特許第6387489号(P6387489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387489
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ワイヤ懸下式風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20180903BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20180903BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20180903BHJP
   F03D 80/00 20160101ALI20180903BHJP
【FI】
   F03D13/20
   F03D1/06 A
   F03D7/04 K
   F03D80/00
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-238189(P2014-238189)
(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公開番号】特開2016-89817(P2016-89817A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】514299996
【氏名又は名称】株式会社FEV再生可能エネルギー開発技研
(72)【発明者】
【氏名】江崎 丈巳
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−291529(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3063480(JP,U)
【文献】 国際公開第11/002763(WO,A1)
【文献】 米国特許第04217501(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/20
F03D 1/06
F03D 7/04
F03D 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に設置した一対のワイヤに上端と下部とが固定された垂直支柱を設け、前記一対のワイヤに平行な水平ロッドを前記垂直支柱の下端に回動自在に取り付け、前記水平ロッドの一端に風力発電機取り付け支柱の下端を回動自在に取り付け、この風力発電機取り付け支柱の上端に発電機を固定するようにし、前記垂直支柱の下端および風力発電機取り付け支柱の下端を下に設置したワイヤに固定することによって、垂直支柱を常時垂直に維持するようにし、前記垂直支柱には風力発電機を取り付けたことを特徴とするワイヤ懸下式風力発電装置。
【請求項2】
上下に配置したワイヤに垂直支柱を取り付け、この垂直支柱に水平ロッドを回動自在に結合し、この水平ロッド風力発電機取り付け支柱を回動自在に結合し、風力発電機取り付け支柱の下端を下側ワイヤに取り付け、風力発電機取り付け支柱発電機を取り付けるようにした請求項1記載のワイヤ懸下式風力発電装置。
【請求項3】
垂直支柱にはアップウィンド型の風力発電機を取り付けるようにした請求項1記載のワイヤ懸下式風力発電装置。
【請求項4】
垂直支柱にはダウンウィンド型の風力発電機を取り付けるようにした請求項1記載のワイヤ懸下式風力発電装置。
【請求項5】
上下に設置した一対のワイヤそれぞれに等間隔に目印となるマークを設け、このマークに合わせて垂直支柱を前記一対のワイヤに固定するようにした、請求項1記載のワイヤ懸下式風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け手段としてワイヤを用いた風力発電機に関するもので、特に設置を容易にし、風向の変化に対しても追随がスムーズであるものを提供するものである。
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−163952号公報
【特許文献2】特開2013−256958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力発電機は、支柱の上に取り付けられる場合が多く、このような場合には支柱1本に対し、1つの発電機しか設置できない。また、支柱として台風にも耐えるように頑丈なものを用意する必要がある。
【0005】
大型風力発電機を山頂に設置する場合には、山頂まで重機を入れる必要があり、このため山肌の立ち木を伐採し、重機が通る道を建設する必要がある。このため、このような風力発電機を設置すること自体が自然破壊に繋がるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1および特許文献2に開示されるように、ワイヤで発電機を懸下することによって、発電機の支持手段として、例えば2つの山頂間に渡したワイヤとすることができる。ワイヤは軽量であるため、人力やヘリコプターでも山頂まで持ち上げることができ、山肌に道路を建設する必要がない。
【0007】
さらに、山肌に道路を建設する必要がないため、設置条件が緩くなり、風況の良い場所に設置が可能である。そして、ワイヤに多数の風力発電機を懸下することによって、大型発電機に匹敵する電力を発電することができる。つまり発電機が小型でよく、発電機を構成する部品を小さくできるため、金型を用いて安価に量産が可能であり、ベアリング等は汎用の物が使用でき、価格が安く交換部品の入手も容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のとおり、特許文献1および特許文献2に開示された、ワイヤ懸下式の風力発電機は、多くの特徴を有するのであるが、さらに市販されているアップウィンド式の小型発電機をワイヤで懸下できるようにし、また設置工事がさらに容易になるようにすることが求められる。
【0009】
このため、上下に設置した一対のワイヤに上端と下端とが固定された垂直支柱を設け、一対のワイヤに平行な水平ロッドを垂直支柱に回動自在に取り付け、水平ロッドの一端に発電機取り付け支柱の下端を回動自在に取り付け、この発電機取り付け支柱の上端に発電機を固定するようにした。また、垂直支柱の下部および発電機取り付け支柱の下部を下に設置したワイヤに固定することによって、垂直支柱を常時垂直に維持することができる。そして、垂直支柱にはアップウィンド型或いはダウンウィンド型の風力発電機を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0010】
