特許第6387336号(P6387336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6387336心不全を検出し、治療する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387336
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】心不全を検出し、治療する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20180827BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61B10/00 KZDM
   A61B5/08
【請求項の数】35
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-236266(P2015-236266)
(22)【出願日】2015年12月3日
(62)【分割の表示】特願2013-262043(P2013-262043)の分割
【原出願日】2009年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-73674(P2016-73674A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/083,596
(32)【優先日】2008年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/483,357
(32)【優先日】2009年6月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ヘンリー・シンドハイム
(72)【発明者】
【氏名】イアン・ウィルコックス
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル・アン・コクソン
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/064682(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/037355(WO,A1)
【文献】 特開2008−099849(JP,A)
【文献】 特開2002−058659(JP,A)
【文献】 特開2000−083927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサにおいて患者の心不全症状を評価する方法において、
生体運動センサからの患者の症状を表すデータにアクセスするステップと、
呼吸治療装置によって患者に送達される治療圧の程度を表すデータにアクセスするステップと、
前記生体運動センサのデータから呼吸パラメータを決定するステップと、
前記呼吸パラメータ及び前記治療圧の程度に基づいて、心不全症状変化指標を決定するステップであって、前記指標は、前記患者の心不全症状の変化についての情報を表している、ステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記心不全症状変化指標の前記決定は、前記治療圧の程度と第一閾値とを比較することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一閾値は、急性代償障害の発現を表す前記治療圧の程度の変化を代表することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記治療圧の程度の前記変化は、増加又は増加の傾向であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記心不全症状変化指標の前記決定は、前記呼吸パラメータと第二閾値とを比較するステップを含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二閾値は、急性代償障害の発現を表す前記呼吸パラメータの変化を代表することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記心不全症状変化指標の前記決定は、複数の治療セッションにわたって前記呼吸パラメータ及び前記治療圧の程度のパターンの変化を比較するステップを含んでいることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記呼吸パラメータは、無呼吸または無呼吸−呼吸低下指数であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記心不全症状変化指標を決定するステップは、共通の時間間隔における前記治療圧の程度の割合の増加および無呼吸または無呼吸−呼吸低下指数の総数の増加を検出する閾値比較を含んでいることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記心不全症状変化指標に基づいて、警告を生成するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記警告は、励起信号を含んでいることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記警告は、メッセージを含んでいることを特徴とする請求項9または11に記載の方法。
【請求項13】
前記心不全症状指標の決定の結果を表すデータを含む電子メッセージを伝送するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記治療の程度は、ピーク呼気圧、呼気終末圧、メジアン圧力、95パーセンタイル圧力、および圧力補助のレベルのうちの1つであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記心不全症状変化指標を決定するステップは、
測定された心拍変動の大きさ、
交感神経迷走神経バランスの程度、
前記患者の血液内の気体の程度、
酸素濃度の程度、および
指尖光電脈波から導かれた程度
からなる群のうちの1つにさらに基づいていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記生体運動センサは、非接触センサを備えていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記生体運動センサは、高周波エネルギーのパルスで運動を検出するセンサを備えていることを特徴とする請求項16に記載の方法
【請求項18】
患者を監視し、患者の心不全症状を評価する装置であって、
患者を監視し且つ患者の症状を代表するデータを生成するように構成された生体運動センサと、
前記生体運動センサに連結されたプロセッサであって、前記プロセッサは、
前記生体運動センサのデータから呼吸パラメータを決定し、
前記呼吸パラメータ及び患者へ送達される呼吸可能な気体の流れに関連する治療圧の程度に基づく心不全症状変化指標の決定を制御するように構成されており、前記指標は、前記患者の心不全症状の変化についての情報を表している、プロセッサと、
を備えていることを特徴とする置。
【請求項19】
