特許第6387320号(P6387320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387320
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/10 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   F24D3/10 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-71151(P2015-71151)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191496(P2016-191496A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋太
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−048992(JP,A)
【文献】 特開2007−139419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00 − 3/18
F24H 1/00 − 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒を加熱する熱源機と、
熱媒からの放熱により暖房する暖房機と、
熱媒を流動させる循環ポンプと、
熱源機と暖房機と循環ポンプが組み込まれた熱媒経路と、
熱媒を加熱するヒートポンプと、
熱媒経路からヒートポンプへ熱媒を送るための第1配管と、
ヒートポンプから熱媒経路へ熱媒を送るための第2配管と、
第1配管からヒートポンプに流入する熱媒の温度を検出する第1温度センサと、
ヒートポンプから第2配管に流出する熱媒の温度を検出する第2温度センサを備えており、
ヒートポンプの圧縮機を停止させており、循環ポンプを駆動し、かつ熱源機により熱媒を加熱させたときの、第1温度センサで検出される温度と第2温度センサで検出される温度に基づいて、第1配管と第2配管の接続の正誤を判定する、暖房システム。
【請求項2】
第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも所定温度高くなった場合に、第1配管と第2配管が誤接続されていると判定する、請求項1の暖房システム。
【請求項3】
第2温度センサで検出される温度が判定基準温度を上回っており、かつ第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも高くなった場合に、第1配管と第2配管が誤接続されていると判定する、請求項1の暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンク内の液体を主熱源機に送り出す試運転時おいて、主熱源機の熱交換器の出口側の温度が上昇するか否かにより、水張りが適切に行われたか否かを判定する技術が提供されている。特許文献2には、流路を2種類設けておき、配管を誤接続したとしても、正接続の場合に液体が流れる流路を閉じて、もう一方の流路を開放することで、本来意図していた正しい流れにするようにした技術が提供されている。特許文献3には、ヒートポンプ加熱源の加熱開始から所定時間経過後、ヒートポンプ加熱源に入る入水配管の温度と出湯配管の温度を検出し、前者の方が高い場合に配管の誤接続であると判定する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−9896号公報
【特許文献2】特開2013−68393号公報
【特許文献3】特開2011−43326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、主熱源機の熱交換器の出口側の温度が上昇しない場合、その原因として、水張りが適切に行われていないことや、機器類に故障がある場合等が考えられ、必ずしも配管が誤接続していることを判定することはできない。特許文献2の技術では、流路を2種類設けることで、回路構造が複雑となり、部品点数の増加によるコストの増加、機器の大型化によるスペースの増加という問題が生じる。特許文献3の技術では、ヒートポンプ加熱源に流入する水温がタンク内の温度状態により変化するので、その変化によっては誤接続の判定を誤るおそれがある。また、ヒートポンプ加熱源の加熱運転が安定し、入水温度と出湯温度の関係が安定するまでに時間がかかってしまうという問題もある。
【0005】
本明細書では、配管の誤接続の判定ができる暖房システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する暖房システムは、熱媒を加熱する熱源機と、熱媒からの放熱により暖房する暖房機と、熱媒を流動させる循環ポンプと、熱源機と暖房機と循環ポンプが組み込まれた熱媒経路と、熱媒を加熱するヒートポンプと、熱媒経路からヒートポンプへ熱媒を送るための第1配管と、ヒートポンプから熱媒経路へ熱媒を送るための第2配管と、第1配管からヒートポンプに流入する熱媒の温度を検出する第1温度センサと、ヒートポンプから第2配管に流出する熱媒の温度を検出する第2温度センサを備えている。その暖房システムでは、ヒートポンプの圧縮機を停止させており、循環ポンプを駆動し、かつ熱源機により熱媒を加熱させたときの、第1温度センサで検出される温度と第2温度センサで検出される温度に基づいて、第1配管と第2配管の接続の正誤を判定する。
