(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387410
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】改良された光電流を有する有機太陽電池
(51)【国際特許分類】
H01L 51/46 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
H01L31/04 164
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-528470(P2016-528470)
(86)(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公表番号】特表2016-529705(P2016-529705A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014065549
(87)【国際公開番号】WO2015011060
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年4月24日
(31)【優先権主張番号】13177733.6
(32)【優先日】2013年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514156563
【氏名又は名称】アイメック・ヴェーゼットウェー
【氏名又は名称原語表記】IMEC VZW
(73)【特許権者】
【識別番号】599098493
【氏名又は名称】カトリーケ・ユニフェルシテイト・ルーヴァン
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】バリー・ランド
(72)【発明者】
【氏名】キェル・クノプス
【審査官】
嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0001128(US,A1)
【文献】
特表2009−515339(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0308456(US,A1)
【文献】
特開2010−141268(JP,A)
【文献】
特表2008−532302(JP,A)
【文献】
特表2010−503978(JP,A)
【文献】
特開2007−134444(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/055976(WO,A1)
【文献】
特開2014−075476(JP,A)
【文献】
MUSUBU ICHIKAWA et al.,CASCADE-TYPE EXCITATION ENERGY RELAY IN ORGANIC THIN-FILM SOLAR CELLS,ORGANIC ELECTRONICS,ELSEVIER,2013年 3月 1日,VOL:14,PAGES:814 - 820,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.orgel.2012.12.029
【文献】
Z.R.HONG et al.,Antenna effects and improved efficiency in multiple heterojunction photovoltaic cells based on pentacene, zinc phthalocyanine, and C60,JOURNAL OF APPLIED PHYSICS ,American Institute of Physics,2009年 9月25日,VOlUME 106, ISSUE 6,id.064511
【文献】
DANIELE DI NUZZO et al.,Improved Film Morphology Reduces Charge Carrier Recombination into the Triplet Excited State in a Small Bandgap Polymer-Fullerene Photovoltaic Cell,ADVANCED MATERIALS,WILEY,2010年 6月25日,Vol.22,P.4321-4324
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1有機ドナー層と第1有機アクセプタ層とにより形成されたヘテロ接合構造を含む有機太陽電池であって、更に、
第1アクセプタ層に隣り合う第2アクセプタ層であって、第1有機アクセプタ層は第1光学バンドギャップと第1LUMOレベルとを有し、第2有機アクセプタ層は第2光学バンドギャップと第2LUMOレベルとを有し、
第2光学バンドギャップは、第1光学バンドギャップより、少なくとも0.1eV大きく、
第1LUMOレベルと第2LUMOレベルとの間の差は、0.1eVより大きくはなく、
第2アクセプタ層の光放射スペクトルは、第1アクセプタ層の光吸収スペクトルと重なり、そして、
