(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のサブ輝度情報に対して設定される表示期間は、前記第1のサブ輝度情報に対して設定される表示期間、および前記第3のサブ輝度情報に対して設定される表示期間よりも長い
請求項3に記載の表示装置。
前記第1の動作モードにおいて、前記第1のタイミング差は、一の輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最後の期間の中心タイミングと、前記一の輝度情報の次の一の輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最初の期間の中心タイミングとの間の第2のタイミング差よりも小さい
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
入力輝度情報の値がとりうる範囲を複数の階調範囲に区分し、前記入力輝度情報の各階調範囲における輝度情報成分を各サブ輝度情報として求める信号生成部をさらに備えた
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.適用例
【0018】
<1.実施の形態>
[構成例]
図1は、実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すものである。表示装置1は、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた、アクティブマトリックス方式の表示装置である。なお、本開示の実施の形態に係る表示装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0019】
表示装置1は、画像信号Spicに基づいて画像を表示するものである。画像信号Spicは、垂直同期信号や水平同期信号などの各種同期信号と、赤色(R)の輝度情報IRと、緑色(G)の輝度情報IGと、青色(B)の輝度情報IBとを含むものである。以下では、輝度情報IR,IG,IBのいずれかを示すものとして、輝度情報Iを適宜用いるものとする。この画像信号Spicは、この例では、線形なガンマ特性を有するものである。また、画像信号Spicのフレームレートは、この例では60Hzである。
【0020】
表示装置1は、サブフレーム生成部11と、解析部14と、基準条件設定部15と、制御部16と、補正部12と、パネルガンマ変換部13と、駆動部20と、表示部30とを備えている。
【0021】
サブフレーム生成部11は、画像信号Spicが示すフレーム画像Fに基づいて、2つのサブフレーム画像FS1,FS2を生成するものである。具体的には、サブフレーム生成部11は、以下に示すように、輝度情報Iの値がとりうる範囲(階調範囲)を、低階調範囲と高階調範囲とに分け、フレーム画像Fの各輝度情報Iの低階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブフレーム画像FS1を生成するとともに、高階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブフレーム画像FS2を生成する。そして、サブフレーム生成部11は、それらのサブフレーム画像FS1,FS2を画像信号Spic2として出力するようになっている。
【0022】
図2A,2Bは、サブフレーム生成部11の一動作例を表すものであり、
図2Aは輝度情報Iの値がしきい値Ith以下である場合を示し、
図2Bは輝度情報Iの値がしきい値Ithよりも大きい場合を示す。この例では、輝度情報Iの階調範囲は、しきい値Ithにより、2つの階調範囲(低階調範囲および高階調範囲)に分けられている。そして、サブフレーム生成部11は、輝度情報Iの低階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブ輝度情報IS1を生成し、高階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブ輝度情報IS2を生成する。具体的には、
図2Aに示したように、輝度情報Iの値がしきい値Ith以下である場合には、サブフレーム生成部11は、サブ輝度情報IS1の値を輝度情報Iと同じ値にするとともに、サブ輝度情報IS2の値を“0”(ゼロ)にする。また、
図2Bに示したように、輝度情報Iの値がしきい値Ithより大きい場合には、サブフレーム生成部11は、サブ輝度情報IS1の値をしきい値Ithと同じ値にするとともに、サブ輝度情報IS2の値を、輝度情報Iの値からしきい値Ithを差し引いた値にする。このようにして、サブフレーム生成部11は、フレーム画像Fに含まれる各輝度情報Iに基づいてサブ輝度情報IS1,IS2を生成し、サブ輝度情報IS1に基づいてサブフレーム画像FS1を生成するとともに、サブ輝度情報IS2に基づいてサブフレーム画像FS2を生成するようになっている。
【0023】
表示装置1は、このようにして生成したサブフレーム画像FS1,FS2を時分割的に表示することにより、表示部30の表現性能を超える幅広いダイナミックレンジによる表示(いわゆるHDR表示)を実現するようになっている。
【0024】
図3は、表示装置1における表示動作を模式的に表すものである。この
図3は、最高輝度を示す輝度情報Iにより表示を行う例を示している。サブフレーム生成部11は、上述したように、輝度情報Iに基づいてサブ輝度情報IS1,IS2を生成する。そして、表示装置1のサブ画素9(後述)は、サブ輝度情報IS1に応じた表示輝度L1で発光するとともに、サブ輝度情報IS2に応じた表示輝度L2で発光する。ここで、表示輝度L1,L2は、以下の式であらわされるものである。
L1=k×IS1×DR1 ・・・(1)
L2=k×IS2×DR2 ・・・(2)
ここで、kは定数であり、DR1,DR2は発光デューティ比である。ここで、発光デューティ比DR1は、サブ輝度情報IS1に係る発光期間の時間長をフレーム周期T0(後述)の時間長で割ったものであり、発光デューティ比DR2は、サブ輝度情報IS2に係る発光期間の時間長をフレーム周期T0の時間長で割ったものである。式(1),(2)に示したように、表示輝度L1はサブ輝度情報IS1に比例し、表示輝度L2はサブ輝度情報IS2に比例する。そして、その比例定数(k×DR1),(k×DR2)は、発光デューティ比DR1,DR2が互いに等しい場合には、互いに等しくなる。よって、この場合には、
図3に示したように、サブ輝度情報IS1が変化したときの表示輝度L1の変化率と、サブ輝度情報IS2が変化したときの表示輝度L2の変化率とは、互いに等しい。表示装置1では、サブ画素9は、表示輝度L1による表示と、表示輝度L2による表示とを時分割的に行う。これにより、ユーザは、表示輝度L1と表示輝度L2との和を、そのサブ画素9の表示輝度として観察するようになっている。
【0025】
解析部14は、画像信号Spicに基づいて、その画像信号Spicが示す画像を解析するものである。具体的には、解析部14は、例えば、その画像が動画もしくは静止画のいずれであるかを判定し、その画像が動画である場合には動き量に関する情報(例えば動き量の最大値や平均値など)を求める。また、解析部14は、動画と静止画の両方が一画面内に同時に表示される場合には、静止画を表示する静止画領域の大きさや、フレーム画像Fの全領域における静止画領域の面積比率などを求める。なお、解析内容はこれに限定されるものではなく、例えば、画像信号Spicに含まれる輝度情報Iの階調についての情報(例えば、階調の範囲など)をさらに求めてもよい。そして、解析部14は、これらの情報を解析結果ARとして制御部16に供給するようになっている。
【0026】
基準条件設定部15は、例えば、表示装置1の周囲の明るさなどの環境条件や、ユーザ設定などに基づいて、表示装置1の動作の基準条件を設定するものである。具体的には、基準条件設定部15は、例えば、表示装置1の周囲が明るい場合には表示画像を明るくし、周囲が暗い場合には表示画像を暗くするように、基準条件を設定する。また、基準条件設定部15は、例えば、ユーザ設定に基づいて、表示画像を明るくしあるいは暗くするように、基準条件を設定する。そして、基準条件設定部15は、その基準条件を基準条件情報ICとして制御部16に供給するようになっている。
【0027】
制御部16は、解析結果ARおよび基準条件情報ICに基づいて、補正部12および駆動部20を制御するものである。その際、制御部16は、解析結果ARに基づいて、複数の動作モード(この例では4つの動作モードM1〜M4)のうちの1つを選択する。動作モードM1〜M4は、後述するように、例えば、発光タイミングや発光デューティ比DR1,DR2が互いに異なるものである。そして、制御部16は、その選択された動作モードに基づいて、制御信号CTL2を介して、発光タイミングや発光デューティ比DR1,DR2を駆動部20に指示する。また、制御部16は、発光デューティ比DR1を変更する場合には、制御信号CTL1を介して、表示輝度L1を維持するようにサブ輝度情報IS1を補正すべき旨を補正部12に指示し、発光デューティ比DR2を変更する場合には、制御信号
CTL1を介して、表示輝度L2を維持するようにサブ輝度情報IS2を補正すべき旨を補正部12に指示するようになっている。
【0028】
補正部12は、制御信号CTL1に基づいて、画像信号Spic2に含まれるサブ輝度情報IS1,IS2に対して補正を行うものである。具体的には、補正部12は、発光デューティ比DR1を変更する場合に、表示輝度L1を維持するようにサブ輝度情報IS1を補正し、発光デューティ比DR2を変更する場合に、表示輝度L2を維持するようサブ輝度情報IS2を補正するものである。すなわち、補正部12は、例えば、発光デューティ比DR1を大きくする場合には、サブ輝度情報IS1の値を小さい値に補正して表示輝度L1を維持し、発光デューティ比DR1を小さくする場合には、サブ輝度情報IS1の値を大きい値に補正して表示輝度L1を維持する。発光デューティ比DR2を変更する場合についても同様である。補正部12は、このようにしてサブ輝度情報IS1,IS2を補正し、補正したサブ輝度情報IS1,IS2を画像信号Spic3として出力するようになっている。
【0029】
