【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、冒頭に言及した自己穿孔リベットにおいて、凹所の軸線方向深さとシャンク径との比が0.3より小さい、特に0.28より小さい、特に好ましくは0.25より小さい、さらには0.2より小さいときに達成される。
【0012】
凹所の軸線方向深さとシャンク径との比は、好ましくは0.05より大きく、好ましくは0.1より大きく、特に0.12より大きい。
【0013】
さらに、上記目的は、少なともその一方が高強度鋼で形成された上部加工物及び下部加工物と、その頭部が上部加工物に当接した変形した自己穿孔リベットとを有する、自己穿孔リベット留め接合部により達成され、ここで自己穿孔リベットは、特に本発明による自己穿孔リベットである。
【0014】
最後に、上記目的は、少なくとも1つの上部加工物及び少なくとも1つの下部加工物を有する加工物配置を準備するステップと、本発明によるタイプの自己穿孔リベットを打抜き力により加工物配置内へ駆動するステップとを含む、自己穿孔リベット留め接合部、特に上述のタイプの自己穿孔リベット留め接合部を作製する方法により達成される。
【0015】
本発明の自己穿孔リベットによる構造により、自己穿孔リベット留め方法の間に、リベットシャンクの拡張にあまり焦点を合わせたものではない自己穿孔リベットの変形が生成される。むしろ、凹所の比較的短い軸線方向により達成される効果は、接続部がリベットのアップセット動作により形成されることであり、該アップセット動作は、特に加工物配置の高強度鋼の逆圧により引き起こされる。これにより形成されるアンダーカットは、この場合には比較的小さいものになり得る。しかしながら、材料が高強度なので、比較的小さいアンダーカットであっても必要とされる接続強度を実現するには十分である。
【0016】
これに加えて、凹所の比較的小さい軸線方向深さにより達成される効果は、自己穿孔リベットが著しく高い安定性を獲得することであり、これにより高強度及び超高強度鋼を穿孔することさえ可能になる。
【0017】
自己穿孔リベット留め接合部を生成する新規手法に対する寄与は、足端部における平面部分によってもたらされる。換言すれば、切れ刃とも呼ばれる足端部の概ね環状の端部側は、少なくとも比例的に平坦な設計であることが好ましく、詳細には自己穿孔リベットの長軸に対して垂直に配向していることが好ましい。
【0018】
加工物配置の上部加工物は、鋼から製造されることが好ましく、好ましくは800N/mm
2より大きい、特に1000N/mm
2より大きい引張り強さを有する。少なくとも上部加工物の引張り強さは、1500N/mm
2まで及びそれより大きくすることができる。
【0019】
下部加工物の引張り強さは、加熱なしで、およそ600N/mm
2までに限定されることが好ましい。
換言すれば、熱処理前は微細構造が特にフェライト−パーライト構造からなる「Usibor(登録商標)」の名称で知られるような加工用鋼(forming steel)でさえ、本発明による自己穿孔リベットにより必要な接続強度で接合することができる。
【0020】
自己穿孔リベットの強度又は硬度は、対応して適合されることは言うまでもない。さらに、自己穿孔リベットは、具体的には回転対称に及び/又は鋼から一体構造で製造される半管状自己穿孔リベットであることは言うまでもない。
【0021】
取付け力を可能な限り小さく保つために、シャンクから頭部への移行部には0.5mm以下の小半径が設けられることが好ましい。
【0022】
最小リベット長は、上部加工物の厚さに、ある長さ、好ましくは2mmより長い、特に3mmに等しい長さを加えたものであることが好ましい。最大リベット長は、加工物配置の厚さの範囲内にあることが好ましい。
このようにして目的が完全に達成される。
【0023】
凹所は、長手方向断面において切頭円錐形であることが特に好ましい。
この選択肢において、足端部領域における凹所の直径は、凹所の底部の領域における直径よりも大きいことが好ましい。この実施形態において、凹所の底部は好ましくは平坦であるが、凹面状又は凸面状に湾曲させることもできる。
【0024】
さらに好ましい実施形態によれば、凹所は長手方向断面においてアーチ形である。
アーチ形は、ここで単一の半径により生成することができ、したがって凹所は長手方向断面において円弧の形状になる。
【0025】
しかしながら、凹所は、長手方向断面において尖頭アーチ又はゴシックアーチであることが特に好ましい。
このようなアーチ形状は、円から作図される2つの弧により生成され、点を有する。
点は、ここでは適切な方式で半径により丸みを帯びていることが好ましい。
さらに、尖頭アーチ形の場合、それぞれに割り当てられた弧の、それぞれの弧の中心点は、長手方向断面で見たときに各々が自己穿孔リベットの長手方向中心軸線の異なる側にあることが好ましい。
【0026】
上述の切頭円錐形及びアーチ形の2つの実施形態において、頭端部から作用する打抜き力が足端部へ適切に導入されることが有利である。
【0027】
全体として、凹所は円筒形部分を有しないことがさらに好ましい。
凹所内の円筒形部分は、不安定性をもたらすことがあり、非常に高い打抜き圧力において破損を生じさせる可能性がある。
凹所内の円筒形部分を省くことにより、自己穿孔リベットの安定性を全体として向上させることができる。
【0028】
請求項1の特徴づけに先立つ節との組合せで別個の発明を構成するさらなる実施形態において、凹所は凹所容積を有し、凹所容積の、シャンクの体積に対する比は、0.25より小さい、特に0.18より小さい、及び/又は0.05より大きい、特に0.1より大きい。
【0029】
この場合の凹所容積は、自己穿孔リベットの足端部から始めて計算される。シャンクの体積は、シャンクが均一な外径を有するところの体積であり、すなわち自己穿孔リベットの可能な移行部分を除くが、結果としてシャンクの体積に含まれる凹所容積を含む。
