【実施例】
【0040】
以下、試験例及び剤形例を挙げて、本発明の構成及び効果をより詳細に説明する。しかしながら、これらの試験例及び剤形例は、本発明に関する理解を助けるために例示の目的で提供されたもので、本発明の範疇及び範囲が下記の例によって制限されるものではない。
【0041】
[参考例1]タンゲレチンを含有するミカンの皮抽出物の製造
ミカンの皮を精製水で洗浄した後、乾燥の過程を経る。水気が除去されたミカンの皮を粉砕して40〜48時間、室温で冷浸抽出法を通じて有効成分を抽出する。抽出された内容物を250μm meshで1次濾過した後、遠心分離過程を通じて上層液を取る。その内容物をさらに3μm、1μm、0.5μm meshの濾過紙で順に濾過する。1,3−ブチレングリコール(Butylene glycol)10%、フェノキシエタノール(phenoxyethanol)0.5%、エチルヘキシルグリセリン(Ethylhexylglycerin)0.05%を追加し、さらに0.2〜0.3μmの濾過紙で濾過してミカンの皮抽出物を得る。
【0042】
[参考例2]EGCGを含有する緑茶抽出物の製造
茶葉を精製水で洗浄した後、乾燥の過程を経る。水気が除去された茶葉を粉砕して40〜48時間、室温で冷浸抽出法を通じて有効成分を抽出する。抽出された内容物を250μm meshで1次濾過した後、遠心分離過程を通じて上層液を取る。その内容物をさらに3μm、1μm、0.5μm meshの濾過紙で順に濾過する。1,3−ブチレン・グリコール10%、フェノキシエタノール0.5%、エチルヘキシルグリセリン0.05%を追加し、さらに0.2〜0.3μm濾過紙で濾過して緑茶抽出物を得る。
【0043】
[試験例1]メラニン生成抑制効果
人間メラノマ細胞のHM3KO細胞(Y.Funasaka,Department of dermatology,Kobe university school of medicine,5−1 Kusunoki−cho 7−chrome,Chuo−ku,Kobe 650,Japan)をウシ胎児血清が10%入ったMEM(Minimum Essential Medium)に入れて、37℃、5%のCO
2条件下で培養する。このように培養した細胞を、細胞数が各フラスコ当たり3×10
5になるように75フラスコに敷いて、一夜の間、細胞が器壁につくことを待ち、細胞がよくついたことを確認した後、培地を下記の表1の各試験物質が10ppm入っている新しい培地に取り替える。このとき、対照群は添加されない培地を使用し、ミカンの皮抽出物及び緑茶抽出物を共に使用したものを実施例1、美白効果を示すものと知られたコウジ酸を比較例1、ミカンの皮抽出物を比較例2、緑茶抽出物を比較例3とする。2〜3日ごとに一回ずつ試料が入っている新しい培地に取り替えながら、細胞がフラスコに満ちるまで培養する。細胞が成長し終えた後、集めて、対照群と実施例1、比較例1〜3の細胞の色をそれぞれ比較した。また、培養液を除去してPBSで洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで溶かして500nmで吸光度を測定した後、下記の数学式1によりメラニン生成抑制率を計算し、その結果を下記の表1に示した。
【0044】
【数1】
【0045】
【表1】
【0046】
前記表1の結果から、ミカンの皮抽出物と緑茶抽出物を共に使用した実施例1を使用すると、美白効果が非常に優れたものと知られているコウジ酸と類似するメラニン生成抑制率を有することが分かった。また、ミカンの皮抽出物と緑茶抽出物をそれぞれ使用した比較例2及び比較例3に比べて、4〜5倍に達する非常に優れたメラニン生成抑制率を示した。これは、ミカンの皮抽出物に含まれたタンゲレチンと緑茶抽出物に含まれたEGCGのシナジー効果により、メラニン生成抑制効果が上昇したものである。
【0047】
[製造例1及び比較製造例1〜4]
下記の表2に記載された組成により、製造例1及び比較製造例1〜4の化粧料組成物を製造した。その製造過程を詳細に調べると、原料1〜9を混合して70℃で溶解し、水相パートとし、一方、原料10〜15を70℃で溶解してオイルパートとする。オイルパートを前記水相パートに添加してホモミキサー(日本Tokushu Kika社)で撹拌して1次乳化し、原料16及び17を添加して増粘した。気泡を除去した後、室温で冷却して製造例1及び比較製造例1〜4の化粧料を製造した(単位:質量%)。
【表2】
【0048】
[試験例2]人体皮膚に対する美白効果
