(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して以下の順に詳細に説明する。
1.第1の実施の形態(格子状の凸部を有する第2電極に、ストライプ状の第3電極を部分的に接触させてなる有機電界発光装置の例)
2.第2の実施の形態(ストライプ状の凸部を有する第2電極に、ストライプ状の第3電極を部分的に接触させてなる有機電界発光装置の例)
3.変形例1(隔壁の頂部が丸みを帯びている場合の例)
4.変形例2(隔壁の頂部が凹みを有する場合の例)
5.変形例3(隔壁上にも有機層が形成されている場合の例)
6.適用例(電子機器の例)
【0016】
<第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る有機電界発光装置(有機電界発光装置1)の全体構成を表すものである。この有機電界発光装置1は、有機ELテレビジョン装置などとして用いられるものであり、例えば、基板11の表示領域110Aには、後述する複数の有機EL素子10R,10G,10Bがマトリクス状に2次元配置されている。表示領域110Aの周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。尚、以下では、基板11上において、画素は、互いに直交するX方向(例えば表示画面の水平方向)およびY方向(例えば表示画面の垂直方向)の2方向に沿って配列されている。
【0017】
表示領域110Aには、上記有機EL素子10R,10G,10Bと共に、画素回路140が設けられている。
図2は、画素回路140の一例を表したものである。画素回路140は、例えばアクティブ型の回路であり、例えば駆動トランジスタTr1と、書き込みトランジスタTr2と、キャパシタ(保持容量)Csと、有機EL素子10R(または有機EL素子10G,有機EL素子10B)とを有する。有機EL素子10R(10G,10B)は、第1の電源ライン(Vcc)と第2の電源ライン(GND)との間において駆動トランジスタTr1に直列に接続されている。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))であり、例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)またはスタガ構造(トップゲート型)を有している。
【0018】
画素回路140において、列方向には信号線120Aが複数配置され、行方向には走査線130Aが複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、有機EL素子10R,10G,10Bのいずれか1つの画素(サブピクセル)に対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0019】
有機EL素子10Rは、赤色の光を発生するものであり、有機EL素子10Gは緑色の光を発生するものであり、有機EL素子10Bは青色の光を発生するものである。隣り合う有機EL素子10R,10G,10B(3つのサブピクセル)が1つのピクセルを構成している。尚、ここでは、R,G,Bの3つの画素の組を例示するが、これらの画素の他にも、例えば白(W)あるいは黄(Y)の画素を更に含む4つの画素の組を1ピクセルとした構成であってもよい。
【0020】
図3は有機電界発光装置1の断面構成を表したものである。尚、
図3では、上記有機EL素子10R,10G,10Bに対応する3画素分の領域のみを図示している。この有機電界発光装置1では、例えばトップエミッション方式(上面発光方式)により光取り出しがなされ、例えば基板11の上に、有機EL素子10R,10G,10Bと、上記の画素回路140(
図3には、駆動トランジスタTr1に相当するTFT12を示す)と、が形成されている。TFT12は、層間絶縁膜13A,13B,13Cによって覆われており、層間絶縁膜13C上に、有機EL素子10R,10G,10Bが形成されている。これらの有機EL素子10R,10G,10Bはそれぞれ、TFT12に電気的に接続された第1電極14を有しており、第1電極14上に、画素定義膜15と有機層16とが形成されている。画素定義膜15上には、更に隔壁17が形成されている。有機層16と隔壁17とを覆うように、第2電極18が形成されている。これらの第1電極14、画素定義膜15、隔壁17、有機膜16および第2電極18は、製造プロセスにおいて基板11(詳細には層間絶縁膜13C)の上に順に形成されるものである。
【0021】