【0007】
上記の暖房システムでは、配管接続の正誤を、必要最小限度の構造の器具で判断できる。また、温度が安定するまで長時間を要するヒートポンプによる加熱を必要とすることなく、配管接続の正誤を判定するので、判定にかかる時間を短縮することができる。
【0008】
本明細書で開示される暖房システムは、第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも所定温度高くなった場合に、第1配管と第2配管が誤接続されていると判定するように構成してもよい。
【0009】
暖房システムにおいて、ヒートポンプの圧縮機を停止させた状態で、循環ポンプを駆動し、かつ熱源機により熱媒を加熱させると、熱源機により加熱された高温の熱媒が、熱媒経路からヒートポンプへ流入し、その後にヒートポンプから熱媒経路へ流出する。熱媒経路からヒートポンプへ熱源機により加熱された高温の熱媒が流入するまでは、ヒートポンプの内部の熱媒は低温に保たれている。従って、第1配管と第2配管が正しく接続されている場合、熱媒経路からヒートポンプへ熱源機により加熱された高温の熱媒が流入する前は、第1温度センサと第2温度センサはいずれも低温を検出し、熱媒経路からヒートポンプへ高温の熱媒が流入すると、第1温度センサは高温を検出し、第2温度センサは低温を検出し、ヒートポンプから熱媒経路へ高温の熱媒が流出すると、第1温度センサと第2温度センサはいずれも高温を検出する。逆に、第1配管と第2配管が誤って接続されている場合、熱媒経路からヒートポンプへ熱源機により加熱された高温の熱媒が流入する前は、第1温度センサと第2温度センサはいずれも低温を検出し、熱媒経路からヒートポンプへ高温の熱媒が流入すると、第2温度センサは高温を検出し、第1温度センサは低温を検出し、ヒートポンプから熱媒経路へ高温の熱媒が流出すると、第1温度センサと第2温度センサはいずれも高温を検出する。従って、第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも高くなる状態は、第1配管と第2配管が誤って接続されている場合にのみ生じる。上記の暖房システムによれば、配管接続の正誤に起因する第1温度センサと第2温度センサの昇温タイミングの相違に基づいて、配管接続の正誤を正確に判定することができる。
【0010】
あるいは、本明細書で開示される暖房システムは、第2温度センサで検出される温度が判定基準温度を上回っており、かつ第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも高くなった場合に、第1配管と第2配管が誤接続されていると判定するように構成してもよい。
【0011】
暖房システムにおいて、ヒートポンプの圧縮機を停止させた状態で、循環ポンプを駆動し、かつ熱源機により熱媒を加熱させると、熱源機により加熱された高温(判定基準温度を上回る温度)の熱媒が、熱媒経路からヒートポンプへ流入し、その後にヒートポンプから熱媒経路へ流出する。熱媒経路からヒートポンプへ熱源機により加熱された高温の熱媒が流入するまでは、ヒートポンプの内部の熱媒は低温(判定基準温度を下回る温度)に保たれている。従って、第1配管と第2配管が正しく接続されている場合、熱媒経路からヒートポンプへ熱源機により加熱された高温の熱媒が流入する前は、第1温度センサと第2温度センサはいずれも低温を検出し、熱媒経路からヒートポンプへ高温の熱媒が流入すると、第1温度センサは高温を検出し、第2温度センサは低温を検出し、ヒートポンプから熱媒経路へ高温の熱媒が流出すると、第1温度センサと第2温度センサはいずれも高温を検出する。逆に、第1配管と第2配管が誤って接続されている場合、熱媒経路からヒートポンプへ熱源機により加熱された高温の熱媒が流入する前は、第1温度センサと第2温度センサはいずれも低温を検出し、熱媒経路からヒートポンプへ高温の熱媒が流入すると、第2温度センサは高温を検出し、第1温度センサは低温を検出し、ヒートポンプから熱媒経路へ高温の熱媒が流出すると、第1温度センサと第2温度センサはいずれも高温を検出する。従って、第2温度センサで検出される温度が判定基準温度を上回っており、かつ第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも高くなる状態は、第1配管と第2配管が誤って接続されている場合にのみ生じる。上記の暖房システムによれば、配管接続の正誤に起因する第1温度センサと第2温度センサの昇温タイミングの相違に基づいて、配管接続の正誤を正確に判定することができる。
【0012】
上記の暖房システムにおいて、判定基準温度を用いる理由を説明する。暖房システムにおいては、もともと第1配管、第2配管、ヒートポンプ等に滞留していた熱媒の温度に場所によるばらつきがある場合があり、第2温度センサで検出される温度が第1温度センサで検出される温度よりも高くなった場合でも、それはもともとの熱媒の温度に場所によるばらつきがあった可能性を払拭することができない。
