(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
音声出力と画面表示の少なくとも一方により、対象人物が正面を向いて両腕の斜め下向き所定角度に開くように促して前記対象人物を撮影することにより第1の画像データを取得し、前記対象人物が前記腕を水平に開いて垂直方向を軸として体の向きを回転するように促して前記対象人物を撮影することにより第2の画像データを取得する撮影処理部と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データに基づき前記対象人物の胴体の周囲長を算出する体格情報算出部と、
を有し、
前記撮影処理部は複数の前記第2の画像データを連続的に取得し、複数の前記第2の画像データについて順次、前記対象人物の領域を特定して前記領域における前記対象人物の両腕に相当する部分が胴体に相当する部分に隠れたか否か判定し、
前記体格情報算出部は、前記両腕に相当する部分が前記胴体に相当する部分に隠れたと判定されたら前記対象人物が90度回転した状態を検知し、前記状態で撮影された第2の画像データを前記胴体の周囲長の算出に用いる、
携帯情報端末。
音声出力と画面表示の少なくとも一方により、対象人物が正面を向いて両腕の斜め下向き所定角度に開くように促して前記対象人物を撮影することにより第1の画像データを取得し、前記対象人物が前記腕を水平に開いて垂直方向を軸として体の向きを回転するように促して前記対象人物を撮影することにより第2の画像データを取得する撮影処理部と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データに基づき前記対象人物の胴体の周囲長を算出する体格情報算出部と、
を有し、
前記撮影処理部は複数の前記第2の画像データを連続的に取得し、複数の前記第2の画像データについて順次、前記対象人物の領域を特定して前記領域における前記対象人物の両腕に相当する部分が胴体に相当する部分に隠れたら、音声出力と画面表示の少なくとも一方により前記対象人物の回転を停止するように促す、
携帯情報端末。
人体の所定部位の寸法である体格寸法と、衣服を着用した状態の人体の所定部位の寸法である着衣体格寸法との差分を補正するための補正値を含む体格補正情報を保持する体格補正情報保持部と、
対象人物を撮影して画像データを取得する撮影処理部と、
前記画像データから前記対象人物の着衣体格寸法を算出し、前記着衣体格寸法を前記補正値によって補正することにより、前記対象人物の体格寸法を算出する体格情報算出部と、
前記撮影処理部が撮影を行う方位を計測する方位計測部と、
を有し、
前記撮影処理部は、前記方位計測部で計測される方位を参照し、前記対象人物の正面を撮影した後に前記対象人物の側面を撮影するとき、前記正面を撮影したときのカメラの方向と90度をなす方向にカメラが向くと、その旨を提示し、
前記体格情報算出部は、前記対象人物の正面を撮影した画像データと側面を撮影した画像データを用いて前記対象人物の胴体の周囲を算出する、
携帯情報端末。
前記体格情報算出部は、前記対象人物の正面を撮影したときのカメラの方向と側面を撮影したときのカメラの方向のなす角が90度から変位していれば、変位した角度をβとして、水平方向の寸法を1/cosβ倍する、請求項3に記載の携帯情報端末。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態による体格情報算出装置について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態による体格情報取得装置の使用態様の一例を示す図である。体格情報算出装置10は、
図1に示すように、操作者20が操作することにより、内蔵するカメラ(不図示)で対象人物30を撮影し、得られた画像データから、対象人物30の体格寸法を算出する。体格情報算出装置10はスマートフォンにアプリケーションをインストールすることで実現される。そのため、体格情報算出装置10は、スマートフォンが備えるカメラ機能、電子コンパス機能、ジャイロ機能を利用可能である。
【0018】
体格寸法とは、人体の所定部位の寸法であり、例えば、身長、肩幅、胸囲、胴囲、股下といった寸法である。典型例としては、体格寸法は、裸の状態、あるいはそれに近い薄着の状態での各部位の寸法であり、購入する衣服のサイズ選択などに利用可能な情報である。これに対して、衣服を着用した状態での人体の所定部位の寸法を着衣体格寸法ということにする。
【0019】
操作者20は、
図1に示すように、対象人物30の頭頂部から足底部まで全身と、基準物40とを含むように撮影を行う。基準物40は、既知の形状および大きさを有する物体である。体格情報算出装置10に専用の物であってもよいし、CD、雑誌、新聞、など形状および大きさが既知の他用途の物であってもよい。典型例としては対象人物30が基準物40を把持した状態で撮影が行われる。
【0020】
図2は、本実施形態による体格情報算出装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
図2に示すように、体格情報算出装置10は、体格補正情報保持部11、衣服種別情報取得部12、撮影処理部13、体格情報算出部14、方位計測部15、および姿勢計測部16を有している。以下、体格情報算出装置10の各部について説明するが、構成の説明であるため各部の説明が必ずしも動作の順序と一致しないことに留意されたい。
【0022】
体格補正情報保持部11は、着衣体格寸法と体格寸法との差分を補正するための補正値を含む体格補正情報を保持する。
【0023】
図3は、体格補正情報の一例を示す図である。
図3に示すように、体格補正情報50においては、衣服種別に対応付けて、肩幅補正値、胸囲補正値、胴囲補正値、股下補正値が規定されている。肩幅補正値、胸囲補正値、胴囲補正値、股下補正値は、それぞれ肩幅、胸囲、胴囲、股下についての補正値である。
【0024】
衣服種別が下着であれば、対応する肩幅補正値が−0.3cm、胸囲補正値が−0.5cm、胴囲補正値が−0.5cm、股下補正値が0cmである。衣服種別がTシャツであれば、対応する肩幅補正値が−0.3cm、胸囲補正値が−1.0cm、胴囲補正値が−1.0cm、股下補正値が0cmである。衣服種別がセーターであれば、対応する肩幅補正値が−0.8cm、胸囲補正値が−1.6cm、胴囲補正値が−1.2cm、股下補正値が0cmである。衣服種別がトレーナーであれば、対応する肩幅補正値が−0.8cm、胸囲補正値が−1.6cm、胴囲補正値が−1.6cm、股下補正値が0cmである。
【0025】
