特許第6387247号(P6387247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6387247コンクリート造の梁又はスラブの構築方法及び型枠支保工
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387247
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】コンクリート造の梁又はスラブの構築方法及び型枠支保工
(51)【国際特許分類】
   E04G 11/48 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   E04G11/48
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-105317(P2014-105317)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-218557(P2015-218557A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】513024889
【氏名又は名称】有限会社駒澤インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】仲西 綾香
(72)【発明者】
【氏名】井上 公隆
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 正彦
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−303386(JP,A)
【文献】 米国特許第03924379(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 11/48
E04G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁又はスラブを構築するための型枠内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現する前の段階で、前記型枠を支持する複数の支保工のうち、一部の支保工を残置してその他の支保工を解体する型枠支保工法を用いて、コンクリート造の梁又はスラブを構築する方法であって、
前記一部の支保工を、前記型枠内に打設したコンクリートと一体化させるコンクリート造の梁又はスラブの構築方法。
【請求項2】
前記型枠内に前記一部の支保工の上部を挿入した状態で前記型枠内にコンクリートを打設する請求項1に記載のコンクリート造の梁又はスラブの構築方法。
【請求項3】
前記型枠内に内部が連通する筒体を設け、前記型枠内及び前記筒体内にコンクリートを打設することにより、前記一部の支保工を構築する請求項1に記載のコンクリート造の梁又はスラブの構築方法。
【請求項4】
前記一部の支保工を、前記梁又はスラブとその下の天井の施工高さとの間に位置する上側部分と、該上側部分と分割可能に接合された下側部分とで構成し、前記型枠内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現した後に、前記下側部分は撤去する一方、前記上側部分は前記天井の施工後も残置する請求項2に記載のコンクリート造の梁又はスラブの構築方法。
【請求項5】
前記一部の支保工を、壁の施工位置に設置し、前記壁の施工後もその内側に残置する請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のコンクリート造の梁又はスラブの構築方法。
【請求項6】
梁又はスラブを構築するための型枠内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現する前の段階で、前記型枠を支持する複数の支保工のうち、一部の支保工を残置してその他の支保工を解体する型枠支保工法で用いられる型枠支保工であって、
前記一部の支保工は、前記型枠内に打設したコンクリートと一体化されている型枠支保工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート造の梁又はスラブの構築方法及び型枠支保工に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート造の梁又はスラブを構築する際の型枠の支保工法として、梁又はスラブのコンクリートが設計基準強度を発現する前の段階で、一部のサポート(以下、残置サポートという)を残置する一方、その他のサポート(以下、一般サポートという)を早期に解体して後工程に転用する工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4−66979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパーマネントサポート工法では、一般サポートを解体した後に、コンクリート躯体が自重で撓んだり、この撓みによってコンクリート躯体にひび割れが生じたりしないように、コンクリート躯体の荷重を確実に残置サポートに支持させるべく、コンクリートが圧縮強度を発現した後に、残置サポートを増し締めする作業を実施する。
【0005】
