特許第6387224号(P6387224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6387224重質閉塞性仕込原料処理用の気体および液体の下降並流を有する固定床反応器に供給するためのろ過分配プレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387224
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】重質閉塞性仕込原料処理用の気体および液体の下降並流を有する固定床反応器に供給するためのろ過分配プレート
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/00 20060101AFI20180827BHJP
   C10G 45/00 20060101ALI20180827BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20180827BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20180827BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20180827BHJP
   B01F 5/06 20060101ALI20180827BHJP
   B01J 8/04 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B01J8/00 A
   C10G45/00
   B01D29/08 520A
   B01D29/08 530D
   B01F15/02 A
   B01F3/04 Z
   B01F5/06
   B01J8/04
   B01D29/08 540Z
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-212615(P2013-212615)
(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-87789(P2014-87789A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】1202705
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック バザー−バチ
(72)【発明者】
【氏名】ヤシーヌ アルーン
(72)【発明者】
【氏名】マチュー ディーニュ
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−507677(JP,A)
【文献】 特表2009−505819(JP,A)
【文献】 特開2001−347158(JP,A)
【文献】 特開2002−001097(JP,A)
【文献】 特開2008−000680(JP,A)
【文献】 特開2011−255329(JP,A)
【文献】 特開2010−207743(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0201856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00 − 8/46
B01D 24/00
C10G 1/00 − 99/00
B01F 1/00 − 5/26
B01F 15/00 − 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下降並流気液流による固定床反応器であって、前記気液流に適した分配およびろ過プレートを有しており、前記固定床反応器は、該反応器に沿って多段に設置された複数の触媒床を含んでおり、各プレートは各触媒床の上流に配置されており、前記プレートは、上から下へ向かって、以下の要素:
・前記反応器の断面全体をカバーしてはいないが、前記反応器の断面の5〜50%に相当する自由な環状ゾーン(11)を残す、下面と側面に孔を有する有孔支持体(3)、
・前記有孔支持体(3)によって支持されたろ過層(4)、
・前記有孔支持体(3)に対して50〜150mmの範囲内の距離に配置されるフルプレート(2)であって、前記ろ過層(4)および前記フルプレート(2)と交差する実質的に垂直な複数の分配要素(5)を備えており、これらの分配要素は、長方形または三角形のパターンに配置されており、前記分配要素(5)は、200〜400mmの範囲内の高さを有していて、気体を導入するために上端が開口しており、かつ前記分配要素のうち前記有孔支持体(3)と前記フルプレート(2)との間の部分に配置された、液体を導入するための少なくとも1列の孔を備えており、また気液混合物が前記分配要素(5)の下端によって排出される、フルプレート(2)、
・前記フルプレート(2)の下方に、前記フルプレート(2)に対して20〜300mmの範囲内の距離に配置される、少なくとも1つの高多孔性の分散要素(7)、
によって構成される、固定床反応器。
【請求項2】
前記有孔支持体(3)は、前記反応器の断面の5〜30%に相当する自由な環状ゾーン(11)を残すことを特徴とする請求項1に記載の固定床反応器。
