特許第6387393号(P6387393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387393
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20180827BHJP
   B01J 13/18 20060101ALI20180827BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20180827BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20180827BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180827BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C11B9/00 ZZNM
   B01J13/18
   C11D3/37
   C11D3/50
   C11D17/08
   A61K8/25
   A61K8/81
   A61Q13/00 102
【請求項の数】15
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-503876(P2016-503876)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-530982(P2016-530982A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】JP2014070409
(87)【国際公開番号】WO2015016368
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】13306093.9
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リバウト,ティファイン
(72)【発明者】
【氏名】ウォー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】フレイサー,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー,オリビエ
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−363537(JP,A)
【文献】 特開平06−254380(JP,A)
【文献】 特表2012−532741(JP,A)
【文献】 特開2003−284939(JP,A)
【文献】 特開2012−011384(JP,A)
【文献】 特表2002−516913(JP,A)
【文献】 特表2003−524689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02−13/22
C11B
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセルであって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更に
i)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜75質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリドである化合物(I)と、
ii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%の、(メタ)アクリル酸と、直鎖若しくは分岐鎖のC−C24多価アルコール及び/又はC−C24ポリエチレングリコールとのエステル化により得られるジ−又はポリエステルから選択されるポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)と、
iii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の0.01質量%〜10質量%の、モノメタクリルシランモノマー及びシラン連鎖移動剤から選ばれるシラン化合物である化合物(III)とを含む混合物を重合形態で含む、マイクロカプセル。
【請求項2】
化合物(II)が、マイクロカプセルが漏出試験製造手順に従って調製され、マイクロカプセルがフレグランスno.5を封入しており、漏出試験法に従い、試験液体基剤中、40℃で4週間の貯蔵により試験したときに、マイクロカプセルが35%未満のフレグランス漏出を示すようなものであり、試験液体基剤、漏出試験法、漏出試験製造手順、及びフレグランスno.5が実施例に定義されている、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
前記化合物(II)が、
A1.1モノマーあたり2個以上の(メタ)アクリレートエステル基、又は2個以上の(メタ)アクリレートアミド基を含み、かつ
B1.(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基の数で一度割ると、85を超え、135未満の値を与える分子量を有する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
前記化合物(I)が、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
前記化合物(I)が、
ia)配合の総質量の50質量%〜100質量%の、pH7及び20℃で2g/100mL以上の水への溶解度を有する中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)と、
ib)配合の総質量の0質量%〜50質量%の、他の中性のモノエチレン性不飽和モノマー(Ib)と、
ic)配合の総質量の0質量%〜15質量%の、イオン化した、若しくはイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマー(Ic)の配合である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
前記中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)が、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択される、請求項5に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
前記化合物(II)が、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及び1,3−プロピレングリコールジメタクリレートの1種以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
前記化合物(III)が、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はメタクリルオキシプロピルトリエトキシシランを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含有する水性分散液。
【請求項10】
ラテックス粒子の含有量が、マイクロカプセルとラテックス粒子の総体積に対して5体積%以下である、請求項に記載の水性分散液。
【請求項11】
摂取不可能な消費者製品、家庭用洗剤又は洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品である、請求項1〜のいずれか1項に記載のマイクロカプセル、又は請求項若しくは10に記載の水性分散液を含む製品。
【請求項12】
下記工程を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法:
a)油相及び水相を有する水中油型エマルションであって、5nm〜1μmの平均一次粒径を有するコロイドシリカ粒子、油溶性重合開始剤、フレグランスを含む香料組成物、請求項1〜のいずれか1項に記載された混合物、及び保護コロイドを混合することにより得られる水中油型エマルションを提供する工程、
b)工程a)で得られた水中油型エマルションの油相内で重合を誘発する工程;及び
c)重合を伝搬させてマイクロカプセルを得る工程。
【請求項13】
フレグランスを含む香料組成物を含んでいるマイクロカプセルの製造のための懸濁フリーラジカル重合法においてラテックス粒子の形成を低減するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子及びシラン化合物の配合の使用であって、シラン化合物がモノメタクリルシランモノマー及びシラン連鎖移動剤から選ばれる、使用。
【請求項14】
フレグランスを含む香料組成物を含んでいるマイクロカプセルの漏出を低減するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子及びシラン化合物の配合の使用であって、シラン化合物がモノメタクリルシランモノマー及びシラン連鎖移動剤から選ばれる、使用
【請求項15】
フレグランスを含む香料組成物をマイクロカプセル化するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子及びシラン化合物の配合の使用であって、シラン化合物がモノメタクリルシランモノマー及びシラン連鎖移動剤から選ばれる、使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセル、該マイクロカプセルの製造方法、並びに該マイクロカプセルを含む摂取不可能な消費者製品(例えば、家庭用洗剤、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品)に関する。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル重合によるマイクロカプセル化は、通常、封入される内部の疎水性相を水性の連続相が分散させた、エマルションの予備的形成を必然的に伴う。懸濁フリーラジカル重合においては、マイクロカプセルポリマー壁の形成は、エマルションの内相から2つの相の間の界面に移動するポリマー鎖の成長に依存する。このプロセスが完了すると、通常は、内相を封入したマイクロカプセルの分散液が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この方法を実施する場合、(不必要な)ラテックス粒子の形成を低減し、カプセルシェルの効率的な形成を実施することが望ましい。両側面は、一般的に複雑な化学的性質のために、フレグランスを扱う場合に特に困難な可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、摂取不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品、及び化粧品に含有させるのに適した、1種以上のフレグランスを含むマイクロカプセルを提供する。マイクロカプセルは、その後に硬化するポリマーシェル内にエマルション液滴が封入されるようにエマルションを重合させることによって、経済的かつ効率的な方法で得ることができる。
【0005】
本明細書は、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセルを開示する。マイクロカプセルは、例えば、貯蔵時、特に液体媒体中での貯蔵時に、フレグランスの漏出が減少しているというような有益な特性を付与する。また、本明細書は、pH非依存性特性を示す特定マイクロカプセルを開示する。多くの家庭用液体製品、洗濯用パーソナルケア製品及び化粧品、例えば柔軟仕上げ剤及び制汗剤(酸性のpH)又は液体洗濯洗剤及び硬表面洗浄剤(アルカリ性のpH)において見ることができるように、これは、例えば、マイクロカプセルが酸性(例えばpH2から)及びアルカリ性(例えばpH12以下)条件において良好なシェル特性を示し得ることを意味する。本明細書はまた、ラテックス粒子(すなわち、小さい固体ポリマービーズ)の量が特に低い、本明細書に記載されたフレグランス含有マイクロカプセルの分散液を開示する。本明細書はまた、本明細書で定義されているマイクロカプセル又は分散液の製造のための、容易かつ効率的な懸濁フリーラジカル重合法を開示する。本明細書はまた、懸濁フリーラジカル重合法の間に形成されるマイクロカプセル分散液の適切な均質性及び粘度を維持するための技術的解決法を開示する。本明細書はまた、本明細書で定義されているマイクロカプセル又は分散液を含む、摂取不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品を開示する。具体的には、本明細書は、例えば以下の点を開示する:
【0006】
1.ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセルであって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm(ナノメートル)〜1μm(マイクロメートル)の平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更に
i)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜75質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)である化合物(I)と、
ii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%の、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)と、
iii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の0.01質量%〜10質量%のシラン化合物である化合物(III)とを含む混合物を重合形態で含む、マイクロカプセル。
【0007】
2.ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセルであって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更に
i)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜75質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)である化合物(I)と、
ii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%の、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)と、
iii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の0.01質量%〜10質量%のシラン化合物である化合物(III)とを含む混合物を重合形態で含む、マイクロカプセルであって、
前記化合物(II)が、マイクロカプセルが漏出試験製造手順に従って調製され、マイクロカプセルがフレグランスno.5を封入しており、漏出試験法に従い、試験液体基剤中、40℃で4週間の貯蔵により試験したときに、マイクロカプセルが35%未満のフレグランス漏出を示すようなものであり、試験液体基剤、漏出試験法、漏出試験製造手順、及びフレグランスno.5が実施例に定義されている、マイクロカプセル。
