【文献】
トランジスタ技術編集部,GPSのしくみと応用技術,日本,CQ出版株式会社,2011年 1月 1日,第2版,Pages 38-40,50,57-60,[ISBN: 978-4-7898-4545-8]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信制御手段は、現在位置を取得する場合に、前記位置算出情報の取得対象として設定された測位衛星の当該位置算出情報を含む衛星信号が受信される期間に合わせて前記受信手段を動作させ、
復調された前記衛星信号から取得された前記位置算出情報により、前記位置算出情報記憶手段に記憶されている前記設定された測位衛星の位置算出情報を上書き更新させる記憶更新制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電波受信装置。
前記受信制御手段は、位置算出情報の取得対象として、前記位置算出情報記憶手段に記憶されている位置算出情報に係る概略軌道の基準タイミングが古い測位衛星を優先的に設定することを特徴とする請求項3記載の電波受信装置。
前記受信制御手段は、位置算出情報の取得対象として、前記受信手段による受信対象となり得る全ての測位衛星を順番に設定することを特徴とする請求項3記載の電波受信装置。
前記受信制御手段は、前記非等方的に設定された前記誤差範囲内に配置された複数の等方的な判定ブロックの何れかが複数の前記地方時設定に係る領域に跨がっているか否かを判別することで、精密軌道情報の取得要否を判別することを特徴とする請求項7記載の電波受信装置。
前記記憶更新制御手段は、前記取得された精密軌道情報に概略軌道情報に対応するデータが含まれている場合には、当該概略軌道情報に対応するデータにより、前記精密軌道情報と同一の測位衛星の概略軌道情報を上書き更新させることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の電波受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
この電子時計1は、測位衛星からの電波を受信して利用可能な電波時計である。
【0012】
第1実施形態の電子時計1は、CPU41(Central Processing Unit)(地方時取得手段)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46(計時手段)と、操作部47と、通信部48と、標準電波受信部49及びそのアンテナAN1と、GPS受信処理部50及びそのアンテナAN2と、駆動回路51と、電源部52と、秒針61と、分針62と、時針63と、日車64と、機能指針65と、輪列機構71〜74と、ステッピングモータ81〜84などを備える。以降、秒針61、分針62、時針63、日車64及び機能指針65の一部又は全部をまとめて指針61〜65などとも記す。これらの指針61〜65は、表示手段を構成する。
【0013】
CPU41は、各種演算処理を行い、また、電子時計1の全体動作を統括制御する。CPU41は、日時の表示に係る指針動作を制御すると共に、標準電波受信部49を動作させて受信データを取得して日時を算出する。また、CPU41は、得られた日時データに基づいて、計時回路46の計数する日時を修正する。
【0014】
ROM42は、CPU41により実行される各種制御用のプログラム421や設定データを格納する。プログラム421には、例えば、各種機能モードの動作制御に係るプログラムが含まれている。設定データには、GPS受信処理部50で判定されたタイムゾーンや夏時間の実施情報などが含まれている。
【0015】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0016】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して出力する。発振回路44は、例えば、水晶発振器を備える。
分周回路45は、発振回路44から出力された周波数信号をCPU41や計時回路46により利用される周波数の信号に分周して出力する。出力される周波数は、CPU41からの制御信号により変更可能に設定されていても良い。
【0017】
計時回路46は、所定の日時を示す初期値に分周回路45から入力される分周信号を計数して加算していくことにより現在の日時を計数する。この計時回路46の計数する日時は、CPU41からの制御信号により修正されることが可能となっている。計時回路46の計数する日時のずれの大きさは、正確な日時が取得されない限り未知の値であるが、発振回路44の発振周波数のずれ及び分周回路45における計数の間引きによる調整(論理緩急)は、通常の状態(室温程度)において、平均的には、一日当たり+0.5秒程度となるように調整されている。
【0018】
操作部47は、ユーザからの入力操作を受け付ける。操作部47には、押しボタンスイッチや回転スイッチが含まれる。押しボタンスイッチの何れかが押下若しくは押下状態が解放され、又は回転スイッチが引き出され、回転され、若しくは押し戻された場合には、それぞれの動作を示す電気信号が割込信号としてCPU41に出力される。
【0019】
通信部48は、後述する測位衛星のアルマナックを含む位置算出情報を外部から取得するためのインターフェイスや接続部である。通信方法としては、特には限られないが、近距離無線通信(例えば、Bluetooth:登録商標)、可搬型記憶媒体(例えば、micro SDカード)やUSBケーブルなどが挙げられ、通信部48は、近距離無線通信の通信モジュール、カードスロットや通信ケーブルの接続端子などのうち少なくとも一つを備える。
【0020】
標準電波受信部49は、アンテナAN1を用いて長波長帯の電波(標準電波)を受信して、振幅変調された標準電波の時刻信号出力(TCO)を復調し、CPU41に出力する。標準電波受信部49による長波長帯の同調周波数は、CPU41の制御により受信対象の標準電波送信局からの送信周波数に応じて変更される。また、標準電波受信部49は、受信感度を向上させるための各種処理を行い、アナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化してCPU41に出力する。
【0021】
GPS受信処理部50は、本発明の実施形態の電波受信装置であり、アンテナAN2を用いて測位衛星から送信されているL1帯(GPS(Global Positioning System)では、1.57542GHz)の電波を受信し、当該測位衛星からの信号(航法メッセージ、衛星信号)を探索して復調、復号して日時情報や位置情報を取得する。GPS受信処理部50は、電波の受信動作を行う受信部500(受信手段)と、航法メッセージの内容を取得し、位置の算出などの各種演算や動作の制御を行う制御演算部とを有する。受信部500では、電波信号がベースバンド信号に変換され、当該ベースバンド信号が疑似拡散信号(C/Aコード、疑似雑音)を用いて逆スペクトラム拡散されることにより測位衛星からの信号が捕捉、追尾されて測位衛星から送信されている信号(符号列)が得られる。