ここで、当該作業は、熟練度を要する難作業である。また、一般サポートを解体する際には、確実に残置サポートを前置するように管理する必要がある。よって、従来のパーマネントサポート工法では施工管理が複雑である。また、残置サポートを増し締めする作業により工数が増えるところ、当該作業は難作業であることからその負担は大きい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パーマネントサポート工法等の一部の型枠支保工(残置サポート)を残置してその他の型枠支保工を解体する工法を用いてコンクリート造の梁又はスラブを構築するに際して、施工管理を容易化すると共に、施工効率を向上させることを課題にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンクリート造の梁又はスラブの構築方法は、梁又はスラブを構築するための型枠内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現する前の段階で、前記型枠を支持する複数の支保工のうち、一部の支保工を残置してその他の支保工を解体する型枠支保工法を用いて、コンクリート造の梁又はスラブを構築する方法であって、前記一部の支保工を、前記型枠内に打設したコンクリートと一体化させる。
【0008】
前記コンクリート造の梁又はスラブの構築方法において、前記型枠内に前記一部の支保工の上部を挿入した状態で前記型枠内にコンクリートを打設してもよい。
【0009】
前記コンクリート造の梁又はスラブの構築方法において、前記型枠内に内部が連通する筒体を設け、前記型枠内及び前記筒体内にコンクリートを打設することにより、前記一部の支保工を構築してもよい。
【0010】
前記コンクリート造の梁又はスラブの構築方法において、前記一部の支保工を、前記梁又はスラブとその下の天井の施工高さとの間に位置する上側部分と、該上側部分と分割可能に接合された下側部分とで構成し、前記型枠内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現した後に、前記下側部分は撤去する一方、前記上側部分は前記天井の施工後も残置してもよい。
【0011】
前記コンクリート造の梁又はスラブの構築方法において、前記一部の支保工を、壁の施工位置に設置し、前記壁の施工後もその内側に残置してもよい。
【0012】
また、本発明に係る型枠支保工は、梁又はスラブを構築するための型枠内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現する前の段階で、前記型枠を支持する複数の支保工のうち、一部の支保工を残置してその他の支保工を解体する型枠支保工法で用いられる型枠支保工であって、前記一部の支保工は、前記型枠内に打設したコンクリートと一体化されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パーマネントサポート工法等の一部の型枠支保工(残置サポート)を残置してその他の型枠支保工を解体する工法を用いてコンクリート造の梁又はスラブを構築するに際して、施工管理を容易化すると共に、施工効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る型枠支保工を示す立断面図である。
図2】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
図3】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
図4】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
図5】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
図6】他の実施形態に係る型枠支保工を示す立断面図である。
図7】他の実施形態に係る型枠支保工の残置サポートを示す平断面図である。
図8】他の実施形態に係る型枠支保工を示す立断面図である。
図9】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
図10】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
図11】RC躯体の梁及びスラブを構築する手順を示す立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る型枠支保工10を示す立断面図である。この図に示すように、型枠支保工10は、パイプサポート式の型枠支保工であり、RC躯体の梁2及びスラブ3のコンクリートを打設する際に使用される型枠1を支持する。
【0016】
型枠支保工10は、一般サポート12と、水平つなぎ14と、大引16と、根太18と、残置サポート20とを備えている。一般サポート12は、パイプサポートであり、梁型枠1Aやスラブ型枠1Bの下に格子状に配されている。水平つなぎ14は、単管パイプであり、一般サポート12の下端及び中間の高さに、一般サポート12の列に沿って水平に配され、整列した複数の一般サポート12に緊結されている。大引16と根太18とは、梁型枠1Aやスラブ型枠1Bの下に互いに直交するように配されており、一般サポート12に支持されている。
【0017】
残置サポート20は、梁2の材軸方向中央部且つ幅方向中央部に1本又は複数本配された角型鋼管であり、一般サポート12が解体された後に残置されて梁2及びスラブ3を支持する。この残置サポート20の上部は、梁型枠1Aの底板を貫通して梁2に埋設されている。また、残置サポート20の上部には、該上部と梁型枠1Aの貫通孔の周縁部との間を塞ぐ漏止防止材(図示省略、例えば鍔材)が設けられており、梁型枠1A内に打設されるコンクリートが、梁型枠1Aの貫通孔から漏れないようになっている。
【0018】
