特許第6387249号(P6387249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387249
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20180827BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20180827BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/34
   A61K8/891
   A61K8/46
   A61Q5/12
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-108485(P2014-108485)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-224200(P2015-224200A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】松藤 晶子
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−081781(JP,A)
【文献】 特開2006−265205(JP,A)
【文献】 特開2000−344633(JP,A)
【文献】 特開昭56−161499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/41
A61K 8/34
A61K 8/46
A61K 8/891
A61Q 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に適用した後洗い流して使用される毛髪化粧料であって、成分(A)〜(D)及び水を含有し、成分(A)と成分(D)の質量比(A)/(D)が1.5を超え、成分(A)が、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、並びにアルコキシジメチルアミン及びその塩からなる群より選ばれるものである毛髪化粧料。
(A) カチオン界面活性剤:0.1質量%以上10質量%以下
(B) 炭素数が10以上22以下の脂肪族アルコール:1質量%以上10質量%以下
(C) メチルトリメチコン:0.05質量%以上15質量%以下
(D) 芳香族スルホン酸又はその塩:0.1質量%以上1質量%以下
【請求項2】
成分(A)及び成分(B)の和と成分(D)の質量比〔(A)+(B)〕/(D)が、8以上70以下である請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(D)と成分(C)の質量比(D)/(C)が0.05以上10以下である請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(D)が2-ナフタレンスルホン酸又はその塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布し、水で洗い流す毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に適用した後、洗い流すタイプの毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー洗髪後に用いられる、ヘアリンス、ヘアコンディショナー等の洗い流すタイプの毛髪化粧料は、カチオン界面活性剤や高級アルコールを主成分とし、毛髪に滑らかさやしっとり感を付与して毛髪の表面状態を整えることを目的としている。例えば、特許文献1〜3には、カチオン界面活性剤、高級アルコール、芳香族スルホン酸等を配合した、使用後のまとまり、ボリューム感等に優れるヘアコンディショナー等が開示されている。
【0003】
また、特許文献4には、揮発性シリコーンであるM3T(メチルトリメチコン)、不揮発性シリコーン誘導体及びカチオン界面活性剤を組み合わせた洗い流さないタイプのヘアコンディショニング組成物が開示されている。特許文献4には、このヘアコンディショニング組成物が、乾いた毛髪に塗布した後の乾燥が速く、毛髪にさらさらとした感触と柔軟性を付与する効果に優れるものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-228358号公報
【特許文献2】特開2000-38323号公報
【特許文献3】特開2012-31128号公報
【特許文献4】特開2006-265205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ヘアカラー、パーマ等の化学施術に加え、若年層の女性を中心に習慣化してきているヘアアイロン、ドライヤー等の熱を利用したヘアセットなどによる毛髪のダメージが深刻化している。毛髪ダメージは、毛髪表面を覆う脂肪酸である18-MEA(18-メチルエイコサン酸)の喪失を伴い、毛髪表面の親水化と共に、表面摩擦の増大を引き起こすことが知られている。ダメージを受けて親水化した毛髪は、滑らかさが失われるだけでなく、洗髪した後に乾きにくくなり、ドライヤーなどによる乾燥に長時間要することとなり、体力的負担になっている。また、濡れているダメージ毛は絡まりやすく、ドライヤー乾燥中に生じるひっかかりは更なるダメージの蓄積と消費者の心理的負担になっている。
【0006】
前述の特許文献4には、ヘアコンディショニング組成物を毛髪に塗布した後の乾燥が速いことが記載されている。しかし、当該文献に具体的に開示されたヘアコンディショニング組成物は洗い流さないタイプのみであり、当該発明における「塗布後の乾燥が速い」という効果も、ヘアコンディショニング組成物自体の乾燥が速いということである。従って、当該文献には、毛髪に塗布後、それ自体が洗い流されてしまうタイプの毛髪化粧料を使用した後の乾燥の速さに関してはまったく示唆されていない。
【0007】
従って本発明は、シャンプー洗髪後に髪に適用した後洗い流すことにより、濡れた髪を絡まりなく短時間で乾燥させることができ、乾燥後の髪にふんわりとしたボリューム感、さらさら感を付与することができる毛髪化粧料に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