この有機EL素子10R,10G,10Bの第2電極18上には、封止基板20が貼り合わせられている。封止基板20の一面(有機EL素子10R,10G,10Bに対向する面)には、補助電極としての第3電極19が設けられている。尚、封止基板20と第3電極との間には、図示しないカラーフィルタ、ブラックマトリクスおよび遮光板などが設けられていてもよい。製造プロセスでは、上記の基板11と封止基板20とが、有機EL素子10R,10G,10Bを間にして貼り合わせられる。その際、基板11に設けられた第2電極18と、封止基板20に設けられた第3電極19とが、向かい合うように、封止基板20が基板11に接着される。なお、密着封止構造は、
図3の例では、いわゆる中空封止構造となっているが、特に制約はなく、樹脂などの充填剤を用いた、いわゆる固体封止構造であってもよい。
【0022】
基板11は、例えば、石英あるいはガラスから構成されている。あるいは、例えば金属箔、樹脂製のフィルムやシートなどが用いられてもよい。
【0023】
TFT12は、例えば上述したような薄膜トランジスタであり、例えばドレインが第1電極14に接続されている。ここでは、ボトムゲート型の素子構造を図示しているが、トップゲート型の素子構造を有していてもよい。
【0024】
層間絶縁膜13A,13B,13Cは、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜およびポリイミドなどの絶縁膜より構成されている。ここでは、層間絶縁膜13Aは、TFT12のゲート絶縁膜として機能するものである。層間絶縁膜13Cは、有機EL素子10R,10G,10Bの下地層として、基板11の表面を平坦化する機能を有している。
【0025】
第1電極14は、有機EL素子10R,10G,10Bの各々ごと(画素毎)に設けられている。この第1電極14の構成材料としては、例えばクロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金が挙げられる。また、第1電極14は、これらの金属元素の単体または合金よりなる金属膜と、インジウムとスズの酸化物(ITO)、InZnO(インジウ亜鉛オキシド)および酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金などの透明導電膜との積層構造を有していてもよい。なお、第1電極14が陽極として使われる場合には、第1電極14は正孔注入性の高い材料により構成されていることが望ましい。但し、アルミニウム(Al)合金のように、表面の酸化皮膜の存在や、仕事関数が大きくないことによる正孔注入障壁が問題となる材料であっても、適切な正孔注入層を別に設けるようにすれば、第1電極14として使用することが可能である。
【0026】
画素定義膜15は、有機EL素子10R,10G,10Bのそれぞれの画素開口(発光領域)を定義(区画)すると共に、第1電極14同士を電気的に分離するためのものである。この画素定義膜15は、例えば第1電極14に対向して開口H1を有している。この画素定義膜15の開口H1内に、有機層16が形成されている。
【0027】
有機層16は、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、色光を発生する有機電界発光層を含むものである。具体的には、有機EL素子10Rでは、有機層16は赤色光を発する赤色発光層を含み、有機EL素子10Gの有機層16は、緑色光を発する緑色発光層を含み、有機EL素子10Bの有機層16は、青色光を発する青色発光層を含んでいる。あるいは、有機電界発光層は、例えば白色光を発生する白色発光層であり、全画素にわたって形成されていてもよい。この場合、封止基板20にカラーフィルタが形成され、このカラーフィルタによりR,G,Bの色光に分離される。この有機層16の形成方法は、特に限定されないが、例えば蒸着法や印刷法が挙げられる。このような有機層16は、有機電界発光層の他にも、例えば正孔注入層、正孔輸送層および電子輸送層を含んでいてもよい。また、有機層16と第2電極18との間に、電子注入層および電子輸送層等が形成されていてもよい。また、例えば青色の発光層と黄色の発光層など、2つ以上の発光層を積層させた構造を有していてもよい。
【0028】
隔壁17は、画素間の領域において画素定義膜15上に積層されており、画素定義膜15と同一のまたは異なる絶縁材料により構成されている。ここでは、この隔壁17(詳細には隔壁17および画素定義膜15)によって、有機層16が画素毎に分離されている。隔壁17の材料としては、例えばポリイミドやフォトレジストなどの有機絶縁材料、あるいは酸化シリコンなどの無機絶縁材料が挙げられる。隔壁17の断面形状は、ここでは台形状となっている。
