前記陸部の表面における幅Wが、前記表面における前記周方向サイプから前記一方側における接地の1/3以下に設定されており、タイヤ径方向内側が、前記表面における幅Wに比して幅広に形成されており、
前記隔壁部は、タイヤ周方向から見て、前記幅方向サイプ側に位置する側部に、前記表面からこの面直方向にタイヤ径方向の内側に延びる面直部分を有しており、
前記面直部分のタイヤ径方向における長さHは、前記幅方向サイプの溝深さの1/2以下である空気入りタイヤ。
【請求項2】
タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝又はこれらに加えてタイヤ幅方向に延びる横溝によって画定された複数の陸部と、を備えた空気入りタイヤであって、
前記陸部は、
タイヤ周方向に延びる周方向サイプと、
前記周方向サイプのタイヤ幅方向の少なくとも一方側において、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプと、
前記周方向サイプと前記幅方向サイプの幅方向一端部との間に位置しており、これらを互いに隔てる隔壁部とを有し、
前記隔壁部は、タイヤ幅方向において、前記陸部の表面における幅Wが、前記表面における前記周方向サイプから前記一方側における接地幅の1/3以下に設定されており、タイヤ径方向内側が、前記表面における幅Wに比して幅広に形成されており、
前記隔壁部は、タイヤ周方向から見て、前記幅方向サイプ側に位置する側部に、前記表面からこの面直方向にタイヤ径方向の内側に延びる面直部分を有しており、
前記周方向サイプは、前記表面に対して面直に形成されており、タイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜角度θ2を有しており、
前記隔壁部の前記幅W、前記面直部分のタイヤ径方向における長さH、及び前記傾斜角度θ2は、
W≧Htanθ2
の関係を満足する空気入りタイヤ。
【請求項3】
タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝又はこれらに加えてタイヤ幅方向に延びる横溝によって画定された複数の陸部と、を備えた空気入りタイヤであって、
前記陸部は、
タイヤ周方向に延びる周方向サイプと、
前記周方向サイプのタイヤ幅方向の少なくとも一方側において、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプと、
前記周方向サイプと前記幅方向サイプの幅方向一端部との間に位置しており、これらを互いに隔てる隔壁部とを有し、
前記隔壁部は、タイヤ周方向から見て、前記幅方向サイプ側に位置する側部に、前記陸部の表面からこの面直方向にタイヤ径方向の内側に延びる面直部分と、タイヤ径方向の内径側の端部に形成されておりタイヤ径方向内側に向かって前記幅方向サイプ側に傾斜した傾斜部分とを有している空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記周方向サイプは、前記表面に対して面直に形成されており、タイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜角度θ2を有しており、
前記隔壁部の前記表面における幅W、前記面直部分のタイヤ径方向における長さH、及び前記傾斜角度θ2は、
W≧Htanθ2
の関係を満足する、
請求項1又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記隔壁部は、タイヤ周方向から見て、前記幅方向サイプ側に位置する側部に、タイヤ径方向内側に向かって前記幅方向サイプ側に傾斜した傾斜部分を有し、
前記傾斜部分の傾斜角度θ1は、前記側部と前記表面との交点を通り該表面に対して面直に延びる直線に対して45°以下である、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記周方向サイプは、前記表面に対して面直に形成されており、タイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜角度θ2を有しており、
前記傾斜部分の前記傾斜角度θ1は、前記傾斜角度θ2以上である、
請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ周方向に延びる複数の主溝によって区画された陸部(例えばリブ)を有する空気入りタイヤにおいて、陸部の剛性をタイヤ周方向に延びる周方向サイプとこれに交差してタイヤ幅方向に延びる幅方向サイプとによって低減させて、陸部の接地性の均一化を図ることが知られている。
