(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサ用取付基枠は複数の前記挿貫孔を穿設し、前記締付用ボルトの挿貫位置を変位することにより前記左右縦柱に取付ける前記スペーサ用取付基枠の左右位置を調節自在としたことを特徴とする請求項2に記載の取付金具。
前記ブラケット板の上部左右位置には前記取付環体を取付ける取付孔を穿設し、同取付孔を挿貫して前記合わせ片と前記ブラケット板とを一体重合して固定するためのボルトとにより前記取付環体を前記ブラケット板に固定するように構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の取付金具。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る取付金具の要旨は、ビニールハウスの出入口にドア本体を左右スライド自在に取付ける取付金具において、ビニールハウスの出入口に敷設したパイプ状レール上を、ドア本体に軸架したコロによりパイプ状レール上を転動可能とし、取付金具はスペーサ用取付基枠とブラケット板とで構成し、ビニールハウスの出入口にパイプ状レールを敷設するに際して、出入口の左右に立設した左右縦柱にスペーサ用取付基枠を介してブラケット板を立設し、ブラケット板の上部に前記パイプ状レールに囲繞装着した取付環体の合わせ片を挟着固定してパイプ状レールを左右縦柱に固定可能としたことを特徴とする。すなわち、ビニールハウスの出入口にドア本体を左右スライド自在に取付けるためにパイプ状レールを用いて、このパイプ状レールをビニールハウスの骨組材を構成する縦柱に容易に取付けることができる取付金具の提供を図ろうとするものである。
【0020】
なお、本発明に係る取付金具は、載置型のドア構造と吊戸型のドア構造のいずれにも適用できるため、最初に載置型を説明し、その後吊戸型を説明する。
【0021】
以下、本発明に係る取付金具の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
【0022】
[載置型のドア構造]
図1に本発明の要旨である取付金具27を用いたビニールハウスの外観を示している。図中、符号Hはビニールハウスを示しており、このビニールハウスHは、複数の骨組材hを所定間隔で配設してアーチ形状の骨組みを構成し、その前面側には正面枠体2を、後面側には後面枠体3を設けて前後の妻面を形成している。なお、正面枠体2には適宜縦柱4と横柱5が格子状に骨組みされている。
【0023】
正面枠体2により形成された妻面の中央にはハウス出入口mが形成されており、このハウス出入口mに左右のドア本体Ma,Mbが左右引戸構造で配設され、当該ハウス出入口mを開閉可能としている。なお、以下の記載において、左右のドア本体Ma,Mbをそれぞれ特に区別する必要のない場合は、単にドア本体Mとして表す。
【0024】
また、ハウス出入口mの下方には本発明の要旨である取付金具27を用いたパイプ状レール6を敷設している。すなわち、ハウス出入口mの左右に立設した縦柱4,4の縦柱下端部4−1間に、ドア本体Ma,Mbが左右スライド自在に載置されるようにパイプ状レール6を取り付けている。
【0025】
また、ハウス出入口mの上方にガイドレール7を敷設している。すなわち、ドア本体Ma,Mbの上縁部が位置する左右の縦柱4,4間に、ドア本体Ma,Mbの上縁部を左右スライド自在に収納されるようにガイドレール7を取り付けている。なお、上述したパイプ状レール6とガイドレール7については後に詳述する。
【0026】
ここで、正面枠体2に取り付けられたドア本体Mの構成を
図2に示す。
図2(a)は、ビニールハウスHの内側から見たドア本体Mの構成を示す説明図で、
図2(b)は、正面枠体2および当該正面枠体2に取り付けられたドア本体MのA−A断面図である。なお、
図2(b)においては、図面左がビニールハウスHの内側、図面右がビニールハウスHの外側となっている。
【0027】
図3に示すように、ドア本体Mは上辺フレーム8と左右縦フレーム9,9と下辺フレーム10とにより矩形状に構成している。また、上辺フレーム8と下辺フレーム10との間には、2本の横桟11,11を左右縦フレーム9,9間に介設している。