洗髪後の髪の乾燥速度を高める因子としては、「髪のばらけ」が重要である。すなわち、髪がばらけることによって、タオルドライ時にはタオルとの接触面積が増大して髪の水分がタオルに速く吸収されることになり、またドライヤー乾燥時には(自然乾燥時にも)空気との接触面積が増大して髪の水分が速く蒸散することになる。
【0009】
本発明者らは、ヘアリンス、ヘアコンディショナー等、シャンプー後に使用される洗い流すタイプの毛髪化粧料において芳香族スルホン酸とカチオン界面活性剤を一定比率で併用することによって、両者のコンプレックスが形成し、これが毛髪間のスペーサーとなり得ること、また、揮発性シリコーンであるメチルトリメチコンは、髪の絡まりをほぐしながら毛髪上の付着成分による粘着性を弱めることができること、そして更に、これらスペーサーコンプレックスとメチルトリメチコンとが共存すると、処理後の濡れ髪が極めてばらけやすくなり、絡まりなく乾燥速度を飛躍的に向上させることができることを見出した。
【0010】
本発明は、毛髪に適用した後洗い流して使用される毛髪化粧料であって、成分(A)〜(D)及び水を含有し、成分(A)と成分(D)の質量比(A)/(D)が1.5を超える毛髪化粧料を提供するものである。
(A) カチオン界面活性剤:0.1質量%以上10質量%以下
(B) 高級アルコール:1質量%以上10質量%以下
(C) メチルトリメチコン:0.05質量%以上15質量%以下
(D) 芳香族スルホン酸又はその塩:0.1質量%以上1質量%以下
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料は、シャンプー洗髪後に髪に適用した後洗い流すことにより、濡れた髪を短時間で乾燥させることができ、乾燥後の髪にふんわりとしたボリューム感、さらさら感を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔成分(A):カチオン界面活性剤〕
成分(A)のカチオン界面活性剤としては、例えば、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩、(v)アルコキシジメチルアミン及びその塩等が挙げられる。
【0013】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
1−N+(CH3)3- (1)
〔式中、R1は炭素数12〜22のアルキル基を示し、X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0014】
(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩
アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
2−O−R3−N+(CH3)3- (2)
〔式中、R2は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R3はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示し、X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0015】
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
(R4)2+(CH3)2- (3)
〔式中、R4はそれぞれ独立して炭素数12〜22のアルキル基又はベンジル基を示し、X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0016】
(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩
アルキルジメチルアミンは、酸と反応して4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。従って、ここでは、アルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン界面活性剤と定義する。また、その含有量は、アルキルジメチルアミンの質量で換算する。アルキルジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(4)で表されるもの及びその塩が挙げられる。
5−N(CH3)2 (4)
〔式中、R5は炭素数12〜22のアルキル基を示す。〕
塩としては、成分(D)を除く有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの中で、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、酸性アミノ酸が好ましく、ジカルボン酸としてはマレイン酸、コハク酸がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
具体的なアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチルベヘニルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチルベヘニルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチルステアリルアミンのグリコール酸塩などが好ましい。
【0017】
(v)アルコキシジメチルアミン及びその塩
アルコキシジメチルアミンは、酸と反応して4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。従って、ここでは、アルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン界面活性剤と定義する。また、その含有量は、アルコキシジメチルアミンの質量で換算する。アルコキシジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(5)で表されるもの及びその塩が挙げられる。
