特許第6387296号(P6387296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6387296シート状部材の溝形成装置及び溝形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387296
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】シート状部材の溝形成装置及び溝形成方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/44 20060101AFI20180827BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B29D30/44
   B29C59/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-259347(P2014-259347)
(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-117250(P2016-117250A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】松山 稔矢
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−302860(JP,A)
【文献】 特開2007−152723(JP,A)
【文献】 特開平4−77239(JP,A)
【文献】 特開2004−261963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
B29C 59/00−59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に送られるシート状部材の表面に接触して回転し、外周面に突条が設けられ、前記突条の転写によって前記シート状部材の前記表面に溝を形成する溝付けローラと、
前記シート状部材の前記表面と反対側の面に接触して回転し、かつ上下方向に弾性的に変位可能である、前記シート状部材の幅方向に並設された複数の受けローラと
を備え、
前記突条の前記突条の延在方向と直交する断面形状は、先端に凸曲線部を有する、シート状部材の溝形成装置。
【請求項2】
前記凸曲線部は部分円弧状である、請求項1に記載のシート状部材の溝形成装置。
【請求項3】
前記凸曲線部は部分楕円弧状である、請求項1に記載のシート状部材の溝形成装置。
【請求項4】
所定方向に送られるシート状部材の表面に溝付けローラを接触させて回転させ、前記溝付けローラの外周面に突条が設けられ、前記突条の前記突条の延在方向と直交する断面形状は、先端に凸曲線部を有し、
前記溝付けローラの回転によって、前記突条を転写することで前記シート状部材の表面に溝を形成
上下方向に弾性的に変位可能である、前記シート状部材の幅方向に並設された複数の受けローラを、前記シート状部材の前記表面と反対側の面に接触して回転させる、シート状部材の溝形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート状部材の溝形成装置及び溝形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造工程は、成型工程と加硫工程を含む。成型工程では、トレッド部材、サイドウォール部材、カーカスプライ、ベルトプライのようなゴム製のシート状部材(未加硫状態)が成型ドラム上で貼り合わされ、生タイヤが成型される。加硫工程では、生タイヤがタイヤ成型用加硫金型内で加硫成型され、製品としての空気入りタイヤが得られる。
【0003】
成型工程において貼り合わせられたタイヤ構成部材間に、空気溜まりが生じやすい。空気溜まりが残留している生タイヤが加硫工程に供されると、セパレーションのような故障や外観不良の原因となる。貼り合わせされたタイヤ構成部材に対して加硫工程前にステッチング(ローラ掛け)を行うことで、空気溜まりの空気を生タイヤの外部に排出することが知られている。
【0004】
