特許第6387512号(P6387512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387512
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】表示パネルおよび表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20180903BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180903BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20180903BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G09F9/30 330
   G09F9/00 346Z
   G09F9/00 352
   G09F9/00 338
   H05B33/14 A
   H05B33/06
   H01L27/32
   H05B33/10
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-551496(P2016-551496)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(86)【国際出願番号】JP2015004574
(87)【国際公開番号】WO2016051681
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-199769(P2014-199769)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】小野 晋也
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−350064(JP,A)
【文献】 特開平09−026591(JP,A)
【文献】 特開2010−145712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
G02F 1/1345
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の主面の周縁領域の第1部分に設けられ、かつ第1フレキシブルプリント基板と接続する複数の第1接続配線と、
前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と隣り合う第2部分に設けられ、かつ第2フレキシブルプリント基板と接続する複数の第2接続配線と、
前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、かつ前記第2部分に近い端の第1接続配線と前記第1部分に近い端の第2接続配線とにそれぞれ接続されている第1検査用パッド及び第2検査用パッドと、
前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成する電気回路と、
を備える表示パネル。
【請求項2】
前記基板の前記主面の前記周縁領域を除く中央領域を封止する封止部材をさらに備え、
前記第1検査用パッド及び前記第2検査用パッドは、前記周縁領域において、前記端の第1接続配線及び前記端の第2接続配線にそれぞれ接続されている、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記複数の第1接続配線及び前記複数の第2接続配線のうちで前記電気回路の異なるノードを構成する接続配線同士が、前記周縁領域において交差していない、
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
基板の主面の周縁領域の互いに隣り合う第1部分と第2部分とに、第1フレキシブルプリント基板と接続する複数の第1接続配線と第2フレキシブルプリント基板と接続する複数の第2接続配線とをそれぞれ設け、
前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に、前記第2部分に近い端の第1接続配線と前記第1部分に近い端の第2接続配線とにそれぞれ接続された第1検査用パッド及び第2検査用パッドを設け、
前記端の前記第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成する電気回路を前記基板上に形成する、
表示パネルの製造方法。
【請求項5】
複数の基板の大きさを持つ原基板上に、請求項4に記載の表示パネルの製造方法に従って、前記複数の基板それぞれの複数の第1接続配線、複数の第2接続配線、第1検査用パッド、第2検査用パッド、及び電気回路を、隣接する基板の周縁領域同士が接する位置に形成し、
前記原基板を、隣接する前記基板の前記周縁領域の境界で、前記複数の基板の各々に割断し、
割断で得られた各々の基板について、前記第1検査用パッド及び前記第2検査用パッドを介して前記電気回路を電気的に検査し、
検査に合格した前記基板に、フレキシブルプリント基板を取り付ける、