6−O−R7−N(CH3)2 (5)
〔式中、R6は炭素素数12〜22のアルキル基を示し、R7はエチレン基又はプロピレン基を示す。〕
塩としては、成分(D)を除く有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの中で、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、酸性アミノ酸が好ましく、ジカルボン酸としてはマレイン酸、コハク酸がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
具体的なアルコキシジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミンのグリコール酸塩が好ましい。
【0018】
これらの中で、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、乾燥したと感じるまでの時間の短さの観点から(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。更には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0019】
一般にカチオン界面活性剤は、毛髪に吸着しやすく、なめらかな感触を付与することができる。本発明においては、成分(A)のカチオン界面活性剤は、上記機能に加え、濡れた髪の乾燥過程において水分が蒸散するに従って、成分(D)の芳香族スルホン酸又はその塩と結晶性のコンプレックスを形成し、これが毛髪間のスペーサーとなって毛髪をばらけやすくし、乾燥を速める機能を有する。
【0020】
本発明の毛髪化粧料における成分(A)の含有量は、コンディショナー使用時の滑らかさと適切な速乾性能の観点から、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、また、10質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下である。
【0021】
〔成分(B):高級アルコール〕
成分(B)の高級アルコールとしては、直鎖及び分岐鎖、また飽和及び不飽和のいずれの脂肪族アルコールでもよく、その炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、また、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。具体的にはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。これらのうち、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコールが好ましい。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明の毛髪化粧料における成分(B)の含有量は、塗布からすすぎ時及び乾燥後にかけての平滑性の観点から、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、また、速乾性能、乾燥後のべたつき抑制、及び使いやすい粘度に調整する観点から、10質量%以下であり、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。
【0023】
〔成分(C):メチルトリメチコン〕
成分(C)のメチルトリメチコンは、化学式[(CH3)3SiO]3SiCH3で表され、「M3T」とも称されるシリコーンである。本発明において、成分(C)は毛髪の絡まりをほぐしながら、毛髪間の接着を抑制し、乾燥過程においてフワッと軽い感触を与える機能を有する。メチルトリメチコンの市販品としては、例えば、信越化学工業社製のTMF-1.5が挙げられる。
【0024】
本発明の毛髪化粧料における成分(C)の含有量は、毛髪間の接着を抑制する観点から、0.05質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上であり、また、すすぎ時のきしみ抑制、乾燥後のベタツキ抑制の観点から、15質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
【0025】
〔成分(D):芳香族スルホン酸又はその塩〕
成分(D)の芳香族スルホン酸又はその塩としては、例えばナフタレンスルホン酸、アズレンスルホン酸、テトラリンスルホン酸、インダンスルホン酸、ベンゾフェノンスルホン酸又はそれらの塩等が挙げられる。
【0026】
ナフタレンスルホン酸又はその塩としては、例えば下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0027】
【化1】
【0028】
〔式中、A1〜A8のうち1以上はスルホ基又はその塩を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、低級アルコキシ基、ホルミル基、アシル基、置換基を有していてもよいフェニルアゾ基又は−N(R')(R'')(R'及びR''は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル基、ベンジル基又はアシル基)を示す。〕
【0029】
