特許第6387342号(P6387342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387342
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】遠位ベアリング支持体
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/10 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A61M1/10 119
   A61M1/10 113
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-512724(P2015-512724)
(86)(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公表番号】特表2015-516267(P2015-516267A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013040798
(87)【国際公開番号】WO2013173239
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】61/646,755
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/802,556
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518145695
【氏名又は名称】ティーシーワン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エル・キーナン
(72)【発明者】
【氏名】ケイフ・エム・フィッツジェラルド
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0004046(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/127871(WO,A1)
【文献】 特表2009−530041(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/073037(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルポンプであって、
入口部および出口部を含む拡張可能なカニューレを有する遠位部分を含む細長いカテーテル本体部であって、前記拡張可能なカニューレはデリバリープロファイルおよび前記デリバリープロファイルより大きい操作プロファイルを有する、細長いカテーテル本体部と、
インペラー軸と1つまたは複数のブレードを備えるインペラー本体部とを含むインペラーアセンブリであって、前記1つまたは複数のブレードは回転したときに血液を前記カニューレ内に引き込む、インペラーアセンブリと、
前記拡張可能なカニューレ内で前記インペラー本体部の前記インペラー軸遠位に配置されるとともに前記インペラー軸から遠位側へ延在する装着部分を含む拡張可能な遠位ベアリング支持体であって、カニューレ壁に対して前記インペラーアセンブリの位置を保つとともに前記拡張可能なカニューレ内で前記インペラー軸の半径方向支持を提供するように構成され、少なくとも前記操作プロファイルである場合に前記拡張可能なカニューレと接触するアーチ状外面を有する拡張可能な遠位ベアリング支持体と、
を備え
前記拡張可能な遠位ベアリング支持体は、前記拡張可能なカニューレの内壁と接触している凸状部分を有する細長い部材を含み、
前記細長い部材は、互いに周上で離間して位置する第1近位ストラットおよび第2近位ストラットと、第1遠位ストラットおよび第2遠位ストラットの遠位端において互いに結合されている第1遠位ストラットおよび第2遠位ストラットと、を有し、前記遠位ストラットの近位端は前記近位ストラットの遠位端と結合され、
前記凸状部分は、前記遠位ストラットの前記近位端と前記遠位端との間に配置されていることを特徴とするカテーテルポンプ。
【請求項2】
前記拡張可能なカニューレはメッシュを含み、前記メッシュの密度は、前記凸状部分と接触するカニューレの支持領域において前記カニューレの他の領域より高いことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテルポンプ。
【請求項3】
前記細長い部材は、前記装着部分と結合された近位端と、自由遠位端と、前記近位端と前記自由遠位端との間に配置された凹状部分と、を有することを特徴とする、請求項1に記載のカテーテルポンプ。
【請求項4】
前記凸状部分は、前記遠位ストラットの前記近位端と前記遠位端との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテルポンプ。
【請求項5】
前記装着部分は、前記インペラー軸が中で回転することができるように、前記インペラー軸上に配置された円筒形部材を有することを特徴とする、請求項1に記載のカテーテルポンプ。
【請求項6】
前記拡張可能な遠位ベアリング支持体のカニューレ接触部分は、前記円筒形部材の外面上に配置され且つ前記円筒形部材の外面に固定された近位本体部を含むことを特徴とする、請求項5に記載のカテーテルポンプ。
【請求項7】
前記インペラー軸は、前記インペラー軸の遠位端において拡大径を有し、前記円筒形部材は、前記円筒形部材の近位端において前記拡大径より小さい直径を有することを特徴とする、請求項6に記載のカテーテルポンプ。
【請求項8】
前記円筒形部材は、前記インペラー軸の前記遠位端において、前記拡大径よりも大きい内径を有する拡大遠位部分を含むことを特徴とする、請求項7に記載のカテーテルポンプ。
【請求項9】
前記円筒形部材の前記拡大遠位部分に配置された再封止可能な隔壁をさらに備える、請求項8に記載のカテーテルポンプ。
【請求項10】
前記円筒形部材の前記遠位端と結合されたキャップをさらに備え、前記キャップはガイドワイヤを前記インペラーアセンブリに通すための開口を有する丸形遠位部分を含むことを特徴とする、請求項8に記載のカテーテルポンプ。
【請求項11】
前記インペラー本体部と前記拡張可能な遠位ベアリング支持体の近位端との間に配置されたスペーサーをさらに備える、請求項5に記載のカテーテルポンプ。
【請求項12】
カテーテルポンプであって、
入口部および出口部を含む拡張可能なカニューレを有する遠位部分を含む細長いカテーテル本体部であって、前記拡張可能なカニューレはデリバリープロファイルおよび前記デリバリープロファイルより大きい操作プロファイルを有する、細長いカテーテル本体部と、
管状本体部と前記管状本体部の周りに配置された少なくとも1つのブレードとを含むインペラーであって、前記インペラーが回転したときに血液を前記カニューレ内に引き込むためのインペラーと、
ガイドワイヤ通路内の前記管状本体部の遠位に配置された再封止可能な部材であって、前記再封止可能な部材が回転していないときに前記管状本体部を回転させることができるように前記管状本体部と結合される再封止可能な部材と、
前記拡張可能なカニューレ内でインペラー本体部のインペラー軸遠位に配置されるとともに前記インペラー軸から遠位側へ延在する装着部分を含む拡張可能な遠位ベアリング支持体であって、カニューレ壁に対して前記インペラーの位置を保つとともに前記拡張可能なカニューレ内で前記インペラー軸の半径方向支持を提供するように構成され、少なくとも前記操作プロファイルである場合に前記拡張可能なカニューレと接触するアーチ状外面を有する拡張可能な遠位ベアリング支持体と、
を備えるカテーテルポンプ。
【請求項13】
前記管状本体部はハイポチューブを有し、前記再封止可能な部材は接合部材の遠位部分の内部陥凹部に配置され、前記接合部材の近位部分は前記ハイポチューブの周りに配置されたブッシングを含むことを特徴とする、請求項12に記載のカテーテルポンプ。
【請求項14】
前記ハイポチューブは、遠位端において、前記ブッシングの直径よりも大きい拡大径へ、ラッパ状に広がったセクションを有することを特徴とする、請求項13に記載のカテーテルポンプ。
【請求項15】
前記内部陥凹部は、前記ブッシングの遠位に延在する接合部の拡大部分に形成され、且つ前記ブッシングの直径よりも大きい内周を有し、前記ハイポチューブのラッパ状に広がるセクションは前記内部陥凹部に配置されることを特徴とする、請求項13に記載のカテーテルポンプ。
【請求項16】
前記内部陥凹部の前記拡大部分は第1拡大部分であり、前記第1拡大部分の遠位に第2拡大部分がさらに設けられ、前記再封止可能な部材は前記第2拡大部分に配置されることを特徴とする、請求項15に記載のカテーテルポンプ。
