(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387683
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】エネルギー量表示装置
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20180903BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
H02J13/00 301K
H04Q9/00 311J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-106787(P2014-106787)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-223043(P2015-223043A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】平野 智啓
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敏明
(72)【発明者】
【氏名】八島 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼石 智也
【審査官】
小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−266789(JP,A)
【文献】
特開2012−208570(JP,A)
【文献】
特開2011−160358(JP,A)
【文献】
特開2013−078186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対比すべき対象として設定された第1及び第2のエネルギー量を記憶する記憶部を有する制御部と、該制御部からの表示制御によって図形表示を行う表示部とを備え、前記制御部は、第2のエネルギー量に対する第1のエネルギー量の比率に応じたサイズ及び/又は形状の一又は複数の図形を表示させるよう前記表示部を表示制御する、エネルギー量表示装置において、
前記制御部は、前記比率が大きくなるほどサイズが大きくなるように予め設定された第1の相関関係に基づいて設定されたサイズの第1の図形と、前記比率の逆数が大きくなるほどサイズが大きくなるように予め設定された第2の相関関係に基づいて設定されたサイズの第2の図形とを同時に表示させるよう前記表示部を表示制御することを特徴とするエネルギー量表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー量表示装置において、第1のエネルギー量は発電システムの現在の発電電力量であり、第2のエネルギー量は前記発電システムが設置された住居内の現在の使用電力量であり、前記比率が所定値のときに第1及び第2の図形表示のサイズが同じになるように第1及び第2の相関関係が設定されていることを特徴とするエネルギー量表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエネルギー量表示装置において、前記制御部は、第1及び第2の図形表示の中間に、発電電力量と使用電力量との差である売買電電力量に応じたサイズの第3の図形をさらに表示させるよう前記表示部を表示制御することを特徴とするエネルギー量表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電力系統と系統連系される発電装置、家庭内負荷への電力供給装置、又は、給湯器等の家庭内でガスもしくは水道等を使用する装置などと連係して用いられるエネルギー量表示装置に関し、特に使用電力量と発電電力量との対比、先月の発電量と今月の発電量との対比、若しくは、現在の使用量と過去の実績に基づく目標量との対比など、一組の対比されるエネルギー量に係る状況について視覚的に一目で認識し得るエネルギー量表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、近年、太陽光発電パネルの普及に伴い各家庭においても太陽光発電パネルを設置し発電された電力を自宅で使用したり余剰電力は売電したりすることが行われている。特許文献1(例えば
図4参照)では、発電量や使用電力、あるいは、使用ガス量や給湯に使用した水量等のエネルギー使用量に係る情報をモニターに表示することが開示されている。又、特許文献2(
図4〜