表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルおよび表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置において、表示パネルと回路基板とを接続するフレキシブルプリント基板に表示パネルを駆動するためのドライバIC(Integrated Circuit)を搭載し、フレキシブルプリント基板上のドライバICにて表示パネルを駆動する構成が広く採用されている。
【0003】
また、そのようなフレキシブルプリント基板にリード配線を設け、当該リード配線を介して、前記回路基板から前記表示パネルに駆動電流を供給する表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示される表示装置によれば、回路基板から表示パネルに、フレキシブルプリント基板に設けられたリード配線を介して、多量の駆動電流を容易に供給できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−52248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば大画面の表示パネルのように、特に多量の駆動電流が必要とされる表示パネルでは、一般的に、表示パネル自体の製造コストや駆動用のドライバICのコストも高い。そのため、フレキシブルプリント基板を実装する前に、点灯検査によって不具合の程度を確認し、不具合箇所の修正や、フレキシブルプリント基板を実装する価値があるか否かを判定することが重要である。
【0007】
しかしながら、従来のディスプレイ装置では、フレキシブルプリント基板がまだ実装されていない表示パネルに、検査用の駆動電流を供給するための構成が明らかではない。
【0008】
そこで、本発明は、検査用の駆動電流を供給するために適した構成を持つ表示パネルおよび表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、開示される1つの態様に係る表示パネルは、基板と、前記基板の主面の周縁領域の第1部分に設けられ、かつ第1フレキシブルプリント基板と接続する複数の第1接続配線と、前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と隣り合う第2部分に設けられ、かつ第2フレキシブルプリント基板と接続する複数の第2接続配線と、前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、かつ前記第2部分に近い端の第1接続配線と前記第1部分に近い端の第2接続配線とにそれぞれ接続されている第1検査用パッド及び第2検査用パッドと、前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成する電気回路と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
このような構成によれば、前記第1部分と前記第2部分との間の狭い隙間に設けられた前記第1検査用パッド及び前記第2検査用パッドで駆動電流を受けて、前記異なる電源ノードにそれぞれ供給することができる。前記2つの検査用パッドは、フレキシブルプリント基板の隣接する各ペアの間に繰り返し設けることができるので、表示パネルの周縁領域に残された前記狭い隙間を活用して、検査用の多量の駆動電流を供給することが可能になる。
【0011】
しかも、前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成することで、次のような効果が得られる。すなわち、前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが同じ電源ノードを構成したとすれば、前記同じ電源ノードには前記狭い隙間の中で直接接続できるが、異なる電源ノードには迂回や交差のある配線で接続する必要がある。そのため、駆動電流の供給能力の低下や配線の信頼性の低下が懸念される。このような懸念が、前述した構成によって解消される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態に係る表示装置の構成の一例を示す正面図及び右側面図である。
図2図2は、実施の形態に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
図3図3は、比較例1に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
図4図4は、実施の形態の変形例に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
図5図5は、比較例2に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
図6図6は、実施の形態に係る表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態に係る表示装置の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される1つの態様に係る表示パネルは、基板と、前記基板の主面の周縁領域の第1部分に設けられ、かつ第1フレキシブルプリント基板と接続する複数の第1接続配線と、前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と隣り合う第2部分に設けられ、かつ第2フレキシブルプリント基板と接続する複数の第2接続配線と、前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、かつ前記第2部分に近い端の第1接続配線と前記第1部分に近い端の第2接続配線とにそれぞれ接続されている第1検査用パッド及び第2検査用パッドと、前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成する電気回路と、を備える。