【請求項17】
装置に対する流体の運動を引き起こすための装置であって、
モーターと、
前記モーターと結合されるとともに遠位部分を有する細長いカテーテル本体部と、
前記遠位部分に配置されるとともに入口部および出口部を有する拡張可能なカニューレであって、デリバリープロファイルおよび前記デリバリープロファイルより大きい操作プロファイルを有する、拡張可能なカニューレと、
前記モーターに接続されたインペラー軸上に装着されるとともに前記入口部と前記出口部との間で前記拡張可能なカニューレ内に配置されたインペラーであって、少なくとも1つのインペラーブレードを含むインペラーと、
前記インペラー軸に結合されるとともに前記拡張可能なカニューレ内で前記インペラー軸から遠位側に延在する拡張可能な遠位ベアリング支持体であって、少なくとも前記拡張可能な遠位部分が前記操作プロファイルを有するときに前記拡張可能なカニューレと接触するアーチ状外面を有し、前記拡張可能なカニューレ内で前記インペラー軸の半径方向支持を提供するように構成された、拡張可能な遠位ベアリング支持体と、
を備え、
前記モーターが動作すると、前記インペラーの回転が生じて血液が内腔内に引き込まれ
前記拡張可能な遠位ベアリング支持体は、前記拡張可能なカニューレの内壁と接触している凸状部分を有する細長い部材を含み、
前記細長い部材は、互いに周上で離間して位置する第1近位ストラットおよび第2近位ストラットと、第1遠位ストラットおよび第2遠位ストラットの遠位端において互いに結合されている第1遠位ストラットおよび第2遠位ストラットと、を有し、前記遠位ストラットの近位端は前記近位ストラットの遠位端と結合され、
前記凸状部分は、前記遠位ストラットの前記近位端と前記遠位端との間に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項18】
前記モーターは、前記細長いカテーテル本体部の近位端に配置され、前記モーターは、前記インペラーから離れた状態に保たれるとともに患者の体外に保たれるように構成されていることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記拡張可能な遠位ベアリング支持体内で前記インペラーの遠位に配置された再封止可能な部材をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記再封止可能な部材は、インペラー軸と結合されて、前記インペラー軸を前記拡張可能な遠位ベアリング支持体中で回転できるようにし、
前記再封止可能な部材は、前記インペラーの遠位で、ただし前記インペラーと位置を揃えて、前記インペラー軸に対して静止状態に保たれることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権出願への参照による組み込み]
2012年5月14日に出願した米国出願第61/646,755号、名称「Distal Bearing Support」を含む、外国または国内優先権の主張が本出願とともに提出された出願データシートに明記されているいかなる出願もすべて、米国特許法施行規則(37 CFR)§1.57に基づき参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、心臓の機械的循環補助のためのポンプを対象とする。特に、本出願は、カテーテルポンプで使用され得るインペラーアセンブリの支持構造体を対象とする。
【背景技術】
【0003】
心臓疾患は、高い死亡率を有する重大な健康問題である。医師は心不全の治療に機械的循環補助システムを使用することが多くなってきている。急性心不全の治療には、患者に素早く支援を提供することができるデバイスが必要である。医師は、素早く、侵襲性を最小限度に抑えて配備できる治療法の選択肢を望んでいる。
【0004】
大動脈内バルーンポンプ(IABP)は、現在、急性心不全を治療するための最も一般的なタイプの循環補助デバイスである。IABPは、急性心筋梗塞(MI)または非代償性心不全の治療中、心臓性ショック後に患者を安定させるため、または危険性の高い経皮冠動脈インターベンション(PCI)において患者を補助するためなど、心不全を治療するために普通に使用されている。循環補助システムは、単独で、または薬物療法とともに使用することができる。
【0005】
従来のアプローチでは、IABPは、循環系に部分的補助を行うため大動脈内に位置付けされ、カウンターパルゼーション方式で作動される。近年になって、潜在的補助のレベルを上げようとして(すなわち、より高い流れにしようとして)侵襲性を最小限度に抑えた回転式血液ポンプが開発された。回転式血液ポンプは、通常、体内に挿入され、心臓血管系、例えば、左心室および上行大動脈に接続され、心臓のポンプ機能を支援する。心臓の右側の補助のために右心室から肺動脈に静脈血をポンプ機能で送り込むという他の用途も知られている。緊急循環補助デバイスの目的は、心臓移植前に患者を安定させるために、または補助を継続するために、一定期間にわたって心筋にかかる負荷を軽減することである。
【0006】
急性心不全を治療するためには改善された機械的循環補助デバイスが必要である。完全に近い心臓流量をもたらすように設計された固定断面心室支援デバイスは、大きすぎて、経皮的に(例えば、切開なしで大腿動脈を通して)送り込むことができないか、または流量が不十分である。
【0007】
性能および臨床転帰が改善されたポンプが必要である。溶血および血栓症の危険性を抑えつつ流量を高めることができるポンプが必要である。侵襲性を最小限度に抑えて挿入することができ、重大な有害事象が発生する危険性を抑えつつさまざまな適応症に対して十分な流量を送ることができるポンプが必要である。一態様では、例えば、15FRまたは12FR切開により、侵襲性を最小限度に抑えて留置され得る心臓ポンプが必要である。一態様では、例えば62mmHgの頭部圧力で、動作中に4Lpm以上の平均流量をもたらし得る心臓ポンプが必要である。回転式ポンプの流量は、インペラーをより高速に回転させることによって高めることができるが、回転速度が上がると、溶血の危険性が高まり、有害転帰を引き起こし、場合によっては死亡に至るおそれもあることが知られている。したがって、一態様では、高い回転速度で溶血が発生する可能性を最小限度に抑えながら十分な流量を送ることができるポンプが必要である。これらおよび他の問題は、ここで説明されている本発明によって解消される。
【0008】
さらに、動作デバイス(operative device)で溶血が生じる危険性を低減しつつ高い流量で血液を送り出すことができるポンプの動作デバイスを実現する必要がある。例えば、インペラーアセンブリが動作デバイスに備えられる場合、インペラーの回転速度が高いと、血液が高速のインペラーを超えて流れるときに溶血が引き起こされ得る。したがって、特に移動可能なコンポーネントが動作デバイスに設けられている場合に、ポンプの動作デバイスにおいて溶血が生じる危険性を低減する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,393,181号
【特許文献2】米国特許第8,376,707号
【特許文献3】米国特許第7,841,976号
【特許文献4】米国特許第7,022,100号
【特許文献5】米国特許第7,998,054号
【特許文献6】米国特許出願公開第2011/0004046号
【特許文献7】米国特許出願公開第2012/0178986号
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/0172655号
【特許文献9】米国特許出願公開第2012/0178985号
【特許文献10】米国特許出願公開第2012/0004495号
【特許文献11】米国特許出願第61/780,656号
【特許文献12】米国特許出願第13/801,833号
【特許文献13】米国特許出願第13/802,570号
【特許文献14】米国特許出願第13/801528号
【特許文献15】米国特許出願第13/802468号
【特許文献16】米国特許第5,964,694号
【特許文献17】米国特許第6,007,478号
【特許文献18】米国特許第6,178,922号
【特許文献19】米国特許第6,176,848号
【特許文献20】米国特許第6,544,216号
【特許文献21】米国特許第7,070,555号
【特許文献22】米国特許出願公開第2012-0203056A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
