(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387572
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】土砂の加水方法及び加水装置
(51)【国際特許分類】
B02C 13/14 20060101AFI20180903BHJP
B02C 13/28 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
B02C13/14 Z
B02C13/28 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-129344(P2013-129344)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2015-3292(P2015-3292A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年6月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 篤
(72)【発明者】
【氏名】赤神 元英
(72)【発明者】
【氏名】柳原 英夫
(72)【発明者】
【氏名】橘 寛行
【審査官】
木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−263424(JP,A)
【文献】
特開2005−193087(JP,A)
【文献】
特開昭57−000719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00−13/31;18/00−18/38
B01F 1/00−5/26
B01F 15/00−15/06
B28C 1/00−9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水手段の給水配管と土砂の導入口が互いに離れて別々に上部から供給する縦型筒状のケーシング内で回転する回転打撃体に水又は添加剤を供給して粉砕しミスト雰囲気にする工程と、
前記ミスト雰囲気中で前記ケーシング内に土砂を供給して、前記回転打撃体で衝撃を与えて粉砕し混合攪拌しながら前記土砂に加水する工程と、
を有することを特徴とする土砂の加水方法。
【請求項2】
前記ケーシングの搬入手段の定量供給部に設けた水分測定手段で供給する前の前記土砂の水分を測定する工程と、
前記土砂の水分測定値に基づいて、混合土の含水比の設定値に必要な水分量の差分を満たす前記水又は添加剤の給水量に制御する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の土砂の加水方法。
【請求項3】
上部の土砂導入口から供給された土砂を内部で回転可能な回転打撃体で衝撃を与えて粉砕し混合撹拌可能な縦型筒状のケーシングと、
前記ケーシングの上部から前記回転打撃体に向けて水又は添加剤を供給可能な加水手段と、
を備え、
前記加水手段の給水配管と前記土砂導入口は互いに離れて別々に供給可能とし、
前記ケーシングは、前記回転打撃体で前記水又は添加剤を粉砕し前記ケーシング内をミスト雰囲気にして前記土砂を混同撹拌しながら加水することを特徴とする土砂の加水装置。
【請求項4】
前記ケーシングの搬入手段の定量供給部に設けて供給する前の前記土砂の水分を測定可能な水分測定手段と、
前記加水手段と前記水分測定手段に電気的に接続して、前記土砂の水分測定値に基づいて、混合土の含水比の設定値に必要な水分量との差分を満たす前記水又は添加剤の給水量に制御可能な制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の土砂の加水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木分野の土工の土質改良に関し、特に加水によって土砂の含水比を調整する土砂の加水方法及び加水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌汚染の封じ込め、廃棄物最終処分場などの遮水層には、遮水性能の高い土質系遮水ライナーが用いられている。しかし、土質系遮水ライナーに適用可能とし、十分な遮水性と、良好な施工性を有した現地発生土が容易に入手されるとは限らない。そこで、天然材料の改質やベントナイト混合土などが利用されているが、遮水性は初期含水比によって異なるため、改良土を最適含水比に調整する必要がある。しかし、ベントナイト混合土は遮水性が高いために加水した場合には、含水比のバラツキが大きくなったり、粘性が高くなったりして装置に付着して混合が困難になる現象が生じることが問題となっていた。このような問題は、トンネル掘削により発生するずり処分や、土壌汚染の浄化の混合土製造においても同様の問題となっていた。