第1アクセプタ層と第2アクセプタ層との間の界面での、電荷移動状態エネルギーは、第1アクセプタ層および/または第2アクセプタ層の三重項状態エネルギーより小さい、ことを特徴とする第1アクセプタ層に隣り合う第2アクセプタ層、
または、
第1ドナー層に隣り合う第2ドナー層であって、第1有機ドナー層は第3光学バンドギャップと第1HOMOレベルとを有し、第2有機ドナー層は第4光学バンドギャップと第2HOMOレベルとを有し、
第4の光学バンドギャップは、第3光学バンドギャップより、少なくとも0.1eV大きく、
第1HOMOレベルと第2HOMOレベルとの間の差は、0.1eVより大きくはなく、
第2ドナー層の光放射スペクトルは、第1ドナー層の光吸収スペクトルと重なり、そして、
第1ドナー層と第2ドナー層との間の界面での、電荷移動状態エネルギーは、第1ドナー層および/または第2ドナー層の三重項状態エネルギーより小さい、ことを特徴とする第1ドナー層に隣り合う第2ドナー層、
の少なくとも1つを含む有機太陽電池。
【請求項2】
有機太陽電池は、第2アクセプタ層と第2ドナー層の双方を含む請求項1に記載の有機太陽電池。
【請求項3】
太陽電池は、第2アクセプタ層を含み、更に、カソードとアノードとを含み、第2アクセプタ層はカソードと第1アクセプタ層との間に配置される請求項1または2のいずれかに記載の有機太陽電池。
【請求項4】
太陽電池は、第2ドナー層を含み、更に、カソードとアノードを含み、第2ドナー層は、アノードと第1ドナー層との間に配置される請求項1または2のいずれかに記載の有機太陽電池。
【請求項5】
太陽電池は、第2アクセプタ層を含み、第1有機ドナー層は、アルファ−セクシチオフェンを含み、第1アクセプタ層は、ボロン・サブナフタロシアニン・クロライドを含み、第2アクセプタ層は、ボロン・サブフタロシアニン・クロライドを含む請求項1〜4のいずれかに記載の有機太陽電池。
【請求項6】
太陽電池は、第2アクセプタ層を含み、第1有機アクセプタ層と第2有機アクセプタ層との組み合わせは、クロロアルミニウム・フタロシアニン/サブフタロシアニン、亜鉛・フタロシアニン/サブフタロシアニン、鉛・フタロシアニン/サブフタロシアニン、または鉛・フタロシアニン/サブナフタロシアニンのいずれかの組み合わせである請求項1〜4のいずれかに記載の有機太陽電池。
【請求項7】
太陽電池は、第2ドナー層を含み、第1有機ドナー層と第2ドナー層との組み合わせは、アルファ−セクシチオフェン/銅・フタロシアニン、アルファ−セクシチオフェン/亜鉛・フタロシアニン、アルファ−セクシチオフェン/鉛・フタロシアニン、ペンタセン/銅・フタロシアニン、ペンタセン/亜鉛・フタロシアニン、またはペンタセン/鉛・フタロシアニンのいずれかの組み合わせである請求項1〜6のいずれかに記載の有機太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ドナー層、電子アクセプタ層、および改良された電池性能に貢献する少なくとも1つの追加の層を含む活性層を有する有機太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機太陽電池(OPV)デバイスの活性層は、2つの有機半導体層を含む。低い子親和力(低LUMOレベル、最低空分子軌道レベル)と低いイオン化ポテンシャル(低HOMOレベル、最高被占分子軌道レベル)とを有する有機分子を含む電子ドナー層と、ドナー層より高いLUMOレベルとより高いHOMOレベルとを有する有機分子を含む電子アクセプタ層である。一般には50nmから100nmの厚さの活性層は、2つの電極に挟まれる。活性層と電極との間の直接接続を避けるために、しばしば活性層と電極との間にバッファ層が設けられる。ドナー層またはアクセプタ層に光が吸収された場合、エキシトンが生成される。エキシトンはドナー/アクセプタ界面に拡散し、そこでそれらは自由電荷に分解する。電子はカソードに集められ、正孔はアノードに集められる。
【0003】
一般的なOPV電池で形成された光電流は、しばしば殆どの有機分子(またはポリマー)の狭い吸収バンド幅により制限される。狭いスペクトル範囲のフォトンのみが、ドナー層またはアクセプタ層のいずれかでエキシトンを形成する。より広い吸収スペクトルは、より高い光電流を引き起こし、これによいより高い電力変換効率となるであろう。
【0004】
有機太陽電池の吸収スペクトルを広くするために公知のアプローチは、2またはそれ以上の有機電池を積層することで、ここでは積層中の異なる電池は、異なる吸収スペクトルを有する異なる活性層を有する。上方の電池で吸収されなかった入射光の一部は、更に下方の電池に伝わり、そこでこの伝わった光の一部が吸収される。そのような形状(「タンダム電池」または「多重接合電池」とも呼ばれる)は、2またはそれ以上の電池の直列接続に対応する。この種類の電池構造では、積層中の異なる電池の間に電力マッチング(例えば電流マッチング)が課題であった。また、効果的な多重接合のために必要とされる積層は、むしろ複雑である。
【0005】
