特許第6387681号(P6387681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6387681漢字学習支援装置、漢字学習支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387681
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】漢字学習支援装置、漢字学習支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/02 20060101AFI20180903BHJP
   G06K 9/62 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G09B5/02
   G06K9/62 F
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-106539(P2014-106539)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-222334(P2015-222334A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】平方 直裕
【審査官】 奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−122966(JP,A)
【文献】 特開2008−116524(JP,A)
【文献】 特開2014−056210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0080104(US,A1)
【文献】 特開2012−174188(JP,A)
【文献】 特開平06−195324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 5/00−19/00
G06K 9/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示させた第1の漢字の部位がユーザ操作により指定された場合に、前記ユーザ操作により指定される距離に応じて、前記第1の漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた1以上の漢字を、該第1の漢字および複数の漢字の各データが記憶された記憶手段から読み出して前記表示装置によって順次配列して表示させる制御部
を備えたことを特徴とする漢字学習支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、
ユーザ操作の方向が第1の方向である場合は、前記記憶手段により前記第1の漢字以降にデータが記憶されている漢字のうちのいずれかの漢字を読み出して、前記表示装置によって表示させ
ユーザ操作の方向が前記第1の方向とは異なる第2の方向である場合は、前記記憶手段により前記第1の漢字以前にデータが記憶されている漢字のうちのいずれかの漢字を読み出して、前記表示装置によって表示させる
ことを特徴とする請求項に記載の漢字学習支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記表示装置に表示された漢字のうちユーザ操作に応じて指定された部位の構成要素を手書き入力枠に換えて出力し
出力された前記手書き入力枠に対するユーザ操作に応じて入力された手書き文字を認識し
前記漢字の指定の部位の構成要素を認識された文字に置き換えてなる漢字が前記記憶手段により記憶された漢字の中に存在するかを判断し
前記判断の結果に応じた内容を、前記表示装置によって表示させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の漢字学習支援装置。
【請求項4】
電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータ
表示装置に表示させた第1の漢字の部位がユーザ操作により指定された場合に、前記ユーザ操作により指定される距離に応じて、前記第1の漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた1以上の漢字を、該第1の漢字および複数の漢字の各データが記憶された記憶手段から読み出して前記表示装置によって順次配列して表示させるように機能させるためのコンピュータ読み込み可能なプログラム。
【請求項5】
漢字学習支援装置の制御部によって実行される漢字学習支援方法であって、
表示装置に表示させた第1の漢字の部位がユーザ操作により指定された場合に、前記ユーザ操作により指定される距離に応じて、前記第1の漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた1以上の漢字を、該第1の漢字および複数の漢字の各データが記憶された記憶手段から読み出して前記表示装置によって順次配列して表示させる、