【0003】
従来の土砂の改良方法として、例えば、特許文献1には、複数のベルトコンベアを直列に配置して、上流から砂、ベントナイト、礫の供給部と、下流側に水供給部を取り付けて、ベントナイト混合土を連続的に作製可能なベントナイト混合土作製装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、母材と粉体の供給部と、混合装置と、流体混入装置を備え、粉体混合物を自由落下させて、複数の噴射ノズルから微粒子状の流体を噴射して加水する粉体混合物製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−156735号公報
【特許文献2】特開2013−85989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなベルトコンベアによる改良土の混合、加水方法は、母材とベントナイトが層状に重なりあっているため、均一に混合されているとはいい難い。また表面に加水することによって、塊状の中心部分と表面とで水分のバラツキが大きくなるため、遮水性の低下につながる締め固めた混合土の乾燥密度が低くなる。落下する土砂に加水しているため、表面のみ加水された土砂が装置に付着して塊となる。長尺のベルトコンベア搬送で混合しているため、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のように土砂を落下させながら、ミストを噴霧する縦落とし加水方式にて、所要含水比に調整する方法では、ミスト上に噴霧する装置を複数個設置する必要があるため、装置が長尺化し設備が大きくなる問題があった。また、混合は別装置で行うため、設備の設置スペースが大きくなる問題があった。さらに、加水後に練り混ぜる工程がないために、遮水性の低下につながる締め固めた混合物の乾燥密度が低くなる。従来のミスト供給は、ミストの状態で噴霧させるノズルが必要となる。大量の水を供給する場合、供給が不足するおそれがあるという問題があった。
【0008】
上記従来技術の問題点を解決するため、本発明は、効率良く、かつ省スペースで土砂を加水することができる土砂の加水方法及び加水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、
加水手段の給水配管と土砂の導入口が互いに離れて別々に上部から供給する縦型筒状のケーシング内で回転する回転打撃体に水又は添加剤を供給して粉砕しミスト雰囲気にする工程と、前記ミスト雰囲気中で前記ケーシング内に土砂を供給して、前記回転打撃体で衝撃を与えて粉砕し混合攪拌しながら前記土砂を加水する工程と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記ケーシング
の搬入手段の定量供給部に設けた水分測定手段で供給する前の前記土砂の水分を測定する工程と、前記土砂の水分測定値に基づいて、混合土の含水比の設定値に必要な水分量との差分を満たす前記水又は添加剤の給水量に制御する工程と、を有することを特徴としている。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上部
の土砂導入口から供給された土砂を内部で回転可能な回転打撃体で衝撃を与えて粉砕し混合撹拌可能な縦型筒状のケーシングと、前記ケーシング
の上部から前記回転打撃体に向けて水又は添加剤を供給可能な加水手段と、を備え、
前記加水手段の給水配管と前記土砂導入口は互いに離れて別々に供給可能とし、前記ケーシングは、前記回転打撃体で前記水又は添加剤を粉砕し前記ケーシング内をミスト雰囲気にして前記土砂を混同撹拌しながら加水することを特徴としている。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、第3の手段において、前記ケーシング
の搬入手段の定量供給部に設けて供給する前の前記土砂の水分を測定可能な水分測定手段と、前記加水手段と前記水分測定手段に電気的に接続して、前記土砂の水分測定値に基づいて、混合土の含水比の設定値に必要な水分量との差分を満たす前記水又は添加剤の給水量に制御可能な制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記のような本発明によれば、土砂と水又は添加剤を打撃体で撹拌混合しているため、土砂の混合と加水を同時に行うことができ、短時間、かつ装置の省スペース化を図ることができる。