【請求項3】
前記分散要素(7)は、前記フルプレート(2)に対して50〜150mmの距離に配置されることを特徴とする請求項1に記載の固定床反応器。
【請求項4】
前記有孔支持体(3)は、前記反応器の断面の5〜30%に相当する自由な環状ゾーン(11)を残し、かつ、前記分散要素(7)は、前記フルプレート(2)に対して50〜150mmの距離に配置されることを特徴とする請求項1に記載の固定床反応器。
【請求項5】
各分配およびろ過プレートが、前記ろ過層(4)の深さに相当する高さの部分にわたりフルスリーブ(8)によって囲まれた、実質的に垂直な煙突体である、分配要素(5)を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器。
【請求項6】
前記煙突体のピッチが100〜300mmの範囲内である、請求項5に記載の下降並流気液流による固定床反応器。
【請求項7】
前記有孔支持体(3)の前記ろ過層(4)が、保護材料粒子からなりかつ高さが100〜300mmの範囲内である少なくとも1つの層によって構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器。
【請求項8】
前記フルプレート(2)の下方に配置された複数の前記高多孔性の分散要素(7)が、互い違いに配置され、かつ前記フルプレート(2)の下方において150〜250mmの距離で交互する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器。
【請求項9】
前記反応器に入る液体噴流を砕くための保護スクリーン(6)が、前記ろ過層(4)の上方に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器。
【請求項10】
複数の前記分散要素(7)が、円錐形のデフレクターの集合体によって構成され、各デフレクターが各分配要素(5)の下方に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器。
【請求項11】
水素化処理プロセス、選択的水素化プロセス、残油転化プロセス、または3〜50個の炭素原子を含んだ石油留分の酸化のためのプロセスにおける、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器の使用。
【請求項12】
水素化処理プロセス、選択的水素化プロセス、残油転化プロセス、または5〜50個の炭素原子を含んだ石油留分の酸化のためのプロセスにおける、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器の使用。
【請求項13】
気体および液体の下降並流を、0.1〜1.5cm/sの範囲内の液面流速で使用するプロセスにおける、請求項1〜4のいずれか1項に記載の下降並流気液流による固定床反応器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリクル(trickle)流様式(下降並流、液体速度1.5cm/s未満)で操作する固定床型触媒反応器の入口において気体および液体をろ過および分配するためのプレートの構成に関する。想定される主な用途は残油の水素化処理であるが、本出願は、固定床の閉塞の原因となり得る石油留分のあらゆる水素化に適用され、また更に一般的には、固定床に到達する閉塞性粒子が充填された、気体を含んだまたは含んでいないあらゆる液相に適用される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本出願人によって出願された以下の特許の改良と見ることができる。
・特許文献1には、気体および液体の下降並流を用いた固定床反応器用のオーバーフロー管を有し、事前分配プレート(pre-distribution plate)として知られたろ過プレートが記載されており、該事前分配プレートは、従来の分配プレートの上方に配置されたろ過プレートよりなるものである。
・特許文献2には、気体および液体の下降並流を用いた固定床反応器のためのろ過プレートが記載されており、該プレートは、下流に配置された触媒床のためのろ過機能と、気液流の分配機能の双方を提供する。この特許では、触媒床の中央において煙突体に孔(またはスロット)があけられたろ過プレートの形状配置が提案されているが、これは孔の近くで床が閉塞した場合に困難を生じる。この床の閉塞は、結果として、煙突体の閉塞を、次の2つの結果、即ち、分配プレートよりも下方の液体流速の分配の不均衡、および、複数の煙突体が集合させられて触媒床に突き通されている場合におけるプレートを取り外す際の煙突体に対する破壊のリスク、と共に生じさせる。
・特許文献3には、ろ過粒子および触媒粒子を含んだ脱着可能なバスケットの配置が記載されており、前記バスケットは、前記プレートの取付け/取外しを容易にしかつプレートと触媒との間の凝集のリスクを制限するために、分配プレート上に置かれる。しかしながら、その解決法は一定の不利益を受ける。即ち、多数のバスケットは、取付け時間が非常に長くなり、また粒子がバスケット間から脱出するのを防ぎつつ全てのバスケット間の流体の接触を確保する必要があることを意味する。