人体皮膚に対する美白効果と皮膚刺激性を調べるために、平均年齢35.2歳の元気な30人の男性及び女性を対象にして、被検者の上腕部位に直径1.5cmの穴6個があけられた不透明テープを付着した後、各被検者の最小紅斑量(Minimal Erythema Dose)の1.5〜2倍程度の紫外線(UVB)を照射して皮膚の黒化を誘導し、試験物質を塗布して、二ヶ月後、色差計を利用して皮膚の明暗を測定した。これら被検者に前記製造例1及び比較製造例1〜4の化粧料を朝、夕方2回ずつ毎日塗るようにした。
【0049】
効果の判定は、皮膚の明暗を示す「L」の値を求めて決めた。参考として、人為的に焼いていない韓国人の肌色は、一般的に50〜70の値を示す。色差計(ミノルタCR2002)を用いて皮膚の白黒程度を測定し、効果を判定した。色を表示するにはL*a*b*表色系を使用するが、本発明では主にL*値(明度)を指標とした。L*値は標準白板で校正して、測定は1つの部位に5回以上の測定を繰り返すことにより、色素沈着部を均等に測定した。塗布開始時点と完了時点における肌色の差(△L*)を下記の数学式2により計算し、これを下記の表3に示した。美白効果は、試料塗布部位と対照群部位の△L*の比較から判定するが、△L*値が2程度であれば、沈着された色素の美白化が明確であると判定し、1.5程度以上であれば、美白効果があると判定することができる。
【0050】
【数2】
【0051】
試験物質を塗布して効果のある場合には、L値が順次増加することになり、試験物質の比較は、塗布開始時点と完了時点(塗布開始二ヶ月後)における肌色の差(△L)を前記数学式2により計算し、その結果を下記の表3に示した。
【0052】
[試験例3]人体皮膚に対する皮膚刺激感の調査
前記試験例2の被検者を対象にして、製造例1及び比較製造例1〜4の化粧料を二ヶ月間使用するようにした後、皮膚刺激感を比較した。このとき、判断基準は、被検者が刺激感の程度により点数を1〜5まで付与して比較したもので、1に近いほど刺激がなく、5に近いほど刺激が多いことを意味し、それぞれの平均点数を下記の表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
前記表3の結果から分かるように、本発明によるミカンの皮抽出物と緑茶抽出物を混合して使用した製造例1の化粧料の方が、比較製造例1よりも美白効果が優れており、同時に皮膚刺激がコウジ酸を同量で使用する時と類似値を有することを確認することができた。また、ミカンの皮抽出物と緑茶抽出物を混合して使用した製造例1の方が、比較製造例3及び4の化粧料よりも、やはり約4〜5倍以上の顕著に優れた美白効果を有するだけでなく、皮膚刺激感も非常に減少したことが分かった。これは、ミカンの皮抽出物に含まれたタンゲレチンと緑茶抽出物に含まれたEGCGとの混合による相乗効果によるものであると判断される。
【0055】
[試験例4]角質量の変化
本発明による美白化粧料組成物の角質量減少効果を調べるために、製造例1及び比較製造例1〜4から製造した化粧料の皮膚角質量の変化を調べてみた。
皮膚疾患のない20〜30代の成人男女50人の下膊内側に製造例1及び比較製造例1〜4の化粧料組成物を塗布した後、24時間が経過して、チャームビュー(Charm view;Moritex,Japan)を利用して角質減少量を測定した。あらかじめ塗布開始前、恒温、恒湿条件(24℃、湿度40%)でチャームビューを利用して初期皮膚角質量を測定して基本値とし、24時間経過後の変化を測定した。その結果を下記の表4に示した。
【0056】
【表4】
【0057】
前記表4の結果から、本発明による美白化粧料組成物の製造例1が比較製造例1〜4に比べて皮膚角質減少効果が優れていることが分かる。また、ミカンの皮抽出物と緑茶抽出物とを混合して製造した製造例1の場合、シナジー効果によって最も優れた皮膚角質減少効果を有することが分かる。
【0058】
したがって、本発明によるタンゲレチンにEGCGをさらに含有する組成物は、皮膚に安全ながら優れた美白効果とともに、皮膚刺激を最小化して優れた皮膚安全性を提供できることを確認することができた。
【0059】
[試験例5]フリー・ラジカル除去能評価:DPPH assay
DPPH(2,2−Diphenyl−1−picrylhydrazyl,Sigma,D9132)を利用してタンゲレチンとEGCGの混合使用によるフリー・ラジカル消去能を確認するために、DPPH assayを実施した。紫色を帯びているDPPHは、抗酸化物質と反応をすると、抗酸化物質から水素電子を受けることになり、色が変化し、517nmでの吸光度が減少する。
【0060】
まず、DPPHを準備し、実験を始める前にエタノールに溶かして100μMに作って、超音波分解(sonication)を実施して完全に溶かした後、次の順序で処理物質を準備する。