前記心不全症状変化指標の前記決定は、前記治療圧の程度と第一閾値との比較を含んでいることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第一閾値は、急性代償障害の発現を表す前記治療圧の程度の変化を代表することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記治療圧の程度の前記変化は、増加又は増加の傾向であることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記呼吸パラメータと第二閾値とを比較して、前記心不全症状変化指標を決定するように構成されていることを特徴とする請求項18〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記第二閾値は、急性代償障害の発現を表す前記呼吸パラメータの変化を代表することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記呼吸パラメータは、無呼吸または無呼吸−呼吸低下指数であることを特徴とする請求項18〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記心不全症状変化指標の前記決定は、共通の時間間隔における前記治療圧の程度の割合の増加および無呼吸または無呼吸−呼吸低下指数の総数の増加を検出する閾値比較を含んでいることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記プロセッサは、前記心不全症状変化指標に基づいて、警告を発するようになっていることを特徴とする請求項18〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記警告は、光信号を含んでいることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記警告は、伝送される電子メッセージを含んでいることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記プロセッサに連結された送受信機をさらに備え、前記プロセッサは、前記心不全症状変化指標を表すデータを含むメッセージの伝送を制御するように、さらに構成されていることを特徴とする請求項18〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
患者インターフェイスと、
前記プロセッサおよび前記患者インターフェイスに連結された流れ発生装置とをさらに備え、
前記プロセッサは、大気圧を超える圧力で前記患者インターフェイスに向けての前記流れ発生装置による呼吸可能な気体の流れの生成を制御するように、構成されていることを特徴とする請求項18〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記プロセッサは、前記心不全症状変化指標に応じて、前記呼吸可能な気体の流れの圧力の変化を制御するように構成されていることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記治療圧の程度は、ピーク呼気圧、呼気終末圧、メジアン圧力、95パーセンタイルの圧力、および圧力補助のレベルのうちの1つであることを特徴とする請求項18〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記プロセッサは、
測定された心拍変動の大きさ、
交感神経迷走神経バランスの程度、
前記患者の血液内の気体の程度、
酸素濃度の程度、および
指尖光電脈波から導かれた程度
からなる群のうちの1つに基づいて前記心不全症状変化指標を決定するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項18〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記生体運動センサは、非接触センサを備えていることを特徴とする請求項18〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記生体運動センサは、高周波エネルギーのパルスで運動を検出するセンサを備えていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年6月12日に出願された米国特許出願第12/483,357号
および2008年7月25日に出願された米国仮特許出願第61/083,596号の出
願日の利得を主張するものであり、これらの開示内容は、参照することによってここに含
まれるものとする。
【0002】
[発明の分野]
本技術は、心不全の症状を検出し、治療する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
心不全またはうっ血性心不全(CHF)は、略500万のアメリカ人に影響を及ぼして
いる。CHFは、メドライン百科事典によれば、心臓が人体の要求を満たすのに十分な血
液をもはや送り出すことができない人命に関わる症状として特徴付けられている。心不全
は、突然に進展することもあるが、殆どの場合、慢性の長期的な疾患である。この疾患は
、心臓の右側、左側、または両側を冒すことがある。心臓のポンプ作用が失われると、血
液が、人体の他の領域、例えば、
肝臓、
胃腸菅および四肢(右側心不全の場合)、および
肺(左側心不全の場合)
内に逆流することがある。
【0004】
心不全を患うと、多くの器官が、十分な酸素および栄養を受けられなくなる。これによ
って、器官が損なわれ、適切に機能する器官の能力が低下することになる。心臓の両側が
疾患したとき、人体の殆どの領域が悪影響を受ける可能性がある。
【0005】
心不全の一般的な原因は、緊張亢進(すなわち、高血圧)である。心不全の他の一般的
な原因は、冠動脈疾患(例えば、心臓発作)である。心不全の他の構造的または機能的原
因として、
心臓弁膜症、
うっ血性心臓病、
拡張型心筋症、
肺疾患、および
心臓腫瘍
が挙げられる。
【0006】
心不全は、年を経るにつれて、起こることが多くなる。心不全を発症させる危険因子と
して、肥満、糖尿病、喫煙、酒の乱用、またはコカインの使用が挙げられる。
【0007】
患者の心不全の症状を診断するのに役に立つ装置が知られている。例えば、撮像ツール
が用いられることがある。これに関して、心不全の臨床診断を支援するのに、心エコー検
査が一般的に用いられている。この解析は、超音波を用いて、一回拍出量(SV)を測定
するようになっている。一回拍出量は、脈拍ごとに心室を出る心臓内の血液の量である。
この解析は、拡張末期容量(EV)または拡張末期の血液の全量を測定するようになって
いてもよい。この解析は、EVに対するSVの比率を決定するのに用いられてもよい。こ
の比率は、駆出率(EF)として知られている値である。小児科では、左室収縮力は、収
縮機能の好ましい尺度である。通常、EFは、50%から70%の間にあるべきである。
しかし、収縮性心不全では、EVは、典型的には、40%未満に低下する。また、心エコ
ー検査は、心臓弁膜症を識別し、心膜(すなわち、心臓を包囲する結合組織嚢)の状態を
評価するのに、用いられてもよい。心エコー検査は、どのような治療、例えば、投薬、植
込み型除細動器の挿入、または心臓再同期療法が患者の助けになるかを決定するのにも有
用である。
【0008】
胸部X線は、CHFを診断するために頻繁に用いられている他のツールである。代償性
患者の場合、この胸部X線によって、心胸郭比(胸郭に対する心臓の大きさの比率)とし
て表わされる心臓肥大(心臓の際立った拡大)が見られることがある。左心室不全の場合
には、血管再分配(「上葉血液迂回」または「上部の血管が太く見える現象(cephalizat
ion)」)、カーリー線、気管支の周囲の領域への細胞浸潤、および間質浮腫の兆候が見
られることがある。
【0009】
不整脈、虚血性心臓疾患、左右心室肥大、および伝導遅延または異常(例えば、心臓左
脚ブロック)の存在を識別するのに、心電図(ECC/EKG)が用いられてもよい。こ
れらの結果は、心臓疾患の診断を行うときに、評価されるとよい。
【0010】