経皮的に挿入することができ、また必要なときに心臓の左側、右側、または左と右の両方の側の完全な心臓流量をもたらし得るポンプデバイスが至急必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態において、カテーテルポンプが開示される。カテーテルは、入口部および出口部を含む拡張可能なカニューレを有する遠位部分を含む細長いカテーテル本体部を備えることができる。拡張可能なカニューレは、デリバリープロファイル(delivery profile)およびデリバリープロファイルより大きい操作プロファイル(operational profile)を有することができる。インペラーアセンブリは、インペラー軸を含み、インペラー本体部は、1つまたは複数のブレードを有することができる。インペラーブレードは、回転したときに血液をカニューレ内に引き込むことができる。さらに、拡張可能な支持体は、インペラー本体部のインペラー軸遠位に配置された装着部分であって、カニューレ壁に対してインペラーの位置を保つように構成された装着部分を有することができる。いくつかの実施形態において、細長いカテーテル本体部の近位端にモーターを配置することができ、これにより、モーターは使用中に患者の体外でインペラーから離れた状態に保たれる。いくつかの実施形態では、再封止可能な部材がインペラーの遠位に配置され得る。さらに、再封止可能な部材はベアリングと結合され、ベアリングはインペラーと結合され、ベアリングは、再封止可能な部材を、インペラーの遠位で、ただしインペラーと位置を揃えて、静止状態に保ちつつ、インペラーをベアリング構造体中で回転できるようにすることができる。
【0012】
別の実施形態において、カテーテルポンプが開示される。カテーテルは、入口部および出口部を含む拡張可能なカニューレを有する遠位部分を含む細長いカテーテル本体部を備えることができる。拡張可能なカニューレは、デリバリープロファイルおよびデリバリープロファイルより大きい操作プロファイルを有することができる。インペラーは、管状本体部と、管状本体部の周りに配置された少なくとも1つのブレードを含むことができ、これにより、インペラーが回転したときに血液をカニューレ内に引き込むことができる。再封止可能な部材が、ガイドワイヤ通路内の管状本体部の遠位に配置され得る。再封止可能な部材は、再封止可能な部材が回転していないときに管状本体部を回転させることができるように管状本体部と結合され得る。
【0013】
さらに別の実施形態では、装置に対する流体の運動を引き起こすための装置が開示される。装置は、モーターを備えることができる。細長いカテーテル本体部が、モーターと結合され得る。カテーテル本体部は、入口部および出口部を有する拡張可能な遠位部分および内腔の周りに配置された支持構造体を含むことができる。拡張可能な遠位部分は、デリバリープロファイルおよびデリバリープロファイルより大きい操作プロファイルを有することができる。装置は、少なくとも1つのインペラーブレードを含むインペラーを備え得る。装置は、少なくとも拡張可能な遠位部分が操作プロファイルを有するときに支持構造体と接触するアーチ状外面を有する拡張可能なインペラー支持体をさらに備えることができる。モーターが動作すると、インペラーの回転が生じて血液が内腔内に引き込まれ得る。いくつかの実施形態において、細長いカテーテル本体部の近位端にモーターを配置することができ、これにより、モーターは使用中に患者の体外でインペラーから離れた状態に保たれる。いくつかの実施形態では、再封止可能な部材がインペラーの遠位に配置され得る。さらに、再封止可能な部材はベアリングと結合され、ベアリングはインペラーと結合され、ベアリングは、再封止可能な部材を、インペラーの遠位で、ただしインペラーと位置を揃えて、静止状態に保ちつつ、インペラーをベアリング構造体内で回転できるようにすることができる。
【0014】
本出願の主題およびそのさまざまな利点について、添付図面を参照し、以下の詳細な説明を参照することによって、より完全な理解が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】経皮的な用途および操作に合わせて構成されたカテーテルポンプの一実施形態を示す図である。
図2図1のカテーテルポンプとともに使用されるように適合されたカテーテルアセンブリの一実施形態の平面図である。
図3A】インペラーブレードおよび反っていない配置のインペラーハウジングの内面の相対的位置を示す図である。
図3B】インペラーブレードおよび反っていない配置のインペラーハウジングの内面の相対的位置を示す図である。
図3C】インペラーブレードおよび反っていない配置のインペラーハウジングの内面の相対的位置を示す図である。
図4】解剖学的構造内の適所にある図2のものと類似のカテーテルアセンブリを示す図である。
図5A】遠位ベアリング支持体の一実施形態の断面図である。
図5B】遠位ベアリング支持体の一実施形態の断面図である。
図6A】遠位ベアリング支持体の別の実施形態の断面図である。
図6B】遠位ベアリング支持体の別の実施形態の断面図である。
図7A】遠位ベアリング支持体のさらに別の実施形態を示し、またガイドワイヤ誘導デバイスも示す断面図である。
図7B】遠位ベアリング支持体のさらに別の実施形態を示し、またガイドワイヤ誘導デバイスも示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
急性心不全を含む心臓ストレスを受けている患者を治療するのに有用な心臓ポンプのコンポーネントのさまざまな実施形態のより詳細な説明を以下に示す。
【0017】
本出願は、装置に対する流体の運動を引き起こすための装置を対象とする。特に、開示されている実施形態は、一般的に、経皮的カテーテルポンプの遠位部分に配置されているインペラーを支持するためのさまざまな構成に関するものである。以下でさらに詳しく説明されているように、このような支持構造体は、中でインペラーが回転するカニューレの内面を形成する構造体の方向への、または構造体内への、高速インペラーの可動域を最小化するのに有利であり得る。例えば、開示されている実施形態では、カニューレは柔軟性を有するものとしてよく、インペラーは、支持部材によってインペラー軸の遠位端から離れて柔軟に支持され得る。それに加えて、開示されている支持構造体は、インペラーの速度が高速のとき、およびインペラーとカニューレとが動水力(hydraulic force)の作用を受けるときに、有利であり得る。開示されている支持体は、さまざまな実施形態において、さまざまな条件の下でカニューレとインペラーとの間の間隔を維持する働きをし得る。この支持構造体は、インペラーとカニューレのうちの一方または両方がポンプを挿入できるようにつぶれるか、または圧縮される実施形態に対して特に問題となる。さらに、再封止可能な先端部は、インペラーの遠位端の近くに配置され得る。再封止可能な部材は、ガイドワイヤ誘導管および/またはガイドワイヤがポンプから引き出されるときに、ガイドワイヤ誘導管を封止するように構成され得る。
【0018】
I.カテーテルポンプのシステムおよび方法
図1図4は、高い性能の流量をもたらすことができるカテーテルポンプ10の一実施形態の態様を示している。ポンプおよび関連コンポーネントのさまざまな追加態様は、その全体の内容があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,393,181号、米国特許第8,376,707号、米国特許第7,841,976号、米国特許第7,022,100号、および米国特許第7,998,054号、ならびに米国特許出願公開第2011/0004046号、米国特許出願公開第2012/0178986号、米国特許出願公開第2012/0172655号、米国特許出願公開第2012/0178985号、および米国特許出願公開第2012/0004495号で開示されているものに類似する。それに加えて、本出願には、参照により、またあらゆる目的のために、以下の同時に提出された出願のそれぞれにおいて開示されている主題全体が組み込まれる。
米国特許出願第61/780,656号:2013年3月13日出願、整理番号THOR.084PR2に対応、名称「FLUID HANDLING SYSTEM」;
米国特許出願第13/801,833号:2013年3月13日出願、整理番号THOR.089Aに対応、名称「SHEATH SYSTEM FOR CATHETER PUMP」;
米国特許出願第13/802,570号:2013年3月13日出願、整理番号THOR.090Aに対応、名称「IMPELLER FOR CATHETER PUMP」;
米国特許出願第13/801528号:2013年3月13日出願、整理番号THOR.092Aに対応、名称「CATHETER PUMP」;