【0028】
また、各フレーム8,9,10と横桟11の各前側面には、別途設けた嵌め込み片12を介して嵌着可能な嵌着リブ13,13を側壁とした嵌着溝14を備え、ドア本体Mの外形よりも若干大きいビニールシートSでドア本体Mの前側面を被覆しつつ嵌着溝14にビニールシートSを入れ込み、ビニールシートS上から嵌着溝14に嵌め込み片12を嵌着する。すなわち、嵌着リブ13,13の内側壁に嵌め込み片12が押圧付勢するようにしてドア本体MにビニールシートSを張設する。
【0029】
下辺フレーム10は下方開口の断面略コ字状の基枠K内において、下辺フレーム10の左右端部近傍にコロ15,15を軸架し、該コロ15がその下方に付設されたパイプ状レール6上を転動するように構成している。
【0030】
また、上辺フレーム8の上面両端部近傍には水平回動自在の上ローラ16,16を軸架し、上辺フレーム8の上縁部を収納するガイドレール7の内側壁に上ローラ16が当接摺動するように構成している。
【0031】
このように構成されたドア本体Mとその周辺構造とによって左右スライド自在なドア構造1が構成されている。
【0032】
以下、各部の具体的な構造についてドア構造1の下部について詳述した後、上部について詳述する。なお、ドア本体Mの構造は左右対称に現れるため、一方の側を示して説明し他方については適宜説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係るパイプ状レール6は、例えば、既存の円筒形状の鋼管、特に機械構造用炭素鋼管が用いられるが、塩ビパイプなどで形成することもでき、
図2(a)に示すように、ハウス出入口mに敷設する出入口用レール6aと、その左右に端部同士を突き合わせた状態で連接した固定レール6bとから構成している。
【0034】
図4は、ドア本体M(中央部分を省略)の縦柱4への取り付け部分の構成を示した断面図である。なお、図面左がビニールハウスHの内部側、図面右がビニールハウスHの外部側となっている。また、
図5(a)は下辺フレーム10の分解斜視図、
図5(b)は下辺フレーム10の底面図、
図6はビニールハウスHの外方から見た下辺フレーム10の端部側とパイプ状レール6の取り付け構造を示した斜視図である。
【0035】
ドア本体Mを構成する下辺フレーム10は、
図4、
図5に示すように、下方開口の断面略コ字状の基枠Kにより構成すると共に、基枠Kにはドア本体Mに張設するビニールシートSの取付が可能なシート装着部17を設けると共に、基枠Kのコ字状の内外側板18,19間にはパイプ状レール6上を転動可能なコロ15を軸架している。
【0036】
具体的には、コ字状の基枠Kの内部には、鼓形状のコロ15が先端に雄ネジ部を有する支軸20を介してナット21と螺着固定され回転自在に取付けられ、鼓形状のコロ15は括れ部分がパイプ状レール6の上半部円弧状面に合致して該パイプ状レール6上を転動自在としている。また、コロ15は基枠Kに対して2箇所配設しており、その位置は基枠Kの長手方向両端部よりも若干だけ内側としている。
【0037】
また、基枠Kの内側板18は、パイプ状レール6の側方にまで延設している。すなわち、内側板18は、パイプ状レール6の下半部円弧状部分まで垂下延設され、パイプ状レール6とコロ15との当接部分を内方から覆い、ドア本体Mが外側に脱落すること、及び外方からの外風をできるだけ遮断する機能を果すように構成している。
【0038】
よって、コロ15がパイプ状レール6に載置された状態において、内側板18側(ハウス内側)からパイプ状レール6を見た場合、当該パイプ状レール6の少なくとも上側半分強は内側板18で覆われた状態となっている。ここでは、内側板18はパイプ状レール6の下半部円弧状部分に達する位置まで垂下延設している。
【0039】
シート装着部17は、基枠K上面に基枠Kに沿って立設したシート取付プレート22と該取付プレート22の外側面にビニールシート端縁を、別途設けた嵌め込み片12(
図3参照)を介して嵌着するために一定間隔を保持して突設した上下リブ13a,13aとより構成している。
【0040】
また、
