(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
VoLTEサービスの提供を受ける端末は、音声通信及び音声通信以外のデータ通信(以下、単にデータ通信と記載する場合がある)のサービス提供を受けるために、音声通信サービス用のPDN(Packet Data Network)、及び、データ通信用のPDNの双方に接続される。
【0005】
ここで、音声通信サービス用のルート及びデータ通信用のルートのS−GW(Serving Gateway)が共通である場合に、例えば音声通信サービス用のルートにおいてS−GWと上位装置との間の区間で障害が発生しVoLTEサービスが提供できなくなると、当該ルートの接続が切断される。このような場合に、端末が音声通信サービス用のルートの再確立を試みると、データ通信用のルートが接続状態にあることを理由として、音声通信サービス用のルートのS−GWとしてデータ通信用のルートのS−GW(すなわちこれまでと同一のS−GW)が再度選択されてしまう。当該S−GWと音声通信サービス用のルートの上位装置との間の区間では障害が発生しているため、音声通信サービス用のルートが確立できず、再度、VoLTEサービスが提供できない状態となってしまう。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる通信制御装置、通信制御システム、及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る通信制御装置は、音声通信を制御する通信制御装置であって、端末毎に、音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かを記憶する記憶手段と、端末の通信状況に関する問合せを受信する受信手段と、受信手段が問合せを受信した際に、記憶手段が記憶する情報に基づいて、問合せに係る端末の音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果に応じた所定の応答を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
本発明に係る通信制御方法は、音声通信を制御する通信制御装置が行う通信制御方法であって、端末毎に、音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かを記憶する記憶ステップと、端末の通信状況に関する問合せを受信する受信ステップと、受信ステップにおいて問合せを受信した際に、記憶ステップにおいて記憶された情報に基づいて、問合せに係る端末の音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおける判定結果に応じた所定の応答を出力する出力ステップと、を含む。
【0009】
本発明に係る通信制御装置及び通信制御方法では、端末の通信状況に関する問合せを受けた際に、当該端末に関して音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かが判定され、当該判定結果に応じた応答が出力される。これにより、音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かに応じて異なる応答が出力され、当該応答に応じて異なる制御を行うことが可能になる。例えば、音声通信可能な状態でルートが確立されていない場合には、当該ルート内の区間障害が発生している可能性を考慮して、通常と異なる接続先に接続する等の制御が可能になる。これにより、所定区間の障害等を起因として音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない場合であっても、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。以上より、本発明によれば、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。
【0010】
また、出力手段は、判定手段による判定結果が、問合せに係る端末の音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない、とするものである場合に、所定の応答として、該端末の音声通信に係るルートを異なる通信網のルートに変更させることを指示する信号を出力してもよい。これにより、音声通信可能な状態でルートが確立されていない場合には、当該ルート内の区間障害が発生している可能性を考慮して、異なる通信網のルートに接続することが可能になる。このことで、所定区間の障害等を起因として音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない場合であっても、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。
【0011】
本発明に係る通信制御システムは、音声通信を制御する通信制御システムであって、端末毎に、音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かを記憶する記憶手段と、端末の通信状況に関する問合せを受信する受信手段と、受信手段が問合せを受信した際に、記憶手段が記憶する情報に基づいて、問合せに係る端末の音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果に応じた所定の応答を出力する出力手段と、出力手段が出力した応答に応じた制御を行う制御手段と、を備え、出力手段は、判定手段による判定結果が、問合せに係る端末の音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない、とするものである場合に、所定の応答として、該端末の音声通信に係るルートを異なる通信網のルートに変更させることを指示する信号を出力し、制御手段は、出力手段が出力した、異なる通信網のルートに変更させることを指示する信号に応じて、該端末の音声通信に係るルートを、異なる通信網のルートに変更する。