【0030】
比較的小さい凹所容積は、第一に自己穿孔リベットの大きな安定性をもたらす。第二に、上部加工物から切り離される打抜きピースは、凹所内に受け入れられるのではなく、打抜き動作中にリベットによりリベットの前方で押されることになる。この手段によって有利に達成することができる効果は、より大きな材料変形が、凹所内での変形の代わりに自己穿孔リベット留め工具のダイの中で生じることである。
【0031】
さらに好ましい実施形態によれば、平面部分は環状面部分として設計されかつ断面において半径方向幅を有しており、環状面部分の半径方向幅の、シャンク径に対する比は、0.05より大きい、及び/又は0.25より小さい。
【0032】
自己穿孔リベットは、好ましくは少なくとも500HV10(1630MPa)の硬度、特に少なくとも650HV10、特に少なくとも700HV10の硬度を有する鋼から製造される。硬度は、一般に800HV10より小さい。
【0033】
本発明による自己穿孔リベット留め接合部において、上部加工物の軸線方向厚さは、未変形状態における凹所の軸線方向深さ以上であることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明による自己穿孔リベット留めされた接続部の場合、打抜きピースが上部加工物から切り離されており、打抜きピースの体積の50%未満、特に30%未満、好ましくは25%未満、特に好ましくは20%未満が、変形した凹所内に位置することが有利である。
この結果、実質的にアップセットされるような方式で設計された自己穿孔リベットが得られ、その結果として凹所の容積が削減され、したがって打抜きピースが自己穿孔リベット留め動作中にリベットの前方で実質的に押されることになる。
これにより下部加工物の材料は、打抜きピースによってダイ内で適切に移動することができるようになり、したがって該材料は、自己穿孔リベットのシャンク内のアンダーカットの後方に流れる。
【0035】
全体として、変形した自己穿孔リベットのシャンクは、頭部の方向の力に対してアンダーカットを形成し、アンダーカットの、シャンク径に対する比は、0.1より小さい及び/又は0.01より大きいことがさらに有利である。
この結果、アンダーカットの広がりは比較的小さくなる。しかしながら、このような小さいアンダーカットは、高強度鋼を接続するときには必要な接続強度を実現するのに十分である。
【0036】
自己穿孔リベット留め接合部のさらに好ましい実施形態によれば、変形後の自己穿孔リベットの軸線方向長さの、変形前の自己穿孔リベットの軸線方向長さに対する比は、0.8より大きい、及び/又は0.95より小さい。
この結果、その所定の硬度ゆえに比較的小さい程度までしかアップセットしない自己穿孔リベットが得られ、これは同様に半径方向に比較的小さいアンダーカットをもたらす。
【0037】
またこの結果、自己穿孔リベットの最小長さは、上部加工物の厚さに好ましくは3又は3.5mmの値を加えて得ることが好ましく、それに対して、自己穿孔リベットの最大長さは、好ましくは加工物配置の全厚さに1mmを加えて計算されるか又は加工物配置の全厚さに等しい。
【0038】
本発明による方法の場合、加工物配置は少なくとも下部加工物がその中に駆動される容積を有するダイ上に支持され、ダイ容積の、自己穿孔リベットの体積に対する比は、1.0以上及び/又は1.5以下であることが有利である。
【0039】
ダイ容積は、少なくとも下部加工物の材料が自己穿孔リベット留め動作の間に流れ込む容積であり、この目的で設けられたダイ凹所の上縁部は、支持面に対して実質的に面一である。ダイ凹所の形状は、好ましくは切頭円錐であり、支持面領域内で比較的大きい直径を有し、ダイ容積の底部領域内でより小さい直径を有する。
【0040】
全体として、以下のことにさらに注目することができる。従来の自己穿孔リベット留めの場合、アンダーカットの形成は、接続強度の品質に関連する特徴である。本発明によるリベットは高強度なので、この特徴はもはやそれ自体当てはまらない。リベットは、比較的強い上部加工物を必要とし、そしてその打抜きピースが、加工中にリベットをアップセットさせてこれをいくらか押し広げる。従来技術のリベットとは対照的に、接続部のアンダーカットは、従来の拡張によって生成されるのではなく、むしろリベットのアップセット動作によって生成され、このアップセット動作は高強度鋼の逆圧により生じる。従来のリベットと区別するさらなる基準は、原則として上部加工物の引張り強さ800N/mm
2、特に1000N/mm
2でのみ始まる使用範囲である。この強度カテゴリの鋼は、車両製造での用途が見いだされており、それは超高強度板で作られた軽量構造の使用が増大しているためである。本発明による自己穿孔リベットの使用範囲の下方は、高強度加工物配置を穿孔/穿刺するための力である最小打抜き力の8kNで限られることが好ましい。その力を上回ると、自己穿孔リベットの十分なアップセット(拡張が主ではない)が始まり、必要なアップセット度、好ましくは少なくとも0.15mmが達成される。接続品質を評価するためには、アンダーカットの形成に加えてアップセットの程度も考慮に入れるべきである。アップセット度は、変形前の自己穿孔リベットの軸線方向長さから変形後の、すなわち固定状態の自己穿孔リベットの軸線方向長さを差し引くことで計算される。
【0041】
上述した特徴及びまだこれから後述する特徴は、それぞれ記述した組合せのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる組合せにおいて又はそれ自体で有用であることは言うまでもない。
本発明の例示的な実施形態は、図面に示されかつ下記の説明においてより詳細に説明される。