図7に示すように基枠K上面の両端部には縦フレーム9を立設するため、
図5、
図6に示すように当該部分にはシート取付プレート22を形成していない。すなわち、基枠Kと縦フレーム9との連接部分は基枠K上面の両端部となる。
【0041】
また、
図3、
図4、
図7に示すように、基枠Kの外側板19の所定箇所にはパイプ状レール6の側方にまで延設した規制板23を着脱自在に付設している。規制板23は矩形板状に形成し、長手方向を上下として上部の短辺側中央部を略直角に折曲して回動防止片24を形成すると共に、平板面の略中央には固定ボルト25を挿通するためのボルト挿通孔(図示せず)を穿設している。回
動防止片24の幅員は縦フレーム9に形成された嵌着溝14の開口幅員よりも若干狭く形成している。
【0042】
このように形成した規制板23は、左右縦フレーム9,9と基枠Kとの連設箇所に付設される。具体的には、縦フレーム9の嵌着溝14に回動防止片24を挿入係合しつつ、基枠Kの外側板19に形成された雌ネジ孔26と規制板23のボルト挿通孔とが連通連接するように、外側板19の側面と規制板23の側面とを当接させ、固定ボルト25によって螺着固定している。
【0043】
このように、下辺フレーム10は、下方開口の断面略コ字状の基枠Kにより構成し、基枠Kのコ字状の内外側板18,19間にはパイプ状レール6を転動可能なコロ15を軸架したことで、ドア本体Mの下端部に別途の支持枠を設けることなく下辺フレーム10のみでドア本体Mの枠体の一部を構成しつつコロ15を軸架できるので、当該部分にビニールハウスHの内外と繋がる間隙が生じないため、温度管理されたビニールハウスH内の温度環境の安定化を図ることができる。
【0044】
また、下辺フレーム10の下端にコロ15を軸架するための別途の支持枠を設ける必要がないので、ビニールハウスHの部品数を削減できコスト面で有利であると共に、ビニールハウスHの組立性も向上させることができる。
【0045】
また、下辺フレーム10は、下方開口の断面略コ字状の基枠Kにより構成すると共に、基枠Kにはドア本体Mに張設するビニールシートSの取付が可能なシート装着部17を設けているので、シート装着部17を別途連設等する必要がなく、部品数の削減とビニールハウスHの組立性の向上を図ることができる。
【0046】
更に、シート装着部17は、基枠K上面に基枠Kに沿って立設したシート取付プレート22と該取付プレート22の外側面にビニールシートS端縁を、別途設けた嵌め込み片12を介して嵌着するために一定間隔を保持して突設した上下リブ13a,13aとより構成したので、上下リブ13a,13aの内側壁に嵌め込み片12が押圧付勢してビニールシートSを確実に張設できる。
【0047】
また、基枠Kの内側板18は、パイプ状レール6の側方にまで延設しているので、ビニールハウスH内が陽圧となってコロ15をパイプ状レール6から持ち上げる浮揚力が発生してもコロ15がビニールハウスHの外側に脱輪することを防止できる。
【0048】
また、基枠Kの外側板19の所定位置にパイプ状レール6の側方にまで延設した規制板23を着脱自在に付設しているので、規制板23を装着せずにビニールハウスH内からドア本体Mをガイドレール7とパイプ状レール6間に取付けることができ、その後、規制板23を装着することで、パイプ状レール6とコロ15周面との当接面に外方からの外風が侵入してコロ15をパイプ状レール6から持ち上げる浮揚力が発生してもコロ15が内側に脱輪することを防止できる。
【0049】
また、基枠Kに規制板23を付設する所定位置としては、左右縦柱4,4と基枠Kとの連設箇所としたことで、コロ15のビニールハウスHの内側への脱輪に対して下辺フレーム10の長手方向全長に渡って規制板23を設ける必要がないので、部材コストを低廉に抑えることができる。
【0050】
更に、規制板23に形成した回動防止片24の幅員は、縦フレーム9の嵌着溝14の開口幅員と略同幅員に形成し、嵌着溝14の内部に挿入係合しているので、規制板23を回動しようとする何らかの外力が規制板23に加わっても、回動防止片24と嵌着溝14との係合により規制板23の意図しない回動を防止することができる。また、規制板23を基枠Kに固定する固定ボルト25の締付が緩んだ場合でも、同様に規制板23の回動を防止できる。