パネルガンマ変換部13は、補正部12から供給された線形なガンマ特性を有する画像信号Spic3を、表示部30の特性に対応した非線形なガンマ特性を有する画像信号Spic4に変換(パネルガンマ変換)するものである。このパネルガンマ変換部13は、例えばルックアップテーブルを有しており、このルックアップテーブルを用いてこのようなガンマ変換を行うようになっている。
【0030】
駆動部20は、画像信号Spic4および制御信号CTL2に基づいて、表示部30を駆動するものである。表示部30は、駆動部20による駆動に基づいて画像を表示するものである。
【0031】
図4は、駆動部20および表示部30の一構成例を表すものである。駆動部20は、走査線駆動部21と、電源線駆動部22と、データ線駆動部23とを有している。表示部30は、複数の画素Pixがマトリックス状に配置されたものである。各画素Pixは、赤色(R)のサブ画素9R、緑色(G)のサブ画素9G、青色(B)のサブ画素9Bを有している。なお、以下では、サブ画素9R,9G,9Bのうちの任意の一つを表すものとしてサブ画素9を適宜用いる。表示部30は、行方向(横方向)に延伸する複数の走査線WSLと、行方向に延伸する複数の電源線PLと、列方向(縦方向)に延伸する複数のデータ線DTLとを有している。走査線WSLの一端は走査線駆動部21に接続され、電源線PLの一端は電源線駆動部22に接続され、データ線DTLの一端はデータ線駆動部23に接続されている。
【0032】
図5は、サブ画素9の回路構成の一例を表すものである。サブ画素9は、書込トランジスタWSTrと、駆動トランジスタDRTrと、発光素子49と、容量素子Csとを備えている。すなわち、この例では、サブ画素9は、2つのトランジスタ(書込トランジスタWSTr、駆動トランジスタDRTr)および1つの容量素子Csを用いて構成される、いわゆる「2Tr1C」の構成を有するものである。
【0033】
書込トランジスタWSTrおよび駆動トランジスタDRTrは、例えば、NチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)により構成されるものである。書込トランジスタWSTrは、ゲートが走査線WSLに接続され、ソースがデータ線DTLに接続され、ドレインが駆動トランジスタDRTrのゲートおよび容量素子Csの一端に接続されている。駆動トランジスタDRTrは、ゲートが書込トランジスタWSTrのドレインおよび容量素子Csの一端に接続され、ドレインが電源線PLに接続され、ソースが容量素子Csの他端および発光素子49のアノードに接続されている。
【0034】
容量素子Csは、一端が駆動トランジスタDRTrのゲート等に接続され、他端は駆動トランジスタDRTrのソース等に接続されている。発光素子49は、有機EL素子を用いて構成された発光素子であり、アノードが駆動トランジスタDRTrのソースおよび容量素子Csの他端に接続され、カソードには、駆動部20によりカソード電圧Vcathが供給されている。なお、この例では、有機EL素子を用いて発光素子49を構成したが、これに限定されるものではなく、電流駆動型の発光素子であればどのようなものを用いてもよい。
【0035】
この構成により、サブ画素9では、書込トランジスタWSTrがオン状態になることにより書込動作が行われ、容量素子Csの両端間に、画素電圧Vsig(後述)に応じた電位差が設定される。そして、駆動トランジスタDRTrが、この容量素子Csの両端間の電位差に応じた駆動電流を発光素子49に流す。これにより、発光素子49が画素電圧Vsigに応じた輝度で発光するようになっている。
【0036】
走査線駆動部21は、制御部16から供給された制御信号CTL2に従って、複数の走査線WSLに対して走査信号WSを順次印加することによりサブ画素9を順次選択するものである。
【0037】
電源線駆動部22は、制御部16から供給された制御信号CTL2に従って、複数の電源線PLに対して電源信号DSを順次印加することにより、サブ画素9の発光動作および消光動作の制御を行うものである。電源信号DSは、この例では3つの電圧Vccp,Vext,Viniの間で遷移するものである。後述するように、電圧Vccpは、駆動トランジスタDRTrに電流を流して発光素子49を発光させるための電圧であり、電圧Vext,Viniよりも高い電圧である。電圧Vextは、発光素子49を消光させるための電圧であり、電圧
Viniよりも高い電圧である。電圧Viniは、サブ画素9を初期化するための電圧である。
【0038】
データ線駆動部23は、パネルガンマ変換部13から供給された画像信号Spic4および制御部16から供給された制御信号CTL2に従って信号Sigを生成し、各データ線DTLに印加するものである。データ線駆動部23は、画像信号Spic4に基づいて、各サブ画素9の発光輝度を指示する画素電圧Vsigを生成し、この画素電圧Vsigと、後述するVth補正を行うための電圧Vofsと交互に配置することにより、信号Sigを生成するようになっている。
【0039】
この構成により、駆動部20は、後述するように、サブ画素9に対して初期化を行い、駆動トランジスタDRTrの素子ばらつきが画質に与える影響を抑えるための補正(Vth補正およびμ(移動度)補正)を行い、画素電圧Vsigの書込みを行うようになっている。
【0040】
ここで、解析部14、制御部16、および駆動部20は、本開示における「駆動部」の一具体例に対応する。サブフレーム生成部11は、本開示における「信号生成部」の一具体例に対応する。サブ輝度情報IS1は、本開示における「第1のサブ輝度情報」の一具体例に対応し、サブ輝度情報IS2は、本開示における「第2のサブ輝度情報」の一具体例に対応する。
【0041】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0042】
(全体動作概要)
まず、
図1を参照して、表示装置1の全体動作概要を説明する。サブフレーム生成部11は、画像信号Spicが示すフレーム画像Fに基づいて、2つのサブフレーム画像FS1,FS2を生成し、画像信号Spic2を生成する。解析部14は、画像信号Spicに基づいて、その画像信号Spicが示す画像を解析し、その解析結果ARを出力する。基準条件設定部15は
、例えば、表示装置1の周囲の明るさなどの環境条件や、ユーザ設定などに基づいて、表示装置1の動作の基準条件を設定し、基準条件情報ICとして出力する。制御部16は、解析結果ARおよび基準条件情報ICに基づいて、制御信号CTL1を介して補正部12を制御するとともに、制御信号CTL2を介して駆動部20を制御する。補正部12は、制御信号CTL1に基づいて、画像信号Spic2に含まれるサブ輝度情報IS1,IS2に対して補正を行い、画像信号Spic3として出力する。パネルガンマ変換部13は、線形なガンマ特性を有する画像信号Spic3を、表示部30の特性に対応した非線形なガンマ特性を有する画像信号Spic4に変換する。駆動部20は、画像信号
Spic4および制御信号CTL2に基づいて、表示部30を駆動する。表示部30は、駆動部20による駆動に基づいて画像を表示する。
【0043】
表示装置1では、解析部14が、画像信号Spicに基づいて、その画像信号Spicが示す画像を解析する。具体的には、解析部14は、例えば、その画像が動画もしくは静止画のいずれであるかを判定し、その画像が動画である場合には動き量に関する情報(例えば動き量の最大値や平均値など)を求める。また、解析部14は、動画と静止画の両方が一画面内に同時に表示される場合には、静止画を表示する静止画領域の大きさや、フレーム画像Fの全領域における静止画領域の面積比率などを求める。そして、制御部16は、これらの解析結果ARに基づいて、発光タイミングや発光デューティ比DR1,DR2が互いに異なる複数の動作モード(この例では4つの動作モードM1〜M4)のうちの1つを選択し、その選択された動作モードに基づいて、補正部12および駆動部20を制御する。以下に、これらの各動作モードM1〜M4における動作を詳細に説明する。
【0044】
(動作モードM1)
動作モードM1は、画像信号Spicが示す画像が静止画である場合に選択される動作モードである。以下に、この動作モードM1について詳細に説明する。
【0045】
図6は、動作モードM1における表示装置1の動作のタイミング図を表すものであり、(A)は画像信号Spic4に含まれる垂直同期信号Vsyncの波形を示し、(B)は表示部30の動作を示し、(C)は表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9における発光輝度を表すものである。
図6(B)において、“FS1”は、サブフレーム画像FS1の表示動作を示し、“FS2”は、サブフレーム画像FS2の表示動作を示す。
【0046】
表示装置1は、フレーム周期T0に対応する期間内に、サブフレーム画像FS1およびサブフレーム画像FS2を時分割的に表示する。ここで、フレーム周期T0は、例えば約16.7[msec](=1/60[Hz])である。すなわち、フレーム周期T0は、表示装置1に供給される画像信号Spicが示すフレームレートの逆数に対応するものであり、表示装置1は、この期間内に2つのサブフレーム画像FS1,FS2を時分割的に表示する。そして、表示装置1は、フレーム周期T0ごとにこの表示動作を繰り返す。以下に、この詳細動作を説明する。
【0047】
まず、タイミングt21における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt21〜t23の期間において、表示部30の最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次開始する(
図6(B))。次に、駆動部20は、タイミングt22〜t24の期間において、表示部30の最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次終了する(
図6(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt21〜t22の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS1に係るサブ輝度情報IS1に応じた発光輝度で発光し、タイミングt22〜t23の期間において消光する(