【0008】
3.ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセルであって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm(ナノメートル)〜1μm(マイクロメートル)の平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更に
i)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜75質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)である化合物(I)と、
ii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%の、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリエチレン性不飽和モノマーであって、
A1.1モノマーあたり2個以上の(メタ)アクリレートエステル基、又は2個以上の(メタ)アクリレートアミド基を含み、かつ
B1.(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基の数で一度割ると、85を超え、135未満の値を与える分子量を有する化合物(II)と、
iii)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の0.01質量%〜10質量%のシラン化合物である化合物(III)とを含む混合物を重合形態で含む、マイクロカプセル。
【0009】
4.前記化合物(I)が、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記1〜3のいずれか1に記載のマイクロカプセル。
【0010】
5.前記化合物(I)が、
ia)配合の総質量の50質量%〜100質量%の、pH7及び20℃で2g/100mL以上の水への溶解度を有する中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)と、
ib)配合の総質量の0質量%〜50質量%の、他の中性のモノエチレン性不飽和モノマー(Ib)と、
ic)配合の総質量の0質量%〜15質量%の、イオン化した、若しくはイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマー(Ic)の配合である、前記1〜3のいずれか1に記載のマイクロカプセル。
【0011】
6.前記中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)が、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択される、前記5に記載のマイクロカプセル。
【0012】
7.前記化合物(II)が、(メタ)アクリル酸と、直鎖若しくは分岐鎖のC−C24多価アルコール及び/又はC−C24ポリエチレングリコールとのエステル化により得られるジ−又はポリエステルである、前記1〜6のいずれか1に記載のマイクロカプセル。
【0013】
8.前記化合物(II)が、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及び1,3−プロピレングリコールジメタクリレートの1種以上を含む、前記7に記載のマイクロカプセル。
【0014】
9.前記化合物(III)が、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はメタクリルオキシプロピルトリエトキシシランを含む、前記1〜8のいずれか1に記載のマイクロカプセル。
【0015】
10.前記1〜9のいずれか1に記載のマイクロカプセルを含有する水性分散液。
【0016】
11.ラテックス粒子を実質的に含まない、前記10に記載の水性分散液。
【0017】
12.摂取不可能な消費者製品、家庭用洗剤又は洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品である、前記1〜9のいずれか1に記載のマイクロカプセル、又は前記10若しくは11に記載の水性分散液を含む製品。
【0018】
13.下記工程を含む、前記1〜9のいずれか1に記載のマイクロカプセルの製造方法:
a)油相及び水相を有する水中油型エマルションであって、5nm〜1μmの平均一次粒径を有するコロイドシリカ粒子、油溶性重合開始剤、フレグランスを含む香料組成物、前記1〜9のいずれか1に記載に定義された混合物、及び保護コロイドを混合することにより得られる水中油型エマルションを提供する工程、
b)工程a)で得られた水中油型エマルションの油相内で重合を誘発する工程;及び
c)重合を伝搬させてマイクロカプセルを得る工程。
【0019】
14.フレグランスを含む香料組成物を含んでいるマイクロカプセルの製造のための懸濁フリーラジカル重合法においてラテックス粒子の形成を低減するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子及びシラン化合物の配合の使用。
【0020】
15.フレグランスを含む香料組成物を含んでいるマイクロカプセルの漏出を低減するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子及びシラン化合物の配合の使用。
【0021】
16.フレグランスを含む香料組成物をマイクロカプセル化するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子及びシラン化合物の配合の使用。
【発明の効果】
【0022】
1種以上のフレグランスを含むマイクロカプセルは、摂取不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品を含油させるのに適している。該マイクロカプセルは、その後に硬化するポリマーシェル内にエマルション液滴が封入されるようにエマルションを重合させることによって、経済的かつ効率的な方法で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特に明記しない限り、全ての割合は質量%である。
【0024】
特に明記しない限り、「1つ」(“an”又は“a”)は、1以上を意味する。
【0025】
特に明記しない限り、全ての化学用語は、A D McNaught and A Wilkinson Blackwell Scientific Publications Oxford 1997、及びIUPAC Nomenclature of Organic Chemistryにより編集され、Blackwell Scientific Publications Oxford 1993 ISBN 0632034882により発行された、IUPAC Compendium of Chemical Terminology第二版により定義された意味を有する。
【0026】
特に明記しない限り、「混合物」、「1つの混合物」又は「モノマー混合物」は、化合物(I)〜(III)を含む混合物を意味する。
【0027】
特に明記しない限り、モノマーと呼ばれる化合物は、フリーラジカル重合によって重合され得るモノマーである。
【0028】
特に明記しない限り、「ラテックス粒子」又は「ラテックス粒子形成」に対する言及は、重合の際にエマルションの水相中に形成されるラテックス粒子を意味すると理解すべきである。通常のラテックス粒子は5nm〜5μmの範囲の直径を有する。
【0029】
特に明記しない限り、「(メタ)アクリレート(又は「(メタ)アクリル」)は、メタクリレート(又はメタクリル)及び/又はアクリレート(又はアクリル)を意味する。例えば、それは、メタクリレート(又はメタクリル)を意味する。例えば、それはアクリレート(又はアクリル)を意味する。例えば、それは、メタクリレート(又はメタクリル)及びアクリレート(又はアクリル)を意味する。
【0030】
特に明記しない限り、メタクリレート及びアクリレートエステル基は、それぞれ85及び71質量単位の分子量を有し、下記構造を有する基である。
【0031】
【化1】
【0032】
前記式中、Aは、メタクリレートエステル基についてはCHであり、又はアクリレートエステル基についてはHである。
【0033】
特に明記しない限り、メタクリレート又はアクリレートアミド基は、それぞれ84及び70質量単位の分子量を有し、下記構造を有する基である。
【0034】
【化2】
【0035】
前記式中、Bはメタクリレートアミド基についてはCHであり、又はアクリレートアミド基についてはHである。
【0036】
特に明記しない限り、室温は20℃である。
【0037】
特定の物質、特に香料分子は、異なる異性体として(又は異なる異性体の混合物)として存在し得る。以下においては、特定の物質はそのCAS登録番号を用いて特定してもよい。これらの場合には、1つの異性体のCAS登録番号が報告される。しかし、特に明記しない限り、参考文献が、存在する全ての異性体を包含すると理解される。異性体純度が特定されているかどうかにかかわらず、いくつかの異性体を有する物質については、任意の異性体のCAS登録番号の使用、又は集合的なCAS登録番号は、特定の物質の可能な全ての異性体を包含するはずである。
【0038】
本明細書は、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含む、例えば、該香料組成物からなるマイクロカプセルを開示する。
【0039】
香料含有マイクロカプセルの製造方法は、例えば、Benita及びSimonにより編集された、MICROENCAPSULATION:Methods and Industrial Applications(Marcel Dekker,Inc.1996)、及びC.ThiesによるKirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology Microencapsulationに開示されている。フリーラジカル重合により得られるマイクロカプセルは、例えばカプセル化された香料の分野の研究者に周知であり、例えば、被験者に経口投与又は直腸投与するために薬学の分野で使用される、従来のシームレスソフトカプセル又はツーピースハードカプセル等の他の種類のカプセルとは構造的に(及び寸法的に)異なっている。
【0040】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、ヒト又は動物被験者に経口投与又は直腸投与することを意図していない。
【0041】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、約100nm〜800nm、例えば約200nm〜700nm、例えば約300nm〜600nmのシェル厚みを有している。
【0042】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、シェルに対する香料組成物の質量比が、50:1〜1:1、例えば30:1〜1:1、又は20:1〜1:1、例えば10:1〜1:1である。
【0043】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、実質的に球形であってもよい。
【0044】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、7.5ミクロン(7.5μm)以上、例えば10μm以上、例えば15μm以上、又は20μm以上、例えば25μm以上の平均粒径(体積中央粒径D(v;0.5))を有していてもよい。本明細書に開示されるマイクロカプセルは、60ミクロン(60μm)以下、例えば50μm以下、例えば45μm以下、例えば40μm以下の平均粒径を有していてもよい。本明細書に開示されるマイクロカプセルは、7.5ミクロン(7.5μm)〜60ミクロン(60μm)、7.5μm〜50μm、10μm〜50μm、7.5μm〜45μm、10μm〜45μm、15μm〜45μm、15μm〜40μm、20μm〜45μm、25μm〜45μm、25μm〜40μm、又は25μm〜35μmの平均粒径を有していてもよい。
【0045】
フリーラジカル重合により得られるマイクロカプセルは、通常は非常に小さい平均粒径を有する(例えば、約7ミクロン未満)。このサイズが効率的な重合に良好に対処し、その結果良好な特性を有するカプセルに導くという技術的信念によるものである可能性がある。同時に、平均粒径は最終的なカプセルの漏出に著しく影響しないとも考えられている。本出願人により得られた実験結果によれば、漏出の観点から利点をもたらし得る大きなサイズ、及び大きい平均粒径を標的とする場合には、重合による大きな問題に直面しないことが示された。黒い表面に沈着した場合に肉眼では見えない寸法を有するマイクロカプセルが望まれる場合、例えば、70ミクロン未満の平均粒径を標的とすることが推奨される。
【0046】
マイクロカプセルの平均粒径を測定するために、本明細書において使用される好ましい技術は、ISO 13320「粒径解析−レーザ回折法」に記載されている一般的ガイドラインに従い、例えば、Horiba(登録商標)若しくはMalvern(登録商標)レーザー散乱粒径分布分析装置、又は低角レーザー光散乱(LALLS)の原理で機能する同等の装置を使用する光散乱である。
【0047】
マイクロカプセルのポリマーシェルは、例えば動的光散乱により測定し、5nm(ナノメートル)〜1μm(マイクロメートル)の平均一次粒径を有する固体コロイド粒子(粒子状コロイドとしても知られている)を含む。マイクロカプセル製造のためのフリーラジカル重合は、一般に水中油型エマルションの初期形成を含む。粒子状のコロイドは、限定コアレッセンスにより安定化されたピッカリング水中油型エマルションを得ることを可能にする。ピッカリングエマルションの形成法は公知である。これは、例えば、Whitesides及びRoss,J.Interface Colloid Sci.196,48−59(1995)で議論されている。
【0048】
本明細書に開示されるマイクロカプセルの固体コロイド粒子を形成するのに適切に使用することのできる材料の例は、シリカ、石英、ガラス、アルミニウム(AIO(OH))、アルミノケイ酸塩(例えば、クレイ)、ケイ素、銅、スズ(SnO)、タルク、無機酸化物又は水酸化物(例えば、Fe、TiO、Cr)、鋼、鉄、アスベスト、ニッケル、亜鉛、鉛、大理石、チョーク(CaCO)、石膏(CaSO)、バライト(例えば、BaSO)、グラファイト及びカーボンブラックである。好ましい材料は、シリカ、アルミノケイ酸塩、及び無機酸化物又は水酸化物である。シリカは非常に好ましい材料である。
【0049】