衣服種別がスリムのジーンズであれば、対応する肩幅補正値が0cm、胸囲補正値が0cm、胴囲補正値が0cm、股下補正値が+4.0cmである。衣服種別がルーズのジーンズであれば、対応する肩幅補正値が0cm、胸囲補正値が0cm、胴囲補正値が0cm、股下補正値が+8.0cmである。
【0026】
例えば、下着を着用した状態で撮影された画像データから算出される肩幅から、0.3cm減算すれば、裸の状態での肩幅の値が得られる。また、スリムのジーンズを着用した状態で撮影された画像データから算出される股下の値に4.0cmを加算すると、裸の状態での股下の値が得られる。
【0027】
なお、ここでは、体格補正情報においては、衣服種別に対応付けて、肩幅補正値、胸囲補正値、胴囲補正値、股下補正値が固定的に規定されている例を示した。しかし、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、同じ衣服種別に対して同じ体格寸法の項目に対して複数の補正値が規定されていてもよい。例えば、所定サイズ以下の子供と、大人とで異なる値を規定してもよい。
【0028】
撮影処理部13は、操作者20の操作により、スマートフォンが備えるカメラで対象人物30を撮影して画像データを取得する。
【0029】
体格情報算出部14は、画像データから着衣体格寸法を算出し、その着衣体格寸法を、体格補正情報50に含まれる補正値で補正することにより体格寸法を算出する。
【0030】
一例として、体格情報算出部14は、画像データにおける対象人物30の領域と背景の領域との境界を検出し、対象人物30の領域の形状から頭部と足部を抽出する。対象人物30の領域と背景の領域との境界の検出は、既存のエッジ検出技術を用いればよい。
【0031】
更に、体格情報算出部14は、頭部の頂点(頭頂部)と足部の最下点(足底部)との距離を、基準物40の大きさとの関係に基づいて算出する。ここで算出される、頭頂部から足底部までの距離が対象人物30の身長である。対象人物30が基準物40を把持していれば、体格情報算出装置10と対象人物30の距離と、体格情報算出装置10と基準物40との距離は等しいので、例えば、既知である基準物4の大きさと対象人物30の身長との比は、画像データ上での基準物40大きさと対象人物30の身長との比と一致する。
【0032】
更に、体格情報算出部14は、基準物40の大きさ、あるいは対象人物30の身長を基準として、肩幅、胸囲、胴囲、および股下を算出する。ここで算出される肩幅、胸囲、胴囲、および股下は、着衣体格寸法である。
【0033】
更に、体格情報算出部14は、
図3の体格補正情報を参照して、肩幅、胸囲、胴囲、および股下のそれぞれの補正値を抽出し、着衣体格寸法である肩幅、胸囲、胴囲、および股下の値を補正値に基づいて補正する。これにより、裸の状態での対象人物30の肩幅、胸囲、胴囲、および股下の値が算出される。
【0034】
本実施形態によれば、衣服を着用した対象人物を撮影して得られる着衣体格寸法を補正することにより裸の状態での体格寸法を算出するので、衣服を着用した状態で対象人物を撮影しても精度の良い体格情報を算出することができる。
【0035】
なお、本実施形態の体格情報算出装置10は、一例として、着用している衣服の種別の入力を促す情報を画面表示し、操作者20が入力した衣服種別の情報を取得し、用いることにしてもよい。
【0036】
図4は、着用している衣服の種別の入力を促す情報を画面表示した様子を示す図である。
図4を参照すると、一例として、画面の下部に「来ている衣服の種別を選択してください。」と表示され、更に選択肢として「下着、Tシャツ、セーター、トレーナー」が表示されている。
【0037】
衣服種別情報取得部12は、
図4に例示したような画像表示により入力を促すことで、対象人物30が着用している衣服の種別を示す衣服種別情報を取得する。
【0038】
体格情報算出部14は、取得された衣服種別情報が示す衣服種別に対応する補正値を体格補正情報50から取得し、その補正値を用いて着衣体格寸法を補正し、体格寸法を得る。
【0039】
例えば、対象人物30がTシャツとスリムのジーンズを着用しているという入力がされたのであれば、肩幅の補正値が−0.5cm、胸囲の補正値が−1.0cm、胴囲の補正値が−1.0cm、股下の補正値が+4.0cmとなる。これら各補正値を着衣体格寸法の肩幅、胸囲、胴囲、股下のそれぞれに加算することで体格寸法を得ることができる。
【0040】
本実施形態によれば、衣服の種別毎に補正値を設定でき、高い精度で体格寸法を算出することができる。
【0041】
また、本実施形態による体格情報算出装置10は、着用している衣服を体に密着させるよう画面表示により促してもよい。
図5は、着用している衣服を体に密着させるよう促す情報を画面表示した様子を示す図である。
図5を参照すると、画面の下部に「来ている衣服を体に密着させえてください。」と表示されている。
【0042】
撮影処理部13は、
図5に例示するように、着用している衣服を体に密着させるよう促す画面表示を行う。操作者20は、その画面表示を見て、対象人物30に、来ている洋服を体に密着させるように促す、対象人物30は、それに従って、衣服を体に密着させる。これにより、画面表示を見た操作者20が対象人物30に促して衣服を密着させるので、より高い精度で体格寸法を算出することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態による体格情報算出装置10は、腕を斜め下向き45度の角度に開くように画面表示により促してもよい。
図6は、腕を斜め下向き45度の角度に開くように促す情報を画面表示した様子を示す図である。
図6を参照すると画面の下部に「両腕を45度に開いてください。」と表示されている。
【0044】
撮影処理部13は、
図6に例示するように、腕を斜め下向き45度の角度に開くように促す画面表示を行う。腕を高く上げ過ぎると肩の境界が取得するのが困難となり、肩幅の算出精度が低下し、逆に腕を下げ過ぎると、画像データから腕と胴体の境界を識別するのが困難となる。そこで、腕を45度程度に開くことで、肩の境界、および腕と胴体との境界がどちらも正しく認識可能になり、肩幅と胴囲のどちらも正確に算出することができる。
【0045】
また、本実施形態による体格情報算出装置10は、まず対象人物30の正面を撮影し、次に側面を撮影し、正面の画像データと側面の画像データに基づいて胸囲と胴囲を算出することにしてもよい。その場合、体格情報算出装置10は、対象人物30の正面を撮影した後、側面を撮影するとき、カメラの方向が、正面を撮影したときと90度をなす方向に向いているか否か判断し、画面表示によって、操作者20を補助することにしてもよい。
【0046】
図7は、対象人物30を正面から撮影することを促す情報が画面表示された様子を示す図である。