図6(C))。この発光期間P4の長さは、発光デューティ比DR1に応じたものである。これにより、このサブ画素9は、サブ輝度情報IS1および発光デューティ比DR1に応じた表示輝度L1で発光する。
【0048】
次に、タイミングt23における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt23〜t25の期間において、表示部30の最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次開始する(
図6(B))。次に、駆動部20は、タイミングt24〜t26の期間において、表示部30の最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次終了する(
図6(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt23〜t24の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS2に係るサブ輝度情報IS2に応じた発光輝度で発光し、タイミングt24〜t25の期間において消光する(
図6(C))。この発光期間P4の長さは、発光デューティ比DR2に応じたものである。これにより、このサブ画素9は、サブ輝度情報IS2および発光デューティ比DR2に応じた表示輝度L2で発光する。
【0049】
次に、サブ画素9の発光動作を詳細に説明する。
【0050】
図7は、サブ画素9のタイミング図を表すものであり、(A)は走査信号WSの波形を示し、(B)は電源信号DSの波形を示し、(C)は信号Sigの波形を示し、(D)は駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgの波形を示し、(E)は駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsの波形を示す。
図7(B)〜(E)では、同じ電圧軸を用いて各波形を示している。
【0051】
駆動部20は、1水平期間(1H)内において、サブ画素9の初期化を行い(初期化期間P1)、駆動トランジスタDRTrの素子ばらつきが画質に与える影響を抑えるためのVth補正を行い(Vth補正期間P2)、サブ画素9に対して画素電圧Vsigの書込みを行うとともに、Vth補正とは異なるμ(移動度)補正を行う(書込・μ補正期間P3)。そして、その後に、サブ画素9の発光素子49が、書き込まれた画素電圧Vsigに応じた輝度で発光する(発光期間P4)。以下に、その詳細を説明する。
【0052】
まず、電源線駆動部22は、初期化期間P1に先立ち、電源信号DSを電圧Viniに設定する(
図7(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrがオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、電圧Viniに設定される(
図7(E))。
【0053】
次に、駆動部20は、タイミングt2〜t3の期間(初期化期間P1)において、サブ画素9を初期化する。具体的には、タイミングt2において、データ線駆動部23が、信号Sigを電圧Vofsに設定し(
図7(C))、走査線駆動部21が、走査信号WSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrがオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgが電圧Vofsに設定される(
図7(D))。このようにして、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgs(=Vofs−Vini)は、駆動トランジスタDRTrの閾値電圧Vthよりも大きい電圧に設定され、サブ画素9が初期化される。
【0054】
次に、駆動部20は、タイミングt3〜t4の期間(Vth補正期間P2)において、Vth補正を行う。具体的には、電源線駆動部22が、タイミングt3において、電源信号DSを電圧Viniから電圧Vccpに変化させる(
図7(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrは飽和領域で動作するようになり、ドレインからソースに電流Idsが流れ、ソース電圧Vsが上昇する(
図7(E))。その際、この例では、ソース電圧Vsは発光素子49のカソードの電圧Vcathよりも低いため、発光素子49は逆バイアス状態を維持し、発光素子49には電流は流れない。このようにソース電圧Vsが上昇することにより、ゲート・ソース間電圧Vgsが低下するため、電流Idsは低下する。この負帰還動作により、電流Idsは“0”(ゼロ)に向かって収束していく。言い換えれば、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは、駆動トランジスタDRTrの閾値電圧Vthと等しくなる(Vgs=Vth)ように収束していく。
【0055】
次に、走査線駆動部21は、タイミングt4において、走査信号WSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrはオフ状態になる。そして、データ線駆動部23は、タイミングt5において、信号Sigを画素電圧Vsigに設定する(
図7(C))。
【0056】
次に、駆動部20は、タイミングt6〜t7の期間(書込・μ補正期間P3)において、サブ画素9に対して画素電圧Vsigの書込みを行うとともにμ補正を行う。具体的には、走査線駆動部21が、タイミングt6において、走査信号WSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrはオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgが、電圧Vofsから画素電圧Vsigに上昇する(
図7(D))。このとき、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthより大きくなり(Vgs>Vth)、ドレインからソースへ電流Idsが流れるため、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが上昇する(
図7(E))。このような負帰還動作により、駆動トランジスタDRTrの素子ばらつきの影響が抑えられ(μ補正)、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは、画素電圧Vsigに応じた電圧Vemiに設定される。なお、このようなμ補正の方法については、例えば、特開2006−215213に記載がある。
【0057】
次に、駆動部20は、タイミングt7以降の期間(発光期間P4)において、サブ画素9を発光させる。具体的には、タイミングt7において、走査線駆動部21は、走査信号WSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrがオフ状態になり、駆動トランジスタDRTrのゲートがフローティングとなるため、これ以後、容量素子Csの端子間電圧、すなわち、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは維持される。そして、駆動トランジスタDRTrに電流Idsが流れるにつれ、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが上昇し(
図7(E))、これに伴って駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgも上昇する(
図7(D))。そして、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、発光素子49の閾値電圧Velと電圧Vcathの和(Vel+Vcath)よりも大きくなると、発光素子49のアノード・カソード間に電流が流れ、発光素子49が発光する。すなわち、発光素子49の素子ばらつきに応じた分だけソース電圧Vsが上昇し、発光素子49が発光する。
【0058】
その後、駆動部20は、発光デューティ比DR1,DR2に対応する期間が経過した後に、電源信号DSを電圧Vccpから電圧Viniに変化させ、発光期間P4が終了する。
【0059】
(動作モードM2)
動作モードM2は、画像信号Spicが示す画像が動画である場合に選択される動作モードである。以下に、この動作モードM2について詳細に説明する。
【0060】
図8は、動作モードM2における表示装置1の動作のタイミング図を表すものであり、(A)は画像信号Spic4に含まれる垂直同期信号Vsyncの波形を示し、(B)は表示部30の動作を示し、(C)は表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9における発光輝度を表すものである。
【0061】
表示装置1は、動作モードM2において、動作モードM1と同様に、フレーム周期T0に対応する期間内に、サブフレーム画像FS1およびサブフレーム画像FS2を時分割的に表示する。その際、制御部16は、この動作モードM2において、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を遅らせる。以下に、この詳細動作を説明する。
【0062】
まず、タイミングt31における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt32〜t34の期間において、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次開始し、タイミングt33〜t35の期間において、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次終了する(
図8(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt31〜t32の期間において消光し、タイミングt32〜t33の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS1に係るサブ輝度情報IS1に応じた発光輝度で発光する(
