特許第6387223号(P6387223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本テトラパック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6387223-紙容器 図000002
  • 特許6387223-紙容器 図000003
  • 特許6387223-紙容器 図000004
  • 特許6387223-紙容器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387223
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/74 20060101AFI20180827BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B65D5/74 020
   B65D51/22BRL
   B65D51/22BSE
   B65D51/22BSK
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-196297(P2013-196297)
(22)【出願日】2013年9月22日
(65)【公開番号】特開2015-61791(P2015-61791A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2016年7月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229232
【氏名又は名称】日本テトラパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】大宮 尚
(72)【発明者】
【氏名】矢野 恵治
(72)【発明者】
【氏名】新井 愛美
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−310230(JP,A)
【文献】 特開平09−221128(JP,A)
【文献】 特開2003−026219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/74
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材と熱可塑性材料の最外層及び最内層との積層包装材料と、
容器頂部に設けられ、封止フィルムが張られた開口部に注ぎ口を形成するための開封装置と、を備え、
前記開封装置が、前記開口部上のスパウトと、前記スパウトを覆うキャップと、前記開口部の周縁外面上の略円形のフランジと、前記開口部の周縁外面上に積層され、前記フランジの底面と接合された略四角形の分離用フィルムを含み、
前記略四角形の分離用フィルムの1辺が前記フランジの外縁より延長した把持容易部であり、
前記フランジの外縁側の前記容器頂部に、前記最外層から前記紙基材の途中まで切込みが形成され、
前記開封装置を紙容器から分離するに際して、前記略四角形の分離用フィルムの前記把持容易部を引き上げることにより、前記開口部の周縁外面下の前記紙基材を剥ぎ取りながら、前記スパウトと前記略円形のフランジとを引き剥がすことを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記開封装置が、前記スパウトと、前記フランジと、前記キャップと、前記スパウト内に収納される回転刃とを備える請求項1記載の紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトを持つ紙容器に関し、使用済み紙容器から容易にスパウトを分離することができる紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟性に富んだ紙包装材料は多年にわたって液体食品を包装するために用いられてきた。牛乳、果汁ジュース、野菜ジュース、豆乳、ワイン、清酒、焼酎、ミネラルウォーター、スープ及びその他飲料のための図4に示すような紙容器1は、例えば、繊維質基材(例えば、紙など)/プラスチック積層体に折目線が付けられたウェブ状包装材料を、その長手方向の縦線シールによりチューブ状に成形し、チューブ状に成形された包装材料内に液体食品を充填し、チューブ状包装材料を横断方向に横線シールし、枕状の包装体(一次形状容器)に成形する。
枕状の包装体を横シール部分で容器1個分ごとに切断し、最終成形工程で、折目線に沿って山折り若しくは谷折に、フィン及びフラップを折畳んで、図4に示すレンガ状の容器1が成形される。
【0003】
紙容器例1は、容器頂部に、図4(B)に示すように、スクリューキャップ6及びスパウト付き開封装置2を備える。この開封装置例では、図4(A)に示すように、封止フィルム4が張られた開口部3上に、注ぎ口のスパウトとそれと螺合するスクリューキャップ6とからなる。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003ー026219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャップ及びスパウトを持つ紙容器に充填された液体食品を飲用した後、容器はリサイクルされる。リサイクルに際して、キャップ及びスパウトのプラスチックと紙容器とに分別される。スパウトのプラスチック部分は、シールの観点から紙容器とに強固に接着され、容易に分離できない不都合があり、また、開封用の尖ったプラスチック部分などが意図しない動きを分離に際してする恐れがある。
本発明の目的は、キャップ及びスパウトのプラスチック部分が紙容器から分別されるリサイクルに際して、容易にかつ制御された流れで分離分別できる紙容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、紙基材と熱可塑性材料の最外層及び最内層との積層包装材料と、容器頂部に設けられ、封止フィルムが張られた開口部に注ぎ口を形成するための開封装置と、を備え、
前記開封装置が、前記開口部上のスパウトと、前記スパウトを覆うキャップと、前記開口部の周縁外面上の略円形のフランジと、前記開口部の周縁外面上に積層され、前記フランジの底面と接合された略四角形の分離用フィルムを含み、
前記略四角形の分離用フィルムの1辺が前記フランジの外縁より延長した把持容易部であり、
前記フランジの外縁側の前記容器頂部に、前記最外層から前記紙基材の途中まで切込みが形成され、
前記開封装置を紙容器から分離するに際して、前記分離用フィルムの前記把持容易部を引き上げることにより、前記開口部の周縁外面下の前記紙基材を剥ぎ取りながら、前記スパウトと前記フランジとを引き剥がすことを特徴とする
【0008】
この発明の好ましい態様において、開封装置が、スパウトと、フランジと、キャップと、スパウト内に収納される回転刃とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
