(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓄電器を収容するケースと、前記ケースに取り付けられ前記蓄電器及び前記蓄電器の陽極側に接続される高電圧配線を覆うメインカバー部材と、を備える蓄電装置の制御方法であって、
前記ケースから前記メインカバー部材が取り外されたか否かを検知し、
前記メインカバー部材が取り外されたことを検知した場合に、前記蓄電器と前記高電圧配線との通電を遮断することを特徴とする蓄電装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るハイブリッド建設機械100について説明する。
【0012】
ハイブリッド建設機械100の動作は、流体圧制御システム101によって制御される。例えば、流体圧制御システム101は、油圧ショベルの掘削アタッチメントを駆動する各アクチュエータの作動を制御する装置である。以下では、流体圧制御システム101が油圧ショベルのブーム1(負荷)を駆動するブームシリンダ10の伸縮作動を制御する場合について説明する。
【0013】
流体圧制御システム101は、アクチュエータとしてのブームシリンダ10と、ブームシリンダ10へ作動油(作動流体)を供給する流体圧ポンプとしてのメインポンプ21と、を備える。流体圧制御システム101はさらに、パイロットポンプ22と、メイン制御弁30と、メイン通路23と、第1通路41と、第2通路42と、メインコントローラ50と、を備える。
【0014】
ブームシリンダ10の内部は、ブームシリンダ10内を摺動自在に移動するピストン13aによって、ロッド側圧力室11とボトム側圧力室12とに区画されている。一端がピストン13aに結合されるピストンロッド13bの他端には、ブーム1が連結されている。
【0015】
メインポンプ21及びパイロットポンプ22は、作動油を吐出する油圧供給源であって、斜板の傾斜角が調整可能な可変容量型ポンプである。メインポンプ21及びパイロットポンプ22は、ハイブリッド建設機械に搭載された原動機としてのエンジン8によって駆動される。エンジン8には、エンジン8の回転数を検出する回転数検出器としての回転数センサ9が設けられる。
【0016】
メインポンプ21の斜板の傾斜角は、傾斜角制御器20によって制御される。傾斜角制御器20は、メインコントローラ50により制御される。メインポンプ21の斜板の傾斜角を制御することでメインポンプ21の容量が変化し、メインポンプ21が吐出可能な作動油の流量の最大値が変化する。
【0017】
メインポンプ21から吐出された作動油は、メイン通路23を通じてメイン制御弁30に供給される。このようにメインポンプ21とメイン制御弁30とは、メイン通路23によって接続されている。メイン通路23には、メインポンプ21から吐出された作動油の他に、アシスト回生システム102のアシストポンプ61から吐出された作動油がアシスト通路62を通じて導かれる。また、メイン通路23には第1回生通路75が接続され、メインポンプ21から吐出された作動油は、第1回生通路75を通じてアシスト回生システム102の回生モータ71に供給される。
【0018】
メイン制御弁30とブームシリンダ10のロッド側圧力室11とは第1通路41によって接続され、メイン制御弁30とブームシリンダ10のボトム側圧力室12とは第2通路42によって接続される。第2通路42には、ボトム側圧力室12から排出された作動油の一部が流れ込む第2回生通路72が接続される。第2回生通路72に流入した作動油は、アシスト回生システム102の回生モータ71に供給される。
【0019】
メイン制御弁30は、ブームシリンダ10に対する作動油の給排を切り換えるものである。メイン制御弁30は、油圧ショベルの乗務員が操作レバーを手動操作することに伴ってパイロットポンプ22からパイロット弁24を通じてパイロット室31,32に供給される作動油のパイロット圧によって操作される。
【0020】
パイロット室31にパイロット圧が供給された場合には、メイン制御弁30は位置aに切り換わる。これにより、メインポンプ21から吐出される作動油が第1通路41を通じてロッド側圧力室11に供給され、ボトム側圧力室12の作動油が第2通路42を通じてタンクTへと排出される。その結果、ブームシリンダ10内のピストンロッド13が
図1中下側に移動し、ブームシリンダ10が収縮して、ブーム1が下降する。
【0021】
