(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、予め設定された対象室の目標温度と該対象室の室内温度との偏差を求め、かかる偏差に基づいてPID演算を行って算出された開閉割合により前記バルブを開閉させることを特徴とする請求項1に記載の冷媒回路装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷媒回路装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
<実施の形態1>
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施の形態1である冷媒回路装置が適用された自動販売機を示すもので、
図1は内部構造を正面から見た場合を示す説明図であり、
図2は断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
【0015】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の断熱体として形成されたものである。この本体キャビネット1には、その前面に外扉2及び内扉3a,3bが設けられており、その内部に例えば2つの断熱仕切板4によって仕切られた3つの独立した商品収容庫5が左右に並んだ態様で設けられている。
【0016】
より詳細に説明すると、外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉3a,3bは、商品収容庫5の前面を開閉するためのものである。内扉3a,3bは、上下に分割されており、上側の扉3aは商品を補充する際に開閉するものである。商品収容庫5は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのものである。
【0017】
商品収容庫5には、商品収納ラック6、払出機構7及び搬出シュータ8が設けられている。商品収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。払出機構7は、商品収納ラック6の下部に設けられており、この商品収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、払出機構7から払い出された商品を下側の内扉3bに設けられた商品搬出口3cを介して外扉2に設けられた商品取出口(図示せず)に導くためのものである。
【0018】
図3は、
図1及び
図2に示した自動販売機に適用された冷媒回路装置を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷媒回路装置は、内部に冷媒が封入された冷媒回路10を有しており、この冷媒回路10は、主経路20、高圧冷媒導入経路30及び戻経路40を備えて構成されている。
【0019】
主経路20は、圧縮機21、庫外熱交換器22、庫内熱交換器23、膨張機構24及びエジェクタ25を冷媒管路26にて接続して構成されている。
【0020】
圧縮機21は、
図2にも示すように機械室9に配設されている。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫5と区画され、かつ商品収容庫5の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。
【0021】
庫外熱交換器22は、圧縮機21と同様に機械室9に配設されており、第1庫外熱交換器22a及び第2庫外熱交換器22bを有している。尚、この庫外熱交換器22の近傍には庫外送風ファンF1が配設されている。
【0022】
第1庫外熱交換器22aは、圧縮機21で圧縮された冷媒が自身の流路を通過する場合に、該冷媒を周囲空気と熱交換させて放熱させるものである。この庫外熱交換器22と圧縮機21とを接続する冷媒管路26には、三方弁271が設けられている。かかる三方弁271については後述する。
【0023】
第2庫外熱交換器22bは、自身の流路に熱的に接続されるフィン部材が第1庫外熱交換器22aと共通化された状態で該第1庫外熱交換器22aと一体的に構成されている。この第2庫外熱交換器22bは、流路を通過する冷媒、すなわち第1庫外熱交換器22aで放熱した冷媒を周囲空気と熱交換させて放熱させるものである。
【0024】
庫内熱交換器23は、複数(図示の例では3つ)設けられており、それぞれが各商品収容庫5の内部低域であって背面ダクトDの前方側に配設されている。各庫内熱交換器23の近傍には、庫内送風ファンF2が配設されている。
【0025】