図6参照)では、節約電力量の多少に応じてキャラクタの状況を変化させてモニターに表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−178701号公報
【特許文献2】特開2007−272268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のエネルギー使用量表示装置においては、使用電力量に対して発電電力量がどの程度の状況であるかなど、対比すべき2つのエネルギー量の相関を把握するには、モニターに表示されたそれぞれの数値を読み取る必要があり、ユーザーが一目で直感的に把握することができないものであった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、時間経過により変動する第1エネルギー量に係る情報と、この第1エネルギー量と対比すべき対象として設定される第2エネルギー量に係る情報とを対象として、両者の状況を視覚的に一目で把握し得るエネルギー量表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0007】
すなわち、本発明は、対比すべき対象として設定された第1及び第2のエネルギー量を記憶する記憶部を有する制御部と、該制御部からの表示制御によって図形表示を行う表示部とを備え、前記制御部は、第2のエネルギー量に対する第1のエネルギー量の比率に応じたサイズ及び/又は形状の図形を表示させるよう前記表示部を表示制御することを特徴とするものである(請求項1)。
【0008】
かかる本発明のエネルギー量表示装置によれば、対比すべき対象として設定された第1及び第2のエネルギー量の比率に応じたサイズ及び/又は形状の図形表示を表示部に表示させることにより、両者の相関状況を一目で直感的に把握できるようになる。
【0009】
なお、上記図形は一つであってもよいが、第1のエネルギー量に対応する第1の図形と、第2のエネルギー量に対応する第2の図形とを並べて表示させることができ、第1及び第2の図形のサイズ及び/又は形状をそれぞれ上記比率に応じて設定することができる。比率に応じたサイズの一つの図形表示を行わせる場合には、上記比率が所定の境界値よりも大きいか小さいかを一目で把握できるようにするために、境界値に対応する大きさの境界線を表示させることもできる。
【0010】
上記本発明のエネルギー量表示装置において、前記制御部は、前記比率が大きくなるほどサイズが大きくなるように予め設定された第1の相関関係に基づいて設定されたサイズの第1の図形と、前記比率の逆数が大きくなるほどサイズが大きくなるように予め設定された第2の相関関係に基づいて設定されたサイズの第2の図形とを同時に表示させるよう前記表示部を表示制御するものであってよい(請求項
1)。これによれば、第1のエネルギー量の第2のエネルギー量に対する比率が大きいほど第1のエネルギー量に対応する第1の図形のサイズを大きく表示するとともに、第2のエネルギー量の第1のエネルギー量に対する比率が大きいほど第2のエネルギー量に対応する第2の図形のサイズを大きく表示することができ、2つの図形表示によってより一層直感的に第1及び第2のエネルギー量の相関状況を把握可能となる。
【0011】
さらに、第1のエネルギー量は発電システムの現在の発電電力量であり、第2のエネルギー量は前記発電システムが設置された住居内の現在の使用電力量であり、前記比率が所定値のときに第1及び第2の図形表示のサイズが同じになるように第1及び第2の相関関係が設定されているものとすることができる(請求項
2)。これによれば、使用電力量に対する発電電力量の比率が所定値の場合に2つの図形表示のサイズが同じになるので、例えば所定値を1.0に設定したときには使用電力量と発電電力量とが均衡している場合に図形表示のサイズを同じにすることができ、また、所定値を3.0に設定したときにはユーザーの使用電力量に対して発電電力量が3倍大きい場合に図形表示のサイズを同じにすることができて、売電を目的として発電システムを設置しているユーザーの利便性を向上できる。
【0012】
さらに、前記制御部は、第1及び第2の図形表示の中間に、発電電力量と使用電力量との差である売買電電力量に応じたサイズの第3の図形をさらに表示させるよう前記表示部を表示制御するものとすることができる(請求項
3)。これによれば、発電電力量に対する使用電力量の比率と使用電力量に対する発電電力量の比率を第1及び第2の図形表示により行いつつ、実際に売買電されている電力量の大きさをも第3の図形表示によって直感的に把握することができる。
【0013】