このナフタレンスルホン酸又はその塩の具体例としては、1-又は2-ナフタレンスルホン酸(α-又はβ-ナフタレンスルホン酸)、2,7-ナフタレンジスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、2,6-ナフタレンジスルホン酸、1,3,6-ナフタレントリスルホン酸、1-ナフトール-2-スルホン酸、1-ナフトール-4-スルホン酸、2-ナフトール-6-スルホン酸、2-ナフトール-7-スルホン酸、1-ナフトール-3,6-ジスルホン酸、2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸、2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸、2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸、1,7-ジヒドロキシナフタレン-3-スルホン酸、クロモトロープ酸(4,5-ジヒドロキシナフタレン-2,7-ジスルホン酸)、3,6-ジヒドロキシナフタレン-2,7-ジスルホン酸、S酸(1-アミノ-8-ナフトール-4-スルホン酸)、ガンマ酸(2-アミノ-8-ナフトール-6-スルホン酸)、J酸(2-アミノ-5-ナフトール-7-スルホン酸)、H酸(1-アミノ-8-ナフトール-3,6-ジスルホン酸)、7-アミノ-1,3-ナフタレンジスルホン酸、1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸、1-ナフチルアミン-4-スルホン酸、ブロエナーズ酸(2-ナフチルアミン-6-スルホン酸)、クレーブズ酸(1-ナフチルアミン-7-スルホン酸)、2-ナフチルアミン-1-スルホン酸、1-ナフチルアミン-6-スルホン酸、1-ナフチルアミン-8-スルホン酸、4-アミノ-5-ヒドロキシ-8-フェニルアゾ-2,7-ナフタレンジスルホン酸、4-アミノ-8-(4-カルボキシフェニルアゾ)-5-ヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸、6-アミノ-4-ヒドロキシ-3-フニルアゾ-2-ナフタレンスルホン酸、4-アミノ-8-(4-カルボキシフェニルアゾ)-5-ヒドロキシ-1-ナフタレンスルホン酸、7-アミノ-4-ヒドロキシ-1-フェニルアゾ-2-ナフタレンスルホン酸、8-アミノ-5-(4-カルボキシフェニルアゾ)-2-ナフタレンスルホン酸、4-アミノ-3-(4-カルボキシフェニルアゾ)-5-ヒドロキシ-1-ナフタレンスルホン酸、6-アミノ-4-ヒドロキシ-5-フェニルアゾ-2-ナフタレンスルホン酸、2,7-ジアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸、7,8-ジアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物(重量平均縮合度2〜100)、6-メチル-2-ナフタレンスルホン酸、4-エチル-1-ナフタレンスルホン酸、5-イソプロピル-1-ナフタレンスルホン酸、5-ブチル-2-ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0030】
アズレンスルホン酸又はその塩の具体例としては、例えばグアイアズレンスルホン酸、1-アズレンスルホン酸、3-アセチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-(2-ヒドロキシエチル)-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-メチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-フェニル-6-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、1,4-ジメチル-7-イソプロピル-2-アズレンスルホン酸、4-エトキシ-3-エチル-6-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、1,3-アズレンジスルホン酸、4,6,8-トリメチル-1,3-アズレンジスルホン酸、1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5,7-アズレンジスルホン酸、1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5-アズレンスルホン酸、3-ホルミル-4,6,8-トリメチル-1-アズレンスルホン酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0031】
テトラリンスルホン酸又はその塩、インダンスルホン酸又はその塩としては、例えば下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化2】
【0033】
〔式中、nは1又は2の数を示し、A1、A2、A3及びA4は前記と同義である。〕
【0034】
このうち、テトラリンスルホン酸又はその塩の具体例としては、1-テトラリンスルホン酸、2-テトラリンスルホン酸、1,3-テトラリンジスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフタレンスルホン酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-5,7-ナフタレンジスルホン酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-スルホ-1-ナフトール、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-スルホ-2-ナフトエ酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-7-スルホ-2-ナフトエ酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-スルホ-2-ナフトエ酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-8-スルホ-2-ナフトエ酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-スルホ-2-ナフトール、1,2,3,4-テトラヒドロ-7-スルホ-2-ナフトール、1,2,3,4-テトラヒドロ-8-スルホ-2-ナフトール、5,6,7,8-テトラヒドロ-3-スルホ-1-ナフトール、5,6,7,8-テトラヒドロ-3-スルホ-1-ナフチルアミン、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-スルホ-1-ナフチルアミン、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-スルホ-1-ナフチルアミン、1,2,3,4-テトラヒドロ-7-スルホ-1-ナフチルアミン、