1)タンゲレチン10%溶液〔溶媒:ジメチルスルホキシド(DMSO)〕を処理濃度によりエタノールに希釈する。
2)物質の処理濃度区間ごとに、同じ濃度の処理回数を3回とする。
3)DPPH溶液と反応させる時は、濃度が1/20に低まるので、確認しようとする濃度の20倍の物質を準備する。
【0061】
その後、前記処理物質を処理濃度別に10μLずつ96−ウェルプレートに入れる。陽性対照群にはビタミンCを2.5、5、10ppm濃度で各々10μLずつ入れる。対照群にはエタノールを10μL入れる。その後、100μMのDPPHを190μLずつ入れて、物質に色がある場合には吸光度に影響を及ぼし得るので、物質10μLにエタノールを190μL入れる実験群も作っておく。
【0062】
物質反応は、37℃のインキュベーターで30分間保管した後、分光光度計(Spectra Max 190)を利用して、517nmにおける吸光度を測定する。ビタミンC、EGCGを含有する緑茶抽出物、タンゲレチンを含有するミカンの皮抽出物、及びタンゲレチンを含有するミカンの皮抽出物にEGCGを含有する緑茶抽出物を混合して使用した場合を、濃度変化によって吸光度値(O.D.)を測定し、
図1に示した。
【0063】
物質の抗酸化力が大きいほど吸光度値は低い。対照群と比較して吸光度値を半分に落とす物質の濃度(IC50:50% Inhibitory activity)を求めた。IC50値が小さいほど抗酸化力が大きいと判断することができる。
【0064】
図1中に記載の「*」は、タンゲレチンを含有するミカンの皮抽出物(−)と、タンゲレチンを含有するミカンの皮抽出物にEGCGを含有する緑茶抽出物を混合して使用した場合(+)との間に「有意差」があることを示すものであり、実験結果から算出されたp−valueが0.05未満であるため、信頼できる有意性を有しているものと認められる。この
図1の結果によれば、すべての濃度で、EGCGとタンゲレチンをそれぞれ単独で処理する時に比べて、この二つを共に処理する時、有意的な差として抗酸化効果があることを確認することができた。
【0065】
また、
図1中の写真は、この試験例5のDPPH assayにおける色の変化を表したものである。紫色を帯びたDPPHは、抗酸化物質と反応すると、抗酸化物質から水素電子を受けて、色が変化する。EGCGとタンゲレチンをそれぞれ単独で処理した時に比べて、この二つを共に処理した時には、対照群の濃い紫色が有意に薄くなることが分かった。
したがって、タンゲレチンとEGCGの抗酸化シナジー効果を通じて美白効果だけでなく、皮膚の酸化を防ぎ、皮膚に活気を与えることを確認することができた。
【0066】
下記、本発明に係る化粧料組成物及び薬学組成物の剤形例を説明するが、下記の例示の以外にも様々な剤形に応用が可能であり、これは、本発明を限定しようとするものではなく、単に具体的に説明するためである。
【0067】
[剤形例1]柔軟化粧水(スキンローション)
下記表5に記載された組成により、通常の方法で柔軟化粧水を製造した。
【0068】
【表5】
【0069】
[剤形例2]栄養化粧水(ミルクローション)
下記の表6に記載された組成により、通常の方法で栄養化粧水を製造した。
【0070】
【表6】
【0071】
[剤形例3]栄養クリーム
下記の表7に記載された組成により、通常の方法で栄養クリームを製造した。
【0072】
【表7】
【0073】
[剤形例4]マッサージクリーム
下記の表8に記載された組成により、通常の方法でマッサージクリームを製造した。
【0074】
【表8】
【0075】
[剤形例5]パック
下記の表9に記載された組成により、通常の方法でパックを製造した。
【0076】
【表9】
【0077】
[剤形例6]局所投与用薬剤(パッチ剤)
下記の表10に記載された組成により、通常の方法でパッチ剤を製造した。
【0078】
【表10】
【0079】
本発明が属した分野で通常の知識を有する者であれば、前記の内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形を行うことが可能である。
【0080】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、具体的な技術は単に好ましい実現例に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されないのは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付する請求項とその等価物によって定義される。