【0051】
次に、ドア構造1の上部について詳述する。なお、ドア本体Mの構造は左右対称に現れるため、一方の側を示して説明し他方については適宜説明を省略する。
【0052】
ハウス出入口mの上方には
図2(a)、(b)、
図3に示すようにガイドレール7を敷設している。すなわち、ドア本体Ma,Mbの上縁部が位置する左右縦柱4,4間に、ドア本体Ma,Mbの上縁部を左右スライド自在に収納されるようにガイドレール7を取り付けている。
【0053】
ガイドレール7は下方開口の断面コ字状に形成され、ハウス出入口mの下部に敷設したパイプ状レール6と対向するように配設されている。このガイドレール7は、パイプ状レール6と略同一長さとしており、レールブラケット60を介して正面枠体2の縦柱4に取付けられている。
【0054】
レールブラケット60は
図4、
図10、
図11に示すように、断面略台形状に形成した固定用基枠61と固定用基枠61から垂設したレール当接片62とで構成している。具体的に固定用基枠61は、互いに平行な上底片63と下底片64を左右方向としたときに下方に位置する下脚片65は上下底片63,64と直角をなし、上脚片66は上底片63に向けて下方へ緩やかに傾斜している。
【0055】
また、上下底片63,64にはブラケット締結用Uボルト67を挿貫するためのUボルト挿貫孔68を穿設している。このように形成することで、下底片64を縦柱4の裏面と当接してビニールハウスH外方からブラケット締結用Uボルト67と蝶頭ナット69で固定用基枠61を螺着固定する。
【0056】
レール当接片62は固定用基枠61の上底片63を下方に延設すると共に、下端縁を内側に折曲して係止片70を形成している。すなわち、レール当接片62と下脚片65とは直角をなしている。
【0057】
このように形成したレールブラケット60は、固定用基枠61の下脚片65とレール当接片62と縦柱4の裏面とで形成する空間にガイドレール7の一部が固定される。
【0058】
また、レールブラケット60を介して縦柱4に固定されたガイドレール7のコ字状の内部にドア本体Mの上辺フレーム8の上縁部をスライド自在に収納すると共に、上辺フレーム8の上面に直径Dが上辺フレーム8の幅員wより大とした水平回動の上ローラ41を軸架し、上辺フレーム8のスライド時に上ローラ41がガイドレール内側壁と当接摺動して転動することにより上辺フレーム8の上縁部がガイドレール内側壁に当接しないように構成している。
【0059】
具体的には、
図3、
図4に示すように上辺フレーム8の上面の両端部近傍に軸孔(図示せず)を穿設し、軸孔には軸線を鉛直方向とした軸ボルト42をボルト頭部が上側となるようにして挿貫し、上下方から上下取付ナット43,44で固定している。また、軸ボルト42の頭部側には雄ネジを形成しないネジ無し部45を形成しており、上取付ナット43の上方にネジ無し部45が位置する。
【0060】
上ローラ41は平面視円形で断面視で上方開口のコ字状に形成し、中央部には軸挿通孔46を穿設している。また、軸挿通孔46の内径は軸ボルト42の頭部側のネジ無し部45の直径よりも広く形成している。更に、ネジ無し部45の有効長さは軸挿通孔46の深さよりも長く形成しているので、上ローラ41は軸ボルト42周りに水平回動自在となる。
【0061】
このように、ハウス出入口m上方に敷設したガイドレール7は、下方開口の断面コ字状に形成し、コ字状の内部にドア本体Mの上辺フレーム8の上縁部をスライド自在に収納すると共に、上辺フレーム8の上面に直径Dが上辺フレーム8の幅員wより大とした水平回動の上ローラ41を軸架し、上辺フレーム8のスライド時に上ローラ41がガイドレール7内側壁と当接摺動して転動することにより上辺フレーム8の上縁部がガイドレール7内側壁に当接しないように構成しているので、ドア本体Mの開閉時に上辺フレーム8がガイドレール7内側壁と接触することによる異音やキズの発生を防止することができ、ドア本体Mを左右にスムーズにスライドさせることができる。
【0062】
次に、本発明の要旨である取付金具27について詳述する。
【0063】