米国特許出願第13/802468号:2013年3月13日出願、整理番号THOR.093Aに対応、名称「MOTOR ASSEMBLY FOR CATHETER PUMP」
【0019】
A.カテーテルポンプシステム
ポンプ10は、コントローラ22によって駆動されるモーターを備える。コントローラ22は、モーター14、および輸液の流れをポンプ10内に供給する輸液注入システム26の動作を指令する。モーター14と結合され得るカテーテルシステム80は、その遠位部分内にインペラーを収納する。さまざまな実施形態において、インペラーは、ポンプ10が動作しているときにモーター14によって回転される。例えば、モーター14は患者の体外に配置され得る。いくつかの実施形態において、モーター14はコントローラ22から隔てられ、例えば患者により近い位置に留置される。他の実施形態では、モーター14はコントローラ22の一部である。さらに他の実施形態では、モーターは、患者体内に挿入可能なように小型化される。このような実施形態では、駆動軸をかなり短く、例えば、大動脈弁から大動脈弓までの距離より短く(約5cm以下に)することができる。小型化されたモーターを使用するカテーテルポンプおよび関連コンポーネントおよび方法のいくつかの例は、それらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,964,694号、米国特許第6,007,478号、米国特許第6,178,922号、および米国特許第6,176,848号で説明されている。
【0020】
図2は、心臓周期の全段階において、通常の心拍出量に達する、また場合によっては通常の心拍出量を超える心拍出量を含む、微小血管の経皮的デリバリーおよび高い性能を容易に得られるようにする特徴を示している。特に、カテーテルシステム80は、カテーテル本体部84および鞘アセンブリ88を備える。血流アセンブリ92の一実施形態は、カテーテル本体部84の遠位端と結合される。血流アセンブリ92の少なくとも一部は、拡張可能および折り畳み可能である。例えば、血流アセンブリ92は、拡張可能および折り畳み可能なカニューレを備えることができる。カニューレは、超弾性材料から形成することができ、いくつかの実施形態では、さまざまな形状記憶材料特性を有することができる。血流アセンブリ92は、拡張可能および折り畳み可能なインペラーも備えることができる。カニューレおよびインペラーは、以下でさらに詳しく説明される。折り畳まれた状態では、カテーテルシステム80の遠位端は、心臓に、例えば動脈を通して送り込まれ得る。拡張状態では、血流アセンブリ92は、高流量で血流をポンプで送り出すか、または吐出することができる。図2図4は、一実施形態の拡張状態を示している。鞘アセンブリ88の細長い本体部96の遠位端94を血流アセンブリ92のカニューレ上で遠位に送り込み、血流アセンブリ92を折り畳めるようにすることによって、折り畳まれた状態にすることができる。これは、小口径の、例えば、約12.5Frのカテーテルサイズのカテーテルアセンブリ80全体を通して外形を形成する。
【0021】
B.インペラーおよびカニューレの特徴、配備、および操作
図3A図3Cに関して、ポンプの動作デバイスは、1つまたは複数のブレード303を有するインペラー300を備えることができる。1つまたは複数のブレード303は、インペラーハブ301から延在し得る。インペラー300が確実に対象者(subject)体内に効果的に配備され得るようにしつつ心臓ポンプの流量を増加させることが望ましい場合がある。例えば、インペラーは、格納された配置または圧縮された配置で対象者体内に挿入されるように構成された1つまたは複数のブレード303を備えることができる。インペラー300が、所望の配置で、例えば図4に示されているような対象者の心臓の心腔内に位置付けされる場合、インペラー300のブレード303は、自己拡張して配備された配置または拡張された配置になることができ、ブレード303はハブ301から放射状に延在する。
【0022】
図3A図3Bに示されているように、インペラー300は、カニューレまたはハウジング202内に位置付けされ得る。ブレード303の自由端は、先端間隙Gだけハウジング202の壁Wから隔てられ得る。ハウジング202は、格納配置または圧縮配置、および配備配置または拡張配置を有することもできる。ハウジング202およびインペラー300は、鞘アセンブリ88内からの格納配置から拡張配置に配備することができる。このような実装では、鞘アセンブリ88は、ブレード303およびハウジング202が鞘アセンブリ88の内腔から付勢されるまでブレード303およびハウジング202を圧縮状態に保つことができる。ブレード303が鞘アセンブリから外されると、ブレード303は、鞘アセンブリ88内のブレード303の変形によるブレード303内に貯蔵される歪みエネルギーを使用し、自己拡張して配備配置をとることができる。拡張可能なハウジング202は、鞘から付勢された後に貯蔵されている歪みエネルギーを使用して自己配備することができる。
【0023】
格納配置では、インペラー300およびハウジング202は、好ましくは患者の脈管系内に経皮的に挿入するのに十分に小さい直径を有する。したがって、インペラー300およびハウジング202を、ハウジング202およびインペラー300が患者の静脈または動脈内に嵌合するような十分に小さい格納配置に折り畳めると有利であり得る。いくつかの実施形態において、したがって、インペラー300は、約8Frから約21Frまでのカテーテルサイズに対応する格納配置の直径を有することができる。一実装において、インペラー300は、約9Frのカテーテルサイズに対応する格納状態の直径を有することができる。他の実施形態では、インペラー300は、約12Frから約21Frまでの格納配置の直径を有することができる。例えば、一実施形態では、インペラー300は、約12〜12.5Frのカテーテルサイズに対応する格納配置の直径を有することができる。
【0024】
しかし、インペラー300が心腔内に位置付けされたときに、拡張配置または配備配置で可能な限り大きい直径を有するようにインペラー300を拡張すると有利であり得る。一般に、インペラー300の直径を大きくすると、有利には、ポンプを通る流量を増やすことができる。いくつかの実装では、インペラー300は、配備配置で約12Frより大きいカテーテルサイズに対応する直径を有することができる。他の実施形態では、インペラー300は、配備配置または拡張配置で約21Frより大きいカテーテルサイズに対応する直径を有することができる。
【0025】
さまざまな実施形態において、ポンプの動作が確実に対象者を傷付けないようにしつつ心臓ポンプの流量を高めることが重要な場合がある。例えば、心臓ポンプの流量を増やすと、患者体内の血液の循環を改善することによって患者のより良好な転帰が得られて有利であり得る。さらに、ポンプが対象者を傷付けることは回避すべきである。例えば、ポンプがポンプ内を流れる(例えば、カニューレ内を流れる)血液および流体に対する過剰な剪断応力を引き起こす場合、インペラーは血球に損傷、例えば、溶血を引き起こし得る。インペラーが多数の血球を損傷させる場合、溶血が対象者に対して負の転帰をもたらし得る。以下で説明されるように、さまざまなカニューレおよび/またはインペラーパラメータは、ポンプの流量さらには対象者の体内の状態に影響を及ぼし得る。
【0026】
ポンプ10は、作動すると、心臓から出て患者の脈管系を通る血液の流れを効果的に増大させることができる。本明細書で開示されているさまざまな実施形態において、ポンプ10は、最大流量(例えば、低いmmHg)として、4Lpmより大きい、4.5Lpmより大きい、5Lpmより大きい、5.5Lpmより大きい、6Lpmより大きい、6.5Lpmより大きい、7Lpmより大きい、7.5Lpmより大きい、8Lpmより大きい、9Lpmより大きい、または10Lpmよりも大きい流量を発生するように構成され得る。さまざまな実施形態において、ポンプは、平均流量として、2Lpmより大きい、2.5Lpmより大きい、3Lpmより大きい、3.5Lpmより大きい、4Lpmより大きい、4.25Lpmより大きい、4.5Lpmより大きい、5Lpmより大きい、5.5Lpmより大きい、または6Lpmより大きい流量を発生するように構成され得る。
【0027】
C.例示的な左心室補助用途