特許文献1には、シート状部材の他のシート状部材に対する貼り合わせ面に、ステッチングによる空気排出効率向上のための空気排出溝を形成する溝形成装置が開示されている。この溝形成装置は、複数の突条を有する溝付けローラを備える。溝付けローラをシート状部材の一方の表面に押し付けて突条を転写することで溝が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−261963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された溝付けローラの突条の断面形状は、四角形であり、尖った角部を有する。そのため、突条が、シート状部材の溝が形成される一方の表面から他方の表面までシート状部材を貫通して突き破ることがある。特に、シート状材の幅方向の両端部では、突条が貫通することによるシート状部材の裂けや破れが生じやすい。
【0007】
本発明は、溝付けローラの突条が貫通することによるシート状部材の裂けや破れ等の破損を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、所定方向に送られるシート状部材の表面に接触して回転し、外周面に突条が設けられ、前記突条の転写によって前記シート状部材の前記表面に溝を形成する溝付けローラと、前記シート状部材の前記表面と反対側の面に接触して回転し、かつ上下方向に弾性的に変位可能である、前記シート状部材の幅方向に並設された複数の受けローラとを備え、前記突条の前記突条の延在方向と直交する断面形状は、先端に凸曲線部を有する、シート状部材の溝形成装置を提供する。
【0009】
突条の断面形状は先端に凸曲線部を有しており、尖った角部を有しない。そのため、突条がシート状部材に転写されて溝が形成される際に、突条の先端がシート状部材を貫通して突き破るのを効果的に防止できる。また、先端に凸曲線部を有する突条の転写によって形成された溝は凸曲線状の断面形状を有する。そのため、ステッチング時の空気排出に必要な溝断面積を確保しつつ、ステッチング終了時には確実に溝を閉塞させることができる。
【0010】
前記凸曲線部は、例えば部分円弧状や部分楕円弧状である。
【0011】
第2の発明は、所定方向に送られるシート状部材の表面に溝付けローラを接触させて回転させ、前記溝付けローラの外周面に突条が設けられ、前記突条の前記突条の延在方向と直交する断面形状は、先端に凸曲線部を有し、前記溝付けローラの回転によって、前記突条を転写することで前記シート状部材の表面に溝を形成し、上下方向に弾性的に変位可能である、前記シート状部材の幅方向に並設された複数の受けローラを、前記シート状部材の前記表面と反対側の面に接触して回転させる、シート状部材の溝形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシート状部材の溝形成装置及び溝形成方法によれば、溝付けローラの突条を先端に凸曲線部を有する断面形状としたので、突条の先端がシート状部材を貫通して突き破り、シート状部材に裂けや破れ等の破損が生じるのを効果的に防止できる。また、シート状部材に形成された溝は、凸曲線状の断面形状を有するので、ステッチング時の空気排出に必要な溝断面積を確保しつつ、ステッチング終了時には確実に溝を閉塞させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るシート状部材の溝形成装置の模式的な斜視図。
図2図1の側面図。
図3A図1の正面図(溝付けローラと受けローラとの間にシート状部材がない状態)。
図3B図1の正面図(溝付けローラと受けローラとの間にシート状部材が挟み込まれた状態)。
図4A図3AのIV−IV線に沿った溝付けローラの部分断面図。
図4B】溝付けローラの代案の図4Aと同様の断面図。
図4C】溝付けローラの代案の図4Aと同様の断面図。
図4D】溝付けローラの代案の図4Aと同様の断面図。
図5A】従来の溝付けローラの図4Aと同様の断面図。
図5B】従来の溝付けローラの図4Aと同様の断面図。
図6A図5Aの溝付けローラで形成された空気排出溝の一例の模式的な断面図。
図6B図5Aの溝付けローラで形成された空気排出溝の他の例の模式的な断面図。
図7】実施形態の溝付けローラで形成さたれ空気排出溝の模式的な断面図。
図8】本発明の第2実施形態に係るシート状部材の溝形成装置の模式的な側面図。
図9】本発明の第3実施形態に係るシート状部材の溝形成装置の模式的な平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している場合がある。
【0015】
(第1実施形態)
