(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
幅方向の両側端縁が接合された一対の胴部シートと、該一対の胴部シートの下端部に接合された底部シートと、前記一対の胴部シートの上端部に接合された天面シートとを備え、該天面シートにスパウトが装着されているパウチ容器が一方向に複数整列して構成されるパウチ容器整列構造であって、
前記各パウチ容器は前記一対の胴部シートのうちの一方側の胴部シートの上端部が略V字状に折り曲げられた胴部折曲部を有し、前記天面シートの一方側端部は前記一方側の胴部シートの上端部に接合されて前記胴部折曲部を共に形成し、前記天面シートの他方側端部は前記一対の胴部シートのうち他方側の胴部シートの上端部に接合されて容器先端部分を形成しており、
1つのパウチ容器の前記胴部折曲部に別のパウチ容器の前記先端部が挿入された状態で前記各パウチ容器が整列している、パウチ容器整列構造。
幅方向の両側端縁が接合された一対の胴部シートと、該一対の胴部シートの下端部に接合された底部シートと、前記一対の胴部シートの上端部に接合された天面シートとを備え、該天面シートにスパウトが装着されているパウチ容器が一方向に複数整列して構成されるパウチ容器整列構造の製造装置であって、
前記一対の胴部シートのうちの一方側の胴部シートの上端部が略V字状に折り曲げられて前記天面シートの一方側端部と共に胴部折曲部を形成し且つ前記天面シートの他方側端部が前記一対の胴部シートのうち他方側の胴部シートの上端部に接合されて容器先端部分をなす前記パウチ容器が順次に載置される載置部と、
前記載置部上に載置された前記パウチ容器を、前記天面シートを押さえ付けながら送り出す送出部と、
前記送出部によって送り出された前記パウチ容器のスパウトをガイドしながら受け入れて複数のパウチ容器を一方向に整列させるガイド部と、を備え、
前記ガイド部において整列した複数のパウチ容器は、1つのパウチ容器の前記胴部折曲部に、別のパウチ容器の前記容器先端部分が挿入された状態で整列している、
パウチ容器整列構造の製造装置。
幅方向の両側端縁が接合された一対の胴部シートと、該一対の胴部シートの下端部に接合された底部シートと、前記一対の胴部シートの上端部に接合された天面シートとを備え、該天面シートにスパウトが装着されているパウチ容器が一方向に複数整列されているパウチ容器整列構造の製造方法であって、
前記一対の胴部シートのうちの一方側の胴部シートの上端部が略V字状に折り曲げられて前記天面シートの一方側端部と共に胴部折曲部を形成し且つ前記天面シートの他方側端部が前記一対の胴部シートのうち他方側の胴部シートの上端部に接合されて容器先端部分をなす前記パウチ容器を順次に載置する載置工程と、
前記載置工程で載置された前記パウチ容器を、前記天面シートを押さえ付けながら順次に送り出す送出工程と、
前記送出部によって送り出された前記パウチ容器のスパウトをガイドしながら受け入れて複数のパウチ容器を一方向に整列させる整列工程と、を含み、
前記整列工程において整列した複数のパウチ容器は、1つのパウチ容器の前記胴部折曲部に、別のパウチ容器の前記容器先端部分が挿入された状態で整列する、
パウチ容器整列構造の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0017】
本願明細書(特許請求の範囲でも同様)においては、底部シートと天面シートとが対向する方向を「上下方向」とし、一対の胴部シートが積層される方向を容器の「表裏方向」とし、上下方向および表裏方向と直交する方向を容器の「幅方向」とする。
【0018】
図1は、内容物を充填した後のパウチ容器10の一実施形態を示す斜視図である。
図2は、内容物の充填前において折り畳まれた状態にあるパウチ容器10の(a)表面図と(b)裏面図である。また、
図3は、
図2(a)に示したパウチ容器を矢印C方向から見た側面図である。
【0019】
図1および
図2に示すように、パウチ容器10は、一対の胴部シートのうちの一方側の胴部シートである表面シート11と、一対の胴部シートのうちの他方側の胴部シートである裏面シート12と、底部シート13と、天面シート14とを備える。このパウチ容器10は、内容物の充填により底部シート13が展開して自立可能になるスタンディングパウチである。表面シート11および裏面シート12は、容器の表面部および裏面部をそれぞれ構成するシート材であり、底部シート13は、表面シート11と裏面シート12との間に折り込まれて挿入され、底ガゼット部を構成するシート材である。底部シート13は、幅方向に沿って形成された折り目線15により、容器の内部側に向かって山折りに折り返されている。天面シート14は、容器の上面部を構成するシート材である。