【0012】
発明に係る通信制御システムでは、端末の通信状況に関する問合せを受けた際に、当該端末に関して音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かが判定され、当該判定結果に応じた応答が出力される。そして、判定結果に応じた制御が行われ、音声通信に係るルートが確立されていない場合には、新たな音声通信に係るルートが、異なる通信網のルートとされる。これにより、音声通信可能な状態でルートが確立されていない場合には、当該ルート内の区間障害が発生している可能性を考慮して、異なる通信網のルートに接続することが可能になる。このことで、所定区間の障害等を起因として音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない場合であっても、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。以上より、本発明によれば、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る音声通信制御システムの構成を示す概略図である。
図1に示されるように、音声通信制御システム1(通信制御システム)は、音声通信を制御する通信制御システムであって、通信端末10(端末)と、eNB(evolved Node B)11と、MME(Mobility Management Entity)12と、S−GW(ServingGateway)13と、P−GW(Packet Date Network Gateway)14と、PCRF(Policy and Charging Rules Function)15と、データ通信用PDN(Packet Data Network)16と、IMS−PDN(IPMultimedia Subsystem-PDN)17と、P−CSCF(Proxy-Call SessionControl Function)18と、HSS(Home Subscriber Server)19と、RNC(Radio Network Controller)20と、SGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) SupportNode)21と、MSC(Mobile Switching Center)22と、S−CSCF(Serving-Call Session Control Function)23と、AS(Application Server)30と、を備えている。
【0017】
図2は、本実施形態の音声通信制御システムに含まれる各ノードのハードウェア構成を示す図である。すなわち、
図1に示されるeNB11、MME12、S−GW13、P−GW14、PCRF15、P−CSCF18、HSS19と、RNC20、SGSN21、MSC22、S−CSCF23、及びAS30は、それぞれ物理的には、
図2に示すように、1又は複数のCPU111、主記憶装置であるRAM112及びROM113、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置114、ディスプレイ等の出力装置115、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール116、半導体メモリ等の補助記憶装置117などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
【0018】
各ノードの機能は、
図2に示すCPU111、RAM112等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU111の制御のもとで入力装置114、出力装置115、通信モジュール116を動作させるとともに、RAM112や補助記憶装置117におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0019】
最初に、音声通信制御システム1の各構成の基本的な機能について説明する。通信端末10は、移動体通信網(以下、単に通信網と記載)に在圏することにより通信が可能になる移動通信端末であり、例えば携帯電話やタブレット型PC等である。通信端末10は、eNB11との間で電波の送受信を行うことによりLTE網に在圏し、RNC20に対応して設けられた無線基地局であるBTS(Base Transceiver Station)(図示せず)との間で電波の送受信を行うことにより3G(3rd. Generation)網に在圏する。通信端末10は、LTE在圏時にVoLTE(Voice over LTE)サービスの提供を受けることができるVoLTE対応端末である。
【0020】
eNB11は、無線基地局であるとともに、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。eNB11は、通信端末10から発信があった際の受付制御機能や、他の携帯端末から通信端末10に着信があった際に携帯端末を呼び出すページング機能を基本機能として有している。また、eNB11は、LTE在圏エリアを形成しており、通信端末10がLTE在圏エリア内に在圏する場合に、eNB11及び通信端末10間でLTE方式に従った無線通信を行うことができる。通信端末10は、eNB11を介してeNB11の上位装置であるMME12やP−GW14等と通信を行う。
【0021】
MME12は、eNB11を収容し、モビリティ制御及びベアラ制御を行う交換機である。MME12は、通信端末10の待受時の位置管理機能や、他の携帯端末から通信端末10に着信があった際にeNB11を呼び出すページング機能、通信端末10の認証管理機能等を基本機能として有している。着信時におけるMME12の機能の詳細については後述する。
【0022】
S−GW13は、eNB11を収容し、ユーザデータパケットの中継を行う交換機である。S−GW13は、無線アクセス網とEPC(Evolved Packet Core)網との接続機能、及び、ユーザデータパケットの転送機能等を基本機能として有している。S−GW13は、MME12からのユーザデータパケットをP−GW14に転送する。