本発明に適切な固体コロイド粒子は、表面を改質していても、又はしていなくてもよい。表面改質は、水相及び油相の界面を分割する能力を材料に与えるか、材料とマイクロカプセルポリマーシェルとの間の適合性を向上させることができる。表面改質の例としては、粒子の疎水性を増大し、又は低減するための化学処理が挙げられる。また、適切な界面活性特性を付与するために粒子表面に表面改質剤を吸着させることができる。また、粒子は、材料及びマイクロカプセルポリマーシェル間の適合性を向上させるカップリング剤により修飾することができる。粒子表面を改質するための技術は、例えば、「Nanoparticle Technology handbook」第1版、2007年、Application 41(第593頁〜596頁)、「Surface modification of inorganic nanoparticles by organic functional groups」で議論されている。改質された(並びに改質されていない)固体コロイド粒子は市販されている。
【0050】
適切なコロイド状シリカの例は、乾燥ヒュームドシリカ(例えばEvonik(登録商標)から提供されるAerosil(登録商標))、又は水性コロイド状シリカ分散液(Du Pont(登録商標)から提供されるLudox(登録商標)で市販されているもの等)であってもよい。乾燥シリカ粒子は、ヒュームドシリカ粒子又は縮合シリカ粒子であってもよい。ヒュームドシリカは、10μm〜100μmの範囲の液滴サイズのエマルションを安定させるのに特に適応される。より大きい液滴については、コロイド状シリカはより適している。ヒュームドシリカの適切なグレードは、Aerosil(登録商標)200(比表面積が200m/gの親水性ヒュームドシリカ)、BET比表面積が190±20m/gで、平均一次粒径が約12nmのAerosil(登録商標)R816であり、いずれもEvonik(登録商標)から入手可能である。
【0051】
固体コロイド粒子の量は、乾燥スラリーの質量の0.025質量%〜10質量%、例えば0.05質量%〜7.5質量%、例えば、0.1質量%〜5質量%、例えば0.2質量%〜3質量%、又は0.3質量%〜2%、又は0.3質量%〜1.2%、例えば0.6質量%であってもよい。
【0052】
固体コロイド粒子の使用は、単独では十分に満足なマイクロカプセルシェルをもたらすことはできない。本明細書に開示されるように、固体コロイド粒子及びシラン化合物の併用により、この効果が克服され、重合を阻害し得るフレグランスをマイクロカプセル化する場合でも、高品質のマイクロカプセルシェルを達成することが可能になる。次いで、これにより、最終的なマイクロカプセルの漏出に最終的に影響し得る。
【0053】
化合物(I)は、好ましくはモノエチレン性不飽和モノマーである。
【0054】
化合物(I)の適切な例は:
a)C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸、
b)C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のアミド;
c)一置換又は多置換されていてもよい、C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−C24の直鎖状又は分岐鎖アルキルエステル、及び
d)一置換又は多置換されていてもよい、C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−Cシクロアルキルエステルであり、ここで、任意の置換基は、−OH、−OR、−C(O)R、−NH、−NHR、−NR、−NR、−C−C芳香族環又芳香族複素環、及びC−C10のシクロ又は複素環アルキルである(RはC−Cアルキルである)。カルボン酸は、好ましくはメタクリル酸等のモノカルボン酸である。
【0055】
例えば、化合物(I)は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリルアミド、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフリル、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−エチル(2−オキソイミダゾリン−1−イル)メタクリレート、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びそれらの混合物から選択される。
【0056】
化合物(I)は、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びそれらの混合物、例えばメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0057】
化合物(I)は、メタクリル酸と、メタクリル酸メチル及び/又はエチルとの組み合わせであってもよい。この組み合わせは、混合物中、化合物(I)〜(III)の総質量の30質量%〜60質量%、例えば35質量%〜60質量%の量で使用することができる。この組み合わせにおいて、メタクリル酸は、混合物中、化合物(I)〜(III)の総質量の35質量%〜50質量%、例えば45質量%〜47質量%、メタクリル酸メチル又はエチルは、0質量%〜15質量%、例えば0質量%〜8質量%存在し得る。
【0058】
有利には、化合物(I)は、モノメタクリレート不飽和モノマーであり、これは、1個のメタクリレートエステル基を含むことを意味する。実際に、酸性又はアルカリ性pH、及び高温度の貯蔵に長時間さらすと、メタクリレートはアクリレートよりも加水分解を受けにくいことが示された。したがって、化合物(I)は、アクリル酸のC−C24アルキル若しくはC−Cシクロアルキルエステル、又はアミド等のアクリル酸誘導体を含まないことが有利である可能性がある。
【0059】
一実施態様では、混合物は、
化合物(I)及び(III)の総質量の、例えば30質量%〜60質量%、例えば35質量%〜60質量%の化合物(I)を含み、化合物(I)は、
ia)配合の総質量の50質量%〜100質量%、例えば60質量%〜100質量%、例えば70質量%〜100質量%の、20℃で2g/100mL以上の水への溶解度を有する中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)、
ib)配合の総質量の0質量%〜50質量%、例えば0質量%〜40質量%、例えば0質量%〜30質量%の、他の中性のモノエチレン性不飽和モノマー(Ib)、及び
ic)配合の総質量の0質量%〜15質量%、例えば0質量%〜5質量%の、イオン化した、若しくはイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマー(Ic)の配合である。
【0060】
モノマー(Ia)〜(Ic)の上記配合を採用することにより、家庭用液体製品、洗濯用パーソナルケア製品及び化粧品、例えば柔軟仕上げ剤及び制汗剤(酸性pH)、又は液体洗濯洗剤及び硬表面洗浄剤(アルカリ性pH)において通常に接触するpH範囲においてpH非依存的であるシェル特性を示すマイクロカプセルを得ることができる。例えば、このpH範囲は2〜12、例えば、4より大きく、例えば4〜12を含む。したがって、前記混合物を用いて得ることのできるマイクロカプセルを含む製品(後述する)は、室温で液体であり、例えば4を超える、例えば4を超え、12未満のpHを有することが特に有利である。
【0061】
本明細書において、また特に明記しない限り、「中性」は、モノメタクリレートモノマーがイオン化しないか、又は2及び12のpHで20℃にて脱イオン水中で測定したときにイオン化した量が20モル%未満であることを意味する。例えば、第4級アミン、例えば第4級アルキルアンモニウム塩等の持続的にイオン化される官能基を含まない場合、モノメタクリレートモノマーは中性である。例えば、中性モノメタクリレートモノマーは、そのプロトン化された種が約12.5を超える、例えば約12.7を超える、例えば約13を超える、例えば約13〜30のpKを有する官能基を含んでいてもよい。例えば、カルボン酸基、第1級又は第2級アミン基等の官能基を含まない場合、モノメタクリレートモノマーは中性である。また、中性のモノメタクリレートモノマーは、第1級アルコール、第1級又は第2級アミド又はエーテル基等の官能基を含んでいてもよい。
【0062】
モノマー(Ia)は、pH7及び20℃の水中で、2g/100mL以上、例えば3g/100mLを超える、例えば4g/100mLを超える、又は5g/100mLを超える溶解度を有する。モノマー(Ia)は親水性である。水溶性は、1995年7月27日に承認されたOECD法105−水溶性(化学物質の試験のためのOECDガイドライン)に従って、都合よく測定される。
【0063】
モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート、メタクリロニトリル、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、例えばPEG単位の平均数が3〜20、例えば5〜10のPEG300メタクリレートメチルエーテル、又は例えばポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(例えば、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;テトラエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;ペンタエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;デカエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;ペンタデカエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート)、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;PEG300メタクリレートメチルエーテル、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0064】
好ましくは、モノマー(Ia)は少なくとも2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む。例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートは、混合物中のモノマー(Ia)の、少なくとも10質量%、少なくとも20質量%、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%に相当し得る。モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートから構成されていてもよい。
【0065】
モノマー(Ib)は、モノマー(Ia)以外の、すなわち、モノマー(Ia)とは異なる中性のモノエチレン性不飽和モノマーである。中性は前述のように定義される。
【0066】
モノマー(Ib)の適切な例は:置換されていてもよい、C−Cのモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−C24の直鎖又は分岐鎖アルキルエステル、及び置換されていてもよい、C−Cのモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−Cのシクロアルキルエステルであってもよい。
【0067】
任意の置換基は、−OH、−OR、−C(O)R(ここで、RはC−Cアルキルである)であるが、好ましくは、モノ−又はポリカルボン酸はメタクリル酸である。
【0068】
モノマー(Ib)は、好都合なことに、2g/100mL未満のpH7及び20℃における水への溶解度を有していてもよい。モノマー(Ib)は、完全に水に不溶性である。モノマー(Ib)は疎水性のものである。水溶性は、1995年7月27日に承認されたOECD法105−水溶性(化学物質の試験のためのOECDガイドライン)に従って、都合よく測定される。
【0069】
モノマー(Ib)は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、モノ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、モノマー(Ib)は、メチルメタクリレート及び/又はエチルメタクリレートから選択することができる。
【0070】
好ましくは、モノマー(Ib)は少なくともメチルメタクリレートを含む。好ましくは、モノマー(Ib)は少なくともエチルメタクリレートを含む。例えば、メチルメタクリレート及び/又はエチルメタクリレートは、混合物中に存在する全てのモノマー(Ib)の総質量の、少なくとも10質量%、例えば少なくとも20質量%、例えば少なくとも30質量%、例えば少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、例えば少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%の量で存在していてもよい。モノマー(Ib)は、メチルメタクリレート及び/又はエチルメタクリレートから構成されていてもよい。
【0071】
モノマー(Ic)は、イオン化した、又はイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマーである。
【0072】
本明細書において、また特に明記しない限り、「イオン化した、又はイオン化し得る」は、モノマー(Ic)が持続的にイオン化しているか、又は2又は12のpHで20℃にて脱イオン水中で測定したときに20モル%より多くの量がイオン化していることを意味する。第4級アミン、例えば第4級アルキルアンモニウム塩等の持続的にイオン化している官能基を含む場合、モノマー(Ic)はイオン化した、又はイオン化し得る。例えば、モノマー(Ic)は、そのプロトン化された種が約12.5未満、例えば約11未満、例えば約10未満、例えば0〜10のpKを有する官能基を含んでいてもよい。例えば、イオン化した、又はイオン化し得るモノマー(Ic)は、カルボン酸基、スルホン酸基及び第1級若しくは第2級アミン基等の官能基を1つ以上含んでいてもよい。
【0073】
モノマー(Ic)の例は、(メタ)アクリル酸、3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、マレイン酸、イタコン酸、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−エチル(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)メタクリレート、及びそれらの混合物である。好ましい例は、メタクリル酸及び/又は3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドである。
【0074】
化合物(II)はポリエチレン性不飽和モノマーである。化合物(II)は、カプセルシェルの製造における、その架橋作用のため、架橋剤と呼ぶこともできる。
【0075】
化合物(II)は、ジ−又はポリ(メタ)アクリレートモノマーであってもよく、これは、化合物(II)が2個以上の(メタ)アクリレートエステル又はアミド基を含むことを意味する。
【0076】
(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミドの例は、メラミン及び(メタ)アクリル酸の反応により得られる、N,N−メチレンビス(2−メチル(メタ)アクリルアミド)、N,N−エチレンビス(2−メチル(メタ)アクリルアミド)及びアミドである。
【0077】