パイロット室32にパイロット圧が供給された場合には、メイン制御弁30は位置bに切り換わる。これにより、メインポンプ21から吐出される作動油が第2通路42を通じてボトム側圧力室12に供給され、ロッド側圧力室11の作動油が第1通路41を通じてタンクTへと排出される。その結果、ブームシリンダ10内のピストンロッド13が
図1中上側に移動し、ブームシリンダ10が伸長して、ブーム1が上昇する。
【0022】
一方、パイロット室31,32にパイロット圧が供給されない場合には、メイン制御弁30は位置cに切り換わる。これにより、ブームシリンダ10に対する作動油の給排が遮断される。その結果、ブームシリンダ10の伸縮が停止し、ブーム1は所定位置に保持される。
【0023】
このように、メイン制御弁30は、ブームシリンダ10を収縮させる収縮位置a、ブームシリンダ10を伸長させる伸長位置b、及びブームシリンダ10の負荷を保持する遮断位置cの3つの切り換え位置を有している。
【0024】
流体圧制御システム101は、アシスト回生システム102をさらに備える。アシスト回生システム102は、メインポンプ21から吐出される作動油又はブームシリンダ10収縮作動時にボトム側圧力室12から排出される作動油の油圧エネルギを電気エネルギとして回収する回生制御と、ブームシリンダ10伸長作動時に補助力を付与するアシスト制御と、を実行する。
【0025】
アシスト回生システム102は、回生モータ71と、モータジェネレータ81と、蓄電装置91と、インバータ82と、アシストポンプ61と、第1回生通路75と、第2回生通路72と、アシスト通路62と、を備える。
【0026】
モータジェネレータ81は、蓄電装置91の電力を駆動源として回転してアシストポンプ61を駆動する電動機としての機能と、回生モータ71の回転によって発電する発電機としての機能と、を有する回転電機である。
【0027】
モータジェネレータ81、回生モータ71、及びアシストポンプ61は、同軸回転する。モータジェネレータ81の回転軸が回転すると、回生モータ71及びアシストポンプ61の回転軸が連係して回転する。同様に、回生モータ71の回転軸が回転すると、モータジェネレータ81及びアシストポンプ61の回転軸が連係して回転する。
【0028】
回生モータ71は、斜板の傾斜角を制御することで、出力トルクの制御が可能な可変容量型モータである。回生モータ71は、メインポンプ21から吐出され第1回生通路75を通じて供給される作動油、又は、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12から排出され第2回生通路72を通じて供給される作動油によって駆動される。回生モータ71の斜板の傾斜角は、傾斜角制御器73によって制御される。傾斜角制御器73は、メインコントローラ50により制御される。回生モータ71の斜板の傾斜角を制御することで回生モータ71の容量が変化し、回生モータ71が発生可能なトルクの最大値が変化する。
【0029】
第1回生通路75には、回生モータ71に対する作動油の供給と停止を切り換える第1切換弁76が設けられる。第1切換弁76は、メインポンプ21から回生モータ71に作動油を供給する連通位置fと、回生モータ71への作動油の供給を停止する遮断位置gと、を有する電磁弁であり、メインコントローラ50によって位置が切り換えられる。
【0030】
第2回生通路72には、回生モータ71に対する作動油の供給と停止を切り換える第2切換弁74が設けられる。第2切換弁74は、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12から回生モータ71に作動油を供給する連通位置dと、回生モータ71への作動油の供給を停止する遮断位置eと、を有する電磁弁であり、メインコントローラ50によって位置が切り換えられる。
【0031】
アシストポンプ61は、斜板の傾斜角が調整可能な可変容量型ポンプである。アシストポンプ61は、モータジェネレータ81によって駆動され、アシスト通路62を通じてメイン通路23に作動油を供給する。アシストポンプ61の斜板の傾斜角は、傾斜角制御器63によって制御される。傾斜角制御器63は、メインコントローラ50により制御される。アシストポンプ61の斜板の傾斜角を制御することでアシストポンプ61の容量が変化し、アシストポンプ61が吐出可能な作動油の流量の最大値が変化する。
【0032】