有機太陽電池のために改良された光電流を引き起こすために知られた他のアプローチは、直列(3層カスケード有機電池)で動作する2つのドナー/アクセプタヘテロ接合の使用からなる。これは、例えば、K. Cnops らの、"Enhanced photocurrent and open-circuit voltage in 3-layer cascade organic solar cell", Applied Physics Letters 101, 143301 (2012) に報告されている。
【0006】
3層構造が記載され、ここでは、サブフタロシアニン(SubPc)は、テトラセン(Tc)ドナー層とC60アクセプタ層の間の二極性中間層として働く。Tc/SubPc界面とSubPc/C60界面は、双方とも光電流に寄与する。エキシトンは、双方のヘテロ接合で分解し、電荷が、カスケード構造のエネルギーレベルを通って引き出される。
【0007】
これにより、改良された光電流となる。しかしながら、二極性中間層の存在は、低減された曲線因子(fill factor)となる。加えて、2層Tc/CubPcデバイスの開回路電圧と、2層SubPc/C60デバイスの開回路電圧とに比較して、開回路電圧Vocは低減される。このVocの損失は、カスケード構造のエネルギーレベルに関連する。
【0008】
"Sensitization of organic photovoltaic cells based on interlayer excitation energy transfer", Organic Electronics 11 (2010) 700-704 において、M. Ichikawa らは、有機太陽電池の短絡回路電流密度を増加させるための他のアプローチを開示している。追加のp型有機半導体層(APL)が、不可欠のp型層(IPL)とn型層(NL)とにより形成された1つのp/n接合を有する有機太陽電池に導入され、ここではAPLは、IPLより大きなバンドギャップを有し、APL中の光吸収により形成されたエキシトンがIPLに移動して、この層で追加のエキシトンを形成する。これらの移動したエキシトンは、p/n接合で電荷キャリアに分解し、この結果、APLの無い電池に比較して、増加した短絡回路電流密度となる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、電子ドナー層、電子アクセプタ層、および改良された電池性能に貢献する少なくとも1つの追加の層を含む活性層を有し、従来技術の少なくとも1またはそれ以上の不都合を回避または低減する有機太陽電池の提供を目的とする。
【0010】
本発明の具体例にかかる有機太陽電池は、第1有機ドナー層と第1有機アクセプタ層により形成されたヘテロ接合構造を含み、更に、第1有機アクセプタ層と隣り合う第2アクセプタ層を含み、第1有機アクセプタ層は第1光学バンドギャップと第1LUMOレベルを有し、第2有機アクセプタ層は第2光学バンドギャップと第2LUMOレベルを有する。本発明の具体例では、第2光学バンドギャップは、第1光学バンドギャップより少なくとも0.1eV大きく、第1LUMOレベルと第2LUMOレベルとの差は、0.1eVよりは大きくなく、第2アクセプタ層の光放射スペクトルは、第1アクセプタ層の光吸収スペクトルと重なり、第1アクセプタ層と第2アクセプタ層との間の界面における電荷移動状態エネルギーは、第1アクセプタ層および/または第2アクセプタ層の三重項状態エネルギーより小さい。
【0011】
他の具体例では、本発明の有機太陽電池は、第1有機ドナー層と第1有機アクセプタ層により形成されたヘテロ接合構造を含み、更に、第1ドナー層に隣り合う第2ドナー層を含み、第1有機ドナー層は第3光学バンドギャップと第1HOMOレベルを有し、第2有機ドナー層は第4光学バンドギャップと第2HOMOレベルを有する。本発明の具体例では、第4光学バンドギャップは、第3光学バンドギャップより少なくとも0.1eV大きく、第1HOMOレベルと第2HOMOレベルとの間の差は0.1eVより大きくなく、第2ドナー層の光放射スペクトルは第1ドナー層の光吸収スペクトルと重なり、第1ドナー層と第2ドナー層との間の界面における電荷移動状態エネルギーは第1ドナー層および/または第2ドナー層の三重項状態エネルギーより小さい。
【0012】
本発明の具体例では、有機太陽電池は、第1有機ドナー層と第1有機アクセプタ層により形成されたヘテロ接合構造と、更に、上述のような第1アクセプタ層と隣り合う第2アクセプタ層と、上述の第1ドナー層と隣り合う第2ドナー層を含んでも良い。
【0013】
第1有機ドナー層と第1有機アクセプタ層との間のヘテロ接合は、個別のヘテロ接合であり、第1ドナー層と第1アクセプタ層は積層を形成しても良い。他の具体例では、第1有機ドナー層と第1有機アクセプタ層との間のヘテロ接合はバルクのヘテロ接合で、第1ドナー層と第1アクセプタ層は混じり合っても良い。
【0014】