なお、電子時計1への実装の際には、受信部500のうちBPF(帯域透過フィルタ)や周波数変換を行うための局部発振器など、他の構成と比較して大型の構成を有する前段処理部(RF部)と、ベースバンド信号を用いた測位衛星からの信号の捕捉、追尾及び復号に係る処理や各種演算制御処理を行うベースバンド部とを別個に形成して用いることが出来る。
【0022】
制御演算部は、モジュールCPU501(解読手段、受信制御手段、位置取得手段、記憶更新制御手段)と、軌道情報記憶部502(位置算出情報記憶手段)と、タイムゾーン対応テーブル503(地方時記憶手段)などを備える。
モジュールCPU501は、当該受信部500で得られた符号列をフォーマットに従って復号して航法メッセージのうち所望の部分を取得し、当該取得された航法メッセージに基づいて位置などの演算処理を行う。また、モジュールCPU501は、受信部500の動作を制御すると共に、CPU41から入力設定された命令に従ってデータの算出や出力を行う。
【0023】
軌道情報記憶部502は、各測位衛星の軌道に係る概略軌道情報(アルマナック、概略歴)やGPS衛星の内部時計の時刻補正データといった位置算出情報を記憶する。測位衛星からの電波受信を行う場合には、この位置算出情報が必要に応じて読み出されて利用される。本実施形態の電子時計1では、通信部48を介して外部から位置算出情報を取得することが出来る。
【0024】
タイムゾーン対応テーブル503は、世界地図をブロック単位に分割し、当該ブロックごとにタイムゾーンや夏時間の実施情報(両者をまとめて、地方時情報と記す)などが設定値として記憶されたテーブルデータである。現在位置の緯度経度の値が取得されると、当該緯度経度の値に対応するブロックが定まり、このブロックの設定値を読み出すことで、現在位置のUTCからの時差を取得することが出来る。ブロックのサイズや形状は、適宜定められるが、緯度経度の値に対応するブロックを同定しやすく、且つ、各ブロックが単一のタイムゾーン且つ夏時間の実施エリアに属するようにタイムゾーンや夏時間の各実施エリアよりも十分小さく設定されるのが好ましい。
【0025】
駆動回路51は、CPU41から制御信号が入力されて、当該制御信号に応じたステッピングモータ81〜84に適切なタイミングで駆動信号を出力して当該ステッピングモータ81〜84を回転駆動する。駆動回路51では、CPU41から入力される設定に基づいて駆動信号のパルス幅や駆動電圧を適宜調整可能となっている。また、一度に大きな負荷をかけないために複数のステッピングモータが同時に駆動される制御信号が入力された場合、駆動回路51は、これらの駆動タイミングを互いに重ならない微小間隔でずらして順番にこれらのステッピングモータを回転駆動させることが出来る。
【0026】
電源部52は、各部の動作に係る電力を所定電圧で供給する。電源部52は、バッテリを備え、このバッテリとしては、例えば、交換可能なボタン型の乾電池が用いられる。或いは、バッテリとして、ソーラパネルと二次電池とが用いられても良い。また、電源部52から複数の異なる電圧が出力される場合には、例えば、スイッチング電源などを用いて所望の電圧に変換して出力可能な構成とすることが出来る。
【0027】
ステッピングモータ81は、複数の歯車の配列である輪列機構71を介して秒針61を回転動作させる。ステッピングモータ81が一回駆動されると、秒針61は、1ステップで6度回転し、ステッピングモータ81の60回の動作により文字盤上で一周する。
ステッピングモータ82は、輪列機構72を介して分針62及び時針63を回転動作させる。輪列機構72は、時針63を分針62に連動して回転させる構成であり、分針62を1度ずつ回転移動させると共に時針63を1/12度ずつ回転移動させる。
【0028】
ステッピングモータ83は、輪列機構73を介して日車64を回転動作させる。日車64は、特には限られないが、電子時計1の指針表示用文字盤下方(裏側)に指針表示用文字盤に平行に回転自在に設けられている。文字盤には開口部が設けられている一方、日車64の当該開口部と対向する円周上に1〜31日の各日を示す標識が設けられて、日車64の回転動作に伴って何れか一つの標識が開口部から露出される。ステッピングモータ83が一回駆動されると、日車64は、1ステップ分の角度回転移動し、150ステップの回転移動により360/31度の回転が生じて、文字盤の開口部から露出される日付標識が1日分変化する。そして、日車64が31日分回転移動すると、再び最初の日付を示す日付標識が開口部から露出されることになる。
【0029】
ステッピングモータ84は、輪列機構74を介して機能指針65を回転動作させる。機能指針65は、特には制限されないが、例えば、秒針61、分針62、時針63及び日車64とは異なる回転軸の周りを回転し、日時表示以外の内容又はその種別の表示に用いられる。輪列機構74は、例えば、ステッピングモータ84の一回の回転に対して機能指針65を6度回転させる。
【0030】
次に、測位衛星から取得した情報に基づく測位方法について説明する。
GNSSでは、複数の測位衛星を複数の軌道上に分散させて周回させることで、地上において同時に複数の測位衛星からの電波を受信可能とし、当該受信可能な測位衛星から送信されている当該測位衛星の現在位置に係る情報や日時情報を4機以上の測位衛星(地表面であるとの仮定の上では3機)から取得することで、これらの取得データと、取得タイミングのずれ、即ち、各測位衛星からの伝播時間(距離)の差と、に基づいて三次元空間における位置座標及び日時を決定することが出来る。
【0031】
測位衛星からは、日時に係る情報と、衛星の位置に係る情報と、衛星の健康状態などのステータス情報などが疑似拡散信号によりスペクトラム拡散されて送信されている。これらの送信フォーマットは、各測位システムに係る測位衛星ごとに定められている。
【0032】
図2は、GPS衛星から送信されている航法メッセージのフォーマットを説明する図である。
米国のGPS(Global Positioning System)に係る測位衛星(GPS衛星)では、30秒単位のフレームデータが合計25ページ送信されることで、12.5分周期でデータが出力されている。GPSでは、GPS衛星ごとに固有の疑似拡散信号が用いられており、この疑似拡散信号は、1.023MHzで符号(チップ)が配列されて1ms周期で送信されている。このチップの先頭は、GPS衛星の内部時計と同期しているので、GPS衛星ごとにこの位相のずれを検出することで、伝播時間、即ち、GPS衛星から現在位置までの距離に応じた位相ずれ(疑似距離、距離指標値)が検出される。