ことを特徴とする漢字学習支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢字の学習に好適な漢字学習支援装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
漢字の学習を支援する従来の装置であって、漢字をその構成要素に分解した部品をDB(データベース)に記憶し、このDBに記憶された各部品の組み合わせを利用した漢字パズルの問題を生成して出題する漢字パズルゲーム装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−190252公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
漢字をその部品(構成要素)から学習することが効果的な漢字学習法であることは知られている。
【0005】
そこで、漢字をその構成要素に基づいて、より簡便に学習することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、漢字をその構成要素に基づいて、より簡便に学習することが可能になる漢字学習支援装置およびその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る漢字学習支援装置は、表示装置に表示させた第1の漢字の部位がユーザ操作により指定された場合に、前記ユーザ操作により指定される距離に応じて、前記第1の漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた1以上の漢字を、該第1の漢字および複数の漢字の各データが記憶された記憶手段から読み出して前記表示装置によって順次配列して表示させる制御部、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、漢字をその構成要素に基づいて、より簡便に学習することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る漢字学習支援装置10の電子回路の構成を示すブロック図。
図2】前記漢字学習支援装置10をタブレット端末20Tとサーバ装置30Sにより実施した場合の外観構成を示す斜視図。
図3】前記漢字学習支援装置10を電子辞書装置10Dにより実施した場合の外観構成を示す正面図。
図4】前記漢字学習支援装置10のデータ処理装置30における漢字DB32cの内容を示す図であり、同図(A)は漢字DB(学年別)32c1の内容を示す図、同図(B)は漢字DB(意符別)32c2の内容を示す図、同図(C)は漢字DB(音符別)32c3の内容を示す図。
図5】前記漢字学習支援装置10のデータ処理装置30(サーバ装置30S)により実行される漢字学習支援処理の全体の流れを示す図。
図6】前記漢字学習支援装置10の漢字学習支援処理における漢字学習処理(1)を示すフローチャート。
図7】前記漢字学習支援装置10の漢字学習支援処理における漢字学習処理(2)を示すフローチャート。
図8】前記漢字学習支援装置10の漢字学習処理(1)に従った入出力装置20での表示動作を示す図。
図9】前記漢字学習支援装置10の漢字学習処理(2)に従った入出力装置20での表示動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る漢字学習支援装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0012】
この漢字学習支援装置10は、入出力装置20とコンピュータであるデータ処理装置30とを備えて構成される。
【0013】
前記入出力装置20には、キー入力部21、タッチパネル付表示部22、当該キー入力部21とタッチパネル付表示部22とに対する入出力制御部23、この入出力制御部23を前記データ処理部30と接続するためのインターフェイス(IF)部20が備えられる。
【0014】
前記データ処理装置30には、制御装置(CPU)31、この制御装置31の制御動作を司る各種のプログラムやデータベースを記憶した記憶装置32、前記制御動作に伴う作業用データを記憶するRAM33、前記制御装置(CPU)31を前記入出力装置20と接続するためのインターフェイス(IF)部34が備えられる。
【0015】
図2は、前記漢字学習支援装置10をタブレット端末20Tとサーバ装置30Sにより実施した場合の外観構成を示す斜視図である。
【0016】
この図2における漢字学習支援装置10の場合、前記タブレット端末20Tが前記入出力装置20として機能し、前記サーバ装置30Sが前記データ処理装置30として機能する。
【0017】
図3は、前記漢字学習支援装置10を電子辞書装置10Dにより実施した場合の外観構成を示す正面図である。
【0018】
この図3における電子辞書装置10Dの場合、前記入出力装置20とデータ処理装置30は何れも当該電子辞書装置10Dに一体的に内蔵され、開閉される装置本体の下段側に前記キー入力部21が設けられ、上段側に前記タッチパネル付表示部22が設けられる。この電子辞書装置10Dのキー入力部21には、各種の辞書指定キー、文字入力キー、[Jump]キー、[決定]キー、[戻る]キーの他に、漢字学習の動作モードに設定するための[漢字学習]キー21aが備えられる。