本発明の太陽電池では、入射光は第1ドナー層、第2アクセプタ層、第2ドナー層、および/または第2アクセプタ層の中で吸収され、それらの層の中にエキシトンを形成する。第1アクセプタ層または第1ドナー層の中で形成されたエキシトンは、第1ドナー層と第1アクセプタ層との間のヘテロ接合界面で分解しても良い。第2アクセプタ層の中(第2ドナー層の中)で形成されたエキシトンは、電荷移動により第1アクセプタ層(第1ドナー層)との界面で分解しても良く、またはそれらは第1アクセプタ層(第1ドナー層)に移動して、続いて第1ドナー層と第1アクセプタ層の間のヘテロ接合界面で分解しても良い。
【0015】
エキシトンの分解は、電池コンタクトで集められる自由電荷キャリアを形成し、これにより光電流に貢献する。本発明の具体例では、自由電荷キャリアは、第1ドナー層と第1アクセプタ層との間の界面で形成されるだけでなく、第2アクセプタ層と第1アクセプタ層との間の界面および/または第2ドナー層と第1ドナー層との間の界面でも形成される。
【0016】
本発明の具体例では、第1アクセプタ層の厚さは、第1アクセプタ層中のエキシトンの拡散長さより小さいことが好ましく、第1ドナー層の厚さは、第1ドナー層中のエキシトンの拡散長さより小さいことが好ましい。第1アクセプタ層と第1ドナー層との間の接合はバルクヘテロ接合であり、異なるドメインの大きさは、対応するエキシトンの拡散長さより小さいことが好ましい。
【0017】
本発明の具体例の有機太陽電池の長所は、上述のような多数のエキシトン分解メカニズムが存在するために、大きな光電流を形成できることである。
【0018】
本発明の具体例の有機太陽電池の長所は、良好な曲線因子を有することができることである。
【0019】
本発明の具体例の有機太陽電池の長所は、タンダム電池または多重接合電池に比較して、異なる電池の間で、電力マッチングを提供する必要が無いことである。
【0020】
本発明の具体例の有機太陽電池の長所は、カスケード電池に比較して、より良い曲線因子を有することと、より低い開回路電圧を有することである。このより低いVoc損失は、第1アクセプタ層材料のLUMOレベルと第2アクセプタ層材料のLUMOレベルとの間の小さな差(0.1eVより小さい)および/または第1ドナー層材料のHOMOレベルと第2ドナー層材料のHOMOレベルとの間の小さな差(0.1eVより小さい)に関連する。
【0021】
特別でかつ好ましい本発明の形態が、添付の独立請求項および従属請求項に提示される。従属請求項の特徴は、必要に応じて、独立請求項の特徴と組み合わせても良く、他の従属請求項の特徴と組み合わせても良く、単に請求項に明確に記載された通りでは無い。
【0022】
様々な発明の形態の所定の目的および長所が、上で述べられた。もちろん、そのような目的または長所の全てが、開示された特定の具体例に関して必ずしも達成される必要はないことが理解されるであろう。このように、例えば、本開示は、ここで教示または示唆された他の目的または長所を必ずしも達成する必要なく、ここで教示された1つの長所または長所のグループを達成または最適化する方法で具体化または実施できることを、当業者は理解するであろう。更に、この概要は、単に例示であり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【0023】
本開示は、構成と操作方法の双方として、その長所や特徴と共に、添付の図面と共に読んだ場合に、以下の詳細な記載を参照することで、最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の具体例にかかる有機太陽電池の活性層のエネルギーバンドダイアグラムを模式的に示し、活性層は第2ドナー層D2、第1ドナー層D1、第1アクセプタ層A1、および第2アクセプタ層A2を含む。
【
図2】本開示の具体例にかかる有機太陽電池中のA1/A2界面における電荷移動メカニズムを模式的に示す。
【
図3a】本発明の具体例にかかる有機太陽電池中のA2からD1への、2段階エネルギーおよび電荷移動メカニズムを模式的に示し、ここではA2からA1へのエネルギー移動を示す。
【
図3b】本発明の具体例にかかる有機太陽電池中のA2からD1への、2段階エネルギーおよび電荷移動メカニズムを模式的に示し、ここではA1/D1界面での電荷移動を示す。
【
図4】本発明の具体例により作製された有機太陽電池の積層を模式的に示す。
【
図5】本発明の具体例にかかる有機太陽電池を作製するために使用される材料のエネルギーバンドダイアグラムを示す。
【
図6】SubPcの出射スペクトル(破線)およびSubNcの吸収スペクトル(実線)を示し、本発明の具体例で使用される特徴を示す。
【
図7】SubNc(実線)、SubPc(破線)、およびα−6T(点線)に対して、波長を関数とした吸収を示し、本発明の具体例で使用される特徴を示す。
【
図8】本発明の具体例にかかる有機太陽電池の測定された外部量子効率を示す。α−6T/SubPc活性層を有する場合(破線)、α−6T/SubNc活性層を有する場合(点線)、α−6T/SubNc/SubPc活性層を有する場合(一点鎖線)である。
【