【0033】
各フレームデータは、5つのサブフレーム(6秒)で構成されている。更に、各サブフレームは10個のワード(各0.6秒、順番にWORD1〜WORD10)によって構成されている。
このうち、サブフレーム1には、WORD3にWN(週番号)が含まれ、19.6年周期で日付を特定する場合に用いられる。また、サブフレーム1のWORD8の途中からWORD10には、衛星時計の補正パラメータ(時刻補正データ)が含まれている。この補正パラメータには、現在日時(GPS日時)とGPS日時とUTC(世界標準時)に係る日時(UTC日時)との差分値及びその変化パラメータとが含まれている。
【0034】
サブフレーム2〜3では、エフェメリス(精密軌道情報)が送信されている。GPS衛星から出力されているエフェメリスには、直近の軌道に基づいて外挿された予測軌道を示す軌道要素(軌道6要素)及び当該軌道6要素の補正パラメータと、これらのうち、補正パラメータや変化パラメータは、基準日時に対して前後約2時間(有効期間)における軌道や日時を正確に表すためのものであって、基準日時から有効期間よりも大きく離れたタイミングでは原則的に意味を持たない。
【0035】
また、サブフレーム4の一部及びサブフレーム5では、アルマナックが送信されている。アルマナックは、1のサブフレームで1機の衛星分のデータが送信されており、ページ1〜24におけるサブフレーム5(24機分)と、ページ2〜5、7〜10におけるサブフレーム4(8機分)とで合計32機分のGPS衛星からのアルマナックが出力されている。アルマナックで示される予測軌道は、当該アルマナックの基準日時(基準タイミング)からの経過時間に応じて徐々に精度が悪くなっていく。
【0036】
各サブフレームのWORD1、WORD2では、それぞれ、テレメトリワード(TLM)、ハンドオーバワード(HOW)が送信されている。TLMには、サブフレームの先頭を表す固定の符号列であるプリアンブル(preamble)と、地上管制局情報を示すTLMメッセージとが含まれており、このプリアンブルを同定することで、航法メッセージに係る符号列中の位置が同定される。また、複数の測位衛星からのプリアンブルの検出タイミングのずれにより疑似距離が算出される。HOWには、日曜日の0時から開始される週内経過時間を示す番号TOW(Time of Week、Zカウントともいう)が含まれ、日付など、現在の日時がどの週であるかが既知の場合には、上述のWNを取得せずともTOWの値とこの同期タイミングが同定されることで日時が取得される。更に、日付だけではなく、時刻の誤差が1サブフレーム分以内、例えば、±3秒以内である場合には、TOWの値を取得せずとも符号列の同期タイミングのみ、即ち、プリアンブルの受信タイミングのみで日時を取得することも出来る。GPS衛星間でのこのプリアンブルの受信タイミングのずれは、上述の疑似距離を求める際に位相一周期分以上のずれを容易に検出する際にも用いることが出来る。
【0037】
GPS衛星から送信されるアルマナックでは、エフェメリスで送信されている軌道要素のうち軌道6要素を含む一部と、GPS日時とUTC日時との間の差分値及びその変化パラメータの一部とが、エフェメリスに含まれるものよりも低精度(少ないビット数)で出力されており、これら一部の軌道要素を用いることで得られるGPS衛星の予測軌道から当該GPS衛星の概略位置を算出することが出来る。
【0038】
本実施形態の電子時計1では、タイムゾーンの判定を行う場合に、アルマナックを用いて現在位置を概算する。タイムゾーンの判定で必要とされる現在位置は、一のタイムゾーンの内部にいることが分かる精度で求められれば良い。従って、通常では、測位に要求される位置精度(例えば、数メートル精度)よりは十分に低くて(例えば、数キロメートル精度)良い。
【0039】
図3は、本実施形態の電子時計1で実行されるタイムゾーン判定処理のモジュールCPU501による制御手順を示すフローチャートである。
このタイムゾーン判定処理は、ユーザの操作部47への所定の入力操作に応じて、又はユーザがタイムゾーンを跨ぐような大きな移動がなされたことを判定する所定の方法などに基づいて、開始される。
【0040】
タイムゾーン判定処理が開始されると、モジュールCPU501は、受信部500にL1帯の電波の受信を開始させて、測位衛星からの信号の探索、捕捉を行わせる(ステップS101)。このとき、モジュールCPU501は、捕捉に係る信号の探索時間の計数を開始する。モジュールCPU501は、探索時間が予め定められた捕捉タイムアウト時間を超えているか否かを判別し(ステップS102)、超えていると判別された場合には(ステップS102で“YES”)、モジュールCPU501の処理は、ステップS116に移行する。
【0041】
捕捉タイムアウト時間を超えていないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、モジュールCPU501は、4機以上の測位衛星が捕捉されたか否かを判別する(ステップS103)。4機以上捕捉されていないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、モジュールCPU501の処理は、ステップS102に戻る。
【0042】
4機以上捕捉されていると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、モジュールCPU501は、捕捉された信号の追尾と追尾、復調された信号の復号を開始する(ステップS104)。なお、この追尾動作は、4機以上捕捉されてから同時に開始されずに、捕捉次第順次開始されても良い。
【0043】
モジュールCPU501は、4機以上の測位衛星(捕捉衛星)との疑似距離が同定されたか否かを判別する(ステップS105)。疑似距離は、上述のように、疑似拡散コードの位相ずれ(捕捉に係る情報)やプリアンブル(所定の衛星信号部分)の位置ずれに基づいて同定される。同定されていないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、モジュールCPU501は、ステップS105の処理を繰り返す。同定されたと判別された場合には、モジュールCPU501は、必要な日時情報が取得されたか否かを判別する(ステップS106)。上述のように、日付がCPU41からの入力設定などにより予め保持されている場合には、WORD2におけるTOWの受信、解読で必要な日時情報が取得されたことになる。また、想定される時刻の誤差が±3秒以内の場合には、プリアンブルの受信タイミングのみで必要な日時情報が取得されたことになる。