また上記のような本発明によれば、水又は添加剤を回転打撃体で衝撃を与えてミスト化しケーシング内をミスト雰囲気にしているので、土砂の表面だけでなく内部まで十分均一に加水することができ、特に塊状になりやすい細粒分(ベントナイトを含む)を多く含む遮水性材料において、締固めた混合土の乾燥密度を高くすることができ、遮水性の向上を図ることができる。さらに、従来のような噴霧ノズルを複数多段に設ける必要がなく、大量の水を処理できるとともに、省スペース化を図ることができる。
上記のような本発明によれば、加水した土砂が装置に付着したり、塊となったりすることを低減でき、あらかじめ定めた含水比の土砂を容易に得ることができる。
また上記のような本発明によれば、土砂の水分実測値から含水比の設定値に必要な給水量を供給しているので、あらかじめ定めた含水比となる土砂を精度良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の土砂の加水装置の構成概略図である。
【
図3】土砂の乾燥密度と含水比の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の土砂の加水方法及び加水装置の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の土砂の加水装置の構成概略図である。
図2は縦型筒状のケーシングの拡大側面図である。この実施形態の構成要素(部品・部材)で材質ないし材料を説明しないものは金属製である。そのような金属としては耐衝撃性などの機械的特性の優れた鋼がよく採用される。なお、材質や材料について説明しないもののうち、例外として、金属製でないことが自明の周知部品や周知部材もある。
【0017】
図示のように本発明の土砂の加水装置10は、上面の開口から供給された土砂を内部で回転可能な回転打撃体38で衝撃を与えて粉砕し混合撹拌可能な縦型筒状のケーシング20と、ケーシング20内の回転打撃体38に向けて水又は添加剤を供給可能な加水手段50と、ケーシング20に供給する前の土砂の水分を測定可能な水分測定手段60a,60bと、土砂の水分測定値と、混合土の含水比の設定値に必要な水分量との差分を満たすように水又は添加剤の給水量を制御可能な制御手段70と、を基本構成としている。
【0018】
ケーシング20は、縦型の円筒形状、換言すれば両端面を上下に配置した処理容器である。ケーシング20は、支持台21に取り付けられている。ケーシング20は、上部に土砂導入口22、下部に土砂排出口24がそれぞれ形成されている。土砂導入口22は、土砂をケーシング20内に落とし込むようにシュート状に形成されている。ケーシング20は土砂の連続搬送ライン上に取り付け可能であり、本実施形態では、土砂搬入コンベア42の終端がケーシング20の土砂導入口22の上方に配置され、土砂排出コンベア48の始端がケーシング20の土砂排出口24の下方に配置されている。
【0019】
ケーシング20には粉砕手段30が取り付けられている。粉砕手段30は回転軸32と、連結部34と、モーター36と、回転打撃体38を主な基本構成としている。
【0020】
回転軸32は、ケーシング20の中心に配置したシャフトであり、中心軸がケーシング20内で垂直方向に配置されている。回転軸32の下端はケーシング20内の軸受(不図示)によって軸支され、上端は、連結部34に接続している。
【0021】
連結部34は、従動輪34aと、原動輪34bと、エンドレス体34cを主な基本構成としている。従動輪34aは回転軸32の上端に取り付けている。原動輪34bは後述するモーター36の回転シャフトに取り付けている。そしてエンドレス体34cは、従動輪34aと原動輪34bに亘って掛け回されている。従動輪34aと原動輪34bはプーリー、タイミングプーリー、スプロケットホイールのいずれかを用いることができる。エンドレス体34cは、従動輪34aと原動輪34bの双方に対応する動力伝達用ベルト、タイミングベルト、チェーンのいずれかを用いることができる。このような連結部34の構成によれば、モーター36の動力を回転軸32に伝達することができる。
モーター36は、連結部34を介して回転軸32と接続し、回転軸32を回転させるための動力源となる。モーター36はケーシング20のサポート台21a上に取り付けられている。
【0022】