ビニールハウスHの出入口m下方にパイプ状レール6aを敷設するに際しては、
図4、
図6、
図7に示すように、ハウス出入口mの左右に立設した左右縦柱4,4にスペーサ用取付基枠28を介してブラケット板29を立設した取付金具27を用いている。そして、ブラケット板29の上部にパイプ状レール6に囲繞装着した取付環体50の合わせ片51,51を挟着固定している。なお、合わせ片51,51には各々環体取付ボルト52用挿貫孔(図示せず)を穿設している。
【0064】
取付金具27のスペーサ用取付基枠28は、
図8(a)に示すように、断面矩形の一定長さに形成し、前後壁30,31の両方に締付用ボルト32として締付用Uボルト32aを挿貫するための挿貫孔34を各2箇所穿設している。なお、挿貫孔34は締付用ボルト32を挿貫し易くするため、及び締付用ボルト32の精度誤差を吸収するために、横長の長孔とすることが望ましい。
【0065】
また、取付金具27は、
図8(b)に示すように挿貫孔34を前後壁30,31に3箇所以上複数設けた取付金具27aとすれば、締付用Uボルト32aの挿貫位置を変位することにより左右縦柱4,4に取付けるスペーサ用取付基枠28の左右位置を調節自在とすることができる。また、挿貫孔34は、
図8(c)に示すように前後壁30,31に各1箇所とした取付金具27bであってもよい。この場合、取付金具27と縦柱4との接続は、締付用Uボルト32aではなく一本の挿貫ボルト(図示せず)を用いて縦柱4に別途設けた貫通孔(図示せず)に挿貫して固定する。
【0066】
また、ブラケット板29は、スペーサ用取付基枠28の後壁31を上方に延設して矩形板状に形成している。ブラケット板29の上部に合わせ片51,51を介してパイプ状レール6に囲繞装着する取付環体50の取付位置は、ブラケット板29の上部左右位置とすると共に、ブラケット板29の上部左右位置に穿設した取付孔35と同取付孔35と合わせ片51,51の環体取付ボルト52用挿貫孔(図示せず)とを連通連設させ挿貫して合わせ片51,51とブラケット板29とを一体重合して固定するための環体取付ボルト52と蝶頭ナット53とにより取付環体50をブラケット板29に固定するように構成している。
【0067】
なお、取付金具27は
図9に示すように、矩形板状の下部を前方に略直角に折曲してスペーサ下片36を形成し、且つ上部の中央部をスペーサ下片36と同長さだけ前方に折曲してスペーサ上片37を形成してもよい。すなわち、取付金具27cのスペーサ上下片36,37と後壁31とで形成された断面コ字状部分はスペーサ用取付基枠28に相当する。
【0068】
取付金具27cをこのように形成することで、スペーサ上下片36,37の前端部を縦柱4に当接でき、しかも折曲していない上部の左右片38,38をブラケット板29として用いることができる。よって、後壁31に挿貫孔34を穿設し、左右片38,38に取付孔35,35を穿設することで上述した取付金具27,27a,27bと同様の機能と効果を果す。
【0069】
また、取付金具27,27a,27b,27cは、
図8(a)、
図9に示すように、縦柱4の形状がパイプ状や角パイプ状の何れであっても、使用する締付用Uボルト32a,32bの形状を変えるだけで同様に対応できる。
【0070】
次に、取付金具27のスペーサ用取付基枠28を縦柱4に固定するに際しては、
図8(a)に示すように、締付用Uボルト32aの雄ネジ部39,39がビニールハウスHの内方に向くようにビニールハウスHの外方から縦柱4周面に当接させる。そして、ブラケット板29が縦柱4と乖離するようにスペーサ用取付基枠28の前壁30を縦柱4の裏面側に当接しつつ挿貫孔34,34に雄ネジ部39,39側を挿貫し蝶頭ナット40,40で螺着する。
【0071】
このように、スペーサ用取付基枠28を縦柱4に固定するに際して、ブラケット板29が縦柱4と乖離するように固定することで、
図4、
図6に示すように縦柱4の裏面側とブラケット板29との間に一定のスペースWを得ることができる。
【0072】
また、ブラケット板29への取付環体50の取付に際しては、
図4、