【0044】
必要な日時情報が取得されていないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、モジュールCPU501は、ステップS106の処理を繰り返す。必要な日時情報が取得されたと判別した場合には(ステップS106で“YES”)、モジュールCPU501は、疑似距離が同定された捕捉衛星に係るアルマナック(位置算出情報)を軌道情報記憶部502から読み出す(ステップS109)。モジュールCPU501は、疑似距離、日時情報、及び当該日時情報に応じた捕捉衛星の位置を用いて現在位置の概略値(概略位置)を算出し、また、伝播遅延を補正した日時を同定する(ステップS110)。
【0045】
モジュールCPU501は、タイムゾーン対応テーブル503を参照して、算出された概略位置に対応するタイムゾーンと夏時間実施情報とを判別する(ステップS115)。モジュールCPU501は、受信部500による受信動作を終了させ、同定された日時と、判別されたタイムゾーン及び夏時間の実施情報とをCPU41に出力する(ステップS116)。そして、モジュールCPU501は、タイムゾーン判別処理を終了する。
【0046】
以上のように、第1実施形態の電子時計1は、測位衛星から送信されている衛星信号を含む電波を受信して当該衛星信号を探索し、捕捉された衛星信号を復調する受信部500と、外部から取得された測位衛星のアルマナックを含む位置算出情報を記憶する軌道情報記憶部502と、捕捉、復調された衛星信号を解読し(解読手段)、受信部500に少なくとも3機の測位衛星を捕捉させて捕捉に係る情報又は捕捉された測位衛星から自機の現在位置までの距離にそれぞれ応じた疑似距離を算出するのに必要なプリアンブル又は疑似拡散コードの位相ずれ情報を取得させ(受信制御手段)、疑似距離及びこの疑似距離が得られた測位衛星の位置算出情報を用いて現在位置を算出する(位置算出手段)モジュールCPU501などを備える。
従って、エフェメリスよりも精度が低い代わりに長期間利用可能なアルマナックを用いて概略位置を求めるので、毎回捕捉した測位衛星自体の精密位置情報を取得する必要がなく、従って、電力消費を低減させながら容易に概略的な位置情報を取得することが出来る。
なお、上記実施の形態において、ステップS103の処理の完了待ちについてのみ、ステップS102の処理でタイムアウト時間を設定したが、ステップS105、S106といった処理完了待ちの判別処理の一部または全部に対しても同様にタイムアウト時間を設定することが出来る。このようにタイムアウト時間を設定することで、衛星信号の捕捉後に受信状況が悪くなった場合や、捕捉されたものの航法メッセージの解読には不十分な電波強度(フェージングなどの影響も含む)の場合にも、速やかに受信を中止させて電力消費を抑えることが出来る。
【0047】
また、位置算出情報には、測位衛星の内部時計のずれを示す時刻補正データが含まれるので、現在位置の同定に係るずれをより小さくすることが出来る。
【0048】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電子時計について説明する。
図4は、第2実施形態の電子時計1aの機能構成を示すブロック図である。
【0049】
本実施形態の電子時計1aは、第1実施形態の電子時計1に対し、通信部48を備えない点を除き同一であり、同一の構成については同一の符号を付すこととして説明を省略する。
即ち、本実施形態の電子時計1aでは、位置算出情報は、通信部48を介して取得されない。
【0050】
図5は、第2実施形態の電子時計1aにおいて実行されるタイムゾーン判定処理のモジュールCPU501による制御手順を示すフローチャートである。
この第2実施形態の電子時計1aにおけるタイムゾーン判定処理は、第1実施形態の電子時計1におけるタイムゾーン判定処理と比較して、ステップS106〜S108の処理が追加された点が異なり、他の処理は、第1実施形態の電子時計1におけるタイムゾーン判定処理と同一である。従って、同一の処理内容については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0051】
本実施形態の電子時計1aでは、毎回1衛星分のアルマナックを受信して取得する。このアルマナックの受信及び取得動作を含むタイムゾーン判定処理は、上記第1実施形態のタイムゾーンの移動に係る場合に加えて、例えば、毎日予め定められた計時日時付近において日時の修正に係る日時の取得を行う動作と合わせて自動的に起動されて実行される。このとき、計時回路46の計数する日時が大きく(数秒以上)ずれていない限り、航法メッセージにおける所望の測位衛星のアルマナックが送信(受信)されるタイミングがほぼ正確に見積もられるので、本実施形態の電子時計1aでは、特に、自動受信の場合には、各測位衛星のアルマナックが可能な限り等しい頻度で取得されるように取得対象の測位衛星を定め、当該測位衛星からのアルマナックが受信されると想定されるタイミングに合わせて受信動作が開始されることが好ましい。
【0052】
ステップS105の判別処理で、必要な日時情報が取得されたと判別されると(ステップS105で“YES”)、モジュールCPU501は、今回の受信で受信対象となっている所望のアルマナックが取得されたか否かを判別する(ステップS107)。所望のアルマナックが取得されていないと判別された場合には(ステップS107で“NO”)、モジュールCPU501は、ステップS107の処理を繰り返す。このとき、モジュールCPU501は、当該所望のアルマナックが受信されるタイミングまで他のサブフレームの送信期間が1つ以上挟まれている場合には、一度受信部500による受信動作を中断させても良い。また、反対に、WN(サブフレーム1)を取得する必要がある場合に、所望のアルマナック(サブフレーム4又は5)が先に受信されても良い。この場合には、サブフレーム1のWNが受信されたタイミングでステップS106、S107の判別処理が何れも“YES”への分岐に切り替わる。
或いは、上述のステップS103と同様に、ステップS107の処理に対してタイムアウト時間(例えば、6秒)を設定して、当該タイムアウト時間内にアルマナックが取得されない場合には、今回の受信ではアルマナックの取得を行わないこととしても良い。この場合には、ステップS108の処理のみが省略されて、モジュールCPU501の処理は、ステップS109の処理に移行する。また、手動で受信が開始された場合などで、所望の測位衛星とは異なる測位衛星のアルマナックが先に取得された場合には、当該アルマナックによりステップS108の処理で記憶データを更新させることが出来る。
