(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1のプリント配線板であって、前記第1導体層は、前記スルーホール導体上の導体と前記スルーホール導体の周りに形成されている導体とからなる前記スルーホール導体のランドを含み、前記ランドは凹部を有し、前記凹部の深さが10μm未満である。
請求項1のプリント配線板であって、前記絶縁基板は、複数枚の補強部材を含み、前記補強部材は前記絶縁基板の前記第1面と略平行に絶縁基板内に形成されていて、前記接合面は、隣接する前記補強部材の間に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特許文献1の
図3Fに示される導電性コラムと同様なスルーホール導体360の断面が
図4(B)に示される。
図4(B)に示されるスルーホール導体は参考例のスルーホール導体である。参考例のスルーホール導体用の貫通孔280の模式図が
図4(A)に示される。
図4(A)や
図4(B)は、貫通孔280と貫通孔を充填しているスルーホール導体360を示している。貫通孔280は、第1開口部280fと第2開口部280sで形成されている。第1開口部280fと第2開口部280sの接合箇所に接合面280cが形成されている。接合面280cに斜線が描かれている。参考例のスルーホール導体は、
図4(B)に示されるように、第1開口部と第2開口部の接合箇所に屈曲点280P1、280P2を有する。
図4(B)に示されるように、屈曲点280P1は、貫通孔の右側の側壁に形成されていて、屈曲点280P2は、貫通孔の左側の側壁に形成されている。ヒートサイクル等でスルーホール導体がストレスを受けると、屈強点にストレスが集中すると予想される。
図4(B)に示されるように、屈曲点280P1と屈曲点280P2との間の距離K10は短い。さらに、参考例では、貫通孔はめっきで充填されている。そのため、例えば、ストレスは、屈曲点280P1から屈曲点280P2に最短距離で到達すると考えられる。その様子が
図4(C)に示されている。
図4(C)中の円は接合面280cを示し、接合面内の矢印はストレスの経路である。
図4(C)に示されるように、参考例では貫通孔の一方の側壁から他方の側壁に最短距離でストレスが到達する。その結果、参考例の貫通孔の径が小さくなると、スルーホール導体の接続信頼性が低下すると予想される。
【0009】
特許文献1の15段落によれば、特許文献1では、貫通孔が完全にめっきで充填されている。その時、誘電体層上にもめっきが形成される。特許文献1では、貫通孔がめっきで完全に充填されるため、誘電体層上に形成されるめっき膜の厚みが厚いと予想される。誘電体層上のめっき膜が厚いと、誘電体層上に微細な導体回路を形成することが難しい。従って、特許文献1の技術で高密度なプリント配線板を提供することは難しいと考えられる。
【0010】
図2(A)は、実施形態のプリント配線板10の断面図を示す。プリント配線板10は、コア基板30とコア基板30の両面に形成されているビルドアップ層55F、55Sを有する。ビルドアップ層55Fは、上側のビルドアップ層であり、ビルドアップ層55Sは下側のビルドアップ層である。
【0011】
コア基板は、第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有する絶縁基板20Zと絶縁基板の第1面F上に形成されている第1導体層34Fと第2面S上に形成されている第2導体層34Sと絶縁基板20Zを貫通し第1導体層34Fと第2導体層34Sとを接続するスルーホール導体36とで形成されている。スルーホール導体36は、絶縁基板を貫通する貫通孔28内に形成される。貫通孔28の模式図が
図3(A)に示され、スルーホール導体36の断面図が
図2(B)に示されている。