本発明は、先行特許と比較して、実質的な改良を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許発明第2924950号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2889973号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2959677号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の簡単な説明)
本発明は、気体および液体の仕込原料を用いて、より具体的には、トリクル様式として知られている流動様式、即ち、0.1〜1.5cm/sの範囲内の液面流速で操作する、触媒反応器に供給するための分配プレートとして定義することができる。
【0005】
本プレートは、その機能が、反応器に入る2相の噴流を、前記プレートの下流に配置された触媒床の表面上に均一に分配される気液混合物に変えることである、分配プレートとして定義することができる。本発明の分配プレートはまた、ろ過層によってプレート自体に組み込まれた、ろ過機能を統合している。分配要素はろ過層を貫通するが、分配要素内への気体および液体の入口は前記ろ過層の外側に配置されているため、先行技術のプレートとは対照的に、このろ過層は、ある意味で分配機能から分離されている。
【0006】
一般に、これらの分配要素は、プレートのレベルよりも下方に位置する下位レベルから、ろ過層の上面よりも上方に位置する上位レベルまでのびる、実質的に垂直な煙突体の形態をとっている。
【0007】
気体は、分配要素の開口した上端から導入され、前記上端はろ過層よりも上方に位置しており、また液体は、オリフィスの列から導入され、この列は、ろ過層(4)よりも下方で、かつプレート(2)自体よりも上方に位置する部分に配置されている。
【0008】
この部分は、液体のみで占められている。なぜならば、通常の操作下では、プレート(2)上方の液体レベルは、ろ過層(4)の内部であってかつ気体のみが流入可能な分配要素(5)の上端よりも下方に位置するからである。
【0009】
本発明の分配およびろ過プレートは、それ故、反応器に沿って多段に設置された複数の触媒床を含んだ固定床反応器における、下降並流様式の気液流に適合する。
【0010】
一般に、本発明のろ過プレートは、(流体の流れの方向において)第1の触媒床の上流に配置される。反応器に沿って互い違いに配置された複数の触媒床上にそれぞれ異なったレベルで仕込原料が導入される場合、本発明のろ過プレートを各触媒床の上流に配置することが可能である。
【0011】
本発明は、下降並流の気液流による固定床反応器であって、前記気液流に適した分配およびろ過プレートを有するものとして定義することができる。前記固定床反応器は、該反応器に沿って多段に設置された複数の触媒床を含んでいてもよく、各プレートは各触媒床の上流に配置される。前記プレートは、上から下へ向かって、以下の要素:
・反応器の断面全体をカバーしてはいないが、前記反応器の断面の5〜50%、好ましくは5〜30%に相当する自由な環状ゾーン(11)を残す、有孔支持体(3)、
・前記有孔支持体(3)によって支持されたろ過層(4)、
・有孔支持体(3)に対して50〜150mmの範囲内の距離に配置されるフルプレート(2)であって、ろ過層(4)およびフルプレート(2)と交差する実質的に垂直な複数の分配要素(5)を備えており、これらの分配要素は、長方形または三角形のパターンに配置されており、前記分配要素(5)は、200〜400mmの範囲内の高さを有していて、気体を導入するために上端が開口しており、かつ前記分配要素のうち有孔支持体(3)とフルプレート(2)との間の部分に配置された、液体を導入するための少なくとも1列の複数の孔を備えており、また気液混合物が前記分配要素(5)の下端によって排出される、フルプレート(2)、
・フルプレート(2)の下方に、前記フルプレート(2)に対して20〜300mmの範囲内、好ましくは50〜150mmの範囲内の距離に配置される、少なくとも1つの高多孔性の分散要素(7)、
によって構成される。
【0012】
「フルプレート(2)」の用語は、このプレートが何らオリフィスを有しないこと、つまり、気体および液体は分配要素(5)の下端から出ることを意味する。
【0013】
変形例においては、液体噴流を各分配要素(5)の下方に分散させるための分散要素(7)が、デフレクタータイプのものとなされる。
【0014】
それらはまた、フルプレート(2)の下方に、それに対して20〜300mmの範囲内、好ましくは50〜150mmの範囲内の距離にわたるように、間隔をおいて互い違いに配置された、多孔性のスクリーン要素によって構成されていてもよい。
【0015】
好ましくは、本発明の分配およびろ過プレートにおいて、分配要素(5)は、全高が200〜400mmの範囲内である、実質的に垂直な煙突体によって構成される。
【0016】
好ましくは、本発明の分配およびろ過プレートにおいて、有孔支持体(3)上に置かれたろ過媒体(ろ過層)(4)は、保護粒子として知られた粒子からなり、高さが100〜300mmの範囲内、好ましくは150mm未満である、少なくとも1つの層によって構成される。