なお、ステップS108の処理におけるアルマナックの更新処理は、アルマナックが取得された段階で、ステップS106の処理で“YES”に分岐するのを待つことなく行われて良い。
【0053】
所望のアルマナックが取得されたと判別された場合には(ステップS107で“YES”)、モジュールCPU501は、当該取得されたアルマナックで、軌道情報記憶部502に記憶されている以前の当該測位衛星のアルマナックを上書き更新して記憶させる(ステップS108)。それから、モジュールCPU501の処理は、ステップS109に移行する。
なお、ステップS109の処理は、特に、疑似距離が取得された測位衛星と、今回の取得対象のアルマナックに係る測位衛星とが異なる場合には、ステップS106の処理で“YES”に分岐した段階で開始されても良い。これによって、より迅速に地方時情報を取得して表示させることが出来る。
【0054】
なお、アルマナックの取得対象とする測位衛星は、WORD4に含まれている概略軌道の基準時刻(発行時刻)の古いものを優先することが好ましい。GPS衛星から送信される各GPS衛星のアルマナックの更新は、定期的に行われるので、単純に各衛星のアルマナックを順番に更新していくことでも基準時刻の古いものから順番に更新されることになる。
【0055】
以上のように、第2実施形態の電子時計1aでは、モジュールCPU501は、現在位置を取得する場合に、位置算出情報、特にアルマナックの取得対象として設定された測位衛星の当該位置算出情報を含む衛星信号が受信される期間、即ち、フレーム番号やサブフレームなど)に合わせてGPS受信処理部50の受信部500を動作させ、復調された衛星信号から取得された位置算出情報により、軌道情報記憶部502に記憶されている当該測位衛星の概略軌道情報などを上書き更新する。
従って、受信対象期間を定めてピンポイントで受信動作を行わせることで、必要以上に受信時間を長引かせずに、受信動作に係る電力消費を低減させることが出来る。また、アルマナックを用いて測位を行うことで、捕捉される測位衛星とアルマナックが取得される測位衛星とが異なっていても良いので、効率良く捕捉された測位衛星の疑似距離の取得とアルマナックの取得とを並行させて行うことが出来る。
【0056】
また、モジュールCPU501は、位置算出情報の取得対象として、軌道情報記憶部502に記憶されている位置算出情報に係る概略軌道の基準時刻が古い測位衛星を優先的に設定することで、概略軌道の誤差が大きい測位衛星を可能な限り生じさせないようにすることが出来る。
【0057】
また、モジュールCPU501は、位置算出情報の取得対象として、GPS受信処理部50の受信部500による受信対象となり得る全ての測位衛星を順番に設定するので、実際に捕捉される測位衛星の頻度や間隔に拘わりなく、簡便且つ容易に、一部の測位衛星に係るアルマナックの誤差が大きくならないように保つことが出来る。
【0058】
また、本実施形態の電子時計1aは、本実施形態のGPS受信処理部50と、日時を計数する計時回路46と、日時を表示する指針61〜65と、CPU41などを備え、CPU41は、計数されている日時を取得された地方時設定に応じた地方時に変換し、指針61〜65に表示させる。即ち、この電子時計1aでは、より電力消費を抑えつつ、正確な地方時情報を取得して、指針61〜65に表示させることが出来る。従って、ユーザは、旅行などによる移動に伴う地方時設定の変化に応じて適切な地方時を容易且つ正確に知得することが出来る。また、このとき、電子時計1aの負荷やバッテリ残量の心配が小さくなる。反対に、電子時計1aのバッテリを必要以上に大型する必要がなく、サイズの小型化や軽量化を図ることが出来る。
【0059】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の電子時計について説明する。
第3実施形態の電子時計1aは、第2実施形態の電子時計1aと同一の機能構成を有するので、構成に係る詳しい説明を省略する。
【0060】
次に、本実施形態の電子時計1aにおけるタイムゾーンの判定動作について説明する。
概略位置の算出時には、併せて、DOP(Dilution of Precision)が算出される。このDOPは、測位に用いられた測位衛星の位置関係(配位、constellation)に基づく測位精度を示す値であり、1より大きくなるほど精度が悪いことを示す。ここでは、求められた現在位置に対し、このDOPに基づいて誤差範囲を設定し、当該誤差範囲がタイムゾーンや夏時間設定エリアの境界線と重なるか否かを判断することで、概略位置での判定が十分であるか否かを判別する。
【0061】
図6は、本実施形態の電子時計1aにおける概略位置精度の良否について説明する図である。
ここでは、境界線Gによって異なるタイムゾーンに属するエリアAとエリアBとに分割されている場合を示す。この境界線付近で現在位置が算出された場合に、算出された現在位置P1に対して誤差範囲E1が設定されると、当該誤差範囲E1の外縁は、全てエリアAの内部にあるので、現在位置P1は、エリアAに属することが確定される。一方、算出された現在位置P2に対して誤差範囲E2が設定されると、当該誤差範囲E2の外縁は、エリアAとエリアBとに跨っている。従って、この場合には、算出された現在位置P2がエリアBに属すると確定することが出来ない。
【0062】
電子時計1aでは、このように概略位置ではタイムゾーンの判定に不十分な精度である場合にのみ、エフェメリス(サブフレーム2、3)及び衛星時計補正パラメータ(サブフレーム1)を取得して精度の高い現在位置を算出することとする。
【0063】
図7は、本実施形態で実行されるタイムゾーン判定処理のモジュールCPU501による制御手順を示すフローチャートである。
このタイムゾーン判定処理では、第2実施形態のタイムゾーン判定処理に対してステップS112〜S114の処理が追加されている点が異なり、その他の処理については同一であるので、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0064】
ステップS110の処理で概略位置及びDOPが算出されると、モジュールCPU501は、算出された現在位置に対して誤差範囲を設定し、当該誤差範囲の外縁がタイムゾーンや夏時間設定エリアの境界線と重なるか否かを判別する(ステップS112)。モジュールCPU501は、外縁に沿った各点を含むブロックのタイムゾーンを順番に参照して、途中でタイムゾーンが変化している地点がある場合には、誤差範囲が当該境界線と重なっていると判別することが出来る。或いは、境界線情報を別途保持し、モジュールCPU501は、算出された現在位置近傍の境界線に沿った各点が誤差範囲と交差するか否かを判別しても良い。