【0020】
パウチ容器10は、互いに重ね合わされた表面シート11と裏面シート12との間に、底部シート13を下端側から挿入した状態で各シート材の端縁同士を接合するシール部を形成し、内容物が充填される容器内部空間である充填部17を密閉した構造を有する。
【0021】
詳しくは、パウチ容器10は、上記シール部として、トップシール部20と、ボトムシール部21と、サイドシール部22とを有する。トップシール部20は、天面シート14の端縁に略八角形をなす枠状に形成されるシール部であり、天面シート14と外周端縁と表面シート11および裏面シート12の各上端部11a,12aとが接合されて形成される。また、ボトムシール部21は、底部シート13の端縁に形成されるシール部であり、底部シート13と表面シート11および裏面シート12の各下端部とが接合されて形成される。また、底部シート13には、幅方向両端に三角形状の未シール部16が形成されており、この未シール部16に対応する幅方向縁部に半円状の切欠き18が形成されている。この底部シート13の切欠き18を介して表面シート11と裏面シート12とが直接接合されている。
【0022】
サイドシール部22は、表面シート11および裏面シート12の幅方向端縁同士を直接接合して幅方向両端にそれぞれ形成される。サイドシール部22は、他のシール部と同様に、充填部17を密閉するための端縁シール部である。サイドシール部22は、上下方向に沿って延伸して形成されている。また、サイドシール部22は、上端部および下端部を除いて一定の幅Wで形成されている。このように各シール部20,21,22を構成することによって、容器内部空間である充填部17を密閉する。充填部17に充填される内容物としては、特に限定されず、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、洗剤等の生活用各種ケア製品やスポーツドリンク等の飲料が挙げられる。内容部は、液体に限らず、粘性物や粉状物であってもよい。
【0023】
表面シート11および裏面シート12は、いずれも上下方向にやや長く延びた略矩形状を呈する。底部シート13も略矩形状を呈し、例えば、表面シート11および裏面シート12の下端から表面シート14等の上下方向全長に対して1/5程度の範囲に設けられる。天面シート14は、略八角形状を呈し、表面シート11および裏面シート12の上端に設けられる。なお、天面シート14は、略八角形のものに限定されず、例えば、四角形、六角形等の他の多角形形状であってもよいし、あるいは、円形、楕円形、菱形等の形状であってもよい。
【0024】
各シート11〜14を形成するシート材は、パウチ容器10の壁面部を構成するシート状部材であって、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、および耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シート材には、ヒートシール性も要求される。シート材としては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シート材が好適であり、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。シート材の厚みは、例えば10μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。
【0025】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、およびガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0026】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。ベースフィルム層の厚みは、例えば10μm〜200μmであり、好ましくは10μm〜100μmである。
【0027】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。シーラント層の厚みは、例えば20μm〜200μmであり、好ましくは30μm〜180μmである。
【0028】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。ガスバリア層の厚みは、例えば0.1μm〜20μmであり、好ましくは0.2μm〜10μmである。
