特許第6387727号(P6387727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387727
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】蓄光性透明樹脂組成物及びその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/12 20060101AFI20180903BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20180903BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20180903BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20180903BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20180903BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20180903BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   C08L101/12
   C08L69/00
   C08L33/06
   C08K3/22
   C08K5/00
   C09K11/06 603
   C09K11/80
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-156008(P2014-156008)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-27067(P2016-27067A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-236724(P2013-236724)
(32)【優先日】2013年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-130109(P2014-130109)
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】西林 豊
(72)【発明者】
【氏名】丸山 博義
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/097294(WO,A1)
【文献】 特開2000−109710(JP,A)
【文献】 特開2007−146633(JP,A)
【文献】 特開2005−146125(JP,A)
【文献】 特開2004−122772(JP,A)
【文献】 特開2002−323613(JP,A)
【文献】 特開2000−282027(JP,A)
【文献】 特開平11−281764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08K 3/00− 3/40
C08K 5/15− 5/357
C08K 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂(A)100質量部と、平均粒径D50200〜500μmの蓄光材(B)0.01〜5質量部と、有機蛍光体(C)0.001〜0.1質量部とを含有することを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1において、前記透明樹脂(A)が、ポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1において、前記透明樹脂(A)が芳香族ポリカーボネート樹脂50〜100質量%と、(メタ)アクリレート共重合体0〜50質量%とを含むことを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記蓄光材(B)がSrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、及びCaAl:Eu,Ndよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記有機蛍光体(C)がナフタレン系化合物、ペリレン系化合物、キノリン系化合物、クマリン系化合物、ベンゾオキサゾール誘導体及び希土類錯体化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、蓄光材(B)に対する有機蛍光体(C)の質量比((C)/(B)質量比)が0.01〜1.8であることを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の蓄光性透明樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光性透明樹脂組成物及びその成形体に係り、詳しくは、光照射下において美麗な蛍光発光を示すと共に、暗所においては、夜空の星のようなキラキラとした残光輝度と蛍光発光による美麗な色相を示す蓄光性透明樹脂組成物と、この蓄光性透明樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光や人工光などに含まれる紫外線や可視光などの光が照射されるとその光を吸収して蓄え、光照射を停止した後でも、即ち暗所においても、放光という形で所定の時間発光し続ける蓄光材を配合した樹脂組成物が、道路標識や看板などの蓄光発光部材の成形材料として種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、蓄光性物質と蛍光性物質と透明樹脂とからなる発光部材が提案されている。この特許文献1には、蓄光性物質の粒径や配合量、蛍光性物質の配合量についての記載はなされていない。
【0004】
特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に蓄光性のアルミン酸塩系蛍光体粒子を配合したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。特許文献2において、蓄光性蛍光体粒子は、粒子径10μm未満の粒子を40質量%以下、粒子径50μmを超える粒子を10質量%以下の割合で含む、平均粒子径10〜20μmのものであり、粒子径50μmを超える粒子を多く含むと好ましくない旨記載されている。
【0005】
特許文献3には、ポリカーボネート樹脂に平均粒径1〜10μmの光拡散剤と平均粒径1〜20μmの蓄光剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。特許文献3には、蓄光剤の平均粒径が20μmよりも大きくなると光拡散剤との併用による発光効果が得られなくなる旨記載されている。
【0006】
このように、従来、蓄光材を配合した樹脂組成物は種々提案されているが、いずれも用いる蓄光材の粒径は50μm以下と小さいものであり、平均粒径が100μm以上となるような粒径の大きい蓄光材を配合することは行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−146125号公報