上記の疾患を診断するのに、血液検査が用いられてもよい。例えば、電解質(ナトリウ
ム、カリウム)の測定値、腎臓機能試験、肝臓機能試験、および甲状腺機能試験の測定値
、全血球計算値、および(感染症の可能性のある場合に現れることが多い)C反応性タン
パクが、患者の症状を診断するのに用いられてもよい。心不全用の1つの特定の試験によ
って、B式ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のレベルが測定されてもよい。高レベルの
BNPは、心不全の存在を示唆することになる。BNPレベルは、呼吸困難を起こす他の
疾患から、呼吸困難の原因としての心不全を区別することができる。もし心筋梗塞の可能
性がある場合、心不全の診断に心臓マーカーが用いられてもよい。
【0011】
患者の心不全症状は、冠動脈疾患の結果として発現することがある。このような心不全
症状は、心筋に血液をもたらす冠動脈の能力に左右されることになる。この場合、冠動脈
へのカテーテル処置が、経皮的冠動脈介入またはバイパス手術による血行再建術を行うか
どうかの可能性を識別するのに有用である。
【0012】
患者の心不全症状の進展を評価するのに、種々の措置を取ることができる。体液バラン
ス、すなわち、体液の吸入/排出の計算は、患者の症状を監視するのに有用である。同様
に、体液移動を反映する体重の変化が検討されてもよい。
【0013】
心不全の診断には、究極的な判断基準は、存在していない。フラミンガム心臓病研究か
ら導かれたフラミンガム基準、ボストン基準、デューク基準、およびキリップ分類が、患
者の心不全を評価する上で一般的に考慮されている体系である。
【0014】
心不全の機能的な分類は、ニューヨーク心臓協会による機能性分類(NYHAFC)に
て定義された分類により、検討されてもよい。この分類システムによる格付けは、症候の
重症度を等級化したもので、治療に対する患者の反応性を評価するのに用いることができ
る。このNYHAFCの格付けは、一般的に用いられているが、確実に再現されないこと
がある。
【0015】
NYHAFCシステムの分類(I〜IV)は、
【0016】
クラスI:どのような身体活動にも制限がない。日常的な身体活動から症候を窺うこと
ができない。
【0017】
クラスII:身体活動に軽度から中程度の制限がある。患者は、安静時または中程度の
運動では、寛ぐことができる。
【0018】
クラスIII:どのような身体活動も著しく制限される。患者は、安静時にのみ、寛ぐ
ことができる。
【0019】
クラスIV:どのような身体的な活動も不快感をもたらし、安静時においても症候が生
じる。
【0020】
米国心臓病学会/米国心臓協会の分科会は、2001年のガイドラインにおいて、心不
全の4つの進行度を導入している。
【0021】
進行度A:この先、HFが発症する危険性は高いが、構造的な心臓障害は認められない
【0022】
進行度B:構造的な心臓障害は認められるが、いかなる段階においても、症候が認めら
れない。
【0023】
進行度C:潜在している構造的な心臓障害との関連において、心不全の既往症候または
現症候が認められるが、医学的な治療によって対処されている。
【0024】
進行度D:病院の支援、心臓移植、または苦痛緩和医療を必要とする進行性疾患状態に
ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
当技術分野において、心不全の症状に対処する改良された技術および装置が必要とされ
ていることは、明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本技術のいくつかの例示的実施形態の態様は、うっ血性心不全の存在またはうっ血性心
不全の症状の変化(例えば、悪化)を検出するシステムに関連している。一形態では、本
技術は、患者の呼吸パラメータを決定し、かつ監視する装置を含んでいる。例えば、この
装置は、患者の無呼吸および/または呼吸低下のパターンの変化、および/またはチェー
ン・ストークス呼吸の変化を監視するようになっている。この装置は、無呼吸、呼吸低下
、および/またはチェーン・ストークス呼吸の数および/または期間の増大によって、患
者の症状の変化または悪化を決定することが可能である。
【0027】
本技術のいくつかの実施形態における方法は、患者の呼吸空気流を測定し、次いで、こ
の呼吸空気流に基づいて、心不全症状変化指標を決定することによって、患者の心不全症
状を評価することを含んでいる。この指標は、患者の心不全症状についての情報を表して
いる。
【0028】
本技術のいくつかの実施形態におけるシステムは、患者を監視し、患者の心不全症状を
評価するようになっている。典型的なシステムは、患者インターフェイス、およびこの患
者インターフェイスに連結された流量センサを備えているとよい。流量センサは、患者イ
ンターフェイスからの患者の呼吸空気流を代表する呼吸空気流信号を生成するようになっ
ている。システムのプロセッサは、呼吸空気流信号からのデータに基づく心不全症状指標
の決定を制御するように、構成されている。
【0029】
本技術のさらに他の実施形態における装置または器具一式は、患者を監視し、患者の心
不全症状を評価するようになっている。この器具または装置は、センサが連結された患者
呼吸インターフェイスを備えているとよい。このセンサは、患者の呼吸空気流を代表する
信号を生成するようになっている。プロセッサが、この流量センサと連動するようになっ
ているとよい。このプロセッサは、呼吸空気流信号に基づく心不全症状指標の決定を制御
するようになっている。
【0030】
1つまたは複数の前述の実施形態では、本技術の患者/ユーザおよび/または患者を治
療する医師に知らせる警告信号、警告灯、または警告メッセージが生成されるようになっ
ているとよい。これらの実施形態の警告信号、警告灯、または警告メッセージは、生成さ
れ、次いで、患者の心不全症状の遠隔監視および遠隔通知を可能にするために、装置間に
伝送されるようになっているとよい。警告信号、警告灯、および/または警告メッセージ
は、典型的には、心不全症状指標が評価されたときに、発せられるようになっている。
【0031】
本技術のいくつかの実施形態は、呼吸圧力治療中に患者の心不全症状を評価する方法を
含んでいる。この方法は、センサによって、呼吸治療装置にて送達された治療圧の程度を
測定することを含んでいるとよい。この方法は、プロセッサによって、圧力の程度に基づ
く心不全症状変化指標を決定することをさらに含んでいるとよい。この方法は、センサに
よって、患者の呼吸の程度を測定することをさらに含んでいるとよく、心不全症状変化指
標の決定は、この呼吸の程度にさらに基づいているとよい。指標の決定は、任意選択的に
、共通の時間間隔における圧力の程度の割合の増加および無呼吸またはAHIの総数の増
加を検出する閾値比較を含んでいるとよい。いくつかの実施形態では、この方法は、1つ
または複数の決定された指標に応じて、呼吸治療装置の圧力療法の変化を制御することを
含んでいてもよい。この制御の変化は、任意選択的に、目標換気を満たすように、換気補
助の制御を開始することを含んでいてもよい。
【0032】
同様に、いくつかの実施形態は、呼吸圧力治療中、患者の心不全症状を評価する器具一
式を含んでいてもよい。この器具一式は、呼吸治療装置によって送達された治療圧の程度
を測定するセンサを備えているとよい。この器具一式のプロセッサは、圧力の程度に基づ
いて心不全症状変化指標を決定するようになっているとよい。プロセッサは、センサから
のデータによって、患者の呼吸の程度を決定し、これによって、プロセッサは、呼吸の程
度に基づいて心不全症状変化指標を決定することができるように、構成されていてもよい
。任意選択的に、プロセッサは、共通の時間間隔における圧力の程度の割合の増加および