【0029】
シート材には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザインなどを表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
【0030】
シール部は、ヒートシールにより形成されることが好適である。ヒートシールによるシール部は、各シート材のシーラント層が容器の内側となるように重ね合わせて熱圧着することで形成できる。
【0031】
図1に示すように、パウチ容器10には、天面シート14の中央部に、内容物を充填および取り出すための口栓30が設けられている。口栓30は、天面シート14に固定されるスパウト31と、スパウト31の外周に形成されたネジ部に螺合されたキャップ32とで構成される。
【0032】
図2(a)および
図3に示すように、パウチ容器10は、内容物が充填される前は薄く折り畳んだ状態にできる。具体的には、表面シート11の上端部11aがその表面シート11の表面本体部11b側に折り曲げられて、表面本体部11bとの間に略V字状の胴部折曲部23が形成されている。この状態では、表面シート11の上端部11aに接合されている天面シート14の一方側端部14aも表面シート11の上端部11aと共に略V字状の胴部折曲部23を形成している。これに対し、胴部折曲部23とは反対側に位置する天面シート14の他方側端部14bとこれに接合されている裏面シート12の上端部12aとは、上方に延伸してパウチ容器10の容器先端部分10aを形成している。
【0033】
パウチ容器10を構成する表面シート11および裏面シート12は、可撓性で且つコシがあるシート材で形成されるため、
図3に示すように折り畳まれたパウチ容器10の天面シート14を押さえ付ければ、胴部折曲部23は表面シート11の上端部11aと表面本体部11bとが接触して閉じた状態となる。他方、天面シート14を押さえ付ける力を解除すれば、
図3に示すように、胴部折曲部23が略V字状をなすように開いた状態になる。
【0034】
スパウト31は、天面シート14から外側に突出する筒部31aと、筒部31aの端部に一体形成されたフランジ部31bとを有する。本実施形態では、フランジ部31bは略矩形状を呈し、天面シート14の内面(すなわち充填部17側の面)にフランジ部31bが例えばヒートシールされて取り付けられている。フランジ部31bの形状は、略矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、長円形、多角形等の他の形状であってもよい。
【0035】
スパウト31の筒部31aは、その外周面上に2つのフランジf1,f2を有する。これら2つのフランジf1,f2は、略同一の形状および大きさに形成されている。一方のフランジf1は、他方のフランジf2に対してスパウト31の軸方向(
図2(a)中の表裏方向に一致する)に間隔をおいて形成されている。また、スパウト31の外周側面は、4つの平面部g1,g2,g3,g4が形成されている。平面部g1,g2,g3,g4は、それぞれ、スパウト31の上下方向に略直交する方向に延在している。平面部g1,g2,g3,g4は、スパウト31の軸方向において、上記2つのフランジf1,f2間に配置されている。
図2(a)において、各平面部g1,g2,g3,g4は、フランジf1の外周よりもスパウト31の中心側に位置している。
図2(a)に示す状態で、4つの平面部g1,g2,g3,g4のうちで一対の平面部g1,g2は略平行な状態で対向してパウチ容器10の幅方向に延在し、残りの一対の平面部g3,g4は略平行な状態で対向してパウチ容器10の上下方向に延在している。
【0036】
スパウト31からパウチ容器10の充填部17に内容物を充填すると、底部シート13が展開して表面シート11および裏面シート12が互いに離間し、
図1に示すように胴部が膨らんだ形態となる。この状態で、キャップ32をスパウト31に締めこんで、パウチ容器10内に内容物を封入する。こうして、パウチ容器10の自立性が発現する。パウチ容器10では、天面シート14を設けたことにより、
図1に示すように容器の上部も膨らんで、あたかもボトルのような形態となる。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態のパウチ容器整列構造70の斜視図である。
図4(
図7も同様)において、破線は3つ以上のパウチ容器10が整列していることを省略したことを示している。
【0038】