【0065】
誤差範囲と境界線とが重ならないと判別された場合には(ステップS112で“NO”)、モジュールCPU501の処理は、ステップS115に移行する。誤差範囲と境界線とが重なると判別された場合には(ステップS112で“YES”)、モジュールCPU501は、受信動作を続け、4機以上の測位衛星からエフェメリス(衛星時計補正パラメータを含む)が取得されたか否かを判別する(ステップS113)。取得されていないと判別された場合には(ステップS113で“NO”)、モジュールCPU501は、ステップS113の処理を繰り返す。このステップS113の判別処理についても、ステップS103の処理と同様にタイムアウト時間が設定されても良い。このタイムアウト時間は、例えば、航法メッセージにおける現在の受信位置に応じて直近のサブフレーム2、3が受信されると見積もられる期間が経過するまでの時間に設定されれば良い。
【0066】
4機以上の測位衛星からエフェメリスが取得されたと判別された場合には(ステップS113で“YES”)、モジュールCPU501は、取得されたエフェメリスを用いて現在位置(精密位置)を算出し、また、当該算出された精密位置に基づく伝播遅延時間を考慮した正確な日時を同定する(ステップS114)。それから、モジュールCPU501の処理は、ステップS115に移行する。
【0067】
以上のように、第3実施形態の電子時計1aは、世界の各地における地方時情報、即ち、タイムゾーンや夏時間の実施情報を記憶するタイムゾーン対応テーブル503を備え、モジュールCPU501は、算出された現在位置が属する地方時情報を前記タイムゾーン対応テーブル503から取得し(地方時取得手段)、算出された現在位置に対してDOPなどにより定められる所定の誤差範囲が複数の地方時設定に係るブロックに跨がっている場合には、エフェメリスを含む衛星信号が受信される期間(GPS衛星の場合には、サブフレーム2、3)に受信部500を動作させ、取得されたこのエフェメリスに基づいて算出された現在位置が属する地方時情報を取得する。
従って、タイムゾーンの判定のように通常の測位に必要な精度が必要とされない場合が多い場合に、本発明は、より好ましく用いられ、タイムゾーンの境界線付近や夏時間実施ルールが異なる国境線付近などで概略位置が取得されて、何れのタイムゾーンや夏時間実施地域にいるかが特定出来ない場合に限り、エフェメリスの受信を行う。従って、通常では、短時間の受信で効率良く概略位置を取得してエフェメリスの受信に伴う電力消費の増大を最低限度に抑えながら、必要に応じて概略位置の取得による地方時の誤判定を防ぐことが出来る。
【0068】
また、GPS衛星から取得されたエフェメリスには、アルマナックに対応するデータが含まれているので、このアルマナックに対応するデータにより、軌道情報記憶部502において、取得されたエフェメリスと同一の測位衛星のアルマナックを上書き更新させることで、再度当該測位衛星のアルマナックを受信する二度手間を省いて最新のデータに同一条件で更新することが出来る。
【0069】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の電子時計について説明する。
図8は、本実施形態の電子時計1bの機能構成を示すブロック図である。
この電子時計1bは、GPS受信処理部50aが位置精度取得テーブル504(誤差範囲対応記憶手段)を備え、また、タイムゾーン対応テーブル503bが第2実施形態の電子時計1aにおけるタイムゾーン対応テーブル503と異なる点を除き、第2実施形態の電子時計1aと同一の構成であり、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
本実施形態の電子時計1bでは、タイムゾーン対応テーブル503bにおいて、各ブロックのタイムゾーンや夏時間実施情報に加えてこれらタイムゾーンや夏時間実施情報のエリア境界からの距離に応じたサブエリアの設定がなされている。
【0071】
図9は、タイムゾーン対応テーブル503bで設定されているゾーン分けの例を示す図である。
ここで示されている範囲では、各ブロックは、原則的に緯度経度方向に略均等に分割されており、ブロックの境界線に沿ってタイムゾーンの境界線Gが設定されることで、各ブロックがエリアA、B、Cに分割されている。各エリアA、B、Cは、それぞれ、境界線Gからの距離によって、境界線Gから20km圏内の境界サブエリアA0、B0、C0、境界線Gから100km圏内の中間サブエリアA1、B1、C1及び境界線Gから十分離れた内部サブエリアA2、B2、C2に分けられている。
【0072】
モジュールCPU501は、タイムゾーン対応テーブル503bにおいて算出された現在位置に応じたブロックのデータを参照するだけで、現在位置のタイムゾーンと共に境界線からの距離を示すサブエリアの情報を取得することが出来る。サブエリアの区分と、算出された概略位置の精度(誤差範囲)とに応じてエフェメリスの取得要否が判断される。
【0073】
この電子時計1bでは、概略位置の精度は、測位に用いられた測位衛星に係るアルマナックの基準時刻からの経過日数と、測位に用いられた測位衛星における衛星間角度とを用いて位置精度取得テーブル504が参照されて所定数の誤差レベルにランク分けされる。この衛星間角度は、現在位置(電波受信位置)から見た測位衛星の視線方向間における角度差の最大値を示す。
【0074】
図10は、位置精度取得テーブル504の例を示す図表と、位置精度取得テーブルで取得された誤差レベルとサブエリアとに応じたエフェメリスの取得要否を示す図表である。
【0075】
図10(a)に示すように、ここでは、アルマナックの基準時刻からの経過日数と、測位に用いられた測位衛星の衛星間角度とに応じて、誤差レベルは、0〜2の3段階に設定される。これらの3段階は、3種類のサブエリアにそれぞれ対応して誤差レベル「0」が誤差20km以内、誤差レベル「1」が誤差100km以内、誤差レベル「2」が100km以上となるように定められる。
【0076】
軌道6要素や衛星時計は、一ヶ月程度の範囲では近似的に一次線形で変化するので、経過日数が大きくなるに連れて徐々に位置精度が悪化する。また、衛星間角度が狭くなるほど複数の測位衛星と現在位置とをそれぞれ結ぶ直線が平行に近くなり、これらの直線に垂直面に近い面内での位置精度が悪くなる。更に、捕捉された全ての測位衛星がほぼ同一の方向に偏っている場合には、全ての方向に位置精度が悪化する。近似的には、測位衛星の位置の誤差に対し、衛星間角度θの1/2の正弦の逆数(即ち、1/sin(θ/2))に従って精度が悪化する。