図3(A)に示されるように、貫通孔28は、絶縁基板の第1面Fに形成されている第1開口28Fを有する第1開口部28fと絶縁基板の第2面Sに形成されている第2開口28Sを有する第2開口部28sと第1開口部28fと第2開口部28sの接合箇所に形成されている接合面28cとで形成されている。接合面28cに斜線が描かれている。また、
図2(B)に示されるように、貫通孔28は第1開口部28fの側壁と第2開口部の側壁の接合箇所に接合部28Pを有する。
図2(B)と
図3(B)、
図3(C)、
図3(D)は、接合面28cの重心を通り絶縁基板の第1面に垂直な面で貫通孔28を切断することで得られる図である。
図2(B)に右側の接合部28PRと左側の接合部28PLが示される。
第1開口部28fは第1面から第2面に向かってテーパーしていることが好ましい。第2開口部28sは第2面から第1面に向かってテーパーしていることが好ましい。接合面28cの径d3は、第1開口部の第1開口28Fの径d1および第2開口部の第2開口28Sの径d2より小さい。
接合面28cの径d3は、
図3(B)に示される接合部28PRと接合部28PLとの間の距離である。第1開口28Fの径は第1面上の直径であり、第2開口28Sの径は第2面上の直径である。接合面の径d3は、第1開口の径d1や第2開口の径d2より小さい。そして、絶縁基板の第1面と第1開口部の側壁との間の角度(第1角度)θ1は97度から110度であり、絶縁基板の第2面と第2開口部の側壁との間の角度(第2角度)θ2は97度から110度である。θ1やθ2は
図5(A)と
図5(B)に示されている。
【0012】
図2(A)に示されるように、コア基板30の第1面F上に上側のビルドアップ層55Fが形成されている。上側のビルドアップ層55Fは、交互に積層されている導体層58F、158Fと樹脂絶縁層50F、150Fを有する。さらに、上側のビルドアップ層55Fは、樹脂絶縁層を貫通し隣接する導体層を接続するビア導体60F、160Fを有する。上側のビルドアップ層55F上に開口71Fを有する上側のソルダーレジスト層70Fが形成されている。開口71Fにより上側のパッド158FPが露出される。上側のパッド158FP上にICチップ実装用の半田バンプ76Fが形成されている。パッド158FP上にパッドの酸化を防止するための保護膜72が形成されている。
【0013】
図2(A)に示されるように、コア基板30の第2面F上に下側のビルドアップ層55Sが形成されている。下側のビルドアップ層55Sは、交互に積層されている導体層58S、158Sと樹脂絶縁層50S、150Sを有する。さらに、下側のビルドアップ層55Sは、樹脂絶縁層を貫通し隣接する導体層を接続するビア導体60S、160Sを有する。下側のビルドアップ層55S上に開口71Sを有する下側のソルダーレジスト層70Sが形成されている。開口71Sにより下側のパッド158SPが露出される。下側のパッド158SP上にマザーボードと接続するための半田バンプ76Sが形成されている。パッド158SP上にパッドの酸化を防止するための保護膜72が形成されている。
【0014】
図2(B)にコア基板の一部が示されている。
図2(B)はスルーホール導体の拡大図であり、スルーホール導体とスルーホール導体の周りの絶縁基板を示している。
スルーホール導体36は、補強部材18F、18Sと樹脂とを含む絶縁基板20Zを貫通する貫通孔28内に形成されている。補強部材の例は、ガラス繊維またはアラミド繊維などの不織布やガラスクロスである。ガラスクロスが好ましい。
図2(A)に示されるように、補強部材は絶縁基板20Zの第1面と略平行に絶縁基板内に形成されている。補強部材は1枚でもよいが、
図2(A)に示されるように、補強部材18F、18Sは複数であることが好ましい。絶縁基板の強度や剛性が高くなる。補強部材の数は2枚が好ましい。
【0015】
補強部材18F、18Sが複数の場合、接合面28cは、隣接する補強部材の間に位置する。
絶縁基板20Zが2枚の補強部材を含む場合、絶縁基板20Zは、