【0014】
このような構成によれば、前記第1部分と前記第2部分との間の狭い隙間に設けられた前記第1検査用パッド及び前記第2検査用パッドで駆動電流を受けて、前記異なる電源ノードにそれぞれ供給することができる。前記2つの検査用パッドは、フレキシブルプリント基板の隣接する各ペアの間に繰り返し設けることができるので、表示パネルの周縁領域に残された前記狭い隙間を活用して、検査用の多量の駆動電流を供給することが可能になる。
【0015】
しかも、前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成することで、次のような効果が得られる。すなわち、前記端の第1接続配線と前記端の第2接続配線とが同じ電源ノードを構成したとすれば、前記同じ電源ノードには前記狭い隙間の中で直接接続できるが、異なる電源ノードには迂回や交差のある配線で接続する必要がある。そのため、駆動電流の供給能力の低下や配線の信頼性の低下が懸念される。このような懸念が、前述した構成によって解消される。
【0016】
また、前記表示パネルは、前記基板の前記主面の前記周縁領域を除く中央領域を封止する封止部材をさらに備え、前記第1検査用パッド及び前記第2検査用パッドは、前記周縁領域において、前記端の第1接続配線及び前記端の第2接続配線にそれぞれ接続されていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、例えば、有機EL(Electro Luminescence)表示パネルのように、前記中央領域が封止されている表示パネルにおいて、前記周縁領域から検査用の電力を供給することができる。
【0018】
また、前記複数の第1接続配線及び前記複数の第2接続配線のうちで前記電気回路の異なるノードを構成する接続配線同士が、前記周縁領域において交差していないとしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、封止されていない前記周縁領域で異なるノードを構成する接続配線同士を交差させた場合に生じる問題、すなわち、腐食環境下における配線間の電位差によって配線が劣化し易くなるという問題を回避できる。
【0020】
また、開示される1つの態様に係る表示パネルの製造方法は、基板の主面の周縁領域の互いに隣り合う第1部分と第2部分とに、第1フレキシブルプリント基板と接続する複数の第1接続配線と第2フレキシブルプリント基板と接続する複数の第2接続配線とをそれぞれ設け、前記基板の前記主面の前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に、前記第2部分に近い端の第1接続配線と前記第1部分に近い端の第2接続配線とにそれぞれ接続された第1検査用パッド及び第2検査用パッドを設け、前記端の前記第1接続配線と前記端の第2接続配線とが異なる電源ノードを構成する電気回路を前記基板上に形成するものである。
【0021】
このような製造方法に従って、前述した効果を奏する表示パネルを製造することができる。
【0022】
また、開示される1つの態様に係る表示パネルの製造方法は、複数の基板の大きさを持つ原基板上に、前述した表示パネルの製造方法に従って、前記複数の基板それぞれの複数の第1接続配線、複数の第2接続配線、第1検査用パッド、第2検査用パッド、及び電気回路を、隣接する基板の周縁領域同士が接する位置に形成し、前記原基板を、隣接する前記基板の前記周縁領域の境界で、前記複数の基板の各々に割断し、割断で得られた各々の基板について、前記第1検査用パッド及び前記第2検査用パッドを介して前記電気回路を電気的に検査し、検査に合格した前記基板に、フレキシブルプリント基板を取り付けるものである。
【0023】
このような製造方法によれば、前記第1検査用パッドと前記第2検査用パッドとが前記基板の前記周縁領域の狭い隙間に設けられるという構造的な特徴に基づいて、前記第1及び第2検査用パッドを含む最終製品サイズの基板が1回の割断で得られる。例えば、原基板を、最終製品サイズの基板と検査用パッドの専用領域とがつながった半製品に割断し、当該検査用パッドを用いた検査を行った後で、当該半製品をさらに割断して最終製品サイズの基板を得る製造方法も考えられる。そのような製造方法と比べて、前述した製造方法では、1回の割断で最終製品サイズの基板が得られるので、実用的な意義は大きい。
【0028】
(実施の形態)
以下、本発明の一態様に係る表示パネル、表示パネルの製造方法、及びフレキシブルプリント基板について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
図1は、実施の形態に係る表示装置の構成の一例を示す正面図及び右側面図である。
【0031】
図1に示されるように、表示装置100は、表示パネル1、複数のフレキシブルプリント基板2、及び回路基板3を備える。
【0032】