【0003】
しかしながら、周方向サイプと幅方向サイプとを交差させるように形成した場合、周方向サイプと幅方向サイプとの交差部により分断された陸部間に剛性差が生じやすく、該剛性差に起因して周方向における偏摩耗が生じやすい。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1には、周方向サイプと幅方向サイプとの間にこれらを互いに隔てる隔壁部が形成された空気入りタイヤが開示されている。隔壁部を介して上記交差部のタイヤ周方向の両側に位置する陸部が連結されることになるので、タイヤ周方向における剛性差が低減し、タイヤ周方向における偏摩耗が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−199118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の空気入りタイヤでは、隔壁部を形成することによって、タイヤ幅方向における剛性差が増大するため、タイヤ幅方向における偏摩耗が増大してしまう。しかしながら、特許文献1には、タイヤ周方向のみならず、タイヤ幅方向における偏摩耗の増大を抑制することについて特段の示唆はない。
【0007】
本発明は、周方向サイプ及び幅方向サイプを形成することによって接地性を向上させた空気入りタイヤにおいて、周方向のみならず、幅方向における偏摩耗の増大を抑制可能な空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝又はこれらに加えてタイヤ幅方向に延びる横溝によって画定された複数の陸部と、を備えた空気入りタイヤであって、前記陸部は、タイヤ周方向に延びる周方向サイプと、前記周方向サイプのタイヤ幅方向の少なくとも一方側において、タイヤ幅方向に延びる幅方向サイプと、前記周方向サイプと前記幅方向サイプとの間に位置しており、これらを互いに隔てる隔壁部とを有し、前記隔壁部は、タイヤ幅方向において、前記陸部の表面における幅Wが、前記表面における前記周方向サイプから前記一方側における接地端までの長さの1/3以下に設定されており、タイヤ径方向内側部分が、前記表面における前記幅Wに比して幅広に形成されている空気入りタイヤを提供する。
【0009】
本発明によれば、幅方向サイプのタイヤ周方向の両側に位置する陸部が隔壁部によって接続されているので、これらの陸部間の周方向における剛性差が低減される。さらに、隔壁部は陸部表面におけるタイヤ幅方向の幅Wが、周方向サイプから接地端までの長さの1/3以下に設定されているので、幅方向サイプによって陸部の剛性を適度に低減させつつ、隔壁部の表面側における剛性が過度に高くなることが抑制され、この結果、タイヤ幅方向における剛性差が低減される。よって、周方向サイプと幅方向サイプとによって陸部の剛性を低減させて接地性の均一化を図りつつも、これらのタイヤ周方向及びタイヤ幅方向における剛性差の増大を抑制できるので、タイヤ周方向のみならずタイヤ幅方向における偏摩耗の増大をも抑制できる。
【0010】
さらに、隔壁部は表面側に比してタイヤ径方向内側において幅広に形成されているので、基端部側の剛性を効果的に高めやすく、例えば旋回時等の横力が作用した場合であっても過大な変形が抑制され、ドライグリップ力の低下が抑制される。
【0011】
さらにまた、隔壁部を介して、幅方向サイプを挟んだタイヤ周方向両側の陸部が接続されているので、加硫成形時にこれらの間にわたってゴムの流動を可能とし、ゴム流れ不良に起因したベアが抑制される。
【0012】
好ましくは、前記隔壁部は、タイヤ周方向から見て、前記幅方向サイプ側に位置する側部に、前記表面からこの面直方向にタイヤ径方向の内側に延びる面直部分を有している。
【0013】
本構成によれば、隔壁部の表面側における剛性を適度に低下させやすい。さらに、摩耗進行時においても、幅方向サイプのサイプ長を維持しやすく、接地性の均一化を維持しやすい。
【0014】
また、好ましくは、前記面直部分のタイヤ径方向における長さHは、前記幅方向サイプの溝深さの1/2以下である。
【0015】
本構成によれば、隔壁部の表面側における剛性を適度に低下させやすい。面直部分が幅方向サイプの溝深さの1/2よりも長くなると、隔壁部の剛性低下代が大きくなる。
【0016】