図1(A)に示されるように第1樹脂層16cと第1樹脂層16cを挟む第1補強部材18Fと第2補強部材18Sと第1補強部材上の第2樹脂層16Fと第2補強部材上の第3樹脂層16Sで形成される。樹脂層16c、16F、16Sは補強部材を含まない。樹脂層16c、16F、16Sは樹脂と無機粒子を含んでも良い。補強部材を含む層18F、18Sは、補強部材と樹脂で形成される。補強部材を含む層18F、18Sは、さらに、無機粒子を含んでも良い。
【0016】
図3(B)等に示される貫通孔28内にスルーホール導体36が形成されている。
図2(A)や
図2(B)に示されるように、スルーホール導体はボイドBBを含む。スルーホール導体内にボイドが形成されている。
図5に実施形態と参考例の貫通孔が示される。
図5に示される各貫通孔28、281、282は、絶縁基板の第1面Fに形成されている第1開口28F、281F、282Fを有する第1開口部28f、281f、282fと絶縁基板の第2面Sに形成されている第2開口28S、281S、282Sを有する第2開口部28s、281s、282sと第1開口部と第2開口部の接合箇所に形成されている接合面28c、281c、282cとで形成されている。そして、
図5(A)と
図5(C)、
図5(E)は、第1開口28F、281F、282Fの重心を通り絶縁基板の第1面Fに垂直な面で貫通孔を切断することで得られる貫通孔の断面図である。
図5(A)と
図5(C)、
図5(E)中に絶縁基板の第1面と第1開口部の側壁との間の角度θ1、θ11、θ12が示されていて、角度θ1、θ11、θ12は第1角度である。第1角度は、
図5(A)と
図5(C)、
図5(E)から求められる。
図5(B)と
図5(D)、
図5(F)は、第2開口28S、281S、282Sの重心を通り絶縁基板の第2面Sに垂直な面で貫通孔を切断することで得られる貫通孔の断面図である。
図5(B)と
図5(D)、
図5(F)中に絶縁基板の第2面と第2開口部の側壁との間の角度θ2,θ21,θ22が示されていて、角度θ2、θ21,θ22は第2角度である。第2角度は、
図5(B)と
図5(D)、
図5(F)から求められる。
図5(A)と
図5(B)は、実施形態の貫通孔28を示す。
図5(C)と
図5(D)は、参考例1の貫通孔281を示す。
図5(E)と
図5(F)は、参考例2の貫通孔282を示す。
図5中の各貫通孔28、281、282の第1開口の径の大きさは同じである。
図5中の各貫通孔28,281,282の第2開口の径の大きさは同じである。
実施形態の貫通孔28は所定の角度θ1、θ2を有する。参考例1の貫通孔281の角度θ11、θ21は、110度より大きい。参考例2の貫通孔282の角度θ12、θ22は、97度より小さい。そのため、接合面の径d3は、参考例1、実施形態、参考例2の順で大きくなる。その様子が
図5(G)に示されている。
参考例1では、接合面の径が小さいので、特許文献1に示されるように、貫通孔はめっきで充填される。参考例1のスルーホール導体はボイドを含まない。しかしながら、参考例1では、接合面の径が小さいため、
図4(C)に示されるように、屈曲点280P1から屈曲点280P2に容易にストレスが到達する。参考例1のスルーホール導体の信頼性は低い。
【0017】
参考例2では、接合面の径が大きすぎる。そのため、貫通孔内のめっきの析出が十分に行われる前に、第1開口や第2開口がめっきで閉じられる。その結果、スルーホール導体内のボイドが大きすぎる。スルーホール導体のめっき膜の厚みtが薄すぎる。参考例2では、厚みtの値が15μm未満となる。参考例2では、スルーホール導体のめっき膜の厚みtが薄いため、ヒートサイクルでスルーホール導体が伸縮を繰り返すと、スルーホール導体が劣化する。