図6に示すように、ブラケット板29の上部左右位置に穿設した取付孔35,35のいずれかの位置に、合わせ片51,51とブラケット板29とを一体重合し、環体取付ボルト52をスペースW側(縦柱側)から挿貫して蝶頭ナット53により仮固定する。なお、ブラケット板29の2つの取付孔35,35は縦柱4や他の部材との干渉等でビニールハウスHの組立作業時に有利となるか、組立完成後に邪魔とならないよう、使用する取付孔35を適宜選択して用いることができる。
【0073】
また、取付環体50へのパイプ状レール6の取付に際しては、
図6に示すように、取付環体50内の約半分の領域に一方のパイプ状レール6bの端部を挿入し、他方のパイプ状レール6aの端面が一方のパイプ状レール6bの端面と当接するように取付環体50内に挿入する。その後、環体取付ボルト52に螺着した蝶頭ナット53を締結することで、ブラケット板29の上方にパイプ状レール6を敷設することができる。
【0074】
このように、ビニールハウスHのハウス出入口mにパイプ状レール6を敷設するに際して、ハウス出入口mの左右に立設した左右縦柱4,4にスペーサ用取付基枠28を介してブラケット板29を立設し、ブラケット板29の上部にパイプ状レール6に囲繞装着した取付環体50の合わせ片51を挟着固定してパイプ状レール6を左右縦柱4,4に固定可能としたことで、極めて簡単な構造で複数のパイプ状レール6を連接して敷設することができる。
【0075】
また、スペーサ用取付基枠28の幅員分だけ縦柱4の裏面と乖離させてブラケット板29が配設されるので、パイプ状レール6を縦柱4から所定量乖離して設置でき、縦柱4に対するドア本体Mの位置を容易に適正な箇所へと配設できる。
【0076】
また、スペーサ用取付基枠28は断面矩形または断面コ字状の一定長さに形成し、前後壁30,31の一方または両方に締付用ボルト32を挿貫するための挿貫孔34を穿設したので、取付金具27を左右縦柱4に容易に取付けることができる。
【0077】
また、スペーサ用取付基枠28は複数の挿貫孔34を穿設したので、締付用ボルト32の挿貫位置を変位することにより左右縦柱4,4に取付けるスペーサ用取付基枠28の左右位置を調節自在とすることができる。
【0078】
また、ブラケット板29の上部左右位置には取付環体50を取付ける取付孔35を穿設し、同取付孔35を挿貫して合わせ片51とブラケット板29とを一体重合して固定するための環体取付ボルト52とにより取付環体50をブラケット板29に固定するように構成したので、取付環体50を左右縦柱4,4の真後ろからずらして配設でき、左右縦柱4,4が邪魔になることなく環体取付ボルト52の取付や締結を容易に行うことができる。
【0079】
[吊戸型のドア構造]
次に、吊戸型のドア構造100における取付金具27の実施形態について説明する。なお、ビニールハウスHの全体構造や、ドア本体Mの構造等、上述した載置型のドア構造1と共通する部分は同一の符号を付すと共に、説明を適宜省略する。
【0080】
図12(a)は本実施形態に係る吊戸型のドア構造100のビニールハウスHの正面枠体2により形成された妻面をビニールハウスHの内側から見た図を示し、
図12(b)は
図12(a)のA−A線断面図で、
図13は妻面の簡易図で、
図14はドア本体Mの斜視図で、
図15は中途部を省略した
図12(b)の拡大断面図で、
図16は案内係止ユニット140の斜視図である。
【0081】
図12(a)、
図13に示すように、正面枠体2により形成された妻面の中央にはハウス出入口mが形成されており、このハウス出入口mに左右のドア本体Ma,Mbが左右引戸構造で配設され、当該ハウス出入口mを開閉可能としている。
【0082】
また、ハウス出入口mの下方には本発明の要旨である取付金具27を用いたパイプ状レール6をドア本体Ma,Mbの端部側に若干だけ位置するように敷設している。すなわち、ハウス出入口mの左右に立設した縦柱4,4の縦柱下端部4−1から、ドア本体Ma,Mb側にパイプ状レール6を若干だけ突出させて突出部105を形成している。また、パイプ状レール6を有さない領域をレール無し部106としている。
【0083】
また、ドア本体Mを閉蓋した際に妻面の中央部となる地面G側には、ドア本体Mの下縁部の一部を前後から案内して挟持する案内係止ユニット140が埋設されている。