図9】CBP膜厚を変数とした、20nmSubPc層、様々な膜厚の4,4‘−Bis(N−carbazolyl)−1,1’−biphenyl(CBP)スペーサ層、および10nmSubNc焼き入れ層からなる薄膜構造(三角)、およびCBP膜厚を変数とした、20nmSubPc層、様々な膜厚の4,4‘−Bis(N−carbazolyl)−1,1’−biphenyl(CBP)スペーサ層、および10nmC60焼き入れ層からなる薄膜構造(丸)の、測定されたフォトルミネッセンス比を示す。加えて、それらの構造の数値モデルの結果(破線と実線)を示す。
【0025】
請求の範囲のいずれの参照符号も、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでは無い。
【0026】
異なる図面において、同一参照符号は、同一または類似要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明では、本開示の全体の理解と、特定の具体例でそれがどのように実施されるかを提供するために、多くの特別な細部が説明される。しかしながら、本発明は、それらの特定の細部無しに実施できることが理解されるであろう。他の例では、公知の方法、手順、および技術は、本発明を不明確にしないために、詳細には記載していない。
【0028】
本発明は、特定の具体例を参照しながら、そして所定の図面を参照しながら記載されるが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲により限定される。記載された図面は、単に模式的であり、限定的では無い。図面において、要素の幾つかの大きさは、図示目的で誇張され、縮尺通りには記載されていない。寸法と相対寸法とは、本開示を実施するための実際の縮小に対応する必要は無い。
【0029】
更に、記載や請求の範囲中の、第1、第2、第3等の用語は、類似の要素の間で区別するために使用され、起こった順番や時間的な順番を記載する必要は無い。それらの文言は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された具体例は、ここに記載や図示されたものと異なる順序によっても操作できる。
【0030】
請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されるべきではなく、他の要素や工程を排除しない。言及された特徴、数字、工程、または成分の存在の記載は、記載されたように解釈されるべきで、1またはそれ以上の他の特徴、数字、工程、または成分、またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除してはならない。このように、「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。
【0031】
本開示は、電子ドナー層、電子アクセプタ層、および少なくとも1つの追加層を含む活性層を有し、少なくとも1つの追加層は、従来の有機太陽電池より高い光電流になる吸収スペクトルの拡張に繋がる有機太陽電池に関する。
【0032】
本発明かかる有機太陽電池は、第1ドナー層(電子ドナー層)と第1アクセプタ層(第1アクセプタ層)により形成されるヘテロ接合構造を含む。第1ドナー層と第1アクセプタ層は、このように特徴的に互いに直接接触する。なお、本発明の具体例は、本発明の具体例の特徴の適用性に影響することなく、例えば背景部分で記載したような3層カスケードや、一連の接合により、第1ドナー層と第2アクセプタ層の間のヘテロ接合を置き換えるような、光電流を増加させるための既存の技術との組み合わせが可能である。それにもかかわらず、明確化のために、本開示は、第1ドナー層と第1アクセプタ層との間の単一ヘテロ接合を参照して本発明を記載する。本発明の有機電池は、更に、第1アクセプタ層と隣り合う第2アクセプタ層、および/または第1ドナー層と隣り合う第2ドナー層を含む。
【0033】
本発明の有機太陽電池の活性層は、このように、3層または4層の有機層を含む。本発明の第1の具体例では、活性層は第1ドナー層、第1アクセプタ層、および第2アクセプタ層を含む。積層は、このように、一般には、連続して第1ドナー層、第1アクセプタ層、および第2アクセプタ層を有し、それぞれの層は、以下の2つのパラグラフで記載するような特性を有し、積層はこの順番に並ぶ。本発明の第2の具体例では、活性層は、第1アクセプタ層、第1ドナー層、および第2ドナー層を含み、それぞれの層は、以下の2つのパラグラフで記載するような特性を有し、積層はこの順番に並ぶ。本発明の第3の具体例では、活性層は、第2ドナー層、第1ドナー層、第1アクセプタ層、および第2アクセプタ層を含み、それぞれの層は、以下の2つのパラグラフで記載するような特性を有し、積層はこの順番に並ぶ。
【0034】
一方、以下の記載では、第2アクセプタ層と第2ドナー層の双方が、しばしば同時に参照されるが、上記記載から、変更すべきところは変更して第2アクセプタ層または第2ドナー層のいずれかは単独で存在して、他方が無くても良い。
【0035】