表示パネル1は、例えば有機EL表示パネルなどの画像表示パネルである。表示パネル1は、一例として、基板10の主面の中央領域に、複数の画素部13をマトリクス状に配置してなる表示部14、複数の画素部13に動作電力を供給するための第1電源配線15、第2電源配線16を形成し、シール材17及び封止基板18にて封止して構成される。基板10の主面の周縁領域は、電気的な接続をとるために封止されず、基板10の主面の周縁領域を除く中央領域が封止される。
【0033】
基板10の主面の周縁領域には、フレキシブルプリント基板2と接続する複数の接続配線が設けられる。当該接続配線については、後ほど詳しく説明する。
【0034】
フレキシブルプリント基板2には、複数のリード配線28が設けられ、ドライバIC29が搭載される。フレキシブルプリント基板2は、基板10の主面の周縁領域において基板10と電気的に接続され、リード配線28を介して回路基板3から表示パネル1に駆動電流を供給し、ドライバIC29にて表示パネル1を駆動する。
【0035】
ここで、複数のフレキシブルプリント基板2のうちの隣接する2つを、第1フレキシブルプリント基板21及び第2フレキシブルプリント基板22として参照する。
【0036】
図2は、表示パネル1とフレキシブルプリント基板21、22との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
【0037】
基板10の周縁領域の第1部分に、第1フレキシブルプリント基板21と接続する複数の第1接続配線11が設けられる。
【0038】
基板10の前記周縁領域の前記第1部分と隣り合う第2部分に、第2フレキシブルプリント基板22と接続する複数の第2接続配線12が設けられる。
【0039】
複数の第1接続配線11のうち、前記第2部分に近い端の第1接続配線と遠い端の第1接続配線とを、それぞれ第1接続配線111、112として参照する。
【0040】
複数の第2接続配線12のうち、前記第1部分に近い端の第2接続配線と遠い端の第2接続配線とを、それぞれ第2接続配線121、122として参照する。
【0041】
基板10の前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に、第1接続配線111に接続された第1検査用パッド113と、第2接続配線121に接続された第2検査用パッド123とが設けられる。第1検査用パッド113と第1接続配線111との接続、及び第2検査用パッド123と第2接続配線121との接続は、何れも前記周縁領域においてなされている。
【0042】
複数の第1接続配線11及び複数の第2接続配線12は、例えばシール材17をくぐって、封止されている中央領域に進入し、中央領域内に設けられる電気回路に接続する。
【0043】
具体的に、第1接続配線111は第1電源配線15に接続し、第2接続配線121は第2電源配線16に接続する。典型的な一例として、第1電源配線15及び第1接続配線111は正電源ノードを構成し、第2電源配線16及び第2接続配線121は負電源ノードを構成してもよい。このように、第1接続配線111と第2接続配線121とは、異なる電源ノード、つまり、電圧の異なる駆動電流が流れるノードを構成する。
【0044】
以上のように構成された表示パネル1によれば、前記第1部分と前記第2部分との間の狭い隙間に設けられた第1検査用パッド113及び第2検査用パッド123で駆動電流を受けて、前記異なる電源ノードにそれぞれ供給することができる。
【0045】
表示パネル1では、第1接続配線111と第2接続配線122とが同じ電源ノードを構成し、第1接続配線112と第2接続配線121とが同じ電源ノードを構成するという、繰り返しのパターンが形成されている。そのため、第1検査用パッド113及び第2検査用パッド123と同等の検査用パッドを、フレキシブルプリント基板21、22の間以外にも、フレキシブルプリント基板2の隣接する各ペアの間に繰り返して設けることが可能になる。これにより、表示パネル1の周縁領域に残された前記狭い隙間を活用して、検査用の多量の駆動電流を供給することが可能になる。
【0046】
さらに、第1接続配線111と第2接続配線121とが異なる電源ノードを構成していることで、次のような効果が得られる。この効果について、第1接続配線111と第2接続配線121とが同じ電源ノードを構成している比較例1との対比により、説明する。
【0047】
図3は、比較例1に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
【0048】
図3に示されるように、実施の形態の表示パネル1では、第1接続配線111及び第2接続配線121が異なる電源ノードを構成しているのに対し、比較例1に係る表示パネル8では、第1接続配線811及び第2接続配線821が同じ電源ノードを構成している。
【0049】
表示パネル8では、第1接続配線811と第2接続配線821とが同じ電源ノードを構成するため、第1検査用パッド813から前記同じ電源ノードには、前記狭い隙間の中で直接接続できるが、第2検査用パッド823から異なる電源ノードには迂回や交差のある配線824で接続する必要がある。
【0050】
接続配線が密集している周縁領域では、迂回のための配線824を太く設けることができず、そのため、配線824で第2電源配線16と接続される第2検査用パッド823には駆動電流の供給能力が不足する懸念がある。また、配線824を、封止されていない周縁領域で他のノードを構成する配線と交差させたとすれば、例えば配線間の電位差によって配線が腐食しやすくなるといった問題が生じる。