また、好ましくは、前記周方向サイプは、前記表面に対して面直に形成されており、タイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜角度θ2を有しており、前記隔壁部の前記幅W、前記面直部分のタイヤ径方向における前記長さH、及び前記傾斜角度θ2は、W≧Htanθ2の関係を満足する。
【0017】
本構成によれば、隔壁部の面直部分について、少なくとも傾斜角度θ2で傾斜した部分のタイヤ幅方向成分だけ隔壁部の幅Wを確保することができるので、隔壁部のタイヤ幅方向における剛性を確保しやすい。
【0018】
また、好ましくは、前記隔壁部は、タイヤ周方向から見て、前記幅方向サイプ側に位置する側部に、タイヤ径方向内側に向かって前記幅方向サイプ側に傾斜した傾斜部分を有し、前記傾斜部分の傾斜角度θ1は、前記側部と前記表面との交点を通り該表面に対して面直に延びる直線に対して45°以下である。
【0019】
本構成によれば、隔壁部の剛性を適度に高めることができる。傾斜角度θ1が、45°より大きいと、隔壁部の剛性が過度に高くなってしまい、タイヤ幅方向における剛性差が過度に拡大してしまう。特に、摩耗進行時において、隔壁部の表面における幅が増大しやすく、タイヤ幅方向における剛性差が拡大し、タイヤ幅方向における偏摩耗が増大する。
【0020】
また、好ましくは、前記傾斜部分の前記傾斜角度θ1は、前記傾斜角度θ2以上である。
【0021】
本構成によれば、傾斜部分が、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ径方向の内側に傾斜して延びないので、隔壁部のタイヤ径方向の内側における剛性を適度に高めることができる。傾斜部分の傾斜角度θ1が傾斜角度θ2よりも小さいと、傾斜部分が、タイヤ径方向内側へ向かってタイヤ径方向の内側に傾斜して延びることになるので、隔壁部の剛性が低下しやすい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、周方向サイプ及び幅方向サイプを形成することによって接地性を向上させた空気入りタイヤにおいて、周方向のみならず、幅方向における偏摩耗の増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを展開して示す平面図。
図2図1のII−II線における断面図。
図3図1のIII−III線における断面図。
図4】変形例に係る隔壁部を示す図2と同様の断面図。
図5】さらなる変形例に係る隔壁部を示す図2と同様の断面図。
図6A】比較例1に係る空気入りタイヤを示す図2と同様の断面図。
図6B】比較例2に係る空気入りタイヤを示す図2と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部2のトレッドパターンを展開して示す平面図である。なお、説明の都合上、タイヤ周方向において図中右側へ向かう方向をF側と称し、図中左側へ向かう方向をR側と称する。
【0026】
図1に示されるように、トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる4本の主溝11〜14が形成されている。具体的には、タイヤ幅方向の略中央部に、2本の中央主溝11,12が形成されており、これらのタイヤ幅方向の外側それぞれに、2本の外側主溝13,14が形成されている。中央主溝11,12はそれぞれ、タイヤ赤道線CLを挟んだ両側に位置している。
【0027】
中央主溝11,12の間にはセンター陸部20が区画されている。中央主溝11と外側主溝13との間にメディエイト陸部30が区画され、中央主溝12と外側主溝14との間にメディエイト陸部40が区画されている。さらに、外側主溝13,14のタイヤ幅方向外側それぞれにショルダー陸部50,60が区画されている。
【0028】
すなわち、トレッド部2は、タイヤ周方向に延びる4本の主溝11〜14によって、タイヤ周方向に延びる5本の陸部20,30,40,50,60を有するリブパターンに構成されている。
【0029】
センター陸部20には、タイヤ幅方向に延びるラグ溝21及び幅方向サイプ22と、タイヤ周方向に延びる周方向サイプ23とが形成されている。
【0030】
ここで、本明細書では、周方向サイプ、幅方向サイプ等の用語を用いることがあるが、これらのサイプは、タイヤ加硫金型において板状のサイプブレードにより形成されるものを意味している。換言すれば、サイプは、溝幅が約1.5mm以下であって、接地した状態で互いに対向する溝壁面同士が接触する溝を意味している。