無呼吸またはAHIの総数の増加を検出する閾値比較を行うようになっているとよい。い
くつかの実施形態では、この器具一式は、プロセッサに連結された流れ発生装置を備えて
いるとよく、プロセッサは、決定された指標に応じて呼吸治療装置の圧力療法の変化を制
御するように、構成されているとよい。このような変化は、目標換気を満たすように、換
気補助の制御を開始するようになっているとよい。
【0033】
前述の例示的実施形態の種々の態様は、さらに他の実施形態を実現するために、いくつ
かの他の例示的実施形態の態様と組み合わされてもよい
【0034】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明に含まれる情報を検討することによって、明ら
かになるだろう。
【0035】
本技術は、単なる例示であって、制限するものではないが、添付の図面の各図に示され
ている。なお、図面では、同様の参照番号は、同様の要素を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】心不全症状指標をもたらす監視装置の例示的な構成部品を示す図である。
図2】心不全患者の症状を検出するための心不全症状指標をもたらす装置の例示的な手順を示す図である。
図3】圧力療法を患者にもたらす付加的な構成部品を有するさらに他の監視装置を示す図である。
図4】本技術の心不全症状指標を含んでいる装置によって治療を行うための例示的な診断フローチャートである。
図5】心不全患者の症状を検出するための心不全症状指標をもたらす装置の他の例示的な手順を示す図である。
図6】本技術の例示的な心不全症状指標に基づく例示的な警告メッセージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本技術は、心不全またはうっ血性心不全の危険またはこれらの疾患の症状が変化する危
険のある患者を治療する方法および装置を含んでいる。例えば、心不全患者の内には、う
っ血性心不全悪化を来している患者もいる。うっ血性心不全悪化は、代償障害性心不全(
DHF)としても知られている。典型的には、急性代償障害は、結果的に、肺水腫を引き
起こすことがある。この症状の治療は、通常、患者の入院が必要とされている。しかし、
もし急性代償障害の可能性が、十分早期に、例えば、肺水瘍の発病の最も初期の段階にお
いて発見されたなら、入院を必要としない方法によって、この症状を治療する可能性があ
る。本技術の装置による心不全症状指標は、うっ血性心不全のこのような変化を検出し、
患者の心不全症状に関して医学的な介入を必要とする可能性を患者または医療提供者に知
らせる基礎をなすものである。
【0038】
本技術の1つまたは複数の心不全症状指標をもたらす装置の一実施形態が、図1に示さ
れている。この実施形態では、心不全検出装置100が、(図1では「HFCI」で表わ
されている)心不全症状変化指標をもたらすようになっている。心不全検出装置100は
、典型的には、患者呼吸インターフェイス102、制御装置104、および流量センサ1
06を備えている。患者呼吸インターフェイスは、典型的には、カニューレ108および
/または検知チューブ110を備え、患者の口および/または患者の鼻孔を介して、患者
の呼吸系からの空気流を受け、および/または検知するようになっている。代替的に、患
者呼吸インターフェイスは、鼻マスク、鼻/口マスク、フルフェイスマスク、または鼻枕
によって、具現化されていてもよい。
【0039】
流量センサ106は、患者呼吸インターフェイスに連結されていてもよい。この流量セ
ンサは、患者の呼吸流量を代表する信号を生成するものである。例えば、鼻カニューレ1
08または検知チューブ110に最も近い流れが、呼吸気流計および差圧変換器または一
束のチューブまたはダクトを用いる装置のような同様の装置を用いて測定され、流量信号
f(t)を得るようになっているとよい。代替的に、圧力センサが、流量センサとして用
いられ、圧力の変化に基づいて、流量信号が生成されるようになっていてもよい。流量セ
ンサ106は、制御装置104のハウジング内に位置しているように図示されているが、
任意選択的に、患者のより近くに、例えば、鼻カニューレ108内または検知チューブ1
10内に配置されていてもよい。呼吸流量信号を生成するための他の装置が、用いられて
もよい。
【0040】
任意選択的に、心不全検出装置100は、付加的な診断センサ112を備えていてもよ
い。例えば、この装置は、酸素濃度計を備えていてもよい。酸素濃度計は、患者の血液酸
素レベルを代表する信号を生成するようになっているとよい。酸素濃度計または監視装置
の適切な例は、任意選択的に、国際特許出願PCT/AU2005/001543(公開
番号:WO2006/037184)または国際特許出願PCT/AU1996/000
218(公開番号:WO1996/032055)に開示されている装置のいずれであっ
てもよい。なお、これらの開示内容は、相互参照することによって、ここに含まれるもの
とする。これらの国際特許出願に開示されているように、この監視装置は、患者の脈拍お
よび/または血圧を測定するための血圧および/または脈拍監視装置を任意選択的にもた
らすこともできる診断センサとして機能することが可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、診断センサは、ECG監視装置、例えば、BiancaMed社から
市販されている「LifeScreen Apnea」監視装置を含んでいてもよい。このような装置は、
心臓に関連する特性(例えば、ECG信号)を検出し、患者からのECG信号を分析する
ことによって、患者が有している呼吸パラメータ(例えば、中枢性無呼吸または閉塞性無
呼吸、呼吸低下、など)および他のパラメータ(例えば、不整脈)を決定するように、構
成されているとよい。任意選択的に、これらのパラメータは、制御装置104に伝送され
たECGデータに基づいて、制御装置104の分析アルゴリズムによって決定されてもよ
いし、または監視装置によって決定され、次いで、制御装置に伝達されるようになってい
てもよい。
【0042】
さらに他の実施形態では、追加的または代替的に、診断センサは、非接触検出によって
閉塞性無呼吸または中枢性無呼吸を検出する超音波スクリーン式センサを含んでいてもよ
い。例えば、このセンサ、すなわち、超音波センサを用いることによって、音波を監視し
、センサによって測定された信号から、閉塞性無呼吸または中枢性無呼吸、呼吸低下、お
よび他の呼吸パラメータを検出するようになっているとよい。このような非接触に基づく
測定値は、ここにさらに詳細に述べるような患者の症状を監視するために、用いられると
よい。従って、これらのセンサからのデータは、制御装置104に伝送され、この制御装
置によって用いられ、かつ解析されるようになっているとよい。このようなセンサは、接
触式センサを用いることなく、または(このようなセンサを用いない場合に、患者の空気
流をより直接的に測定する流量センサと共に用いられる)マスクまたはカニューレを用い
ることなく、本技術の心不全症状検出装置内に組み込まれていてもよい。従って、この実
施形態では、診断検出のための患者の介入は、必要ではない。
【0043】
いくつかの実施形態では、診断センサは、運動センサを含んでいてもよい。例えば、患
者の呼吸を表す運動信号を生成させるために、胸骨頚切痕センサまたはチェストバンドが
用いられてもよい。他の適切なセンサの例として、国際特許出願PCT/AU1998/
000358(公開番号:WO1998/052467)に開示されている運動検出装置
が挙げられる。この開示内容は、相互参照することによって、ここに含まれるものとする
。運動センサは、患者の呼吸の程度をもたらすものであればよく、前述したような呼吸パ