残置サポート20は、天井高さLより上側において上下に分割されており、天井高さLより上側に位置する上側部分22と、上側部分22の下端に接合された下側部分24とを備える。上側部分22の上部は、型枠1を貫通して梁2に埋設されている。また、上側部分22の下端にはフランジ22Aが設けられ、下側部分24の上端にはフランジ24Aが設けられており、これらがボルト・ナットにより締結されている。また、下側部分24の下端にはフランジ24Bが設けられており、このフランジ24Bがアンカーにより施工階の下階のスラブ4に固定されている。
【0019】
下側部分24の下部には、ジャッキ26が設けられている。このジャッキ26は、キリンジャッキ等のネジ式のジャッキや油圧ジャッキであり、キリンジャッキであれば手回しハンドルが回転されることにより、油圧式ジャッキであれば油圧が調整されることにより、下側部分24が伸縮される。
【0020】
図1図5は、RC躯体の梁2及びスラブ3を構築する手順を示す立断面図である。これらの図に示すように、パーマネントサポート工法を用いてRC躯体を施工する。まず、図2に示すように、施工階の下階に型枠1及び型枠支保工10を設置する。この際、残置サポート20の上部を梁型枠1Aの底板の貫通孔を通して、梁型枠1Aの両側板の間に挿入する。また、残置サポート20の下端のフランジ24Bを施工階の下階のスラブ4にアンカーにより固定する。
【0021】
ここで、上側部分22の下端のフランジ22Aが、天井高さLよりも上側に位置するように、残置サポート20を設置する。また、ジャッキ26は、最小ストロークの状態ではないように、即ち、下側部分24を収縮できるように調整しておく。
【0022】
次に、図1に示すように、型枠1内に配筋をした後に型枠1内にコンクリートを打設する。そして、圧縮強度が、設計基準強度未満であるが一般サポート12を取外し可能な所定の圧縮強度(例えば、12N/mm2)に達するまで、型枠1内に打設したコンクリートを養生する。ここで、型枠1内のコンクリートの圧縮強度が発現すると、梁2と残置サポート20とが一体化し、梁2及びスラブ3の荷重が、残置サポート20により負担されることになる。
【0023】
次に、図3に示すように、残置サポート20を残置して、一般サポート12と水平つなぎ14と大引16と根太18とについては、解体して後工程に転用する。ここで、設計基準強度未満の所定の圧縮強度を発現している梁2及びスラブ3の荷重が、残置サポート20で支持されるところ、該所定の圧縮強度は、残置サポート20のみで荷重を支持された梁2及びスラブ3の応力状態でコンクリートにひび割れが生じないように設定されている。なお、この段階では、残置サポート20のみで荷重を支持した梁2及びスラブ3の上で梁2及びスラブ3の施工は行っておらず、残置サポート20のみで荷重を支持した梁2及びスラブ3には、それよりも上層の躯体の荷重を作用させていない。
【0024】
そして、圧縮強度が、設計基準強度以上、かつ、それよりも1層上の梁及びスラブの荷重を支持できる所定の圧縮強度に達するまで、型枠1内のコンクリートを養生する。
【0025】
次に、図4に示すように、上側部分22と下側部分24とのボルト・ナットによる締結を解除し、その後、ジャッキ26を操作して下側部分24を収縮させる。また、下側部分24のスラブ4へのアンカーによる固定を解除する。ここで、ジャッキ26により下側部分24を収縮させることにより、下側部分24が上側部分22とスラブ4とから上下方向に荷重を受けた状態が解除される。
【0026】
その後、図5に示すように、下側部分24を撤去する。一方、梁2と一体化された上側部分22は残置する。ここで、上側部分22の全体が天井高さLよりも上側に位置するところ、上側部分22を残置して天井を施工することにより、上側部分22を天井裏に格納する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係るパーマネントサポート工法を用いてRC躯体の梁2及びスラブ3を構築する方法では、残置サポート20を、型枠1内に打設したコンクリートと一体化させる。これにより、型枠1内のコンクリートが圧縮強度を発現すれば梁2及びスラブ3の荷重が残置サポート20に支持されることから、残置サポート20の調整を要せずに、一般サポート12を解体した後の梁2及びスラブ3が自重で撓んだり、該梁2及びスラブ3にひび割れが生じたりすることを防止できる。従って、工数を削減できる。また、従来のパーマネントサポート工法で実施していた残置サポートの増し締めという熟練度を要する難作業を不要にできることにより、施工管理を容易化でき、施工効率を向上できる。
【0028】
また、残置サポート20は梁2と一体化されているのに対して、一般サポート12は大引16や根太18を介して型枠1を支持していることから、残置サポート20と一般サポート12との違いが明白である。従って、一般サポート12を解体する際に、誤って残置サポート20が解体されることを防止できる。
【0029】
また、本実施形態に係るRC躯体の梁2及びスラブ3の構築方法では、型枠1内に残置サポート20の上部を挿入した状態で型枠1内にコンクリートを打設する。これによって、型枠1内のコンクリートの圧縮強度が発現すると、型枠1内のコンクリートと残置サポート20とが一体化し、梁2及びスラブ3の荷重が、残置サポート20により負担されることになる。従って、確実に梁2及びスラブ3の荷重を残置サポート20で支持できる。
【0030】
また、本実施形態に係るRC躯体の梁2及びスラブ3の構築方法では、残置サポート20を、梁2及びスラブ3とその下の天井高さLとの間に位置する上側部分22と、該上側部分22と分割可能に接合された下側部分24とで構成し、型枠1内に打設したコンクリートが設計基準強度を発現した後に、下側部分24は撤去する一方、上側部分22は天井の施工後も天井裏に残置する。これにより、梁2に一部を埋設した残置サポート20を、容易に、梁2及びスラブ3の施工後に居住空間に残存しないように撤去できる。
【0031】