好ましくは、化合物(II)は、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステルからなる群から選択される。
【0078】
適切なジ−又はポリエステルは、メタクリル酸と、直鎖若しくは分岐鎖のC−C24多価アルコール、例えばC−C12のアルコール、又はC−C24、例えばC−C12のポリエチレングリコールとのエステル化により得られるものである。適切な多価アルコールは、約6000以下の数平均分子量を有するものであってもよい。適切なポリエチレングリコールは、約7500以下の数平均分子量を有するものであってもよい。多価アルコールは、有利にはジオールである。ポリエチレングリコールは、有利には、ジ−、トリ−、又はテトラ−エチレングリコールである。
【0079】
化合物(II)の例は、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート(分子量MW約226);1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(MW約226);ペンタエリスリトールトリメタクリレート(MW約340);グリセロールトリメタクリレート(MW約296);1,2−プロピレングリコールジメタクリレート(MW約212)、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート(MW約212)、エチレングリコールジメタクリレート(MW約198)、ジエチレングリコールジメタクリレート(MW約242);グリセロールジメタクリレート(MW約228);1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(MW約226)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(MW約338);エトキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(MW約585)、及びそれらの混合物である。好ましい例は、1,4−ブテレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物、例えば、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物である。
【0080】
化合物(II)は、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、又はジエチレングリコールジメタクリレート、例えば、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート及び/又はエチレングリコールジメタクリレート及び/又は1,3−プロピレングリコールジメタクリレートを含んでいてもよい。例えば、化合物(II)は、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレートを含むか、それから構成される。例えば、化合物(II)は、少なくともエチレングリコールジメタクリレートを含むか、それから構成される。例えば、化合物(II)は、少なくとも1,3−プロピレングリコールジメタクリレートを含むか、それから構成される。例えば、化合物(II)は、混合物中の化合物(II)の総質量の少なくとも10質量%、例えば少なくとも20質量%、例えば少なくとも30質量%、例えば少なくとも40質量%、又は少なくとも50質量%、又は少なくとも60質量%、又は少なくとも70質量%、例えば少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%の量で前記架橋剤を含んでいてもよい。
【0081】
一態様では、化合物(II)は(メタ)アクリル酸、好ましくはメタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステルであり、
A1.1モノマーあたり2個以上、例えば2〜6個、又は2〜4個、例えば2、3又は4個の(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基を含み、
B1.(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基の数で一度割ると、約85を超え、例えば約90を超え、約135未満、例えば約121未満の値を与えるMW(分子量、質量単位として表す)を有する。
【0082】
一実施態様では、化合物(II)は、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートの任意の1以上が除外されることを条件とし、前記条件A1及びB1を満たしている。
【0083】
一態様では、化合物(II)は、マイクロカプセルが一般的な製造手順に従って調製され、マイクロカプセルがフレグランスno.5を封入しており、漏出試験法に従い、試験液体基剤中、40℃で4週間の貯蔵により試験したときに、マイクロカプセルが約35%未満、例えば約28%未満、例えば約22%未満のフレグランス漏出を示すようなものであり、試験液体基剤、漏出試験法、一般的製造手順、及びフレグランスno.5は実施例に定義されている。
【0084】
一実施態様では、化合物(II)は、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートの任意の1以上が除外されることを条件とし、前記漏出条件を満たしている。
【0085】
化合物(II)は、化合物(I)〜(III)の総質量の30〜60質量%、又は35〜60質量%、又は40〜55質量%存在し得る。
【0086】
化合物(III)は、モノメタクリルシランモノマー及び/又はシラン連鎖移動剤であってもよい。
【0087】
適切なモノメタクリルシランモノマーは、式(X):
【0088】
【化3】
【0089】
前記式中、R1、R2及びR3の少なくとも2個がメトキシ又はエトキシであるという条件で、R1、R2及びR3はそれぞれ、メトキシ、エトキシ及びメチルからなる群から独立して選択され;Lはスペーサー基、例えばC−Cアルキルスペーサー基、例えばカルバメート(すなわち−OC(O)NH−)基を含むC−C直鎖状アルキルスペーサー基を有していてもよい。Lスペーサー基の例は、−(CH−、−(CH−及び−(CH−O−C(O)−NH−(CH−であってもよい。例えば、−(CH−スペーサー基が好ましい。
【0090】
適切なシリカ連鎖移動剤は、メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
【0091】
市販されている化合物(III)の例は:
i.メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン CAS登録番号2530−85−0;
ii.メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン CAS登録番号21142−29−0;
iii.メルカプトプロピルトリメトキシシラン CAS登録番号4420−74−0;
iv.o−(メタクリルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン CAS登録番号115396−93−5;
v.メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン CAS登録番号54586−78−6;
vi.(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン CAS登録番号121177−93−3;
vii.(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン CAS登録番号3978−58−3;及び
viii.それらの混合物である。
【0092】
例えば、化合物(III)は、少なくともメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はメタクリルオキシプロピルトリエトキシシランを含み、例えば、それらからなる。例えば、モノマー(III)は、少なくともメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含み、例えば、それからなる。例えば、モノマー(III)は、少なくともメタクリルオキシプロピルトリエトキシシランを含み、例えば、それからなる。
【0093】
モノマー(III)は、化合物(I)〜(III)の総質量の0.5〜10質量%、例えば0.5〜5質量%、又は1〜5質量%存在していてもよい。
【0094】
混合物は、化合物(I)〜(III)の総質量の、20〜60質量%、例えば35〜60質量%の化合物(I)、20〜70質量%、例えば35〜60質量%の化合物(II)、及び0.5〜10質量%、例えば0.5〜5質量%の(III)を含み、例えばそれらからなっていてもよい。
【0095】
例えば、シェルは、
i)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜60質量%、好ましくは30質量%〜60質量%の、メタクリル酸とメタクリル酸メチル又はエチルとの組み合わせである化合物(I);
ii)混合物中に化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%、好ましくは30質量%〜60質量%の、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物から選択されるモノマー等から選択される化合物(II);及び
(iii)混合物中に化合物(I)〜(III)の総質量の0.5質量%〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はメタクリルオキシプロピルトリエトキシシランである化合物(III)を含む混合物を重合形態で含む。
【0096】
例えば、シェルは、好ましくは
i)混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%、例えば30質量%〜60質量%の、
ia)配合の70質量%〜100質量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
ib)配合の0質量%〜30質量%の、メタクリル酸のC−C24直鎖状又は分岐鎖状アルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル及び/又はエチル;
ic)配合の0質量%〜5質量%のメタクリル酸及び/又は3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドの組み合わせの配合である化合物(I);
ii)混合物中に化合物(I)〜(III)の総質量の20質量%〜70質量%、例えば30質量%〜60質量%の、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物から選択されるモノマー等から選択される化合物(II);及び
(iii)混合物中に化合物(I)〜(III)の総質量の0.5質量%〜10質量%、例えば0.5〜5質量%の、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はメタクリルオキシプロピルトリエトキシシランである化合物(III)を含む混合物を重合形態で含み、好ましくはそれらからなる。
【0097】
混合物は、本明細書で定義するように、化合物(I)〜(III)から構成されていてもよく、これは、化合物(I)〜(III)の合計量が混合物の質量の100%になることを意味する。
【0098】
混合物は、本明細書で定義した化合物(I)及び(III)以外のモノエチレン性不飽和モノマーを実質的に含まない。
【0099】
混合物は、本明細書で定義した化合物(II)以外のポリエチレン性不飽和モノマーを実質的に含まない。
【0100】
混合物は、中性若しくはイオン化形態のいずれかで、カルボン酸(−COOH)基、及び/又は第1級若しくは第2級アミン基を含むアクリル酸等のモノマー;アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル;アクリル酸のC−C24アルキルポリ(例えば、ジ−、トリ−、テトラ−又はペンタ)エステル(架橋剤);カルボン酸無水物基(例えば、3〜20個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸の対称又は非対称分子間無水物)を含むモノマー;アルキレンビス(メタ)アクリルアミド基を含むモノマー(例えば、N,N’−非置換C1−18アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、又は直鎖若しくは環状のΝ,Ν’−置換C1−18アルキレンビス(メタ)アクリルアミドであって、置換基が、C1−8アルキル、C1−8ヒドロキシアルキル、又は2〜500個のアルキレン単位のポリオキシ(C1−4)アルキレン、又はそれが結合している窒素原子と一緒に5〜8員環を形成するアルキル置換基から選択される)の1以上を実質的に含まない。
【0101】
混合物は、好ましくは、アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル、及び/又はアクリル酸のC−C24アルキルポリエステルを実質的に含まない。例えば、好ましくは、混合物は、アクリル酸、アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル、アクリル酸のC−C24アルキルポリエステル及び(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルポリアミドを実質的に含まない。例えば、混合物は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル、アクリル酸のC−C24アルキルポリエステル、及び(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルポリアミドを実質的に含まない。
【0102】
本明細書において、また特に明記しない限り、実質的に含まないとは、混合物の総質量の5質量%未満、例えば1質量%未満、例えば0質量%を意味する。
【0103】
香料組成物は、通常、必ずしも心地よい香りを提供しないが、フレグランス、すなわち、嗅覚的に活性な(すなわち芳香性の)物質を意味する。
【0104】
香料組成物は、乾燥スラリーの質量の少なくとも50質量%、例えば少なくとも60質量%に相当し得る。香料組成物は、乾燥スラリーの質量の90質量%以下、例えば80質量%以下に相当し得る。特に明記しない限り、乾燥スラリーは、実施例において議論するように、以下に定義する固体含有量測定方法にマイクロカプセルスラリーを供することにより得られる生成物を意味する。
【0105】
本明細書に開示される香料組成物は、フレグランスを含み、例えばフレグランスからなり、また、香料的に許容される溶媒及び/又は有利な薬剤を含んでいてもよい。例えば、フレグランスは、香料組成物の総質量の少なくとも40質量%、例えば少なくとも60質量%、例えば少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%に相当し得る。香料組成物の残りは、以下に定義するような香料的に許容される溶媒、及び/又は有利な薬剤を表す。
【0106】