実施形態の角度θ1、θ2は参考例1の角度θ11、θ21より小さい。そのため、貫通孔28をめっきで完全に充填することが難しい。また、実施形態の角度θ1、θ2は参考例2の角度θ12、θ22より大きい。貫通孔内のめっきの析出が実施形態と参考例2で比較されると、実施形態は参考例2より優れる。そのため、実施形態のスルーホール導体のめっき膜の厚みtは15μm以上となる。実施形態のスルーホール導体はボイドを含む。そして、実施形態のスルーホール導体のめっき膜の厚みは15μm以上である。そのため、ヒートサイクルでスルーホール導体が伸縮を繰り返しても、実施形態のスルーホール導体は劣化しがたい。実施形態と参考例でめっき膜の厚みtは貫通孔の側壁とボイドとの間に形成されているめっき膜の厚みの内、最小のめっき膜の厚みである。例えば、ボイドが楕円の場合、めっき膜の厚みtが
図4(D)に示されている。また、
図4(D)に示されるように、スルーホール導体がボイドを有するため、屈曲点280P1と屈曲点280P2との間の経路P12の距離が長くなる。
図4(D)は、実施形態の接合面を示している。経路P12は実線で示されている。経路は屈曲点P280P1からボイドに至る。そして、経路はボイドの外周を約半周回る。その後、経路はボイドの外周から屈曲点P280P2に至る。接合部にストレスが集中しても、経路が長いので、実施形態のスルーホール導体の信頼性が低下しがたい。
【0018】
補強部材は貫通孔の側壁から貫通孔内に突出してもよい。その場合、補強部材はスルーホール導体に食い込む。スルーホール導体がボイドを有しても、スルーホール導体が貫通孔の側壁からはがれ難い。ボイドを有するスルーホール導体の信頼性が低下しない。
【0019】
絶縁基板20Zが複数の補強部材18F、18Sを含む場合、第1補強部材18Fは第1開口部28f内のスルーホール導体に食い込み、第2補強部材18Sは第2開口部28s内のスルーホール導体に食い込む。接合面は補強部材18Fと補強部材18Sとの間に位置する。接合部28PRと接合部28PLの間にボイドが形成されている。接合箇所の位置と補強部材の位置は一致しない。貫通孔28の接合部や接合面は第1補強部材18Fと第2補強部材18Sに挟まれている第1樹脂層16c内に形成されている。接合部と屈曲点は実質的に同じ箇所である。
【0020】
図2(B)に示されているスルーホール導体用の貫通孔の角度θ1、θ2は97度から110度である。さらに、補強部材が2枚であって、補強部材が貫通孔内に突出する。補強部材18F、18Sはスルーホール導体に食い込んでいる。
図2(B)に示されるように、ボイドBBが補強部材18Fと補強部材18Sとの間のスルーホール導体内に位置する。補強部材18Fと補強部材18Sとの間の位置DSは
図2(B)に示されている。位置DSは2枚の補強部材18F、18Sで挟まれている。
図2(B)に示されるように、ボイドBBを含んでいるスルーホール導体部分の上下に形成されているスルーホール導体部分に補強部材が食い込んでいる。そのため、高温時のボイドの膨張が抑制される。
図2(B)に示されているスルーホール導体によれば、スルーホール導体がボイドを有しても、スルーホール導体の信頼性が低下しがたい。
【0021】
図3(B)に示されるように接合部28PR、28PLは、コア基板30の厚み方向の略中央部CCに位置することが望ましい。第1開口部内の導体の体積と第2開口部内の導体の体積が略均しくなる。反りを抑制することが可能となる。
【0022】
2枚の補強部材を有する実施形態では、補強部材が貫通孔内に突出する。補強部材18Fを貫通している部分の貫通孔の径d4が接合面の径d3より小さくても良い。補強部材18Sを貫通している部分の貫通孔の径d5が接合面の径d3より小さくても良い。その場合、補強部材18F、18Sに形成されている開口はめっきで閉じられる。位置DSに確実にボイドが形成される。しかしながら、実施形態では、角度θ1、θ2は97度から110度であるので、ボイドBBと貫通孔28の側壁との間のめっき膜の厚みtは、15μm以上となる。
【0023】
実施形態のプリント配線板では、スルーホール導体を形成するめっき膜は、第1導体層や第2導体層を形成する。スルーホール導体がボイドBBを有するため、第1導体層や第2導体層の厚みが薄くなる。そのため、第1導体層や第2導体層は微細な導体回路やスルーホール導体のランドを有する。高密度なコア基板が形成される。スルーホール導体間のピッチが狭くなる。