【0051】
その点、表示パネル1の構成によれば、これらの懸念や問題が生じることがない。
【0052】
表示パネル1では、特に、配線の劣化耐性を高めるため、第1検査用パッド113、第2検査用パッド123に接続される配線に限らず、複数の第1接続配線11及び複数の第2接続配線12のうちで異なるノードを構成する接続配線のどのペアも、前記周縁領域において交差しないパターンとしている。
【0053】
なお、図2では、第1フレキシブルプリント基板21は両端部に設けられた1対のリード配線211、212、及びその内側に設けられたもう1対のリード配線(符号省略)で駆動電流を供給している。また、第2フレキシブルプリント基板22も同様に、両端部に設けられた1対のリード配線221、222、及びその内側に設けられたもう1対のリード配線(符号省略)で駆動電流を供給している。このように多数のリード配線を設けることは、駆動電流の供給能力を高める上で有利であるが、上述の効果とは特には関係がない。
【0054】
そこで、以下では、実施の形態の変形例として、両端部に1対のリード配線のみを有するフレキシブルプリント基板を用いた構成について説明する。
【0055】
図4は、実施の形態の変形例に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
【0056】
図4に示されるように、フレキシブルプリント基板23、24は、図2に示されるフレキシブルプリント基板21、22の内側の1対のリード配線をそれぞれ削除して構成される。また、表示パネル5において、複数の第1接続配線51及び複数の第2接続配線52の中で、前記削除されたリード配線に対応する接続配線が省略される。
【0057】
図4から明らかに、表示パネル5においても、第1接続配線111、第2接続配線121、第1検査用パッド113、第2検査用パッド123の配置、及び、これらの構成要素と第1電源配線15、第2電源配線16との接続に関する構造的な特徴は、表示パネル1と共通している。
【0058】
したがって、表示パネル5においても、実施の形態で表示パネル1について説明した効果と同様の効果が得られる。
【0059】
次に、フレキシブルプリント基板21、22の特徴について説明する。
【0060】
図2において、フレキシブルプリント基板21の両端部のリード配線211、212は同じ形状で示され、フレキシブルプリント基板22の両端部のリード配線221、222は同じ形状で示されている。この図示は、フレキシブルプリント基板21、22が、両端部に実質的に同じ電気的特性を有する1対のリード配線をそれぞれ有することを表している。
【0061】
フレキシブルプリント基板の両端部に実質的に同じ電気的特性を有する1対のリード配線を設けることで、次のような効果が得られる。この効果について、フレキシブルプリント基板の両端部に電気的特性が異なるリード配線を設けた比較例2との対比により、説明する。
【0062】
図5は、比較例2に係る表示パネルとフレキシブルプリント基板との接続部分の構成の一例を示す拡大図である。
【0063】
図5に示されるように、表示パネル9の電源配線は、一般的に採用される設計技法に従って、左右対称形に設けられている。
【0064】
そのため、表示パネル9の左領域では、フレキシブルプリント基板25と接続する複数の接続配線91のうち、左端の接続配線911が第1電源配線15に接続され、右端の接続配線912が第2電源配線16に接続されている。
【0065】
これに対し、表示パネル9の右領域では、フレキシブルプリント基板26と接続する複数の接続配線92のうち、左端の接続配線921が第2電源配線16に接続され、右端の接続配線922が第1電源配線15に接続されている。
【0066】
すなわち、1つのフレキシブルプリント基板と接続する複数の接続配線のうち、左端の接続配線が構成する電源ノードと、右端の接続配線が構成する電源ノードとが、表示パネル9の左領域と右領域とで、逆になっている。
【0067】
このとき、図5に示されるように、電源ノードに流れる電流量に応じて、フレキシブルプリント基板25の両端部のリード配線251、252の幅を変え、またフレキシブルプリント基板26の両端部のリード配線261、262の幅を変えることも考えられるが、そうすると、表示パネル9の左領域と右領域とで、少なくとも2種類のフレキシブルプリント基板25、26が必要になり、製造コストの合理化を阻害する要因となり得る。
【0068】
その点、フレキシブルプリント基板の両端部に実質的に同じ電気的特性を有する1対のリード配線を設ける構成によれば、1種類のフレキシブルプリント基板を、表示パネルの左領域と右領域とで用いることができるので、複数の種類のフレキシブルプリント基板を用意する必要がなくなる。
【0069】
次に、表示パネル1の製造方法について説明する。
【0070】
図6は、表示パネル1の製造方法の一例を示すフローチャートである。以下の説明では、理解のため、構成要素を図1及び図2の対応する符号で参照しているが、以下の説明は特定の表示パネルの製造に限定的に適用されることを意図していない。
【0071】
図6に示されるように、表示パネル1の製造方法には少なくとも次の工程が含まれる。
【0072】
基板10の主面の周縁領域の互いに隣り合う第1部分と第2部分とに、第1フレキシブルプリント基板21と接続する複数の第1接続配線11と第2フレキシブルプリント基板22と接続する複数の第2接続配線12とをそれぞれ設ける工程(S101)。