図6は、他の実施形態に係る型枠支保工100を示す立断面図である。この図に示すように、型枠支保工100は、上述の残置サポート20に替えて残置サポート120を備える。この残置サポート120は、角型鋼管であり、その上部が梁型枠1Aの底板を貫通して梁2に埋設され、下端に設けられたフランジ120Aがアンカーによりスラブ 4に固定されている。
【0032】
ここで、図7に示すように、本実施形態では、梁2及びスラブ3の施工後にその下に仕上壁101が施工されるところ、残置サポート120は、仕上壁101を施工する位置に設置され、一般サポート12等が解体された後も残置される。そして、残置サポート120は、仕上壁101の施工後にその両面の壁仕上材102の間に格納される。なお、残置サポート120は仮設材であり、構築するRC躯体の構造計算には関与しない部材である。また、残置サポート120は1本のみならず複数本設置されることもある。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るRC躯体の梁2及びスラブ3の構築方法では、残置サポート120を、仕上壁101の施工位置に設置し、仕上壁101の施工後もその内側に残置する。これによって、梁2に一体化する残置サポート120を、分割可能に構成して撤去したり切断して撤去したりすることを要せずに、梁2及びスラブ3の施工後に居住空間に残存しないようにすることができる。
【0034】
図8は、他の実施形態に係る型枠支保工200を示す立断面図である。この図に示すように、型枠支保工200は、上述の残置サポート20、120に替えて残置サポート220を備える。この残置サポート220は、上端が梁2の底面に一体化されたコンクリート造の円柱222と、該円柱222を覆う円筒状の成型筒224とを備える。この成型筒224は、ボール紙や樹脂や金属で形成されており、上端は梁型枠1Aの底板の貫通孔の周縁部に接合され、下端はスラブ4に固定されている。
【0035】
図8図11は、RC躯体の梁2及びスラブ3を構築する手順を示す立断面図である。まず、図9に示すように、施工階の下階に型枠1及び型枠支保工200を設置する。この際、成型筒24の上端を梁型枠1Aの底板の貫通孔の周縁部に接合し、成型筒24の下端をスラブ4に接合する。
【0036】
次に、図8に示すように、型枠1内に配筋をした後に型枠1内にコンクリートを打設する。この際、梁型枠1Aの貫通孔から成型筒224内にコンクリートが充填される。そして、上述の実施形態と同様に、圧縮強度が、設計基準強度未満であるが一般サポート12を取外し可能な所定の圧縮強度(例えば、12N/mm2)に達するまで、型枠1内に打設したコンクリートを養生する。ここで、型枠1内及び成型筒224内のコンクリートの圧縮強度が発現すると、梁2及びスラブ3の荷重が、残置サポート220により負担されることになる。
【0037】
次に、図10に示すように、残置サポート220を残置して、一般サポート12と水平つなぎ14と大引16と根太18とについては、解体して後工程に転用する。ここで、設計基準強度未満の所定の圧縮強度を発現している梁2及びスラブ3の荷重が残置サポート220で支持されるところ、該所定の圧縮強度は、残置サポート220のみで荷重を支持された梁2及びスラブ3の応力状態でコンクリートにひび割れが生じないように設定されている。なお、この段階では、残置サポート220で荷重を支持した梁2及びスラブ3の上で梁2及びスラブ3の施工は行っておらず、残置サポート220で荷重を支持した梁2及びスラブ3には、それよりも上層の躯体の荷重を作用させていない。
【0038】
そして、圧縮強度が、設計基準強度以上、かつ、それよりも1層上の梁及びスラブの荷重を支持できる所定の圧縮強度に達するまで、型枠1内のコンクリートを養生する。
【0039】
次に、図11に示すように、残置サポート220の上下両端を梁2とスラブ4とから切断して、残置サポート220を撤去する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係るRC躯体の梁2及びスラブ3の構築方法では、型枠1内に内部が連通する成型筒224を設け、型枠1内及び成型筒224内にコンクリートを打設することにより、コンクリート造の残置サポート220を構築する。これにより、型枠1内及び成型筒224内のコンクリートの圧縮強度が発現すると、梁2及びスラブ3の荷重が、残置サポート220により負担されることになる。従って、確実に、梁2及びスラブ3の荷重を残置サポート220で支持できる。
【0041】
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上述の実施形態では、残置サポート20、120、220を、梁2と一体化させて梁2及びスラブ3の荷重を支持するようにしたが、残置サポート20、120、220を、スラブ3と一体化させて梁2及びスラブ3の荷重を支持するようにしたり、梁2及びスラブ3と一体化させて梁2及びスラブ3の荷重を支持するようにしたりしてもよい。さらに、スラブ3の支保工をフラットデッキ式にする等してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 型枠、1A 梁型枠、1B スラブ型枠、2 梁、3 スラブ、4 スラブ、10 型枠支保工、12 一般サポート、14 水平つなぎ、16 大引、18 根太、20 残置サポート、22 上側部分、22A フランジ、24 下側部分、24A、24B フランジ、26 ジャッキ、100 型枠支保工、101 仕上壁、102 壁仕上材、120 残置サポート、120A フランジ、200 型枠支保工、220 残置サポート、222 円柱、224 成型筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11