【特許文献2】特開2005−82647号公報
【特許文献3】特開2008−74952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、あらゆる分野で、意匠性の向上、機能性や斬新性の付与を目的として、暗所でも発光する蓄光性の材料が採用されるようになりつつあるが、その際、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器といった、高い意匠性や遊び心、趣向性が要求される分野においては、道路標識のような単なる蓄光発光体としてではなく、顧客の購買意欲をそそるように、より美しく発光することが望まれる。
【0009】
本発明は、蓄光材を配合した蓄光性透明樹脂組成物であって、光遮断時に、単なる蓄光性の発光ではなく、夜空の星のような、キラキラとした輝きと美麗な色相をもって発光すると共に、光照射下においても美麗な蛍光発光を示す蓄光性透明樹脂組成物及びその成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、蓄光材として、従来用いられてきたものよりも粒径の大きいものを用いることにより、光遮断時に、粒径の小さな蓄光材を用いた場合には得ることができない、非常に美しい輝きを得ることができることを見出した。
また、このような粒径の大きな蓄光材と共に有機蛍光体を併用すると、屋外や紫外線照射下においては、この有機蛍光体による蛍光発光で美麗な色相が得られ、なおかつ、暗所においては、粒径の大きな蓄光材による高輝度の蓄光発光を受けてこの有機蛍光体が蛍光発光することにより、美麗な色相が得られ、高い意匠性を得ることができることを見出した。
【0011】
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0012】
[1] 透明樹脂(A)100質量部と、平均粒径D50200〜500μmの蓄光材(B)0.01〜5質量部と、有機蛍光体(C)0.001〜0.1質量部とを含有することを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【0013】
[2] [1]において、前記透明樹脂(A)が、ポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【0014】
[3] [1]において、前記透明樹脂(A)が芳香族ポリカーボネート樹脂50〜100質量%と、(メタ)アクリレート共重合体0〜50質量%とを含むことを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【0015】
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記蓄光材(B)がSrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、及びCaAl:Eu,Ndよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【0016】
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記有機蛍光体(C)がナフタレン系化合物、ペリレン系化合物、キノリン系化合物、クマリン系化合物、ベンゾオキサゾール誘導体及び希土類錯体化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【0017】
請求項[1]ないし[5]のいずれかにおいて、蓄光材(B)に対する有機蛍光体(C)の質量比((C)/(B)質量比)が0.01〜1.8であることを特徴とする蓄光性透明樹脂組成物。
【0018】
[7] [1]ないし[6]のいずれかに記載の蓄光性透明樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蓄光材(B)として、従来用いられているものよりも粒径の大きい蓄光材を透明樹脂(A)に所定の割合で配合することにより、光遮断時に、単なる蓄光性の発光ではなく、夜空の星のような、キラキラとした非常に美しい輝きをもって発光する蓄光性透明樹脂組成物及びその成形体を提供することができる。
しかも、本発明は、このような粒径の大きな蓄光材(B)と有機蛍光体(C)とを併用することにより、屋外や紫外線照射下においては、この有機蛍光体(C)による蛍光発光で美麗な色相が得られ、なおかつ、暗所においても、粒径の大きな蓄光材(B)の高輝度な蓄光発光を受けて、この有機蛍光体(C)が蛍光発光することにより、美麗な色相が得られ、その結果、明所及び暗所の双方において、非常に高い意匠性を得ることができる。
【0020】
本発明の蓄光性透明樹脂組成物及びその成形体は、光遮断時の色相及び発光の意匠性が非常に優れる上に、明所でも美麗な色相を呈する、非常に意匠性の高いものであることから、従来の蓄光性透明樹脂組成物の一般的な用途である道路標識や看板類だけではなく、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、商品ディスプレイ、自動車室内や建物内の標示ボタン、時計の文字盤、アクセサリー類、文具類、スポーツ用品、更には、各種の電気・電子・OA機器等の分野において、筐体やスイッチ、ボタン類として幅広い用途に適用することができ、その優れた意匠性により高い商品価値を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1の試験片のUV照射前(可視光照射時)の外観を示す写真である。
図2】実施例1の試験片のUV照射時の外観を示す写真である。
図3】実施例1の試験片の光遮断時(残光輝度評価時)の外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0023】
[1] 蓄光性透明樹脂組成物
本発明の蓄光性透明樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、透明樹脂(A)100質量部と、平均粒径D50が100〜500μmの蓄光材(B)0.01〜5質量部と、有機蛍光体(C)0.001〜0.1質量部とを含有することを特徴とする。
【0024】
[透明樹脂(A)]
本発明で用いる透明樹脂(A)としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、(メタ)アクリレート共重合体、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の面から、ポリカーボネート樹脂、中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂を主構成樹脂とするものが好ましい。ここで、主構成樹脂とするとは、透明樹脂(A)中の芳香族ポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート樹脂の割合が通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であることを意味する。