【0023】
P−GW14は、インターネット等の外部のネットワークに接続するための交換機である。具体的には、P−GW14は、通信端末10をAPN(Access Point Name)に接続し、該APNに対応するPDNとコネクションを確立することによって、通信端末10によるインターネット等を利用したデータ通信を可能にする。P−GW14が通信端末10を接続し得るAPNに対応するPDNには、データ通信用PDN16及びIMS−PDN17が含まれている。データ通信用PDN16は、音声データ以外のデータパケット通信に供されるPDNである。IMS−PDN17は、音声データのデータパケット通信に供されるPDNであり、P−CSCF18を含んでいる。
【0024】
P−CSCF18は、セッション管理機能を有し、通信端末10と相互接続するSIP(Session Initiation Protocol)プロキシサーバである。P−CSCF18は、SIP信号圧縮機能や、無線アクセス網とのインターフェース機能を持ち、QoS(Quality of Service)制御等を行う。通信端末10から発信されたSIPメッセージは、通信端末10が在圏するLTE網のP−CSCF18から、S−CSCF23に送信される。
【0025】
PCRF15は、送受信されるユーザデータパケットに対して適用するQoS値や課金体系を決定する交換機である。より詳細には、PCRF15は、APN接続時の各種認証機能、在圏・課金等のユーザ管理機能等を提供する交換機である。PCRF15が決定したQoS値は、eNB11及びP−GW14等に通知され、これらの各装置は、通知されたQoS値に従ってユーザデータパケットに対してQoS制御を実施する。
【0026】
RNC20は、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。RNC20は、無線基地局であるBTS(図示せず)に対応して設けられ、BTSが形成する3G在圏エリアに在圏している通信端末10の無線通信に関する処理を行う。具体的には、RNC20は、通信端末10の回線接続処理やハンドオーバ処理等を行う。
【0027】
SGSN21は、パケット通信のためのセッションを設定し、パケット交換の制御を行う装置である。なお、SGSN21は、パケット通信時のユーザの認証等を行うGGSN(Gateway GPRS Support Node)の機能を同一装置内に有するものであってもよい。
【0028】
HSS19は、通信端末10等の通信端末の契約情報及び認証情報を管理する加入者情報管理サーバである。HSS19は、MME12及びMSC22等と接続され、RNC20等を介して通信端末10より受信した、通信端末10の端末種別及び電話番号を対応づけた情報を登録(記憶)する。
【0029】
MSC22は、RNC20を収容し、無線アクセス網とIMS網との接続機能、音声の転送機能等を基本機能として有した交換機である。
【0030】
次に、VoLTE対応端末である通信端末10着信時における、音声通信制御システム1の処理について、
図1を参照して説明する。まず、AS30が、S−CSCF23を介した通信端末10宛ての着信信号の受信を契機として、HSS19に対して着信要求を送信する。当該着信要求には、通信端末10が最後にアクセスした通信網についての問合せが含まれている。当該問合せを受けると、HSS19は、MME12及びSGSN21に対して、通信端末10がそれぞれの通信網(LTE及び3G)に最後にアクセスした時刻を問い合わせる、T−ADS(Terminating-Access Domain Selection)要求を送信する。HSS19は、MME12及びSGSN21より、T−ADS要求に対するT−ADS応答を受信する。MME12から送信されるT−ADS応答には、通信端末10がLTE網に最後に在圏した時刻が含まれており、SGSN21から送信されるT−ADS応答には、通信端末10が3G網に最後に在圏した時刻が含まれている。
【0031】
そして、HSS19は、通信端末10のLTE網及び3G網それぞれにおける最終在圏時刻より、通信端末10が最後に在圏した通信網(すなわち、通信端末10が現在在圏していると想定される通信網)を特定し、AS30に対して、当該在圏していると想定される通信網に係る情報を含んだ応答信号を送信する。AS30は、当該応答信号に基づき着信方式を選択し、S−CSCF23に対して選択した着信方式を指示する。
【0032】
そして、S−CSCF23は、着信方式がVoLTE方式である場合には、P−CSCF18、P−GW14、及びS−GW13等を介して通信端末10に着信応答を行う。また、S−CSCF23は、着信方式が3G網の着信方式である場合には、MGCF(Media Gateway Control Function)(図示せず)及びMSC22等を介して通信端末10に着信応答を行う。これらの処理により、通信端末10において、着信に対する応答が可能となる。
【0033】
ここで、通信端末10が、LTE網に在圏しデータ通信用PDN16及びIMS−PDN17の双方に接続されていた状態において、Gxc区間であるS−GW13とPCRF15との間で障害(以下、Gxc区間障害と記載する)が発生した場合を考える。この場合、Gxc区間障害を検知したPCRF15は、当該Gxc区間障害の影響を受ける、IMS−PDN17との接続ルート(以下、IMSベアラと記載する)のみを切断し、データ通信用PDN16との接続ルートについては切断しない。
【0034】
IMSベアラが切断されると、通信端末10は、IMS−PDN17との再接続を試み、接続機能(PDN Connectivity)を起動する。しかしながら、データ通信用PDN16との接続ルートは切断されていないため、当該接続時においては、データ通信用PDN16との接続ルート上のS−GW13が再度選択されることとなる。S−GW13とPCRF15との間は上述したGxc区間であるため、当該再接続によってもIMSベアラを確立することができず、着信応答が行えない状態となってしまう。