図4は、カテーテルポンプ10の一使用事例を示している。インペラーアセンブリ92を備えていてもよい、ポンプ10の遠位部分は、心臓の左心室(LV)から大動脈に血液を送り込むためにLV内に留置される。ポンプ10は、心臓性ショック、心筋梗塞、および他の心臓状態を含む、さまざまな状態にある患者を治療し、また経皮冠動脈インターベンションなどの手技で患者を補助するためにもこの方法で使用され得る。心臓内にポンプ10の遠位部分を留置する有利な一方法は、セルジンガー法または心臓専門医に馴染みのある他の方法を使用して経皮的アクセスおよびデリバリーを行うものである。これらのアプローチにより、救急医療、カテーテルラボ、および他の外科手術を行わない周囲環境においてポンプ10を使用することができる。修正により、ポンプ10で心臓の右側を補助することもできる。右側補助に使用することが可能な例示的な修正は、デリバリー特徴部を用意すること、および/または静脈側から少なくとも1つの心臓弁を通して留置される遠位部分を整形することを含み、これはそれらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,544,216号、米国特許第7,070,555号、および米国特許出願公開第2012-0203056A1号などにおいて開示されている。
【0028】
II.遠位ベアリングを支持するための構造体
少なくとも拡張可能なカニューレおよびインペラーを含む動作デバイスが、患者体内に位置付けされたとき、動作デバイスは曲げ荷重の作用を受ける可能性がある。動作デバイスが心腔内に配置される場合、曲げ荷重は鼓動している心臓または他の外部負荷の移動によって引き起こされ得る。インペラーのブレードと拡張可能なカニューレの内壁との間の間隙Gは、10000分の1インチ程度の、非常に小さな間隙であり得る。カニューレとインペラーブレードとの間の間隙が小さいので、曲げ荷重によって、インペラーが拡張可能なカニューレの内壁に接触するおそれがある。インペラーが高速で回転しているときにカニューレと接触すると、インペラーおよび/またはカニューレが損傷することもあり得る。それに加えて、例えば細胞がこれらのコンポーネントの間に捕らえられた場合、拡張可能なカニューレの壁に衝撃を与えるインペラーとの接触によって血球が損傷し得る。インペラーは高速回転しているので、ブレードとカニューレの内径との間の間隙が閉じられるのは、たとえ短い時間であっても望ましくなく、大量の血球が損傷するおそれがある。多数の血球への損傷を防止することは有利であり、カテーテルポンプシステムの使用の負の副作用を最小限度に抑えることによってシステムの侵襲性が低くなる。そのため、小さな「先端間隙」はポンプの性能を有利に改善し得るが、本明細書で開示されているポンプシステムは、一般的に心臓ポンプシステムにおいては望ましくない、有害事象(例えば、溶血および出血)の危険性を最小限度に抑えるように有利に構成される。
【0029】
A.改善された曲げ剛性を有する例示的な遠位ベアリング支持体
先端間隙を制御する一アプローチは、動作デバイスの曲げ剛性を改善することである。例えば、インペラーおよび/またはカニューレハウジングは、カニューレハウジングの内壁に関してインペラーブレードの移動を低減するように構成され得る。特に、動作デバイスの剛性を高めることで、インペラーがカニューレハウジングの方へたわむこと、および/またはカニューレハウジングがインペラーの方へたわむことを低減することができる。一アプローチでは、ポンプシステムは、インペラーがカニューレハウジングに関して、両方とも心室内で一緒に移動し得るとしても大きく移動することはないように構成される。さまざまな実施形態において、遠位ベアリング支持体は、インペラー軸の遠位部分の近くに配置、例えば、それに隣接して装着され得る。
【0030】
図5Aは、拡張配置または弛緩配置の支持部材を有する、一実施形態による、カテーテルポンプの動作デバイス500の側断面図である。図5Bは、図5Aの動作デバイス500の側断面図であり、支持部材はカニューレ内に配備されるものとして示されている。例えば、動作デバイス500は、カニューレハウジング502、カニューレハウジング502内に配置されているインペラー503、および動作デバイス500の曲げ剛性を改善するように構成された遠位ベアリング支持体501の一例を備えることができる。図5Aにおいて、拡張配置のカニューレハウジング502は、拡張カニューレハウジング502の直径を弛緩状態の遠位ベアリング支持体501の直径と比較するため輪郭として示されている。したがって、図5Aの配置(例えば、カニューレハウジング502の壁内を貫通するように遠位ベアリング支持体501を示している)は、例示のみを目的としていることを理解されたい。
【0031】
インペラー503は、インペラーハブ504およびハブ504から延在する1つまたは複数のブレード505を備えることができる。ハブ504は、ハブ504がインペラー軸506に関して回転可能に固定されるようにインペラー軸506に装着可能であり、例えば、ハブ504は軸506とともに回転する。本明細書で説明されているように、ブレード505の自由端とカニューレハウジング502の内壁との間の空間は、先端間隙Gを画成し得る。動作デバイス500が曲げ荷重の作用を受けると、ブレード505の自由端は、カニューレハウジング502の内壁と接触し得る。上で説明されているように、ブレード505の自由端とカニューレハウジング502との間に流れる血液は、ブレード505がカニューレハウジング502に衝撃を与えると損傷するおそれがあり、これは患者転帰に負の影響を及ぼし得る。
【0032】
図5Aに示されているように、遠位ベアリング支持体501は、インペラー軸506の遠位部分に結合された装着部分507、装着部分507に結合された支持部材508、および装着部分507の遠位に配置されている鼻状部材509(いくつかの配置構成ではキャップとも称される)を備えることができる。鼻状部材509は、支持部材508内に配置され、支持部材508に結合され得る。好ましくは、装着部分507、鼻状部材509、および支持部材508は、インペラー軸506に回転不可能に装着されるように構成される。例えば、インペラー軸506の遠位部分511上に配置された装着部分507の少なくとも近位部分510は、インペラー軸の外径より大きい内径を有することができる。したがって、インペラー軸506は、装着部分507に対して回転することができるが、装着部分507はインペラー軸506とともには回転しない。装着部分507とインペラー軸506との間の接合面の摩擦は、発熱およびインペラー軸506の遠位端511に印加されるトルクの抵抗を最小限度に抑えるように、比較的低いのが好ましい。
【0033】
遠位ベアリング支持体501の組み立ての際に、装着部分507は、インペラー軸506の遠位端511上を摺動し得る。上で説明されているように、装着部分507は、示されている実施形態ではインペラー軸506内に軸止され、例えば、インペラー軸506に関して回転可能でなく固定され得る。いくつかの実施形態において、インペラー軸506の遠位端511に工具を挿入して、遠位端511をラッパ状に広げ、装着部分507の近位部分510、例えば、ラッパ状に広がる遠位端511の近位でインペラー軸506の周りに位置する装着部分507の部分より広くすることができる。ラッパ状に広げられた遠位端511は、これにより、装着部分507が遠位に並進運動すること、およびインペラー軸506から係脱することを防ぐことができる。いくつかの実施形態において、装着部分507は、PEEKなどのポリマーから作製することができる。装着部分507は、インペラー軸506に関して固定されていないので、インペラー軸506は、装着部分507内で自由に回転することができる。さらに、いくつかの態様において、オプションのリング部材512を装着部分507とインペラー503との間のインペラー軸506の周りに位置付けすることができる。オプションのリング部材512は、インペラー503と装着部分507との間の接合面として働き、いくつかの実装では、テフロン(登録商標)(PTFE)または他の低摩擦材料から形成することができる。
【0034】
図5A図5Bに示されているように、支持部材508は、装着部分507の遠位部分513上に配置され得る。装着部分507の遠位部分513は、支持部材508と係合するための首付きまたは段付き領域を備えることができる。機械的接続部(mechanical connection)が、支持部材508と遠位ベアリング支持体501の回転可能に固定される別の部分との間に、例えば、支持部材508の近位部分と装着部分507との間に設けられ得る。例えば、装着部分507は、装着部分507の周上に位置付けされた1つまたは複数のバーブ(図示せず)を備えることができる。いくつかの実装では、バーブは、周上に120度おきに配置される。バーブは、支持部材508内の対応する溝と係合して、支持部材508を装着部分507に固定することができる。あるいは、バーブが支持部材508上に形成され、一実施形態において装着部分507内に入り込み、係合するように構成することも可能である。いくつかの配置構成では、接着接続部(adhesive connection)は、機械的接続部の代わりに、または機械的接続部に加えて装着部分507と支持部材508との間に設けられる。別の実施形態において、支持部材508および装着部分507は、一体の本体部の一部であり、円筒形前駆体(precursor)管から形成され得る。いくつかの実施形態において、支持部材は、ニチノールから形成され得る。