図7を参照すると画面の下部に「まず、正面から撮影を行います。」と表示されている。
【0047】
図8は、対象人物30を側面から撮影することを促す情報が画面表示された様子を示す図である。
図8を参照すると画面の下部に「次は、真横からの撮影を行います。操作者が真横に移動してください。」と表示されている。
【0048】
図9は、体格情報算出装置10が対象人物30の正面から側面に回り込む様子を示す図である。
【0049】
例えば、撮影処理部13は、
図7に例示したように、対象人物30を正面から撮影することを促す情報を画面表示する。その画面表示を見て、操作者20は、対象人物30を正面から撮影する。撮影処理部30は、撮影された正面の画像データを取得し、次に、
図8に示すように、対象人物30を側面から撮影することを促す情報を画面表示する。その画面表示を見て、操作者20は、
図9に示すように対象人物30の側面に回り込み、側面から対象人物30を撮影する。撮影処理部13は、撮影された側面の画像データを取得する。
【0050】
その際、撮影処理部13は、対象人物30の正面を撮影した後、側面を撮影するとき、カメラの方向が、正面を撮影したときと90度をなす方向に向いているか否か判断し、画面表示によって、操作者20を補助することにしてもよい。
【0051】
そのために、方位計測部15は、例えば、スマートフォンに内蔵された電子コンパス(不図示)により体格情報算出装置10の方位を計測する。
【0052】
そして、撮影処理部13は、方位計測部15で計測される方位を参照し、対象人物の正面を撮影した後に対象人物の側面を撮影するとき、正面を撮影したときのカメラの方向と90度をなす方向にカメラが向くと、その旨を画面表示する。
図10は、カメラの方向が対象人物30の正面を撮影したときとのなす角が90度となったことを示す情報を画面表示した様子を示す図である。一例として、「真横にきましたそこで撮影してください。」と表示されている。操作者20は、その画面表示を見ながら、カメラ方向を調整すれば、対象人物30の側面を正しい角度で撮影することができる。
【0053】
なお、操作者20が正面を撮影し、次に側面を撮影するというように、2段階の撮影操作を行ってもよく、あるいは、体格情報算出装置10の撮影処理部13が、対象人物30の正面の画像データを取得してから側面に周り込む間、動画撮影のごとく、連続的に画像データをモニタしながら、側面に来たらそのときの画像データを自動的に取得することにしてもよい。
【0054】
体格情報算出部14は、そうして得られた対象人物の正面を撮影した画像データと側面を撮影した画像データを用いて対象人物の胸囲または胴囲を算出する。
【0055】
まず、装置を正確に方向付けしやすい対象人物30の正面を撮影し、その後、対象人物30の側面を撮影するとき、正面を撮影したときのカメラの向きと90度になると画面表示で知らせるので、正面と側面の組を高い精度で計測することがきる。
【0056】
また、本実施形態による体格情報算出装置10は、対象人物30の側面を撮影したときのカメラの向きが、正面を撮影したときのカメラの向きとのなす角が90度からずれていれば、そのずれを補正することにしてもよい。
【0057】
図11は、対象人物30の側面を撮影するときの体格情報算出装置10と対象人物30との位置関係の一例を示す図である。
図11においては、紙面を裏から表に貫通する方向がz方向である。
図11を参照すると、体格情報算出装置10は、紙面内で回転するように、対象人物30の真横から角度βだけずれた位置から対象人物30を見ている。
【0058】
このように、対象人物30の正面を撮影したときのカメラの方向と側面を撮影したときのカメラの方向のなす角が90度から変位していれば、体格情報算出部14は、変位した角度をβとして、水平方向の寸法を1/cosβ倍することにすればよい。
【0059】
側面測定時のカメラ方向が正面測定時のカメラ方向と90度の角度から変位していたら、水平方向の寸法をそのずれ分だけ補正するので、正面撮影時のカメラ方向と側面撮影時のカメラ方向が完全に90度させなくても正確な寸法を撮影できる。
【0060】
また、本実施形態による体格情報算出装置10は、自装置の姿勢を観測し、自装置のカメラの方向が垂直方向からずれているか否か判断し、ずれていればそのずれを補正することにしてもよい。
【0061】
図12は、対象人物30対象人物30を撮影するときの体格情報算出装置10と対象人物30との位置関係の一例を示す図である。
図12においては、紙面の上向きがz方向である。
図12を参照すると、体格情報算出装置10は、角度αだけ下向きに紙面を回転した位置から、対象人物30を見ている。
【0062】
姿勢計測部16は、このような自装置の姿勢を計測する。体格情報算出部14は、姿勢計測部16で計測される姿勢における上方向が、垂直方向から変位していれば、変位した角度をαとして、縦方向の寸法を1/cosα倍する。
【0063】
対象人物30を撮影するとき、体格情報算出装置10の姿勢が垂直方向からずれていれば、その分だけ垂直方向の体格寸法を補正するので、撮影時に体格情報算出装置10を完全に垂直にしていなくても正確な寸法を撮影することができる。
【0064】
また、本実施形態による体格情報算出装置10は、目と口の距離に基づいて、身長を補正することにしてもよい。カメラで撮影される画像データでは、髪の毛の盛り上がり具合によって身長に誤差が生じる場合があり、その分を補正することが好ましい。目と口の距離と目と頭頂部との距離との間には所定の関係があるので、目と口の距離から目と頭頂部の距離を算出し、対象人物30の身長を算出するのに、目と頭頂部の距離を利用すればよい。
【0065】
図13は、正面から撮影した対象人物30の顔の部分の画像を示す図である。対象人物30は、頭頂部上方に髪の毛が盛り上がっているので、画像データにおける見かけ上の対象人物30と背景の境界が、実際の頭頂部の位置よりも上にあると認識される。そのため、補正を行わなければ、対象人物30の身長が実際よりも高いという計測結果が得られてしまう。そこで、体格情報算出装置10は、目と口の距離に基づいて、身長を補正する。
【0066】
体格情報算出部14は、対象人物30の両目の中心と口の距離L1に基づき、両目の中心と頭頂部の距離L2を算出し、両目の中心と足底の距離と、両目の中心と頭頂部の距離L2との合計を対象人物30の身長とすればよい。
【0067】
これにより、髪の毛が盛り上がっている対象人物30を、髪の毛を頭頂部に押し付けたりせず、そのまま撮影しても、正確な身長を算出することができる。
【0068】
なお、両目の中心と口との距離L1と、両目の中心と頭頂部との距離L2との比は、人種によって異なるので、日本人を対象とするのであれば、日本人における比の値が用いられる。