【0031】
ラグ溝21は、タイヤ周方向に間隔を空けて複数形成されており、中央主溝11に連通した一端部から、中央主溝12側へ向かってタイヤ周方向のF側へ傾斜して延びており、他端部がセンター陸部20内のタイヤ赤道線CLを超えた位置で終端している。
【0032】
周方向サイプ23は、タイヤ周方向に隣接して位置する一対のラグ溝21,21の間をタイヤ周方向に延びており、タイヤ周方向のF側に位置するラグ溝21の他端部から、タイヤ周方向のR側に向かって中央主溝11側へ傾斜した方向に延びて、タイヤ周方向のR側に位置するラグ溝21に至っている。
【0033】
幅方向サイプ22は、タイヤ周方向に隣接する一対のラグ溝21,21間のタイヤ周方向の略中央に位置しており、中央主溝11側から中央主溝12側に向かってタイヤ周方向のF側へ傾斜して延びている。幅方向サイプ22は、周方向サイプ23のタイヤ幅方向両側に一対に形成されており、中央主溝11側に位置する第1幅方向サイプ22Aと、中央主溝12側に位置する第2幅方向サイプ22Bとを有している。
【0034】
第1幅方向サイプ22Aは、中央主溝11に連通した一端部から、中央主溝12側へ延び、他端部が周方向サイプ23に対して間隔を有してセンター陸部20内で終端している。同様に、第2幅方向サイプ22Bは、中央主溝12に連通した一端部から、中央主溝11側へ延び、他端部が周方向サイプ23に対して間隔を有してセンター陸部20内で終端している。
【0035】
換言すれば、第1幅方向サイプ22A及び第2幅方向サイプ22Bと周方向サイプ23との間それぞれに、サイプが形成されていない中実部分としての隔壁部24が形成されている。
【0036】
メディエイト陸部30には、タイヤ周方向に間隔を空けて複数のラグ溝31とサイプ32とが形成されている。ラグ溝31は、外側主溝13に連通した一端部から中央主溝11側へ向かってタイヤ周方向のF側に傾斜した方向に延びており、他端部がメディエイト陸部30内で終端している。サイプ32は、ラグ溝31の他端部から、ラグ溝31の延在方向に沿って延びて中央主溝11に至っている。
【0037】
メディエイト陸部40には、タイヤ周方向に間隔を空けて複数のラグ溝41が形成されている。ラグ溝41は、外側主溝14に連通した一端部から中央主溝12側へ向かってタイヤ周方向のR側に傾斜した方向に延びており、他端部がメディエイト陸部40内で終端している。
【0038】
ショルダー陸部50には、タイヤ幅方向に延びるラグ溝51及び幅方向サイプ52と、タイヤ周方向に延びる周方向サイプ53とが形成されている。ラグ溝51は、タイヤ周方向に間隔を空けて複数形成されている。ラグ溝51は、ショルダー陸部50のタイヤ幅方向の外側端部に連通した一端部から、タイヤ幅方向内側に向かってタイヤ周方向のF側にやや傾斜した方向に延びており、他端部がショルダー陸部50内のうち外側主溝13側において終端している。
【0039】
周方向サイプ53は、ショルダー陸部50のうちタイヤ幅方向内側よりの部分においてタイヤ周方向に平行に延びており、タイヤ周方向に並ぶ複数のラグ溝51を、これらのタイヤ幅方向の内側部分においてタイヤ周方向に接続するように形成されている。周方向サイプ53は、接地端GLよりもタイヤ幅方向の内側に位置している。
【0040】
幅方向サイプ52は、タイヤ周方向に隣接する一対のラグ溝51,51間に複数形成されており、それぞれタイヤ幅方向内側に向かってタイヤ周方向のF側にやや傾斜した方向に延びている。幅方向サイプ52には、周方向サイプ53のタイヤ幅方向外側に形成された第1幅方向サイプ52Aと、周方向サイプ53のタイヤ幅方向内側に形成された第2幅方向サイプ52Bとが含まれる。
【0041】
本実施形態では、周方向に隣接する一対のラグ溝51,51間に、第1幅方向サイプ52Aが略等間隔で3本形成されており、このうちタイヤ周方向の最もF側及びR側に位置する第1幅方向サイプ52Aそれぞれに対応して第2幅方向サイプ52Bが形成されている。すなわち、一対のラグ溝51,51間のうち、タイヤ周方向の両側部分には第1幅方向サイプ52A及び第2幅方向サイプ52Bが周方向サイプ53に対して十字状に配置されており、タイヤ周方向の中央部分には周方向サイプ53のタイヤ幅方向外側にのみ第1幅方向サイプ52Aが配置されている。
【0042】