フレグランスは、単一の、通常は有機分子、又は異なる分子の混合物から構成されてもよい。以下、これらの分子を「香料分子」とも呼ぶ。
【0107】
香料の分野において通常に使用され、本明細書の目的に適切なフレグランスは、Allured Publishing Corp.により発行された、S.Arctander,Perfume Flavors and Chemicals 1969,Vols.I及びII, Montclair,N.J及びAllured’s Flavor and Fragrance Materials 2007 ISBN 978−1−93263326−9に更に詳細に開示されている。フレグランスという用語には、香料として使用されることが知られている、天然並びに合成化学物質の両者が含まれる。香料分子は、有利には、バランスのとれた揮発度/疎水性を示し、マイクロカプセルがフレグランスを放出する時に嗅覚が顕著になるだけでなく、カプセル化の際に乳化されるべくフレグランスを十分に水不溶性にする。
【0108】
香料組成物は、少なくとも2種、例えば少なくとも4種、又は少なくとも8種の異なるフレグランスを含んでいてもよい。
【0109】
例えば、フレグランスは、その組合せが−20℃〜120℃の温度で固液相変化を示さない、少なくとも2種の異なる香料分子を含んでいてもよい。
【0110】
フレグランスは、それぞれが100を超える、好ましくは125を超え、325未満、好ましくは300未満、好ましくは275未満の分子量を有する、1種以上の異なる香料分子を含んでいてもよい。フレグランスは、760mmHgで測定したときに、それぞれが約80℃〜400℃、例えば約100℃〜350℃の沸点を有する、1種以上の異なる香料分子を含んでいてもよい。香料分子は、20℃で1.5g/100mL以下の溶解度を有することが好ましい。例えば、本発明のフレグランスは、前記に定義した香料分子のフレグランスを総質量の少なくとも80質量%を含むことが可能である。例えば、フレグランス中に存在する全ての香料分子の総質量の少なくとも90質量%は、0.0005g/100mL、例えば0.002g/100mL〜1g/100mLの20℃における水溶性を有する1種以上の香料分子に相当し得る。
【0111】
従来の懸濁フリーラジカル重合の際に発生する可能性のある条件において、通常に使用される特定のフレグランスが、ラテックス粒子の不十分な形成及び/又は不完全なカプセルシェルの形成に有利に働くことが実験的にわかっている。本明細書に定義されたような、固体コロイド粒子及びシラン化合物の併用により、両方の望ましくない効果が低減し、その結果、多くの通常に使用されるフレグランスの十分なカプセル化を可能にすることがわかった。また、これにより、なお一層良好なマイクロカプセルシェルの形成(例えば、改善された抵抗性の付与)がもたらされ、最終的なマイクロカプセルの漏出が最終的に低減される。
【0112】
例えば、前記香料組成物を含むマイクロカプセルが、フレグランス試験製造手順に従って得られたときに(スパン比及び製造手順は本明細書の実施例にある)約1.3を超える、例えば約1.3を超え、5未満のスパン比を有するように、フレグランス(又はフレグランスの混合物)が香料組成物に含まれる場合に、利点が見出される。
【0113】
前記プロトコル(本明細書に定義された化合物(III)が使用されない)を容易に行い、結果を直接かつ容易に確認することができる。
【0114】
本明細書に包含される実施例に関し、前記範囲内にあるスパン比を示すマイクロカプセルは、1種以上以下の香料分子:cyclacet(CAS登録番号54830−99−8)、イソEスーパー(CAS登録番号54464−57−2 166090−45−5)、ヘプタン酸アリル(Allyl heptoate)(CAS登録番号142−19−8)、デルタダマスコン(CAS登録番号57378−68−4)、リナロール(CAS登録番号78−70−6)、酢酸リナリル(CAS登録番号115−95−7)、ピネンベータ(CAS登録番号127−91−3)、シトラール(CAS登録番号5392−40−5)、ジヒドロミルセノール(CAS登録番号:18479−58−8)、ゲラニオール(CAS登録番号:106−24−1)、脱鉄化した、天然のパチョリ油(patchouli oil de−ironized natural)(供給業者:Reynaud(商標),CAS登録番号:84238−39−1)、(E,Z)−2,6−ノナジエン−1−オール(CAS登録番号:28069−72−9)、ダマセノン(CAS登録番号:23726−93−4)、イソフレシャル(isofreshal)(CAS登録番号:68259−31−4)、バニトロープ(CAS登録番号:94−86−0)、サリチル酸ベンジル(CAS登録番号:118−58−1)、トリプラール(CAS登録番号:27939−60−2)、カプロン酸アリル(CAS登録番号:123−68−2)、イソシクロシトラール(CAS登録番号:1335−66−6)、ガルバスコーン(galbascone)BHT(CAS登録番号:56973−85−4,128−37−0)(供給業者:IFF)、アンブレトン(CAS登録番号:37609−25−9)、及びカラナル(CAS登録番号:117933−89−8)を含むフレグランスを封入した時に得ることができる。
【0115】
本明細書に開示される香料組成物に組み入れるためのフレグランスは、リモネン(CAS登録番号:5989−27−5)、カルボン(CAS登録番号:99−49−0、2244−16−8)、サフラン酸エチル(CAS登録番号:35044−57−6)、ミルセン(CAS登録番号:123−35−3)、ミルセノール(CAS登録番号:543−39−5)、酢酸ミルセニル(CAS登録番号:1118−39−4)、オイゲノール(CAS登録番号:97−53−0)、酢酸オイゲニル(CAS登録番号:93−28−7)、チャビコール(CAS登録番号:501−92−8)、エストラゴール(CAS登録番号:140−67−0)、アネトール(CAS登録番号:104−46−1)及びそれらの混合物からなる群から選択される香料分子を、25質量%未満、例えば15質量%未満、例えば5質量%未満含むように都合よく選択される。
【0116】
香料組成物は、香料的に許容される溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、フレグランス産業において、嗅覚的に強力な成分を希釈し、固体成分を溶解し、液体として取り扱うことによって固体成分の取り扱いを容易にするために、または単に単位質量あたりの全体のフレグランスの費用を低減するために希釈剤として慣習的に使用される。典型的には、適切な溶媒は水と混和しない溶媒、例えば水溶性が10g/L未満の溶媒である。香料的に許容される溶媒の例は、水不溶性炭水化物溶媒(例えば、ExxonMobilから得られるIsopar(登録商標)ファミリー)、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジアルキル、クエン酸エステル(例えば、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチル)及びフタル酸ジエチルである。存在する場合、水混和性溶媒(例えば、10g/100mLより大きい水溶性の溶媒)、例えば、プロピレングリコールジプロピレングリコール、及びブチレングリコールは、可能な限り低い濃度で添加すべきである。
【0117】
香料組成物は有益剤を含んでいてもよい。有益剤は、通常は、合成又は天然の起源を有する乳剤であり、家庭用製品、パーソナルケア製品又は化粧品等の、マイクロカプセルを含む製品の使用の際に利益を供給するために保存中に存在し続けることができる物質である。有益剤の例は:
リシノール酸亜鉛等の、においを吸着することにより、悪臭及びその知覚を抑制又は低減する薬剤、
オクタアセテートスクロース又はスクロースヘキサブチレートジアセテートのような、マイクロカプセルの物理化学的特性を改善する薬剤、
ヒドロキシ脂肪酸、又はAriZona Chemicalsから入手できるさまざまな範囲のSylvaclear(商標)等のゲル化剤、
シクロヘキサンカルボキシアミドN−エチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル);N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタマイド;乳酸メンチル;(−)−メントキシプロパン−1,2−ジオール等の加温効果又は冷却効果を付与する薬剤、
エチルブチルアセチルアミノプロピオン酸;Ν,Ν−ジエチルトルアミド;1−ピペリジンカルボン酸;2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル;p−メンタン−3,8−ジオール等の防虫剤、
CAS登録番号3380−34−5を有するトリクロサン(商標)化合物、又はメチル、エチル、プロピル及びブチルパラヒドロキシ安息香酸エステル等の抗菌剤、
メトキシ桂皮酸オクチル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等のUV吸収剤である。
【0118】
マイクロカプセルは、公知の様々な従来法、例えば、コアセルベーション、界面重合、フリーラジカル重合又は重縮合を用いて製造することができる。これらの技術は周知であり、例えば、米国特許第3516941号、米国特許第4520142号、米国特許第4528226号、米国特許第4681806号、米国特許第4145184号、英国特許出願公開第2073132号A;国際公開第99/17871号;並びにBenita及びSimon編集、MICROENCAPSULATION Methods and Industrial Applications(Marcel Dekker,Inc.1996)を参照されたい。
【0119】
有利には、本明細書に開示されたマイクロカプセルは懸濁フリーラジカル重合(すなわち、重合が油相内で誘発されるフリーラジカル重合)により製造される。したがって、本明細書は、下記工程を含む、前記マイクカプセルの製造のための懸濁フリーラジカル重合プロセスを開示する:
a)油相及び水相を有する水中油型エマルションであって、5nm〜1μmの平均一次粒径を有するコロイドシリカ粒子、油溶性重合開始剤、フレグランスを含む香料組成物、前記に定義された混合物、及び保護コロイドを混合することにより得られる水中油型エマルションを提供する工程、
b)工程a)で得られた水中油型エマルションの油相内で重合を誘発する工程;
c)重合を伝搬させてマイクロカプセルを得る工程。
【0120】
工程a)〜c)は、それらが示される順序で実施することができる。工程a)及びb)は、別個に又は連続した時間の順序に従って実施することができる。実際に、本明細書に開示されるエマルションはピッカリングエマルションであるので、(工程a)で)得られ、その後工程b)に進むか貯蔵されるのに十分な安定性が付与される。後者の場合には、工程b)は、工程a)が実施されるのと同一又は異なる位置(例えば、反応器)で実施することができ、及び/又は工程a)に関して別時間に実施することができる。したがって、工程a)の最後に得ることのできるエマルションは、必要に応じて分離し、及び/又は物理的に移動することができる。
【0121】
いかなる理論に拘束されることを意図しないが、界面重合、ラテックス形成、カプセルシェルの物理的抵抗、及びシラン化合物と固体コロイド粒子との化学的相互作用により起こるカプセル漏出に関して本明細書に開示される有益な効果は、水中油型エマルションの相界面に位置する新規な物理的実体の形成をもたらすと考えられている。
【0122】
マイクロカプセルは、重合工程により、都合よく製造される。重合は、従来のラジカル重合、リビングラジカル重合であってもよい。このようなラジカル重合プロセスは当業者に公知であり、Moad,Graeme;Solomon,David H.;The Chemistry of Radical Polymerization,第2版;Elsevier,2006に更に詳細に開示されている。
【0123】
リビングラジカル重合の議論は、Braunecker,Wade A.;Matyjaszewski,Krzysztof;”Controlled/Living Radical Polymerization: Features,Developments,and Perspectives”;Progress in Polymer Science 2007、Volume 32、第1版、93−146ページに見出すことができる。
【0124】
混合物のモノマーは前記に定義されている。前記に定義されたようなモノマー混合物を得るように、それらを秤量し、混合する。次いで、この混合物を、水中油型エマルションの製造に使用する。
【0125】
水中油型エマルション(工程a))は、油溶性成分を均質な溶液に混合及び溶解し、別に水溶性成分を均質な溶液に混合及び溶解することにより調製することができる。固体コロイド粒子は、通常、水溶液に混合する。エマルションは、例えば、的確な粒径の安定エマルションを生成するのに十分な時間、高せん断ミキサーを用いて2つの溶液を混合することにより得ることができる。同時に、エマルションを窒素又は他の不活性ガスでパージしてもよい。空気をいったん排除すると、温度が上昇することにより重合が熱により誘導される(工程b))。適確な温度及び温度の上昇割合は、使用される開始剤又は複数の開始剤の組み合わせにより決定される。通常は、重合温度は40℃〜90℃である。重合速度は、実験における特定のモノマー及び開始剤についての温度及び重合開始剤の使用量の適切な選択により、公知の方法により調節することができる。いったん重合温度に到達すると、更なる時間、例えば2〜6時間、重合が継続し、モノマーの反応が完了する(工程c))。
【0126】
例えば、油性均一溶液は、開始剤、香料組成物及び(単量体の)混合物を含んでいてもよいが、水性均一溶液は粒子状コロイドを含んでいてもよい。乳化剤(例えば保護コロイド)は、重合の誘発前に水中油型エマルションを更に安定させるために、安定なエマルションを形成した後に加えることができる。
【0127】
化合物(I)〜(III)の残存量を低減するために、重合の際に追加の水溶性開始剤を加えてもよい。添加量を調節するために、反応の過程において更なる化合物(I)から(III)を加えてもよい。例えば、pHを緩衝化するために塩を加えてもよい。
【0128】
エマルションは油溶性重合開始剤を含み、それ故、懸濁重合を実施するのに適している。前述したような、水溶性開始剤を加えてもよい。ラジカルは、ペルオキシ化合物及びアゾ化合物等の化合物の熱分解により、又はUV照射若しくはレドックス反応を用いる光分解により生成し得る。油溶性開始剤の例は:油溶性熱重合開始剤、及び/又は油溶性光重合開始剤、及び/又はラジカルを生成する還元剤/酸化剤の組み合わせを含む油溶性レドックス開始剤である。
【0129】
油溶性熱重合開始剤は、混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の0.1質量%〜5質量%の量で存在し得る。油溶性熱重合開始剤の例は、過酸化ジラウロイル、過酸化ベンゾイル、α,α’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾ−ビス−1−シクロヘキサンニトリル、ジ−tert−ブチルペルオキシド(CAS登録番号:75−91−2)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]及びそれらの混合物である。