本開示の具体例では、第1アクセプタ層(A1)と第2アクセプタ層(A2)は、以下の特性を有する。即ち、A2の光学バンドギャップは、A1の光学バンドギャップより大きい。A1の光学バンドギャップとA2の光学バンドギャップとの差は、少なくとも0.1eVであり、好適には0.3eVより大きい。A1のLUMOレベルとA2のLUMOレベルの間の差は0.1eVより大きくない。A2の光放射スペクトルは、A1の光吸収スペクトルと重なる。そして、A1/A2界面での電荷移動状態エネルギーは、A1またはA2のいずれかの三重項状態より小さい。
【0036】
本開示の具体例では、第1ドナー層(D1)と第2ドナー層(D2)は以下の特性を有する。即ち、D2の光学バンドギャップは、D1の光学バンドギャップより大きい。D1の光学バンドギャップとD2の光学バンドギャップとの差は、少なくとも0.1eVであり、好適には0.3eVより大きい。D1のHOMOレベルとD2のHOMOレベルの間の差は0.1eVより大きくない。D2の光放射スペクトルは、D1の光吸収スペクトルと重なる。そして、D1/D2界面での電荷移動状態エネルギーは、D1またはD2のいずれかの三重項状態より小さい。
【0037】
図1は、本開示にかかる有機太陽電池の活性層のエネルギーバンドダイアグラムを模式的に示し、活性層は、第2ドナー層D2、第1ドナー層D1、第1アクセプタ層A1、および第2アクセプタ層A2の積層を含む。
【0038】
本開示の具体例の太陽電池では、入射光は、第1ドナー層、第1アクセプタ層、第2ドナー層、および/または第2アクセプタ層の中で吸収されても良い。
【0039】
第1ドナー層中または第1アクセプタ層中で吸収された光は、それらの層の中でエキシトンを形成する。それらのエキシトンは、続いて、A1/D1界面で分解して、自由正孔と自由電子になり、それらは電池コンタクト(アノードおよびカソード)で集められて、光電流の原因となる。
【0040】
第2ドナー層中または第2アクセプタ層中で吸収された光もまた、それらの層の中でエキシトンを形成する。この吸収から光電流を形成するためには、形成されたエキシトンはヘテロ接合で分解する必要がある。本開示の具体例では、2つの分離したメカニズムが同時に働いても良い。
【0041】
第1のメカニズムでは、第2アクセプタ層A2中で形成されたエキシトンは、第1アクセプタ層A1との界面に拡散し、それらのエキシトンは、電荷移動によりA1/A2界面で分解し、自由正孔と自由電子になる。自由電子はA2中に残り、カソードに移動する。自由正孔はA1層に移動し、そこでドナー層に移動し、更にアノードに移動する。この第1のメカニズムは、
図2に模式的に記載され、この具体例では、活性層は、第1ドナー層、第1アクセプタ層、および第2アクセプタ層を含む。
図2では、正孔は白丸で表され、電子は黒丸で表される。
【0042】
同様に、第1のメカニズムでは、第2ドナー層D2中で形成されたエキシトンは、第1ドナー層D1との界面に拡散し、それらのエキシトンは、電荷移動によりD1/D2界面で分解し、自由電子と自由正孔になる。自由正孔はD2中に残り、アノードに移動する。自由電子はD1層に移動し、そこでアクセプタ層に移動し、更にカソードに移動する。
【0043】
第2のメカニズムでは、第2アクセプタ層の中で形成されたエキシトンは、例えば長距離フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)のような共鳴エネルギー移動により、最初に第1アクセプタ層に移動する。次に、移動したエキシトンは、D1/A1界面に移動して、電荷移動によりD1/A1界面で分解する。自由電子は、アクセプタ層を通ってカソードに移動する。自由正孔は、ドナー層を通ってアノードに移動する。
【0044】
この第2の、二段階のメカニズムは、模式的に、
図3(a)(第1工程:エネルギー移動A2/A1)と
図3(b)(第2工程:電荷移動A1/D1)とに示され、この具体例では、活性層は、第1ドナー層、第1アクセプタ層、および第2アクセプタ層を含む。
図3では、正孔は白丸で表され、電子は黒丸で表される。
【0045】
同時に、第2のメカニズムでは、第2ドナー層の中で形成されたエキシトンは、例えば長距離フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)のような共鳴エネルギー移動により、第1ドナー層に移動する。次に、移動したエキシトンは、電荷移動によりD1/A1界面で分解する。自由電子は、アクセプタ層を通ってカソードに移動する。自由正孔は、ドナー層を通ってアノードに移動する。
【0046】
本発明の具体例では、第1アクセプタ層(1)は、第2アクセプタ層からのエキシトンのエネルギーアクセプタとして機能し、(2)は、第2アクセプタ層とドナー層からのエキシトンの電荷アクセプタとして機能する。
【0047】
本発明の具体例では、第1ドナー層(1)は、第2ドナー層からのエキシトンのエネルギーアクセプタとして機能し、(2)は、第2ドナー層とアクセプタ層からのエキシトンの電荷アクセプタとして機能する。