【0019】
前記データ処理装置30の記憶装置32には、前記制御装置31により実行される制御プログラム32a、コンテンツDB32b、漢字DB32cなどが、予め記憶されるか、あるいはCD−ROMやメモリカードなどの外部記録媒体から読み込まれて記憶されるか、あるいはインターネットなどの通信ネットワーク上のプログラムサーバからダウンロードされて記憶される。
【0020】
前記制御プログラム32aとしては、当該漢字学習支援装置10の全体の動作を司るシステムプログラム、前記通信ネットワーク上の外部機器や図示しないユーザPC(Personal Computer)などとデータ通信するための通信プログラムなどが記憶される。また、前記制御プログラム32aとして、検索語入力処理、検索語に対応した見出し語検索処理、検索された見出し語に対応する説明情報の読み出し表示処理など、同記憶装置32内のコンテンツDB32bに基づく検索・読み出し・表示処理全般を制御するための辞書検索プログラムが記憶される。さらに、前記制御プログラム32aとして、任意に指定した漢字からその構成要素である部首などの部分を置き換えながら漢字の学習を行うための漢字学習支援プログラムが記憶される。
【0021】
そして、前記制御プログラム32aは、前記入出力装置20のキー入力部21、タッチパネル付表示部22からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは前記通信ネットワーク上の外部機器との通信信号に応じて起動される。
【0022】
前記コンテンツDB32bには、例えば、教科書や小説等のテキストデータが記憶される他、国語辞典、英和辞典、和英辞典、英英辞典等の各種の辞書が記憶される。
【0023】
図4は、前記漢字学習支援装置10のデータ処理装置30における漢字DB32cの内容を示す図であり、同図(A)は漢字DB(学年別)32c1の内容を示す図、同図(B)は漢字DB(意符別)32c2の内容を示す図、同図(C)は漢字DB(音符別)32c3の内容を示す図である。
【0024】
全漢字のうち、約9割は形声文字である。この形声文字は、その文字の構成要素である部位(偏(へん)・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)・繞(にょう)・垂(たれ)・構(かまえ))が類型的な意味を表す意符と音声を表す音符とに分けられる。例えば、形声文字である漢字「語」は、その偏(へん)の部位の意符「言(ごんべん)」と旁(つくり)の部位の音符「吾(ゴ)」との組み合わせからなる。
【0025】
前記漢字DB(学年別)32c1には、学年別に学習対象となる漢字のデータが対応付けられて記憶される。
【0026】
例えば、意符「さんずい」は、水、川の意味を表し、この「さんずい」が偏(へん)の部位にある2学年の対象漢字には「海」「活」「池」があり、3学年の対象漢字には「泳」「洋」「泡」「深」「漢」「港」「決」があり、4学年の対象漢字には「泣」「漁」「法」があり、5学年の対象漢字には「液」「混」「潔」「測」がある。
【0027】
前記漢字DB(意符別)32c2には、前記漢字(形声文字)の部位(偏・旁・冠・脚・繞・垂・構)毎に、当該部位となる各意符についてのデータが、同意符の意味と同意符を用いた漢字とを対応付けて記憶される。
【0028】
前記漢字DB(音符別)32c3には、音符別に当該音符の読みと意味と同音符を構成要素として用いた各漢字と対応付けたデータが記憶される。
【0029】
前記データ処理装置30におけるRAM33には、表示データ記憶領域33a、指定漢字位置データ記憶領域33bが確保される。
【0030】
前記表示データ記憶領域33aには、前記制御装置31による前記制御プログラム32aの実行に従い生成される前記入出力装置20のタッチパネル付表示部22に表示させるべき表示データが記憶される。
【0031】
前記指定漢字位置データ記憶領域33bには、前記制御プログラム32aの漢字学習支援プログラムに従い実行される漢字学習処理において、ユーザ操作に応じて、前記漢字DB(学年別)32c1内の学習対象漢字のうち現在指定されている漢字の位置データ、あるいは表示中のテキスト内で現在指定されている漢字の位置データが記憶される。
【0032】
このように構成された漢字学習支援装置10は、前記データ処理装置30の制御装置(CPU)31が前記制御プログラム32a(前記辞書検索プログラム、漢字学習支援プログラムを含む)に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、後述の動作説明で述べる機能を実現する。
【0033】
次に、前記構成の漢字学習支援装置10の動作について説明する。
【0034】
図5は、前記漢字学習支援装置10のデータ処理装置30により実行される漢字学習支援処理の全体の流れを示す図である。
【0035】
図6は、前記漢字学習支援装置10の漢字学習支援処理における漢字学習処理(1)を示すフローチャートである。
【0036】
図7は、前記漢字学習支援装置10の漢字学習支援処理における漢字学習処理(2)を示すフローチャートである。