【0084】
また、ハウス出入口mの上方に吊下げガイドレール110を敷設している。すなわち、ドア本体Ma,Mbの上縁部が位置する左右の縦柱4,4間に、ドア本体Ma,Mbの上面に垂直回動の保持ローラ111を軸架して上下スライド自在に収納されるように吊下げガイドレール110を取り付けている。なお、上述したパイプ状レール6と吊下げガイドレール110については後に詳述する。
【0085】
図14、
図15に示すように、ドア本体Mの下辺フレーム10は下方開口の断面略コ字状の基枠Kを備え、基枠Kの下方に付設された本発明の要旨である取付金具27を用いたパイプ状レール6を囲繞しながら移動するように構成している。
【0086】
また、上辺フレーム8の上面両端部近傍には垂直回動自在の保持ローラ111,111を軸架し、保持ローラ111を収納する吊下げガイドレール110の内底面に保持ローラ111が当接転動するように構成している。すなわち、ドア本体Mは、保持ローラ111が吊下げガイドレール110内に保持された状態となって左右スライド自在に吊下げられている。
【0087】
このように構成されたドア本体Mとその周辺構造とによって左右スライド自在なドア構造100が構成されている。
【0088】
以下、各部の具体的な構造についてドア構造100の下部について詳述した後、上部について詳述する。なお、ドア本体Mの構造は左右対称に現れるため、一方の側を示して説明し他方については適宜説明を省略する。
【0089】
図15は、ドア本体M(中央部分を省略)の縦柱4への取り付け部分の構成を示した断面図である。なお、図面左がビニールハウスHの内部側、図面右がビニールハウスHの外部側となっている。
【0090】
パイプ状レール6は、
図12(a)に示すようにハウス出入口mの左右に立設した縦柱4,4の縦柱下端部4−1からドア本体Ma,Mb側に形成した突出部105のみが、ドア本体Mを閉蓋した際に下辺フレーム10の下方に位置するように構成している。
【0091】
ドア本体Mを構成する下辺フレーム10は、上述した載置型のドア構造1におけるドア本体Mと同形状であり、基枠K内にコロ15を備えていない点で異なる。すなわち、ドア本体Mは吊戸となっているため、下辺フレーム10は下方に一部敷設されたパイプ状レール6とは原則的に接触せず、基枠Kがパイプ状レール6を囲繞したまま左右に移動自在とし、パイプ状レール6はあくまでもドア本体Mが前後に振れた際の案内の役割を果す。
【0092】
従って、基枠Kが突出部105を囲繞していれば、ドア本体Mの閉蓋時に下辺フレーム10の大部分がレール無し部106に位置していても、外風の影響等でドア本体MのビニールハウスH内への揺れを防止できる。
【0093】
また、案内係止ユニット140は、
図16に示すように長手方向の両端部が外側に湾曲した矩形板状の案内板141と案内板141を地面Gに固定するためのアンカー143とで構成され、案内板141の湾曲した内側面にはアンカー143を挿貫するための両端開口で筒状のアンカーガイド142が開口部を上下として案内板141に溶接固定されている。
【0094】
また、アンカー143は先端先鋭で丸棒状のアンカー部144とアンカー部144の直径よりも大きく、アンカーガイド142の内径よりも大きな頭部145を形成している。従って、
図14に示すように地面に案内係止ユニット140を固定するに際しては、案内板141の長手方向を地面Gに当接させつつアンカーガイド142に挿通したアンカー143の頭部145をハンマー(図示せず)等で衝打することで、頭部145がアンカーガイド142内に入り込むことなくアンカーガイド142の上端部で停止する。
【0095】
また、案内係止ユニット140の配設位置としては、ドア本体Mの下縁部がスライドする軌道上で、しかも、ドア本体Mを閉蓋したときに左右ドア本体Ma,Mbの端面が当接する位置に跨るようにして2つの案内係止ユニット140を対向配置する。
【0096】
なお、対向配置した案内係止ユニット140,140の案内板141,141の内側間距離は、ドア本体Mの厚み方向の幅員と略同幅に配置することで、ドア本体Mをガタなく挟持して係止固定できる。
【0097】