【0130】
油溶性光重合開始剤は、混合物中に、化合物(I)〜(III)の総質量の0.5質量%〜5質量%の量で存在し得る。油溶性光重合開始剤の例は、アルファヒドロキシケトン、アルファアミノケトン、アルファ及びベータナフチルカルボニル化合物、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、キサントン、9,10−アントラキノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure(商標)184)及びそれらの混合物である。
【0131】
前記のように使用することができる水溶性開始剤の適切な例は、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(CAS登録番号:27776−21−2)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(CAS登録番号:2997−92−4)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(CAS登録番号:291314−39−1)、ペルオキソ二硫酸の塩、例えば過硫酸ナトリウム(CAS登録番号:7775−27−1)、過硫酸カリウム(CAS登録番号:7727−21−1)、過硫酸アンモニウム(CAS登録番号:7727−54−0)であり;酸化剤が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸クメン(CAS登録番号:80−15−9)、tert−ブチルヒドロペルオキシド(CAS登録番号:75−91−2)、及び過酸化水素(CAS登録番号:7722−84−1)等のペルオキソ二硫酸の塩から選択することができ、還元剤が、亜硫酸ナトリウム(CAS登録番号:7757−83−7)、メタ亜硫酸ナトリウム(CAS登録番号:7681−57−4)、アスコルビン酸(CAS登録番号:50−81−7)、亜ジチオン酸ナトリウム(CAS登録番号:7775−14−6)、並びに鉄塩及び銅塩から選択することができる、ラジカルを生成する還元剤/酸化剤の組み合わせであるレドックス開始剤である。
【0132】
保護コロイド及び/又は界面活性剤は、重合が起こる際の機械的撹拌によって形成される水中油型エマルションを安定化するために、乳化重合及び懸濁重合において慣習的に用いられる。
【0133】
適切な保護コロイドは、500〜1,000,000g/モル、例えば1,000〜500,000g/モルの平均分子量を有する。
【0134】
適切な水混和性ポリマー保護コロイドは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;N−ビニルピロリドンのコポリマー;ポリ酢酸ビニルの完全から部分的な加水分解により得られるポリビニルアルコール;ポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸;アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマー;スルホン酸基含有水溶性ポリマー(例えば、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸及びスチレンスルホン酸)等のイオン性コロイド;及びそれらの混合物である。
【0135】
有利には、保護コロイドは水溶性の保護コロイドである。好ましくは、これは、コロイドが20℃で、水中で少なくとも5g/Lの溶解度を有することを意味する。
【0136】
有利には、保護コロイドは、ポリ酢酸ビニルの完全から部分的な加水分解により得られたPVA等の少なくともポリビニルアルコール(PVA)を含む。
保護コロイドは、水中油型エマルションの水相の質量の0.1質量%〜10質量%の量で存在し得る。
【0137】
工程b)は、重合開始剤の分解を必然的に伴う。重合は、エマルションの油相で開始する。工程b)は、水中油型エマルションを熱に供し、及び/又は水中油型エマルションをUV光に供することを含んでいてもよい。
【0138】
本発明のマイクロカプセルは、その表面に(例えば、表面グラフトで)沈着補助剤、すなわち、マイクロカプセルの意図する基材への沈着を最適化することを目的とする補助剤を含んでいてもよい(基剤の例は、毛髪、皮膚、及び木綿等の織物である)。マイクロカプセルにおける沈着補助剤の例及び使用は、欧州特許第21558474号、欧州特許第1572767号、欧州特許第2188364号及び欧州特許第1019478号に開示されている。
【0139】
沈着補助剤は、マイクロカプセルの乾燥質量の0.1質量%〜10質量%の量で存在し得る。
【0140】
沈着補助剤は重合体沈着補助剤であってもよい。例は、合成若しくは天然のポリマー又はそれらの組み合わせである(例えば、天然ポリマーの部分的化学修飾による)。
【0141】
沈着補助剤は、意図する基材への結合を可能にするペプチド、タンパク質又はそれらの化学的誘導体を含む。例えば、セルラーゼは綿に結合するが、プロテアーゼは、羊毛、絹又は毛髪に結合する。
【0142】
沈着補助剤は、多糖類又はその化学的誘導体であってもよい。多糖類は、好ましくは[ベータ]−1,4−結合骨格を有する。多糖類の例は、セルロース、セルロース誘導体、ポリマンナン、ポリグルカン、ポリグルコマンナン、ポリキシログルカン及びポリガラクトマンナン等のセルロースと結合する他の[ベータ]−1,4−結合多糖類、又はそれらの混合物である。例えば、多糖類は、ポリキシログルカン及びポリガラクトマンナンからなる群から選択される。非常に好ましい多糖類は、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キシログルカン、非イオン性グア−ガム、カチオンでんぷん及びそれらの混合物である。例えば、沈着補助剤は、ローカストビーンガム又はその化学的誘導体である。
【0143】
一実施態様では、本明細書に開示される方法は、工程c)の後に実施される工程d)を含み、マイクロカプセルへの沈着補助剤の結合を含む。沈着補助剤は、マイクロカプセルシェルに吸着するか、又はマイクロカプセルシェルに物理的及び/又は化学的に結合してもよい。既に形成されたマイクロカプセルへの沈着補助剤の吸着(すなわち、物理的結合)は、沈着補助剤とマイクロカプセルとの間の水素結合、ファン・デル・ワールス力又は静電気引力による。したがって、沈着補助剤はマイクロカプセルの外部にあり、シェル内部及び/又はマイクロカプセルコア内部には有意な程度で存在していない。
【0144】
また、沈着補助剤は、工程a)で供給されるエマルションの一部であってもよい。この場合、沈着補助剤はマイクロカプセルシェルの不可欠な部分である。この状態は「絡まり合い」として知られている。本明細書で用いられる場合、絡まり合いは、沈着補助剤がマイクロカプセルの内側で部分的に埋め込まれていることを意味する。これは、例えば重合が誘発される前に、沈着補助剤をエマルションに加えることにより得られる。重合伝播させることにより、沈着補助剤の一部が封入され、マイクロカプセルシェルを形成する伸張したポリマーに結合されたままである一方で、残りは自由にエマルションの水相に伸張している。この様式では、沈着補助剤は、マイクロカプセル表面に部分的に露出しているだけである。
【0145】
一態様では、本明細書は、前記に定義されたマイクロカプセル、例えば、前記に定義された複数のマイクロカプセルを含む水性分散液(「スラリー」又は「スラリー分散液」ともいう)を開示する。
【0146】
水性分散液は、前記に定義された懸濁フリーラジカル重合プロセスにより得ることができる。
【0147】
水性分散液は、実質的にラテックス粒子を含まない。これに関連し、「実質的に含まない」は、分散液が、分散相(分散相=マイクロカプセル+ラテックス粒子)の総体積に基づいてラテックス粒子を5体積%以下で含み得ることを意味すると理解される。
【0148】
分散液は、例えば本明細書において以下に議論される液体製品を製造するために都合よく使用することができる。したがって、スラリーは、液体製品に添加される濃縮液体として機能する。このプロセスは、スラリー成分の実質的な希釈を伴うので、マイクロカプセルは、最終製品における目標量よりも高い量でスラリーに含まれている。このため、分散液は、分散液の総質量の少なくとも30質量%、例えば少なくとも40質量%、又は少なくとも50質量%、又は少なくとも60質量%の量でマイクロカプセルを含んでいてもよい(ここで、割合は乾燥分散液について計算する)。
【0149】
スラリーは、本明細書に開示されるマイクロカプセルの貯蔵媒体としても都合良く使用することができる。マイクロカプセルを水性スラリーの形態で貯蔵するが、最終製品に水が存在してはならない(又は水の量が制限されている)場合、スラリーを噴霧乾燥し、その後、噴霧乾燥したマイクロカプセルを、意図する最終製品に加えることができる。
【0150】
本明細書は、前記に定義されるマイクロカプセルを含む製品を開示する。この製品は、非可食性消費者製品、家庭用洗剤又は洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品であってもよい。
【0151】
好都合なことに、本明細書に開示されるマイクロカプセルは、モノマー(Ia)を含む混合物を用いて得られ、この製品は室温で液体であり、2〜12のpH、例えば4を超え12未満のpHを有する。
【0152】
特に明記しない限り、非可食は、ヒト又は動物によって摂取されないことを意味する。これには、通常の使用において偶然に飲み込まれることのある食品以外の製品が含まれる。特に、非可食製品の定義には、例えば、摂取することを意図していないが、偶然に消化管に入ることのある、練り歯磨き、マウスウォッシュ、リップクリーム等の、歯科及び口腔ケアのための製品が含まれる。
【0153】
本発明のマイクロカプセルを使用することのできる、液状の家庭用製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品、及び化粧品の処方及び成分は当業者に周知であり、以下の実施を参照されたい:
・AOCS Pressにより発行された、L Ho Tan Taiによる、Formulating Detergents and Personal Care Products A guide to Product Development,ISBN 1−893997−10−3、
・Surfactant Science Series Liquid Detergents ISBN 0−8247− 9391−9の第67巻(Marcel Dekker Inc)、
・CHS PressによるHarry’s Cosmeticology、第8版、2000 ISBN 0820603724
【0154】
パーソナルケア製品及び化粧品としては、皮膚、毛髪及び爪に適用することができ、そのままにしておくか洗い流すかいずれかである製品が挙げられる。パーソナルケア製品及び化粧品組成物としては、皮膚(顔、手、足等)用の粉末、クリーム、エマルション、ローション、ゲル及びオイル、毛髪染料基剤(液状及びペースト状)及び液体含浸ティッシュペーパー;顔及び目に化粧品を塗布し、除去するための製品;毛髪染料及び漂白剤、ウェーブ剤、くせ取り剤、毛髪をセットし、整える製品を含む、ヘアケア製品;クリーム、泡状ムース及び脱毛剤を含むシェービング用製品;日光浴製品、及び日光なしで日焼けするための製品;デオドラント及び制汗剤が挙げられる。
【0155】
有利には、パーソナルケア製品又は化粧品は、シェービング補助剤、シャンプー、ヘアコンディショナー製品、つけたままにしておくスキンケア製品、皮膚洗浄剤、又は洗浄用製品(洗い流す皮膚洗浄剤又は洗浄用製品等)、湿潤させたティッシュペーパー及びボディスプレー、デオドラント又は制汗剤からなる群から選択される。
【0156】
シェービング補助剤としては、具体的には泡状、ゲル状、クリーム及び棒状のものが挙げられる(例えば、米国特許第7,069,658号、米国特許第6,944,952号、米国特許第6,594,904号、米国特許第6,182,365号、米国特許第6,185,822号、米国特許第6,298,558号及び米国特許第5,113,585号を参照することができる)。
【0157】
シャンプー及びヘアコンディショナーとしては、具体的には、リンスインシャンプー及び特に乾燥した髪又は脂っぽい髪用に処方されたシャンプー、ふけ防止剤等の添加剤を含むシャンプーが挙げられる。洗い流すヘアコンディショナー、又はつけたままにしておくヘアコンディショナーには、ヘアトニック、毛髪染料剤、毛髪をセットし整髪する製品も含まれる。例えば、米国特許第6,162,423号、米国特許第5,968,286号、米国特許第5,935,561号、米国特許第5,932,203号、米国特許第5,837,661号、米国特許第5,776,443号、米国特許第5,756,436号、米国特許第5,661,118号及び米国特許第5,618,523号を参照することができる。
【0158】
つけたままにしておくスキンケア製品には、皮膚洗浄用製品、湿潤させたティッシュペーパー、ボディスプレー、デオドラント及び制汗剤が含まれる。
【0159】
皮膚洗浄用製品としては、具体的には、美容用及び衛生用棒状石けん、シャワー用ゲル、液状せっけん、ボディウォッシュ、角質除去用ゲル及びペーストが挙げられる(例えば、米国特許第3,697,644号、米国特許第4,065,398号、米国特許第4,387,040号を参照することができる)。
【0160】
湿潤させたティッシュペーパー(拭き取り繊維)としては、具体的には、皮膚洗浄用繊維、赤ちゃん用おしり拭き、化粧品除去用繊維及び化粧水繊維が挙げられる(例えば、米国特許第4,775,582号、国際公開第02/07701号、国際公開第2007/069214号及び国際公開第95/16474号を参照することができる)。
【0161】
ボディスプレー、デオドラント及び制汗剤としては、具体的には、スティック、液状のロールオン式アダプター、及び加圧式スプレーが挙げられる。
【0162】
家庭用洗剤又は洗濯用製品の例は、床、硬い工作物表面、タイル張りの表面、手又は機械で洗浄する陶器、鏡及びガラスの洗浄剤等の硬表面洗浄剤、
ファブリーズ(登録商標、P&G)により例示される、臭気処理剤のような、液状洗浄剤及び芳香剤製品等の布地の室内装飾品を処理するもの、
軽質洗剤、重質洗剤、濃縮液体洗剤、非水又は低水(low aqueous)洗濯用液体洗剤、毛織物又は黒い衣服用に特化した洗浄剤を含む、粉末洗濯洗剤、洗浄用錠剤及び棒状洗浄剤、洗濯用液体洗剤、
回転式乾燥機シート、アイロンウォーター、洗浄剤添加剤等の柔軟剤、洗浄前及び洗浄後用処理剤である。
【0163】
洗濯用製品は、柔軟剤、仕上げ剤及び洗濯洗剤からなる群から選択される。
【0164】
家庭用洗浄剤は、クリーム状洗浄剤、等方性液状洗浄剤、スプレー状洗浄剤及び予め湿潤させた表面洗浄用繊維の形態であってもよい(例えば、国際公開第91/08283号、欧州特許第743280号、国際公開第96/34938号、国際公開第01/23510号、及び国際公開第99/28428号を参照することができる)。
【0165】