【0037】
図8は、前記漢字学習支援装置10の漢字学習処理(1)に従った入出力装置20での表示動作を示す図である。
【0038】
図9は、前記漢字学習支援装置10の漢字学習処理(2)に従った入出力装置20での表示動作を示す図である。
【0039】
前記入出力装置20のユーザ操作に応じて、前記データ処理装置30によりその制御プログラム32a(学習支援プログラム)のアプリケーションが起動されると、漢字学習モードまたはテキスト学習モードの選択を促す動作モードの選択画面が前記入出力装置20に出力されそのタッチパネル付表示部22に表示される(ステップS1)。
【0040】
(漢字学習モード)
表示された動作モードの選択画面に対するユーザ操作に応じて、漢字学習モードの選択信号がデータ処理装置30で受信されると、図6における漢字学習処理(1)が起動される(ステップS1→SA)。
【0041】
すると、学習対象とする始めの漢字をユーザの学年に応じた漢字一覧の中から任意に指定するか又はランダムに指定するかの漢字選択メニューMが生成され、図8(A)に示すように、漢字学習画面Gとしてタッチパネル付表示部22に表示される。
【0042】
前記漢字選択メニューMにおいて[三年生の漢字]が選択されると、前記漢字DB(学年別)32c1(図4(A)参照)に記憶されている第三学年の学習対象漢字が読み出され当該第三学年の学習対象漢字の一覧が前記タッチパネル付表示部22に表示される。
【0043】
この第三学年の学習対象漢字の一覧からユーザ操作に応じた任意の漢字、例えば「泳」が指定されると(ステップA1)、図8(B)に示すように、当該指定の漢字「泳」が前記タッチパネル付表示部22の漢字学習画面Gに表示される(ステップA2)。
【0044】
この漢字学習画面Gにおいて、当該漢字「泳」がシングルタッチされたと判断されると(ステップA3(Yes))、同漢字「泳」の偏(へん)の構成要素b1である意符(さんずい)が赤色REに、旁(つくり)の構成要素b2である音符(えい)が青色BLに色分けされて表示される(ステップA4)。
【0045】
そして、構成要素b1である意符(さんずい)がタッチされたと判断されると(ステップA5(Yes))、当該タッチされた意符(さんずい)の意味「水、川の意味」m1が前記漢字DB(意符別)32c2(図4(B)参照)から読み出され、図8(C)に示すように表示される(ステップA6)。
【0046】
また同様に、構成要素b2である音符(えい)がタッチされたと判断されると(ステップA5(Yes))、当該タッチされた音符(えい)の意味「ながいの意」m2が前記漢字DB(音符別)32c3(図4(C)参照)から読み出され、図8(C)に示すように表示される(ステップA6)。
【0047】
一方、表示された漢字「泳」において、構成要素b2である音符(えい「永」)がフリックされたと判断されると(ステップA7(Yes))、タッチされた構成要素を、フリックの方向に応じた次の要素に置き換えた漢字を表示する(ステップA8)。3学年の「さんずい」の学習漢字として「泳」「洋」「泡」「深」「漢」「港」「決」の順番に記憶されているとすると、右にフリックされた場合には、次の「洋」が表示されることになる。そこで、例えば右に2回フリックf1,f2された場合には、フリックが判断されると(ステップA7(Yes))、構成要素b1が固定され、前記第三学年の学習対象漢字(図4(A)参照)において前記固定された偏(へん)の意符(さんずい)を有する前記フリック回数(2回)に応じた次の二つの漢字「洋」→「泡」が順次読み出され、図8(D)に示すように、前記フリックf1,f2によりタッチされた構成要素b2の音符(えい「永」)が前記二つ目に読み出された漢字「泡」の音符(ホウ「包」)に置き換えられて表示される(ステップA8)。
【0048】
なお、前記漢字「泳」の音符に対するフリック操作が更に繰り返され、前記固定された意符(さんずい)を有する次の漢字が前記第三学年の学習対象漢字になくなったと判断された場合は、さらに第四学年の学習対象漢字から該当する次の漢字が読み出される。
【0049】
一方、前記漢字「泳」の旁(つくり)の構成要素b2である音符(えい「永」)が左にフリックfされた場合は、前記第三学年の学習対象漢字において、「さんずい」を有する「泳」よりも前の漢字が読み出される。その際、3学年の学習対象漢字がないときは、2学年の漢字が読みだされることになる。
【0050】
また、前記図8(D)で示したように、漢字「泡」において、図8(E)に示すように、前記偏(へん)の意符(さんずい)がタッチされ右にドラッグdされたと判断されると(ステップA9(Yes))、他方の構成要素が固定され、偏を異ならせた漢字が前記ドラッグに応じて順次読み出され、構成要素が置き換えられた漢字列として表示される(ステップA10,A11)。この場合、前記旁(つくり)の音符(ホウ「包」)が固定される。そして、前記第三学年の学習対象漢字において前記固定された旁(つくり)の音符(ホウ「包」)を有する次の漢字「抱」「砲」…が前記ドラッグdされた距離に応じて順次読み出され、当該ドラッグdの始めにタッチされた構成要素b1の意符(さんずい)が前記順次読み出された各漢字「抱」「砲」の意符(てへん)(いしへん「石」)に置き換えられた漢字列Lとして表示される(ステップA10,A11)。