【0035】
このようなGxc区間障害時における着信応答を可能にするMME12の機能について、
図3も参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係るMMEの機能を示すブロック図である。
【0036】
図3に示されるように、MME12は、音声通信を制御する通信制御装置であって、送受信部121と、記憶部122と、T−ADS制御部123と、を備えて構成されている。
【0037】
送受信部121は、通信端末10、HSS19、及びS−GW13等と信号の送受信を行う。送受信部121は、上述したIMSベアラの切断時において、切断要求をS−GW13から受信し、当該切断要求を通信端末10に転送するとともに、IMSベアラが切断された旨の情報を記憶部122に出力する。
【0038】
また、送受信部121は、着信時において、HSS19より、通信端末10の在圏状況(通信状況)に関する問合せを受信する受信手段である。当該問合せは上述したT−ADS要求であり、T−ADS要求には、通信端末10がMME12に係るLTE網に最後にアクセスした時刻を問い合わせる情報が含まれている。送受信部121は、T−ADS要求を受信すると、T−ADS制御部123に対して判定要求(詳細は後述)を出力する。
【0039】
また、送受信部121は、T−ADS制御部123による判定結果に応じた所定の応答を出力する出力手段である(T−ADS制御部123の判定については後述する)。送受信部121は、T−ADS制御部123による判定結果が、通信端末10のIMSベアラが確立されている、とするものである場合には、通信端末10がLTE網に最後にアクセスした時刻を含んだ信号をT−ADS応答としてHSS19に出力する。一方、送受信部121は、T−ADS制御部123による判定結果が、通信端末10のIMSベアラが確立されていない、とするものである場合には、通信端末10の音声通信に係るルートを異なる通信網(3G網)のルートに変更させることを指示する信号、すなわち、CSFB(Circuit Switched FallBack)の実行を指示する信号(IMSVoice over PS Session in S1 mode not supported)をT−ADS応答としてHSS19に出力する。なお、IMSベアラが確立されていない場合には、IMSベアラが確立されている場合と同様、通信端末10がLTE網に最後にアクセスした時刻を含んだ信号が出力されてもよい。
【0040】
記憶部122は、通信端末毎に、IMSベアラが音声通信可能な状態で確立されているか否かを記憶する記憶手段である。すなわち、記憶部122は、MME12に係るLTE網に在圏する各通信端末のIMSベアラが、音声通信可能な状態で確立されているか否かを記憶している。IMSベアラが音声通信可能な状態で確立されているとは、VoLTEサービスによる発着信が可能な状態とされていることをいう。記憶部122は、例えば、各通信端末毎にIMSベアラ確立フラグを記憶し、IMSベアラが音声通信可能な状態で確立されている通信端末について、当該フラグを立てる。記憶部122は、通信端末10のIMSベアラが切断された旨の情報を記憶部122から入力された場合には、当該IMSベアラの情報を更新する(例えば、立てていたIMSベアラ確立フラグを降ろす等)。
【0041】
T−ADS制御部123は、T−ADS要求を受信した送受信部の判定要求に応じて、T−ADS要求に係る通信端末10のIMSベアラが音声通信可能な状態で確立されているか否かを判定する判定手段である。T−ADS制御部123は、記憶部122が記憶する情報に基づいて当該判定を行う。例えば、記憶部122が上述したIMSベアラ確立フラグを記憶している場合には、T−ADS制御部123は、当該IMSベアラ確立フラグに基づいて、IMDベアラが確立されているか又は未確立かを判定する。T−ADS制御部123は当該判定結果を送受信部121に出力する。
【0042】
T−ADS要求受信時のMME12の処理について、
図4も参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係るMMEによるT−ADS応答処理を示すフローチャートである。
【0043】
図4に示されるように、送受信部121によりT−ADS要求が受信(ステップS1)されると、T−ADS制御部123によりIMSベアラが確立されているか否かが判定される(ステップS2)。具体的には、T−ADS制御部123は、記憶部122によって記憶された情報を参照することにより、当該判定を行う。
【0044】
そして、S2においてIMSベアラが確立されていると判定された場合には、送受信部121により通常のT−ADS応答が行われる(ステップS3)。通常のT−ADS応答では、通信端末10がLTE網に最後にアクセスした時刻を含んだ信号が送信される。一方、S2においてIMSベアラが未確立であると判定された場合には、送受信部121により、CSFBの実行を指示する信号(IMS Voice over PS Session in S1 mode not supported)が、T−ADS応答としてHSSに出力される(ステップS4)。
【0045】
次に、Gxc区間障害発生時の音声通信制御システム1の処理について、
図5も参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係る音声通信制御処理のシーケンス図である。
【0046】
図5に示されるように、S−GW13とPCRF15との間で障害(Gxc区間障害)が発生すると、PCRF15〜S−GW13間のSCTP(Stream Control Transmission Protocol)通信が切断(SCTP断)される。そして、PCRF15によって当該SCTP断が検知されることにより、障害発生が検出される(ステップS101)。
【0047】