【0025】
芳香族ポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート樹脂を主構成樹脂とする場合に併用する樹脂は、ポリスチレン樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル樹脂などの1種又は2種以上が挙げられ、その形態は、透明性を維持する形態であればアロイでも共重合体でもよい。
【0026】
このうち、(メタ)アクリレート共重合体は、得られる成形体の表面硬度の向上に有効であり、好適に用いることができる。
以下に本発明における透明樹脂(A)として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂と、芳香族ポリカーボネート樹脂と共に好適に用いられる(メタ)アクリレート共重合体について説明する。
【0027】
<芳香族ポリカーボネート樹脂>
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
【0028】
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
【0029】
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0030】
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
【0031】
上述した芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、この一価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
【0033】
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、成形性、強度等の点から芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリカーボネート(PC)換算の重量平均分子量(Mw)で、15,000〜40,000、好ましくは15,000〜30,000である。この様に、重量平均分子量を15,000以上とすることで機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、重量平均分子量を40,000以下とすることで、例えば、後述の(メタ)アクリレート共重合体と併用する場合、(メタ)アクリレート共重合体の分散性が良好となり、また流動性の低下がより抑制されて改善される傾向にあり、成形加工性を良好とする観点からより好ましい。
【0034】
芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、中でも17,000〜30,000、特に19,000〜27,000であることが好ましい。また重量平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この場合には、重量平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。この場合、混合物の重量平均分子量は上記範囲となることが望ましい。
【0035】
<(メタ)アクリレート共重合体>
(メタ)アクリレート共重合体としては、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含有するものが好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方をさす。また、「単位」とは、単量体を共重合させて(メタ)アクリレート共重合体を製造する際に用いられる原料単量体に由来する構造部分をさす。
【0036】
芳香族(メタ)アクリレート単位を構成する単量体である芳香族(メタ)アクリレートとは、エステル部分に芳香族基を有する(メタ)アクリレートのことを言う。芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。(メタ)アクリレート共重合体が芳香族(メタ)アクリレート単位を有することで、芳香族ポリカーボネート樹脂と混合して得られる樹脂組成物の透明性を向上させることができる。
【0037】
メチルメタクリレート単位を構成する単量体は、メチルメタクリレートである。メチルメタクリレート単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを良分散させる効果を有し、得られる成形体の表面硬度を向上させることができる。
【0038】
本発明に係る(メタ)アクリレート共重合体は、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の質量比(芳香族(メタ)アクリレート単位/メチルメタクリレート単位)が5〜80/20〜95のもの、即ち、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜80質量%とメチルメタクリレート単位20〜95質量%とを含有するものである(但し、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の合計は100質量%である)。(メタ)アクリレート共重合体中の芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が5質量%以上でメチルメタクリレート単位の含有率が95質量%以下であれば、(メタ)アクリレート共重合体の高添加領域において透明性が維持され、芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が80質量%以下でメチルメタクリレート単位の含有率が20質量%以上であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂との相容性が高過ぎず、得られる成形体表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しない。
【0039】
また、(メタ)アクリレート共重合体の高添加領域において、より一層透明性を維持しつつ高い表面硬度を発現することから、(メタ)アクリレート共重合体は、芳香族(メタ)アクリレート単位8〜50質量%及びメチルメタクリレート単位50〜92質量%を含有することが好ましい(但し、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位の合計は100質量%である)。
【0040】
(メタ)アクリレート共重合体中の芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が8質量%以上でメチルメタクリレート単位の含有率が92質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂との相容性が高過ぎず、成形品表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下せず、芳香族(メタ)アクリレート単位の含有率が50質量%以下でメチルメタクリレート単位の含有率が50質量%以上であれば、(メタ)アクリレート共重合体の高添加領域において透明性が維持される。