【0029】
図4は、画素定義膜15と隔壁17とのXY平面構成(画素の配列面内におけるレイアウト構成)の一例を表したものである。画素定義膜15では、有機EL素子10R,10G,10Bのそれぞれに対応する領域に開口H1が形成され、開口H1のXY平面形状が例えば矩形状となっている。隔壁17は、画素定義膜15上の開口H1の周辺領域に形成されている。隔壁17のXY平面形状は、本実施の形態では、格子形状である。換言すると、隔壁17は、それぞれがX方向に延在する複数の線状部分と、それぞれがY方向に延在する複数の線状部分とが互いに交差してなる形状を有している。また、隔壁17の幅(各線状部分の幅)d2は、画素定義膜15の幅(開口H1同士の間の距離)d1よりも狭くなっている。本実施の形態では、上記のように、画素間の領域に隔壁17と画素定義膜15との積層膜を形成したが、これらの隔壁17と画素間定義膜15とは一体形成されていてもよい。例えばハーフ露光などの手法を用いることにより、画素定義膜15に相当する部分(発光面積を規定する部分)と、隔壁17に相当する部分(有機層の領域を規定する部分)とを一体形成することができる。あるいは、画素定義膜15と隔壁17とのどちらか一方のみが設けられてもよい。
【0030】
第2電極18は、この隔壁17の上に、基板11の全面にわたって(全画素にわたって)形成されている。第2電極18は、製造プロセスにおいて、特に限定されないが、例えば真空蒸着法あるいはスパッタ法により成膜される。これにより、第2電極18は、上記の隔壁17の形状に倣った表面形状(凸部18a)を有している。換言すると、第2電極18の凸部18aの表面形状は、隔壁17の形状によって決定される。
【0031】
図5は、第2電極18の凸部18aと、第3電極19との構成例を表したものである。このように、第2電極18の凸部18aは、XY平面(画素配列面)において、それぞれがX方向に延在する複数の線状部分18a1と、それぞれがY方向に延在する複数の線状部分18a2とを含む。これらの複数の線状部分18a1と、複数の線状部分18a2とは互いに交差して配置されている。換言すると、凸部18aは、X方向に延在する複数の線状部分18a1と、Y方向に延在する複数の線状部分18a2とを含む格子形状を有している。尚、X方向とY方向とは、画素の配列面内において互いに直交している。
【0032】
第2電極18の凸部18aが上記のような格子形状であるのに対し、第3電極19は、画素間の領域に形成されており、この画素間の領域において、例えばX方向に延在して複数設けられている。これらの複数の第3電極19は、全体としてストライプ形状を成し、それぞれが線状部分を有している。
【0033】
図6は、第2電極18の凸部18aと、第3電極19とのXY平面構成例を模式的に表したものである。このように、第2電極18の凸部18aと、第3電極19とは、部分的に接触するように重畳して設けられている。具体的には、本実施の形態では、Y方向において隣り合う開口H1同士の間の領域Sにおいて、各第3電極19がX方向に沿って延在して形成されている。これにより、凸部18aのうちのY方向に延在する線状部分18a2と、第3電極19とが交差し、この交差部分(接続部分C1)において、第2電極18と第3電極19とが接触し、電気的に接続される。
【0034】
第2電極18は、適度な仕事関数をもつと共に、光透過性を有する導電性材料、例えばITO(酸化インジウム錫)あるいはIZO(酸化インジウム亜鉛)などの透明導電膜から構成されている。また、第2電極18の厚みは、特に限定されず、十分な導電性と十分な光透過性とを得ることが可能な厚みに設定されていればよい。第2電極18の構成材料としては、この他にも、マグネシウムと銀との合金(MgAg合金)が挙げられる。また、第2電極18は複数の材料が積層された構造であっても構わない。この第2電極18の形成方法は特に限定されるものではないが、下地に対して影響を及ぼすことがない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法であることが好ましい。また有機層16の形成後に大気に暴露せず、連続して第2電極18を形成することが好ましい。大気中の水分による劣化を抑制できるためである。
【0035】