ラメータを決定するとき、流量センサの代替装置として用いられてもよいし、または他の
流量センサと併せて用いられてもよい。
【0044】
センサからの信号は、制御装置104に送信されるとよい。センサから供給される信号
がデジタルの形態になく、制御装置がデジタル式の制御装置である場合、任意選択的なア
ナログ/デジタル(A/D)変換器/サンプラー(これは、単独の装置として、図示され
ていない)が利用されてもよい。1つまたは複数のセンサからの信号に基づいて、制御装
置は、1つまたは複数の心不全症状指標HFCIによって、患者の変化している心不全症
状を評価することになる。
【0045】
制御装置は、任意選択的に、1つまたは複数の警告ランプ(例えば、1つまたは複数の
発光ダイオード)のような表示装置116を備えているとよい。この表示装置は、LCD
のような表示スクリーンとして具現化されていてもよい。表示装置116の起動は、典型
的には、心不全検出装置100によって得られた特定の心不全症状変化指標の評価に基づ
いて、制御装置により設定されるようになっている。表示装置は、情報を心不全検出装置
100のユーザ、臨床医、または医師に視覚的に示すように、なっているとよい。また、
表示装置116は、心不全検出装置100を操作するための図式的なユーザインタフェイ
スも表示するようになっているとよい。ユーザ、臨床医、または医師による心不全検出装
置100の操作の制御は、制御装置またはプロセッサによって感知される入力スイッチ1
18の操作に基づいているとよい。
【0046】
任意選択的に、制御装置は、心不全検出装置100によるデータまたはメッセージを受
信および/または送信する通信装置120も備えているとよい。例えば、この通信装置は
、「Bluetooth(登録商標)」送受信機または「WIFI」送受信機のような無線送受信機で
あるとよい。
また、この通信装置は、電話回線モデムおよび/またはネットワークカードのようなネッ
トワーク通信装置であってもよく、インターネットを介して、直接的にまたは心不全検出
装置が結合され得るコンピュータを通して、メッセージを送信するように、用いられても
よい。一般的に、通信装置120は、警告またはメッセージを、臨床医または医師が評価
するのに用いられる装置122(例えば、医師が心不全検出装置100のような遠隔患者
データ記録装置からのデータを精査することを可能にする多患者監視システム)に伝送す
るのに、用いられるとよい。これらのシステムでは、患者監視データを記録するためのデ
ータベースが設けられている。臨床医または医師は、報告、または患者がより綿密な観察
を必要としていることを示す警告、または入院させるべきであることを示す警告を受信す
ることが可能である。
【0047】
制御装置104は、典型的には、プロセッサ114も備えているとよい。プロセッサ1
14は、特定の制御手順、例えば、ここにさらに詳細に述べるアルゴリズムを実行するよ
うに、構成されている。従って、制御装置は、集積チップ、メモリ、および/または他の
制御命令、データ、または情報を記憶する他の媒体を備えているとよい。例えば、このよ
うな制御手順を含むプログラム化された命令が、装置のメモリ内の集積チップにコード化
されているとよい。このような命令は、付加的または代替的に、適切なデータ記憶媒体を
用いて、ソフトウエアまたはファームウエアとして取り込まれていてもよい。このような
制御装置またはプロセッサを有する本装置を用いて、センサからのデータに基づいて、患
者の症状と関連する多くの異なるパラメータを決定かつ解析することができる。すなわち
、プロセッサは、心不全症状指標HFCI、またはここにさらに詳細に説明する実施形態
に記載される心不全症状変化指標の評価を制御することが可能である。
【0048】
心不全検出装置100の制御装置104の手順またはアルゴリズムの一例が、図2のフ
ローチャートに示されている。一般的に、心不全検出装置100は、前述したような少な
くとも1つの流量センサまたは呼吸に関連する特性を導き出す装置によって、呼吸に関連
する特性、例えば、患者の呼吸空気流を監視することが可能となっている。例えば、ステ
ップ200では、患者の呼吸空気流が測定され、その測定値が制御装置のプロセッサに送
られるようになっている。
【0049】
次いで、ステップ202では、制御装置104に組み込まれている解析アルゴリズムに
基づき、心不全検出装置は、呼吸空気流の程度または他のセンサのデータから、1つまた
は複数の呼吸に基づくパラメータを決定することになる。
【0050】
例えば、呼吸パラメータは、呼吸数、無呼吸の数、呼吸低下の数、または無呼吸−呼吸
低下指数(AHI)であればよい。この目的を達成するために、センサからの連続的な空
気流信号および/または他のセンサ入力に基づいて、プロセッサは、患者データのパター
ン、例えば、空気流信号のパターン、ECG信号のパターン、などを解析し、無呼吸およ
び/または呼吸低下の発現を検出するようになっているとよい。無呼吸および呼吸低下を
検出する方法および装置は、米国特許第5,704,345号に記載されている。この開
示内容は、相互参照することによって、ここに含まれるものとする。「無呼吸」は、患者
の呼吸が10秒を超えて停止する症状とみなされている。呼吸低下は、正常な換気の約3
0%〜約70%まで喚起が低下する症状として定義されている。AHIは、単日または特
定の睡眠セッション中の特定の期間、例えば、1時間における無呼吸および呼吸低下の数
として計算されるとよい。AHIの他の形態が、用いられてもよい。
【0051】
また、他の呼吸に基づくパラメータが決定されてもよい。例えば、プロセッサは、単日
または特定の睡眠セッション中の特定の期間、例えば、1時間におけるチェーン・ストー
クス呼吸の数を決定するように、構成されていてもよい。1つの適切な測定として、チェ
ーン・ストークスのエポック(epoch)の数の検出が挙げられる。流量信号からチェーン
・ストークスのエポックを検出する例示的な手法が、国際特許出願PCT/ AU2005
/001942(公開番号:WO2006/066337)に記載されている。この開示
内容は、相互参照することによって、ここに含まれるものとする。任意選択的または代替
的に、他のセンサを利用して、チェーン・ストークス呼吸(CSR)の事象を検出し、本
技術の心不全変化指標と共に用いるようにしてもよい。例えば、CSRの存在を評価する
ために、酸素濃度が利用されてもよい。
【0052】
次いで、ステップ204では、制御装置104が、1つまたは複数の決定された呼吸パ
ラメータおよび/または患者パラメータを1つまたは複数の閾値と比較するようになって
いる。典型的には、各閾値は、比較の結果が患者の心不全症状の変化、例えば、患者が急
性代償障害を発現し始めることを示すように、選択されている。例えば、決定されたAH
Iのような呼吸パラメータが、患者の前回のAHI、すなわち、前回の時間フレーム、例
えば、前回の1つまたは複数の監視セッションにおける患者の平均AHIと比較されると
よい。前回の決定されたAHIに対する現在のAHIの変化(例えば、増減またはある一
定量の増減)が、心不全症状変化指標とみなされることになる。例えば、10倍以上の増
加が、患者の心不全症状の変化を表すとみなされてもよい。AHIの変化を表すさらに複
雑な閾値が、心不全症状変化指標として評価されてもよい。例えば、2日以上の連続的な
監視セッションにおけるAHIの増加が、心不全症状変化指標HFCIとみなされてもよ
い。さらに、閾値は、AHIの変化または増加がいかに大きな影響を及ぼすかを考慮して
、例えば、小さな変化または小さな増加(例えば、2倍以下の変化)を無視するように、
選択されてもよい。
【0053】