【0041】
また、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜30,000であり、10,000〜25,000がより好ましく、13,000〜20,000が特に好ましい。(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が5,000〜30,000であると、芳香族ポリカーボネート樹脂中での分散性が良好であり、透明性を維持して表面硬度を効果的に向上させることができる。
なお、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてクロロホルムやテトラヒドロフラン(THF)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されたポリスチレン(PS)換算の値である。
【0042】
本発明で用いる(メタ)アクリレート共重合体を得るための単量体の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。好ましくは懸濁重合法や塊状重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。また、重合に必要な添加剤等は必要に応じて適宜添加することができ、添加剤としては、例えば、重合開始剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
【0043】
透明樹脂(A)が芳香族ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを含有する場合、透明樹脂(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂50〜95質量%と、(メタ)アクリレート共重合体5〜50質量%とを含有する(但し、芳香族ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート共重合体との合計で100質量%である。)ことが好ましく、より好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂が50〜90質量%に対し、(メタ)アクリレート共重合体が10〜50質量%であり、特に好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂が55〜85質量%に対し、(メタ)アクリレート共重合体が15〜45質量%である。
【0044】
芳香族ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート共重合体との質量割合が上記範囲内であることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して(メタ)アクリレート共重合体を配合することによる、樹脂マトリックスの透明性を維持しつつ物性バランスを保ち、表面硬度を向上させることができる、という効果を確実に得ることができる。
【0045】
[蓄光材(B)]
蓄光材は、太陽光や人工光などに含まれる紫外線や可視光などの光が照射されるとその光を吸収して蓄え、光照射を停止した後でも、即ち暗所においても、放光という形で所定の時間発光し続けるものである。蓄光材は、光励起終了後は、数分〜数十時間程度の残光持続性を持ち、光照射を停止した後速やかに発光が減衰する一般の蛍光増白剤などとは区別される。
【0046】
本発明で使用される蓄光材(B)は、上記の特性を有するものであればよく、特に制限はないが、CaS:Bi、CaSrS:Bi、ZnCdS:Cuなどの硫化物系蓄光材、ZnS:Cuなどの硫化亜鉛系蓄光材、MAl:X(Mはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる1種以上の金属元素。Xは、賦活剤であり、ユウロピウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテニウム、マンガン、スズ、ビスマスから選ばれる1種以上の元素。Xの含有量は、Mで表される金属元素に対して通常10モル%以下、例えば0.001〜10モル%。)で表されるアルミン酸系化合物などが挙げられる。好ましくは、耐加水分解性、残光特性の観点から、MAl:Xで表されるアルミン酸系化合物であり、アルミン酸系化合物としては、例えば、RMgAl1627:Eu、RMgAl1627:Eu,Mn、RMgAl1017:Eu、RMgAl1017:Eu,Mn(ここでRはSrまたはBaであり、これらを組み合わせてもよい)、SrAl:Eu、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu、SrAl1425:Eu,Dy、CaAl:Eu,Ndなどが挙げられるが、これらのうち、特に、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、CaAl:Eu,Ndが好ましい。
【0047】
本発明は、蓄光材(B)として平均粒径D50が100〜500μmのものを用いることを特徴とする。蓄光材(B)の平均粒径D50が100μm未満では、本発明による特異的な蓄光効果を得ることができず、500μmを超えると、得られる成形体の耐衝撃性が劣るものとなり好ましくない。蓄光材(B)の平均粒径は、特に150〜450μm、とりわけ200〜400μmであることが好ましい。
【0048】
本発明においては、蓄光材(B)の1種を単独で用いてもよく、化学組成や粒径の異なるものの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、2種以上の蓄光材(B)を併用する場合、用いたすべての蓄光材(B)の平均粒径D50が上記の範囲内であればよい。
【0049】
なお、本発明における平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるメジアン径D50をいい、例えば、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
【0050】
蓄光材(B)の配合量は、透明樹脂(A)100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.02〜4質量部、より好ましくは0.05〜3質量部である。蓄光材(B)の配合量が上記下限よりも少ないと、蓄光材(B)を配合したことによる蓄光効果を十分に得ることができない。蓄光材(B)の配合量は多い程、本発明による夜空の星のような、キラキラとした輝きを良好に得ることができるが、多過ぎると得られる成形体の耐衝撃性が劣るものとなる。
【0051】
[有機蛍光体(C)]