第3電極19の構成材料は特に限定されないが、例えばニッケル(Ni),銅(Cu),銀(Ag),金(Au),鉄(Fe),アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)等の金属材料が挙げられる。第3電極19の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば50nm〜100μmである。但し、第3電極19は、ITOあるいはIZOなどの透明導電膜から構成されていてもよい。第3電極19の幅d3は、特に限定されないが、例えば領域Sよりも狭い幅を有していることが望ましい。
【0036】
封止基板20は、有機EL素子10R,10G,10Bで発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止基板20と第3電極との間に、図示しないカラーフィルタ、ブラックマトリクスおよび遮光板などが設けられていることにより、画素毎に色光を取り出すと共に、外光の反射光等を吸収して、コントラストを改善することができる。
【0037】
[作用、効果]
本実施の形態の有機電界発光装置1では、第1電極14と第2電極18とを介して有機層16に駆動電流が供給されると、有機電界発光素子10R,10G,10Bにおいて発生した色光が、第2電極18および封止基板20を透過して取り出され、画像表示がなされる。
【0038】
この有機電界発光装置1では、上記のように第2電極18が透明導電膜から構成され、上面発光方式により画像表示がなされる。第2電極18では、適度な仕事関数をもつ導電膜材料から構成されることが望ましいが、透明性を確保するために、薄膜化されることが多い。このため、第2電極18では電圧降下が発生し、表示画面内において、各有機EL素子10R,10G,10Bに印加される駆動電圧が不均一となる。この結果、表示画面の中央で発光輝度が低下するなど表示性能が低下してしまう。
【0039】
これに対し、本実施の形態では、第2電極18と電気的に接続される第3電極19が設けられていることにより、上記のような電圧降下が抑制される。ここで、第2電極18は、隔壁17の形状に倣って形成され、これにより、平面形状が格子形状となる凸部18aを有している。この凸部18aに部分的に接触するように第3電極19が設けられていることにより、第2電極18と第3電極19とが点接触する(接触面積が小さくなる)。即ち、第2電極18と第3電極19との接触点に大きな圧力がかかり、確実に物理的接触を確保し易くなる。この結果、いわゆる接触抵抗が抑制される。この結果、第2電極18と第3電極19との間で良好な電気的接続が確保され、第2電極18の電圧降下を効果的に抑制することができる。
【0040】
ここで、例えば製造プロセスにおいて、第2電極18と第3電極19との貼り合わせの際(基板貼り合わせの際)には、第2電極18と第3電19極を電気的に確実に接合させることが重要である。特に近年のガラス基板大型化に伴い、ガラスの厚みのばらつきは数十μmになることがある。このため、電気的接続の信頼性を確保すると共に、良好な位置合わせ精度を得ることが難しい。本実施の形態のように、第2電極18の凸部18aと第3電極19とを交差部分で部分的に接触させることにより、位置合わせの自由度が高くなり、精密な位置合わせ工程を省略することができる。よって、容易かつ確実に、第2電極18と第3電極19との電気的接触を確保することができる。この結果、表示画面内における電圧降下を抑制して輝度むらを低減することが可能となる。
【0041】
特に本実施の形態では、第2電極18の凸部18aが、X方向およびY方向に延在する線状部分18a1,18a2を含む(格子形状を有する)一方、複数の第3電極19が、それぞれX方向に延在して形成されている(ストライプ形状を成す)。これにより、貼り合わせの際に、凸部18aの線状部分18a2と第3電極19とが交差して重ね合わせられ、この交差部分(接続部分C1)において第2電極18と第3電極19とが接触する。互いに異なる方向に沿って延在する線状部分同士を重畳させることで、第2電極18と第3電極19とをその交差点に対応する点状の接続部分C1において接触させることができる。これにより、広い面積で接触させる場合に比べ、第2電極18と第3電極19との接触点に大きな圧力がかかり、確実な物理的接触を確保することが可能になる。接触抵抗を効果的に低減することが可能になると共に、第2電極18と第3電極19との位置合わせの自由度が高くなる。
【0042】
以下、上記第1の実施の形態の他の実施の形態および変形例について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0043】
<第2の実施の形態>