これら庫内熱交換器23については、右側の商品収容庫5(以下、右庫5aともいう)に配設された庫内熱交換器23を右庫内熱交換器23aと称し、中央の商品収容庫5(以下、中庫5bともいう)に配設された庫内熱交換器23を中庫内熱交換器23bと称し、左側の商品収容庫5(以下、左庫5cともいう)に配設された庫内熱交換器23を左庫内熱交換器23cと称する。そして、各商品収容庫5においては、中庫5bが右庫5a及び左庫5cに比して最も容積が小さく、これにより中庫内熱交換器23bが熱負荷(冷却負荷)が最も小さい低負荷熱交換器である。
【0026】
これら庫内熱交換器23においては、右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cのそれぞれの出口側に接続された冷媒管路26は、途中の第1合流点P1で合流して圧縮機21の吸引口に連通する態様で該圧縮機21に接続されている。
【0027】
膨張機構24は、例えば電子膨張弁やキャピラリーチューブ等により構成されるものであり、通過する冷媒を断熱膨張させるものである。この膨張機構24は、庫外熱交換器22(第2庫外熱交換器22b)の出口側に接続された冷媒管路26の途中の第1分岐点Q1で分岐し、かつ中庫内熱交換器23bの入口側に接続される冷媒管路26に配設されている。
【0028】
エジェクタ25は、
図4に示すように2相流噴射型エジェクタであり、ノズル部251、混合部252及びディフューザ部253を有している。
【0029】
ノズル部251は、高圧冷媒導入口254を通じて吸入された高圧冷媒(駆動流)を減圧して加速させる部位である。このように高圧冷媒を加速させることで、冷媒吸入口255を通じて低圧冷媒(吸引流)を吸引することができる。このノズル部251には、ノズル弁251aが設けられている。ノズル弁251aは、高圧冷媒を減圧させるためのノズル径を調整するための弁体である。
【0030】
混合部252は、ノズル部251で加速させた高圧冷媒と、冷媒吸入口255を通じて吸引した低圧冷媒とを混合させる部位である。
【0031】
ディフューザ部253は、混合部252にて混合された冷媒(混合冷媒)を昇圧させる部位である。昇圧された混合冷媒は、図示せぬ吐出口を通じて吐出されることになる。
【0032】
上記高圧冷媒導入口254は、上記第1分岐点Q1で分岐した他方の冷媒管路26に連通しており、上記冷媒吸入口255は、中庫内熱交換器23bの出口側に接続された冷媒管路26に連通している。また上記吐出口は、右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cの入口側に接続された冷媒管路26に連通している。ここでエジェクタ25と、右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cとを接続する冷媒管路26は、その途中の第2分岐点Q2で2つに分岐され、一方が右庫内熱交換器23aの入口側に接続され、他方が左庫内熱交換器23cの入口側に接続されている。そして、第2分岐点Q2から左庫内熱交換器23cに至る冷媒管路26の途中に電磁弁272が設けられている。電磁弁272は、図示せぬ制御部から与えられる指令に応じて開閉する弁体である。
【0033】
このような構成を有するエジェクタ25は、庫外熱交換器22(第2庫外熱交換器22b)で放熱された高圧の冷媒(高圧冷媒)の一部を減圧させることによって、中庫内熱交換器23bより吐出された低圧の冷媒(低圧冷媒)を吸引し、該吸引した低圧冷媒を庫外熱交換器22からの高圧冷媒と混合させ、昇圧させた後に吐出するものである。
【0034】
高圧冷媒導入経路30は、一端が三方弁271に連結され、かつ他端が左庫5cに配設された加熱用熱交換器32の入口側に接続された高圧冷媒導入管路31により構成されている。この高圧冷媒導入経路30は、圧縮機21で圧縮された高圧冷媒を加熱用熱交換器32に導入させるためのものである。
【0035】
ここで三方弁271は、圧縮機21で圧縮された高圧冷媒を第1庫外熱交換器22aへ送出する第1送出状態と、加熱用熱交換器32へ送出する第2送出状態との間で択一的に切り換え可能な弁体である。かかる三方弁271の切換動作は、制御部から与えられる指令に応じて行われる。
【0036】
戻経路40は、一端が加熱用熱交換器32の出口側に接続され、かつ他端が主経路20を構成する冷媒管路26、すなわち第1庫外熱交換器22aと第2庫外熱交換器22bとの間の冷媒管路26の第2合流点P2に接続された戻管路41により構成されている。この戻経路40は、加熱用熱交換器32を通過した冷媒を主経路20に戻すためのものである。尚、
図3中の符号42は逆止弁である。
【0037】
以上のような構成を有する冷媒回路装置においては、制御部を通じて三方弁271や電磁弁272を制御することで各商品収容庫5の内部温度を所望の温度状態に調整することができ、次のようにして商品収容庫5に収容された商品を冷却、あるいは加熱することができる。ここでは、CCC運転(全ての商品収容庫5の内部空気を冷却する運転)を行う場合とHCC運転(左庫5cの内部空気を加熱し、右庫5a及び中庫5bの内部空気を冷却する運転)を行う場合とを代表例として説明する。