回転打撃体38は、一部又は全部が金属製の剛体である。回転打撃体38は、一例として、ピンを介して回転軸32に取り付けることができる。そして、回転打撃体38は、回転軸32の外周に一段又は上下複数段で取り付けることができる。本実施形態の回転打撃体38は、粉砕時における打撃体自身の衝撃を緩和するために、一部又は全部が水平方向に屈曲するものであることが望ましい。そのため回転打撃体38は、一部又は全部が可撓性を具備したり、屈曲自在に連結したりする構成とすることができる。回転打撃体38は、例えば、チェーン、短冊形の金属製厚板ないし金属製ブロックからなるインパクト部材を先端に連結したチェーン、フレキシブルワイヤー、先端部から両側部に亘ってナイフエッジを有する金属製の細長いブレードなどを用いることができる。そして回転打撃体38の長さは、回転時にケーシング20と接触しない長さに設定されている。このような構成の粉砕手段30は、回転打撃体38にチェーンを用いた場合、回転前に自重で垂れ下がっていたものが回転軸32の回転によって水平浮揚するようになる。ケーシング20内で高速回転する回転打撃体38により、水をミスト化、および土砂を粉砕することができる。そして落下する土砂を回転打撃体38でヒットすると、土砂に対する剪断作用が大きくなり、効率的に土砂を所定の最大径まで粉砕することができる。
【0023】
なお、ケーシング20は、内壁に付着した土砂を掻き取る掻き取り手段(不図示)を設ける構成としても良い。これにより、ケーシング20内に付着する土砂を掻き取って、土砂の粉砕を均一に行うことができる。
搬入手段40は、土砂搬入コンベア42と、母材供給部44と、添加材供給部46を主な基本構成としている。土砂搬入コンベア42は、終端がケーシング20の土砂導入口22の上方に配置され、始端から土砂を搬送可能なコンベアである。母材供給部44は、母材ホッパー44aと、定量供給部44bを備えている。母材となる土砂は、母材ホッパー44aに一時的に貯留させている。定量供給部44bは、母材ホッパー44aの排出口に取り付けられ、定量的に土砂搬入コンベア42へ母材を供給可能としている。添加材供給部46は、添加材ホッパー46aと、定量供給部46bを備えている。添加材となるベントナイトは、添加材ホッパー46aに一時的に貯留させている。定量供給部46bは、添加材ホッパー46aの排出口に取り付けられ、定量的に土砂搬入コンベア42へベントナイトを供給可能としている。各定量供給部44b,46bには、後述する水分測定手段60a,60bが取り付けられている。なお、本発明の添加材は、母材となる土砂の遮水性能、強度を高めるものであれば良く、この他にセメント、石灰系固化材などの粒状、粉状の固形物を適用することができる。
【0024】
加水手段50は、給水配管52と、給水用ポンプ54と、給水タンク56を備えている。給水配管52の一端は、ケーシング20の上面に配置され、回転打撃体38に向けて給水できるように取り付けている。給水配管52は給水タンク56と、給水用ポンプ54に接続している。給水タンク56は、水を一時的に貯水するタンクである。給水用ポンプ54は、水に所定圧力を掛けて圧送するポンプである。なお本発明の加水手段50は、水の他にも添加剤を土砂に加えるように構成できる。添加剤は、溶質を添加材とし、溶媒に水を用いた水溶液である。添加材を用いた場合の含水比は、添加材含水比のことをいう。
このような構成の加水手段50は、給水タンク56に貯水した水又は添加剤を給水用ポンプ54により、給水配管52からケーシング20内の回転打撃体38に向けて水又は添加剤を給水することができる。
【0025】
なお加水手段50は、搬入手段40にも取り付ける構成としてもよい。搬入手段の加水手段(不図示)は、土砂搬入コンベア42の終端側に取り付けて、コンベア上に水又は添加剤を供給する。このような構成の加水手段50により、ケーシング20内のミスト雰囲気による加水が足りない場合に補うことができる。
【0026】
水分測定手段60a,60bは、土砂、添加材などの水分量を測定可能なセンサーであり、一例として赤外線水分計等を用いることができる。本実施形態の水分測定手段60a,60bは、搬入手段40の定量供給部44b,46bに取り付けている。
【0027】
制御手段70は、加水手段50と、水分測定手段60a,60bと電気的に接続している。混合土を製造するには、まず母材・添加材の種類、混合土の混合比(母材又は/及び添加材)、母材の重量、添加材の重量、混合土の総重量が決められる。そして、混合土の含水比の設定値に必要な水分量は、この総重量からあらかじめ求めることができる。制御手段70では、水分測定手段60a,60bの測定値から母材の水分量、添加材の水分量を求めることができる。制御手段70は、水分測定手段60a,60bによる土砂の水分測定値に基づいて、土砂の水分量を求めて、混合土の含水比の設定値に必要な水分量との差分から混合土の含水比の設定値に必要な給水量を算出する。そして、制御手段70は、算出した必要な給水量の水を加水手段50から土砂へ供給させて、混合土の含水比の設定値となるように制御している。
