【実施例】
【0029】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
<油脂の上昇融点の測定>
実施例及び比較例で用いた油脂について、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.2-90融点(上昇融点)」に記載の方法に基づき測定した。
【0031】
<ヨウ素価の測定>
実施例及び比較例で用いた油脂について、基準油脂分析試験法「3.3.3−1996 ヨウ素価(ウィイスーシクロヘキサン法)」に記載の方法に基づき測定した。
【0032】
<油脂中の脂肪酸組成の測定>
油脂中の脂肪酸組成の測定は、FID恒温ガスクロマトグラフ法により行った。FID恒温ガスクロマトグラフ法とは、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」(発行年:1996年)の「2.4.2.1 脂肪酸組成」に記載された方法である。
【0033】
<油脂中の各トリグリセライド含量の測定>
油脂中の各トリグリセライド含量は、HPLCを用いて、AOCS Official Method Ce 5c−93に準拠して測定し、各ピークのリテンションタイムおよびエリア比から算出した。以下に、分析の条件を記す。
溶離液 :アセトニトリル:アセトン=70:30(体積比)
流速 :0.9ml/分
カラム :ODS
カラム温度:36℃
検出器 :示差屈折計
【0034】
<ホイップ直前の粘度(原液粘度)の評価>
実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物(原液)をB型粘度計(TOKIMEC INC.製)を用いて測定し、その測定値(単位:mPa・s)をホイップ直前の粘度の評価値とした。
【0035】
<原液乳化安定性の評価>
実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物(原液):60gを100ccビーカーに入れ、それを直径4cmの撹拌ペラで120rpmの条件で攪拌し、流動性が無くなるまでに要する時間を乳化安定性の評価値とした。
【0036】
<ホイップドクリームの硬さの評価>
カントーミキサー(CS型20:関東混合機工業株式会社製)に、実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の品温を、5℃に調整し4kg、グラニュー糖400gを入れ、高速撹拌条件(380rpm)でホイップし、トッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップし、ホイップ直後及び20℃で30分静置後のサンプルを容器に入れた後、クリープメーター(「RE2−33005S」、株式会社山電製)を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、速度5mm/sの速さで1cm貫入時の最大荷重を測定し、該測定値をホイップドクリームの硬さの評価値とした。なお、ここでトッピングするのに適度な硬さとは、最大荷重が0.25〜0.35Nになる硬さのことである。
【0037】
<ホイップドクリームの口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを専門パネラー8名に食べてもらって官能評価を行い、それを平均してホイップドクリームの口溶けの評価結果とした。その際の評価基準以下は以下の通りである。
◎:口溶けがかなり軽い。
○:口溶けが軽い。
△:口溶けがやや重い。
×:口溶けが重い。
【0038】
<ホイップドクリームの冷感の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを専門パネラー8名に食べてもらって官能評価を行い、それを平均してホイップドクリームの冷感の評価結果とした。その際の評価基準以下は以下の通りである。
◎:冷たく感じられる。
○:やや冷たく感じられる。
△:あまり冷たく感じられない。
×:冷たく感じられない。
【0039】
<ホイップドクリームの油のコク味の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを専門パネラー8名に食べてもらって官能評価を行い、それを平均してホイップドクリームの油のコク味の評価結果とした。その際の評価基準以下は以下の通りである。
◎:濃厚な油のコクが感じられる。
○:やや油のコク感じられる。
△:あまり油のコクが感じられない。
×:油のコクが感じられない。
【0040】
(製造例1) 油脂(B)の作製
脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部を90℃まで加熱して融解させた後、液状となった混合油に0.2重量部のナトリウムメチラートを加え、次いで、その液状の混合油を減圧下で30分間攪拌した。次に、その混合油を自然冷却して水洗した後、その混合油に白土を2重量部加えてから、その混合油を90℃で減圧下30分間攪拌して脱色し、さらに250℃で1時間脱臭してエステル交換油脂1を得た。このエステル交換油脂1を70℃に加熱して融解させた後、その油脂を35℃に温調しながら12時間攪拌して結晶を析出させた。その後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、液状部を得た。そして、この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂B1(上昇融点27℃、ヨウ素価53.5)を得た。
【0041】
(製造例2)油脂(B)の作製
「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部」を脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)100重量部に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色を行ってエステル交換油脂2を得た。このエステル交換油脂2を37℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、液状部を得た。この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂B2(上昇融点30℃、ヨウ素価55.7)を得た。