図1から図3Bは、本発明の第1実施形態に係るシート状部材1の溝形成装置2を示す。図示しない押出成型用ダイから、ゴム製(未加硫)で長尺な帯状のシート状部材1が溝形成装置2に供給される。図1において符号Lでシート状部材1の長手方向を示し、符号でシート状部材1の幅方向を示す。シート状部材1は、長手方向Lに沿った送り方向Fで押出成型用ダイから溝形成装置2へ送られ、溝形成装置2において幅方向Wに延びる空気排出溝3が形成された後、下流側の切断装置(図示せず)によって適切な長さに切断される。切断されたシート状部材1は、他のシート状部材(タイヤ構成部材)と共に成型ドラム上で貼り合わされ、生タイヤが成型される。成型された生タイヤは、空気溜まりの空気を排出するためのステッチング(ローラ掛け)に供される。ステッチング後の生タイヤはタイヤ成型用加硫金型内で加硫成型され、製品としての空気入りタイヤが得られる。
【0016】
本実施形態では、シート状部材1の図において下側の面は平坦面1aで、図において上側の面はプロファイル面1bである。プロファイル面1bは、4個の部分プロファイル面1c,1d,1e,1fから構成されている。シート状部材1の幅方向Wの両端側の部分プロファイル面1c,1dでは、幅方向Wの縁部に向けてシート状部材1の厚さが漸減している。一方、シート状部材1の幅方向の中央側の部分プロファイル面1e,1fでは、幅方向Wの中央部に向けてシート状部材1の厚さが漸増している。
【0017】
本実施形態では、シート状部材1は、製品としてのタイヤのサイド部となるサイドウォール部材である。シート状部材1は、トレッド部材、カーカスプライ、ベルトプライのような他のタイヤ構成部品であってもよい。
【0018】
本実施形態の溝形成装置2は、単一のローラからなる溝付けローラ4、複数の受けローラ5、及びシート状部材1を搬送方向に送るために複数の送りローラ6を備える。
【0019】
溝付けローラ4は、送り方向Fに送られるシート状部材1のプロファイル面1b(上面)に接触し、シート状部材1に対して軸線A回りに従動回転する。具体的には、図2に示すように、溝付けローラ4の軸部4aの両端はアーム7の一端に回転自在に支持され、アーム7の他端は、シート状部材1の平坦面1a(下面)側に配置された支軸8に対して回転自在に支持されている。溝付けローラ4は、それ自体の自重によってプロファイル面1bに圧接され、シート状部材1は溝付けローラ4と受けローラ5との間に挟み込まれている。
【0020】
溝付けローラ4の外周面4bには、周方向に所定ピッチで配置されると共に幅方向に延びる複数の突条4cが形成されている。
【0021】
複数の受けローラ5は共通の軸部5aに回転自在な状態で並設されている。個々の受けローラ5は、概ね円筒状であり、内部に軸部5aに装着されたベアリング5bを備える。ベアリング5bと最外周の金属製の円筒体5cとの間にはスポンジのような弾性体5dが配置されている。弾性体5dの弾性率は成型対象であるシート状部材1を構成するゴム材料よりも十分に小さい。ベアリング5bを設けたことで、円筒体5cは弾性体5dと一体となって軸部5aに対して回転可能である。また、ベアリング5bと円筒体5cの間に弾性体5dが介在するので、受けローラ5は軸部5aに対して上下方向に弾性的に変位可能である。
【0022】
図3Aを参照すると、溝付けローラ4と受けローラ5との間にシート状部材1が搬送されると、シート状部材1のプロファイル面1b(上面)に溝付けローラ4が圧接される。溝付けローラ4が圧接されると、プロファイル面1b(上面)は平坦状に変形しようとし、平坦面1a(下面)の幅方向の各部位はプロファイル面1bの変形に応じて下向きに突出しようとする。平坦面1a(下面)の幅方向の各部位は、それぞれ異なる受けローラ5で支持されており、個々の受けローラ5は弾性体5dが弾性変形することで、互いに独立して軸部5aに対して上下方向に変位する。従って、シート状部材1は、溝付けローラ4と受けローラ5との間を通過する際、平坦面1a(下面)は幅方向の各部位がプロファイル面1aの形状に対応する量だけ下向きに突出し、プロファイル面1b(上面)は概ね平坦面に変形した状態となる。
【0023】