1,2,3,4-テトラヒドロ-8-スルホ-1-ナフチルアミン、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-メチル-2-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-ブチル-2-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-エチル-2-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-イソプロピル-2-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-メチル-1-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-メトキシ-2-ナフタレンスルホン酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-4-アセチル-2-ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩が挙げられる。インダンスルホン酸類の具体例としては、1-インダンスルホン酸、2-インダンスルホン酸、4-インダンスルホン酸、5-インダンスルホン酸、4,6-インダンジスルホン酸、4-スルホ-1-インダノール、5-スルホ-1-インダノール、6-スルホ-1-インダノール、7-スルホ-1-インダノール、4-スルホ-2-インダノール、5-スルホ-2-インダノール、2-ブロモ-5-スルホ-1-インダノール、7-スルホ-5-インダノール、6-スルホ-5-インダノール、1-カルボキシ-5-インダンスルホン酸、7-メトキシ-5-インダンスルホン酸、7-アセチル-5-インダンスルホン酸、7-メチル-5-インダンスルホン酸、7-メチル-4-インダンスルホン酸、7-ブチル-5-インダンスルホン酸、7-エチル-5-インダンスルホン酸、7-イソプロピル-5-インダンスルホン酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0035】
ベンゾフェノンスルホン酸又はその塩としては、例えば下記一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
【0036】
【化3】
【0037】
〔式中、A11〜A20のうち1以上はスルホ基又はその塩を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基又はアシル基を示す。〕
【0038】
このベンゾフェノンスルホン酸又はその塩の具体例としては、オキシベンゼンスルホン酸、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸、o-クロロベンゾフェノンスルホン酸、p-クロロベンゾフェノンスルホン酸、4,4'-ジクロロベンゾフェノンスルホン酸、2,4'-ジクロロベンゾフェノンスルホン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノンスルホン酸、2-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、2-アミノベンゾフェノンスルホン酸、4-アミノベンゾフェノンスルホン酸、2-メチルベンゾフェノンスルホン酸、4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸、4,4'-ジメチルベンゾフェノンスルホン酸、4,4'-ジメトキシベンゾフェノンスルホン酸、4-クロロ-4'-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0039】
芳香族スルホン酸のうち、好ましい例としては、2-ナフタレンスルホン酸(β-ナフタレンスルホン酸)、1-ナフタレンスルホン酸(α-ナフタレンスルホン酸)、6-テトラリンスルホン酸、オキシベンゼンスルホン酸、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸、グアイアズレンスルホン酸、2,7-ナフタレンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物(重量平均縮合度2〜50)、1,5-ナフタレンジスルホン酸、2,6-ナフタレンジスルホン酸、クロモトロープ酸、H酸(1-アミノ-8-ナフトール-3,6-ジスルホン酸)及びそれらの塩が挙げられる。中でも2-ナフタレンスルホン酸(β-ナフタレンスルホン酸)又はその塩が好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、有機四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0040】
本発明の毛髪化粧料中における成分(D)の芳香族スルホン酸又はその塩の含有量は、タオルドライ時のバラけやすさ、ドライヤー時の速乾性能、乾燥後のふんわり感やサラサラ感の観点から、0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、毛髪化粧料の乳化良好性の観点から、1質量%以下であり、好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0041】
本発明において、成分(D)の芳香族スルホン酸又はその塩は、濡れた髪の乾燥過程において、成分(A)のカチオン界面活性剤と結晶性のコンプレックスを形成する。このコンプレックスは、毛髪間のスペーサーとして働き、この結果、毛髪をばらけやすくして、毛髪間に空気を含むようにすることで、乾燥を速めることができる。従って、成分(D)の全てが有効に成分(A)とコンプレックスを形成し、かつ、残余の成分(A)が、なめらかさ付与等の一般的なコンディショニング機能をも発揮させるべく、成分(A)は成分(D)に対し過剰量使用する必要がある。この観点から、成分(A)と成分(D)の質量比(A)/(D)は、1.5を超えるものとし、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、速乾性能及び乾燥後のふんわり感の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。