第1幅方向サイプ52Aは、タイヤ幅方向の両端部がショルダー陸部50内で終端する閉鎖サイプとして構成されており、周方向サイプ53に対して、このタイヤ幅方向外側から間隔を有して終端している。第2幅方向サイプ52Bは、外側主溝13に連通した一端部から、タイヤ幅方向外側に延びており、周方向サイプ53に対して、このタイヤ幅方向内側から間隔を有して終端している。
【0043】
換言すれば、第1幅方向サイプ52A及び第2幅方向サイプ52Bと周方向サイプ53との間それぞれに、サイプが形成されていない中実部分としての隔壁部54が形成されている。
【0044】
ショルダー陸部60には、タイヤ幅方向に延びるラグ溝61、第1幅方向サイプ62、及び第2幅方向サイプ63が形成されている。ラグ溝61は、タイヤ周方向に間隔を空けて複数形成されている。ラグ溝61は、ショルダー陸部60のタイヤ幅方向の外側端部に連通した一端部から、タイヤ幅方向内側に向かってタイヤ周方向のR側にやや傾斜した方向に延びており、他端部がショルダー陸部60内のうち外側主溝14側において終端している。
【0045】
第1幅方向サイプ62は、ラグ溝61の他端部から、この延在方向に沿ってタイヤ幅方向内側に延びて、外側主溝14に至っている。第2幅方向サイプ63は、タイヤ周方向に隣接する一対のラグ溝61,61間のタイヤ周方向の略中央に形成されており、それぞれタイヤ幅方向内側に向かってタイヤ周方向のR側にやや傾斜した方向に延びている。第2幅方向サイプ63は、タイヤ幅方向の両端部がショルダー陸部60内で終端する閉鎖サイプとして構成されている。
【0046】
図1中に点線で示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ショルダー陸部50,60のタイヤ幅方向外側よりに、接地端GLが位置している。すなわち、一対の接地端GLの間に位置する部分が接地状態で路面に当接する部分であり、センター陸部20及びメディエイト陸部30,40は全面が接地し、ショルダー陸部50,60は接地端GLのタイヤ幅方向の内側に位置する部分が接地する。
【0047】
以下、図2,3を参照して、隔壁部24,54について説明する。
【0048】
図2は、図1のII−II線に沿った断面図であり、センター陸部20の幅方向サイプ22に沿った断面をタイヤ周方向に見た図である。図2に示されるように、センター陸部20の表面は、タイヤ径方向に対して直交するように構成されている。幅方向サイプ22及び周方向サイプ23は、センター陸部20の表面に対して面直に形成されており、すなわちタイヤ径方向に平行に延びている。
【0049】
第1幅方向サイプ22Aと周方向サイプ23との間には、これらを互いに隔てる第1隔壁部24Aが形成されている。同様に、第2幅方向サイプ22Bと周方向サイプ23との間には、これらを互いに隔てる第2隔壁部24Bが形成されている。第1隔壁部24A及び第2隔壁部24Bはそれぞれ、タイヤ幅方向において、トレッド部2の表面側に比してタイヤ径方向内側部分が幅広に形成されている。
【0050】
タイヤ幅方向において、第1隔壁部24Aの表面側における幅W24Aは、周方向サイプ23によってタイヤ幅方向に二分されたセンター陸部20のうち第1幅方向サイプ22Aが形成された第1センター陸部20Aの接地幅W024Aの1/3以下に設定されている。上述したように、センター陸部20は接地状態で全面が路面に当接するようになっているので、接地幅W024Aは、周方向サイプ23から中央主溝11までのタイヤ幅方向における長さに相当する。
【0051】
同様に、第2隔壁部24Bの表面側における幅W24Bは、第2幅方向サイプ22Bが形成された第2センター陸部20Bの接地幅W024Bの1/3以下に設定されている。接地幅W024Bは、周方向サイプ23から中央主溝12までのタイヤ幅方向における長さに相当する。
【0052】
隔壁部24は、幅方向サイプ22側に位置する側部に、センター陸部20の表面からこの面直方向にタイヤ径方向の内側に延びる面直部分25を有している。上述したように、センター陸部20の表面はタイヤ径方向に対して直交しているので、面直部分25はタイヤ径方向に平行に延びている。面直部分25のタイヤ径方向における長さHは、幅方向サイプ22の溝深さH0の1/2以下に設定されている。
【0053】
また、隔壁部24は、幅方向サイプ22側に位置する側部に、タイヤ径方向内側に向かって前記幅方向サイプ側に傾斜した傾斜部分26を有している。傾斜部分26は、面直部分25よりもタイヤ径方向内径側に形成されている。好ましくは、傾斜部分26はタイヤ径方向の内径側の端部(幅方向サイプ22の溝底側)に形成されており、これにより摩耗時において、幅方向サイプ22のタイヤ幅方向における減少が抑制される。