【0051】
一方、前記漢字「泡」の意符(さんずい)がタッチされ左にドラッグdされたと判断された場合は(ステップA9(Yes))、前記第三学年の学習対象漢字において、前記固定された旁(つくり)の音符(ホウ「包」)を有する前記漢字「泡」よりも前の漢字が当該ドラッグ距離に応じて順次読み出され、前記同様に始めにタッチされた構成要素b1の意符(さんずい)が前記読み出された各漢字の意符に置き換えられた漢字列Lとして表示される(ステップA10,A11)。
【0052】
この後、前記漢字「泡」の意符(さんずい)に対するドラッグ操作が終了されたと判断されると(ステップA11(Yes))、当該ドラッグされた意符(さんずい)が異なる意符に置き換えられてなる前記漢字列Lが消去される(ステップA12)。
【0053】
また、前記図8(D)で示したように、漢字「泡」において、図8(F)に示すように、当該旁の構成要素の音符(ホウ「包」)がダブルタップwtされたと判断されると(ステップA13(Yes))、当該ダブルタップwtによりタッチされた構成要素の音符(ホウ「包」)が消去される(ステップA14)。
【0054】
そして、前記漢字「泡」の構成要素の音符(ホウ「包」)が消去された領域に手書き入力枠Hが表示される(ステップA15)。
【0055】
この後、図8(G)に示すように、前記手書き入力枠Hにユーザにより手書き文字hcが入力されると(ステップA15)、この入力された手書き文字hcが漢字認識され、当該手書き文字hcは、図8(H)に示すように、漢字認識された認識文字「去」rcに入れ換えられて表示される(ステップA16)。
【0056】
またこれと共に、前記偏(へん)の構成要素の意符(さんずい)に前記旁(つくり)の構成要素として手書き入力された認識文字(キョ「去」)rcを組み合わせた漢字「法」が存在するか否かが判断され、存在すると判断された場合は結果メッセージ[正解!]Anが表示される(ステップA16)。
【0057】
一方、前記タッチパネル付表示部22に表示されたユーザ指定の漢字「泳」がダブルタッチされてドラッグされたと判断されると(ステップA17(Yes))、前記選択された第三学年の学習対象漢字から別の漢字が指定されて読み出され、学習対象の漢字が変更されて表示される(ステップA18)。
【0058】
(テキストモード)
前記データ処理装置30による制御プログラム32a(学習支援プログラム)の起動に伴い、動作モードの選択画面に対するユーザ操作に応じて、テキストモードが選択されると、例えば前記コンテンツDB32bからユーザ任意に選択されたテキストデータが読み出され、図9(A)に示すように、タッチパネル付表示部22にテキスト画面Gtとして表示される(ステップS1→S2)。
【0059】
このテキスト画面Gtに対するユーザ操作に応じて、前記データ処理装置30により前記テキストデータに含まれる漢字Tがタッチされたと判断されると(ステップS3(Yes))、辞書検索モードまたは漢字学習モードの選択を促すモード選択メニューが生成され、タッチパネル付表示部22に表示される(ステップS4)。
【0060】
前記モード選択メニューに対するユーザ操作に応じて、漢字学習モードが選択されたと判断されると(ステップS5(Yes))、図7のフローチャートで示されるテキスト中の漢字学習処理(2)が起動される(ステップSB)。
【0061】
すると、前記テキスト画面Gtにおいてタッチされて指定された漢字T、この場合「泳」とする、が抽出され、図9(B)に示すように、漢字学習ウインドウGwに表示される。この際、当該漢字T「泳」の偏(へん)の構成要素b1である意符(さんずい)が赤色REに、旁(つくり)の構成要素b2である音符(えい)が青色BLに色分けされて表示される(ステップB1)。
【0062】
そして、前記漢字学習ウインドウGwに表示された漢字「泳」がタッチされたと判断されると(ステップB2(Yes))、前記図8(C)で示した場合と同様に、当該タッチされた構成要素b1(又はb2)の意符(又は音符)の意味m1(又はm2)が前記漢字DB(意符別)32c2(又は漢字DB(音符別)32c3)から読み出されて表示される(ステップB3)。
【0063】
また、前記漢字「泳」の1つの構成要素がフリックされたと判断されると(ステップB4(Yes))、そのフリック操作毎に、前記図8(D)で示した場合と同様に、同フリックfnされた方向が右方向であるときは前記テキストの前記漢字「泳」以降のテキスト中から、左方向であるときは前記テキストの前記漢字「泳」以前のテキスト中から、タッチされた構成要素の意符又は音符が置き換えられて異なる漢字が読み出されて表示される(ステップB5)。
【0064】
また、前記漢字「泳」の1つの構成要素がドラッグdされたと判断されると(ステップB6(Yes))、前記図8(E)で示した場合と同様に、同ドラッグdされた方向が右方向であるときは前記テキストの前記漢字「泳」以降のテキスト中から、左方向であるときは前記テキストの前記漢字「泳」以前のテキスト中から、タッチされた構成要素の意符又は音符が置き換えられて異なる漢字が順次読み出され漢字列Lとして表示される(ステップB7,B8)。