【0042】
(製造例3)油脂(B)の作製
「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部」を脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)100重量部に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色を行ってエステル交換油脂3を得た。このエステル交換油脂3を46℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、液状部を得た。この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂B3(上昇融点℃38、ヨウ素価40)を得た。
【0043】
(製造例4)油脂(B)の作製
「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部」を脱酸処理済みのパームオレイン(ヨウ素価57)100重量部に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色を行ってエステル交換油脂4を得た。このエステル交換油脂4を33℃に温調しながら攪拌して結晶を析出させた。12時間晶析処理を行った後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して3MPaの圧力で圧搾し、液状部を得た。この液状部を250℃で1時間脱臭して油脂B4(上昇融点26℃、ヨウ素価60)を得た。
【0044】
(製造例5)パームオレインのランダムエステル交換油(ヨウ素価57)の作製
「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部」をパームオレイン(ヨウ素価57)100重量部に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色、脱臭を行ってパームオレインのランダムエステル交換油(ヨウ素価57)を得た。
【0045】
(製造例6)パームスーパーオレインのランダムエステル交換油(ヨウ素価64)の作製
「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部」をパームスーパーオレイン(ヨウ素価64)100重量部に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色、脱臭を行ってパームスーパーオレインのランダムエステル交換油(ヨウ素価64)を得た。
【0046】
(製造例7)パームステアリンのランダムエステル交換油(ヨウ素価35)の作製
「脱酸処理済みのパーム油(ヨウ素価52)50重量部と脱酸処理済みのパームステアリン(ヨウ素価35)50重量部」をパームステアリン(ヨウ素価35)100重量部に代えた以外は、製造例1と同様にしてエステル交換および脱色、脱臭を行ってパームステアリンのランダムエステル交換油(ヨウ素価35)を得た。
【0047】
(実施例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、パーム中融点部(SUS型トリグリセリド66重量%)33.3重量部、製造例1で得られた油脂B1(上昇融点27℃、ヨウ素価53.5)3.7重量部に、大豆レシチン0.16重量部、ヘキサグリセリンヘキサステアレート(HLB4.0)0.10重量部、テトラグリセリンモノステアレート(HLB8.4)0.08重量部を添加し、65℃で溶解して油相部を作製した。
一方、バターミルクパウダー3.0重量部、ホエイパウダー2.0重量部、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB16)0.05重量部、ヘキサグリセリンモノステアレート(HLB11.6)0.05重量部を、表1の配合と最終的に同じになるように後のスチームインジェクションによるUHT殺菌工程での水分増加量を考慮した量の60℃の温水に溶解して水相部を作製した。
前記油相部を、前記水相部に添加して20分間予備乳化した後、高周速回転式乳化機(エム・テクニック(株)製「クレアミックス」)を用いて周速31.4m/sの回転速度で微細化した後、高圧ホモジナイザーを用いて1段目2.0MPa/2段目1.0MPaの圧力で処理した。その後、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱してから、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理し、蒸発冷却せずにその後プレート式冷却機を用いて60℃まで冷却し、再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目6.5MPa/2段目2.0MPaの圧力で処理した。その後、プレート式冷却機で5℃まで冷却したものを容器に充填し、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について表1にまとめた。
【0048】
(実施例2〜5) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従って、油脂(A)と油脂(B)との配合比率を変更した以外は、実施例1と同様にして油脂含量37重量%の実施例2〜5の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について表1にまとめた。
【0049】
(実施例6〜8) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従って、油脂(A)と油脂(B)との配合比率及び組成物中の油脂含量を変更し、その分、水の含量を調整した以外は、実施例1と同様にして油脂含量45重量%の実施例6〜8の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について表1にまとめた。
【0050】