【0024】
貫通孔28の接合面の径d3が、45μm以上75μm以下であり、貫通孔28の第1開口の径d1と第2開口の径d2が、55μm以上120μm以下であることが好ましい。スルーホール導体36のボイドBBと貫通孔28の側壁との間の距離(めっき膜の厚み)tが20μm以上になる。
【0025】
絶縁基板の厚みTは75μm〜200μmであることが好ましい。絶縁基板の厚みが75μm未満であると、厚みが薄いので、貫通孔はめっきで充填される。スルーホール導体内にボイドを形成することが難しい。
絶縁基板の厚みが200μmを超えると、スルーホール導体内のボイドが大きくなる。めっき膜の厚みtが15μm未満になりやすい。
【0026】
図3(C)は、スルーホール導体の別例を示す。
図3(C)に示されるように、別例のスルーホール導体36のランド36FR、36SRは、凹部36Fr、36Srを有する。スルーホール導体36のランド36FR、36SRが凹部36Fr、36Srを有すると、スルーホール導体36を形成するめっき膜の体積が少なくなる。そのため、スルーホール導体と同時に形成される第1導体層や第2導体層の厚みが薄くなる。例えば、第1導体層や第2導体層の厚みは15μm以下になる。また、スルーホール導体内にボイドが確実に形成される。
凹部36Fr、36Srの深さX1、X2は10μm未満であることが望ましい。凹部の深さX1、X2が10μm以上であると、凹部の上に形成される樹脂絶縁層50F、50Sの平坦性が低下する。そのため、スルーホール導体のランド上に形成される導体層58F、58Sが断線やショート等の不具合を有する。また、貫通孔内のめっき膜の体積が少ないので、めっき膜の厚みtが15μm未満になりやすい。
【0027】
実施形態のプリント配線板10の製造方法が
図1に示される。
図1(A)に示される出発基板が準備される。出発基板20は、第1面Fと第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板20Zと絶縁基板20Zの第1面に積層されている第1金属箔22Fと絶縁基板20Zの第2面に積層されている第2金属箔22Sで形成されている。絶縁基板20Zの厚みTは200μmである。絶縁基板20Zは樹脂と補強部材で形成されている。絶縁基板20Zは無機粒子を有しても良い。絶縁基板20Zの樹脂の例は、エポキシ樹脂やBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂である。絶縁基板20Zの補強部材の例はガラスクロスやアラミド繊維である。絶縁基板20Zの無機粒子の例はシリカやアルミナである。出発基板20の金属箔は銅箔であり、金属箔の厚みは、5μmである。
図1(A)の絶縁基板20Zは、第1樹脂層16cと第1樹脂層16cを挟む2枚のガラスクロス18F、18Sとガラスクロス18F上の第2樹脂層16Fとガラスクロス18S上の第3樹脂層16Sで形成されている。第1樹脂層16cと第2樹脂層16F、第3樹脂層16Sは樹脂と無機粒子で形成されている。
【0028】
図1(B)に示されるように、第1金属箔22FにCO2レーザが照射される。絶縁基板の第1面F側に第1開口部28fが形成される。第1開口部28fは、第1面Fに第1開口28Fを有し、第1面から第2面Sに向かってテーパーしている。角度θ1が97度から110度の範囲内に形成されるように、レーザの条件が設定される。レーザの条件はショット数やパルス幅、出力等である。第2ショットの径を第1ショットの径より小さくすることが出来る。
【0029】
図1(C)に示されるように、第2金属箔22SにCO2レーザが照射される。絶縁基板の第2面側に第2開口部28sが形成される。第2開口部28sは、第2面Sに第2開口28Sを有し、第2面Sから第1面Fに向かってテーパーしている。角度θ2が97度から110度の範囲内に形成されるように、レーザの条件が設定される。レーザの条件はショット数やパルス幅、出力等である。第2ショットの径を第1ショットの径より小さくすることが出来る。