【0069】
図14は、本実施形態による体格情報算出装置10による体格情報算出処理を示すフローチャートである。以下、体格情報算出装置10の動作例について説明する。
【0070】
図14を参照すると、対象人物30の体格寸法を算出する処理において、体格情報算出装置10は、まず、
図7に示した画面表示により、対象人物30を正面の撮影を操作者20に促す(ステップS101)。操作者20は、画面表示に従って、体格情報算出装置10を対象人物30の正面に向ける。
【0071】
なお、ここでは、体格情報算出装置10は、画像表示のみによって操作者20に情報を通知する例を示しているが、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、体格情報算出装置10は、画像表示とともにあるいは画像表示に代えて音声を発してもよく、画像表示あるいは音声発生と共に振動することにしてもよい。
【0072】
続いて、体格情報算出装置10は、
図5に示した画面表示により、対象人物30が着用している衣服を対象人物30の体に密着させるよう促す(ステップS102)。操作者20は、対象人物30に衣服を体に密着させるよう促し、それを聞いて対象人物30は衣服をできる限り体に密着させる。
【0073】
続いて、体格情報算出装置10は、
図6に示した画面表示により、対象人物30の両腕を斜め下45度に開くように促す(ステップS103)。操作者20は、対象人物30に促して、両腕を斜め下45度に開かせる。
【0074】
続いて、体格情報算出装置10は、操作者20による操作に従って、対象人物30を正面から撮影し、正面の画像データを取得する(ステップS104)。
【0075】
続いて、体格情報算出装置10は、
図8に示した画面表示により、操作者20に対象人物30の側面に移動するように促す(ステップS105)。操作者20は、それに従って、体格情報算出装置10のカメラを対象人物30に向けながら、対象人物30の側面に回り込む。
【0076】
続いて、体格情報算出装置10は、
図10に示した画面表示により、操作者20に対象人物30の真横に来たことを通知する(ステップS106)。画面表示を見て、操作者20は、その場所で立ち止まる。
【0077】
続いて、体格情報算出装置10は、再び、
図5に示した画面表示により、対象人物30が着用している衣服を対象人物30の体に密着させるよう促す(ステップS107)。操作者20は、対象人物30に衣服を体に密着させるよう促し、それを聞いて対象人物30は衣服をできる限り体に密着させる。
【0078】
続いて、体格情報算出装置10は、
図6に示した画面表示により、対象人物30の両腕を斜め下45度に開くように促す(ステップS108)。操作者20は、対象人物30に促して、両腕を斜め下45度に開かせる。
【0079】
続いて、体格情報算出装置10は、操作者20による操作に従って、対象人物30を側面から撮影し、側面の画像データを取得する(ステップS109)。
【0080】
なお、ここでは、対象人物30を側面から撮影するとき、再び、衣服を体に密着させ、両腕を45度に開かせてから、操作者20の撮影操作により撮影を行い、画像データを取得することにしたが、本発明はこれに限らない。他の例として、対象人物30の正面の画像データを取得した後、操作者20に対象人物の側面に回り込む間、体格情報算出装置10は、継続的に画像データをモニタし、対象人物30の真横に来たときの画像データを取得することにしてもよい。
【0081】
続いて、体格情報算出装置10は、ステップS104で取得した画像データと、ステップS109で取得した画像データとを用いて、対象人物30の着衣体格寸法を算出する(ステップS110)。このとき算出される寸法には、身長、肩幅、胸囲、胴囲、股下の情報が含まれる。
【0082】
最後に、体格情報算出装置10は、ステップS110で算出した着衣体格寸法を、体格補正情報に基づいて補正することにより体格寸法を算出し、体格情報として出力する(ステップS111)。
【0084】
第1の実施形態による体格情報算出装置10は、装置単体で対象人物30の撮影から、体格寸法の算出までを行ったが、本発明がこれに限定されることはない。
【0085】
第2の実施形態では、体格情報算出装置が通信路経由でサーバに接続され、体格情報算出装置とサーバが協働することにより体格寸法を算出する例を示す。
【0086】
図15は、第2の実施形態による体格情報算出システムの構成を示す機能ブロック図である。
図15を参照すると、体格情報算出システムは、体格情報算出装置10Bとサーバ110を有している。体格情報算出装置10Bとサーバ110はネットワーク等の通信路120を介して相互に接続されている。
【0087】
体格情報算出装置10Bは、衣服種別情報取得部12、撮影処理部13、体格情報処理部17、方位計測部15、および姿勢計測部16を有している。
【0088】
サーバ110は、体格補正情報保持部111、体格情報処理部112、および体格情報算出部113を有している。
【0089】
体格情報算出装置10Bにおける衣服種別情報取得部12、撮影処理部13、方位計測部15、および姿勢計測部16は、
図2に示した第1の実施形態のものと同様である。
【0090】
体格情報処理部17は、通信路120を経由してサーバ110の体格情報処理部112と通信し、サーバ110の体格情報算出部113に画像データを渡して体格情報を算出する処理を実行させる。
【0091】
サーバ110における体格補正情報保持部111は、
図2に示した体格補正情報保持部11と同様に、着衣体格寸法と体格寸法との差分を補正するための補正値を含む体格補正情報を保持する。体格補正情報は、例えば
図3に示した第1の実施形態と同様の物であってもよい。
【0092】
サーバ110における体格情報処理部112は、通信路120を経由して体格情報算出装置10Bの体格情報処理部17と通信し、体格情報算出部113に画像データを渡して体格情報を算出する処理を実行させる。
【0093】
サーバ110における体格情報算出部113は、
図2に示した体格情報算出部14と同様、画像データから着衣体格寸法を算出し、その着衣体格寸法を、体格補正情報50に含まれる補正値で補正することにより体格寸法を算出する。
【0094】
なお、体格補正情報保持部111は、体格補正情報を季節毎など定期的に更新してもよく、あるいはファッショントレンドの変化に応じるなど適宜的に更新してもよい。これによれば、体格補正情報の補正値を適切な値に維持することができ、より正確な体格寸法を算出することが可能となる。なお、定期的に更新する場合、季節毎の体格補正情報を予め保持しておき、体格寸法の補正に用いる体格補正情報を季節に応じた所定のタイミングで切り替えることにしてもよい。また、適宜的に更新する場合、現在使用中の体格補正情報の他に、新たな体格補正情報を作成し、予め保持しておき、体格寸法の補正に用いる体格補正情報を所定のタイミングで切り替えることにしてもよい。