溝付けローラ4はプロファイル面1b(上面)に接触した状態で、送り方向Fに送られるシート状部材1に対して従動回転する。そのため、溝付けローラ4の外周面4bに設けられて突条4cがプロファイル面1bに押し付けられ、プロファイル面1bに食い込んだ突状4cの形状が転写される。その結果、突条4cの断面形状(突条4cが延在する方向に直交する断面での断面形状)に対応した断面形状を有する空気排出溝3がプロファイル面1bに形成される。溝付けローラ4と受けローラ5との間を通過する際、プロファイル面1bは概ね平坦面状に変形した状態で維持される。そのため、空気排出溝3はシート状部材1の幅方向Wの全体にわたって概ね均一な深さを有する。溝付けローラ4と受けローラ5との間を通過し、溝付けローラ4による押圧が解除されると、空気排出溝3が形成されたシート状部材3は、それ自体が有する弾性によって、元の形状、すなわち上面にプロファイル面1bを有し下面に平坦面1aを有する形状に復帰する。
【0024】
図4Aは、突条4cの突条4c自体の延在方向(本実施形態では溝付けローラ4の回転の軸線Aと一致する)に対して直交する断面における断面形状(以下、単に断面形状という)を示す。本実施形態では、突条4cの断面形状は、溝付けローラ4の外周面4bからの突出量が最大である最先端部4dを含む部分である先端部4eが部分円弧状である。また、本実施形態における突条4cの断面形状は、先端部4eから溝付けローラ4の外周面4bまでの部分である基部4fも、先端部4eと連続し、かつ同一曲率半径を有する部分円弧状である。要するに、本実施形態における突条4cの断面形状は概ね半円状である。
【0025】
突条4cの断面形状は、図4Aに示す例に限定されず、図4Bから図4Dに例示的に列挙するように、先端部4eが尖った角部を有しない凸曲線部であればよい。ただし、突条4cの断面形状は、図5Aに示す三角形状や、図5Bに示す四角形状のように先端部4eに尖って角部4gを有しない形状である必要がある。
【0026】
図4Bの例では、突条4cの断面形状は全体として半楕円状であり、先端部4eは部分楕円弧状であり、基部4fは先端部と連続する同一扁平率の部分楕円弧状である。
【0027】
図4Cの例では、突条4cの断面形状は、先端部4eが部分円弧状であり、基部4fが直線状である。図4Cの例で、先端部4eが部分楕円弧状であってもよい。
【0028】
図4Dの例では、突条4cは断面円形状の金属製の線材9を溝付けローラ4の外周面4bに溶接することで製作している。この製作方法によれば、部分円弧状ないし部分楕円弧状の先端部4eを有する突条4cを簡易に製作できる。なお、図4Aから図4Cの突条4cは、図4Dの場合と同様に製作してもよいし、例えば切削加工のような他の機械的加工や電気化学的な加工方法で製作してもよい。
【0029】
仮に突条4cが図5Aに示すような三角形状の断面形状を有する場合、図4Aに示すように、突条4cの尖った角部4gがプロファイル面1b(上面)から平坦面1a(下面)までシート状部材1を貫通して突き破ることがある。特に、シート状部材1の幅方向Wの両端側の部分プロファイル面1c,1dの部分ではシート状部材1の厚さが薄いため、突条4cの角部4gが貫通することによるシート状部材1の裂けや破れが生じやすい。一方、裂けや破れを回避するために突条4cのシート部材1への食い込み量を小さく設定すると、図6Bに示すように、空気排出溝3の断面積が過度に小さくなる。空気排出溝3の断面積が過度に小さいと、プロファイ面1bと他のタイヤ構成部材の貼り合わせ面との間に形成された空気溜まりの空気を、ステッチングによって空気排出溝3から確実に排出することが困難となる。
【0030】
これに対して、本実施形態の突条4cの断面形状は図4Aに示すように先端部4eが尖った角部4gを有しない部分円弧状(凸曲線状)である。そのため、突条4cの先端部4eがシート状部材1を貫通して突き破るのを効果的に防止できる。特に、厚さが薄い部分プロファイル面1c,1dの部分でも、突条4cが貫通することによるシート状部材1の裂けや破れを確実に防止できる。
【0031】
また、本実施形態では、図7に示すように、突条4cの転写される空気排出溝3の断面形状も、尖った角部を有しない部分円弧状ないし部分楕円弧状(凸曲線状)である。そのため、空気排出溝3の深さDを過度に深く設定することなく、十分な溝断面積を確保できる。十分な溝断面積を確保できるので、ステッチング時に、空気溜まりの空気を確実に空気排出溝3を介して排出することできる。また、空気排出溝3の深さDは過度に深くないので、ステッチング終了時には確実に空気排出溝3を閉塞させることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態では、突条4cの断面形状の先端部4eを凸曲線状とするという簡易な構成によって、突条4cの先端部4eがシート状部材1を貫通して突き破りを効果的に防止し、さらにステッチング時の空気排出に必要な溝断面積を確保しつつ、ステッチング終了時には確実に溝を閉塞させることができる。図4Aの断面形状に限らず、同様に断面形状の先端部4eが凸曲線状である図4Bから図4Dの突条4cの場合にも同様の効果がえられる。