図8(C))。その際、表示装置1では、タイミングt32〜t33の期間の時間長を、動作モードM1(
図6)におけるタイミングt21〜t22の期間の時間長と等しくすることにより、表示輝度L1を維持している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、発光期間P4の長さ(発光デューティ比DR1)を変更するとともにサブ輝度情報IS1を補正することにより、表示輝度L1を維持してもよい。
【0063】
次に、タイミングt33における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt33〜t35の期間において、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次開始し、タイミングt34〜t36の期間において、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次終了する(
図8(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt33〜t34の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS2に係るサブ輝度情報IS2に応じた発光輝度で発光し、タイミングt34〜t35の期間において消光する(
図8(C))。
【0064】
なお、サブ画素9は、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4において発光を終了した後に、
図7で示したように、初期化、Vth補正、画素電圧Vsigの書込みおよびμ補正を行い、次のサブフレーム画像FS2に係る発光期間P4において発光を開始する。しかしながら、この初期化、Vth補正、画素電圧Vsigの書込みおよびμ補正を行う期間の時間長は、フレーム周期T0の時間長に比べて十分に短いものであるため、
図8(C)では、これらの期間を省いて描いている。
【0065】
このようにして、表示装置1は、サブフレーム画像FS1およびサブフレーム画像FS2を時分割的に交互に表示する。その際、動作モードM2では、制御部16は、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を遅らせ、その次のサブフレーム画像FS2に係る発光期間P4と隣り合わせる。言い換えれば、表示装置1では、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4の中心タイミングと、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4の中心タイミングとの間の時間長を、フレーム周期T0の時間長の半分よりも短くしている。これにより、以下に示すように、動画を表示する際の画像のぼけや2重像を低減することができる。
【0066】
図9は、動画の一例を表すものである。この例では、フレーム画像F内において、幅Wを有する表示物Aが水平方向に移動している。ユーザは、このように移動する表示物Aを観察する場合には、なめらかに追従しながら観察しようとする。
【0067】
図10,11は、
図9に示した動画の表示動作を模式的に表すものであり、
図10は、動作モードM1の場合を示し、
図11は、動作モードM2の場合を示す。
図10,11において、横軸は、表示部30における表示画面内の座標を示し、縦軸は時間を示す。網掛け部分は、表示物Aに係る発光を示している。
【0068】
動作モードM1では、サブ画素9は、
図6(C)に示したように、フレーム画像Fに基づいて、2つの離間した発光期間P4(タイミングt21〜t22の期間、およびタイミングt23〜t24の期間)において、サブフレーム画像FS1に係る発光とサブフレーム画像FS2に係る発光とをそれぞれ行う。このとき、サブフレーム画像FS1,FS2は、同じフレーム画像Fにより生成されるため、
図10に示したように、表示物Aの表示位置は同じである。このような場合において、ユーザが、表示物Aをなめらかに追従しながら観察しようとすると、
図10の右下に示したように、表示物Aの幅は、実際の幅Wよりも広い幅W1として観察される。この場合には、ユーザは、例えば、表示物Aのエッジがぼけたように感じ、あるいは表示物Aが2重に見えたりするおそれがある。
【0069】
一方、動作モードM2では、サブ画素9は、
図8(C)に示したように、フレーム画像Fに基づいて、2つの隣り合った発光期間P4(タイミングt32〜t33の期間、およびタイミングt33〜t34の期間)において、サブフレーム画像FS1に係る発光とサブフレーム画像FS2に係る発光とをそれぞれ行う。動作モードM2では、このように2つの発光期間P4が近いため、
図11の右下に示したように、表示物Aの幅は、幅W1よりやや狭い幅W2として観察される。このように、動作モードM2では、動画を表示する場合における画像のぼけや2重像を低減することができる。
【0070】
(動作モードM3)
動作モードM3は、動画と静止画の両方が一画面内に同時に表示される場合において、静止画領域の面積比率がフレーム画像Fの全領域の50%程度である場合に選択される動作モードである。以下に、この動作モードM3について詳細に説明する。
【0071】
図12は、動作モードM3における表示装置1の動作のタイミング図を表すものであり、(A)は画像信号Spic4に含まれる垂直同期信号Vsyncの波形を示し、(B)は表示部30の動作を示し、(C)は表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9における発光輝度を表すものである。
【0072】
表示装置1は、動作モードM3において、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を2つに分けるとともに、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4を2つに分け、サブフレーム画像FS1,FS2を表示する。以下に、この詳細動作を説明する。
【0073】
まず、タイミングt41における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt41からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく1回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt42からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく1回目の表示駆動を順次終了する(
図12(B))。次に、駆動部20は、タイミングt43からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく2回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt44からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく2回目の表示駆動を順次終了する。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt41〜t42の期間およびタイミングt43〜t44の期間において、サブフレーム画像FS1に係るサブ輝度情報IS1に応じた発光輝度で発光し、タイミングt42〜t43の期間において消光する(
図12(C))。この2つの発光期間P4の合計時間長は、発光デューティ比DR1に応じたものである。その際、表示装置1では、2つの発光期間P4の合計時間長を、動作モードM1(
図6)におけるタイミングt21〜t22の期間の時間長と等しくすることにより、表示輝度L1を維持している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、2つの発光期間P4の合計時間長を変更するとともにサブ輝度情報IS1を補正することにより、表示輝度L1を維持してもよい。
【0074】
次に、タイミングt44における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt44からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく1回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt45からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく1回目の表示駆動を順次終了する(
図12(B))。次に、駆動部20は、タイミングt46からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく2回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt47からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく2回目の表示駆動を順次終了する。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt44〜t45の期間およびタイミングt46〜t47の期間において、サブフレーム画像FS2に係るサブ輝度情報IS2に応じた発光輝度で発光し、タイミングt45〜t46の期間において消光する(
図12(C))。この2つの発光期間P4の合計時間長は、発光デューティ比DR2に応じたものである。その際、表示装置1では、2つの発光期間P4の合計時間長を、動作モードM1(
図6)におけるタイミングt23〜t24の期間の時間長と等しくすることにより、表示輝度L2を維持している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、2つの発光期間P4の合計時間長を変更するとともにサブ輝度情報IS2を補正することにより、表示輝度L2を維持してもよい。
【0075】