なお、少なくとも第1のエネルギー量は時間経過により変動するもの(例えば、発電電力量、使用電力量、ガスなどの燃料使用量、水使用量など)であり、本発明のエネルギー表示装置は、前記記憶部に記憶される第1のエネルギー量を計測するエネルギー量計測部をさらに備えることができる。これによれば、リアルタイムに変動する第1のエネルギー量に応じて第1の図形表示のサイズ及び/又は形状を動的に変更しながら表示させることができる。なお、第2のエネルギー量も時間経過により変動するものであってよいが、予め設定された目標エネルギー量や、先月などの所定期間の実績エネルギー量や今月の経過日数等に基づいて算出される目標エネルギー量を第2のエネルギー量とすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係るエネルギー量表示装置によれば、対比すべき対象として設定された第1及び第2のエネルギー量の比率に応じたサイズ及び/又は形状の図形表示を表示部に表示させることにより、両者の相関状況を一目で直感的に把握できるようになる。
【0015】
さらに、本発明の請求項
1に係るエネルギー量表示装置によれば、第1のエネルギー量の第2のエネルギー量に対する比率が大きいほど第1のエネルギー量に対応する第1の図形のサイズを大きく表示するとともに、第2のエネルギー量の第1のエネルギー量に対する比率が大きいほど第2のエネルギー量に対応する第2の図形のサイズを大きく表示することができ、2つの図形表示によってより一層直感的に第1及び第2のエネルギー量の相関状況を把握可能となる。
【0016】
本発明の請求項
2に係るエネルギー量表示装置によれば、使用電力量に対する発電電力量の比率が所定値の場合に2つの図形表示のサイズが同じになるので、例えば所定値を1.0に設定したときには使用電力量と発電電力量とが均衡している場合に図形表示のサイズを同じにすることができ、また、所定値を3.0に設定したときにはユーザーの使用電力量に対して発電電力量が3倍大きい場合に図形表示のサイズを同じにすることができて、売電を目的として発電システムを設置しているユーザーの利便性を向上できる。
【0017】
本発明の請求項
3に係るエネルギー量表示装置によれば、発電電力量に対する使用電力量の比率と使用電力量に対する発電電力量の比率を第1及び第2の図形表示により行いつつ、実際に売買電されている電力量の大きさをも第3の図形表示によって直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るエネルギー量表示装置を具備する発電システムの概略ブロック構成図である。
【
図2】同エネルギー量表示装置の画面表示の一実施例を示す正面図である。
【
図3】同エネルギー量表示装置の画面表示の別の実施例を示す正面図であり、(a)は売電時の表示例、(b)は買電時の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、一戸建等の住居に設置される発電システムの基本構成を示している。この発電システムは、例えば太陽電池パネル等により構成される発電部1で発電される直流電力をパワーコンディショナー2によって商用電力系統に系統連係する交流電力に変換して住居内の電気負荷3に電力供給するとともに、その余剰電力が商用電力系統へ逆潮流するように構成されている。
【0021】
商用電力系統の柱上トランスから住居に引き込まれる単層3線式の引き込み線4は、買電用メーター5及び売電用メーター6を介して配電盤7に接続されている。配電盤7には、アンペアブレーカー8(契約ブレーカー)、漏電ブレーカー9及び安全ブレーカー10が設けられ、これらブレーカー8,9,10を介して系統電力が電気負荷3に供給される。また、配電盤7には、安全ブレーカー10から系統電力の供給を受ける電力測定ユニット11が設けられている。パワーコンディショナー2の出力は発電用ブレーカー12を介してアンペアブレーカー8と漏電ブレーカー9との間の接続部13で系統に並列に接続されている。
【0022】
また、上記接続部13よりも引き込み線4側には、系統を流れる電流値を検出するためのカレントトランス14(電流センサ)が設けられており、このカレントトランス14は電力測定ユニット11(エネルギー量測定部)に電気的に接続されて、その検出値が電力測定ユニット11に供給されている。電力測定ユニット11は、安全ブレーカー10から供給される系統電力の系統電圧と、カレントトランス14により検出された電流値とに基づき、単位時間(例えば、数10ミリ秒)あたりの商用電力系統に対する売買電電力量を周期的に演算して、演算により求められた売買電電力量(瞬時値)を信号線15を介してパワーコンディショナー2へシリアル通信により送出する。