【0096】
第3の実施形態による体格情報算出装置10は、第1の実施形態によるものが有する機能に加え、更に、足底部から胸までの距離、足底部から臍までの距離、股下、胸から頭頂部までの距離を算出する機能を備えている。
【0097】
第3の実施形態による体格情報算出装置10の構成は
図2に示した第1の実施形態のものと同様である。
【0098】
本実施形態の体格情報算出部14は、
図13を用いて説明した第1の実施形態による算出方法で身長を算出すると、その身長の値に基づき、足底部から胸までの距離、足底部から臍までの距離、股下、胸から頭頂部までの距離を算出する。
【0099】
図16は、人体における身長、足底部から胸までの距離、足底部から臍までの距離、股下、および胸から頭頂部までの距離を示す図である。
図16には、身長Hと、足底部から胸までの距離h1と、足底部から臍までの距離h2と、股下h3と、胸から頭頂部までの距離h4とがそれぞれ矢印によって示されている。
【0100】
身長Hと、足底部から胸までの距離h1、足底部から臍までの距離h2、股下h3、および胸から頭頂部までの距離h4との間には所定の比例関係がある。それらの比例関係に基づいてHからh1〜h4を算出することができる。なお、この比例関係の比例係数は人種によって異なるので、サービスを提供する地理的条件などにより適切な人種における比例係数を選択して用いるのが好ましい。
【0104】
さらに、体格情報算出部14は、画像における足底部の位置と、足底部から胸までの距離h1、足底部から臍までの距離h2、および股下h3のそれぞれから、胸囲を測定する胸の位置、腹囲を測定する臍の位置、大腿部の付け根の位置を算出する。
【0105】
本実施形態によれば、衣服を着た状態で画像から判断しづらい、胸の位置、臍の位置、股下を容易に判断することができる。
【0107】
第1の実施形態では、正面の画像データと側面の画像データを取得するとき、操作者20が体格情報算出装置10を対象人物30に向けながら対象人物30の周りを移動し、体格情報算出装置10の撮影処理部13が対象人物30を撮影した。そして、体格情報算出部14は、正面の画像データと側面の画像データを用いて対象人物30の胸囲と腹囲(胴囲)を算出した。しかし、本発明がこの手法に限定されることはない。第4の実施形態では、操作者20が移動するのではなく、対象人物30が回転することで対象人物30の各方向からの撮影を可能にし、体格情報算出装置10は、各方向から撮影した対象人物30の画像データを基に、胸囲、腹囲、および腰囲を算出する。
【0108】
第4の実施形態による体格情報算出装置10の基本構成は
図2に示した第1の実施形態のものと同様である。
【0109】
図17は、操作者20が体格情報算出装置10の位置および方向を固定して保持し、対象人物30が回転する様子を示す図である。
【0110】
本実施形態では、
図17に示すように、対象人物30は体格情報算出装置10に正対した状態からその場で時計と逆回りに90度、すなわち体格情報算出装置10に対して側面を向けるまで回転する。体格情報算出装置10は、対象人物30の正面から対象人物30の側面まで連続的な撮影を続ける。すなわち、体格情報算出装置10はその間、所定の周期で連続的に画像データを取得する。そして、体格情報算出装置10は、取得される対象人物30の正面から側面までの画像データを用いて、対象人物30の各部の寸法を算出する。その際、体格情報算出装置10は、正面の画像データと側面の画像データを用いて対象人物30の胴体の断面形状を推定し、その断面形状から周囲長を算出してもよい。あるいは、体格情報算出装置10は、正面の画像データと側面の画像データだけでなく、その途中の角度の画像データも用いて、対象人物30の胴体の断面形状を推定し、その断面形状に基づいて周囲長を算出することにしてもよい。
【0111】
また、ここでは第4の実施形態による体格情報算出装置10は、一連の処理により、身長H、肩幅W、足底部から胸までの距離h1、足底部から臍までの距離h2、股下h3、頭頂部から胸までの距離h4、胸囲bc、腹囲wc、腰囲hcといった体格情報を算出するものとする。
【0112】
本実施形態では、胸の位置における胴体の周囲長を胸囲bcとし、臍の位置における胴体の周囲長を腹囲wcとし、身長Hに対して所定の比例係数khを乗算した長さだけ足底部より上方の位置(腰囲測定位置)における胴体の周囲長を腰囲hcとする。
【0113】
各部位の寸法の比すなわち体型は人種に依存した傾向があるので、比例係数khは、一例として、対象人物30に想定される人種に合わせて予め設定しておいてもよい。他の例として、多数の人物の体格情報を測定し、その測定結果を基に算出した平均値を比例係数として用いてもよい。腰囲測定位置は、臍より下方にあり、股下h3を測定する位置より上方にあるとする。
【0114】
以下、第4の実施形態による体格情報算出装置10が対象人物30の体格情報を算出する一連の処理について説明する。
図18は、第4の実施形態による体格情報算出装置10による体格情報算出処理を示すフローチャートである。
【0115】
まず、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、操作者20に対して、対象人物30を、腕を下げてまっすぐ立たせるように促す(ステップS201)。例えば音声ガイダンスまたは画面表示によりその旨を提示すればよい。次に、体格情報算出装置10は、撮影処理部13による対象人物30の撮影を開始する(ステップS202)。これにより対象人物30の正面から撮影した画像データが取得され始める。
【0116】
体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により、対象人物30の正面から撮影した画像データを基に対象人物30の肩幅Wを算出する(ステップS203)。正面の画像データから対象人物30の領域を抽出して肩に当る部分を特定し、その部分の横幅を肩幅として算出すればよい。
【0117】
続いて、体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により身長Hを算出する。本実施形態における身長算出方法は第1の実施形態と同じ方法、すなわち、正面の画像データを解析し、目と頭頂部の距離と目と口の距離の所定の関係を利用して、身長Hを算出するという方法である。
【0118】