このように、駆動部20は、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を2回行い、その後に、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を2回行う。その際、サブフレーム画像FS1に基づく2回目の表示駆動、およびサブフレーム画像FS2に基づく2回目の表示駆動では、以下に示すように、初期化、Vth補正、画素電圧Vsigの書込みおよびμ補正を行わずにサブ画素9を発光させることができる。
【0076】
図13は、2回目の表示駆動におけるサブ画素9のタイミング図を表すものであり、(A)は走査信号WSの波形を示し、(B)は電源信号DSの波形を示し、(C)は信号Sigの波形を示し、(D)は駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgの波形を示し、(E)は駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsの波形を示す。
【0077】
2回目の表示駆動では、走査信号WSの電圧は常に低レベルである。これにより、書込トランジスタWSTrはオフ状態を維持するため、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは、1回目の表示駆動における書込・μ補正期間P3で設定された電圧Vemiを維持する。
【0078】
まず、電源線駆動部22は、1回目の表示駆動を終了させる際に、電源信号DSを電圧extに設定する(
図13(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrがオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、電圧Vextに設定される(
図13(E))。
【0079】
そして、駆動部20は、タイミングt13以降の期間(発光期間P4)において、サブ画素9を発光させる。具体的には、電源線駆動部22が、タイミングt13において、電源信号DSを電圧Vextから電圧Vccpに変化させる(
図13(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrは飽和領域で動作するようになり、ドレインからソースに電流Idsが流れ、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが上昇し(
図13(E))、これに伴って駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgも上昇する(
図13(D))。そして、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、発光素子49の閾値電圧Velと電圧Vcathの和(Vel+Vcath)よりも大きくなると、発光素子49のアノード・カソード間に電流が流れ、発光素子49が発光する。すなわち、発光素子49の素子ばらつきに応じた分だけソース電圧Vsが上昇し、発光素子49が発光する。
【0080】
その後、駆動部20は、所定期間が経過した後に、電源信号DSを電圧Vccpから電圧Viniに変化させ、発光期間P4が終了する。
【0081】
動作モードM3では、制御部16は、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を2つに分けるとともに、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4を2つに分ける。その際、制御部16は、
図12(C)に示したように、サブフレーム画像FS1に係る2回目の発光期間P4と、その次のサブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4とを隣り合わせるとともに、サブフレーム画像FS2に係る2回目の発光期間P4と、その次のサブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4とを隣り合わせる。言い換えれば、表示装置1では、サブフレーム画像FS1に係る2回目の発光期間P4の中心タイミングと、その次のサブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4の中心タイミングとの間の時間長を、フレーム周期T0の時間長の半分よりも短くし、サブフレーム画像FS2に係る2回目の発光期間P4の中心タイミングと、その次のサブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4の中心タイミングとの間の時間長を、フレーム周期T0の時間長の半分よりも短くしている。これにより、表示装置1では、画面内の動画部分において、動作モードM2の場合と同様に画像のぼけや2重像を低減することができるとともに、静止画部分において、画像のちらつき(フリッカ)を改善することができる。
【0082】
すなわち、例えば、動画と静止画の両方が一画面内に同時に表示される場合において、動作モードM2を選択した場合には、画面内の動画部分において画像のぼけ等を低減することができるが、静止画部分においてフリッカが生じるおそれがある。つまり、この動作モードM2では、
図8に示したように、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4とサブフレームFS2に係る発光期間P4とを隣り合わせるため、サブフレームFS1に係る発光期間P4と、その前のサブフレーム画像FS2に係る発光期間P4との間の消光期間が長くなってしまう。その結果、特に画面内の静止画部分において、ユーザがフリッカを感じるおそれがある。
【0083】
一方、動作モードM3では、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を2つに分けるとともに、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4を2つに分け、サブフレームFS1に係る1回目の発光期間P4と、その前のサブフレーム画像FS2に係る2回目の発光期間P4とを隣り合わせるようにした。これにより、消光期間を、サブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4と2回目の発光期間P4の間の期間、およびサブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4と2回目の発光期間P4の間の期間とに分割することができ、各消光期間の長さを短くすることができる。その結果、特に画面内の静止画部分において、ユーザがフリッカを感じるおそれを低減することができる。
【0084】
(動作モードM4)
動作モードM4は、動画と静止画の両方が一画面内に同時に表示される場合において、静止画領域の面積比率がフレーム画像Fの全領域の例えば80%程度以上である場合に選択される動作モードである。以下に、この動作モードM4について詳細に説明する。
【0085】
図14は、動作モードM4における表示装置1の動作のタイミング図を表すものであり、(A)は画像信号Spic4に含まれる垂直同期信号Vsyncの波形を示し、(B)は表示部30の動作を示し、(C)は表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9における発光輝度を表すものである。
【0086】
表示装置1は、動作モードM4において、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を3つに分けるとともに、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4を3つに分け、サブフレーム画像FS1,FS2を表示する。以下に、この詳細動作を説明する。
【0087】
まず、タイミングt51における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt51からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく1回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt52からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく1回目の表示駆動を順次終了する(
図14(B))。次に、駆動部20は、タイミングt53からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく2回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt54からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく2回目の表示駆動を順次終了する。次に、駆動部20は、タイミングt55からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく3回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt56からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS1に基づく3回目の表示駆動を順次終了する。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt51〜t52の期間、タイミングt53〜t54の期間、およびタイミングt55〜t56の期間において、サブフレーム画像FS1に係るサブ輝度情報IS1に応じた発光輝度で発光し、タイミングt52〜t53の期間およびタイミングt54〜t55の期間において消光する(
図14(C))。この3つの発光期間P4の合計時間長は、発光デューティ比DR1に応じたものである。その際、表示装置1では、3つの発光期間P4の合計時間長を、動作モードM1(
図6)におけるタイミングt21〜t22の期間の時間長と等しくすることにより、表示輝度L1を維持している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、3つの発光期間P4の合計時間長を変更するとともにサブ輝度情報IS1を補正することにより、表示輝度L1を維持してもよい。