演算により求められる売買電電力量は、系統から電力を購入している場合(買電の場合)は正の値となり、系統へ逆潮流している場合(売電の場合)は負の値となるようにしている。また、電力測定ユニット11には、ガスメーター16や水道メーター17等と通信接続されて、住居内で消費されるガス使用量や水道使用量等も計測できるようになっている。なお、ガスメータ16や水道メータ17は、例えば単位使用量毎にパルス出力するものであってよく、この場合、電力測定ユニット11側では総使用量としてガス使用量や水道使用量を計測することができる。そして、これらガス使用量や水道使用量をも信号線15を介してパワーコンディショナ2へ送出するように構成している。なお、図示実施例では、電力測定ユニット11がパワーコンディショナー2とは別に設けられているが、電力測定ユニット11をパワーコンディショナー2に内蔵することもできる。
【0023】
パワーコンディショナー2は、制御部21と、発電部1で発電された直流電力を昇圧して出力するDC/DCコンバーター22と、該コンバーター22の出力をDC/AC変換するインバーター23を備えており、コンバータ22及びインバーター23の動作は最大出力が得られるよう制御部21によって制御され、該インバーター23の出力がパワーコンディショナー2の出力となる。なお、制御部21は、出力される交流電力の力率を制御することにより系統電圧の上昇抑制を行う無効電力制御機能、出力の有効電力を抑制する出力抑制制御機能、並びに、系統電圧が系統連系規程に定められる所定電圧を超えたときに発電システムを系統から解列させる解列制御機能を具備している。これら各機能はマイコンのシーケンス制御によって実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)により構成しても良いし、各手段毎の専用制御回路によって実現してもよい。
【0024】
制御部21には、信号線15を介して上記の売買電電力量、ガス使用量及び水道使用量に関するデータが入力されている。また、パワーコンディショナー2は、単位時間ごと(例えば数10ミリ秒毎)の瞬時発電電力量を計測するための発電電力量計測部(エネルギー量計測部)を備えている。該計測部は、例えば、パワーコンディショナー2の出力電圧センサ及び出力電流センサ(図示せず)と上記制御部21とによって構成することができ、制御部21は、単位時間内の出力電圧の平均値と出力電流の平均値と単位時間とを掛け合わせることによって瞬時発電電力量を計測可能である。
【0025】
そして、パワーコンディショナー2には、本実施形態に係る外付けのエネルギー量表示装置30が有線乃至無線によって通信可能に接続されており、パワーコンディショナー2の制御部21からエネルギー量表示装置30に対して、単位時間毎の瞬時発電電力量、瞬時売買電電力量、及び、ガス使用量(総量)並びに水道使用量(総量)が周期的に送信されるようになっている。エネルギー量表示装置30は屋内に設置され、例えばカラー表示可能なドットマトリクスLCDにより構成された表示モニター31と、該表示モニター31における各種表示を制御する制御部(図示せず)とを備えている。制御部はマイクロプロセッサーやメモリ(記憶部)などにより主構成されており、パワーコンディショナ2の制御部21から受信した瞬時発電電力量、瞬時売買電電力量、ガス使用量及び水道使用量を、受信毎にメモリに更新して記憶するとともに、瞬時発電電力量と瞬時売買電電力量とに基づいて単位時間あたりの電気負荷3における瞬時電力使用量を算出して、この瞬時電力使用量をもメモリに随時更新して記憶する。また、例えば月毎の発電電力量及び使用電力量のそれぞれの積算値や月毎のガス使用総量及び水道使用総量を演算により求めてメモリに記憶しておくこともでき、さらに過去の月毎の電力、ガス及び水道の使用総量を過去の実績値としてメモリに保存しておくこともできる。なお、上記積算値の演算や使用総量の演算などは、パワーコンディショナ2の制御部21や、電力測定ユニット11により行ってエネルギー量表示装置30にデータ送信するように構成することもできる。
【0026】
エネルギー量表示装置30は、タッチパネルや適宜の操作スイッチの操作によって種々の表示を行うことができるものであって、例えば、瞬時発電電力量と瞬時使用電力量とを対比するために発電状況と電力使用状況とを図形表示したり、今月分の電力、ガス又は水道の使用量の積算値(総量)と現時点における目標使用量とを対比する図形表示を行ったりすることができる。
【0027】
次に、エネルギー量表示装置30の表示モニター31に対する制御部による表示制御の一例について
図2を参照しつつ詳細に説明する。