柔軟剤及び仕上げ剤としては、具体的には、従来の希釈された(例えば、製品中、柔軟剤の2質量%〜8質量%)液状活性濃縮柔軟剤及び濃縮された(例えば、製品中、柔軟剤の10質量%〜40質量%)液状活性濃縮柔軟剤、並びに、色落ちを防止し、又は衣類の形状及び外観を保護するための成分を含んでいてもよい仕上げ剤が挙げられる(例えば、米国特許第6,335,315号、米国特許第5,674,832号、米国特許第5,759,990号、米国特許第5,877,145号、米国特許第5,574,179号を参照することができる)。
【0166】
洗濯洗剤、特に液状洗濯洗剤としては、具体的には軽質液体洗剤及び重質液体洗剤が挙げられ、これらは、多相液体又は等方性液体を構築し、水性液体又は非水性液体を含んでいてもよい。前記液体洗剤は、ボトル、又は1回分の用量が入った袋に入っていてもよく、漂白剤又は酵素を含んでいてもよい(例えば、米国特許第5,929,022号、米国特許第5,916,862号、米国特許第5,731,278号、米国特許第5,470,507号、米国特許第5,466,802号、米国特許第5,460,752号及び米国特許第5,458,810号を参照することができる)。
【0167】
本発明の製品は、製品がエマルションである場合には乳化剤として、又は製品がある種の洗浄機能を有している場合には洗浄活性物質として、水及び/又は界面活性物質を含んでいてもよい。特定の実施態様では、製品中の界面活性物質の濃度は0.1〜60質量%の範囲内であり、通常、界面活性物質の濃度は50質量%以下であり、ほとんどの製品では、界面活性物質は30質量%以下である。一方、界面活性物質の濃度は、通常は少なくとも0.1質量%であり、好ましくは1.0質量%を超え、更に好ましくは3.0質量%を超える。特定の製品の製剤は水感受性(例えば、制汗剤、デオドラント、水溶性ポリビニルアルコールフィルム中に包装された非水性液体)であり、上記応用のためには、マイクロカプセルを製品製剤中に組み込む前に、水分を除去するためにマイクロカプセルを噴霧乾燥することが好ましい。洗浄機能を有する製品については、おそらく界面活性物質の濃度は高く、通常は10質量%を超え、好ましくは15質量%を超えるであろう。全ての割合は製品の質量に対する質量として表される。
【0168】
乳化剤を含む、リーブオン製品の例は、ハンドローション、ボディローション、化粧落としローション、スキンクリーム、日焼け防止製品、サンレスタニング製品及び家庭用芳香スプレーである。液体を含浸して製造した物品、例えば、化粧品を塗布若しくは除去するため、又は日焼け止め化合物若しくはサンレスタニング剤を塗布するためのローションを含浸したパッド又は繊維、あるいは個人用洗浄剤、例えば湿潤したトイレットペーパー又は赤ちゃん用おしり拭きも含まれる。
【0169】
洗浄剤を含む個人用洗浄用製品の例は、シャンプー、ボディソープ、液状石けんである。洗い流さないか、使用後に更なる洗浄作用がある場合に、洗浄のために使用されるとしても、一部の洗浄用製品は、つけたままの製品とみなすことができる。赤ちゃん用おしり拭きは一例であり、皮膚に塗布される液体は洗浄のために使用されるが洗い流して除去されない。
【0170】
本明細書に開示された、ノンリンス型化粧品、洗面用化粧品、及びパーソナルケア用組成物は、製品のさまざまな成分を乳化するのに有用な種々の乳化剤を含んでもよい。適切な乳化剤としては、Allured Publishing Corporationにより発行されたMcCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986)等の出版物、及び下記特許文献、すなわち米国特許第5,011,681号、米国特許第4,421,769号及び米国特許第3,755,560号に開示された、多種多様の非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性イオン性表面活性物質が挙げられる。
【0171】
実験的証拠によれば、短鎖炭化水素アルコールを含む、セットローション、オードトワレ、ボディスプレーエアゾール、ヘアフォーム等の特定の製品の組成物は、本明細書に開示されるマイクロカプセルによりもたらされる利点を無効にする可能性があることがわかった。したがって、製品は、かなりの量(例えば、製品質量の2.5質量%超、又は5質量%超、例えば、10質量%超、20質量%超、50質量%超、又は70質量%超)のC−Cアルコール等の短鎖脂肪族炭化水素アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)をも含まないことが好ましい。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、短鎖炭化水素アルコールは、マイクロカプセルの統合性に影響し、その結果、香料内容物の漏出を促進すると考えられる。
【0172】
液状の家庭用、洗濯用、パーソナルケア用及び化粧品用の製品中のマイクロカプセルの量は、所望のマイクロカプセル濃度、マイクロカプセル中のフレグランスの割合、所望の嗅覚効果を得るのに必要なフレグランス物質の量等のいくつかの特徴によって変化し得る。明示された製品から全ての液状成分を除去した後(すなわち、乾燥質量として測定)、本発明のマイクロカプセルは、製品の質量の0.01〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜2.5質量%、より好ましくは0.1〜1.25質量%で存在し得る。マイクロカプセルは、従来のあらゆる手段により、製品製造工程の適切な段階で、通常は高せん断混合段階の後に、水性分散液として組み込むことができる。室温で液体である場合、マイクロカプセルを加える製品は、低(例えば10rpm)スピンドル速度で測定したときに20Mpasを超える、例えば100Mpasを超える、又は1,000Mpasを超える、又は10,000Mpasを超える粘度を有していることが好ましい。好都合には、製品はせん断減粘レオロジーを有する。必要であれば、粘度は、従来の粘度変性剤を加えることで調整することができる。適切な薬剤、並びに製品の粘度を測定するための装置及び条件は、2000年にWilliam Andrew Publishingにより、ISBN 978−0−8155−1441−1で公開された、M R Rosen及びD BraunによるRheology Modifiers Handbook Practical Uses and Applicationsに開示されている。
【実施例】
【0173】
本発明の更なる実施態様及び利点は、以下に示す実施例を考慮し、当業者に明らかになるであろう。
【0174】
一般的な製造手順について2つの方法が開示される。そのうちの1つは、ヒドロキシル基を有するモノマー又はフレグランス中で可溶化されないモノマーを含まない、モノマー混合物を伴う。他の方法2は、ヒドロキシル基を有するモノマー及び/又はフレグランス中で可溶化されないモノマーを含む、モノマー混合物を伴う。「フレグランス中で可溶化」は、考慮される量のモノマーがフレグランス中で完全に溶解し、単相の均一かつ透明な相を形成することを意味する。
【0175】
一般的製造手順(2つのうちの1つの方法)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製した。油相は、最初にフレグランス及びモノマーを混合し、単相の均一かつ透明な相を得た。次いで、重合開始剤を加え、重合開始剤が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。Aerosil(登録商標)R816シリカ、及び6.5〜8.5のpHを有する水を5分間撹拌することにより、シリカの水分散液を別個に調製した。水分散液は100mg/Lの炭酸水素ナトリウムを含有していた(約6.5〜8.5のpHを有する)。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌した。得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。エマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及びアンカースターラーを備えたバッチ式反応器に入れた。既知量の10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を、水相中のポリ(ビニルアルコール)の総質量濃度が2%となるように加え、混合物を10分間撹拌した。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。温度を最初は30分間、温度T1に固定した後、1時間で温度T2まで上昇させた。混合物をこの温度T2に3時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。
【0176】
一般的製造手順(他の方法2)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製した。油相は、フレグランスと、ヒドロキシル基を有するモノマー以外のフレグランスに可溶性であるモノマーとを混合することにより調製した。単相の均一かつ透明な相を得た。次いで、重合開始剤を加え、重合開始剤が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。この混合物を、重合開始剤が完全に溶解するまで撹拌した。水分散液は100mg/Lの炭酸水素ナトリウムを含有していた(約6.5〜8.5のpHを有する)。水に、ヒドロキシル基を有するモノマー及び/又はフレグランスに溶解しない中性モノマー、3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTA)の1%水溶液、及びAerosil(登録商標)200シリカを順に導入した。MAPTACの1%水溶液の質量は、シリカの質量の0.5%〜100%に相当する。分散液を30分間撹拌した。水分散液のpHの範囲は6.5〜8.5のpHであった。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌した。得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。エマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及びアンカースターラーを備えたバッチ式反応器に入れた。既知量の10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を、水相中のポリ(ビニルアルコール)の総質量濃度が2.6%となるように加え、混合物を10分間撹拌した。存在する場合、イオン化したモノマー(フレグランスに溶解しない)をこの段階で加えてもよい。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。温度を最初30分間、温度T1に固定した後、1時間で温度T2まで上昇させた。混合物をこの温度T2に3時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。
【0177】
漏出試験製造手順
本明細書に開示された具体的な架橋剤(化合物(II))の選択と関連する漏出を評価するため、以下の製造を行う。87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製する。150gのフレグランスno.5、21.8gのメタクリル酸、8.7gのメタクリル酸メチル、24.0gの架橋剤、2.5gの3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、1.5gの過酸化ラウロイルを混合することにより、油相を調製する。単相の均一かつ透明な相を得るために混合物を撹拌する。1.25gのAerosil(登録商標)R816シリカ、100mg/Lの炭酸水素ナトリウムを含む200gの水を5分間撹拌することにより、シリカの水分散液を別個に調製する。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌する。必要に応じて、得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定する。360gのエマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及びアンカースターラーを備えた500mLのバッチ式反応器に入れる。43gの10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を加え、混合物を10分間撹拌する。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込む。最初は、25℃の温度に30分間固定した後、1時間で70℃の温度まで上昇させる。混合物を、70℃にて3時間維持する。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却する。必要に応じて、得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定する。
【0178】
フレグランス試験製造手順
特に有利なフレグランス(又はその混合物)を確認するため、以下の製造手順を追従する。87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を調製する。150gの試験用フレグランス、21.8gのメタクリル酸、8.7gのメタクリル酸メチル、24.0gの1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1.5gの75%過硫酸ベンゾイルを水に混合することにより油相を調整する。単相の均一かつ透明な相を得るために混合物を撹拌する。1.25gのAerosil(登録商標)R816シリカ、100mg/Lの炭酸水素ナトリウムを含む200gの水を5分間撹拌することにより、シリカの水分散液を別個に調製する。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(例えば、直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌する。得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定する。360gのエマルションを、コンデンサ、温度計、底部出口弁及びアンカースターラーを備えた、密封した500mLのバッチ式反応器に入れる。43gの10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を加え、混合物を10分間撹拌する。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌する。最初は、25℃の温度に30分間固定した後、1時間で80℃の温度まで上昇させる。混合物を80℃にて維持し、後述する方法によりモノマー変換率を測定するために、2gの試料を底部出口弁を用いて30分毎に回収する。混合物を十分な時間、80℃にて維持し、85%以上のモノマー変換率を得る。得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却する。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定する。
【0179】