なお、本発明の土砂は、単品又は複数の土、単品又は複数の土と添加材、その他複数の組み合わせを適用することができる。また本発明の混合とは、
図1に示す土砂と添加材と水の組み合わせの他、単品又は複数の土砂及び水、単品又は複数の土砂及び添加剤、土砂と添加材と添加剤、その他複数の組み合わせである。
【0028】
上記構成による本発明の土砂の加水装置10を用いた加水方法について、以下説明する。
【0029】
搬入手段40の母材ホッパー44aから土砂搬入コンベア42へ母材となる土砂を定量供給部44bにより定量的に供給する。定量供給部44bに取り付けた水分測定手段60aにより、土砂の水分を測定し、測定値が制御手段70に送信される。また、添加材ホッパー46aから土砂搬入コンベア42へベントナイトを定量供給部46bにより定量的に供給する。定量供給部46bに取り付けた水分測定手段60bにより、ベントナイトの水分を測定し、測定値が制御手段70に送信される。
【0030】
制御手段70では、土砂とベントナイトの水分測定値に基づいて、あらかじめ定めた混合土の含水比の設定値に必要な水分量と、測定値から求めた土砂、ベントナイトの水分量の差分を算出する。そして、算出した差分に相当する水の給水量を加水手段50へ送信する。
【0031】
加水手段50は、水を給水配管52からケーシング20内の回転打撃体38へ向けて供給する。ケーシング20内部では連結部34を介して動力源となるモーター36と接続した回転軸32が回転する。回転軸32の外周に取り付けられた複数の回転打撃体38は、回転前に自重で垂れ下がっていたものが回転軸32の回転に伴って水平浮揚するようになる。そしてケーシング20内では、回転打撃体38が所定の回転比で高速回転し、供給された水が粉砕されてミスト化してミスト雰囲気になる。
【0032】
土砂搬入コンベア42により連続搬送された土砂、ベントナイトは、土砂導入口22からケーシング20内へと供給される。土砂及びベントナイトは、ミスト雰囲気中のケーシング20内を落下しながら、回転打撃体38により衝撃を与えられて粉砕し混合攪拌されて、所定の含水比に加水される。
加水された土砂は、ケーシング20の下部の土砂排出口24から土砂排出コンベア48上へ落下して、外部へ搬出される。本実施形態の土砂の加水装置10は、ケーシング20内を落下する土砂を粉砕しながら加水する処理を短時間で処理することができる。またこのような土砂の加水処理を連続的に行うことができる。
【0033】
図3は土砂の乾燥密度と含水比の関係を示すグラフである。同図の縦軸は、乾燥密度(g/cm
3)、横軸は含水比(%)を示している。丸プロットは本発明の土砂の加水方法を示し、三角プロットは従来の土砂の加水方法を示している。図示のように、本発明の土砂の加水方法によれば、例えば、含水比10%から30%ではいずれも従来の土砂の加水方法と比べて、乾燥密度が高くなっている。一般に乾燥密度が高まると、透水係数が低くなり、遮水性能が高くなる。本発明の土砂の加水方法は、土砂の表面ばかりでなく、内部まで十分均一に加水されているため、乾燥密度を高くすることができる。
【0034】
このような本発明の土砂の加水方法によれば、土砂の混合と加水を同時に行うことができ、装置の省スペース化を図ることができる。また、加水した土砂が装置に付着したり、塊となったりすることを低減でき、あらかじめ定めた含水比の混合土を容易に得ることができる。また、加水手段から添加剤を供給した場合であっても、同様に土砂の混合と加水を同時に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、特に遮水性の高い遮水層を構築可能であり、土壌汚染の封じ込め、一般廃棄物処分場の表面遮水工、放射性廃棄物の処分などの分野で有効なものとなる。
【符号の説明】
【0036】
10………土砂の加水装置、20………ケーシング、21………支持台、21a………サポート台、22………土砂導入口、24………土砂排出口、30………粉砕手段、32………回転軸、34………連結部、34a………従動輪、34b………原動輪、34c………エンドレス体、36………モーター、38………回転打撃体、40………搬入手段、42………土砂搬入コンベア、44………母材供給部、44a………母材ホッパー、44b………定量供給部、46………添加材供給部、46a………添加材ホッパー、46b………定量供給部、48………土砂排出コンベア、50………加水手段、52………給水配管、54………給水用ポンプ、56………給水タンク、60a,60b………水分測定手段、70………制御手段。