【0088】
次に、タイミングt56における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt56からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく1回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt57からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく1回目の表示駆動を順次終了する(
図14(B))。次に、駆動部20は、タイミングt58からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく2回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt59からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく2回目の表示駆動を順次終了する。次に、駆動部20は、タイミングt60からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく3回目の表示駆動を順次開始し、タイミングt61からはじまる所定期間において、サブフレーム画像FS2に基づく3回目の表示駆動を順次終了する。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt56〜t57の期間、タイミングt58〜t59の期間、およびタイミングt60〜t61の期間において、サブフレーム画像FS2に係るサブ輝度情報IS2に応じた発光輝度で発光し、タイミングt57〜t58の期間およびタイミングt59〜t60の期間において消光する(
図14(C))。この3つの発光期間P4の合計時間長は、発光デューティ比DR2に応じたものである。その際、表示装置1では、3つの発光期間P4の合計時間長を、動作モードM1(
図6)におけるタイミングt23〜t24の期間の時間長と等しくすることにより、表示輝度L2を維持している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、3つの発光期間P4の合計時間長を変更するとともにサブ輝度情報IS2を補正することにより、表示輝度L2を維持してもよい。
【0089】
動作モードM4では、制御部16は、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を3つに分けるとともに、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4を3つに分ける。その際、制御部16は、
図14(C)に示したように、サブフレーム画像FS1に係る3回目の発光期間P4と、その次のサブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4とを隣り合わせるとともに、サブフレーム画像FS2に係る3回目の発光期間P4と、その次のサブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4とを隣り合わせる。また、制御部16は、サブフレーム画像FS1に係る2回目の発光期間P4を、サブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4と3回目の発光期間P4との間に配置し、サブフレーム画像FS2に係る2回目の発光期間P4を、サブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4と3回目の発光期間P4との間に配置する。これにより、表示装置1では、動画モードM3の場合に比べて、各消光期間の長さをさらに短くすることができるため、特に画面内の静止画部分において、フリッカを改善することができる。
【0090】
[効果]
以上のように本実施の形態では、画像を解析し、その解析結果に基づいて、発光タイミングや発光デューティ比を変更するようにしたので、その画像の特徴に適した発光タイミングなどを設定することができ、画質を高めることができる。
【0091】
本実施の形態では、動作モードM2において、1つのフレーム画像から生成される2つのサブフレーム画像に係る発光期間を互いに隣り合わせるようにしたので、動画を表示する場合における画像のぼけや2重像を低減することができる。
【0092】
本実施の形態では、動作モードM3,M4において、2つのサブフレーム画像に係る発光期間をそれぞれ複数に分けるようにしたので、各消光期間の長さを短くすることができ、特に画面内の静止画部分においてフリッカを改善することができる。
【0093】
[変形例1]
上記実施の形態では、動作モードM2において、
図8に示したように、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を、その次のサブフレーム画像FS2に係る発光期間P4と隣り合わせるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4の中心タイミングと、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4の中心タイミングとの間の時間長を、フレーム周期T0の時間長の半分よりも短くすることができるような様々な動作が可能である。具体的には、例えば、
図15に示すように、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4と、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4との間に、所定の長さの消光期間を挿入してもよい。
【0094】
[変形例2]
上記実施の形態では、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4の長さ(発光デューティ比DR1)と、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4の長さ(発光デューティ比DR2)とを等しくしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4の長さと、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4の長さとが異なるようにしてもよい。動作モードM2において、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4の長さを、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4の長さよりも長くした場合の例を
図16に示す。この場合には、
図17に示すように、サブ輝度情報IS1が変化したときの表示輝度L1の変化率が、サブ輝度情報IS2が変化したときの表示輝度L2の変化率よりも大きくなる。一方、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4の長さを、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4の長さよりも短くした場合には、
図18に示すように、サブ輝度情報IS1が変化したときの表示輝度L1の変化率が、サブ輝度情報IS2が変化したときの表示輝度L2の変化率よりも小さくなる。
【0095】
[変形例3]
上記実施の形態では、動作モードM3において、
図12に示したように、サブフレーム画像FS1に係る2回目の発光期間P4の時間長を、サブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4の時間長よりも長くするとともに、サブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4の時間長を、サブフレーム画像FS2に係る2回目の発光期間P4の時間長よりも長くしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図19に示すように、サブフレーム画像FS1に係る2回目の発光期間P4の時間長を、サブフレーム画像FS1に係る1回目の発光期間P4の時間長よりも短くするとともに、サブフレーム画像FS2に係る1回目の発光期間P4の時間長を、サブフレーム画像FS2に係る2回目の発光期間P4の時間長よりも短くしてもよい。
図12に示すように構成することにより、例えば、画面内の動画部分において、画像のぼけ等をより低減することができ、一方、
図19に示すように構成することにより、例えば、画面内の静止画部分において、フリッカをより改善することができる。また、例えば、これらのすべての発光期間P4を互いに等しい時間長にしてもよい。
【0096】
[変形例4]
上記実施の形態では、サブフレーム生成部11は、画像信号Spicが示すフレーム画像Fに基づいて、2つのサブフレーム画像FS1,FS2を生成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、3つ以上のサブフレーム画像を生成してもよい。以下に、3つのサブフレーム画像FS1〜FS3を生成する表示装置1D,1Eについて詳細に説明する。
【0097】
図20A〜20Cは、表示装置1Dのサブフレーム生成部11Dの一動作例を表すものであり、
図20Aは輝度情報Iの値がしきい値Ith1以下である場合を示し、
図20Bは輝度情報Iの値がしきい値Ith1よりも大きくかつしきい値Ith2以下である場合を示し、
図20Cは、輝度情報Iの値がしきい値Ith2よりも大きい場合を示す。この例では、輝度情報Iの階調範囲は、しきい値Ith1,Ith2により、3つの階調範囲(低階調範囲、中階調範囲、高階調範囲)に分けられている。サブフレーム生成部11Dは、フレーム画像Fに含まれる各輝度情報Iの低階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブ輝度情報IS1を生成し、中階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブ輝度情報IS2を生成し、高階調範囲における輝度情報成分に基づいてサブ輝度情報IS3を生成する。そして、サブフレーム生成部11Dは、サブ輝度情報IS1に基づいてサブフレーム画像FS1を生成し、サブ輝度情報IS2に基づいてサブフレーム画像FS2を生成し、サブ輝度情報IS3に基づいてサブフレーム画像FS3を生成するようになっている。