【0035】
鼻状部材509は、装着部分507の遠位に、また支持部材508の近位部分514内に位置付けされ得る。装着部分507と同様に、鼻状部材509は、それに加えて、またはその代わりに、支持部材508内の対応する溝と係合するための鼻状部材509の周上に(例えば、120度隔てられる)バーブ(図示せず)を備えることができる。鼻状部材509は、遠位ベアリング支持体501のゾーン内で、例えば、インペラー503の遠位でカニューレハウジング502を通る血液の流れを平滑化するように構成され得る。
【0036】
したがって、装着部分507は、インペラー軸506の周りに装着され(ラッパ状に広げられた部分511によって軸方向に拘束されているが、その他の点ではインペラー軸506から回転可能に分離されている)、支持部材508は、バーブを介して装着部分507に結合することができ、鼻状部材509は、追加のバーブを介して支持部材508に結合することができる。いくつかの実施形態においては、鼻状部分509および装着部分507の機能を併せ持つ単一の連続部材が設けられる。例えば、これらのコンポーネントは、支持部材が結合され得る一体のコンポーネントとして形成され得る。
【0037】
支持体508は、鼻状部材509および/装着部分507から遠位側に、または鼻状部材509および/装着部分507の遠位に延在する補強材構造体、例えば、骨格、鳥籠状のもの、または他の柔軟性を有する構造体を備えることができる。例えば、支持部材508は、半径方向外向きに拡張するように付勢される1つまたは複数のローブ516または指状部を備えることができる。図5Aに示されているように、支持部材508は、カニューレ502が動作可能配置(例えば拡張配置)をとっているとき、1つまたは複数のローブ516または指状部から自然な弛緩状態にあるインペラー軸506の縦軸方向射影位置までの半径方向距離が、カニューレ壁からインペラー軸506の縦軸方向射影位置までの半径方向距離より大きくなるようなサイズおよび形状を有し得る。ローブ516または指状部が拡張状態(例えば、図5Bのような)でカニューレ502とともにカニューレ502内に位置付けされたときに、指状部またはローブ516は、カニューレハウジング502の内壁に半径方向外向きの力を加えることができる。この半径方向外向きの力は、カニューレハウジング502の曲げ剛性を高めることができる。カニューレハウジング502の曲げ剛性を高めることによって、開示されている遠位ベアリング支持体501は、ポンプの動作中溶血が生じる危険性を低減することができる。
【0038】
図5A図5Bに示されているように、ローブ516は、支持部材508の近位部分514から延在する、細長い部材、例えば、細長いアーチ状部材または複合曲線部を備えることができる。ローブ516は、支持部材508の近位部分514とローブの自由端との間に、例えば、いくつかの配置構成では近位部分514の近くに配置された凹状部分522を備えることができる。凹状部分522は、カニューレ502の内部の方へ内向きに湾曲しているものとしてよい。さらに、ローブ516は、カニューレハウジング502の支持領域520と接触する凸状部分521を有することができる。凸状部分521は、いくつかの実施形態ではカニューレ502の壁の方へ外向きに湾曲しているものとしてよい。ローブ516の半径方向外向きの付勢力により、ローブ516の凸状部分521は、支持領域520でカニューレハウジング502に半径方向外向きの力を誘発することができ、この支持領域520において凸状部分521がカニューレハウジング502と接触することを理解されたい。
【0039】
カニューレハウジング502のさまざまな実施形態は、弾性フィルムによってコーティングされた金属材料のメッシュを含み得る。いくつかの場合において、凸状部分521によってカニューレハウジング502に対して印加される半径方向外向きの力は、金属メッシュおよび/または弾性被覆フィルムを変形させるか、または他の何らかの形で損傷し得る。カニューレハウジング502の変形および/または弾性フィルムへの損傷を防ぐために、いくつかの実施形態では、金属メッシュの、凸状部分521と接触するカニューレ壁の支持領域520をカニューレハウジング502の他の場所よりも高密度にすることができる。凸状部分521の近くの支持領域520のところに金属材料を追加することで、ハウジング502および/またはフィルムの望ましくない変形を防ぐためにハウジング502および弾性フィルムのさらなる支持を行うことができる。
【0040】
示されている実施形態では、支持部材508は花の形に配備され、例えば、ローブ516は、花弁の形状、および/または非平面状複合曲線または同型形状を形成し得る。例示的な実施形態は、4つのローブ516を有する。それぞれのローブ516は、一対の近位ストラット523と一対の遠位ストラット524とによって形成または画成され得る。図5Bに示されているように、例えば、それぞれの近位ストラット523は、支持部材508の近位部分514と結合されるか、または支持部材508の近位部分514とともに形成され得る。近位ストラット523は、装着部分507および/または鼻状部材509の周上で離間して配置され得る。近位ストラット523の遠位端は、図5A図5Bに示されているように、遠位ストラット524の近位端に結合することができる。遠位ストラット524の遠位端は互いに結合され得る。図5Bに示されているように、例えば、ローブ516の凸状部分521は、遠位ストラット524の近位端と遠位端との間に配置され得る。
【0041】
図5Bに示されているように、例示的なローブ516のそれぞれの遠位端515は、カニューレハウジングと略平行に延在し、その先端部のところでインペラー軸の方へ内向きにわずかに湾曲しており、エッジがカニューレハウジング502内に切り込むのを回避することができる。さらに、ローブ516または指状部の外側湾曲面は、カニューレハウジング502の内面に堅く固定されないが、その代わりに、両者の間の相対移動が可能であるものとすることができる。この相対移動により、カテーテルポンプシステムの動作デバイスの拡張および折り畳みがより容易に行える。本明細書の説明から、支持部材508の格納配置および配備配置を用途に応じて、さまざまな例において、インペラーおよびカニューレハウジングの設計に基づき修正され得ることは理解されるであろう。
【0042】
B.操縦性を高めた例示的な遠位ベアリング支持体
図5A図5Bの遠位ベアリング支持体は、有利にはカテーテルポンプシステムの動作デバイスを堅くすることができるが、支持部材は、インペラー軸(および/またはインペラー)の遠位端を超えて遠位に延在する。堅い支持部材は、インペラーおよび/またはインペラー軸の遠位端を超えて延在するので(例えば、インペラー軸の遠位端から軸方向にずれているので)、インペラーの近位部分から支持部材の遠位端まで延在するカテーテルポンプの長さ部分は、比較的高い曲げ剛性を有し得るが、それは、この部分が支持部材に加えて比較的堅いインペラーを含むからである。この長さ部分は、「硬性区間(stiff length)」と称され得る。硬性区間が長いと、カテーテルポンプ(動作デバイス)がアーチ状の大動脈弓内に押し通されるときに操縦性を損なうおそれがあるため不利な場合がある。したがって、動作デバイスが心腔、例えば、左心室内もしくはその近くに位置付けされるときに高い曲げ剛性をそのまま維持しながらカテーテルポンプの「硬性区間」の長さを縮めることが望ましい場合がある。
【0043】
1.動作デバイスの操縦性を高めるための例示的な遠位ベアリング支持体
図6Aは、拡張配置または弛緩配置の支持部材を伴う、別の実施形態による、カテーテルポンプの動作デバイス600の側断面図である。図6Bは、図6Aの動作デバイス600の側断面図であり、支持部材はカニューレ内に配置されるものとして示されている。断りのない限り、図6A図6Bの参照番号は、図5A図5Bに関して100ずつ増分される、図5A図5Bにおいて上で参照されているものと類似のコンポーネントを参照するものとしてよい。例えば、動作デバイス600は、カニューレハウジング602、カニューレハウジング602内に配置されているインペラー603、および動作デバイス600の曲げ剛性および操縦性を改善するように構成された遠位ベアリング支持体601の別の例を備えることができる。インペラー603は、インペラー軸606上に装着されたインペラーハブ604およびハブ604から延在する1つまたは複数のブレード605を備えることができる。上の図5Aと同様に、図6Aは、例示のみを目的として弛緩状態にある遠位ベアリング支持体601を示している。