【0054】
傾斜部分26の傾斜角度θ1は、隔壁部24の前記側部とトレッド部2の表面との交点を通り該表面に対して面直に延びる直線Lに対して45°以下に設定されている。これによって、摩耗時において、幅方向サイプ22のタイヤ幅方向における減少が抑制される。また、傾斜角度θ1は5°以上に設定するのが好ましく、これによって隔壁部24をタイヤ径方向の内径側の基端部において効果的に幅広に形成できる。
【0055】
図3は、図1のIII−III線に沿った断面図であり、ショルダー陸部50の幅方向サイプ52に沿った断面をタイヤ周方向に見た図である。ショルダー陸部50に形成された隔壁部54は、センター陸部20に形成された隔壁部24と概ね同じ構成を有しているので共通する部分は説明を省略し、隔壁部24との相違点を主に説明する。
【0056】
図3に示されるように、ショルダー陸部50は、表面がタイヤ幅方向の外側へ向かってタイヤ径方向内側に傾斜している。このため、ショルダー陸部50の表面に対して面直に延びるように形成された周方向サイプ53は、タイヤ径方向に対して傾斜角度θ2を有している。具体的には、周方向サイプ53は、タイヤ径方向の内側へ向かってタイヤ幅方向の内側へ傾斜角度θ2で傾斜した方向に延びている。
【0057】
また、上述したように、ショルダー陸部50は、接地端GLまで接地するので、周方向サイプ53のタイヤ幅方向の外側に位置する第1隔壁部54Aのタイヤ幅方向における幅W54Aは、接地幅W054Aの1/3以下に設定されている。接地幅W054Aは、周方向サイプ53から接地端GLまでのタイヤ幅方向における長さに相当する。
【0058】
一方、周方向サイプ53のタイヤ幅方向の内側に位置する第2隔壁部54Bは、全面が接地するので、タイヤ幅方向における幅W54Bは、接地幅W054Bの1/3以下に設定されている。接地幅W054Bは、周方向サイプ53から外側主溝13までのタイヤ幅方向における長さに相当する。
【0059】
また、第1幅方向サイプ52Aは、タイヤ幅方向外側に向かって溝深さH0が漸減するようになっている。この場合、隔壁部54の面直部分55の高さHは、溝深さH0が最も深い部分、すなわち隔壁部54側の端部における溝深さH0の1/2以下に形成されている。
【0060】
以上説明した空気入りタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。なお、以下の効果についてはセンター陸部20を例にとって説明するが、ショルダー陸部50においても同様に効果を奏する。
【0061】
(1)センター陸部20において、幅方向サイプ22のタイヤ周方向の両側に位置する陸部が隔壁部24によって接続されているので、これらの陸部間の周方向における剛性差が低減される。さらに、隔壁部24は陸部表面におけるタイヤ幅方向の幅Wが、接地幅W0の1/3以下に設定されているので、幅方向サイプ22によって陸部の剛性を適度に低減させつつ、隔壁部24の表面側における剛性が過度に高くなることが抑制され、この結果、タイヤ幅方向における剛性差が低減される。よって、周方向サイプ23と幅方向サイプ22とによってセンター陸部20の剛性を低減させて接地性の均一化を図りつつも、これらのタイヤ周方向及びタイヤ幅方向における剛性差の増大を抑制できるので、タイヤ周方向のみならずタイヤ幅方向における偏摩耗の増大をも抑制できる。
【0062】
(2)さらに、隔壁部24は表面側に比してタイヤ径方向の内側部分において幅広に形成されているので、基端部側の剛性を効果的に高めやすく、例えば旋回時等の横力が作用した場合であっても過大な変形が抑制され、ドライグリップ力の低下が抑制される。
【0063】
(3)さらにまた、隔壁部24を介して、幅方向サイプ22を挟んだタイヤ周方向両側の陸部が接続されているので、加硫成形時にこれらの間にわたってゴムの流動を可能とし、ゴム流れ不良に起因したエア入り不良が抑制される。
【0064】
(4)隔壁部24は表面側に面直部分25を有しているので、表面側における剛性を適度に低下させやすい。さらに、摩耗進行時においても、幅方向サイプ22のサイプ長を維持しやすく、接地性の均一化を維持しやすい。
【0065】
(5)隔壁部24は面直部分25が幅方向サイプ22の溝深さH0の1/2以下に設定されているので、隔壁部24の表面側における剛性を適度に低下させやすい。面直部分25が幅方向サイプ22の溝深さH0の1/2よりも長くなると、隔壁部24の剛性低下代が大きくなる。