【0098】
図21は、表示装置1Dにおける表示動作を模式的に表すものである。表示装置1Dのサブ画素9は、サブ輝度情報IS1に応じた表示輝度L1で発光し、サブ輝度情報IS2に応じた表示輝度L2で発光し、サブ輝度情報IS3に応じた表示輝度L3で発光する。この例では、発光デューティ比DR1〜DR3を互いに等しくしている。表示装置1Dでは、サブ画素9は、表示輝度L1による表示と、表示輝度L2による表示と、表示輝度L3による表示とを時分割的に行う。これにより、ユーザは、表示輝度L1〜L3の和を、そのサブ画素9の表示輝度として観察するようになっている。
【0099】
図22は、表示装置1Dにおけるある動作モードでの動作のタイミング図を表すものであり、(A)は画像信号Spic4に含まれる垂直同期信号Vsyncの波形を示し、(B)は表示部30の動作を示し、(C)は表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9における発光輝度を表すものである。
【0100】
表示装置1Dは、フレーム周期T0に対応する期間内に、3つのサブフレーム画像FS1〜FS3を時分割的に表示する。以下に、この詳細動作を説明する。
【0101】
まず、タイミングt71における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt72〜t74の期間において、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次開始し(
図22(B))、タイミングt73〜t75の期間において、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次終了する(
図22(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt71〜t72の期間において消光し、タイミングt72〜t73の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS1に係るサブ輝度情報IS1に応じた発光輝度で発光する(
図22(C))。
【0102】
次に、タイミングt73における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt73〜t75の期間において、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次開始し(
図22(B))、タイミングt74〜t76の期間において、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次終了する(
図22(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt73〜t74の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS2に係るサブ輝度情報IS2に応じた発光輝度で発光し、タイミングt74〜t75の期間において消光する(
図22(C))。
【0103】
次に、タイミングt75における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt75〜t77の期間において、サブフレーム画像FS3に基づく表示駆動を順次開始し(
図22(B))、タイミングt76〜t78の期間において、サブフレーム画像FS3に基づく表示駆動を順次終了する(
図22(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt75〜t76の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS3に係るサブ輝度情報IS3に応じた発光輝度で発光し、タイミングt76〜t77の期間において消光する(
図22(C))。
【0104】
このように、表示装置1Dでは、制御部16は、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4を遅らせ、その次のサブフレーム画像FS2に係る発光期間P4と隣り合わせる。これにより、動画を表示する際の画像のぼけ等を低減することができる。
【0105】
表示装置1Dでは、発光デューティ比DR1〜DR3を互いに等しくしたが、これに限定されるものではない。以下に、発光デューティ比DR2を大きくした表示装置1Eについて詳細に説明する。
【0106】
図23は、表示装置1Eにおけるある動作モードでの動作のタイミング図を表すものであり、(A)は画像信号Spic4に含まれる垂直同期信号Vsyncの波形を示し、(B)は表示部30の動作を示し、(C)は表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9における発光輝度を表すものである。
【0107】
まず、タイミングt81における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt82〜t84の期間において、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次開始し(
図23(B))、タイミングt83〜t85の期間において、サブフレーム画像FS1に基づく表示駆動を順次終了する(
図23(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt81〜t82の期間において消光し、タイミングt82〜t83の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS1に係るサブ輝度情報IS1に応じた発光輝度で発光する(
図23(C))。
【0108】
次に、タイミングt83における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt83〜t85の期間において、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次開始し(
図23(B))、タイミングt85〜t87の期間において、サブフレーム画像FS2に基づく表示駆動を順次終了する(
図23(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt83〜t85の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS2に係るサブ輝度情報IS2に応じた発光輝度で発光する(
図23(C))。その際、表示装置1Eでは、補正部12が、発光期間P4の長さに応じてサブ輝度情報IS2を補正することにより、表示輝度L2を維持している。
【0109】
次に、タイミングt85における垂直同期信号Vsyncのパルスに応じて、駆動部20は、タイミングt85〜t87の期間において、サブフレーム画像FS3に基づく表示駆動を順次開始し(
図23(B))、タイミングt86〜t88の期間において、サブフレーム画像FS3に基づく表示駆動を順次終了する(
図23(B))。表示部30の最上部の画素ラインに属するサブ画素9は、タイミングt85〜t86の期間(発光期間P4)において、サブフレーム画像FS3に係るサブ輝度情報IS3に応じた発光輝度で発光し、タイミングt86〜t87の期間において消光する(
図23(C))。
【0110】
このように、表示装置1Eでは、制御部16は、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4を長くし、サブフレーム画像FS1に係る発光期間P4とサブフレーム画像FS2に係る発光期間P4とを隣り合わせ、サブフレーム画像FS2に係る発光期間P4とサブフレーム画像FS3に係る発光期間P4とを隣り合わせる。このようにしても、動画を表示する際の画像のぼけ等を低減することができる。
【0111】
[変形例5]
上記実施の形態では、フレーム画像Fを含む画像信号Spicが供給され、サブフレーム生成部11が、このフレーム画像Fに基づいてサブフレーム画像FS1,FS2を生成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図24に示す表示装置1Fのように、サブフレーム画像FS1,FS2を含む画像信号Spic2が供給されるようにしてもよい。表示装置1Fは、解析部14Fを備えている。解析部14Fは、画像信号Spic2に基づいて、その画像信号Spic2が示す画像を解析するものである。このように構成しても、上記実施の形態に係る表示装置1と同様の効果を得ることができる。
【0112】
<2.適用例>
次に、上述した実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置、電子ブック、スマートフォン、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイなど、外部から入力された画像信号あるいは内部で生成した画像信号を、
画像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0113】
上記実施の形態の表示装置は、例えば、
図25に示したようなモジュールとして、後述する各適用例に係る電子機器に組み込むようにしてもよい。このモジュールは、例えば、基板910上に、表示部920と、駆動回路930A,930Bとが形成されたものである。基板910の一辺に配置された領域940には、駆動回路930と外部機器とを接続するための外部接続端子(図示せず)が形成されている。この例では、外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)950が接続されている。表示部920は、上記実施の形態に係る表示部30などを含んで構成されるものであり、駆動回路930A,930Bは、上記実施の形態に係る表示装置1における表示部30以外のブロックの全部または一部を含んで構成されるものである。