図2に示す実施例では、メモリに記憶された瞬時発電電力量(第1のエネルギー量)と瞬時売買電電力量(第2のエネルギー量)とに基づいて、現時点の発電状況と電力使用状況と売買電電力量とを3つの円図形により表示するよう制御部が表示モニター31を表示制御している。この表示画面の左側には瞬時発電電力量に対応する第1の円図形32が表示され、表示画面の右側には瞬時使用電力量に対応する第2の円図形33が表示され、これら第1及び第2の円図形32,33の中間には瞬時売買電電力量に対応する第3の円図形34が表示されている。
【0028】
第1及び第2の円図形32,33の直径(サイズ)は、瞬時使用電力量に対する瞬時発電電力量の比率Cに基づいて、所定の数式乃至テーブル(相関関係)を用いて設定されている。例えば、第1の円図形32の直径R1は、R1=0.25×比率C+0.5(単位:cm)の数式(第1の相関関係)によって算出することができ、また、所定の上限値(例えば3cm)と下限値(例えば1cm)とを設定しておくこともできる。また、第2の円図形33の直径R2は、R2=3÷比率C+0.5(単位:cm)の数式(第2の相関関係)によって算出することができ、また、所定の上限値(例えば3cm)と下限値(例えば1cm)とを設定しておくことができる。第1の円図形32の内部には「売電」の文字表示を行うとともに現時点の瞬時発電電力量を1時間単位に換算した数値を表示している。また、第2の円図形33の内部には「使用」の文字表示を行うとともに現時点の瞬時発電電力量を1時間単位に換算した数値を表示している。これら文字表示及び換算数値の文字サイズは、第1及び第2の円図形32,33のそれぞれの直径に見合ったサイズに設定されている。この文字サイズも、所定の数式乃至テーブルを用いて設定することができる。なお、各直径R1,R2に、各電力量の絶対値を反映させるために、各数式の定数項に代えて若しくは定数項に加えて、各電力量に所定の係数を乗算した値を加算することも可能である。
【0029】
また、第3の円図形34の直径(サイズ)は、メモリに記憶された瞬時売買電電力量に基づいて所定の数式乃至テーブルを用いて設定されている。例えば、第3の円図形34の直径R3は、瞬時売買電電力量を1時間単位に換算した数値とすることができ、3kWhの場合は3cmのサイズとすることができる。この第3の円図形34の直径も上限値及び下限値を設定することができる。第3の円図形34の内部には、現在売電しているか買電しているかを示す文字表示を行うとともに瞬時売買電電力量を1時間単位に換算した数値を表示している。なお、第3の円図形34の表示色を、売電中と買電中とで変えることによって、現在の売買電状況をより把握し易くすることができる。
【0030】
発電システムの瞬間発電電力量が4kWhの場合を「発電:大」、2kWhの場合を「発電:中」、1kWhの場合を「発電:小」とし、住居内の電気負荷3における最大瞬間使用電力量を4kWhと仮定するとともに待機電力量を0.5kWhと仮定して、瞬間使用電力量が4kWhの場合を「使用:大」、2kWhの場合を「使用:中」、0.5kWhの場合を「使用:小」とすると、第1の円図形32の発電直径R1と第2の円図形33の使用直径R2は、次の表1のようになる。
【0032】
上記数式により得られる値は表1中の「計算結果」の欄に表示してあり、上限値及び下限値をそれぞれ3.0と1.0として導出された値が「上下限カット」の欄に表示されており、エネルギー量表示装置30の制御部は、この上下限カット値を第1及び第2の円図形32,33の直径として用いて表示モニター31に各円図形32,33を表示させるよう表示制御する。なお、各円図形32,33は、円図形描画ルーチンによって実質的に無段階で直径を変更して表示されるものであってもよく、また、予め直径の異なる複数の円図形表示用ビットマップデータを用意しておき、上記数式によって得られた直径に最も近い直径のビットマップデータを用いて各円図形32,33を表示制御することも可能である。また、上記実施例では、瞬間使用電力量に対する瞬間発電電力量の比率が約3.464のときに、第1及び第2の円図形32,33のサイズが同じになる。
【0033】
表1から明かなように、本実施例によれば、使用電力量に対して発電電力量が十分大きな場合に発電直径R1を大きく表示させることによって、使用電力量との対比において十分は発電がなされていることを直感的に把握することができる。また、発電電力量に対して使用電力量が同等乃至大きい場合には、使用直径R2を大きく表示させることによって、発電電力量に対して電力消費が多すぎることをユーザーに直感的に促して、節電意識を向上させることができる。
【0034】