更に、体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により、身長Hに基づいて、足底部から胸までの距離h1、足底部から臍までの距離h2、股下h3、および胸から頭頂部までの距離h4を算出する。本実施形態におけるh1〜h4の算出方法は第1の実施形態に用いたのと同じ方法であり、Hとh1〜h4のそれぞれとの所定の比例関係を利用し、Hに所定の比例係数を乗算することでh1〜h4を算出する方法である。
【0119】
次に、体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により、対象人物30の胸の位置を決定する(ステップS206)。胸の位置は、足底部の位置と、足底部から胸までの距離h1とに基づいて決定することができる。足底部の位置から垂直に距離h1だけ上方の位置が胸の位置である。足底部の位置は例えば画像データから抽出された対象人物30の領域の最も低い位置として特定することができる。
【0120】
また、体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により、対象人物30の臍の位置を決定する(ステップS207)。臍の位置は、足底部の位置と、足底部から臍までの距離h2とに基づいて決定することができる。足底部の位置から垂直に距離h2だけ上方の位置が臍の位置である。
【0121】
また、体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により、対象人物30の腰囲測定位置を決定する(ステップS208)。腰囲測定位置は、足底部の位置と、身長Hに対して所定の比例係数khを乗算した値H×khとに基づいて決定することができる。足底部の位置から垂直に距離H×khだけ上方の位置が腰囲測定位置である。
【0122】
次に、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、撮影者20に対して、対象人物30の腕を45度に開かせるように促す(ステップS209。
【0123】
図19は、対象人物30が両腕を45度に開いた様子を示す図である。
図19に示すように対象人物30が両腕を45度に開いたら、体格情報算出装置10は、次に、撮影処理部13で撮影される画像データに基づき、胸の位置、臍の位置、および腰囲測定位置における胴体幅b1、w1、h1を算出する(ステップS210)。
【0124】
対象人物30が両腕を45度に開いていると、正面の画像データから、腕、腕の付け根、胴体を特定することが容易となる。腕を開き過ぎると、対象人物30の側面部分の衣服または皮膚が斜め上方向に引き拡げられ、胸位置における胴体幅b1が実際よりも大きな値として算出される可能性がある。そのため腕の角度は適切な角度に調整するのがよい。正面の画像データから胸の位置の胴体幅b1を一定誤差範囲内で取得するには、腕の角度は30〜60度の範囲が好ましい。また、対象人物30と操作者10が協力して腕の角度を調整するとき、水平と垂直の中間である45度は比較的調整がしやすい角度であり、好ましい。以上の理由から本実施形態では45度を採用している。
【0125】
次に、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、操作者10に対して、対象人物30の両腕を水平すなわち90度に開かせるように促す(ステップS211)。
図20は、対象人物30が両腕を90度に開いた様子を示す図である。
【0126】
これから、対象人物30をゆっくり回転させて回転途中の各角度での画像データを取得するので、回転途中のどの角度でも腕が胸位置、臍位置、および腰囲測定位置で胴体にかからないように、
図20に示すように腕の角度は90度以上とするのが好ましい。また、対象人物30と操作者10が協力して腕の角度を調整するとき、水平である90度は比較的調整しやすく、好ましい。
【0127】
また、腕を90度まで上げたときには、腕を45度まで上げていたときと比べると、対象人物30の側面の衣服または皮膚が斜め上方に引き拡げられる。しかし、正面からの画像データではなく、回転途中の角度からの画像データを取得する場合には、衣服または皮膚が引き拡げられることによる胴体の見かけ幅の誤差は小さい。胴体の見かけ幅とは、体格情報算出装置10から対象人物30を見たその胴体の見かけ上の横幅である。
【0128】
以上の理由から本実施形態では90度を採用している。
【0129】
対象人物30が腕を90度に開いたら、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、操作者10に対して、対象人物30をその場で例えば背骨を軸にゆっくり90度回転させるように促す(ステップS212)。
【0130】
対象人物30が回転している間、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、対象人物の回転途中の各角度からの画像データを取得し、体格情報算出部14により、それらの画像データを用いて、胸位置の見かけ幅b2〜bnと、臍位置の見かけ幅w2〜wnを算出する(ステップS213)。
【0131】
なお、体格情報算出装置10は、対象人物30が90度回転し、真横からの画像データが取得できたら、撮影処理部13により対象人物30の回転の停止を促すのが好ましい。また、体格情報算出装置10は、撮影処理部13による撮影を自動的に終了してもよい。
【0132】
その際、体格情報算出装置10の撮影処理部13は、画像データにおける対象人物30の領域において、両腕に相当する部分が胴体に相当する部分から横に張り出しているか、両腕に相当する部分が胴体に相当する部分内に隠れたかによって、対象人物30が90度まで回転したか否か判断するとよい。その場合、精度をできるだけ高めるためには、両手の手の先端の間隔が最も大きくなるように腕の角度を90度にしておくのが好都合である。
【0133】
更に、体格情報算出装置10は、胸位置の正面の胴体幅b1と見かけ幅b2〜bnとに基づき胴体の胸位置の周囲長すなわち胸囲bcを算出し、臍位置の正面の胴体幅w1と見かけ幅w2〜wとに基づき胴体の臍位置での周囲長すなわち腹囲wcを算出し、腰囲測定位置の正面の胴体幅h1と見かけ幅h2〜hnとに基づき胴体の腰囲測定位置の周囲長すなわち腰囲hcを算出する(ステップS214)。
【0134】
例えば、胸位置の胴体幅b1および見かけ幅b2〜bnを用いて胸位置における胴体の断面形状を算出してその周囲長を算出すればよい。同様に、臍位置の胴体幅w1および見かけ幅w2〜wnを用いて臍位置における胴体の断面形状を算出してその周囲長を算出すればよい。同様に、腰囲測定位置の胴体幅h1および見かけ幅h2〜hnを用いて腰囲測定位置における胴体の断面形状を算出してその周囲長を算出すればよい。