アシスト通路62には、メイン通路23への作動油の供給と停止を切り換える第3切換弁64が設けられる。第3切換弁64は、アシストポンプ61からメイン通路23に作動油を供給する連通位置hと、メイン通路23への作動油の供給を停止する遮断位置iと、を有する電磁弁であり、メインコントローラ50によって位置が切り換えられる。本実施形態では、アシスト通路62に第3切換弁64を設けているが、これに代えて、メインコントローラ50によって開度が制御される電磁比例絞り弁と、その下流に設けられ、アシストポンプ61からメインポンプ21への作動油の流れのみを許容するチェック弁と、を設けてもよい。
【0033】
モータジェネレータ81は、インバータ82を介して蓄電装置91に接続されている。
【0034】
インバータ82は、インバータコントローラ51によって制御され、直流を交流に又は交流を直流に変換する。モータジェネレータ81を電動機として機能させる場合は、インバータ82において、蓄電装置91から出力される直流電力が任意の周波数の三相交流電力に変換され、モータジェネレータ81に供給される。一方、モータジェネレータ81を発電機として機能させる場合には、インバータ82において、モータジェネレータ81から出力される三相交流電力が直流電力に変換され、蓄電装置91に供給される。
【0035】
インバータコントローラ51は、メインコントローラ50に接続されており、メインコントローラ50とCAN(Controller Area Network)通信を行う。インバータコントローラ51は、メインコントローラ50から送信される指示に従いインバータ82を制御するとともに、インバータ82の状態情報をメインコントローラ50に送信する。
【0036】
次に、
図2を参照して、蓄電装置91について説明する。
図2は、蓄電装置91の概略構成を示した図である。
【0037】
蓄電装置91は、充電と放電が可能な蓄電器92と、蓄電器92の陽極92aとインバータ82とを接続する高電圧配線93と、蓄電器92の陰極92bとインバータ82とを接続するアース配線94と、蓄電器92を収容するケース96と、を備える。また、蓄電装置91には、蓄電器92の充電状態の監視等を行う蓄電コントローラ52が接続されている。
【0038】
蓄電器92は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池といった二次電池である。蓄電器92は、単体でもよいし、多数のセルを直列に接続したものでもよい。なお、蓄電器92としては、二次電池に限らず、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなど、静電容量により電気エネルギを充放電するものを用いてもよい。
【0039】
高電圧配線93は、遮断器95の一端と蓄電器92の陽極92aとを接続する第1高電圧配線93aと、遮断器95の他端とインバータ82とを接続する第2高電圧配線93bと、を有する。遮断器95は、蓄電コントローラ52によって制御され、第1高電圧配線93aと第2高電圧配線93bとの導通を遮断することが可能である。ここで、第2高電圧配線93bが請求項の「高電圧配線」に該当し、第1高電圧配線93aが請求項の「別の高電圧配線」に該当する。
【0040】
第2高電圧配線93bの周囲には、第2高電圧配線93bが外部に露出することを防止するために、メインカバー部材97が設けられる。本実施形態におけるメインカバー部材97は、ケース96の開放部を閉塞する蓋状部材である。このため、メインカバー部材97は、ケース96内に配置される第1高電圧配線93a、第2高電圧配線93b、遮断器95及び蓄電器92を含むすべての部品が外部に露出することを防止している。メインカバー部材97は、上記形態に限定されず、少なくとも第2高電圧配線93bを覆うことが可能であればどのような形状でもよく、ケース96内に配置されていてもよい。また、メインカバー部材97は、複数の部材から構成されていてもよい。
【0041】
第1高電圧配線93aの周囲には、第1高電圧配線93aが外部に露出することを防止するために、サブカバー部材98が設けられる。第1高電圧配線93aは、サブカバー部材98により覆われているため、メインカバー部材97が取り外された場合であっても外部に露出しない。サブカバー部材98は遮断器95と一体的に形成されていてもよい。
【0042】