【0066】
(6)傾斜部分26の傾斜角度θ1が45°以下に設定されているので、隔壁部24の剛性を適度に高めることができる。傾斜角度θ1が、45°より大きいと、隔壁部24の剛性が過度に高くなってしまい、タイヤ幅方向における剛性差が過度に拡大してしまう。特に、摩耗進行時において、隔壁部24の表面における幅が増大しやすく、タイヤ幅方向における剛性差が拡大し、タイヤ幅方向における偏摩耗が増大する。
【0067】
なお、上記実施形態では、隔壁部24の幅Wを、接地幅W0の1/3以下に設定したが、隔壁部24の表面側における幅Wを0に設定してもよい。この場合、面直部分25は形成されず、トレッド部2の表面側の端部に傾斜部分26が形成される。すなわち、図4に示されるように、隔壁部24の表面側の端部において周方向サイプ23と幅方向サイプ22とが連通しており、隔壁部24は、タイヤ幅方向外側の側部が表面からタイヤ径方向の内側に向かって周方向サイプ23から離れる方向に傾斜して延びるように幅広に形成してもよい。
【0068】
さらにまた、図5に示されるように、隔壁部24の表面側における幅Wを所定幅以上確保しつつ、面直部分25のみ削除して、表面側の端部からタイヤ径方向の内側端部にかけて傾斜部分26を形成してもよい。また、隔壁部24の幅Wを、周方向サイプ23の溝幅W1(図2参照)の1/2以上に設定してもよく、例えば0.3mm以上5mm以下に設定される。
【0069】
ショルダー陸部50に形成された隔壁部54については、表面側の幅W54を、周方向サイプ53の傾斜角度θ2を考慮して以下の(式1)により設定してもよい。
【0070】
【数1】
【0071】
これによって、隔壁部54の面直部分55について、少なくとも傾斜角度θ2で傾斜した部分のタイヤ幅方向成分だけ隔壁部54の幅W54を確保することができるので、隔壁部54のタイヤ幅方向における剛性を確保しやすい。特に、旋回時等においてセンター陸部20に比して横方向の力が作用しやすいショルダー陸部50側において、隔壁部54の幅を確保することで隔壁部54の剛性低下を抑制できる。
【0072】
また、上記実施形態では、隔壁部24の面直部分25の長さHを、幅方向サイプ22の溝深さH0の1/2以下に設定したが、好ましくは、面直部分25の長さHを、0.5mm以上であって幅方向サイプ22の溝深さH0の1/3以下に設定してもよい。これによって、面直部分25によって摩耗時の幅方向サイプ22のタイヤ幅方向における長さの減少を抑制しつつ、傾斜部分26をタイヤ径方向に大きく確保して隔壁部24の剛性を高めることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、傾斜部分26の傾斜角度θ1を、45°未満に設定したが、ショルダー陸部50に形成された隔壁部54については、傾斜角度θ1を、傾斜角度θ2以上に設定してもよい。例えば、隔壁部54の傾斜部分56の傾斜角度θ1を傾斜角度θ2に設定した場合、傾斜部分56はタイヤ径方向に平行に延びることになる。
【0074】
すなわち、隔壁部54の傾斜部分56が、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ径方向の内側に傾斜して延びないので、隔壁部54のタイヤ径方向の内側における剛性を適度に高めることができる。傾斜部分56の傾斜角度θ1が傾斜角度θ2よりも小さいと、傾斜部分56が、タイヤ径方向内側へ向かってタイヤ径方向の内側に傾斜して延びることになるので、隔壁部54の剛性が低下しやすい。
【0075】
また、上記実施形態では、周方向サイプ23と一対の幅方向サイプ22とが十字状に配置されているがこれに限らない。すなわち、複数の幅方向サイプ22が周方向サイプ23を挟んだ両側に、タイヤ周方向に位置を異にして形成されていてもよく、また周方向サイプ23のタイヤ幅方向の一方側にのみ形成されてもよい。
【実施例】
【0076】
比較例1,2及び実施例1,2の空気入りタイヤについて、タイヤ周方向偏摩耗性能、タイヤ幅方向偏摩耗性能、及びタイヤ加硫金型での加硫成形時におけるベア発生有無について評価試験を行った。各空気入りタイヤは、上記実施形態で説明したトレッドパターンを有しているが、比較例1では隔壁部が形成されておらず、比較例2では隔壁部の構成が異なっている。
【0077】