【0038】
まずCCC運転を行う場合について説明する。この場合、制御部は、三方弁271を第1送出状態にさせるとともに、電磁弁272を開成させる。
【0039】
これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、
図5に示すように、第1送出状態にある三方弁271を通過して第1庫外熱交換器22aに至る。第1庫外熱交換器22aに至った冷媒は、該第1庫外熱交換器22aを通過中に、周囲空気(外気)と熱交換を行って放熱する。第1庫外熱交換器22aで放熱した冷媒は、第2庫外熱交換器22bに至り、かかる第2庫外熱交換器22bを通過中に、周囲空気と熱交換してさらに放熱する。第2庫外熱交換器22bで放熱した冷媒は、第1分岐点Q1で2つに分岐する。
【0040】
第1分岐点Q1で2つに分岐した冷媒の一方は、膨張機構24に至る。膨張機構24に至った冷媒は、断熱膨張して低圧冷媒として中庫内熱交換器23bに送出される。中庫内熱交換器23bに送出された冷媒(低圧冷媒)は、図示せぬ冷媒流路を通過して周囲空気(中庫5bの内部空気)と熱交換して該内部空気を冷却する。冷却された空気は、中庫内熱交換器23bに近接配置された庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより中庫5bに収容された商品は、循環する空気により冷却される。
【0041】
一方、第1分岐点Q1で2つに分岐した冷媒の他方は、エジェクタ25に送出される。エジェクタ25に送出された冷媒(高圧冷媒)は、高圧冷媒導入口254を通じてノズル部251に進入し、減圧されて加速する。これにより、中庫内熱交換器23bを通過した冷媒(低圧冷媒)が冷媒吸入口255を通じて吸引されることになる。そして、該エジェクタ25の混合部252にて、加速された高圧冷媒と、吸引された低圧冷媒とが混合して混合冷媒となってディフューザ部253に至り、混合冷媒は、ディフューザ部253で昇圧された後に吐出される。
【0042】
エジェクタ25から吐出された混合冷媒は、第2分岐点Q2で分岐して右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cに送出される。右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cに送出された冷媒(低圧冷媒)は、図示せぬ冷媒流路を通過して周囲空気(内部空気)と熱交換して該内部空気を冷却する。冷却された空気は、各庫内熱交換器23に近接配置された庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより右庫5a及び左庫5cに収容された商品は、循環する空気により冷却される。右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cを通過した冷媒は、第1合流点P1で合流した後に、圧縮機21に吸引されて、冷媒回路10を循環するサイクルを繰り返す。
【0043】
次に、HCC運転を行う場合について説明する。この場合、制御部は、三方弁271を第2送出状態にさせ、電磁弁272を閉成させる。
【0044】
これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、
図6に示すように、第2送出状態である三方弁271を通過して高圧冷媒導入管路31を通じて加熱用熱交換器32に送出される。
【0045】
加熱用熱交換器32に送出された冷媒(高圧冷媒)は、図示せぬ冷媒流路を通過して周囲空気(内部空気)と熱交換して該内部空気を加熱する。加熱された空気は、庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより左庫5cに収容された商品は、循環する空気により加熱される。
【0046】
加熱用熱交換器32を通過した冷媒は、戻管路41を通過した後に第2合流点P2に至り、かかる第2合流点P2で主経路20に進入する。主経路20に進入した冷媒は、第2庫外熱交換器22bを通過する。かかる第2庫外熱交換器22bを通過中に、周囲空気と熱交換して放熱する。第2庫外熱交換器22bで放熱した冷媒は、第1分岐点Q1で2つに分岐する。
【0047】
第1分岐点Q1で2つに分岐した冷媒の一方は、膨張機構24に至る。膨張機構24に至った冷媒は、断熱膨張して低圧冷媒として中庫内熱交換器23bに送出される。中庫内熱交換器23bに送出された冷媒(低圧冷媒)は、図示せぬ冷媒流路を通過して周囲空気(中庫5bの内部空気)と熱交換して該内部空気を冷却する。冷却された空気は、中庫内熱交換器23bに近接配置された庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより中庫5bに収容された商品は、循環する空気により冷却される。その際、中庫内熱交換器23bを通過する冷媒を確実に全て蒸発させるために中庫内熱交換器23bの入口と出口とに温度センサを設置し、入口の飽和温度に対し出口で温度上昇するように圧縮機の回転数やエジェクタの弁開度を随時調整してもよい。