蓄電装置91は、メインカバー部材97の脱着を検知する脱着検知器としての脱着検知センサ99をさらに備える。脱着検知センサ99は、蓄電コントローラ52と電気的に接続され、メインカバー部材97がケース96等に取り付けられているときと、取り外されたときとで出力が変化するものである。脱着検知センサ99としては、例えば、プッシュスイッチが用いられる。本実施形態におけるプッシュスイッチは、スイッチが押されている間は端子間の導通を遮断し、スイッチが押されていない状態では端子間を導通させるノーマルクローズ式のものである。このため、メインカバー部材97がケース96に取り付けられている場合には、スイッチが押された状態となるため端子間の導通は遮断された状態となる。一方、メインカバー部材97がケース96から取り外された場合には、スイッチが押されていない状態となるため端子間は導通した状態となる。このような特性を有する脱着検知センサ99を用いることによって、蓄電コントローラ52は、脱着検知センサ99が非導通状態であればメインカバー部材97が取りつけられており、脱着検知センサ99が導通状態であればメインカバー部材97が取り外されていると判定することができる。脱着検知センサ99は、プッシュスイッチに限らず、メインカバー部材97が取り外された場合に蓄電コントローラ52へ何らかの信号を送信するものなど、その出力の変化に基づいて蓄電コントローラ52がメインカバー部材97の脱着を判定可能なものであれば、どのような形式の検知器であってもよい。メインカバー部材97が複数の部材から構成されている場合は、脱着検知センサ99もメインカバー部材97を構成する部材に対応して複数設けられる。また、脱着検知センサ99は、メインカバー部材97を固定するボルト等の固定具が取り外されたことを検知するものであってもよい。
【0043】
蓄電コントローラ52は、インバータコントローラ51と同様に、メインコントローラ50とCAN通信を行う。蓄電コントローラ52は、メインコントローラ50から送信される指示に従いケース96内に配置された図示しない電子機器を制御するとともに、蓄電装置91の状態情報、例えば、蓄電器92の充電状態や脱着検知センサ99の検知情報をメインコントローラ50に送信する。
【0044】
次に、
図1を参照して、ハイブリッド建設機械の流体圧制御システム101の作用について説明する。
【0045】
まず、ブーム1の下降時に、必要に応じて実施されるアシスト回生システム102による回生制御について説明する。
【0046】
油圧ショベルの乗務員によってブームシリンダ10を収縮させるレバー操作が行われると、メイン制御弁30は収縮位置aに切り換わる。これにより、ブームシリンダ10のロッド側圧力室11に作動油が供給されるとともに、ボトム側圧力室12から作動油が排出される。
【0047】
この時、蓄電装置91が充電可能な状態にある場合、第2切換弁74が連通位置dに切り換えられ、ボトム側圧力室12から排出される作動油の一部が、第2回生通路72を通じて回生モータ71に供給される。同時に、アシストポンプ61の容量が最小となるように、アシストポンプ61の斜板の傾斜角が制御される。
【0048】
これにより、回生モータ71に同期してモータジェネレータ81が回転するため、モータジェネレータ81にて発電が行われ、蓄電装置91が充電される。つまり、ブームシリンダ10から排出される作動油の油圧エネルギが電気エネルギに変換される。
【0049】
一方、蓄電装置91が例えば満充電状態であり充電可能な状態にない場合には、第2切換弁74が遮断位置eに切り換えられ、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12から排出される作動油は全て第2通路42を通じてタンクTへと排出される。
【0050】
次に、メインポンプ21から供給される作動油によって実施されるアシスト回生システム102による回生制御について説明する。
【0051】
油圧ショベルの乗務員によるレバー操作がない状態では、メイン制御弁30は遮断位置cとなり、油圧ショベルに搭載されるブームシリンダ10を含む各アクチュエータは停止した状態となる。この状態でも、メインポンプ21は、エンジン8の回転によって駆動を維持し、スタンバイ状態となる。
【0052】
油圧ショベルの乗務員によるレバー操作がない状態、つまり油圧ショベルに搭載されるブームシリンダ10を含む各アクチュエータが停止した状態が所定時間継続した場合には、第2切換弁74が遮断位置eに切り換えられると共に、第1切換弁76が連通位置fに切り換えられ、スタンバイ状態のメインポンプ21から吐出された作動油は、第1回生通路75を通じて回生モータ71に供給される。同時に、アシストポンプ61の容量が最小となるように、アシストポンプ61の斜板の傾斜角が制御される。
【0053】