この発明による紙容器は、容器頂部にキャップ及びスパウトを有する開封装置を備える。
容器頂部に、開封装置が注ぎ口を形成し、スパウトが注ぎ口の機能を担い、キャップがスパウトを覆い、衛生的にスパウトを保護すると共に、開封後は再封止を可能にする。
【0010】
この発明による紙容器は、紙基材と熱可塑性材料の最外層及び最内層との積層包装材料からなる。
両熱可塑性層は、基材の紙層を水、湿気から保護し、紙基材は機械的強度を容器に付与し、器壁の厚みの大部分を占める。厚みのある紙基材は繊維質であるので、容易に層状に剥がれることができる。
【0011】
この発明による開封装置は、封止フィルムが張られた開口部上のスパウトと、開口部の周縁外面上のフランジと、キャップとからなる。
スパウトは、開封時に、封止フィルムが破られ開口部に開口が形成され、注ぎ口の役割を果たす。
フランジは、スパウトの基部に一体的に配設され、開口部の周縁外面上に接合されて容器に固定される。
キャップは、上述のように、スパウトを覆い、衛生的にスパウトを保護すると共に、開封後は再封止を可能にする。
【0012】
この発明による紙容器は、開口部の周縁外面上に積層され、フランジの底面と接合され、フランジの外縁より延長した把持容易部を備える分離用フィルムを備える。
分離用フィルムは、開口部の周縁外面とフランジ底面との間に積層される。分離用フィルムの把持容易部は、フランジの外縁より延長した部分となる。
この発明による分離用フィルムの把持容易部は、上記構成を有するので、開封装置を紙容器から分離するに際して、分離用フィルムの把持容易部を引き上げると、分離用フィルムと紙容器の積層包装材料と、特に、最外層との間に最も強いストレスが発生し、ストレスによって弱い最外層が破断し、それと融着する紙基材層も破断が生じる。厚みのある紙基材は繊維質であるので、容易に層状に剥がれ、開口部の周縁外面下に沿って、紙基材を層状に剥ぎ取ることができ、スパウトとフランジとを引き剥がすことができる。
【0013】
この発明の好ましい態様において、フランジの外縁側の容器頂部に、熱可塑性最外層から紙基材の途中まで切込みが形成されている。
分離用フィルムの把持容易部を引き上げる際に、切込みから層状剥ぎ取りをより容易に開始させることができ、よりスムーズに、よりコントロールされた状態でリサイクルを行うことができる。
【0014】
この発明の好ましい態様において、開封装置が、スパウトと、フランジと、キャップと、スパウト内に収納される回転刃とを備える。
回転刃がスパウト内に収納され、開口部の封止フィルムを簡易に切断することができ、開封用の尖ったプラスチック部分、回転刃があっても、よりコントロールされた状態で分離分別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施例による紙容器において、スパウトと、フランジと、キャップと、スパウト内に収納される回転刃とを備える開封装置が、組立てられ(a)、(b)、容器に接合され(c)、(d)、使用時に開封され(e)、再封止され(f)、分離分別される(g)、(h)様子を示す部分外観図である。
図2】この発明の実施例による紙容器において、分離分別される様子を示す部分断面図である。
図3】この発明の実施例による紙容器において、開封装置の様子を示す部分平面図である。
図4】この発明で使用することができる紙容器の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施例による紙容器1は、図4(B)に例示すように、容器頂部にキャップ6及びスパウト7を有する開封装置2を備える。
容器1の頂部に、開封装置2が、開口部3に注ぎ口を形成する。スパウト7が注ぎ口の機能を担い、キャップ6がスパウト7を覆い、衛生的にスパウト7を保護し、開封後は再封止する。
【0017】
この実施例による紙容器1は、紙基材9と熱可塑性材料の最外層及び最内層との積層包装材料8からなる。
両熱可塑性層は、基材の紙層を水、湿気から保護し、紙基材は機械的強度を容器に付与し、器壁の厚みの大部分を占める。厚みのある紙基材は繊維質であるので、図2(b)に示すように、容易に層状13に剥がれる。
【0018】
この実施例による開封装置2は、図1(a)〜(c)に示すように、封止フィルム4が張られた開口部3上のスパウト7と、開口部3の周縁外面上のフランジ10と、キャップ6とからなる。
スパウト7は、開封時に、図1(e)〜(f)に示すように、封止フィルム4が破られ開口部3に開口が形成され、注ぎ口の役割を果たす。
フランジは、スパウト7の基部に一体的に配設され、開口部の周縁外面上に接合されて容器に固定される。
【0019】
この実施例において、開封装置2が、スパウト7と、フランジ10と、キャップ6と、スパウト内に収納される回転刃11とを備える。
回転刃11は、図1(a)に示すように、組立時に、スパウト内に収納される。
使用時に、図1(e)に示すように、キャップ6の上方回転によって、回転しながら下方に下降し、開口部3の封止フィルム4を簡易に切断する。
【0020】
この実施例による紙容器1は、図2図3に示されるように、開口部3の周縁外面上に積層され、フランジ10の底面と接合され、フランジ10の外縁より延長した把持容易部12aを備える分離用フィルム12を備える。
分離用フィルム12は、開口部3の周縁外面とフランジ10底面との間に積層される。分離用フィルム12の把持容易部12aは、フランジ10の外縁より延長した部分となる。
【0021】
この実施例による分離用フィルムの把持容易部12aは、図2に示すように、開封装置2を紙容器1から分離するに際して、分離用フィルム12の把持容易部12aを引き上げ、分離用フィルム12と紙容器の積層包装材料8と、それらの間にストレスが発生し、ストレスによって弱い層が破断し、それと融着する紙基材層9も破断が生じ、厚みのある紙基材8は、容易に層状に剥がれ、開口部の周縁外面下13に沿って、紙基材を層状に剥ぎ取る。図2(b)に示すように、スパウト7とフランジ10とを引き剥がす。
【0022】
この実施例において、フランジ10の外縁側の容器頂部に、図2図3に示されるように、熱可塑性最外層から紙基材8の途中まで切込み14が形成されている。
分離用フィルムの把持容易部12aを引き上げる際に、切込み14から層状剥ぎ取りをより容易に開始させ、よりスムーズに、よりコントロールされた状態でリサイクルを行う。
開封用の尖ったプラスチック部分、回転刃11があっても、よりコントロールされた状態で分離分別を行う。
【0023】
なお、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、液体食品の包装充填の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 紙容器
2 開封装置
3 開口部
6 キャップ
7 スパウト
10 フランジ
図1
図2
図3
図4