【0042】
また、成分(A)と成分(B)の和と成分(D)との質量比〔(A)+(B)〕/(D)は、毛髪のばらけやすさと良好な乳化安定性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは70以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。
【0043】
更に、成分(D)と成分(C)との質量比(D)/(C)は、毛髪間の接着を抑制し、速乾性能及び乾燥後のふんわり感を高める観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、速乾性能及び乾燥中の絡まりにくさの観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは1以下である。
【0044】
〔水〕
本発明の毛髪化粧料は、媒体として水を含有する。水は、成分(A)〜(D)及びその他成分の残量となる。
【0045】
〔その他の任意成分〕
本発明の毛髪化粧料には更に、毛髪化粧料に一般に使用されるその他の成分を、目的に応じて配合することができる。例えば、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリシドール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の成分(C)以外のシリコーン類;カチオン化セルロース、ヒドロキシ化セルロース、高重合ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤;スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどの油剤;エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン等のアルコール類;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ剤;pH調整剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、ツバキ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;雲母チタン等のパール粉体;メントール等の清涼剤:香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS))に記載されている成分等が挙げられる。
【0046】
〔pH〕
本発明の毛髪化粧料のpHは、2.0以上が好ましく、更には2.5以上が好ましく、また7.5以下が好ましく、更には6.5以下、更には5.5以下が好ましい。なお、本発明において、毛髪化粧料のpHは、水で20質量倍希釈したときの25℃における値をいう。
【0047】
また本発明の毛髪化粧料は、髪に適用後、洗い流して使用されるものであり、例えば、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等の浴室内で使用されるものが挙げられる。
【0048】
本発明の毛髪化粧料を用いて髪のコンディショニング処理を行うには、本発明の毛髪化粧料を髪に塗布した後、水で洗い流せばよい。これにより、すすぎ後のタオルドライ時には毛束がばらけやすくなり、濡れた髪を短時間で乾燥させることができ、乾燥後の髪にふんわりとしたボリューム感、さらさら感を付与することができる。
【0049】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0050】
<1> 毛髪に適用した後洗い流して使用される毛髪化粧料であって、成分(A)〜(D)及び水を含有し、成分(A)と成分(D)の質量比(A)/(D)が1.5を超える毛髪化粧料。
(A) カチオン界面活性剤:0.1〜10質量%
(B) 高級アルコール:1〜10質量%
(C) メチルトリメチコン:0.05〜15質量%
(D) 芳香族スルホン酸又はその塩:0.1〜1質量%
【0051】
<2> 成分(A)が、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、並びにアルコキシジメチルアミン及びその塩からなる群より選ばれるものである<1>に記載の毛髪化粧料。
【0052】
<3> 成分(A)の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、また、10質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下である<1>又は<2>に記載の毛髪化粧料。
【0053】
<4> 成分(B)が、炭素数が好ましくは10以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上の、また、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下の、直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコールである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0054】
<5> 成分(B)の含有量が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、また、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0055】
<6> 成分(C)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上であり、また、15質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0056】