【0013】
この可能性を払拭するために、上記の暖房システムでは、判定基準温度を導入する。判定基準温度とは、熱源機により加熱された後の熱媒の温度よりも低い温度であって、熱源機による加熱を行う前の熱媒経路、ヒートポンプ、第1配管および第2配管に残留する熱媒の温度よりも高い温度である。上記の暖房システムによれば、熱媒経路、ヒートポンプ、第1配管および第2配管に残留する熱媒の温度の場所によるばらつきに起因して、配管接続の正誤を誤判定してしまう事態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】配管が正接続の場合の暖房システム10の模式図。
図2】配管が誤接続の場合の暖房システム10の模式図。
図3】配管接続の正誤を判定するための一例を示すフローチャート図。
図4】配管接続の正誤を判定するための別の例を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例)
図面を参照して実施例の暖房システム10を説明する。図1に示すように、暖房システム10は、ガス熱源ユニット20、床暖房端末30、熱媒経路40、ヒートポンプユニット50、第1配管80、第2配管90、第1温度センサ82、第2温度センサ92、制御装置100を備えている。
【0016】
ガス熱源ユニット20は、ガスバーナー22、循環ポンプ24を備えている。ガス熱源ユニット20は、熱媒経路40に組み込まれている。ガス熱源ユニット20は、暖房用水を加熱するために用いられる。本実施例の暖房用水は、例えば水または不凍液である。循環ポンプ24は、熱媒経路40において暖房用水を流動させる。なお、図に示す例では、循環ポンプ24がガスバーナー22よりも上流側の熱媒経路40に設けられているが、循環ポンプ24は熱媒経路40の暖房用水を流動させることができればよく、熱媒経路40のどのような位置に設けられていてもよい。ガスバーナー22は、熱媒経路40を流れる暖房用水を加熱する。
【0017】
床暖房端末30は、熱媒経路40に組み込まれている。床暖房端末30は、ガス熱源ユニット20内のガスバーナー22により温められた暖房用水からの放熱により、室内を暖房する。
【0018】
ヒートポンプユニット50は、冷媒を循環させるための冷媒循環路52と、空気熱交換器(蒸発器)54と、ファン56と、圧縮機62と、二流体熱交換器58と、膨張弁60を備えるヒートポンプサイクルである。
【0019】
空気熱交換器54は、ファン56によって送風された外気と冷媒循環路52内の冷媒との間で熱交換させる。空気熱交換器54には、膨張弁60を通過後の低圧低温の液体状態にある冷媒が供給される。空気熱交換器54は、冷媒と外気とを熱交換させることによって、冷媒を加熱する。冷媒は、加熱されることにより気化し、比較的高温で低圧の気体状態となる。
【0020】
圧縮機62には、空気熱交換器54を通過後の冷媒が供給される。即ち、圧縮機62には、比較的高温で低圧の気体状態の冷媒が供給される。圧縮機62によって冷媒が圧縮されることにより、冷媒は高温高圧の気体状態となる。圧縮機62は、圧縮後の高温高圧の気体状態の冷媒を、二流体熱交換器58に送り出す。
【0021】
二流体熱交換器58には、圧縮機62から送り出された高温高圧の気体状態の冷媒が供給される。二流体熱交換器58は、冷媒循環路52内の冷媒と、暖房用水との間で熱交換を行うことができる。二流体熱交換器58には流入口58aから暖房用水が流入し、二流体熱交換器58を通過した暖房用水は流出口58bから流出する。冷媒は、二流体熱交換器58での暖房用水との間での熱交換の結果、熱を奪われて凝縮する。これにより、冷媒は、比較的低温で高圧の液体状態となる。
【0022】
膨張弁60には、二流体熱交換器58を通過後の比較的低温で高圧の液体状態の冷媒が供給される。冷媒は、膨張弁60を通過することによって減圧され、低温低圧の液体状態となる。膨張弁60を通過した冷媒は、上記の通り、空気熱交換器54に送られる。
【0023】
ヒートポンプユニット50において、ファン56と圧縮機62を作動させると、冷媒循環路52内の冷媒は、空気熱交換器54、圧縮機62、二流体熱交換器58、膨張弁60の順に循環する。
【0024】
第1配管80は、一方の端部80aが熱媒経路40の下流端40aに接続されており、他方の端部80bがヒートポンプユニット50の流入口58aに接続されている。すなわち、第1配管80は、熱媒経路40からヒートポンプユニット50へ暖房用水を送る。
【0025】
第2配管90は、一方の端部90aがヒートポンプユニット50の流出口58bに接続されており、他方の端部90bが熱媒経路40の上流端40bに接続されている。すなわち、第2配管90は、ヒートポンプユニット50から熱媒経路40へ暖房用水を送る。
【0026】
第1温度センサ82は、ヒートポンプユニット50の流入口58aの近傍に配置されている。第1温度センサ82は、第1配管80からヒートポンプユニット50へ流入する暖房用水の温度を検出する。