【0135】
その後、体格情報算出装置10は、算出された肩幅W、股下h3、胸囲bc、腹囲wc、および腰囲hcを着衣体格寸法として、第1の実施形態において
図3および
図14を用いて説明したものと同様の方法で補正し、実際の体格寸法を算出する。具体的には、体格補正情報保持部11は、周囲長と、衣服を着用した状態の人体の周囲長である着衣周囲長との差分を補正するための補正値を含む体格補正情報を保持している。体格情報算出部14は、ステップS214までに算出した胴体の各位置の周囲長を着衣周囲長として、体格補正情報の補正値によって補正する。
【0136】
以上、本実施形態によれば一連の処理で対象人物30の各部の体格情報を高い精度で算出することができる。
【0137】
なお、本実施形態において、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、対象人物30が回転している途中の画像データを取得するとき、解像度の低い画像で対象人物30を撮影した画像データにより対象人物30の角度を判定し、対象人物30が所定の角度となったことが検出されたときに解像度の高い画像データを取得し、記録することにしてもよい。これによれば、記録する画像データの解像度を高く維持したままで処理を軽減することができる。
【0138】
具体例として、ステップS213の後、体格情報算出装置10は対象人物30の真横からの画像データが取得できたら、撮影処理部13が対象人物30の回転の停止を促し、撮影を終了し、真横からの画像データを用いて胴体の周囲長を算出する場合を示す。その場合、体格情報算出装置10は、解像度の低い画像データで対象人物30の角度を判定し、対象人物30が真横を向いたら解像度の高い画像データを取得することにすればよい。
【0139】
また、本実施形態においては、身長Hに対して所定の比例係数を乗算した距離だけ足底部から上方の位置における胴体の周囲長を腰囲hcとしたが、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、臍より下において最も胴体の周囲長が長い位置における周囲長を腰囲とすることにしてもよい。その場合、体格情報算出装置10は、例えば、臍の位置と、足底部から股下h3だけ上方の位置との間で複数箇所、胴体の周囲長を算出し、複数の中で最も長い周囲長を腰囲としてもよい。
【0141】
第1の実施形態では、基準物40を既知の形状および大きさを有する物体としたが、本実施形態では、基準物40を、既知の形状および大きさを有するというだけでなく、体格情報算出装置10とともに用いる専用物であるとする。
【0142】
図21は、第5の実施形態による基準物を示す図である。
図21を参照すると、本実施形態の基準物40は全体が四角形であり、その中央に円41が描かれている。また、基準物40の四隅に色が濃いマーク42が配置されている。
【0143】
第5の実施形態による体格情報算出装置10の基本構成は
図2に示した第1の実施形態のものと同様である。また、第5の実施形態による体格情報算出装置10は、第4の実施形態によるものと同様、対象人物30に回転してもらって画像データを取得し、各部の体格情報を算出するものとする。
【0144】
体格情報算出装置10は、対象人物30を撮影するとき、対象人物30が回転しても距離が変化しないように、対象人物30の正面にあり、対象人物30の所定位置と同じ高さであることが好ましい。所定位置は、例えば胸位置、中央、臍位置などである。
【0145】
図22は、第5の実施形態による体格情報算出装置10を対象人物30の撮影に適切な位置に位置決めする処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図18のステップS201とステップS202の間で実行される。
【0146】
体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、対象人物30の画像データを取得する(ステップS301)。次に、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、画像データ内に基準物40があるか否か判定する(ステップS302)。このとき、撮影処理部13は、画像データ内に、基準物40の四隅のマーク42に相当する形状および相対位置の領域があるかどうか探す。4つのマーク42を見つけると、体格情報算出装置10は、それを基に基準物40と背景の境界を探索する。色の濃いマーク42を検出し、それを基に基準物40の領域を探索することにより、効率よく境界を顕出することができる。
【0147】
画像データ内に基準物40がなければ、体格情報算出装置10はステップS301に戻る。画像データ内に基準物40があれば、体格情報算出装置10は、撮影処理部13により、基準物40内の円41が正円か否か判定する(ステップS303)。複数箇所で円を直径を算出し、それらが等しければ、円41は正円であると判定できる。円41が正円でなければ、体格情報算出装置10はステップS301に戻る。
【0148】
円41が正円であれば、体格情報算出装置10は、自装置が対象人物30の正面かつ適切な高さであると判断する(ステップS304)。円41が正円であれば、体格情報算出装置10はステップS202に進む(ステップS305)。
【0149】
その後、体格情報算出装置10の撮影処理部13は、撮影される画像データ内の基準物40の外形の歪んだ四角形に逆歪を加えて補正し、体格情報を算出する基準として用いる。
【0150】
また、体格情報算出装置10の撮影処理部13は、四隅のマーク42の相対位置に基づいて基準物40のxyz軸のいずれか2つ以上のサイズにおいて所定以上のずれが生じているか否かにより、基準物40がねじれているか否かを判断し、ねじれている場合にはその画像データを利用しないようにする。
【0152】
第1の実施形態では、目と口の距離と、目と頭頂部の距離との間に所定の関係があることを利用して、目と口の距離に基づいて目と頭頂部の距離を算出し、それを用いて対象人物30の身長を算出した。しかし、本発明がこれに限定されることはない。
【0153】
体格情報算出装置10は、体格情報算出部14により、画像データから対象人物30の顔に含まれる複数の所定部位を抽出し、その所定部位で特定される所定位置と足底部との距離である第1の距離を算出し、また複数の所定部位の相互の距離に基づき所定位置と頭頂部との距離である第2の距離を推定し、第1の距離と第2の距離を合計した距離を対象人物30の身長とするものであればよい。画像データから身長を直接算出すると、髪の毛がはねていたり盛り上がっていたら、正しい身長を算出できないが、目、鼻、口など顔に含まれる所定部位を特定し、その位置を基に頭頂部を推定すれば、髪の毛の写り方に依存せず身長を正確に算出することができる。