図4に示すように、パウチ容器整列構造(以下、適宜に「整列構造」とだけいう)70は、一方向に連なって整列した2つ以上のパウチ容器10を備える。整列構造70では、1つのパウチ容器10の胴部折曲部23に、これと隣り合う別のパウチ容器10の容器先端部分10aが挿入されている。また、このとき各パウチ容器10の胴部の両側縁部は揃った状態になっている。さらに、このとき上記1つのパウチ容器10の容器先端部分10aが、上記隣り合う別のパウチ容器10のスパウト31に接触しているのが好ましい。このようにして2つ以上のパウチ容器10が一方向に整列したパウチ容器整列構造70が構成される。
【0039】
本実施形態のパウチ容器整列構造70によれば、一方向に整列した複数のパウチ容器10において、1つのパウチ容器のV字状の胴部折曲部23に、隣りの別のパウチ容器10の天面シート14と裏面シート12の上端部12aとの接合部分であるパウチ容器10の容器先端部分10aが挿入されているので、各パウチ容器10が互いに離脱しにくくなって、複数のパウチ容器10をひとまとまりで取り扱い易くなる。その結果、複数のパウチ容器10を内容物の充填機に効率的に自動供給することが可能になる。また、ダンボール等の梱包材にひとまとまりになった複数のパウチ容器10を整然と容積効率良く収納することができる。
【0040】
上記のパウチ容器整列構造70は、下記の製造装置によって製造される。
図5は、
図4に示したパウチ容器整列構造70を製造する製造装置90を水平方向から見た状態で模式的に示す構成図である。
図6は、
図5に示した製造装置90の斜視図である。
図6においては、パウチ姿勢調整部材8の図示を省略している。
【0041】
図5に示すように、この製造装置90は、載置部としてのベルト6と、パウチ容器10を送り出す送出部としての送出ローラ装置7と、送り出されたパウチ容器10をガイドしながら受け入れて一列に整列させるガイド部5とを備える。また、製造装置90は、パウチ姿勢調整部材8を備えることが好ましい。
【0042】
ベルト6は、図示しない駆動装置によって矢印A方向に移動するように駆動される。
図2に示す状態に折り畳まれたパウチ容器10は、ベルト6の上面6aに、スパウト31が搬送方向下流側に位置し且つ容器の上下方向が搬送方向に沿った向きで載置される。この状態で、ベルト6が駆動されることによって、パウチ容器10がガイド部5に向かって搬送される。
【0043】
送出ローラ装置7は一対の送出ローラ7aを有する。一対の送出ローラ7aは、ベルト6によって搬送されてきたパウチ容器10をガイド部5に送り込む機能を有する。一対の送出ローラ7aは、ベルト6の上面6aとの間に所定の隙間を形成して対向するように配置されている。ここで、上記の所定の隙間の寸法d1は、後述するように、
図2(a)に示すように折り畳まれたパウチ容器10がベルト6によって搬送されてきたとき、送出ローラ7aがスパウト31のフランジ部31bに天面シート14を介して接触できるように設定されている。
【0044】
上記送出ローラ7aには、回転軸9が連結されている。送出ローラ7aは、回転軸9に接続されたモータ等の駆動装置(図示せず)によって
図5に矢印Bで示す方向に回転駆動されるようになっている。送出ローラ7aの外周の回転速度は、パウチ容器10を搬送するベルト6の移動速度(すなわちパウチ容器10の搬送速度)と同一に設定されるのが好ましい。これにより、後述するように、ベルト6の搬送力と送出ローラ7aの回転力によって、パウチ容器10のスパウト31をガイド部5へ向けて確実に送り出すことができる。
【0045】
図6に示すように、送出ローラ装置7の一対の送出ローラ7aは、互いに間隔をおいて配置されている。この一対の送出ローラ7a間の間隔は、スパウト31の筒部31aの直径よりも大きく且つスパウト31のフランジ部31bの容器幅方向に沿う方向の幅よりも狭く設定されている。これにより、後述するように、一対の送出ローラ7aは、スパウト31の筒部31aの両側で天面シート14を介してフランジ部31bを押圧するように構成されている。ただし、これに限定されるものではなく、一対のローラ7aの間隔をフランジ部31bの幅より大きく設定して、フランジ部31bから外れた位置で天面シート14に接触してもよい。
【0046】
図5および
図6に示すように、ガイド部5は、ベルト6の上面6aと平行に延在している。ガイド部5は、互いに間隔をおいて平行に配置された2つの略同一のガイドレール(ガイド部材)5aにより構成される。2つのガイドレール5aの互いに対向するガイド面5b,5bは、それぞれ平面形状であって、略平行に延在している。また、上記2つのガイド面5b,5b間の距離d2は、スパウト31の外周に形成された一対の平行な平面部g3,g4(