第1開口部と第2開口部で貫通孔28が形成される。第1開口部と第2開口部の接合箇所に接合面が形成される。接合面は
図3(A)に示される。
図3(A)中の接合面に斜線が描かれている。接合面は第1樹脂層16cに形成されている。
図1(C)では、第1角度θ1が、例えば、100度である。第2角度θ2が、例えば、107度である。第1角度θ1の値と第2角度θ2の値が異なると、スルーホール導体内にボイドが形成され、めっき膜の厚みtが20μm以上になりやすい。第1角度θ1と第2角度θ2との差は5度以上であることが望ましい。
【0030】
第1金属箔と第2金属箔、貫通孔の側壁上に無電解めっき処理により無電解めっき膜31が形成される。無電解めっき膜31をシード層として、シード層上に電解めっき膜32が形成される。電解めっき膜上にエッチングレジストが形成される。エッチングレジストから露出する電解めっき膜32と無電解めっき膜31、銅箔22F、22Sがエッチングで除去される。エッチングレジストが除去される。
図1(D)に示されるように、貫通孔28にスルーホール導体36が形成される。同時にスルーホール導体のランドを含む第1導体層34Fや第2導体層34Sが形成される。角度θ1、θ2が97度から110度の範囲内の値であるので、スルーホール導体はボイドを有する。そして、めっき膜の厚みtが15μm以上である。コア基板30が完成する。
第1導体層や第2導体層の厚みは20μm以下であることが好ましい。微細な第1導体層や第2導体層が得られる。
【0031】
図3(C)に示されるように、スルーホール導体のランド36FR、36SRは凹部36Fr、36Srを有しても良い。電解めっき膜32を形成するめっき時間を調整することで、凹部36Fr、36Srの有無や凹部36Fr、36Srの深さX1、X2は調整される。
【0032】
次に、コア基板の第1面上に上側のビルドアップ層55Fが形成され、コア基板の第2面上に下側のビルドアップ層55Sが形成される。ビルドアップ層55F、55Sは、例えば、周知のセミアディティブ法で形成される。例えば、JP2000−124603Aがセミアディティブ法を開示している。
実施形態では、上側のビルドアップ層55Fは、交互に積層されている樹脂絶縁層50F、150Fと導体層58F、158Fとを含む。さらに、上側のビルドアップ層55Fは、隣接する導体層34F、58F、158Fを接続するビア導体60F、160Fを有する。
下側のビルドアップ層55Sは、交互に積層されている樹脂絶縁層50S、150Sと導体層58S、158Sとを含む。さらに、下側のビルドアップ層55Sは、隣接する導体層34S、58S、158Sを接続するビア導体60S、160Sを有する。
【0033】
上側のビルドアップ層上に上側のソルダーレジスト層70Fが形成される。上側のソルダーレジスト層は導体層158Fを露出する開口71Fを有する。開口71Fから露出する導体層158Fは上側のパッド158FPとして機能する。
下側のビルドアップ層上に下側のソルダーレジスト層70Sが形成される。下側のソルダーレジスト層は導体層158Sを露出する開口71Sを有する。開口71Sから露出する導体層158Sは下側のパッド158SPとして機能する。
【0034】
開口71F、71Sから露出するパッド158FP、158SP上に保護膜72が形成される。保護膜の例はNi/Auである。
【0035】
上側のパッド上に上側の半田バンプ76Fが形成される。下側のパッド上に下側の半田バンプ76Sが形成される。
図2(A)に示されるプリント配線板10が完成する。
【0036】
実施形態のプリント配線板のスルーホール導体はボイドを有し、スルーホール導体を形成しているめっき膜の厚みが15μm以上である。そのため、スルーホール導体が屈曲点を有しても、ヒートサイクルでスルーホール導体の抵抗の変化率が小さい。スルーホール導体を介する上側のビルドアップ層と下側のビルドアップ層間の接続信頼性が高い。