【0154】
他の具体例として、第6の実施形態では、両目の距離と、目と頭頂部の距離との間に所定の関係があることを利用して、両目の距離に基づいて目と頭頂部の距離を算出し、それを用いて対象人物30の身長を算出する。
【0155】
第6の実施形態による体格情報算出装置10の基本構成は
図2に示した第1の実施形態のものと同様である。
【0156】
図23は、第6の実施形態による身長算出方法について説明するための図である。
図22には、正面から撮影した対象人物30の顔の部分の画像が示されている。対象人物30は、頭頂部上方に髪の毛が盛り上がっているので、画像データにおける見かけ上の対象人物30と背景の境界が、実際の頭頂部の位置よりも上にあると認識される。そのため、補正を行わなければ、対象人物30の身長が実際よりも高いという計測結果が得られてしまう。そこで、体格情報算出装置10は、両目の距離に基づいて正しい身長を推定する。
【0157】
体格情報算出部14は、対象人物30の両目の距離L1aに基づき、両目の中心と頭頂部の距離L2を算出し、両目の中心と足底部の距離と、両目の中心と頭頂部の距離L2との合計を対象人物30の身長とする。
【0158】
例えば、体格情報算出部14は、まず画像データから対象人物30の領域を抽出し、その領域の中で両目の位置を特定する。次に、体格情報算出部14は両目の距離L1aを算出し、算出した両目の距離L1aに所定の比例係数を乗算することにより両目の中心と頭頂部との距離L2を算出する。また、体格情報算出部14は、両目の中心と足底部の距離(不図示)を算出する。最後に、体格情報算出部14は、両目の中心と頭頂部の距離L2と、両目と足底部の距離の合計を算出し、その値を対象人物30の身長とする。
【0159】
これにより、髪の毛が盛り上がっている対象人物30を、髪の毛を頭頂部に押し付けたりせず、そのまま撮影しても、正確な身長を算出することができる。
【0160】
なお、両目の中心と口との距離L1と、両目の中心と頭頂部との距離L2との比は、人種によって異なるので、日本人を対象とするのであれば、日本人における比の値が用いられる。
【0161】
また、本実施形態の身長算出方法は、第1の実施形態による方法に代えて単独で用いることもできるが、第1の実施形態による方法と組み合わせて用いることもできる。例えば、画像データから口の位置が特定できない場合に、本実施形態の方法で身長を算出することにしてもよい。また、第1の実施形態による方法と本実施形態による方法とでそれぞれ、目の中心と頭頂部の距離L2を算出し、その平均値を用いて身長を算出することにしてもよい。また、本実施形態による身長算出方法を、第1の実施形態による身長算出方法で算出した身長の値を検証することに用いてもよい。本実施形態の方法で算出した身長と第1の実施形態の方法で算出した身長との間に所定以上の差があったら、新たな画像データを用いて再度、身長を算出しなおすことにしてもよい。
【0163】
第7の実施形態では、体格情報算出装置10は、第1の実施形態とも第6の実施形態とも異なる身長算出方法を用いる。第7の実施形態では、体格情報算出装置10は両目の距離に基づいて正しい身長を推定する。具体的には、体格情報算出装置10は、鼻と口の距離と、鼻と頭頂部の距離との間に所定の関係があることを利用し、鼻と口の距離と、鼻と頭頂部の距離との間に所定の関係があることを利用して、鼻と口の距離に基づい鼻と頭頂部の距離を算出し、それを用いて対象人物30の身長を算出する。
【0164】
第7の実施形態による体格情報算出装置10の基本構成は
図2に示した第1の実施形態のものと同様である。
【0165】
図24は、第7の実施形態による身長算出方法について説明するための図である。
図23には、正面から撮影した対象人物30の顔の部分の画像が示されている。
【0166】
体格情報算出部14は、対象人物30の鼻と口の距離L3に基づき、鼻と頭頂部の距離L4を算出し、鼻と足底部の距離と、鼻と頭頂部の距離L4との合計を対象人物30の身長とする。
【0167】
例えば、体格情報算出部14は、まず画像データから対象人物30の領域を抽出し、その領域の中で鼻の頂部の位置と口の位置を特定する。次に、体格情報算出部14は鼻の頂部と口の距離L3を算出し、算出した両目の距離L3に所定の比例係数を乗算することにより鼻の頂部と頭頂部との距離L4を算出する。また、体格情報算出部14は、鼻の頂部と足底部の距離(不図示)を算出する。最後に、体格情報算出部14は、鼻の頂部と足底部の距離と、鼻の頂部と頭頂部の距離の合計を算出し、その値を対象人物30の身長とする。
【0168】
これにより、髪の毛が盛り上がっている対象人物30を、髪の毛を頭頂部に押し付けたりせず、そのまま撮影しても、正確な身長を算出することができる。
【0169】
なお、鼻の頂部と口との距離L3と、鼻の頂部と頭頂部との距離L4との比は、人種によって異なるので、日本人を対象とするのであれば、日本人における比の値が用いられる。
【0170】
また、本実施形態の身長算出方法は、第1の実施形態あるいは第6の実施形態による方法に代えて単独で用いることもできるが、第1の実施形態と第6の実施形態の少なくとも1つによる方法と組み合わせて用いることもできる。例えば、画像データから目の位置が特定できない場合に、本実施形態の方法で身長を算出することにしてもよい。また、第1の実施形態または第6の実施形態による方法と本実施形態による方法とでそれぞれ、身長を算出し、その平均値を身長の最終的な算出値とすることにしてもよい。また、本実施形態による身長算出方法を、第1の実施形態または第6の実施形態による身長算出方法で算出した身長の値を検証することに用いてもよい。本実施形態の方法で算出した身長と第1の実施形態または第6の実施形態の方法で算出した身長との間に所定以上の差があったら、新たな画像データを用いて再度、身長を算出しなおすことにしてもよい。
【0171】
上述した各実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0172】
例えば、体格情報算出装置10、10Bおよび/またはサーバ110が有する各部は必ずしも物理的に単体の装置に実装されていなくてもよく、複数の装置に分けて配置されてもよい。第1の実施形態における単体装置で構成された体格情報算出システムを体格情報算出装置と称し、第2の実施形態における複数装置で構成された体格情報算出システムを体格情報算出システムと称したが、これは理解を容易にするためであり、システムあるいは装置という用語によってその物理的な構成が例示した構成に限定されることはない。