【0017】
ろ過媒体(ろ過層)(4)を構成する粒子は、
・防護材料の粒子または一般的に保護要素として作用するあらゆる他の粒子、
・または触媒自体の粒子、
であってもよい。
【0018】
本発明のプレートは、ろ過層を構成する防護材料の選択によっては制限されない。仕込原料中に含有される閉塞性粒子を保持することができるあらゆる材料が、本発明のプレートに適合しうる。
【0019】
200〜300mmの範囲内のろ過媒体(ろ過層)の高さのため、第1に防護材料の粒子によって構成され、次に触媒の粒子によって構成される、複数の層を使用することが可能である。殆どの場合は、単一層で充分である。好ましくは、本発明の分配およびろ過プレートにおいて、プレート(2)の下方に配置された高多孔性の分散要素(7)は、互い違いに配置された複数のスクリーン片によって構成され、前記プレート(2)の下方に150〜250mmの間の距離で交互する。
【0020】
好ましくは、本発明の分配およびろ過プレートにおいて、ろ過層(4)の上方において反応器に入る液体噴流を砕くための保護スクリーンまたは有孔プレート(6)が、前記層に対して10mm未満の距離で、前記ろ過層の上方に配置される。
【0021】
変形例では、スクリーン(7)は、各分配要素(5)の下方で液体噴流を分散させるために設計されたあらゆるデフレクタータイプの要素(例えば、円錐形のデフレクターの集合体)に置き換えることができ、各デフレクターは、各分配要素(5)の下方またはその一部の下方に配置される。
【0022】
一般に、本発明の分配プレートは、気体および液体の下降並流を、「トリクル」様式、即ち、0.1〜1.5cm/sの範囲内の液面流速で用いるあらゆるプロセスにおいて使用される。
【0023】
より具体的には、本発明の分配プレートは、水素化処理、選択的水素化、残油転化、または3〜50個、好ましくは5〜30個の炭素原子を含んだ石油留分の酸化のためのプロセスに適用可能である。
【0024】
本分配ろ過プレートを用いて処理することができる重質仕込原料は、370℃より高い沸点をもつもの、特に残油タイプのもの等、即ち、常圧残油、真空残油、脱アスファルト油、または、例えばコーキング、固定床、噴流床または移動床の水素化といった転化プロセスから実際に得られた残油として定義してもよく、全てのタイプの残油は単独で、または混合物として使用可能である。
【0025】
これらの重質仕込原料は、そのままで、または炭化水素留分もしくは炭化水素留分の混合物で希釈して使用される。
【0026】
本発明が関係する重質仕込原料はまた、石炭液化プロセス、芳香族抽出物、またはその他のあらゆる炭化水素留分から得られた留分を包含し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のプレートの側面図であって、主要な要素、即ち、有孔支持体(3)によって支持されたろ過層(4)、フルプレート(2)によって支持された分配要素(5)、および多孔性の下部スクリーン(分散要素)(7)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明の分配プレートは、反応器に入る2相の噴流(気体−液体)を、下流に位置する触媒床の表面上に均一かつ一様に分配される気液混合物に変えるという意味で、分配プレートである。
【0029】
加えて、それはろ過機能を統合しているが、ろ過機能が分配機能から切り離されている点で、先行技術のろ過プレートと異なっている。
【0030】
その上にろ過層(4)が配置されている有孔支持体(3)は、プレートの中央ゾーンに位置するが、反応器の断面全体を占めてはいない。実際、ろ過ゾーン(ろ過層)(4)と反応器の壁(1)との間には、環状空間(自由な環状ゾーン)(11)がある。
【0031】
この環状空間(自由な環状ゾーン)(11)は、継時的に回収された種々の不純物によってろ過層(4)が閉塞された状況において、液体が分配要素(5)に向かって流通することを可能にする。
【0032】
この環状空間(自由な環状ゾーン)の幅は、プレートが完全に閉塞された場合でも、圧力バランスが合わせられるように設定される。
【0033】
この場合、ろ過機能はもはや機能しないが、分配プレートは機能し続ける。その理由は、分配要素(5)内に液体を導入する孔(オリフィス)(10)が、ろ過層(4)から完全に分離したゾーンに位置しているからである。
【0034】
ろ過層から離れたこのゾーンは、高さが300mm未満、好ましくは200mm未満であり、分配が正しく機能するためには、分配要素(5)の高さが、200mmより高く、好ましくは300mmより高くなければならない。なぜならば、この高さが、プロセスによってしばしば要求される液体流速の変動に適応し得ることを意味するからである。
【0035】
ろ過ゾーン(ろ過層)(4)は、分配プレート(2)に連結された有孔支持体(3)を使用しており、当業者に知られた手段、例えば図1に示すような屈曲支持体(9)および/または垂直支持体(図1の中央にも示されている)、または当業者に知られた任意の他の手段によって、このプレート(2)に機械的に保持されている。
【0036】