つづいて、PCRF15により、P−GWに対して通信端末10のIMSベアラ切断要求が送信される(ステップS102)。当該切断要求は、P−GW14よりS−GW13に送信され(ステップS103)、S−GW13よりMME12に送信され(ステップS104)、MME12より通信端末10に送信される(ステップS105)。MME12の送受信部121は、切断要求を通信端末10に転送するとともに、通信端末10のIMSベアラが切断された旨の情報を記憶部122に出力する。そして、当該切断要求を受信した各構成及びIMSベアラ切断処理に係るその他の構成により、IMSベアラ切断処理が行われる(ステップS106)。
【0048】
S106の処理が完了した後に通信端末10に対して着信があった際には、通常の着信応答時と同様、AS30からHSS19に対して着信要求が送信され(ステップS107)、HSS19からMME12に対してT−ADS要求が送信される(ステップS108)。
【0049】
MME12の送受信部121は、当該T−ADS要求を受信すると、T−ADS制御部123に対して判定要求を出力する。そして、T−ADS制御部123は、記憶部122が記憶する情報(例えばIMSベアラ確立フラグ等)を参照し、通信端末10のIMSベアラが確立されているか否かを判定する。上述したように、記憶部122には通信端末10のIMSベアラが切断された旨の情報が記憶されているため、T−ADS制御部123はIMSベアラ未確立と判定する(ステップS109)。
【0050】
T−ADS制御部123は、当該判定結果を送受信部121に出力する。そして、送受信部121により、通信端末10の音声通信に係るルートを異なる通信網(3G網)のルートに変更させることを指示する信号、すなわち、CSFBの実行を指示する信号(IMS Voice over PS Session in S1 mode not supported)が、T−ADS応答としてHSS19に出力される(ステップS110)。HSS19(制御手段)は、CSFBでの着信と判断し(ステップS111)、通信端末10の音声通信に係るルートを3G網におけるルートに変更するよう制御する。その後、CSFB着信処理が行われる(ステップS112)。これにより、通信端末10は、3G網において着信に対して応答が可能となる。
【0051】
なお、CSFB時には、3G網における位置登録が発生するが、当該3G網における位置登録が行われる際には、直前に在圏した網(LTE網)のS−GW13〜PCRF15間で通信が行われ、PCRF15より所定の情報が取得される必要がある。しかしながら、Gxc区間障害発生時には、S−GW13〜PCRF15間での通信が不可となっているため、再接続(Re-Attach)処理が行われ、IMSベアラだけでなくデータ通信用PDN16との接続ルートも再接続されることとなる。再接続時には、全てのS−GWが接続対象となるため、高確率でGxc区間障害に係るS−GW13以外のS−GWが選択される。S−GW13以外のS−GWが選択された場合には、通信端末10は、正常に着信応答を行うことができる。
【0052】
次に、本実施形態に係る通信制御装置(MME12)及び通信制御システム(音声通信制御システム1)の作用・効果について説明する。
【0053】
本実施形態に係るMME12では、通信端末10に係るT−ADS要求を受信した際に、当該通信端末10に関して音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか(IMSベアラが確立されているか)否かが判定され、当該判定結果に応じた応答が出力される。これにより、音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか否かに応じて異なる応答が出力され、当該応答に応じて異なる制御を行うことが可能になる。例えば、音声通信可能な状態でルートが確立されていない場合には、当該ルート内の区間障害が発生している可能性を考慮して、通常と異なる接続先に接続する等の制御が可能になる。これにより、所定区間の障害等を起因として音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない場合であっても、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るMME12の送受信部121は、T−ADS制御部123による判定結果が、問合せに係る通信端末10の音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない、とするものである場合に、T−ADS応答として、通信端末10の音声通信に係るルートを異なる通信網のルートに変更させることを指示する信号、すなわちCSFBの実行を指示する信号(IMS Voice over PSSession in S1 mode not supported)を出力する。これにより、音声通信可能な状態でルートが確立されていない場合には、当該ルート内の区間障害が発生している可能性を考慮して、異なる通信網のルートに接続することが可能になる。このことで、所定区間の障害等を起因として音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない場合であっても、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る音声通信制御システム1では、MME12が通信端末10に係るT−ADS要求を受信した際に、当該通信端末10に関して音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されているか(IMSベアラが確立されているか)否かが判定され、当該判定結果に応じた応答が出力される。そして、判定結果に応じた制御が行われ、音声通信に係るルートが確立されていない場合には、当該ルート内の区間障害等の可能性を考慮して、CSFBを行い着信応答を行わせることができる。このことで、所定区間の障害等を起因として音声通信に係るルートが音声通信可能な状態で確立されていない場合であっても、音声通信サービス用のルートを確実に確立することができる。