有機蛍光体(C)としては、紫外線の照射で蛍光発光する蛍光体であって、得られる成形体の透明性を維持し得るものが好ましく、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0052】
赤色発光蛍光体:Eu錯体化合物、Sm錯体化合物、Pr錯体化合物等の希土類錯体化合物、ジシアノメチレン系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポリアルキルチオフェン誘導体
【0053】
黄色発光蛍光体:ルブレン系化合物、ペリミドン誘導体
【0054】
青色発光蛍光体:クマリン系化合物、ペリレン系化合物、ピレン系化合物、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物、ジスチリル誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体
【0055】
緑色発光蛍光体:クマリン系化合物、Tb錯体化合物等の希土類錯体化合物、キナクリドン化合物、キノリン系化合物
【0056】
これらのうち、特に組成物の透明性を損なうことなく、少量配合で良好な蛍光発光特性を示すことから、赤色発光蛍光体としてはEu錯体化合物等の希土類錯体化合物を用いることが好ましく、青色発光蛍光体としてはクマリン系化合物、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物、ベンゾオキサゾール誘導体を用いることが好ましく、緑色発光蛍光体としては、キノリン系化合物、クマリン系化合物、Tb錯体化合物等の希土類錯体化合物を用いることが好ましい。
【0057】
このような有機蛍光体としては、市販品を用いることができ、例えば、青色発光蛍光体としては、セントラルテクノ社製「ルミシス/B−800」、「ルミシス/B−1400」、昭和化学工業社製「Hakkol PSR」、クラリアントジャパン社製「Hostalux KS」、緑色発光蛍光体としては、セントラルテクノ社製「ルミシス/G−900」、「ルミシス/G−3300」、赤色発光蛍光体としては、セントラルテクノ社製「ルミシス/E−400」などを用いることができる。
これらの蛍光体は1種を単独で用いても良く、同色系ないしは異なる色調に発光するものの2種以上を併用しても良い。
【0058】
本発明の蓄光性透明樹脂組成物において、有機蛍光体(C)の配合量は、透明樹脂(A)100質量部に対して0.001〜0.1質量部、好ましくは0.002〜0.07質量部、より好ましくは0.005〜0.05質量部である。有機蛍光体(C)の配合量が少な過ぎると十分な蛍光発光特性を得ることができず、多過ぎると透明性が損なわれる場合があり、また、ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂(A)の分子量低下や熱安定性低下の原因となる。
【0059】
本発明の蓄光性透明樹脂組成物は、蓄光材(B)に対する有機蛍光体(C)の質量比((C)/(B)質量比)が0.01〜1.8、特に0.01〜0.8、とりわけ0.01〜0.3であることが好ましい。(C)/(B)質量比が0.01より小さいと屋外や紫外線照射下において蓄光材(B)の色が有機蛍光体(C)の発光効果を阻害する場合があり、また、(C)/(B)質量比が1.8より大きいと光遮断後(紫外線消灯後)の残光輝度が低下する場合があり好ましくない。
【0060】
[その他の添加剤]
本発明の蓄光性透明樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上を含有していてもよい。このような添加剤としては、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などが挙げられる。
【0061】
<難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、難燃性を得るために難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、透明樹脂(A)の透明性を維持して組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、有機スルホン酸金属塩、シリコーン化合物が好適である。
【0062】
難燃剤用の有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩及び芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられ、これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。有機スルホン酸金属塩を構成する金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。
【0063】
脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくは、フルオロアルカン−スルホン酸金属塩、より好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウムなどが挙げられる。
【0064】
また、芳香族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホン酸金属塩の具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4’−ジブロモフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
【0065】
本発明の樹脂組成物がこれらの有機スルホン酸金属塩を含有する場合、その含有量は、透明樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜3質量部であることが好ましく、0.02〜2質量部であることがより好ましく、0.03〜1質量部であることがさらに好ましい。難燃剤としての有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲であると、難燃性があり、且つ熱安定性が良好な樹脂組成物となるので好ましい。有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲より多いと、樹脂組成物の透明性を損なうことがあり、少ないと十分な難燃性を得ることができない。
【0066】
難燃剤用のシリコーン化合物としては、特開2006−169451公報に記載の、直鎖状もしくは分岐状の構造を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンが有する有機基は、炭素数が1〜20のアルキル基及び置換アルキル基のような炭化水素又はビニル及びアルケニル基、シクロアルキル基、ならびにフェニル、ベンジルのような芳香族炭化水素基などの中から選ばれる。
該ポリジオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していても良い。官能基を含有しているポリジオルガノシロキサンの場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基又はエポキシ基であることが好ましい。