【0027】
第2温度センサ92は、ヒートポンプユニット50の流出口58bの近傍に配置されている。第2温度センサ92は、ヒートポンプユニット50から第2配管90へ流出する暖房用水の温度を検出する。
【0028】
制御装置100は、ヒートポンプユニット50、ガス熱源ユニット20、床暖房端末30の各構成要素の動作を制御する。
【0029】
暖房システム10では、以下に説明するように、暖房運転を行うことができる。
【0030】
(暖房運転)
暖房運転は、ヒートポンプユニット50によって暖房用水を加熱し、高温となった暖房用水を用いて床暖房端末30によって暖房する運転である。利用者によって暖房運転の実行が指示されると、制御装置100は、循環ポンプ24を駆動する。さらに、制御装置100は、圧縮機62およびファン56を駆動する。これによって、二流体熱交換器58で加熱された暖房用水が、第2配管90、熱媒経路40を経て、床暖房端末30に供給される。床暖房端末30で放熱した暖房用水は、熱媒経路40、第1配管80を経て、二流体熱交換器58へ戻される。さらに、制御装置100は、必要に応じてガスバーナー22を作動して、暖房用水をさらに加熱する。これにより、床暖房端末30には、ガスバーナー22での加熱によってさらに高温となった暖房用水が供給される。
【0031】
(暖房システム10の試運転)
暖房システム10を家屋へ設置する際には、ヒートポンプユニット50およびガス熱源ユニット20を家屋のレイアウトに応じた適切な設置場所へ据え付けた後、ユニット間の配管を接続し、各ユニットへの電力供給線の接続と、ガス熱源ユニット20へのガス供給線の接続を行う。そして、以下に説明するような、暖房試運転等の準備運転を行って、異常がないことが確認されると、利用者は暖房システム10を通常通りに使用することができる。以下では、図3を用いて暖房システム10で実施する暖房試運転について説明する。
【0032】
(暖房試運転)
暖房試運転を開始すると、ステップS10において、制御装置100は、ガスバーナー22を燃焼させ、循環ポンプ24を駆動する。これによって、暖房用水は、熱媒経路40、第1配管80、ヒートポンプユニット50、第2配管90を循環するようになる。なお、暖房試運転においては、制御装置100は、ヒートポンプユニット50内の圧縮機62を停止させたままにする。圧縮機62は停止しているので、ヒートポンプユニット50内で冷媒は循環しない。
【0033】
ステップS12において、制御装置100は、第1温度センサ82で検出される温度(以下では「暖房入水温度」ともいう)が、第2温度センサ92で検出される温度(以下では「暖房出湯温度」)よりも所定温度(例えば5℃)高くなったか否かを判断する。
【0034】
ステップS12において、制御装置100が、暖房入水温度が、暖房出湯温度よりも所定温度高くなったと判定した場合(YESの場合)、処理はステップS14に進む。ステップS14において、制御装置100は、配管が正接続されていると判定する。すなわち、制御装置100は、第1配管80と第2配管90は図1のように適切な関係で接続されていると判定する。図1のように第1配管80と第2配管90が接続されている場合、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水は、まず流入口58aを通過し、その後に二流体熱交換器58を通過し、その後に流出口58bを通過する。そのため、図1のように配管が正接続の場合であれば、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水が流入口58aを通過するタイミングで、暖房入水温度が暖房出湯温度よりも所定温度以上高くなると考えられる。このような理由から、ステップS14に進んだ場合、制御装置100は、配管が正接続されていると判定する。
【0035】
暖房試運転開始前の暖房用水の温度の場所によるばらつきにより、配管が正接続されていなくても、暖房入水温度が暖房出湯温度をわずかに上回ることがあり得る。そこで、本実施例では、暖房入水温度が暖房出湯温度よりも所定温度高くなった場合に、制御装置100は配管が正接続されているものと判断する。このような構成とすることによって、暖房用水の温度の場所によるばらつきに起因する配管接続の正誤の誤判定を防ぐことができる。
【0036】
ステップS12において、制御装置100が、暖房入水温度が、暖房出湯温度よりも所定温度高くなっていないと判定した場合(NOの場合)、処理はステップS16に進む。ステップS16において、制御装置100は、暖房出湯温度が暖房入水温度より所定温度(例えば5℃)高くなったか否かを判定する。
【0037】