(実施例9〜11) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従って、油脂(A)と油脂(B)との配合比率及び組成物中の油脂含量を変更し、水相にデキストリン(DE:4)を3.0重量部配合し、その分、水の含量を調整し、またヘキサグリセリンモノステアレート(HLB:11.6)0.05重量部をヘキサグリセリンモノステアレート(HLB:11.6)0.03重量部およびヘキサグリセリンモノオレエート(HLB:11.6)0.02重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして油脂含量25重量%の実施例9〜11の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について表1にまとめた。
【0051】
(実施例12〜14) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表2の配合に従って、油脂(B)を製造例1の油脂B1(上昇融点27℃、ヨウ素価53.5)から製造例3の油脂B3(上昇融点℃38、ヨウ素価40)、製造例4の油脂B4(上昇融点26℃、ヨウ素価60)または製造例2の油脂B2(上昇融点30℃、ヨウ素価55.7)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例12〜14の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について、実施例1の結果とともに表2にまとめた。
【0052】
(比較例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表3の配合に従って、油脂(A)と油脂(B)との配合比率を変更した以外は、実施例1と同様にして油脂含量37重量%の比較例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について、実施例1の結果とともに表3に示した。
【0053】
(比較例2) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表3の配合に従って、油脂(A)を、パーム中融点部(SUS型トリグリセリド66重量%)33.3重量部からパーム中融点部(SUS型トリグリセリド66重量%)10.1重量部およびパーム中融点部(SUS型トリグリセリド78重量%)23.6重量部の合計33.7重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして油脂含量37重量%の比較例2の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について、表3に示した。
【0054】
(比較例3〜6)
表3の配合に従って、油脂B1に代えて、製造例5のパームオレインのランダムエステル交換油(ヨウ素価57)(比較例3)、製造例6のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油(ヨウ素価64)(比較例4)、製造例7のパームステアリンのランダムエステル交換油(ヨウ素価35)(比較例5)またはパーム核油硬化油(融点36℃、C
12飽和脂肪酸46重量%)(比較例6)を配合した以外は実施例3と同様にして油脂含量37重量%の比較例3〜6の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について、実施例3の結果とともに表3にまとめた。
【0055】
(比較例7)
実施例1において、油脂B1に代えてパーム核油硬化油(融点36℃、C
12飽和脂肪酸46重量%)を同量配合した以外は実施例1と同様にして油脂含量37重量%の比較例7の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油脂含量、脂肪酸組成、粘度、乳化安定性について、表3に示した。
【0056】
(実施例15〜25) ホイップドクリームの作製
実施例1〜11で得られ、5℃に維持されていた起泡性水中油型乳化油脂組成物4kgと、グラニュー糖400gとを混合し、カントーミキサー(CS型20:関東混合機工業株式会社製)を用いて高速撹拌条件(380rpm)でトッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップしホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームの硬さ、口溶け、冷感、油のコク味を評価し、その結果を表1にまとめた。
【0057】
【表1】
【0058】
(実施例26〜28) ホイップドクリームの作製
実施例12〜14で得られ、5℃に維持されていた起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いて実施例15〜25と同様にしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームの硬さ、口溶け、冷感、油のコク味を評価し、その結果を実施例15の結果とともに表2にまとめた。
【0059】
【表2】
【0060】
(比較例8〜14) ホイップドクリームの作製
比較例1〜7で得られ、5℃に維持されていた起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いて実施例15〜25と同様にしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームの硬さ、口溶け、冷感、油のコク味を評価し、その結果を実施例15、17の結果とともに表3にまとめた。
【0061】
【表3】
【0062】
表1〜3に示した結果から明らかなように、油脂全体中、トランス脂肪酸及びC
12飽和脂肪酸含量が特定量未満で、且つ溶融塩を含有せずに、パーム中融点部である油脂(A)と、パーム系油脂をエステル交換し特定の範囲にヨウ素価を調整した分別液状部である油脂(B)を特定量含有する本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物によれば、トランス脂肪酸や溶融塩が実質的に含まれておらず、C
12の飽和脂肪酸や他の飽和脂肪酸量が少なくても、安価で、乳化安定性が良好な起泡性水中油型乳化油脂組成物、さらには該組成物をホイップして得られ、口溶けが良く、冷感と油のコクがあり、シマリの少ないホイップドクリームを提供することができた。