以上のように、パイプ状レール6の突出部105と案内係止ユニット140,140を上述のように構成することで、ドア本体Mの下辺フレーム10がこれらのいずれかと必ず関わることになるため、ドア本体Mへの外風の影響やビニールハウスH内の陽・陰圧の影響によってもドア本体MがビニールハウスHの内外に傾動することを規制できる。
【0098】
また、ハウス出入口mの下方の大部分がレール無し部106となっているので、ハウス出入口mによる作業者の出入りの際に、パイプ状レール6に足を引っ掛けたりすることを防止でき、更に、わざわざパイプ状レール6を取り外すことなく台車(図示せず)やトラクタ(図示せず)等をそのままビニールハウスH内に移動させることができる。
【0099】
なお、
図14、
図15に示すように、上述した載置型のドア構造1と同様に、下辺フレーム10に規制板23を設けてもよい。また、規制板23は下辺フレーム10の両端部、または一方のみに設けてもよいが、少なくとも突出部105に近い側の端部に設けることが望ましい。
【0100】
規制板23を設けることで、下辺フレーム10の基枠Kのみでは抑制することが厳しい強い外風等の影響によるドア本体Mの揺れや傾動を防止できる。
【0101】
このように、本発明の要旨である取付金具27は、吊戸型のドア構造100においても同様にパイプ状レール6を縦柱4に容易に固定することができる。
【0102】
次に、吊戸型のドア構造100の上部について詳述する。なお、ドア本体Mの構造は左右対称に現れるため、一方の側を示して説明し他方については適宜説明を省略する。
【0103】
ハウス出入口mの上方には
図12(a)、(b)、
図14に示すように吊下げガイドレール110を敷設している。すなわち、ドア本体Ma,Mbの上縁部が位置する左右縦柱4,4間に、ドア本体Ma,Mbの上面に垂直回動で鼓形状の保持ローラ111を軸架して上下スライド自在に収納されるように吊下げガイドレール110を取り付けている。
【0104】
吊下げガイドレール110は
図15、
図17に示すように、下方開口で断面コ字状の両下端縁を、対向するように内側に水平に折曲し、更に、端部を上方に折曲して形成している。そして、対向して折曲した水平部分の互いの内底面に保持ローラ111を跨がして収納している。また、吊下げガイドレール110は、ハウス出入口mの下部に敷設したパイプ状レール6と対向するように配設されている。この吊下げガイドレール110は、レールブラケット60を介して正面枠体2の縦柱4に取付けられている。
【0105】
このように、レールブラケット60を介して縦柱4に固定された吊下げガイドレール110の内底面には、上辺フレーム8の上面両端部近傍に垂直回動自在に軸架した保持ローラ111,111を当接転動可能に収納している。
【0106】
具体的には、上辺フレーム8の上面の両端部近傍にボルト孔(図示せず)を各2箇所づつ上辺フレーム8の長手方向に隣接して穿設し、ボルト孔にはUボルト112の湾曲部が上部となるように、しかも鼓形状の保持ローラ111の括れ部分がUボルト112の湾曲部に囲繞されるようにして挿貫し、上下方から上下取付ナット43,44で固定している。
【0107】
このように構成することで、Uボルト112の湾曲部の内側が軸孔の役割をし、保持ローラ111の括れ部分を軸として垂直回動自在となる。従って、ドア本体Mは、保持ローラ111が吊下げガイドレール110内に保持された状態で左右スライド自在に吊戸として機能する。
【0108】
このように、上述した載置型や吊戸型のいずれのドア構造1,100においても、本発明の要旨である取付金具27を用いることができる。
【0109】
なお、本説明中においては取付金具27をハウス出入口mの下方に設置した実施例を示したが、例えば、吊下げガイドレール110の代わりにパイプ状レール6を当該位置に設置し、パイプ状レール6の下方に位置するドア本体の上辺フレーム8の上面に鉤型のステーを連設し、ステーの上端部に垂直回動自在の戸車を配設すれば、パイプ状レール6上を戸車が転動可能となり、取付金具27を吊戸型のドア構造にも適用可能となる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。