これにより、回生モータ71に同期してモータジェネレータ81が回転するため、モータジェネレータ81にて発電が行われ、蓄電装置91が充電される。このように、スタンバイ状態のメインポンプ21から吐出される作動油は、タンクTに直接戻されるのではなく、回生モータ71に導かれて有効利用されてからタンクTに戻される。つまり、メインポンプ21から吐出される作動油の油圧エネルギが電気エネルギに変換される。
【0054】
以上のように、油圧ショベルの乗務員によるレバー操作がない状態が所定時間継続した場合には、メインポンプ21から吐出される作動油にて回生モータ71が回転することによってモータジェネレータ81が発電機として機能して蓄電装置91が充電されるスタンバイ充電が行なわれる。スタンバイ充電の際には、メインポンプ21の容量がスタンバイ充電に最適となるように制御されると共に、エンジン8の回転数もスタンバイ充電に最適となるように制御されるため、メインポンプ21から吐出される作動油の流量は変動の少ない安定したものとなる。このように、スタンバイ充電では、メインポンプ21から安定して吐出される作動油によって回生が行なわれるため、ブーム1の下降時に行われる回生と比較して、充電電流の変動が小さく、安定した連続充電が行なわれる。
【0055】
次に、ブーム1の上昇時に、必要に応じて実施されるアシスト回生システム102によるアシスト制御について説明する。
【0056】
油圧ショベルの乗務員によってブームシリンダ10を伸長させるレバー操作が行われると、メイン制御弁30は伸長位置bに切り換わる。これにより、ブームシリンダ10のボトム側圧力室12に作動油が供給されるとともに、ロッド側圧力室11の作動油が第1通路41を介してタンクTへと排出される。
【0057】
メインポンプ21等を駆動するエンジンは運転効率の良い所定の回転速度及び負荷で運転しているため、ブームシリンダ10を素早く伸長させたい場合に、メインポンプ21による吐出流量のみでは、ボトム側圧力室12に供給する作動油の流量が不足することがある。そのような場合に、アシスト回生システム102によるアシスト制御が実行される。
【0058】
アシスト制御時には、第3切換弁64を連通位置hに切り換えると共に、モータジェネレータ81を電動機として駆動して、アシストポンプ61を駆動する。同時に、回生モータ71のトルクが最小となるように、回生モータ71の斜板の傾斜角が制御される。これにより、アシストポンプ61から吐出された作動油はアシスト通路62を通じてメイン通路23に合流するため、ブームシリンダ10伸長作動時にアシストポンプ61による補助力を付与することができる。したがって、ブームシリンダ10を素早く伸長させることが可能となる。このように、モータジェネレータ81が電動機として機能する場合には、蓄電装置91がブームシリンダ10(駆動体)の駆動源として機能する。
【0059】
次に、
図2〜4を参照して、蓄電器92と高電圧配線93との通電を遮断する制御について説明する。
図3は、蓄電コントローラ52にて実行される制御手順を示すフローチャートである。
図4は、メインコントローラ50にて実行される制御手順を示すフローチャートである。
【0060】
まず、
図3に示されるステップ11において、蓄電コントローラ52は、メインカバー部材97がケース96等から取り外されたか否かを判定する。具体的には、脱着検知センサ99の出力に基づいて判定を行う。蓄電コントローラ52は、脱着検知センサ99が非導通状態であればメインカバー部材97がケース96に取り付けられていると判定し、導通状態であればメインカバー部材97がケース96から取り外されていると判定する。メインカバー部材97が取り外されていると判定した場合はステップ12へ進み、CAN通信によりメインコントローラ50へ取り外し検知信号A1を送信する。
【0061】
一方、メインコントローラ50は、
図4に示されるステップ21において、取り外し検知信号A1の入力を検出するとステップ22に進み、ハイブリッド機能を停止させるための制御を行う。具体的には、第1切換弁76と第2切換弁74とを遮断位置g,eに切り換えることにより、回生モータ71に作動油が流入しない状態とする。第1回生通路75を通じて回生モータ71に作動油が供給されるスタンバイ充電中に第1切換弁76を遮断位置gに切り換える場合は、メインポンプ21の吐出量を低下させる制御を併せて実行する。また、アシストポンプ61を用いたアシスト制御中である場合は、アシスト制御が停止することによる各アクチュエータの作動速度の変動を防止するために、アシストポンプ61の斜板の傾斜角を制御し、アシストポンプ61の吐出量を徐々に低下させた後、第3切換弁64を遮断位置iに切り換えてアシスト制御を終了する。その後、ステップ23へ進み、遮断器95の遮断制御を許可する遮断許可信号A2を蓄電コントローラ52へ送信する。