例えば、衛星間角度が45度未満の場合、アルマナックの基準時刻から20日以上が経過すると、20km以上の誤差が想定される程度に測位衛星の位置や衛星時計の時刻のずれが大きくなる。
【0077】
図10(b)に示すように、本実施形態の電子時計1bでは、
図10(a)によって得られるこの誤差レベルと、
図9によって得られる境界線からの距離に応じたサブエリアとに基づいてエフェメリス受信の要否が判断される。即ち、算出された概略位置の精度が高く、誤差レベルが低い(誤差レベル「0」)場合には、境界線から20km離れていればエフェメリスの受信が不要と判断されるのに対して、概略位置の精度が低く、誤差レベルが高くなるほど(誤差レベル「1」、「2」)、境界線から離れていてもエフェメリスの受信が必要であると判断される。
【0078】
図11は、本実施形態の電子時計1bで実行されるタイムゾーン判定処理のモジュールCPU501による制御手順を示すフローチャートである。
このタイムゾーン判定処理は、第3実施形態のタイムゾーン判定処理に対し、ステップS110の処理がステップS110aの処理に置き換えられ、ステップS111の処理が追加され、また、ステップS112の処理がステップS112a、S112bの処理に置き換えられている。これら以外の処理は、第3実施形態の電子時計1aと第4実施形態の電子時計1bで同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0079】
ステップS109の処理で測位に用いられる測位衛星のアルマナックが取得されると、モジュールCPU501は、概略位置を算出し、また、当該概略位置に基づいて、当該概略位置の算出に用いられた測位衛星の中で最も広い衛星間角度を算出する(ステップS110a)。モジュールCPU501は、タイムゾーン対応テーブルを参照して、算出した概略位置に対応するブロックが属するタイムゾーンと、サブエリアを判別する(ステップS111)。
【0080】
モジュールCPU501は、算出された衛星間角度と、判別されたサブエリアとに基づいて、エフェメリス(及び衛星時計補正パラメータ)の取得の要否を判断する(ステップS112a)。モジュールCPU501は、エフェメリスの取得が必要であるか否かを判別し(ステップS112b)、取得が必要でないと判別された場合には(ステップS112bで“NO”)、処理をステップS116に進める。エフェメリスの取得が必要であると判別された場合には(ステップS112bで“YES”)、モジュールCPU501は、処理をステップS113に進める。
【0081】
[変形例]
上述した第4実施形態の電子時計1bにおけるエフェメリスの取得要否に係る判定は、衛星間角度として4機の測位衛星の中で最も広い角度差にのみ基づいて行ったが、4機の測位衛星の位置関係は、天球面上で方位角方向に均等に分布されている訳ではなく、緯度方向と経度方向などの直交する二軸方向に異なる角度差で非等方的に分布している。そこで、第4実施形態の電子時計1bにおいて、この不均等を考慮してエフェメリスの取得要否に係る判定を行わせる処理を実行させることが出来る。
【0082】
図12は、測位衛星が非等方的に位置している場合について説明する図である。
図12(a)に示すように、ここでは、軸U(長軸)方向に沿って測位衛星SV1、SV2が衛星間角度αで配置され、軸V(短軸)の方向に沿って測位衛星SV3、SV4が衛星間角度βで配置されている。なお、測位衛星が各軸に沿って分布されていない場合には、例えば、重心に対する分散が最大となる方向に長軸Uを設定して、長軸U及び測位衛星SV1を含む面と、長軸U及び測位衛星SV2を含む面との間の角度を衛星間角度αとして定め、長軸Uに垂直な短軸V及び測位衛星SV3を含む面と、短軸V及び測位衛星SV4を含む面との間の角度を衛星間角度βとして定めることが出来る。
【0083】
このとき、衛星間角度α>衛星間角度βの場合、長軸Uの方向への誤差の大きさは、短軸Vの方向への誤差の大きさより小さい。従って、衛星間角度αに合わせて誤差範囲を定めると、短軸方向への誤差範囲を過少に見積もることになってタイムゾーンの誤判定が生じうる。一方、衛星間角度βに合わせて誤差範囲を定めると、長軸方向への誤差範囲を過大に見積もることになって、エフェメリスの取得頻度が上昇し、消費電力や処理時間の低減に繋がらない。
【0084】
本実施形態の電子時計1bでは、測位衛星の位置関係に係る長軸Uの方向には、上記第4実施形態の電子時計1bと同様に、当該長軸Uの方向への衛星間角度の幅に応じて誤差範囲が定められる。一方、短軸Vの方向には、当該短軸Vの方向への衛星間角度の幅に応じた誤差範囲が定められる。
【0085】
しかしながら、第4実施形態の電子時計1bにおいて、誤差範囲に非等方性(異方性)があると、誤差レベルとサブエリアとによるエフェメリス取得要否に係る判別が容易には行い難くなる。そこで、この変形例では、
図12(b)に示すように、長軸Uの方向への衛星間角度に応じた誤差レベルと、短軸Vの方向への衛星角度に応じた誤差レベルとが異なる場合、ここでは、誤差レベルが「0」と「1」の場合に、誤差レベル「0」の範囲を示す円C3、C4(等方的な判定ブロック)が概略位置P0に対して誤差レベル「1」の範囲を示す円C5に内接するように、短軸Vの方向に沿って円C3、C4の中心が誤差参照位置P3、P4として配置される。
【0086】
そして、この電子時計1bでは、概略位置P0、及び配置された誤差参照位置P3、P4の3点について、それぞれ境界線からの距離、即ち、サブエリアの取得を行うことで、近似的に長円形の誤差範囲E0が境界と重複するか否かを判別する。
但し、この場合、誤差レベル「0」と「1」の差に応じて、円C0、C3、C4の間をタイムゾーンの境界線が通過してしまう場合があるので、円C3と円C0の間及び円C4と円C0の間に、それぞれの誤差範囲に応じた間隔で更に1又は複数の円を配列しても良い。ここでは、20km間隔で5個の円を配列することで、より確実に誤差範囲とタイムゾーンの境界線との重複を検出することが出来る。
【0087】
図13は、本変形例において、誤差レベルとサブエリアとに応じたエフェメリスの取得要否を示す図表である。
この変形例では、概略位置P0、及び概略位置P0と共に算出された誤差参照位置P3、P4の3点に対して、それぞれサブエリアを取得し、何れか一つでも境界線から20km以内のサブエリアにある場合には、エフェメリスを取得し、何れか一つでも境界線から100km以内のサブエリアにある場合には、誤差レベルが1又は2の場合にエフェメリスを取得し、何れも境界線から100km以上離れたサブエリアにある場合には、誤差レベルが2の場合にのみエフェメリスを取得する。このように、測位衛星の位置関係上、位置精度の低い方向について、誤差参照位置P3、P4を用いてより厳しくエフェメリスの取得要否を判別することで、不要にエフェメリスの取得機会を増加させないようにしつつ、容易且つより確実にタイムゾーンの判定を行うことが出来る。