図7は、第2の実施の形態に係る有機電界発光装置における画素定義膜15と隔壁(隔壁17A)とのXY平面構成を表したものである。
図8は、第2電極18の凸部(凸部18b)と、第3電極19との構成例を表したものである。
図9は、凸部18bと、第3電極19とのXY平面構成例を模式的に表したものである。本実施の形態の有機電界発光装置は、図示しないが、第1の実施の形態と同様、例えば基板11の表示領域110に複数の有機EL素子10R,10G,10Bがマトリクス状に配置されたものである。また、有機EL素子10R,10G,10Bは、画素毎に設けられた第1電極14と、この第1電極14に対向して開口H1を有する画素定義膜15と、隔壁17Aと、有機層16とを有している。第2電極18は、隔壁17と有機層16とを覆うように、全画素にわたって形成されている。基板11には、これらの有機EL素子10R,10G,10Bを間にして封止基板20が貼り合わせられている。封止基板20の一面側には、複数の第3電極19が設けられ、これらの第3電極19が第2電極18に部分的に接触している。
【0044】
但し、本実施の形態では、上記第1実施の形態と異なり、隔壁17AのXY平面形状がストライプ形状(
図7)であり、この隔壁17Aの形状に倣って第2電極18が形成されている。即ち、第2電極18の凸部18bが、XY平面において、例えばY方向に延在する複数の線状部分18b1を含むストライプ形状を有している。隔壁17Aの構成材料は、上記第1の実施の形態の隔壁17と同様である。第3電極19は、上記第1の実施の形態と同様、X方向に延在して複数形成されており、全体としてストライプ形状を成している。
【0045】
図9に示したように、第2電極18の凸部18bの複数の線状部分18b1と、複数の第3電極19とが、互いに交差して(直交して)重ね合わせられ、その交差部分が接続部分C2となっている。
【0046】
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、第2電極18と電気的に接続される第3電極19が設けられていることにより、第2電極18の電圧降下が抑制される。ここで、第2電極18は、隔壁17Aの形状に倣って形成され、これにより、平面形状がストライプ形状となる凸部18bを有している。この凸部18bに部分的に接触するように第3電極19が設けられていることにより、第2電極18と第3電極19とが点接触する(接触面積が小さくなる)。第2電極18と第3電極19との接触点に大きな圧力がかかることで、確実に物理的接触を確保し易くなる。この結果、いわゆる接触抵抗が抑制される。これにより、第2電極18と第3電極19との間で良好な電気的接続が確保され、第2電極18の電圧降下を効果的に抑制することができる。また、仮に、第2電極18と第3電極19とが交差しない場合(平行である場合)、基板貼り合わせの際に第2電極18と第3電極19との位置が重なるように精密な位置合わせをすることが望まれる。これに対し、本実施の形態のように、第2電極18と第3電極19とが交差する場合、位置合わせの自由度が高くなり、精密な位置合わせが不要となる。よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0047】
特に本実施の形態では、第2電極18の凸部18bが、Y方向に延在する線状部分18b1を含む(ストライプ形状を有する)一方、複数の第3電極19が、それぞれX方向に延在して形成されている(ストライプ形状を成す)。これにより、貼り合わせの際に、凸部18bの線状部分18b1と第3電極19とが交差して重ね合わせられ、この交差部分(接続部分C2)において第2電極18と第3電極19とが接触する。したがって、上記第1の実施の形態と同様、第2電極18と第3電極19とを点状の接続部分C2において接触させることができ、接触抵抗を低減することが可能になると共に、第2電極18と第3電極19との精密な位置合わせも不要となる。加えて、本実施の形態では、凸部18bがストライプ形状を有することから、上記第1の実施の形態(第2電極18の凸部18aが格子形状を有する場合)に比べ、Y方向における位置合わせの自由度が更に高まる。よって、貼り合わせ工程における位置合わせがより容易となり、生産性向上に有利となる。
【0048】
<変形例1>
図10は、上記第1および第2の実施の形態の変形例(変形例1)に係る有機電界発光装置の断面構成を表したものである。本変形例では、隔壁(隔壁17B)の頂部(頭頂部)が、丸みを帯びた形状を有している。上記第1の実施の形態と同様、第2電極18の表面形状は、隔壁17Bの形状に倣って形成されている。即ち、第2電極18の凸部(凸部18c)は丸みを帯びた形状を有している。本変形例においても、第2電極18の凸部18cに部分的に接触して第3電極19が設けられている。