図6Aに示されるように、比較例1では、周方向サイプ123と幅方向サイプ122とが連通しており隔壁部は形成されていない。図6Bに示されるように、比較例2では、周方向サイプ223と幅方向サイプ222との間に隔壁部224が形成されている。隔壁部224は表面に対して面直方向に延びるように形成されており、タイヤ径方向内径側に向かって幅広となるような傾斜部分は形成されていない。また、隔壁部224の表面側における幅W224は、接地幅W0224の55%に設定されている。
【0078】
実施例1,2は、図2に示される隔壁部24であって、表面側における幅W24が異なっている。実施例1では隔壁部24の表面側における幅W24が周方向サイプ23の溝幅の1/2である0.3mmに設定されている。実施例2では幅W24が接地幅W024の1/3に設定されている。
【0079】
比較例1,2及び実施例1,2の空気入りタイヤを、195/65R15のタイヤサイズに構成し、リムサイズ15インチ、リム幅6Jのホイールに組み付けて、これを空気圧230kPaとして排気量1.8Lの試験車両に装着して、アスファルト路面にて10,000kmの走行試験を実施した。
【0080】
走行試験後に、陸部に発生した偏摩耗量を測定した。試験結果は、測定値の逆数を用い、比較例1を100とする指数にて表1に示している。この指数値が大きいほど偏摩耗量が少なく、耐偏摩耗性が優れていることを意味する。なお、指数値が99以上であれば、比較例1程度の優れた偏摩耗性を維持している。また、ベア発生有無に関して、ベアが生じた場合を×で示し、ベアが生じなかった場合を○で示している。
【0081】
【表1】
【0082】
表1から明らかなように、周方向サイプと幅方向サイプとの間に隔壁部が形成された実施例1,2に係る空気入りタイヤではいずれもタイヤ周方向における偏摩耗性能が比較例1に比して向上している。特に、隔壁部の表面側における幅がより大きく構成された実施例2に係る空気入りタイヤでは、タイヤ周方向における耐偏摩耗性が大きく向上している。なお、比較例2に関して、タイヤ周方向における偏摩耗よりもタイヤ幅方向における偏摩耗量が大きいため、タイヤ周方向における耐偏摩耗性を「−」で示している。
【0083】
また、タイヤ幅方向における耐偏摩耗性に関して、実施例1,2に係る空気入りタイヤは、99以上あり、隔壁部を有するにもかかわらず比較例1からの悪化が抑制されている。これは、隔壁部の幅を接地幅W0の1/3以下に設定することによって、隔壁部の剛性の過度の増大が抑制されたためだと考えられる。特に、隔壁部の幅Wを0.3mmと小さく設定した実施例1に係る空気入りタイヤでは、比較例1からの悪化が抑制されている。
【0084】
ベア発生有無に関して、隔壁部の幅Wが確保されている比較例2、実施例1,2に係る空気入りタイヤでは、ベアが発生しなかった。隔壁部を介してタイヤ加硫成形時におけるゴムの流動が可能となるため、ベアが発生しなかったと考えられる。一方、周方向サイプ123と幅方向サイプ122とが連通しており隔壁部が無い比較例1に係る空気入りタイヤでは、ベアが発生した。
【符号の説明】
【0085】
11,12 中央主溝
13,14 外側主溝
20 センター陸部
22 幅方向サイプ
23 周方向サイプ
24 隔壁部
25 面直部分
26 傾斜部分
30,40 メディエイト陸部
50,60 ショルダー陸部
52 幅方向サイプ
53 周方向サイプ
54 隔壁部
55 面直部分
56 傾斜部分
W 隔壁部の表面側における幅
W0 接地幅
H 面直部分のタイヤ径方向高さ
H0 幅方向サイプの溝深さ
CL タイヤ赤道線
GL 接地端
θ1 傾斜部分の傾斜角度
θ2 周方向サイプの傾斜角度
【要約】
【課題】周方向サイプ及び幅方向サイプを形成することによって接地性を向上させた空気入りタイヤにおいて、周方向のみならず、幅方向における偏摩耗の増大を抑制可能な空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延びる主溝11,12によって画定された陸部20を備え、陸部20は、タイヤ周方向に延びる周方向サイプ23と、周方向サイプ23のタイヤ幅方向の少なくとも一方側においてタイヤ幅方向に延びる幅方向サイプ22と、周方向サイプ23と幅方向サイプ22の幅方向一端部との間に位置しており、これらを互いに隔てる隔壁部24とを有し、隔壁部24は、タイヤ幅方向において、陸部20の表面における幅Wが、表面における周方向サイプ23から一方側における接地幅W0の1/3以下に設定されており、タイヤ径方向内側部分が、表面における幅Wに比して幅広に形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B