【0073】
前記周縁領域の前記第1部分と前記第2部分との間に、対向端の第1接続配線111及び第2接続配線121(すなわち、前記第2部分に近い端の第1接続配線111及び前記第1部分に近い端の第2接続配線121)にそれぞれ接続された第1検査用パッド113及び第2検査用パッド123を設ける工程(S102)。
【0074】
第1接続配線111と第2接続配線121とが異なる電源ノードを構成する電気回路を基板10上に形成する工程(S103)。ここで、前記電気回路には、第1接続配線111、第2接続配線121、第1検査用パッド113、第2検査用パッド123、第1電源配線15、第2電源配線16、表示部14内の配線、及び、画素部13を構成する回路が含まれる。
【0075】
前記電気回路が形成された基板10の中央領域を封止する工程(S104)。
【0076】
なお、このような製造方法では、製造される前記第1接続配線、前記第2接続配線、前記第1検査用パッド、前記第2検査用パッド、及び前記電気回路の構造に特徴があり、これらの構成要素の形成に用いられる加工方法は、特には限定されない。これらの構成要素の形成には、例えば、フォトリソグラフィーやエッチングなどの周知のプロセスが用いられてもよい。また、これらの構成要素が形成される順序は任意であり、単一の工程で、これらの構成要素が形成されてもよい。
【0077】
このような製造方法に従って、前述した効果を奏する表示パネル1が製造される。
【0078】
表示パネル1では、第1検査用パッド113と第2検査用パッド123とが基板10の前記周縁領域の狭い隙間(つまり基板10の最終製品サイズ内)に設けられるという構造的な特徴を有している。表示パネル1は、この特徴のために、多面取りによる製造に特に適している。以下では、この特徴について、製造方法の他の例を用いて説明する。
【0079】
図7は、表示パネル1の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。以下の説明では、理解のため、構成要素を図1及び図2の対応する符号で参照しているが、以下の説明は特定の表示パネルの製造に限定的に適用されることを意図していない。
【0080】
図7に示されるように、表示パネル1の他の製造方法では、まず、複数の基板10の大きさを持つ原基板(図示せず)上に、複数の基板10それぞれの複数の第1接続配線11、複数の第2接続配線12、第1検査用パッド113、第2検査用パッド123、及び電気回路を形成する(S201)。これらの構成要素は、前述した表示パネルの製造方法に従って、隣接する基板10の周縁領域同士が接する位置に形成される。
【0081】
前記原基板を、隣接する基板10の前記周縁領域の境界で、複数の基板10の各々に割断する(S202)。
【0082】
割断で得られた基板10について、以下の処理を行う(S203)。
【0083】
基板10の第1検査用パッド113及び第2検査用パッド123を介して前記電気回路を電気的に検査する(S204)。この検査の内容は、特には限定されないが、典型的な一例として、画素部30の点灯検査であってもよい。検査に合格した基板10に(S205でOK)、フレキシブルプリント基板を取り付ける(S206)。検査に失格した基板10には(S205でNG)、例えば輝点を滅点にする処理や配線短絡箇所の分離等の前記電気回路のリペアなどの修正が行われる(S207)。このような処理を、全ての基板10について行う(S208)。
【0084】
このような製造方法によれば、検査用パッドが基板10の最終製品サイズ内に設けられるという、表示パネル1の構造的な特徴に基づいて、検査用パッドを含む最終製品サイズの基板が1回の割断で得られる。例えば、原基板を、最終製品サイズの基板と検査用パッドの専用領域とがつながった半製品に割断し、当該検査用パッドを用いた検査を行った後で、当該半製品をさらに割断して最終製品サイズの基板を得る製造方法も考えられる。そのような製造方法と比べて、前述した製造方法では、1回の割断で最終製品サイズの基板が得られるので、実用的な意義は大きい。
【0085】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る表示パネル、表示パネルの製造方法、及びフレキシブルプリント基板について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、画像表示装置として広く用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
1、5、8、9 表示パネル
2、21〜26 フレキシブルプリント基板
3 回路基板
10 基板
11、51 複数の第1接続配線
12、52 複数の第2接続配線
13 画素部
14 表示部
15 第1電源配線
16 第2電源配線
17 シール材
18 封止基板
28、211、212、221、222、251、252、261、262 リード配線
29 ドライバIC
30 画素部
91、92 複数の接続配線
100 表示装置
111、112、811 第1接続配線
113、813 第1検査用パッド
121、122、821 第2接続配線
123、823 第2検査用パッド
824 配線
911、912、921、922 接続配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7