図5では一方のみを図示)間の幅方向寸法よりも若干大きく形成されている。さらに、ガイドレール5aの厚み相当の側面であるガイド面5bの高さ寸法は、スパウト31の外周に形成された2つのフランジf1,f2間の寸法よりも小さく設定されている。これにより、送出ローラ7aによってパウチ容器10がガイド部5に送り出されたとき、ガイドレール5aがスパウト31の2つのフランジf1,f2間に嵌まり込んだ状態となって、フランジf1,f2間に形成されている一対の平面部g3,g4が一対のガイドレール5aの各ガイド面5bによってガイドされながら受け入れられる。なお、本実施形態ではガイド面5a,5bが平面形状である例を説明したが、これに限定されるものではなく、略三角状表面、半円弧状面等に形成されてもよい。
【0047】
パウチ姿勢調整部材8は、例えば台部材によって構成され、ガイドレール5aに平行な上面8aを有する。ガイド部5とベルト6の上面6aとの距離は、ガイド部5とパウチ姿勢調整部材8の上面8aとの距離よりも短く設定されている。これにより、パウチ容器10のスパウト31が一対のガイドレール5aに保持された状態になったとき、パウチ容器10の下部がパウチ姿勢調整部材8の上面8aに接触するようになっている。
【0048】
上記構成からなる製造装置90において、パウチ容器整列構造70は次のように製造される。
【0049】
先ず、パウチ容器の載置工程において、
図2に示す状態のパウチ容器10が、図示しないパウチ容器製造装置から搬出されてベルト6の上面6aに載置される。このとき、パウチ容器10は、例えばロボットハンドによって、
図2(a)に示すように折り畳まれ、かつ、スパウト31の中心を通る上下方向線がベルト6の幅方向中心位置と一致した状態に載置されてもよいし、あるいは、ベルト6上に載置されたパウチ容器10が矢印A方向に搬送される過程で図示しないガイド部材によってパウチ容器10の位置及び向きが正確に揃えられるように構成してもよい。
【0050】
この状態で、ベルト6が矢印A方向に駆動されると、パウチ容器10は送出ローラ7a側へ移動する。そして、パウチ容器10が送出ローラ7aに到達すると、
図5示すように、パウチ容器10を構成する天面シート14と表面シート11,12の各上端部11a,12a(
図2参照)とが矢印A方向に回転する送出ローラ7aとベルト6との間に入り込む。
【0051】
このとき、2つの送出ローラ7aは、
図7に示すように、スパウト31の筒部31aの両側位置で天面シート14の上からフランジ部31bを押さえ付けるように接触して回転駆動される。したがって、送出ローラ7aがフランジ部31bをベルト6側に押圧した状態でパウチ容器10が送り出されるので、スパウト31の2つのフランジf1,f2の間に一対のガイドレール5aが確実に嵌まり込む高さ位置に調整される。また、このように送出ローラ7aが比較的剛性の高いフランジ部31bに対応する部分を押さえ付けながらパウチ容器10をガイド部5に送り出すことで、天面シート14に皺が形成されにくく、また安定して送り出すことができる。
【0052】
続いて、パウチ容器送出工程として、上記のようにスパウト31の高さ位置が調整されたパウチ容器10が送出ローラ7aによって送り出される。これにより、一対のガイドレール5aがスパウト31の2つのフランジf1,f2間に嵌まり込む。このとき、スパウト31において2つのフランジf1,f2間に形成された略平行な平面部g3,g4が一対のガイドレール5aのガイド面5bに接触してガイドされる。したがって、ガイドレール5aに対してスパウト31が回転することなくパウチ容器10の向きが規制された状態でガイドレール5a間に挿入される。
【0053】
その後、ベルト6および送出ローラ7aによって送られてきた別のパウチ容器10も同様にして、順次に一対のガイドレール5aに送り込まれる。このとき、後から一対のガイドレール5aに送り込まれたパウチ容器10は、それより前に送り込まれたパウチ容器10をガイドレール5aの延在方向に押して移動させる。このような動作が繰り返されることによって、2つ以上のパウチ容器10が一方向に整列して配置されることになる。
【0054】
図8は、製造装置90の一対のガイドレール5aによって2つ以上のパウチ容器10が一方向に整列した状態を示す平面図である。
図9は、パウチ姿勢調整部材の機能を説明するための模式図であり、
図9(a)はパウチ姿勢調整部材8を設けていない製造装置を示し、