代替的または付加的に、心不全変化指標は、決定されたチェーン・ストークス呼吸のパ
ターンまたはエポックおよび1つまたは複数の閾値に基づいていてもよい。たとえば、現
在のセッションにおけるチェーン・ストークスのエポックの総数が、呼吸パラメータとみ
なされ、患者の前回のチェーン・ストークスのエポックの総数、すなわち、前回の時間フ
レーム、例えば、前回の1つまたは複数の監視セッションにおける患者のチェーン・スト
ークスのエポックの平均数と比較されてもよい。前回の決定されたエポックの総数に対す
る現在のエポックの総数の変化(例えば、増減またはある一定量の増減)が、心不全症状
指標とみなされてもよい。エポックの変化を表すさらに複雑な閾値が、心不全症状指標と
して評価されてもよい。例えば、2日以上の連続的な監視セッションにおけるエポックが
増加し、後続の同様の連続的な時間フレームにわたって同程度の減少を生じないとき、こ
のエポックの増加が、心不全症状指標とみなされてもよい。
【0054】
任意選択的に、心不全指標は、いくつかの閾値といくつかの呼吸パラメータまたはいく
つかの患者パラメータとの比較の結果に基づいていてもよい。例えば、数セッションにわ
たるチェーン・ストークスのエポックの総数の増加を伴う数セッションにわたるAHIの
増加が、一緒になって、心不全症状変化指標とみなされてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の心不全症状指標は、心拍数、血圧、および
/または血液酸素レベルの測定値を含む閾値比較に基づいていてもよい。このような実施
形態の一例では、時間経過と共に変化するCO2に対するO2の測定された比率が、この比
率の前回の測定値のような閾値と比較されてもよい。測定値のあるレベルの変化が、心不
全変化指標とみなされてもよい。さらに他の患者パラメータまたは測定値が、本技術によ
って、心不全変化指標として用いられてもよい。適切な例として、心拍変動の大きさ(例
えば、交感神経迷走神経バランスの程度)、心肺結合性(例えば、脈拍と呼吸との相関関
係)、動脈血CO2分圧(経皮的CO2または呼気終端CO2を介する非侵襲的評価)、お
よび/または1つまたは複数の指尖光電脈波から導かれる指数(例えば、相対的な呼吸努
力および/またはその変動、動脈壁の硬化、心肺結合、HRV、など)が挙げられる。
【0056】
さらに、1つ以上のこれらの患者パラメータまたは測定値が、1つ以上の閾値と比較さ
れてもよい。1つ以上のこれらの比較の結果が、1つの心不全変化指標として役立つよう
にされてもよいし、または1つ以上の他の呼吸に基づくパラメータと組み合わされて、1
つの心不全症状変化指標として役立つようにされてもよい。例えば、数セッションにわた
る患者の平均脈拍数の減少と同一セッション中のチェーン・ストークスのエポックの数の
増加との組合せが、1つの心不全症状指標とみなされてもよい。
【0057】
これらの患者パラメータ、例えば、呼吸に基づくパラメータと関連する閾値は、うっ血
性心不全患者の症状および変化の実験的な解析によって、決定されるとよい。
【0058】
本発明による器具一式または装置は、患者を監視し、さらに患者が睡眠中にも利用され
る便利な方法をもたらすようになっている。すなわち、図1の任意選択的なステップ20
6では、この装置が、心不全症状指標HFCIに基づき、患者の症状の変化が患者の心臓
が悪化している状態であることを決定したとき、心不全症状変化指標を用いて、装置を起
動させ、患者および/または臨床医に患者の心臓の状態を気付かせるのに適する形態の警
告またはメッセージをもたらし、これによって、患者が必要な介護をより十分に受けるこ
とができるようになっている。
【0059】
システムの警告またはメッセージは、多くの形態を取ることが可能である。例えば、積
極的な心不全症状変化指標に応じて、制御装置は、監視装置の表示ランプ(例えば、LE
Dまたは表示スクリーンまたはLCDのアイコン)を起動させてもよい。また、この指標
の評価に関するより詳細なメッセージが、表示スクリーンに表示されてもよい。任意選択
的に、制御装置は、付加的または代替的に、メッセージを臨床医または医師に送信しても
よい。このようなメッセージは、有線または無線通信の形態にあるとよい。例えば、制御
装置は、呼出システムを介して、例えば、呼出システムに自動的に電話回線でアクセスす
ることによって、メッセージを生成してもよい。制御装置は、自動的音声電話のメッセー
ジを生成するように、構成されていてもよい。制御装置は、ファクス伝送によって、メッ
セージを送信してもよい。いくつかの実施形態では、制御装置は、eメールメッセージの
ようなインターネットメッセージングプロトコルを介して、または他のインターネットデ
ータファイル転送プロトコルによって、メッセージを送信してもよい。これらのメッセー
ジは、患者の情報機密を守るために、暗号化されていてもよい。典型的なメッセージは、
患者の身元を特定しているとよい。このようなメッセージは、システムによって記録され
た変化のデータ、およびどのような他の記録された患者の情報を含んでいてもよい。メッ
セージは、潜在的な代償障害の事象の検出によって、患者が追加的な心不全の治療または
評価を受けることが検討されるべきであることをさらに伝達するようなものであってもよ
い。
【0060】
従って、装置によって患者または医師に提示される表示または警告の例示的な実施形態
は、図式的なメッセージまたはテキスト形式のメッセージのような警告メッセージであっ
てもよい。このメッセージは、1つまたは複数のプログラム化された心不全症状変化指標
HFCIの評価に基づいて、この装置または遠隔装置に表示されるようになっているとよ
い。例えば、警告メッセージは、測定されたチェーン・ストークスのエポックの総数の増
加(例えば、前回の一連の日数(例えば、2日)におけるチェーン・ストークスのエポッ
クの総数に対する20を超えるユニット数または他のユニット数の増加)に基づいている
とよい。また、警告メッセージは、AHI指数の増加(例えば、前回の一連の日数(例え
ば、2日)におけるAHI指数の総数に対する10を超えるユニット数または他のユニッ
ト数の増加)に基づいていてもよい。このような1つまたは複数の心不全症状指数によっ
て、1つまたは複数のメッセージを発することができる。さらに任意選択的に、メッセー
ジは、これらの2つの例における増加の組合せに基づいていてもよい。具体的には、メッ
セージは、これらの2つの例における症状が一致したときのみ、発せられるようになって
いてもよい。
【0061】
単純な警告メッセージが利用されてもよいが、患者の心不全症状を記述する高レベルの
警告メッセージが生成されてもよい。例えば、多数の異なる心不全症状指標または繰り返
される心不全症状指標を組み合わせ、検出された症状の重症度に基づく種々の異なるメッ
セージが発せられてもよい。例えば、ある日、1つの心不全症状指標によって、最初の警
告メッセージが発せられたとする。しかし、次の日、AHIに関する呼吸パラメータおよ
びチェーン・ストークスのエポックに関する呼吸パラメータの両方を含む前述の組合せ条
件に基づいて、異なるメッセージ、例えば、高レベルの緊急性を有するメッセージが生成
されてもよい。このような実施形態では、第1のメッセージの後、第2のメッセージによ
って、患者が医学的検査のためにすぐに医師に連絡を取るべきであることが、より緊急に
警告されることになる。このように、本装置は、各警告に関するデータを監視し、または
記憶し、これによって、先の警告および/または心不全変化指標に基づいて、警告を漸次
的に変更し、または生成するようになっているとよい。
【0062】
さらに、これらのメッセージの全ては、制御装置104によって、心不全検出装置10
0の表示装置116を介して患者に導かれと共に、通信装置120を介して医師に導かれ