【0114】
図26は、テレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、本体部110および表示部120を有しており、表示部120が、上記の表示装置により構成されている。
【0115】
上述した実施の形態で説明した表示装置は、様々な電子機器に適用することができる。本技術により、ダイナミックレンジを高めるとともに、表示する画像の特徴に適した発光タイミングなどを設定することができ、画質を高めることができる。本技術は、特に、据置型のテレビジョン装置のような画面サイズが大きい表示装置において、画像のぼけや2重像の低減に大きな貢献がある。
【0116】
以上、実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0117】
例えば、上記実施の形態では、各サブ画素9に1つの容量素子Csを設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図27に示すサブ画素7のように、容量素子Csubを設けてもよい。容量素子Csubは、一端が発光素子49のアノードに接続され、他端が発光素子49のカソードに接続されている。すなわち、サブ画素7は、2つのトランジスタ(書込トランジスタWSTr、駆動トランジスタDRTr)および2つの容量素子Cs,Csubを用いて構成される、いわゆる「2Tr2C」の構成を有するものである。
【0118】
また、上記実施の形態では、発光素子として有機EL素子を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば無機EL素子などの様々な発光素子を用いることができる。また、この例では、本技術を自発光型の表示装置に適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、液晶表示装置のような非発光型の表示装置に適用してもよい。
図28は、本変形例に係る表示装置2の一構成例を表すものである。表示装置2は、表示駆動部41と、液晶表示部42と、バックライト駆動部43と、バックライト44とを備えている。表示駆動部41は、画像信号Spic4に基づいて、液晶表示部42を駆動するものである。液晶表示部42は、表示駆動部41による駆動に基づいて画像を表示するものである。バックライト駆動部43は、制御信号CTL2に基づいて、バックライト44を駆動するものである。バックライト44は、液晶表示部42の背面側に配置されるものであり、バックライト駆動部43による駆動に基づいて発光し、光を液晶表示部42に射出するものである。この構成により、バックライト44は、制御信号CTL2により指示された発光タイミングや発光デューティ比DR1,DR2で発光する。
【0119】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0120】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0121】
(1)画素を有する表示部と、
複数のサブ輝度情報を含む輝度情報に基づいて前記表示部を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部は、各サブ輝度情報に対して設定される1または複数の表示期間において、各サブ輝度情報に基づいて前記画素を時分割的に駆動し、
各表示期間の開始タイミングおよび前記表示期間の数の一方または双方が変更可能に構成された
表示装置。
【0122】
(2)前記駆動部は、各サブ輝度情報に対して1つの表示期間を設定する第1の動作モードを有し、
前記輝度情報は、第1のサブ輝度情報および第2のサブ輝度情報を含む所定数のサブ輝度情報を含み、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1のサブ輝度情報に対して設定される表示期間の中心タイミングと、前記第2のサブ輝度情報に対して設定される表示期間の中心タイミングとの間の第1のタイミング差は、フレーム期間の時間長を前記所定数で割った区分時間長よりも短い
前記(1)に記載の表示装置。
【0123】
(3)前記駆動部は、各サブ輝度情報に対して1つの表示期間を設定する第2の動作モードを有し、
前記第2の動作モードにおける前記第1のタイミング差は、前記第1の動作モードにおける前記第1のタイミング差よりも長い
前記(2)に記載の表示装置。
【0124】
(4)前記輝度情報は、第3のサブ輝度情報をさらに含む
前記(2)または(3)に記載の表示装置。
【0125】
(5)前記第2のサブ輝度情報に対して設定される表示期間は、前記第1のサブ輝度情報に対して設定される表示期間、および前記第3のサブ輝度情報に対して設定される表示期間よりも長い
前記(4)に記載の表示装置。
【0126】
(6)前記第1の動作モードにおいて、前記第1のタイミング差は、一の輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最後の期間の中心タイミングと、前記一の輝度情報の次の一の輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最初の期間の中心タイミングとの間の第2のタイミング差よりも小さい
前記(2)から(5)のいずれかに記載の表示装置。
【0127】
(7)前記駆動部は、各サブ輝度情報に対して複数の表示期間を設定する第3の動作モードをさらに有し、
前記第3の動作モードにおいて、
前記第1のサブ輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最後の期間の中心タイミングと、前記第2のサブ輝度情報に対して設定される表示期間のうちの最初の期間の中心タイミングとの間の第3のタイミング差は、フレーム期間の時間長を前記所定数で割った区分時間長よりも短く、
一の輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最後の期間の中心タイミングと、前記一の輝度情報の次の一の輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最初の期間の中心タイミングとの間の第4のタイミング差は、前記区分時間長よりも短い
前記(2)から(6)のいずれかに記載の表示装置。
【0128】
(8)前記駆動部は、前記第3の動作モードにおいて、各サブ輝度情報に対して2つの表示期間を設定する
前記(7)に記載の表示装置。
【0129】
(9)前記第3の動作モードにおいて、
前記第1のサブ輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最後の期間の時間長は、最初の期間の時間長よりも長く、
前記第2のサブ輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最初の期間の時間長は、最後の期間の時間長よりも長い
前記(7)または(8)に記載の表示装置。
【0130】
(10)前記第3の動作モードにおいて、
前記第1のサブ輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最後の期間の時間長は、最初の期間の時間長よりも長く、
前記第2のサブ輝度情報に対して設定される複数の表示期間のうちの最初の期間の時間長は、最後の期間の時間長よりも長い
前記(7)または(8)に記載の表示装置。
【0131】
(11)前記駆動部は、フレーム画像の動き量に基づいて、動作モードを決定する
前記(2)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0132】
(12)前記駆動部は、フレーム画像における、動きのある画像部分の比率に基づいて、動作モードを決定する
前記(2)から(11)のいずれかに記載の表示装置。
【0133】
(13)各表示期間の長さに応じて、対応するサブ輝度情報を補正する補正部をさらに備えた
前記(1)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
【0134】
(14)入力輝度情報の値がとりうる範囲を複数の階調範囲に区分し、前記入力輝度情報の各階調範囲における輝度情報成分を各サブ輝度情報として求める信号生成部をさらに備えた
前記(1)から(13)のいずれかに記載の表示装置。
【0135】
(15)画素を有する表示部と、
発光部と、
複数のサブ輝度情報を含む輝度情報に基づいて前記表示部および前記発光部を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部は、各サブ輝度情報に基づいて前記画素を時分割的に駆動するとともに、各サブ輝度情報に対して設定される1または複数の発光期間において前記発光部を駆動し
各発光期間の開始タイミングおよび前記発光期間の数の一方または双方が変更可能に構成された
表示装置。
【0136】
(16)前記表示部は液晶表示部であり、
前記発光部はバックライトであり、
前記駆動部は、複数の動作モードを有し、動作モードに応じて、各発光期間の開始タイミングおよび前記発光期間の数の一方または双方を変化させる
前記(15)に記載の表示装置。
【0137】
(17)輝度情報に含まれる複数のサブ輝度情報のそれぞれに対して1または複数の表示期間を設定することと、
前記1または複数の表示期間において、各サブ輝度情報に基づいて画素を時分割的に駆動することと
を含み、
各表示期間の開始タイミングおよび前記表示期間の数の一方または双方が変更可能である
表示装置の駆動方法。
【0138】
(18)表示装置と
前記表示装置に対して動作制御を行う制御部と
を備え、
前記表示装置は、
画素を有する表示部と、
複数のサブ輝度情報を含む輝度情報に基づいて前記表示部を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部は、各サブ輝度情報に対して設定される1または複数の表示期間において、各サブ輝度情報に基づいて前記画素を時分割的に駆動し、
各表示期間の開始タイミングおよび前記表示期間の数の一方または双方が変更可能に構成された
電子機器。