図9(b)はパウチ姿勢調整部材8が設けられている本実施形態の製造装置90を示す。また、
図9(a),(b)においては、パウチ姿勢調整部材8の役割をわかり易く説明するため、パウチ容器10のガイドレール5aに対する傾きを誇張して描いている。
【0055】
図8に示すように、スパウト31のフランジf1,f2の直径は、一対のガイドレール5a間の距離d2よりも大きく形成されている。そのため、一対のガイドレール5a間に一旦挿入されたスパウト31は鉛直方向の移動が規制される。したがって、
図9に示すように、パウチ容器10は一対のガイドレール5aによって吊下げられた状態に保持される。
【0056】
2つのフランジf1,f2とその間に位置するガイドレール5aとの間の隙間は、公差のばらつき等により大きくなることがある。この場合、パウチ姿勢調整部材8を有しない製造装置では、
図9(a)に示すように、下方からの力でパウチ容器10の姿勢が矯正されることがないから、容器送り込み方向(矢印A方向)において前方に位置するパウチ容器10の天面シート14と表面シート11の上端部11aとの接合部分の上に、後方の別のパウチ容器10の天面シート14と裏面シート12の上端部12aとの接合部分が重なってしまうことがある。
【0057】
これに対し、パウチ姿勢調整部材8を有する本実施形態の製造装置90では、パウチ容器10の下部をパウチ姿勢調整部材8の上面8aに接触させることで、ガイド部5に収納保持されたパウチ容器10の姿勢を調整している。具体的には、容器送り込み方向(矢印A方向)において前方に位置するパウチ容器10の天面シート14と表面シート11の上端部11aとの接合部分の下に、後方の別のパウチ容器10の天面シート14と裏面シート12の上端部12aとの接合部分が挿入される。その結果、
図8に示すように、前方のパウチ容器10の胴部折曲部23に、後続の別のパウチ容器10における天面シート14の他方側端縁部と裏面シート12の上端部12aとが接合されてなるパウチ容器10の容器先端部分10aが挿入される。
【0058】
上述したように、本実施形態のパウチ容器整列構造70の製造装置90およびその製造方法によれば、充填機への効率的な自動供給が可能で且つ梱包材に容積効率良く収納可能なパウチ容器整列構造70を製造することができる。
【0059】
なお、上記製造装置90は、1つのパウチ容器10の胴部折曲部23に、別のパウチ容器10の容器先端部分10aを確実に挿入するためのパウチ姿勢調整部材8を設けた例について説明したが、これに限定されるものではなく、パウチ姿勢調整部材が省略されてもよい。この場合、ベルト6がガイド部5の下方に延伸するように延長してもよく、また、ベルト6とは異なるベルト機構をガイド部材5の下方に配置してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、スパウト31の外周側面に2組の互いに平行な平面部g1,g2,g3,g4を形成した例について説明したが、これに限定されるものではない。スパウトの外周側面には、パウチ容器が折りたたまれた状態で、パウチ容器10の上下方向に略平行な1組の平面部のみが形成されてもよく、あるいは、平面部が形成されていなくてもよい。
【0061】
図10は、パウチ容器整列構造70を、ひとまとまりの状態で取り扱うのに好適なハンガー部材80の斜視図である。なお、
図10においては、斜線でハンガー部材80の端面を示している。
【0062】
このハンガー部材80は、製造装置90のガイド部5に対応する。このハンガー部材80は、
図10に矢印Aで示す方向に延在する長尺部材である。ハンガー部材80は、例えば樹脂成形品を用いることができる。
【0063】
ハンガー部材80は、凹部41を有する。ハンガー部材80は、上壁部51と、一対の側壁部52,53と、一対の横壁部54,55と、一対の立壁部56,57とを一体に有する。そして、これらの一対の立壁部56,57が上記製造装置90における一対のガイドレール5aと同様の機能を果たす。
【0064】
このようなハンガー部材80によって一列に整列した状態で構成されたパウチ容器整列構造70は、ハンガー部材80によって保持されたまま他の場所に搬送されても良いし、そのまま梱包されてもよい。その場合、ハンガー部材80にパウチ容器整列構造70が保持されていることで、各パウチ容器10がばらけにくくなり、ひとまとまりとしての取り扱いが一層容易になる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能であることはいうまでもない。