【0044】
図5A図5Bのように、遠位ベアリング支持体601は、血液の流れを滑らかにするように構成された鼻状部材609またはキャップを備えることができる。それに加えて、遠位ベアリング支持体601は、カニューレハウジング602内に位置付けされたときに半径方向外向きの付勢力で半径方向外向きに延在する複数のローブ616を有する支持部材608を備えることができる。図5A図5Bのように、ローブ616は、凹状部分622と支持領域620のところでカニューレハウジング602のメッシュに接触する凸状部分621とを備えることができる。さらに、ローブ616は、一対の個別の近位ストラット623および遠位端で結合する一対の遠位ストラット624を備えるアーチ状部材を備えることができる。
【0045】
しかしながら、図5A図5Bの遠位ベアリング支持体501とは異なり、図6A図6Bの遠位ベアリング支持体601は、ポンプが心腔内に位置付けされるときには曲げ剛性を高める一方、硬性区間を短縮することができる。図6A図6Bに例示されているように、少なくとも支持部材608の近位部分614は、図5Aの実施形態のように、インペラー軸506の遠位端511から軸方向にずれるのとは反対に、インペラー軸606と軸方向で重なる。別の言い方をすると、図5Aの実施形態ではインペラー軸506の最も遠位の面(例えば、遠位端511)と支持部材508の最も近位の面との間に軸方向間隙または間隔が設けられるが、図6Aの実施形態ではインペラー軸606の最も遠位の面611と支持部材608の最も近位の面との間に軸方向間隙が設けられていない。これにより、堅い部分の長さ(例えば、「硬性区間」)は、図5A図5Bの実施形態と比較して短縮され得る。実際、図6A図6Bの支持部材608は、インペラー軸606の遠位端611を超えて遠位に延在するが、この延在は図5A図5Bの支持部材508より短いので、動作デバイス600の剛性は、図6A図6Bの実施形態の場合よりも小さいものとしてよい。図6の動作デバイス600は、したがって、挿入時に大動脈弓上で容易に操縦することができる。
【0046】
例えば、図6Aでは、装着部分607(例えば、接合材料)は、インペラー軸606上に位置付けされ、例えばその周りに形成されて、軸606と堅く結合することができる。いくつかの実施形態において、装着部分607は、インペラー軸606上に付与可能であり且つ軸606とともに回転可能であるPEEK熱収縮材料を備えることができる。例えば、熱収縮材料は、例えば、鋳込成形によって、インペラー603を形成する前に付与することができる。鼻状部材609は、インペラー軸606に成形され得る。いくつかの実施形態において、インペラー軸606の遠位端611は、軸606への鼻状部材609の固定を強化するための係合特徴部632を備えることができる。係合特徴部632は、例えばレーザードリル加工によって形成された、周上の陥凹部または穴を備えることができる。鼻状部材609が遠位端611上に成形されるとき、鼻状部材609の一部が周上の穴の中へリフローし、鼻状部材609をインペラー軸606の遠位端611に固定するのを助けることができる。
【0047】
支持部材608の近位部分614は、装着部分607上に装着され、支持部材608をインペラー603に固定することができる。いくつかの実施形態において、ニチノール支持部材608は、支持部材608の近位端614を膨張させるために冷却され、これにより、近位端614を装着部分607上に付勢することができる。支持部材608が室温に戻ると、ニチノールはその元のサイズに戻ることができる。支持部材608の近位端614は、支持部材608の近位端614上で互いに離間して周上に配置されている1つまたは複数の溝を備えることができる。1つまたは複数の溝のそれぞれは、支持部材608の最も近位の側から遠位に延在し、より広いホール領域(hole region)のところで終端することができる。溝は、支持部材608の近位端部分614の厚みを貫通するように形成され得る。いくつかの実施形態において、溝は支持部材608の近位端部分614の厚み全体を貫通するが、他の実施形態では、溝は厚みの一部のみを貫通し得る。これらの溝を使用して、支持部材608が装着部分607に結合するように鼻状部材609上に付勢されるとき、支持部材608の近位端614を膨張させるか、またはラッパ状に広げることができる。このように膨張させることまたはラッパ状に広げることは、鼻状部材609上に支持部材608を装着するのを有利に支援することができる。装着部分607(インペラー軸606とともに回転する)は、支持部材608の近位端614の範囲内で自由に回転することができる。上記のように、支持部材608は、曲げ剛性を高めることができる。それに加えて、本明細書で説明されているように、支持部材608は、動作デバイス600の硬性区間を短縮することによって動作デバイス600の操縦性を改善することができる。
【0048】
2.封止可能なガイドワイヤ内腔を備える例示的な操縦性を有する遠位支持体
図6A図6Bに示されている遠位ベアリング支持体601は、曲げ剛性の向上および硬性区間の短縮をもたらし得るが、図6A図6Bの実施形態には潜在的な問題が少々存在し得る。例えば、図6A図6Bの成形された鼻状部材609は、ポンプの動作時に損傷を受けやすく、さまざまな動作または環境条件の下で鼻状部材609がインペラー軸606を折ってしまうおそれがある。さらに、図6A図6Bの実施形態では、支持部材608は、遠位方向で軸方向に並進運動することができ、これにより、支持部材608が遠位に並進運動するときに鼻状部材609に当たって動かなくなるおそれがある。支持部材608が鼻状部材609に圧接すると、鼻状部材609が壊れるか、またはその結果生じる遠位方向への力がインペラー軸606の回転を遅くするか、もしくは停止させるおそれもある。
【0049】
さらに、動作デバイスを心臓に送り込むためにセルジンガー挿入法が使用される場合、ガイドワイヤおよびガイドワイヤ誘導管が使用され得る。例えば、ガイドワイヤ誘導管は、カテーテルポンプの中心内腔に通して配置され得る。臨床医は、ガイドワイヤ誘導管にガイドワイヤを通し、ガイドワイヤを心臓に送り込むことができる。動作デバイスをガイドワイヤで送り込み、心臓に入れた後、ガイドワイヤおよびガイドワイヤ誘導部をカテーテルポンプから取り外すことができる。ガイドワイヤ誘導管および/またはガイドワイヤが鼻状部材609の遠位部分を通って引っ込められるとき、遠位部分が、インペラー軸を通して内腔を適切に再封止しない場合がある。したがって、再封止可能な鼻状部材を実現する改善された遠位ベアリング支持体、および改善された支持部材が必要である。
【0050】
図7Aは、拡張状態もしくは拡張配置または弛緩状態もしくは弛緩配置の支持部材を伴う、別の実施形態による、カテーテルポンプの動作デバイス700の側断面図である。図7Bは、図7Aの動作デバイス700の側断面図であり、支持部材はカニューレ内に配置されるものとして示されている。断りのない限り、図7A図7Bの参照番号は、図6A図6Bに関して100ずつ増分される、図5A図5Bおよび図6A図6Bにおいて上で参照されているものと類似のコンポーネントを参照するものとしてよい。例えば、動作デバイス700は、カニューレハウジング702、カニューレハウジング702内に配置されているインペラー703、および動作デバイス700の曲げ剛性および操縦性を向上させるように構成された遠位ベアリング支持体701の別の例を備えることができる。インペラー703は、インペラー軸706上に装着されたインペラーハブ704およびハブ704から延在する1つまたは複数のブレード705を備えることができる。上の図5Aと同様に、図7Aは、例示のみを目的として弛緩状態にある遠位ベアリング支持体701を示している。
【0051】