【0067】
本発明の樹脂組成物がこれらの難燃剤用シリコーン化合物を含有する場合、その含有量は、透明樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜10質量部であることが好ましい。難燃剤としてのシリコーン化合物の含有量が上記範囲であると、透明性、外観及び弾性率等を損なうことなく、難燃性が良好となるので好ましい。
【0068】
なお、上記有機スルホン酸金属塩とシリコーン化合物を併用しても良い。
【0069】
<熱安定剤>
本発明の樹脂組成物は、熱安定性を向上させるために熱安定剤を含有していてもよい。好ましい熱安定剤としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系熱安定剤が挙げられる。
【0070】
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
【0071】
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニルホスフォナイト等が挙げられる。
【0072】
上記のリン系熱安定剤の中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
【0073】
なお、熱安定剤は、1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0074】
本発明の樹脂組成物が熱安定剤を含有する場合、その含有量は、透明樹脂(A)100質量部に対し、0.005〜0.2質量部であることが好ましく、0.01〜0.1質量部であることがより好ましい。熱安定剤の含有量が上記範囲であると、加水分解等を発生させることなく、熱安定性を改善できるので好ましい。
【0075】
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0076】
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、透明樹脂(A)100質量部に対し、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。この範囲であると、本発明の効果を阻害せずに、酸化防止性を改善できるので好ましい。
【0077】
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂成形体は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、このような黄変を防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
【0078】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0079】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルメチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール]等が挙げられる。
【0080】
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
【0081】
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0082】
本発明の樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その含有量は、透明樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.8質量部であることがより好ましく、0.01〜0.5質量部であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であると、励起光吸収による蓄光性発光輝度の低下が生じず、且つ成形体表面にブリードアウト等を発生させずに、耐候性を改善できるので好ましい。
【0083】
<離型剤>
本発明の樹脂組成物は、離型剤を含有していてもよい。
好ましい離型剤は、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、及び数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物から選ばれる化合物である。中でも、脂肪族カルボン酸、及び脂肪族カルボン酸エステルから選ばれる化合物が好ましく用いられる。
【0084】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。本明細書では、脂肪族カルボン酸の用語は、脂環式カルボン酸も包含する意味で用いる。脂肪族カルボン酸の中でも、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0085】
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していても良い。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していても良く、複数の化合物の混合物であっても良い。脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
【0086】
これらの離型剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0087】
本発明の樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は、透明樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。離型剤の含有量が上記範囲であると、耐加水分解性の低下がなく、離型効果が得られるので好ましい。
【0088】
<その他>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分のほかに、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、着色剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを配合することができる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0089】
[製造方法]
本発明の樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造できる。具体的な混合方法としては、透明樹脂(A)、蓄光材(B)、有機蛍光体(C)、及び必要に応じて配合されるその他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0090】
[2] 成形体