【0062】
ステップ13において、蓄電コントローラ52は、遮断許可信号A2の入力を検出すると、ステップ14に進み、遮断器95を遮断制御する。このように、メインカバー部材97が取り外され第2高電圧配線93bが露出した状態となると、メインコントローラ50及び蓄電コントローラ52によって、ハイブリッド機能を停止させた上で第2高電圧配線93bへの通電が即座に遮断される。
【0063】
なお、ステップ22において、ステップ23へ進む前に、ハイブリッド機能が停止していること、特にモータジェネレータ81による発電が完全に停止していることをモータジェネレータ81の回転数やインバータ82の制御状態から判定してもよい。この判定により、モータジェネレータ81で発電された電流が高電圧配線93に流れていない状態とすることができる。また、回生制御中に第2切換弁74を遮断位置eに切り換えると油圧変動が生じ、各アクチュエータの作動速度が変動するおそれがあるため、回生モータ71の斜板の傾斜角を制御し、回生制御を徐々に停止させてもよい。また、ステップ22において、ハイブリッド機能を停止する際、ハイブリッド機能を停止したことをモニタ表示や警告音により乗務員に報知してもよい。加えて、ハイブリッド機能を停止するだけではなく、メイン制御弁30を遮断位置cに切り換えることによって、油圧ショベルに搭載されるブームシリンダ10を含む全てのアクチュエータまたは一部のアクチュエータの作動を停止してもよい。また、遮断器95を遮断制御した後に、メインカバー部材97がケース96に取り付けられていると判定された場合は、遮断器95の遮断制御を解除し、第2高電圧配線93bへの通電が可能な状態にしてもよい。
【0064】
本実施形態では、メインコントローラ50及び蓄電コントローラ52が請求項の制御装置に該当する。メインコントローラ50と蓄電コントローラ52とは別々のコントローラで構成されているが、これらを一つのコントローラとしてもよい。この場合、コントローラ間のやり取りが不要となる。
【0065】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0066】
メインコントローラ50及び蓄電コントローラ52は、第2高電圧配線93bを覆うメインカバー部材97の脱着を検知し、メインカバー部材97が取り外されたことを検知すると、蓄電器92と第2高電圧配線93bとの通電を遮断する。このため、作業者がメインカバー部材97を取り外して第2高電圧配線93b付近で作業を行う際に、露出する第2高電圧配線93bに作業者が誤って接触して感電したり、工具が第2高電圧配線93bに接触してショートし、周辺の電子機器が破損したりすることがなくなる。この結果、作業者は安全に作業を行うことができる。
【0067】
また、遮断器95を遮断制御する前に、第1切換弁76と第2切換弁74とを閉じることにより、回生モータ71に作動油が流入しない状態としている。このため、回生制御が行われないので、第2高電圧配線93bが露出した状態で第2高電圧配線93bに回生による電流が流れることはない。この結果、作業者は安全に作業を行うことができる。さらに、油圧ショベルに搭載されるブームシリンダ10を含む各アクチュエータの作動を停止することにより、作業者の安全を確保することができる。
【0068】
また、メインカバー部材97が取り外されたため、ハイブリッド機能を停止したことをモニタ表示や警告音により乗務員に報知することにより、乗務員は作業者が作業中であることを把握することができ、作業者の安全を確保することができる。
【0069】
また、蓄電器92の陽極92aに接続される第1高電圧配線93aは、サブカバー部材98により覆われているため、メインカバー部材97が取り外された場合であっても外部に露出しない。このため、作業者はメインカバー部材97を取り外した状態で安全に作業を行うことができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0071】
例えば、メインカバー部材97がケース96等から取り外された状態とは、メインカバー部材97を固定する手段が解除された状態を意味し、メインカバー部材97がケース96等から完全に分離された状態だけではなく、メインカバー部材97を固定するボルト等を取り外した後もヒンジ等によってメインカバー部材97がケース96等に連結される状態も含まれる。