【0048】
一方、第1分岐点Q1で2つに分岐した冷媒の他方は、エジェクタ25に送出される。エジェクタ25に送出された冷媒(高圧冷媒)は、高圧冷媒導入口254を通じてノズル部251に進入し、減圧されて加速する。これにより、中庫内熱交換器23bを通過した冷媒(低圧冷媒)が冷媒吸入口255を通じて吸引されることになる。そして、該エジェクタ25の混合部252にて、加速された高圧冷媒と、吸引された低圧冷媒とが混合して混合冷媒となってディフューザ部253に至り、混合冷媒は、ディフューザ部253で昇圧された後に吐出される。
【0049】
エジェクタ25から吐出された混合冷媒は、右庫内熱交換器23aに送出される。右庫内熱交換器23aに送出された冷媒(低圧冷媒)は、図示せぬ冷媒流路を通過して周囲空気(内部空気)と熱交換して該内部空気を冷却する。冷却された空気は、右庫内熱交換器23aに近接配置された庫内送風ファンF2の駆動により内部を循環し、これにより右庫5aに収容された商品は、循環する空気により冷却される。その際、右庫内熱交換器23aを通過する冷媒を確実に全て蒸発させるために中庫内熱交換器23aの入口と出口とに温度センサを設置し、入口の飽和温度に対し出口で温度上昇するように圧縮機の回転数やエジェクタの弁開度を随時調整してもよい。右庫内熱交換器23aを通過した冷媒は、圧縮機21に吸引されて、冷媒回路10を循環するサイクルを繰り返す。
【0050】
以上説明したような本実施の形態1である冷媒回路装置によれば、膨張機構24が、庫外熱交換器22で放熱した冷媒のうち分岐点で2つに分岐した一方を断熱膨張させ、かつ中庫内熱交換器23bに冷媒を供給するので、中庫内熱交換器23bに供給された冷媒は蒸発して気相冷媒となる。またエジェクタ25が、庫外熱交換器22で放熱した冷媒のうち分岐点で2つに分岐した冷媒の他方を減圧させ、中庫内熱交換器23bにおいて蒸発した後の気相冷媒を吸引してこれら冷媒を混合させ、かつ右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cの少なくとも1つに混合させた冷媒を送出するので、各庫内熱交換器23に送出された冷媒を蒸発させることができ、これにより熱負荷(冷却負荷)が最も小さく冷媒流量が少量で済む中庫内熱交換器23bをエジェクタ25に吸引される側に配置するとともに、それ以外の右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cをエジェクタ25に吐出される側に配置することで、従来必要とされた気液分離器を使用せずに気相冷媒を圧縮機に戻すことができる。従って、気液分離器を削減して部品点数を低減させることで、製造コストの低減化を図ることができる。
【0051】
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2である冷媒回路装置を概念的に示す概念図であり、
図8は、本実施の形態2である冷媒回路装置の特徴的な制御系を示す説明図である。尚、上述した実施の形態1である冷媒回路装置と同様の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜割愛する。
【0052】
ここで例示する冷媒回路装置は、内部に冷媒が封入された冷媒回路10′を有しており、バルブ28、庫内温度センサS1及び制御部50を有している。
【0053】
バルブ28は、主経路20′における第2庫外熱交換器22bと第1分岐点Q1との間の冷媒管路26に配設されている。このバルブ28は、制御部50から与えられる指令により開閉可能な弁体であり、開成する場合には第2庫外熱交換器22bから膨張機構24及びエジェクタ25に向けて冷媒が通過することを許容する一方、閉成する場合には第2庫外熱交換器22bから膨張機構24及びエジェクタ25に向けて冷媒が通過することを規制するものである。
【0054】
庫内温度センサS1は、各商品収容庫5の内部に配設されており、自身が配設された商品収容庫5の庫内温度(内部温度)を検出するものである。庫内温度センサS1で検出された庫内温度は、庫内温度信号として制御部50に与えられることになる。
【0055】
制御部50は、メモリ55に記憶されたプログラムやデータにしたがってバルブ28の制御を行うものあり、入力処理部51、算出処理部52及び出力処理部53を備えている。尚、ここではバルブ28の制御を行う制御部50について示しているが、本発明においては、かかる処理部は、バルブ28の他、三方弁271や電磁弁272、圧縮機21等を制御するものであってもよい。
【0056】
入力処理部51は、各庫内温度センサS1や自販機制御部60からの信号や指令を入力処理するものである。自販機制御部60は、冷媒回路装置が適用される自動販売機の動作を統括的に制御するものである。