【0049】
隔壁17Bの頂部に丸みを形成する手法としては、特に限定されないが、上記第1の実施の形態の隔壁17(断面形状が台形状)を形成した後、更に例えばArプラズマ処理を施すことにより頂部に丸みを形成することができる。この上に、第2電極18を成膜することで、第2電極18には丸みを帯びた凸部18cが形成される。
【0050】
本変形例のように、第2電極18の凸部18cが丸みを帯びた形状であることにより、この凸部18cと第3電極19とを、その交差部分(接続部分C3)において、より点接触に近い状態で接触させることができる。したがって、より接触抵抗を低減し易くなり、良好な電気的接続を確保することができる。
【0051】
<変形例2>
図11は、上記第1および第2の実施の形態の変形例(変形例2)に係る有機電界発光装置の断面構成を表したものである。本変形例では、隔壁(隔壁17C)の頂部(頭頂部)に凹み(窪み)を有している。上記第1の実施の形態と同様、第2電極18の表面形状は、隔壁17Bの形状に倣って形成されている。即ち、第2電極18の凸部(凸部18d)は凹みを有している。本変形例においても、第2電極18の凸部18dに部分的に接触して第3電極19が設けられている。
【0052】
隔壁17Cの凹みを形成する手法としては、特に限定されないが、上記第1の実施の形態の隔壁17(断面形状が台形状)をパターン形成する際、例えば露光、現像プロセスが行われるが、その際の露光条件を調節することで、凹みを有する隔壁17Cを形成することができる。この上に、第2電極18を成膜することで、第2電極18には、凹みを有する凸部18dが形成される。
【0053】
本変形例のように、第2電極18の凸部18dが凹みを有することにより、この凸部18dと第3電極19とを、その交差部分(接続部分C4)において、点接触に近い状態で接触させると共に、かつ点接触箇所を増やすことができる。したがって、より接触抵抗を低減し易くなり、良好な電気的接続を確保することができる。
【0054】
<変形例3>
図12は、上記第1および第2の実施の形態の変形例(変形例3)に係る有機電界発光装置の断面構成を表したものである。本変形例では、有機層(有機層16A)が、第1電極14と隔壁17Aとを覆うように形成されている。第2電極18は、この有機層16Aを覆うように形成されている。本変形例では、第2電極18の表面形状は、有機層16Aの表面形状に倣っている。即ち、第2電極18の凸部(凸部18e)は、有機層16Aのうちの隔壁17Aを覆う部分(テーパ部分)の形状に倣って形成されている。本変形例においても、第2電極18の凸部18eに部分的に接触して第3電極19が設けられている。
【0055】
有機層16Aを形成する手法としては、特に限定されないが、例えば印刷技術において、隔壁17Aとの接触角が例えば10°以下となるようなインクを用いることで、有機層16Aを形成することができる。この上に、第2電極18を成膜することで、有機層16Aの表面形状に倣った凸部18eを有する第2電極18が形成される。
【0056】
本変形例のように、第2電極18の下地層としては隔壁17に限らず有機層16Aであってもよい。換言すると、第2電極18の凸部18eは、隔壁17と有機層16Aとの積層膜の形状に倣って形成されていてもよい。この場合にも、凸部18eと第3電極19とを、その交差部分(接続部分C5)において、点接触させることができる。したがって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0057】
<適用例>
以下、上記実施の形態で説明した有機電界発光装置の適用例について説明する。上記実施の形態の有機電界発光装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。一例として、
図13に、テレビジョン装置の外観構成を示す。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含む映像表示画面部200を備えている。映像表示画面部200が、上記実施の形態等で説明した有機電界発光装置に対応する。本開示の有機電界発光装置は、特に大型の表示装置に好適である。