<7> 成分(D)が、ナフタレンスルホン酸、アズレンスルホン酸、テトラリンスルホン酸、インダンスルホン酸、ベンゾフェノンスルホン酸及びそれらの塩からなる群より選ばれるものである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0057】
<8> 成分(D)が、β-ナフタレンスルホン酸又はその塩である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0058】
<9> 成分(D)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である<1>〜<8>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0059】
<10> 成分(A)と成分(D)の質量比(A)/(D)が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である<1>〜<9>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0060】
<11> 成分(A)及び成分(B)の和と成分(D)の質量比〔(A)+(B)〕/(D)が、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは70以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である<1>〜<10>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0061】
<12> 成分(D)と成分(C)の質量比(D)/(C)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは1以下である<1>〜<11>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0062】
<13> 水で20質量倍希釈したときの25℃におけるpHが、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、また、好ましくは7.5以下、より好ましくは6.5以下、更に好ましくは5.5以下である<1>〜<12>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【0063】
<14> <1>〜<13>のいずれか1項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布し、水で洗い流す毛髪処理方法。
【実施例】
【0064】
実施例1〜10及び比較例1〜8
表1及び2に示すヘアコンディショナーを調製し、以下の方法及び基準に従って、その評価を行った。
【0065】
(毛束のバラけやすさ)
6cm×6cm角の範囲に200本/cm2の密度、生え角60°で、長さ30cmの毛髪を植毛した毛髪トレスを、市販のブリーチ剤(花王社製、泡カラーハイブリーチ)でブリーチ処理(毛髪の5質量倍のブリーチ剤を塗布し、30分間室温で処理)を2回行い、毛束のバラけやすさの評価に用いた。作製した毛髪トレスをプレーンシャンプーで2回洗ってから、表1及び2に記載のコンディショナー1gを塗布し、水道水ですすいだ。すすぎ後、含水量が10gとなるように調整した毛髪トレスの上に、ペーパータオル(大王製紙社製、エリエールプロワイプ)、アクリル板、錘(アクリル板と錘の総重量1.3kg)を順に乗せ、余分な
水分を除去した。そのトレスに指を通したときの毛束のほぐれやすさ、小さい毛束の出来やすさを「毛束のばらけやすさ」とし、研究員5名で官能評価を実施した。評価は以下の5段階で行い、5名の合計点を算出した。
5:とてもバラけやすい
4:バラけやすい
3:ややバラけやすい(どちらともいえない)
2:ややバラけにくい
1:バラけにくい
【0066】
(乾燥中の絡まりにくさ)
上記トレスを用い、同様にサンプル処理してペーパータオルにて余分な水分を除去した。次に、毛髪トレスを下向きに設置し、ドライヤー(National社製 TURBODRY1300)の吹き出し口から毛髪中心部までの距離が25cmで、温風が約45°斜め上から当たるよう、ドライヤーと毛髪トレスを固定し、4秒に1回ずつ指を通しながらドライヤー乾燥を行った。この際、完全に乾燥するまでの「絡まりにくさ」について研究員5名で官能評価を行った。評価は以下の5段階で行い、5名の合計点を算出した。
5:絡まらない
4:ほとんど絡まらない
3:どちらともいえない
2:やや絡まりやすい
1:絡まりやすい
【0067】
(ふんわり感)
上記トレスを用い、同様にサンプル処理した後、毛先が下向きになるようにしてドライヤーで完全に乾燥させた。完全に乾燥したのち、毛髪トレスを逆さまにして台上に置いたときの見た目及び指を通した時の「ふんわり感」について、研究員5名で官能評価を行った。評価は以下の5段階で行い、5名の合計点を算出した。
5:ふんわり感がとてもある
4:ふんわり感がある
3:ややふんわり感がある
2:あまりふんわり感がない
1:ふんわり感がない
【0068】
(サラサラ感)
上記トレスを用い、同様にサンプル処理した後、毛先が下向きになるようにしてドライヤーで完全に乾燥させた。完全に乾燥したのち、指を通したときの滑らかさ、軽やかさ、毛束同士が付着せずバラバラになりやすい感じを「サラサラ感」とし、官能評価を研究員5名で実施した。評価は以下の5段階で行い、5名の合計点を算出した。
5:サラサラ感がとてもある
4:サラサラ感がある
3:ややサラサラ感がある
2:あまりサラサラ感がない
1:サラサラ感がない
【0069】
(乾いたと感じられるまでの時間)
上記トレスを用い、同様にサンプル処理してペーパータオルにて余分な水分を除去した。次に、毛髪トレスを下向きに設置し、ドライヤー(National社製 TURBODRY1300)の吹き出し口から毛髪中心部までの距離が25cmになるよう、ドライヤー(温風モード、風量:最弱)と毛髪トレスを固定し、4秒に1回ずつ指を通しながらドライヤー乾燥を行った。この際、ドライヤー乾燥開始から、毛髪が完全に乾いたと研究員が判断できるまでの時間を計測し、速乾性評価とした。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】