【0048】
第1のメカニズムの動作(電荷移動)と第2のメカニズムの動作(エネルギー移動とそれに続く電荷移動)との同時動作が、上述のように、異なる材料の好ましい部分で得られる。本発明のデバイスでは、長距離エネルギー移動が利用されて、第2アクセプタ層中または第2ドナー層中で形成されたエキシトンが、より効率的に、活性ヘテロ接合に運ばれる。材料の特別な選択により、A1/A2界面および/またはD1/D2界面での電荷移動、および電極への電荷引き抜きを可能にする。追加の電荷形成メカニズムは、このように、OPV電池により形成された光電流を増加させる。
【0049】
本発明の太陽電池では、A1/D1界面のみならず、A1/A2界面、および/またはD1/D2界面も活性界面であり、即ち、光電流を形成する界面である。A1/A2界面(それぞれD1/D2界面)で電荷移動を可能にするために、この界面における電荷移動状態エネルギーは、A1またはA2のいずれか(それぞれD1またはD2のいずれか)の三重項状態エネルギーより小さい。それらのエネルギーレベルは、光学分光法と電子分光法の組み合わせを基に決定されても良い。加えて、電荷移動を可能にするために、A1/A2界面のMOHOエネルギーレベル(それぞれD1/D2界面におけるLUMOエネルギーレベル)のオフセットにための最小閾値がある。この最小閾値は、少なくとも0.1eVであり、好適には0.2eV、好適には少なくとも0.3eVである。
【0050】
実例として、本発明の具体例はこれに限定されるものではないが、実験結果についてここで検討する。
【0051】
本開示の第1の具体例にかかる、第1ドナー層、第1アクセプタ層、および第2アクセプタ層を有する有機太陽電池が形成された。
【0052】
このデバイスは、予めパターニングされたインジウムスズ酸化物層(アノード)で覆われたガラス基板の上に形成された。20nm膜厚のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルフォン酸)(PEDOT:PSS)が、基板上にスピンコートされた。次に、精製された有機材料が、高真空蒸着チャンバ中で、0.1nm/秒の速度で、以下の順序で堆積された。即ち、60nmのアルファ−セクシチオフェン(α−6T)、12nmのボロン・サブナフタロシアニン・クロライド(SubNc)、18nmのボロン・サブフタロシアニン・クロライド(SubNc)、7nmのバトクプロウン(BCP)である。次に120nm膜厚のAgカソードが、0.3nm/秒の速度でシャドウマスクを介して蒸着され、これにより13.4mm
2の活性デバイス領域を形成する。
【0053】
結果のデバイス構造が、
図4に模式的に示される。実験では、α−6Tが、第1ドナー層12を形成するための材料として使用され、SubNcが第1アクセプタ層13に使用され、SubPcが第2アクセプタ層14に使用された。
図4では、更に、コンタクト16(Agアノード)およびガラス基板10と共に、バッファ層11(PEDOT:PSS)とバッファ層15(BCP)が示されている。ガラス基板10は、入射放射線に対して透明な、パターニングされたインジウムスズ酸化物(アノード、
図4には図示せず)で覆われる。エネルギーバンドダイアグラムが
図5に示され、それらの3つの材料の、HOMOとLUMOのエネルギーレベルが表1に示される。
【0055】
この材料の組み合わせでは、第2アクセプタ層SubPcの光学バンドギャップは、第1アクセプタ層SnbNcの光学バンドギャップより大きく、その差は0.2eVである。SubNcLUMOレベルとSubPcLUMOレベルは、実質的に等しい。そして、SubPcの光放射スペクトルは、SubNcの光吸収スペクトルと重なる。これは
図6に示され、SubPcの放射スペクトル(破線)とSubNcの吸収スペクトル(実線)で示される。更に、SubNc/SubPc界面での電荷移動状態エネルギーは、SubNcとSubPcの双方の三重項状態エネルギーより小さい。
【0056】
図7は、それらの3つの材料に対して、波長の関数として吸収を示す。吸収スペクトルは互に補完し、これにより、吸収されて光電流の形成に寄与する太陽のスペクトルの範囲を効果的に拡げる。
【0057】
参照として、公知のドナー/アクセプタ層構造を有する太陽電池も形成され、ここでは、60nm膜厚のα−6T層がドナー層として使用され、15nmのSubPcまたは20nmのSubNcのいずれかがアクセプタ層の材料として使用された。電池サイズは、13.4mm
2であった。電流−電圧特性が、AM1.5の照明の下で測定された。表2は、2つのタイプの参照電池(α−6T/SubPcとα−6T/SubNc)と、本発明の具体例にかかる電池(α−6T/SubNc/SubPc)について、測定された開回路電圧Voc、短絡回路電流密度Jsc、曲線因子FF、および電力変換効率PCEを示す。
【0059】