モノマー変換率の測定は、以下の手順により実施することができる。スパーテルで撹拌することにより、反応器からの試料の回収物を均質化する。各試料150mgを回収し、4−メトキシフェノールの3質量%エタノール溶液20mLを加える。混合物を撹拌し、超音波浴中に30分間置く。混合物を0.45μmのAcrodiscフィルターでろ過し、分離した液体をGC/FID(フレームイオン化器を備えたガスクロマトグラフィー)により分析する。外部較正は、各モノマーのエタノール溶液を用いて実施する。積分面積は、Agilent(登録商標)Chemstationソフトウェアを用い、FIDシグナルから決定する。抽出を3回繰り返し、分析した。この分析により、試料中の残りのモノマーの質量が提供される。モノマー変換率は、
【0180】
【数1】
【0181】
として定義される。
【0182】
固体含有量測定法
約3gのスラリーをアルミニウム秤量皿中で秤量し、水を除去するために、105℃で2時間乾燥させた。次いで、室温で乾燥試料の質量を測定し、分散液の質量と比較した。
【0183】
カプセル粒径測定
体積中央径及びスパンを、レーザー回折/散乱粒径分布分析計(株式会社堀場製作所により製造された、商品名:LA−950V2)を用いて測定した。分散剤は18MΩまで精製した脱イオン水であった。数滴のエマルション又はカプセル分散液を、許容されるレベルのレーザー光遮蔽が達成されるまでフローセルユニットに注いた後、3回の測定をすぐに実施した。粒径測定の計算のために、屈折率を、1.33(水分散剤について)及び1.47(フラグレンス及びポリ(メタクリレート)カプセルについて)に設定した。体積中央カプセル径は、体積をベースとして50%の頻度のサイズ(メジアン径)として測定した。
【0184】
スパンは以下の式:
【0185】
【数2】
【0186】
前記式中、D(v;0.9)は、マイクロカプセルの90体積%の粒径であり、D(v;0.1)は、マイクロカプセルの10体積%の粒径であり、D(v;0.5)は、既に定義した体積中央マイクロカプセル径である)に従って計算した。
【0187】
エマルション及びカプセル分散液のスパン比は、以下の式:
【0188】
【数3】
【0189】
前記式中、ここで、スパンカプセルは、マイクロカプセル分散液の前記スパンであり、スパンエマルションは、初期エマルションの前記スパンである。
【0190】
粒径は10μmより大きい可能性があるので、フラウンホーファー近似(不透明な粒子、幾何光学規則)による結果の分析も関連しており、有効な寸法の決定を導いている。この場合、屈折率は必要でない。
【0191】
フレグランスの組成
フレグランスno.1の組成
成分 %(質量)
Verdox(CAS登録番号88−41−5):19
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2):19
ウンデカラクトンガンマ(CAS登録番号104−67−6):10
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3):10
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8):10
Cyclacet(CAS登録番号54830−99−8):10
イソEスーパー(CAS登録番号54464−57−2 166090−45−5):10
ヘプタン酸アリル(Allyl heptoate)(CAS登録番号142−19−8):10
デルタダマスコン(CAS登録番号57378−68−4):2
【0192】
フレグランスno.2の組成
成分 %(質量)
Verdox(CAS登録番号88−41−5):20
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2):20
ウンデカラクトンガンマ(CAS登録番号104−67−6):10
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3):10
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8):10
リナロール(CAS登録番号78−70−6):10
酢酸リナリル(CAS登録番号115−95−7):5
ピネンベータ(CAS登録番号127−91−3):5
シトラール(CAS登録番号5392−40−5):5
レボサンドール(CAS登録番号:28219−61−6):5
【0193】
フレグランスno.3の組成
成分 %(質量)
Verdox(CAS登録番号88−41−5):21
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2):21
ジヒドロミルセノール(CAS登録番号:18479−58−8):20
ウンデカラクトンガンマ(CAS登録番号104−67−6):10
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3):10
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8):10
ゲラニオール(CAS登録番号:106−24−1):5
天然のパチョリ油(供給業者:Reynaud(商標),CAS登録番号:84238−39−1):1
(E,Z)−2,6−ノナジエン−1−オール(CAS登録番号:28069−72−9):0.5
ダマセノン(CAS登録番号:23726−93−4):0.5
イソフレシャル(CAS登録番号:68259−31−4):0.5
バニトロープ(CAS登録番号:94−86−0):0.5
【0194】
フレグランスno.4の組成
成分 %(質量)
Verdox(CAS登録番号:88−41−5):26.4
フロロパール(CAS登録番号:5182−36−5):10
カプロン酸エチル(CAS登録番号:123−66−0):6
サリチル酸ベンジル(CAS登録番号:118−58−1):5
ネロリンブロメリア(CAS登録番号:93−18−5):5
トリプラル(CAS登録番号:27939−60−2):5
リリアル(Lilial)(CAS登録番号:80−54−6):5
パラ−メンタ−8−チオール−3−オン(CAS登録番号:38462−22−5)、ミリスチン酸イソプロピル中、1%:5
カプロン酸アリル(CAS登録番号:123−68−2):5
酪酸エチル(CAS登録番号:105−54−4):4
エチル2−メチルブチレート(CAS登録番号:7452−79−1):3
エチル2−メチルペンタノエート(CAS登録番号:39255−32−8):3
フルイテート(Fruitate)(CAS登録番号:80623−07−0,80657−64−3):3
2−メチル1,3−ジオキソラン(CAS登録番号:497−26−7):3
酸化ジフェニル(CAS登録番号:101−84−8):2.5
イソシクロシトラール(CAS登録番号:1335−66−6):2.5
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3):2
デルタダマスコン(CAS登録番号57378−68−4):2
オイカリプトール(CAS登録番号:470−82−6):2
ガルバスコーンBHT(CAS登録番号:56973−85−4,128−37−0)(供給業者:IFF):0.2
パラ−メンタ−1−エン−8−チオール(CAS登録番号:71159−90−5)、クエン酸トリエチル中、1%:0.2
アンブレトン(CAS登録番号:37609−25−9):0.1
カラナル(CAS登録番号:117933−89−8):0.1
【0195】
フレグランスno.5の組成
成分 %(質量)
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2):25
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3):15
リリアル(CAS登録番号:80−54−6):15
オイカリプトール(CAS登録番号:470−82−6):8
エチル2−メチルペンタノエート(CAS登録番号:39255−32−8):6
セドロール(CAS登録番号77−53−2):6
ヘプタン酸アリル(Allyl heptoate)(CAS登録番号142−19−8):5
酢酸スチラリル(CAS登録番号93−92−5):5
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8):5
Verdox(CAS登録番号:88−41−5):5
クマリン(CAS登録番号91−64−5):3
デルタダマスコン(CAS登録番号57378−68−4):2
【0196】
フレグランスno.5が、漏出試験法で使用するフレグランスである。
【0197】
実施例1:本発明のカプセルの合成
モノマー混合物がシランモノマー(III)を含むマイクロカプセル試料1〜6の調製のために、一般的製造手順を行った。合成の正確な条件及び特徴付けの結果を下記表に示す。これらの試料1〜6のエマルション及びカプセル分散液間のスパン比は、全て1.27未満であり、これは、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートが、水相中のラテックス粒子の形成を防止していることを示す。
【0198】
実施例2(比較例)
モノマー混合物がシランモノマー(III)を含まないマイクロカプセル試料7〜10を調製するために、実施例1に開示された手順に従った。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。これらの試料7〜10のエマルション及びカプセル分散液間のスパン比は全て1.4を超えている。
【0199】
モノマーの略語
MA:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BDMA:1,4−ブタンジオールジメタクリレート
TMPS:3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート
【0200】
【表1】
【0201】
(A)試料番号
(B)フレグランス番号
(C)エマルション中のフレグランスの質量濃度
(D)エマルション中のフレグランス/モノマー質量比
(E)混合物の組成(%は、混合物中の全てのモノマーの総質量の各モノマー質量による量を表す)
MA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
BDMA:1,4−ブタンジオールジメタクリレート
TMPS:3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(F)油相/シリカ粒子質量比
(G)重合開始剤(%は、市販の製品中の開始剤の質量濃度を表す)
(H)モノマー/開始剤質量比
(I)T1/T2(℃)
(L)カプセル分散液の体積中央径(μm;D(v,0.5))
(M)スパン比
【0202】
実施例3−粘度の測定
カプセル分散液の粘度測定は、Brookfiel粘度計モデルDV−I、スピンドル18を使用し20℃で実施した。カプセル分散液の粘度に依存し、測定は、適合した回転するスピンドル速度を用いて実施した。結果:
【0203】
【表2】
【0204】
この結果により、TMPSが存在しないと、非常に粘性のあるカプセル分散液を得ることができる(試料8及び10)が、TMPSの存在下に合成した対応のカプセル分散液については粘度が低下している(試料2及び4)ことが示される。
【0205】
実施例4:フレグランス漏出の測定(漏出試験法)
0.5w/w%の合成したカプセル分散液、及び99.5w/w%の試験液体基剤を含む混合物を、40℃の温度の調整したオーブン中のガラス瓶に1/2/4/6週間貯蔵する。各貯蔵期間後、混合物を振盪し、10gを回収する。この試料を遠心分離し、カプセルから柔軟剤を分離する。遠心分離した柔軟剤1gを1gのセライト(珪藻土)と混合する。545.5mLのペンタン及び50μLの内部標準溶液(組成については以下を参照のこと)を加える。混合物をローラーベッド上で1時間混合する。次いで、上清をGC/FID(フレームイオン化検出器を用いたガスクロマトグラフィー装置)に注入する。積分面積は、Agilent(登録商標)Chemstationソフトウェアを用い、FIDシグナルから決定する。各抽出物について3回分析する。内部標準液は、10mg/mL濃度の、デカン酸メチルのヘキサン溶液である。
【0206】
計測手段:
Chemstationソフトウェアと連結したAgilent(登録商標)6890 GC、
カラム:HP−5MS、30m×0.25mm×0.25μm、
オーブンの温度:50℃で2分間、その後10℃/分で280℃まで加熱し、280℃にて5分間維持する。
インジェクター:250℃、検出器:250℃、
注入量2μL(スプリットレス)
【0207】
計算:
試料中に漏出したフレグラント成分iの質量の決定
【0208】
【数4】
【0209】
perf,i:漏出したフレグランス成分iの質量(mg)
perf,i:フレグランス成分iの面積
IS:内部標準物質の質量(mg)
IS:内部標準物質の面積
【0210】
試料中の漏出したフレグナンスの質量の決定
【0211】
【数5】
【0212】
frag:漏出したフレグランスの質量(mg)
【0213】
フレグランスの漏出割合の決定:
【0214】
【数6】
【0215】
%leakagefrag:フレグランスの漏出割合
tot frag:実験的に測定したカプセル分散液中に封入されたフレグランスの質量
【0216】
フレグランス成分iの漏出割合の決定:
【数7】
【0217】
%leakageperf:フレグランス成分iの漏出割合
tot perf:実験的に測定したカプセル分散液中に封入されたフレグランス成分iの質量
【0218】
前記漏出の測定のための方法は、市販の柔軟剤、Le Chat 0%(フランス国)を試験液体基剤として使用して行った。結果を下記に示す:
【0219】
【表3】
【0220】
これらの結果は、TMPの使用により、液体媒体中での貯蔵時間とともにカプセルからのフレグランスの漏出の低減も可能になることを示す(試料7と比較した試料1の結果、及び試料8と比較した試料2の結果を参照のこと)。
【0221】
本明細書に開示されるマイクロカプセルのフレグランス漏出試験をするための一般的手順として実施例4のプロトコルに依拠する場合、以下の試験液体基剤が使用される:
Praepagen(登録商標)TQ 90% 20.00質量%
脱イオン水 79.87質量%
塩化マグネシウム六水和物 99% 0.13質量%
クエン酸 pH2.5になるまで
【0222】
Praepagen(登録商標)TQ 90%は、イソプロパノール中のトリエタノールアミンジアルキルエステルメトスルファート、CAS登録番号91995−81−2である。
【0223】
本出願は、2013年7月29日に出願された、欧州特許出願第13306093.9号を基礎としたものであり、その内容の全ては引用により本明細書に組み込まれる。更に、本明細書中に引用された全ての文献の主題も、引用により本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0224】
1種以上のフレグランスを含むマイクロカプセルは、摂食不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品に含有させるのに適している。このマイクロカプセルは、その後に硬化するポリマーシェル内にエマルション液滴が封入されるようにエマルションを重合することによって、経済的かつ効率的な方法で得ることができる。