【0065】
この後、前記漢字「泳」に対するドラッグ操作が終了されたと判断されると(ステップB8(Yes))、当該ドラッグされた構成要素の意符(又は音符)が異なる意符(又は音符)に置き換えられてなる前記漢字列Lが消去される(ステップB9)。
【0066】
したがって、前記構成の漢字学習支援装置10によれば、漢字学習モードでは、漢字DB(学年別)32c1に記憶されている学年別の学習対象漢字の一覧から任意の漢字(形声文字)を指定してタッチパネル付表示部22に表示させ、当該漢字の構成要素である意符または音符がタッチされフリック又はドラッグされると、タッチされた構成要素の意符(又は音符)が他の意符(又は音符)に置き換えられて異なる漢字が、前記学年別の学習対象漢字から読み出されて表示される。
【0067】
この際、前記タッチ操作がフリック操作f1,f2,…である場合は、そのフリック操作fn毎に、前記タッチされた構成要素が置き換えられて異なる漢字が読み出されて表示される。また、前記タッチ操作がドラッグ操作dである場合は、そのドラッグ操作dの距離に応じて、前記タッチされた構成要素が置き換えられて異なる漢字が順次読み出されて配列された漢字列Lとして表示される。
【0068】
なお、前記タッチされた構成要素が置き換えられて異なる漢字は、前記フリック操作fnまたは前記ドラッグ操作dの方向に応じて、右方向である場合は前記学習対象漢字のうち前記指定の漢字以降の学習対象漢字から、左方向である場合は前記学習対象漢字のうち前記指定の漢字以前の学習対象漢字から読み出されて表示される。
【0069】
これにより、漢字をその構成要素に基づいて、より簡便に、しかもユーザの学習対象漢字の過去学習分や将来学習分を適宜選択して学習することができる。
【0070】
また、前記構成の漢字学習支援装置10によれば、前記タッチパネル付表示部22に表示させた漢字(形声文字)の構成要素である意符又は音符がダブルタップwtされると、当該構成要素の部位に手書き入力枠Hを表示させる。そして、前記手書き入力枠Hに入力された手書き文字hcが漢字認識されこの認識文字rcが表示されると、前記構成要素が当該認識文字rcに置き換えられた漢字が前記学習対象漢字に存在するか否かが判断され、正解/不正解の結果メッセージAnが表示される。
【0071】
これにより、漢字をその構成要素に基づいて、より簡便に、しかもその構成要素の部位の文字をユーザが実際に手書き入力しながら学習することができる。
【0072】
さらに、前記構成の漢字学習支援装置10によれば、前記タッチパネル付表示部22に表示させた漢字(形声文字)の構成要素である意符又は音符がタッチされると、当該タッチされた意符(又は音符)の意味m1(又はm2)が漢字DB(意符別)32c2(又は漢字DB(音符別)32c3から読み出されて表示される。
【0073】
これにより、前記学習対象漢字から指定した漢字(形声文字)を構成する意符や音符の意味を簡便に表示させて学習することができる。
【0074】
また、前記構成の漢字学習支援装置10によれば、テキストモードが選択された場合は、ユーザ任意に選択されたテキストデータに含まれる漢字の範囲を前記学習対象漢字の範囲として学習できるので、ユーザ所望のテキストデータを対象に、漢字をその構成要素に基づいて、より簡便に学習することができる。
【0075】
なお、前記各実施形態では、前記タッチパネル付表示部22に表示させた漢字に対してのフリック操作fn…やドラッグ操作dは、右方向または左方向への操作があったかを判断し、その方向に応じてタッチされた構成要素の置き換え処理を行なう構成としたが、上方向または下方向への操作があったかを判断して前記同様の処理を行なう構成としてもよいのは勿論である。
【0076】
なお、前記各実施形態において記載した漢字学習支援装置10による各処理の手法およびデータベース(DB)、すなわち、図5のフローチャートに示す漢字学習支援処理、図6のフローチャートに示す前記漢字学習支援処理における漢字学習処理(1)、図7のフローチャートに示す前記漢字学習支援処理における漢字学習処理(2)等の各手法、および漢字DB32c(32c1〜32c3)等の各DBは、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録装置の媒体に格納して配布することができる。そして、電子機器のコンピュータ(制御装置)は、この外部記録装置の媒体に記憶されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明した漢字学習支援機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0077】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク上を伝送させることができ、この通信ネットワークに接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記プログラムのデータを電子機器に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述した漢字学習支援機能を実現することもできる。