【0058】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、第3電極19が複数、全体としてストライプ状を成すように形成された構成を例示したが、これらの複数の第3電極19は、画素間の領域を延在する線状部分を有していればよく、一部において繋がっていてもよい。例えば表示領域の端部において、上記ストライプ状の複数の第3電極19が電気的に接続されていてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態等では、隣り合う画素行(または画素列)同士の間の全てに第3電極19が配置されるようにしたが、第3電極19は、すべての画素行間(または画素列間)に配置されていなくともよい。例えば、1行または複数行おきに第3電極19が配置されるようにしてもよい(上述した例から選択的な行を間引いて配置されていてもよい)。
【0060】
また、上記実施の形態および実施例において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0061】
更に、上記実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本開示はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路120や走査線駆動回路130のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【0062】
上記実施の形態等において説明した効果は一例であり、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0063】
尚、本開示は、以下のような構成であってもよい。
(1)
2次元配置された複数の画素と、
前記画素毎に設けられた第1電極と、
前記第1電極上に形成され、有機電界発光層を含む有機層と、
前記有機層上に、前記複数の画素の全面にわたって形成されると共に、前記画素間の領域に凸部を有する第2電極と、
前記第2電極の前記凸部に部分的に接触する1または複数の第3電極と
を備えた有機電界発光装置。
(2)
前記凸部は、前記画素の配列面内において、それぞれが第1の方向に沿って延在する1または複数の線状部分を含み、
前記1または複数の第3電極はそれぞれ、前記画素の配列面内において、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って延在する線状部分を含み、
前記凸部の線状部分と前記第3電極の線状部分との交差部において、前記第2電極と前記第3電極とが接触する
上記(1)に記載の有機電界発光装置。
(3)
前記凸部は、前記線状部分が前記第1の方向に沿って延在してなるストライプ形状を有し、
前記複数の第3電極は、前記線状部分が前記第2の方向に沿って延在するストライプ形状を成す
上記(2)に記載の有機電界発光装置。
(4)
前記凸部は、前記複数の線状部分を含む格子形状を有し、
前記複数の第3電極は、前記線状部分が前記第2の方向に沿って延在するストライプ形状を成す
上記(2)に記載の有機電界発光装置。
(5)
前記第1の方向と前記第2の方向とは直交する
上記(2)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光装置。
(6)
前記画素間の領域に形成され、絶縁性を有する隔壁を更に備え、
前記第2電極は、前記隔壁と前記有機層とを覆って形成されると共に、前記凸部が前記隔壁の形状に倣って形成されている
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の有機電界発光装置。
(7)
前記隔壁の頂部は、丸みを帯びた形状を有する
上記(6)に記載の有機電界発光装置。
(8)
前記隔壁の頂部は、凹みを有する
上記(6)または(7)に記載の有機電界発光装置。
(9)
前記有機層は、前記第1電極上と前記隔壁とを覆うように形成され、
前記凸部は、前記隔壁と前記有機層との積層膜の形状に倣って形成されている
上記(6)〜(8)のいずれかに記載の有機電界発光装置。
(10)
前記1または複数の第3電極は、前記画素間の領域に形成されている
上記(1)〜(9)のいずれかに記載の有機電界発光装置。
(11)
2次元配置された複数の画素と、
前記画素毎に設けられた第1電極と、
前記第1電極上に形成され、有機電界発光層を含む有機層と、
前記有機層上に、前記複数の画素の全面にわたって形成されると共に、前記画素間の領域に凸部を有する第2電極と、
前記第2電極の前記凸部に部分的に接触する1または複数の第3電極と
を有する有機電界発光装置を備えた電子機器。