ることができるようになっているが、いくつかの実施形態では、これらのメッセージは、
より選択的に導かれることができるようになっていてもよい。例えば、第1のメッセージ
は、そのメッセージを表示装置116に表示することなく、通信装置120を通して、医
師システム122にのみ送信することによって、医師または臨床医にのみ送信されるよう
になっているとよい。しかし、より緊急のメッセージであるかもしれない第2のメッセー
ジは、医師システム122に送信されると共に、表示装置116にも積極的に表示される
ようになっているとよい。また、装置の制御装置によって制御される任意選択的なスピー
カによる警報が、用いられてもよい。この警報の使用は、メッセージの緊急性によって決
められるとよい。
【0063】
心不全症状指標の技術は、心不全検出装置100のような監視装置内に含まれていると
よいが、他の装置と併用されてもよい。例えば、この技術は、患者の他の症状を監視する
ために用いられる装置内に組み込まれていてもよい。具体的には、この技術は、「APNEA
LINK」(ResMed社)、「EMBLETTA」(Flaga社)、「RUSleepingTM」(Respironics社)お
よび「E-series」(Compumedics社)などのような診断装置またはスクリーニング装置内
に組み込まれていてもよい。任意選択的に、この技術は、非接触AHIスクリーナー(例
えば、高周波エネルギーの低出力パルスによって、運動、呼吸、呼吸努力、および/また
は心拍を検出するBiancaMed社の生体運動センサ)のような非接触睡眠監視装置と併用さ
れてもよい。
【0064】
さらに他の例では、心不全検出装置は、呼吸治療装置内に組み込まれていてもよい。具
体的に、この技術は、「AUTOSET CS」を含むResMed社のAUTOSETシリーズの装置のような
診断・治療装置、およびResMedの製「VPAP Adapt SV」のような適応サーボ換気装置内に
組み込まれていてもよい。例えば、図3は、ここに述べた技術を組み込むことができる呼
吸治療装置を示している。
【0065】
図3を参照すると、監視・治療装置400は、心不全検出装置100として機能し得る
ようになっているとよい。従って、この装置400は、図1の装置と同様、患者呼吸イン
ターフェイス402、例えば、マスク409および送達チューブ410を備えているとよ
い。このような装置では、送達チューブ410は、検知チューブ110として機能するよ
うになっているとよい。この監視・治療装置は、図1の装置に関して前述した構成部品に
相当する、流量センサ406、制御装置404、表示装置416、スイッチ418、通信
装置420、および診断センサ412も備えているとよい。この装置は、前述したように
、生成したメッセージを医師システム422に伝送するようになっているとよい。
【0066】
しかし、図3の監視・治療装置400は、任意選択的に、サーボ制御ブロワー424の
ような流れ発生装置によって呼吸圧力治療をもたらすように、構成されていてもよい。こ
の装置は、ブロワー424によって生じた圧力を測定する圧力変換器のような圧力センサ
426をさらに備え、圧力の程度を表す圧力信号p(t)を生成するようになっていると
よい。
【0067】
流量f(t)信号および圧力p(t)信号に基づいて、制御装置404は、プロセッサ
414によって、ブロワー制御信号を生成するようになっている。例えば、この制御装置
は、所望の圧力設定点を生成し、次いで、圧力センサによって測定された症状を設定点と
比較することによって設定点に一致させるべく、ブロワーをサーボ制御するようになって
いるとよい。従って、制御装置404は、ブロワー424によって、患者インターフェイ
スに送達された圧力を制御して変化させることが可能となる。任意選択的に、このような
圧力変化は、ブロワー速度を比較的一定に維持しながら、機械的な排気弁(図示せず)に
よって排気の増減を制御することによって、行われてもよい。このような制御装置または
プロセッサを有しているので、この装置は、適切な圧力送達の平均化を調整することによ
って、睡眠呼吸障害、チェーン・ストークス呼吸、または閉塞性睡眠無呼吸用の圧力治療
(例えば、CPAP、APAP、バイレベルCPAP、Auto−VPAPなど)のよう
な多くの異なる圧力治療による療法に用いられることが可能となる。
【0068】
この目的のために、本技術のいくつかの実施形態を規定し、該実施形態を用いる例示的
な臨床的手順が、図4に示されている。ステップ528において、患者は、うっ血性心不
全で、急性代償障害の危険があると診断されている。ステップ530では、患者は、睡眠
呼吸障害(SDB)であるかどうかが判断され、または患者がSDBの治療を受けている
かどうかが決定されることになる。もし患者がこの症状を有していなければ、ステップ5
38において、患者に対して、心不全治療装置100が、例えば、患者の睡眠中に用いら
れるとよい。代替的に、ステップ532において、もし患者が睡眠障害呼吸を有している
なら、患者は、チェーン・ストークス呼吸(CSR)または閉塞性睡眠無呼吸(OSA)
を患っているかどうかが判断されるとよい。前者の場合、ステップ536において、患者
に対して、CSRに対処する治療圧を生成することができる装置が用いられるとよい。代
替的に、後者のOSAの場合、ステップ534において、患者に対して、OSAに対処す
る治療圧を生成することができる装置が用いられるとよい。ステップ540では、これら
の装置の各々が、患者の呼吸に基づく情報を監視し、かつ解析し、これによって、図2
アルゴリズムに関して前述したような呼吸に基づくパラメータを決定することになる。ス
テップ542では、1つまたは複数の心不全症状指標の閾値が評価されるとよい。もし心
不全症状指標が、患者が代償障害の事象のような心不全症状の悪化または変化を受けてい
ることを示唆した場合、ステップ544において、警告が発せられるとよい。しかし、も
し心不全症状指標がこのような症状の変化の存在を示唆しなかった場合、警告は発せられ
ず、ステップ540に戻ることによって、装置は、監視および解析を継続することになる
。このように、患者が必要とする他の装置の既存の構成部品を利用しながら、患者の必要
性に応じて、本技術を異なる装置によって実現することが可能となる。
【0069】
図5に示されている本技術のいくつかの実施形態では、心不全症状指標の評価は、治療
装置によって生じた呼吸治療と関連する圧力の程度に基づいていてもよい。このような治
療装置として、例えば、適応サーボ換気装置、または中枢性無呼吸、呼吸低下、および/
または閉塞性無呼吸のような呼吸事象を検出し、かつ対応する他の呼吸治療装置((例え
ば、自動圧調整SDB装置、自動呼気終末圧(EEP)設定装置、および/または換気を
測定し、目標の換気を維持する装置)が挙げられる。従って、ステップ600では、圧力
が、適応サーボ換気装置のような呼吸治療装置のセンサによって、測定されるとよい。ス
テップ602では、圧力の程度に基づいて、治療圧が決定されるとよい。例示的な治療圧
の測定値として、ピーク呼気圧、送達された圧力治療の比率、メジアン圧力、および/ま
たは圧力補助のレベル、などが挙げられる。これらの圧力の程度は、セッションごとにま
たは他の時間間隔で、装置によって測定されるとよい。例えば、このような測定値は、2
000年1月4日に出願されたResMed 社に付与された米国特許第7,100,608号
に記載されているように、治療セッション中に送達される95パーセンタイルの圧力を監
視することによって、得られるとよい。なお、この特許の開示内容は、相互参照すること
によって、ここに含まれるものとする。ステップ604では、このような圧力の程度が監