なお、上記実施例では、瞬間使用電力量と瞬間発電電力量と瞬間売買電電力量とを図形表示する例として説明したが、制御部は、現在時刻が属する日の基準時刻からの累積使用電力量、累積発電電力量及び累積売買電電力量など、所定期間の累積量をもメモリに記憶しておき、これら累積量に基づいて各円図形32,33,34を表示させるように構成することもできる。
【0035】
第1、第2及び第3の円図形32,33,34の直径を設定する他の方法としてテーブル参照を用いることもできる。例えば、下記の表2には、使用電力量に対する発電電力量の比率と、使用電力量とに応じて、各円図形32,33,34の直径を設定するためのテーブルの一例を示している。
【0037】
表2に示すように、使用電力量を所定範囲毎に区分して、各区分毎に使用電力量に対する発電電力量の比率に応じて各円図形32,33,34の直径を設定するためのテーブル(相関関係)を個別に設けておくことによって、使用電力量や発電電力量の絶対値を各円図形32,33,34の直径に反映しつつ、発電電力量や売買電電力量を、使用電力量を表す第2の円図形33に対する第1及び第3の円図形32,34の大きさの比率として直感的に把握することが可能となる。なお、表2中の斜線枠部分は、発電システムの発電出力の最大値を超える発電量となるため設定していないが、設定しておくことも可能である。また、各円図形32,33,34内の各文字表示の大きさも、同様のテーブルによって設定することができる。
【0038】
図3は、エネルギー量表示装置30の表示モニター31における図形表示の別の実施例を示しており、(a)は売電時、(b)は買電時の表示例を示している。本実施例では、使用電力量に対する発電電力量の比率が大きくなるにしたがって直径(サイズ)の大きな円図形35を表示モニター31に表示させるとともに、円図形35と同心円状に、上記比率が1.0のときの直径の円形状の境界線36を表示させることによって、使用電力量に対して発電電力量がどの程度大きいかを直感的に把握できるようにしている。なお、円図形35の内部には、該図形35が使用電力量に対する発電電力量の比率を示していることを分りやすく示すために、「発電/使用」の文字表示を行っている。また、現在の売買電状況並びに売買電電力量を直感的に把握できるようにするために、上記円図形35の側方に、
図2の実施例と同様の売買電電力量に対応する円図形34を表示させている。
【0039】
本実施例によっても、円図形35の表示によって、現在買電中であるか売電中であるかを一目で直感的に把握可能であるとともに、その売買電電力量を円図形34の大きさによって直感的に把握することができる。
【0040】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。例えば、上記実施形態では使用電力量に対する発電電力量の比率を変数とする一次関数式によって各図形のサイズを設定したが、上記比率を変数とする二次関数式によって各図形のサイズを設定することもでき、その他適宜の数式を用いることができる。また、上記実施形態では円図形のサイズを変えることによって第2のエネルギー量に対する第1のエネルギー量の程度を表示させたが、サイズの変更とともに、或いは、サイズの変更に代えて、図形の形状を代えることによって第2のエネルギー量に対する第1のエネルギー量の程度を表示させることも可能であり、例えば、第2のエネルギー量に対する第1のエネルギー量の比率が大きくなるにつれて円形から星形に変形していくような図形表示を行わせることもできる。
【0041】
また、上記実施形態では対比表示する対象を使用電力量と発電電力量としたが、売電電力量の累計値と買電電力量の累計値、今月の使用電力量の累計値と先月或いは前年同月の使用電力量、今月の現在までの使用電力量の累計値と現在の目標使用電力量など、適宜のエネルギー量の対比表示に本発明を適用することが可能である。さらに、ガス使用量や水道使用量についても、目標量と使用量とについて対比表示させることができる。この場合、使用電力量、ガス使用量、水道使用量の全てについて、所定の操作によって表示画面を切換えつつ対比表示可能とすることもできる。
【0042】
さらに、前記実施形態のエネルギー使用量表示装置を給湯器に通信接続し、給湯器で消費されるガス量や水道量について、例えば目標量と使用量の対比、あるいは、過去の使用実績量と現在の使用量との対比について表示させるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
30 エネルギー量表示装置
31 表示部(表示モニター)
32 第1の図形表示
33 第2の図形表示
34 第3の図形表示