ステップS16において、制御装置100が、暖房出湯温度が、暖房入水温度より所定温度高くなったと判定した場合、処理はステップS18に進む。ステップS18において、制御装置100は、配管が誤接続されていると判定する。すなわち、制御装置100は、第1配管80と第2配管90は図2のように誤った関係で接続されていると判定する。図2のように第1配管80と第2配管90が接続されている場合、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水は、まず流出口58bを通過し、その後に二流体熱交換器58を通過し、その後に流入口58aを通過する。そのため、図2のように配管が誤接続の場合であれば、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水が流出口58bを通過するタイミングで、暖房出湯温度が暖房入水温度よりも所定温度以上高くなると考えられる。このような理由から、ステップS18に進んだ場合、制御装置100は、配管が誤接続されていると判定する。
【0038】
(第2実施例)
本実施例の暖房システム10は、図1に示す第1実施例1の暖房システム10と同様の構成を備えており、暖房試運転の態様のみが異なっている。以下では、図4を用いて、本実施例の暖房システム10で実施する暖房試運転について説明する。
【0039】
暖房試運転を開始すると、ステップS20において、制御装置100は、ガスバーナー22を燃焼させ、循環ポンプ24を駆動する。これによって、暖房用水は、熱媒経路40、第1配管80、ヒートポンプユニット50、第2配管90を循環するようになる。なお、暖房試運転においては、制御装置100は、ヒートポンプユニット50内の圧縮機62を停止させたままにする。圧縮機62は停止しているので、ヒートポンプユニット50内で冷媒は循環しない。
【0040】
次に、ステップS22において、制御装置100は、暖房入水温度が判定基準温度以上であって、かつ暖房入水温度が暖房出湯温度よりも高くなったか否かを判定する。なお、ここでいう判定基準温度は、例えばガスバーナー22による加熱後の暖房用水の温度として設定された目標加熱温度(例えば60℃)から所定温度(例えば10℃)を減算した温度に設定される。判定基準温度として目標加熱温度そのものではなく、目標加熱温度から所定温度を減算した温度を用いるのは、ガスバーナー22からヒートポンプユニット50まで暖房用水が流れる間の放熱を考慮してのものである。
【0041】
ステップS22において、暖房入水温度が判定基準温度以上であって、かつ暖房入水温度が暖房出湯温度よりも高くなった場合(YESの場合)、処理はステップS24に進む。ステップS24において、制御装置100は、配管が正接続であると判定する。
【0042】
配管が正接続である場合、すなわち図1のように第1配管80と第2配管90が接続されている場合、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水は、まず流入口58aを通過し、その後に二流体熱交換器58を通過し、その後に流出口58bを通過する。そのため、図1のように配管が正接続の場合であれば、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水が流入口58aを通過するタイミングで、暖房入水温度が判定基準温度以上となり、あわせて暖房入水温度が暖房出湯温度よりも高くなる。このような理由から、ステップS24に進んだ場合、制御装置100は、配管が正接続されていると判定する。
【0043】
ステップS22において、暖房入水温度が判定基準温度に満たない場合、あるいは暖房入水温度が暖房出湯温度以下の場合(NOの場合)、処理はステップS26に進む。ステップS26において、制御装置100は、暖房出湯温度が判定基準温度以上であって、かつ暖房出湯温度が暖房入水温度よりも高くなったか否かを判定する。
【0044】
ステップS26において、暖房出湯温度が判定基準温度以上であって、かつ暖房出湯温度が暖房入水温度よりも高くなった場合(YESの場合)、処理はステップS28に進む。ステップS28において、制御装置100は、配管が誤接続であると判定する。
【0045】
配管が誤接続である場合、すなわち図2のように第1配管80と第2配管90が接続されている場合、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水は、まず流出口58bを通過し、その後に二流体熱交換器58を通過し、その後に流入口58aを通過する。そのため、図2のように配管が誤接続の場合であれば、ガスバーナー22で加熱された高温の暖房用水が流出口58bを通過するタイミングで、暖房出湯温度が判定基準温度以上となり、あわせて暖房出湯温度が暖房入水温度よりも高くなる。このような理由から、ステップS28に進んだ場合、制御装置100は、配管が誤接続されていると判定する。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
10 暖房システム;20 ガス熱源ユニット;22 ガスバーナー;24 循環ポンプ;30 床暖房端末;40 熱媒経路;40a :下流端;40b :上流端;50 ヒートポンプユニット;52 冷媒循環路;54 空気熱交換器;56 ファン;58 二流体熱交換器;58a :流入口;58b :流出口;60 膨張弁;62 圧縮機;80 第1配管;80a :端部;80b :端部;82 第1温度センサ;90 第2配管;90a :端部;90b :端部;92 第2温度センサ;100 制御装置
図1
図2
図3
図4