それに加えて、図5A図5Bおよび図6A図6Bのように、遠位ベアリング支持体701は、血液の流れを滑らかにするように構成された鼻状部材709またはキャップを備えることができる。遠位ベアリング支持体701は、インペラー軸706に装着するように構成された装着部分707、および装着部分に結合された支持部材708も備えることができる。支持部材708は、カニューレハウジング702内に位置付けされたときに半径方向外向きの付勢力で半径方向外向きに延在する複数のローブ716を有することができる。ローブ716は、凹状部分722と支持領域720のところでカニューレハウジング702のメッシュと接触する凸状部分721とを備えることができる。さらに、ローブ716は、一対の個別の近位ストラット723および遠位端で結合する一対の遠位ストラット724を備えるアーチ状部材を備えることができる。それに加えて、ガイドワイヤ誘導管750は、インペラー軸706を通過することができる。上で説明されているように、ガイドワイヤは、ガイドワイヤ誘導管に通して、患者の解剖学的構造部位に送り込むことができる。図6A図6Bと同様に、支持部材708の近位部分714は、インペラー軸の遠位端711と重なり、動作デバイス700の硬性区間を短縮することができる。
【0052】
支持部材708は、最初は、インペラー軸706の遠位部分711上に緩く装着され得る。スペーサーまたはワッシャー756(例えば、ニチノールから形成されている)は、支持部材708の近位端部分714のところに、またはその近くに形成され、これにより、支持部材708の軸方向の遠位方向運動を防ぐことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ワッシャー756を支持部材708の近位端714に溶接することができる。装着部分707は、いくつかの実施形態において支持部材708内のインペラー軸706に装着部分707が軸706とともに回転するように接着されるか、または他の何らかの方法で固定され得る。他の実施形態では、インペラー軸706は、装着部分707に関して自由に回転することができるものとしてよい。インペラー軸706の遠位端711のところにオプションとしてラッパ状に広がる部分を形成して(図5Aのように)、装着部分707が軸706に関して遠位方向に並進運動するのを防ぐことができる。ラッパ状に広がる部分を備えることができる、インペラー軸の遠位端711は、装着部分707(例えば接合部材(an interface member))の拡大遠位部分の陥凹部に配置され得る。示されているように、装着部分707の近位部分は、支持部材708の近位部分714の近くのインペラー軸706の周りに配置されたブッシング部分を備えることができる。インペラー軸706の遠位端711のラッパ状に広がった部分は、ブッシング部分より大きい直径を有することができる。
【0053】
再封止可能な部材754、すなわち隔壁は、装着部分707の遠位端760の近くの段付き領域または陥凹部に挿入され、例えば、インペラー軸706の遠位端711が配置される拡大部分の遠位に配置されている拡大部分内に挿入され得る。再封止可能な部材754は、ガイドワイヤおよび/またはガイドワイヤ誘導部分750(例えば、ステンレス鋼から作られる)が取り外されるときに形成される開口を再封止するために使用することができる。例えば、装着部分707は再封止可能な部材754を圧迫して、再封止可能な部材754を半径方向内向きに圧縮するか、または力を加えることができ、それにより、再封止可能な部材754は予荷重を受け、ガイドワイヤ誘導部分750および/またはガイドワイヤが取り外されるときに内腔を再封止する。いくつかの実施形態において、再封止可能な部材754は、インペラー軸706および/または装着部分707に関して回転することができない。他の実施形態では、封止可能な部材754は、装着部分707とともに回転することができる。再封止可能な部材754は、自己回復ポリマーおよび/または高デュロメータポリマー、またはガイドワイヤ誘導部分750を再封止するのに適した他の任意のポリマーとすることができる。図7A図7Bに示されているように、再封止可能な部材754は、装着部分707(例えば接合部材)の遠位部分の段付き領域または陥凹部のインペラー軸706の遠位に配置され得る。それに加えて、遠位端711のところのラッパ状に広がった部分は、再封止可能な部材754を備える陥凹部に、またはその近くに配置され得る。
【0054】
鼻状部材709は、装着部分707の遠位端760内に取り付けることができる。鼻状部材709内のバーブは、装着部分707内に配置されている溝と係合し得る。鼻状部材709は、装着部分707に結合し、装着部分707は、インペラー軸706に結合するので、鼻状部材709および装着部分707は両方とも、インペラー703とともに回転することができる。支持部材708は回転可能に固定されたままとすることができ、そのため、支持部材708はインペラー703とともに回転しない。
【0055】
したがって、図7A図7Bの実装では、再封止部材(「隔壁」)も導入しながら硬性区間を短縮することで、セルジンガー法でガイドワイヤを使用した後にガイドワイヤ誘導管が引っ込められるときに形成される開口内に流体が流入するのを防ぐことができる。それに加えて、支持部材708の近位端に結合され得る、ワッシャー756が、支持部材708の遠位軸方向への並進運動を防ぐ。支持部材708を遠位方向に固定することによって、遠位ベアリング支持体701は、鼻状部材709を損傷し、および/または支持部材708の並進運動によりインペラー703が動かなくなってしまうのを回避することができて有利である。
【0056】
遠位インペラー支持体とともにカテーテルアセンブリを組み込むカテーテルポンプの修正が、右側支持体に使用され得る。例えば、インペラーおよび遠位ベアリング支持体を運ぶカテーテル本体部が、末梢血管アクセス部位と右心室との間を横断する血管系の形状に対応する配備形状を有するように形成され得る。本明細書の説明から、カテーテルアセンブリは所望の血管アプローチに適するように各解剖学的構造に基づき修正され得ることは理解されるであろう。例えば、挿入状態にあるカテーテルアセンブリは、鎖骨下動脈を通して心臓に導入する形状をとることができる。カテーテルポンプは、より小さい開口部を通して挿入され、右側支持体に対する平均流量がより低くなるように構成され得る。さまざまな実施形態において、カテーテルアセンブリは、病気のより重い患者および/またはより大柄の患者に対して流量を高めるようにスケールアップされる。
【0057】
本発明は、特定の実施形態を参照しつつ説明されているが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途を単に示すだけであることは理解されるであろう。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正がなされ得ること、また他の配置構成が添付の請求項によって定義されているように本発明の精神および範囲から逸脱することなく考案され得ることは理解されるであろう。したがって、本出願は、これらの実施形態およびその等価物の修正形態および変更形態をも対象とすることが意図されている。
【符号の説明】
【0058】
10 カテーテルポンプ
14 モーター
22 コントローラ
26 輸液注入システム
80 カテーテルシステム
84 カテーテル本体部
88 鞘アセンブリ
92 血流アセンブリ
94 遠位端
96 細長い本体部
202 ハウジング
300 インペラー
301 インペラーハブ
303 ブレード
500 動作デバイス
501 遠位ベアリング支持体
502 カニューレハウジング
503 インペラー
504 インペラーハブ
505 ブレード
506 インペラー軸
507 装着部分
508 支持部材
509 鼻状部材
510 近位部分
511 遠位部分
512 リング部材
513 遠位部分
514 近位部分
515 遠位端
516 ローブ
520 支持領域
521 凸状部分
522 凹状部分
523 一対の近位ストラット
524 一対の遠位ストラット
600 動作デバイス
601 遠位ベアリング支持体
602 カニューレハウジング
603 インペラー
604 インペラーハブ
605 ブレード
606 インペラー軸
607 装着部分
608 支持部材
609 鼻状部材
611 遠位端
614 近位部分
616 ローブ
620 支持領域
621 凸状部分
622 凹状部分
623 一対の個別の近位ストラット
624 一対の遠位ストラット
632 係合特徴部
700 動作デバイス
701 遠位ベアリング支持体
702 カニューレハウジング
703 インペラー
704 インペラーハブ
705 ブレード
706 インペラー軸
707 装着部分
708 支持部材
709 鼻状部材
711 遠位端
714 近位部分
716 ローブ
720 支持領域
721 凸状部分
722 凹状部分
723 一対の個別の近位ストラット
724 一対の遠位ストラット
750 ガイドワイヤ誘導管
754 再封止可能な部材
756 スペーサーまたはワッシャー
760 遠位端
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B