【0078】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0079】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0080】
[1]
漢字データを記憶する漢字記憶手段と、
この漢字記憶手段により記憶された漢字データに基づいて、学習対象とする漢字を表示装置に表示させる漢字出力手段と、
前記表示装置に表示された漢字の部位がユーザ操作に応じて指定された場合に、前記漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた漢字を前記漢字記憶手段から取り出して前記表示装置に表示させる置き換え漢字出力手段と、
を備えたことを特徴とする漢字学習支援装置。
【0081】
[2]
前記漢字出力手段は、前記漢字記憶手段により記憶された漢字データの中からユーザ操作に応じて指定された漢字を出力する、
ことを特徴とする[1]に記載の漢字学習支援装置。
【0082】
[3]
前記置き換え漢字出力手段は、漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた漢字を、ユーザの操作に応じて異なる手法で前記漢字記憶手段により記憶された漢字の中から読み出して出力する、
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の漢字学習支援装置。
【0083】
[4]
前記置き換え漢字出力手段は、前記漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた漢字を、ユーザの操作方向が第1の方向である場合は、前記漢字記憶手段により記憶された漢字であって前記漢字出力手段により出力された漢字以降にある漢字の中から読み出して出力し、ユーザの操作方向が第2の方向である場合は、前記漢字記憶手段により記憶された漢字であって前記漢字出力手段により出力された漢字以前にある漢字の中から読み出して出力する、
ことを特徴とする[3]に記載の漢字学習支援装置。
【0084】
[5]
前記置き換え漢字出力手段は、前記漢字の指定の仕方が第1の仕方である場合、前記漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた漢字を出力し、前記漢字の指定の仕方が第2の仕方である場合、当該指定の距離に応じて、前記漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた漢字を順次配列して出力する、
ことを特徴とする[3]に記載の漢字学習支援装置。
【0085】
[6]
前記表示装置に表示された漢字のうちユーザ操作に応じて指定された部位の構成要素を手書き入力枠に換えて出力する手書き枠出力手段と、
この手書き枠出力手段により出力された手書き入力枠に対するユーザ操作に応じて入力された手書き文字を認識する文字認識手段と、
前記漢字の指定の部位の構成要素を前記文字認識手段により認識された文字に置き換えてなる漢字が前記漢字記憶手段により記憶された漢字の中に存在するかを判断する漢字判断手段と、
この漢字判断手段による判断結果を出力する結果出力手段と、
を備えたことを特徴とする[1]ないし[5]の何れかに記載の漢字学習支援装置。
【0086】
[7]
前記漢字記憶手段は、漢字を当該漢字を含むテキストとして記憶する、
ことを特徴とする[1]ないし[6]の何れかに記載の漢字学習支援装置。
【0087】
[8]
電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
漢字データを記憶する漢字記憶手段と、
この漢字記憶手段により記憶された漢字データに基づいて、学習対象とする漢字を表示装置に表示させる漢字出力手段と、
前記表示装置に表示された漢字の部位がユーザ操作に応じて指定された場合に、前記漢字の指定の部位の構成要素を他の構成要素と置き換えた漢字を前記漢字記憶手段から取り出して前記表示装置に表示させる置き換え漢字出力手段、
として機能させるためのコンピュータ読み込み可能なプログラム。
【符号の説明】
【0088】
10 …漢字学習支援装置
10D…電子辞書装置
20 …入出力装置
20T…タブレット端末
21 …キー入力部
21a…[漢字学習]キー
22 …タッチパネル付表示部
23 …入出力制御部
24、34…インターフェイス部
30 …データ処理装置
30S…サーバ装置
31 …制御装置(CPU)
32 …記憶装置
32a…制御プログラム
32b…コンテンツDB
32c…漢字DB
32c1…漢字DB(学年別)
32c2…漢字DB(意符別)
32c3…漢字DB(音符別)
33 …RAM
33a…表示データ記憶領域
33b…指定漢字位置データ記憶領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9