表2に示された結果から、α−6T/SubPc活性層またはα−6T/SubNc活性層を有する参照2層デバイスに比較して、本開示にかかる3層デバイスは、より大きな光電流(より大きな短絡回路電流密度Jsc)を形成する。3層デバイスでは、双方のアクセプタ層が光電流に貢献する。本開示の3層デバイスの開回路電圧Vocは、α−6T/SubNcデバイスの開回路電圧と同じオーダーである。
【0060】
図8は、それらの3つの異なるタイプの有機太陽電池の測定された外部量子効率であり、α−6T/SubPc活性層(破線)、α−6T/SubNc活性層(点線)、および本発明の具体例にかかるα−6T/SubNc/SubPc活性層である。それらの測定から、SubPc層が、本発明にかかるデバイスの光電流に貢献していると結論づけられであろう。
【0061】
本発明の3層α−6T/SubNc/SubPcデバイスの、2段階エキシトン分解メカニズムの重要性を研究するために、SubPcからSubNcへのフェルスター共鳴エネルギー移動の効率を、1組のフォトルミネッセンス消光実験(photoluminescence quenching experiment)により調査した。
図9は、20nmのSubPc層、様々な膜厚の4,4‘−Bis(N−carbazolyl)−1,1’−biphenyl(CBP)スペーサ層、およびSubNc消光層からなる薄膜構造(三角形)、および20nmのSubPc層、様々な膜厚の4,4‘−Bis(N−carbazolyl)−1,1’−biphenyl(CBP)スペーサ層、および10nmのC60消光層からなる薄膜構造(円形)の、フォトルミネッセンス比(即ち、消光層を有さないフォトルミネッセンス強度に対する、消光層を有するフォトルミネッセンス強度の比)を示す。C60消光層を有するサンプルは、参照構造または制御構造として使用された。そのようなサンプルでは、C60光吸収スペクトルとSubPc光放射スペクトルとの間の制限された重なりにより、エネルギー移動が無視できることが期待される。SubNcによるSubPcフォトルミネッセンスの消光は、SubPcからSubNcへの長距離エネルギー移動が非常に効果的であることを示す。
【0062】
実験結果の数値モデリング(
図9の破線および実線)は、エネルギー移動のフェルスター半径ROの抽出を可能にする。SubNc消光層を有するサンプルでは、エネルギー移動のフェルスター半径RO=7.5nmが計算され、一方、C60消光層を有するサンプルでは、エネルギー移動のフェルスター半径RO=1nmが見出された。
【0063】
上述の実験を行った場合、α−6T層は、粗い表面を有することが観察された。このα−6T表面の粗さは、太陽電池の性能に有利な効果を有する。この第1ドナー層の粗さにより、第1アクセプタ層とのコンタクト表面が拡張される。結果として、例えばエキシトン分解が起きる、より大きな表面積が得られる。加えて、粗い界面により、フェルスター移動の効率が改良される。
【0064】
上の記載では、異なるドナー層とアクセプタ層が、積層として記載されたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の具体例では、異なる層が混じっても良い、例えば、第1ドナー層と第1アクセプタ層と間の界面は、また、バルクヘテロ接合界面でも良い。
【0065】
上述の実験では、第1ドナー層としてα−6T、第1アクセプタ層としてSubNc、および第2アクセプタ層としてSubPcを有するデバイス構造が、詳細に述べられたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の材料の組み合わせが、本発明の具体例で使用されても良い。例えば、以下のD2/D1材料の組み合わせが、第1ドナー層(D1)と第2ドナー層(D2)を含む具体例で使用されても良い。即ち、α−6T/CuPc、α−6T/ZnPc、α−6T/PbPc、ペンタセン/CuPc、ペンタセン/ZnPc、ペンタセン/PbPcであるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、以下のA1/A2材料の組み合わせが、第1アクセプタ層(A1)と第2アクセプタ層(A2)を含む具体例で使用されても良い。即ち、ClAlPc/SubPc、ZnPc/SubPc、PbPc/SubPc、PbPc/SubNc、および他の(sub−)フタロシアニンの組み合わせである。SubPcとSubNcは、また、例えばルブレンとの組み合わせで、ドナー材料として使用しても良い。
【0066】
先の記載は、本開示の特定の具体例を詳説する。しかしながら、先の表現がテキスト中に如何に詳しく現れていても、本開示は多くの方法で実施しても良い。なお、本開示の特定の特性または形態を記載する場合の、特定の用語の使用は、その用語が関係する本開示の特性または形態の特定の特徴を含みように、その用語がここで再定義されることを暗示するものと取るべきでは無い。
【0067】
上記詳細な説明は、様々な具体例に適用された本発明の新規な特性を示し、記載し、そして指摘したが、記載されたデバイスまたはプロセスの形態や細部において、様々な省略、代替え、および変形が、本発明のから離れることなく、当業者によって行われることが理解されるであろう。