上下ワイヤに垂直支柱を取り付け、この垂直支柱に水平支柱を回動自在に結合し、この水平支柱に取り付け支柱を回動自在に結合し、取り付け支柱の下端を下ワイヤに取り付け、取り付け支柱に風力発電機を取り付けるようにしているため、取り付け支柱にはアップウィンド型の風力発電機でもダウンウィンド型の風力発電機でも取り付けることができる。
【0011】
このため取り付け支柱で支持する風力発電機に対して、ワイヤ懸下式の風力発電機の特徴を生かしながら、多くの種類の風力発電機を設置することができる。つまり風力発電機として市販されている最も安価なものを選択して、ワイヤ懸下式のものとすることができ、システム全体として安価に構成することができる。
【0012】
またシステム全体として、要求される発電容量に合わせて小型の風力発電機を単一のワイヤに何個設置するか決定することができ、設置個数によって総発電量を決定することができる。
【0013】
以上のとおり、水平支柱に取り付け支柱を設けているため、取り付け支柱にはアップウィンド型の発電機もダウンウィンド型の発電機も取り付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 本発明のワイヤ懸下式風力発電装置の実施例1における斜視図。
図2】 本発明のワイヤ懸下式風力発電装置の実施例1における正面図。
図3】 本発明のワイヤ懸下式風力発電装置の実施例2における正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、上下ワイヤに垂直支柱を取り付け、この垂直支柱に水平支柱を回動自在に結合し、この水平支柱に取り付け支柱を回動自在に結合し、取り付け支柱の下端を下ワイヤに取り付け、取り付け支柱に風力発電機を取り付けるようにしているため、取り付け支柱にはアップウィンド型の風力発電機でもダウンウィンド型の風力発電機でも取り付けることができる。
【実施例1】
【0016】
図1について、1は上ワイヤであり、2は下ワイヤである。上ワイヤ1と下ワイヤ2は、例えばそれぞれ一対の山頂の間に張られている。3は垂直支柱であり、その上端は上ワイヤプレート4によって上ワイヤ1に結合されている。上ワイヤプレート4は垂直支柱3に対して、回動自在である。
【0017】
垂直支柱3の下端は、ボルト5によって水平ロッド6の中央部と回動自在に結合されている。垂直支柱3の水平ロッド6との結合部の上に下ワイヤプレート7とボルト8によって回動自在に結合されている。ここでワイヤプレート4及び7は、例えば鉄板に一対のU字ボルトを結合したものである。
【0018】
9は第1取り付け支柱であり、その上端にはアップウィンド型の第1風力発電機10が取り付けられている。第1取り付け支柱9の下端には、水平ロッド6の一端が回動自在にボルト11によって結合されている。第1取り付け支柱9の水平ロッド6との結合部の上に下ワイヤプレート12とボルト13によって回動自在に結合されている。
【0019】
14は第2取り付け支柱であり、その上端にはアップウィンド型の第2風力発電機15が取り付けられている。第2取り付け支柱14の下端には、水平ロッド6の他端が回動自在にボルト16によって結合されている。第2取り付け支柱14の水平ロッド6との結合部の上に下ワイヤプレート17とボルト18によって回動自在に結合されている。
【0020】
本発明の実施例1は以上のような構成よりなり、垂直支柱3が上ワイヤ及び下ワイヤ2によって支持され、垂直支柱3はワイヤ及び下ワイヤ2に対して回動自在である。また第1取り付け支柱9と第2取り付け支柱14も下ワイヤ2に対して回動自在で、かつ垂直支柱3と第1取り付け支柱9と第2取り付け支柱14との下端がそれぞれ水平ロッド6で連結されているため、上ワイヤ1と下ワイヤ2の位置がずれても、垂直支柱3と第1取り付け支柱9と第2取り付け支柱14とは、常に互いに平行に維持される。
【0021】
このため、第1風力発電機10と第2風力発電機15との間隔は常に一定に保たれ、第1風力発電機10と第2風力発電機15とが近接して空理気的に干渉するというようなことはない。また、垂直支柱3が垂直になるように設置すると、これに平行な第1取り付け支柱9と第2取り付け支柱14も垂直に維持され、第1風力発電機10及び第2風力発電機15は垂直な支柱9、14に設置されることになり、風向が変化した場合にスムーズに風の向きに追随する。
【実施例2】
【0022】
以下、本発明の実施例2について図3に沿って説明する。17,18は一対のポールであり、例えば電柱に使われるコンクリート柱である。このコンクリート柱17,18には、上ワイヤ1及び下ワイヤ2が取り付けられている。上ワイヤ1及び下ワイヤ2には、一定の間隔でマーク19,20が設けられている。このマーク19,20は上ワイヤ1及び下ワイヤ2に塗料やメッキあるいは何らかの識別できる手段で付される。
【0023】
風力発電機を複数隣接して設ける場合には、所定距離以上離さないと、互いに干渉し性能が発揮できない。そして、その距離は一般に羽の直径の2.5倍といわれている。よって、マーク19,20は用いられる風力発電機の羽の直径の2.5倍以上の間隔で、等間隔に設けるのが好ましい。
【0024】
またマーク19の真下にマーク20を設ける。これによって、マーク19,20を目印にして風力発電機21を上ワイヤ1及び下ワイヤ2に取り付けると、風力発電機21は垂直に取り付けることができる。図3のA部拡大図を参照して、22は風力発電機の取り付け用の垂直支柱である。この垂直支柱の上端には、ワイヤークリップ23が取り付けられ、ワイヤークリップ23は上ワイヤ1のマーク19に合わせて上ワイヤ1に垂直支柱22を固定している。ここで風力発電機21はダウンウィンド型であるが、実施例1の構造を用いてアップウィンド型の風力発電機を取り付けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のワイヤ懸下式風力発電装置は、以上のように複数の風力発電機をワイヤによって懸下するようにしたものであって、それぞれの風力発電機は取り付け支柱によって支持され、それらの取り付け支柱は常に垂直に維持される。このため、風向の変化に対してスムーズに追随することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 上ワイヤ
2 下ワイヤ
3 垂直支柱
4 上ワイヤプレート
5 ボルト
6 水平ロッド
7 下ワイヤプレート
8 ボルト
9 第1取り付け支柱
10 第1風力発電機
11 ボルト
12 下ワイヤプレート
13 ボルト
14 第2取り付け支柱
15 第2風力発電機
16 ボルト
17,18 コンクリート柱
19,20 マーク
21 風力発電機
22 垂直支柱
図1
図2
図3