【0057】
算出処理部52は、入力処理部51を通じて入力した対象となる商品収容庫5の庫内温度と、メモリ55に記憶された当該商品収容庫5の目標温度との偏差を求め、かかる偏差に基づいてPID演算を行ってバルブ28の開閉割合(デューティー比)を算出処理するものである。出力処理部53はバルブ28に対して指令を与えるものである。
【0058】
このような本実施の形態2である冷媒回路装置においては、上述したCCC運転やHCC運転を行う場合において、予め設定された時間間隔毎にバルブ開閉制御処理を行う。
【0059】
図9は、
図8に示した制御部が実施するバルブ開閉制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0060】
このバルブ開閉制御処理において制御部50は、入力処理部51を通じて庫内温度センサS1より庫内温度信号を入力した場合(ステップS101:Yes)、すなわち冷却対象となる商品収容庫5(ここでは右庫5aとする)の庫内温度が庫内温度センサS1により検出された場合、算出処理部52を通じて開閉割合の算出を行う(ステップS102)。より詳細に説明すると、制御部50は、算出処理部52を通じてメモリ55より庫内温度センサS1が配設された商品収容庫5(右庫5a)の目標温度を読み出し、読み出した目標温度と、ステップS101で入力した庫内温度との偏差を求め、かかる偏差に基づいてPID演算を行ってバルブ28の開閉割合(デューティー比)を算出する。
【0061】
バルブ28の開閉割合を算出した制御部50は、出力処理部53を通じてバルブ28に対して該開閉割合にしたがって指令を与えてバルブ28を開閉させ(ステップS103)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0062】
これによれば、バルブ28を所定の開閉割合にて開閉させることでエジェクタ25に対する冷媒流量を連続的に制御することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態2である冷媒回路装置によれば、膨張機構24が、庫外熱交換器22で放熱した冷媒のうち分岐点で2つに分岐した一方を断熱膨張させ、かつ中庫内熱交換器23bに冷媒を供給するので、中庫内熱交換器23bに供給された冷媒は蒸発して気相冷媒となる。またエジェクタ25が、庫外熱交換器22で放熱した冷媒のうち分岐点で2つに分岐した冷媒の他方を減圧させ、中庫内熱交換器23bにおいて蒸発した後の気相冷媒を吸引してこれら冷媒を混合させ、かつ右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cの少なくとも1つに混合させた冷媒を送出するので、各庫内熱交換器23に送出された冷媒を蒸発させることができ、これにより熱負荷(冷却負荷)が最も小さく冷媒流量が少量で済む中庫内熱交換器23bをエジェクタ25に吸引される側に配置するとともに、それ以外の右庫内熱交換器23a及び左庫内熱交換器23cをエジェクタ25に吐出される側に配置することで、従来必要とされた気液分離器を使用せずに気相冷媒を圧縮機に戻すことができる。従って、気液分離器を削減して部品点数を低減させることで、製造コストの低減化を図ることができる。
【0064】
また、上記冷媒回路装置によれば、庫外熱交換器22から第1分岐点Q1に至る冷媒管路26に配設されたバルブ28が、開成する場合には庫外熱交換器22から膨張機構24及びエジェクタ25に向けて冷媒が通過することを許容する一方、閉成する場合には庫外熱交換器22から膨張機構24及びエジェクタ25に向けて冷媒が通過することを規制し、制御部50が予め設定された商品収容庫5の目標温度と該商品収容庫5の庫内温度との偏差を求め、かかる偏差に基づいてPID演算を行って算出された開閉割合によりバルブ28を開閉させるので、従来のようにノズル部やノズル弁の形状を高精度に加工して組み立て等することなく、エジェクタ25に対する冷媒流量を連続的に制御することができる。これにより、製造コストの増大化を抑制しつつ、低流量域においても流量制御が良好に実現できる。
【0065】
以上、本発明の好適な実施の形態1及び2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0066】
上述した実施の形態1及び2では、中庫内熱交換器23bを低負荷熱交換器として説明したが、本発明においては、いずれかの庫内熱交換器を低負荷熱交換器とすることができればよく、冷媒回路の回路構成も低負荷熱交換器に設定されたものに応じて適宜変更することができることはいうまでもない。
【0067】
上述した実施の形態1及び2では、ヒートポンプサイクルが可能な冷媒回路10,10′について示したが、本発明においては、冷凍サイクルのみ可能な冷媒回路に適用しても構わない。