本発明の成形体は、上述のような本発明の蓄光性透明樹脂組成物を成形してなるものである。
【0091】
[成形方法]
本発明の蓄光性透明樹脂組成物を成形してなる本発明の成形体を製造する場合の成形方法としては、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。
【0092】
[用途]
本発明の蓄光性透明樹脂組成物を成形してなる本発明の成形体は、明所及び暗所の双方における発光及び色相の意匠性が非常に優れることから、従来の蓄光性透明樹脂組成物の一般的な用途である道路標識や看板類だけではなく、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、商品ディスプレイ、自動車室内や建物内の標示ボタン、時計の文字盤、アクセサリー類、文具類、スポーツ用品、更には、各種の電気・電子・OA機器等の分野において、筐体やスイッチ、ボタン類として幅広い用途に適用することができる。
【実施例】
【0093】
以下に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の構成成分は、以下の通りである。
【0094】
<透明樹脂(A)>
a−1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000F」(重量平均分子量=26800)
a−2:三菱レイヨン社製 (メタ)アクリレート共重合体「メタブレンH880」(芳香族(メタ)アクリレート単位=フェニルメタクリレート単位、芳香族(メタ)アクリレート単位含有率:80質量%、メチルメタクリレート単位含有率:20質量%、重量平均分子量=14600)
【0095】
<蓄光材(B)>
b−1:根本特殊化学社製 蓄光材「G−300M」(化学組成=SrAl:Eu,Dy、D50=30μm、発光色=緑色)
b−2:根本特殊化学社製 蓄光材「G−300L250N」(化学組成=SrAl:Eu,Dy、D50=250μm、発光色=緑色)
b−3:根本特殊化学社製 蓄光材「G−300L160」(化学組成=SrAl:Eu,Dy、D50=160μm、発光色=緑色)
b−4:根本特殊化学社製 蓄光材「GB−300L160」(化学組成=SrAl1425:Eu,Dy、D50=160μm、発光色=青緑色)
b−5:菱晃社製 蓄光材「クライトブライト蓄光顔料」(化学組成=SrAl1425:Eu,Dy、D50=250μm、発光色=青緑色)
【0096】
<有機蛍光体(C)>
c−1:セントラルテクノ社製 紫外線発光有機蛍光体(ナフタレン系青色発光蛍光体)「ルミシス/B−1400」
c−2:セントラルテクノ社製 紫外線発光有機蛍光体(キノリン系緑色発光蛍光体)「ルミシス/G−3300」
c−3:昭和化学工業社製 紫外線発光有機蛍光体(クマリン系青色発光蛍光体)「Hakkol PSR」
c−4:クラリアントジャパン社製 紫外線発光有機蛍光体(ベンゾオキサゾール系青色発光蛍光体)「Hostalux KS」
【0097】
[実施例1〜6,11〜14、参考例7〜10及び比較例1〜15]
透明樹脂及び各種添加剤を表1〜3に示す割合で配合し、タンブラーで20分混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS−40」)により、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行って、各種の試験片を作製した。
得られたペレット又は試験片について、以下の評価を行い、結果を表1〜3に示した。
【0098】
(1) 流れ値(Q値)
JIS K7210付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製「フローテスターCFD500D」を用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度278℃、試験力160kg/cm、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(単位:cc/sec)を測定した。
(2) Izod衝撃強度
ASTM D256に準拠して、ノッチ付きIzod衝撃試験片(厚さ3.2mm)について、23℃の温度でIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
(3) 引張強度
ASTM多目的試験片(厚さ3.2mm)を用い、ASTM D638規格に準拠して引張強度(単位:MPa)を測定した。
(4) 引張破壊点歪
ASTM多目的試験片(厚さ3.2mm)を用い、ASTM D638規格に準拠して引張破壊点歪(単位:%)を測定した。
(5) 曲げ弾性率・曲げ強度
ASTM多目的試験片(厚さ6.4mm)を用い、ASTM D790規格に準拠して曲げ弾性率(単位:MPa)と曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
(6) 荷重たわみ温度(DTUL)
ASTM多目的試験片(厚さ6.4mm)を用い、ASTM D648規格に準拠して荷重1.8MPaにおける荷重たわみ温度(単位:℃)を測定した。
(7) UV照射時の発光性能
90mm×60mm×厚さ3mm、2mm、1mmの3段プレートの試験片に、松下電工(株)製蛍光灯マグネットライトに松下電工(株)製のブラックライト・ブルー(FL4BL−B:波長352nm)を装着した装置を用いて紫外線照射を行い、蛍光発光の色相を目視にて観察し、下記基準で評価した。
A:蛍光発光の色調が明るく美麗な外観を呈する。
B:蛍光発光するが色調が暗く、発光が目立たない。
C:蛍光発光しない。
D:蛍光発光せず、外観が悪い。
(8) 残光輝度
UV照射時の発光性能の評価後、試験片を暗所に置き、そのときの蓄光性発光の様子を目視にて観察し、下記基準で評価した。
A:満天の星空のように非常に美しくキラキラと輝いて発光すると共に、美麗な色相を呈する。
B:夜空の星のようにキラキラした輝きをもって発光するが、Aの場合のような美麗な色相は得られない。或いはAの場合より色相が若干劣る。
C:発光するが、キラキラ感がない。
D:全く発光しない。
(9) 鉛筆硬度
JIS K5400に準じ、90mm×50mm×1.5mmtの試験片に、5回の引掻き試験を行って鉛筆硬度の評価を行った。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
なお、実施例1の試験片の「(7) UV照射時の発光性能」評価時のUV照射前の外観を示す写真を図1に、同UV照射時の外観を示す写真を図2に示す。また、実施例1の試験片の「(8) 残光輝度」評価時の写真を図3に示す。
【0103】
以上の結果から、平均粒径D50が100〜500μmの粒径の大きな蓄光材(B)を用いることにより、従来用いられている粒径の小さな蓄光材(B)を用いた場合には得ることができない、非常に美しい輝きのある残光輝度を得る上に、蓄光材(B)と共に有機蛍光体(C)を併用することにより、UV照射時又は屋外での色相、照射後の暗所での色相を変化させて高い意匠性を付与することができることが分かる。
図1
図2
図3