【0033】
以下、本発明の第2及び第3実施形態を説明する。これらの実施形態において、特に言及しない点は、第1実施形態と同様である。また、これらの実施形態に関する図面中で、第1実施形態と同一又は同様の要素には、同一又は同様の符号を付している。
【0034】
(第2実施形態)
図8は本発明の第2実施形態に係る溝形成装置2を示す。本実施形態では、シート状部材1の図において下側の面は平坦面1aで、図において上側の面がプロファイル面1bである。溝付けローラ4は、送り方向Fに送られるシート状部材1のプロファイル面1b(上面)に接触した状態でシート状部材1に対して軸線A回りに従動回転する。溝付けローラ4と対向してシート状部材1の幅方向Wに延びる支軸11に支持された複数の押さえローラ12が設けられている。個々の押さえローラ12は支軸11に対して上下方向に変位自在であり、自重によってプロファイル面1bを溝付けローラ4に向けて下向きに押圧している。溝付けローラ4には、第1実施形態と同様に断面形状の先端部4eが部分円弧状や部分楕円弧状のような凸曲線状である突条4c(図4Aから図4D参照)が設けられている。
【0035】
シート状部材1の平坦面1a(下面)には、突条4cの転写によって空気排出溝3が形成される。突条4cの断面形状の先端部4eを凸曲線状とすることで、突条4cの先端部4eがシート状部材1を貫通して突き破るのを効果的に防止できると共に、ステッチング時の空気排出に必要な溝断面積を確保しつつ、ステッチング終了時には確実に空気排出溝3を閉塞させることができる。
【0036】
(第3実施形態)
図9は本発明の第3実施形態に係る溝形成装置2を示す。本実施形態では、シート状部材1のプロファイル面1bに溝を形成するための3個の溝付けローラ4A,4B,4Cが設けられている。プロファイル面1bは、幅方向Wの中央に概ね平坦な部分プロファイル面1gを備え、幅方向Wの両端に厚さが端部に向けて漸減する部分プロファイル面1h,1iを備える。
【0037】
幅方向Wの中央の部分プロファイル面1gの溝付けローラ4Aの回転の軸線Aは概ねシート状部材1の幅方向Wに沿って延びている。また、この溝付けローラ4Aの突条4cは軸線Aに沿って延びている。幅方向Wの両端の部分プロファィル面1h,1iの溝付けローラ4B,4Cの回転の軸線Aはシート部材1の幅方向Wに対して傾斜を有する。これらの溝付けローラ4B,4Cの突条4cは軸線Aに対して傾斜している。溝付けローラ4A〜4Cの突状4cは、第1実施形態と同様に断面形状の先端部4eが部分円弧状や部分楕円弧状のような凸曲線状である(図4Aから図4D参照)が設けられている。
【0038】
シート状部材1のプロファイル面1bには、溝付けローラ4A〜4Cの突条4cの転写によって空気排出溝3A〜3Cが形成される。部分プロファイル面1gには、幅方向Wに延びる空気排出溝3Aが形成され、部分プロファイル面1h,1iには幅方向Wに対して傾斜した空気排出溝3B,3Cが形成される。空気排出溝3Aの両端側はそれぞれ空気排出溝3B,3Cに交差して連通している。突条4cの断面形状の先端部4eを凸曲線状とすることで、突条4cの先端部4eがシート状部材1を貫通して突き破るのを効果的に防止できると共に、ステッチング時の空気排出に必要な溝断面積を確保しつつ、ステッチング終了時には確実に空気排出溝3A〜3Cを閉塞させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 シート状部材
1a 平坦面
1b プロファイル面
1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i 部分プロファイル面
2 溝形成装置
3,3A,3B,3C 空気排出溝
4,4A,4B,4c 溝付けローラ
4a 軸部
4b 外周面
4c 突条
4d 最先端部
4e 先端部
4f 基部
4g 角部
5 受けローラ
5a 軸部
5b ベアリング
5c 円筒体
5d 弾性体
6 送りローラ
7 アーム
8 支軸
9 線材
11 支軸
12 押さえローラ
L 長手方向
W 幅方向
F 送り方向
A 軸線
D 深さ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9