プレート(2)および有孔支持体(3)は、ねじ機構(a system of screws)によるか、または当業者に知られた任意の他の手段により、一緒に保持されてもよい。
【0037】
有孔支持体(3)は、その下部ゾーンに孔があけられているが、液体を通過させるために、その側面ゾーンにも孔があけられてよい。
【0038】
分配要素(5)は、一般に、プレート(2)の平面よりも下方に位置する下位レベルから、ろ過層(4)の上面よりも上方に位置する上位レベルまでのびる、実質的に垂直な煙突体の形態を有する。
【0039】
これらの分配要素(5)は、孔なしスリーブ(フルスリーブ)(8)によって保護され得る。
【0040】
これにより、ろ過床(4)は、分配要素(5)と接触しない。
【0041】
ろ過床が凝固した場合、それはスリーブには付着するが、分配要素(5)自体には付着しない。したがって、下部プレート(フルプレート)(2)は劣化せず、閉塞されたろ過ゾーン(ろ過層)(4)をプレートの残りの部分から分離することがずっと容易になる。
【0042】
取付け/取外しのため、有孔支持体(3)は、複数の分配プレートパネルとして取り入れられ、これらのパネルの大きさは、反応器のマンホールを通じて導入できるようなものである。同じように、分配プレート(2)は、マンホールを通じて導入可能な複数の要素に分割される。
【0043】
スリーブ(8)は、分配プレートにおける分配要素(5)の周囲の有孔支持体(3)上に直接配置されてよい。
【0044】
ろ過媒体(ろ過層)(4)は、「緩やかな」(loose)充填により、有孔支持体(3)の上に直接配置される。
【0045】
必要に応じて、前記ろ過層を構成する粒子が排出されるのを防止する目的で、保護スクリーン(6)をろ過媒体(ろ過層)(4)の上方に追加して、反応器に入る気液流から前記媒体を保護するようにしてもよい。
【0046】
先行技術のプレートに対する本発明の分配プレートの利点は、以下の通り要約することができる:
・分配要素(5)の液体導入孔は、有孔支持体(3)の下方に位置しており、この配置は、ろ過機能が分配機能から分離可能であることを意味する。この分配はまた、液体流速に関して、ある程度の自由度を提供する。その理由は、液体レベルが、ろ過ゾーン(ろ過層)(4)内に位置する下位レベルからろ過層(4)の上方に位置する上位レベルまでの相当広い範囲の高さに亘って設定可能だからである。しかしながら、それは、分配要素(5)の上端よりも下方に留まって、気体を通過させる働きをする前記上端から液体が流入するのが防止されなければならない。
・ろ過の高さは、所望のろ過機能を実行するのに充分な状態のままである。
・取付けおよび取外しは、先行技術の解決手段であるフィルターバスケットと比較して容易である。つまり、
・有孔支持体(3)は、複数のパネルとしてマンホールを通じて導入される。
・有孔支持体(3)は、壁および/または分配プレートの近くの複数の補強材/脚によって支持される。
・分配要素(5)の周囲に差し込まれる保護スリーブ(フルスリーブ)(8)は、独立して外部で製造され、かつフルサポート(フルプレート)(2)上に直接設置される。
・分配要素(5)を備えたフルサポート(フルプレート)(2)は、複数のパネルとしてマンホールを通じて導入される。
【0047】
本発明の分配プレートは、新規なユニットを装備し、または、既存のユニット上の従来のプレートを置き換えるのに使用することができる。
【0048】
あるタイプのプレート(例えば、アクセンス(Axens)社により市販されるEquiFlow(登録商標)の場合)について、前記プレートのリモデリングは、本発明において記載されたろ過プレートの設置を可能とするのに十分である。
【実施例】
【0049】
本実施例は、純粋に例証として示され、残油水素化処理に関するものである。
【0050】
気体および液体流速は、気体について[2−5]cm/s、液体について[0.1−0.5]cm/sの範囲内にある。
【0051】
反応器の直径は、3.5mである。
【0052】
垂直な煙突体の形態であった分配要素(5)の大きさは、以下の通りである。
・煙突体の高さ:350mm
・煙突体の直径:50mm
・煙突体間のピッチ:200mm
【0053】
煙突体は、液体を導入するための2列のオリフィス(10)を含んでなる。
・列1のオリフィス:フルプレートに対する高さ40mm、3つの5mmの孔
・列2のオリフィス:フルプレートに対する高さ130mm、3つの5mmの孔
・気体を導入するために煙突体の先端部にある気体流通口:30mm
【0054】
ろ過層(4)の大きさは、以下の通りである。
・有孔支持体(3)の位置:フルプレート(2)の140mm上
・ろ過層(4)の直径:3.1m
・環状ゾーン(11)の厚さ:200mm
・有孔支持体(3)の全高:160mm、即ちフルプレート(2)の310mm上で、分配要素(5)の気体開口の10mm下
・保護プラーク(protective plaque)(保護スクリーン)(6)の位置:フルプレート(2)の290mm上
・防護材料の層の厚さ:150mm
【符号の説明】
【0055】
(2):フルプレート
(3):有孔支持体
(4):ろ過層
(5):分配要素
(6):保護スクリーン
(7):高多孔性の分散要素
(8):フルスリーブ
(9):屈曲支持体
(10):孔
(11):自由な環状ゾーン
図1