視され、かつ1つまたは複数の適切な閾値と比較され、心不全症状指標をもたらすように
なっているとよい。数日または数カ月にわたるこのような圧力の程度の履歴が、検討され
るとよい。例えば、1つまたは複数のこれらの圧力の程度および1つまたは複数の適切な
閾値、例えば、前回の1つまたは複数のセッションにおけるものと比較された1つまたは
複数のセッションにおけるある量の変化が、指標とみなされるとよい。従って、この指標
は、前回の時間間隔または前回の1つまたは複数の治療セッションにおける1つまたは複
数の圧力の程度に対する1つまたは複数の圧力の程度の増加を示す最新の傾向に基づいて
いるとよく、その結果として、ステップ608において、警告を発するようになっている
とよい。
【0070】
これらの指標は、前述した他の指標と組み合わされ、代償障害事象に関する高度の相乗
的な早期の警告を生じさせるようになっていてもよい。例えば、圧力の増加または圧力の
増加の傾向に基づく指標が、共通の一連の治療セッション中の無呼吸および/または呼吸
低下の総数の変化に基づく指標と組み合わされてもよい。例えば、AHIおよび/または
図6において「AI」で示されている)無呼吸(例えば、閉塞性無呼吸および/または
中枢性無呼吸)の総数の中程度または小さい増加または増加する傾向と、治療圧測定値の
増加または増加する傾向と、の組合せは、もしこれらが同様の時間間隔中に検出されてい
るなら、1つの組合せ心不全症状指標として機能することが可能である。数セッションに
おける95パーセンタイル圧力の増加およびAHIまたはAIのいずれかの増加に基づい
て、装置によって発せられる警告が、図6に示されている。また、この図に示されている
ように、本装置は、任意選択的に、特定の心不全変化指標と関連する解析された測定値を
示すかまたは図式で説明するレポートを作成するようになっているとよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の心不全症状指標に基づく代償障害の検出を
示す正の表示を用いて、図5のステップ608に示されているように、呼吸治療装置によ
って与えられる自動化された療法の変更を制御するようになっているとよい。例えば、正
の表示が得られた場合、この装置の治療制御手順は、流れ発生装置の制御を装置の圧力応
答を変化させるように修正するようになっているとよい。例えば、療法プロトコルの修正
が行われるとよい。1つのこのような実施形態では、この制御の変化によって、呼吸治療
装置が、換気の測定値を目標換気と一致させるように、圧力変化を制御し始めることが可
能になる。例えば、治療装置のプロセッサは、目標換気を満足させる治療圧を送達するよ
うに、流れ発生装置をサーボ制御することが可能である。目標換気は、医師によって予め
定められていてもよいし、呼吸治療装置の学習モードによって、自動的に設定されるよう
になっていてもよい。このような装置は、典型的には、送達された喚起を測定し、この測
定された喚起が目標換気を満たすことを確実にする方法によって、患者に供給される圧力
を調整するようになっている。従って、もし患者の呼吸によって、測定された喚起が時間
の経過と共に目標換気未満に低下し始めるかまたは目標換気を超えて上昇し始める場合、
流れ発生装置は、供給される圧力補助物の増減によって、それぞれ、補うことになる。こ
のようにして、自動設定SDB装置(例えば、自動圧調整型CPAPまたはバイレベル装
置)が、1つまたはいくつかの代償障害事象の検出に応じて、サーボ制御された喚起装置
として機能し始めるようになっているとよい。任意選択的に、圧力制御または圧力設定の
他の変化が、1つまたは複数の心不全症状指標の正または負の表示に応じて、行われるよ
うになっていてもよい。例えば、正の表示の後に負の表示が生じた場合、圧力治療制御プ
ロトコルが、換気目標を実行するプロトコルから、自動圧調整型SDBプロトコルに戻さ
れることになる。さらに他の例として、代償障害を示す正の表示によって、換気目標の実
行を修正する制御がなされてもよい。例えば、この換気目標は、代償障害の付加的な検出
に基づいて、増加されてもよい。1つのこのような実施形態では、計算された目標換気(
例えば、長期にわたる換気測定値の90%)を実行する装置が、その目標値を(例えば、
臨床医によって)予め定められ、かつ記録された目標換気、例えば、総肺胞換気の評価値
に変化させるようになっているとよい。
【0072】
心不全症状指標を用いる技術をいくつかの実施形態において説明したが、これらの実施
形態は、本技術の単なる例示にすぎないことを理解されたい。本明細書の精神および範囲
内において、さらに他の修正が考案されてもよい。
【0073】
例えば、本技術では、一体型装置が想定されているが、装置をなす構成部品の手法は、
システムの多数の構成部品間で共有されていてもよい。例えば、監視装置は、患者の呼吸
データを単純に測定し、そのデータを他の処理システムに伝送するようになっていてもよ
い。次いで、第2の処理システムが、呼吸データを解析し、本技術の解析に用いられる呼
吸パラメータを決定するようになっているとよい。また、第2の処理システムは、心不全
症状指標を評価し、前述したような警告メッセージを、例えば、1つまたは複数の電子形
態にある前述したメッセージを送信することによって、患者監視装置に戻し、次いで、装
置に表示し、患者に警告を与えるようになっていてもよい。
【0074】
さらに他の例として、いくつかの実施形態では、装置またはシステムは、患者の心不全
症状の回復を代表する変化を決定することも可能である。例えば、無呼吸、呼吸低下、チ
ェーン・ストークス呼吸の数および/または期間の減少、および/または任意の呼吸パラ
メータおよび/または患者パラメータの他の決定された変化が、前述したように、1つま
たは複数の心不全症状指標として機能することができる。この変化に基づいて、ユーザお
よび/または医師に、患者の回復の結果として患者の医学的治療を修正する必要性(例え
ば、心不全に関連する投薬の減少、圧力治療または圧力治療プロトコルの減少または変更
、など)を知らせる適切なメッセージが生成されてもよい。いくつかの実施形態では、検
出された回復によって、さらに、治療の変化、例えば、呼吸治療装置の圧力治療設定また
は圧力治療プロトコルの変化が、制御されるようになっていてもよい。例えば、チェーン
・ストークス呼吸、閉塞性睡眠無呼吸(例えば、CPAP、APAP、バイレベルCPA
P)を治療するSDB装置、または無呼吸および/または障害事象を検出し、検出された
事象を治療するように治療圧を設定する他の装置のように、回復の表示によって、換気目
標を維持するための呼吸補助物を送達するプロトコルから、換気目標を維持するための呼
吸補助物を送達しないプロトコルへの変化を、制御するようになっているとよい。
【0075】
本技術の精神および範囲から逸脱することなく、他の変更例がなされてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 心不全検出装置
102 患者呼吸インターフェイス
104 制御装置
106 流量センサ
108 カニューレ
110 検知チューブ
112 診断センサ
114 プロセッサ
116 表示装置
118 入力スイッチ
120 通信装置
122 装置
400 監視・治療装置
402 患者呼吸インターフェイス
404 制御装置
406 流量センサ
409 マスク
410 送達チューブ
412 診断センサ
414 プロセッサ
416 表示装置
418 スイッチ
420 通信装置
422 医師システム
424 サーボ制御ブロワー
426 圧力センサ
HFCI 心不全症状変化指標
f(t)流量信号
p(t)圧力信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6