【0088】
以上のように、第4実施形態の電子時計1bでは、アルマナックを用いて現在位置が算出された場合に、疑似距離が得られた測位衛星の衛星間角度と、アルマナックにより得られる概略軌道の基準時刻からの経過時間とに基づいて誤差範囲を定める。
即ち、アルマナックのデータが古くなるほど増大する誤差や、捕捉された測位衛星の位置関係に応じて増大する誤差に応じて適切な範囲の誤差範囲を設定してエフェメリスの受信可否を柔軟に決定するので、多少アルマナックの更新間隔が開いたり、受信環境が悪かったりしても、状況に応じて必要な精度が得られればそのままアルマナックを利用しつつ、誤差範囲が拡大した結果必要な精度が得られない場合には、臨機応変にエフェメリスの受信及び当該エフェメリスを用いた測位に切り替えるので、電力消費の低減と判定誤差の低減とを両立させることが出来る。
【0089】
また、疑似距離が得られた測位衛星の衛星間角度とアルマナックの基準時刻からの経過時間の組み合わせに応じた誤差範囲をリスト記憶する位置精度取得テーブル504を備え、モジュールCPU501は、算出された衛星間角度と、経過時間とを用いて位置精度取得テーブル504を参照することで、適切な誤差範囲を取得するので、誤差範囲を考慮してエフェメリスの取得が必要であるか否かを容易且つ速やかに判断して地方時の特定に係る処理を進めることが出来る。
【0090】
また、変形例の電子時計1bでは、算出された現在位置の誤差範囲は、疑似距離が得られた測位衛星の位置関係に応じて非等方的に設定されるので、谷間やビル間など所定方向にのみ開けているような場合などで分布に偏りがある場合でも効果的に誤差範囲を判定することが出来る。例えば、タイムゾーンは、主に経度方向に変化するので、緯度方向への誤差が多少大きくても経度方向に必要な精度が得られる場合などには、必要以上にエフェメリスの受信に移行させる必要が無い。また、反対に、平均的な誤差判断を行うことで誤差範囲が広い側に誤判定が増大したり、誤差範囲が広い側に合わせて判定を行うことでエフェメリスの受信頻度が必要以上に増えて電力消費が増大したりするといった問題の増加を抑えることが出来る。また、電子時計1bのユーザが受信中に移動することによって受信状況が変化して受信に失敗する可能性を低減させる一方、ユーザが意識して受信中に同じ位置に留まる必要のある時間を短縮することが出来る。
【0091】
モジュールCPU501は、非等方的に設定された誤差範囲内に複数の等方的な判定ブロックを配列させ、これら判定ブロック何れかが複数の地方時設定に係る領域に跨がっているか否かを判別することで、エフェメリスの取得要否を判別する。
即ち、非等方的な誤差範囲に対して地方時設定との境界線と重複しているか否かを判別する処理は、等方的な誤差範囲に比較して複雑になることが多いので、容易な処理の組み合わせとすることで、処理の負荷を上昇させない。
【0092】
なお、実施形態3において、実施形態4の変形例と同様に誤差範囲の異方性を考慮する場合には、単純に単一の長円形の誤差範囲E0や楕円形の誤差範囲を定めて、当該誤差範囲とタイムゾーンの境界線との重複を判別することで、エフェメリスの取得要否を判別しても良い。
【0093】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の電子時計について説明する。
図14は、第5実施形態の電子時計1cの機能構成を示すブロック図である。
この第5実施形態の電子時計1cは、第4実施形態の電子時計1bにおけるGPS受信処理部50aがGPS受信処理部50cに置き換えられた点を除き同一の構成であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
このGPS受信処理部50cは、位置履歴記憶部505(履歴記憶手段)を備える。位置履歴記憶部505には、直近に計測された現在位置の履歴(履歴位置)を所定回数分記憶させることが出来る。この現在位置には、当該現在位置の取得日時やタイムゾーンの情報も合わせて記憶させることとしても良い。
【0095】
次に、第5実施形態の電子時計1cにおけるタイムゾーンの判定動作について説明する。
図15は、本実施形態の電子時計1cにおいて実行されるタイムゾーン判定処理のモジュールCPU501による制御手順を示すフローチャートである。
【0096】
このタイムゾーン判定処理は、第4実施形態のタイムゾーン判定処理に対してステップS112c、S112dの処理が追加された点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0097】
ステップS112bの処理で、エフェメリスの取得が必要であると判別された場合(ステップS112bで“YES”)、モジュールCPU501は、位置履歴記憶部505から直近に計測された位置を所定回数分取得する(ステップS112c)。モジュールCPU501は、当該所定回数分の位置と、今回算出された現在位置とが所定の距離範囲内にあり、且つ、同一のエリア内にあるか否かを判別する(ステップS112d)。ここでは、直接距離を算出しても良いし、タイムゾーン対応テーブル503bにおけるブロックの位置関係、例えば、現在位置が含まれるブロックが、履歴に係る位置のブロック全てと隣接する又は同一のブロックであるか否かを判別することで所定の距離範囲内にあると判別しても良い。
また、現在位置及び履歴に係る所定回数分の位置が属するエリアは、同様にタイムゾーン対応テーブル503bが参照されて取得されれば良い。即ち、誤差範囲に応じて明らかに通常の移動範囲から外れた移動がなされたと見做されない距離範囲内であれば、異なるタイムゾーンに移動していないと判断する。
【0098】
今回算出された現在位置が履歴から取得された位置と所定の距離範囲内にないか、又は同一のエリア内にないと判別された場合には(ステップS112dで“NO”)、モジュールCPU501の処理は、ステップS113に移行する。今回算出された現在位置が位置履歴記憶部505から取得された位置と所定の距離範囲内にあり、且つ、同一のエリア内にあると判別された場合には(ステップS112dで“YES”)、モジュールCPU501の処理は、ステップS116に移行する。
【0099】
以上のように、第5実施形態の電子時計1cは、過去に算出された位置の履歴を記憶する位置履歴記憶部505を備え、モジュールCPU501は、算出された現在位置に対する所定の誤差範囲が複数の地方時設定に係る領域に跨がっている場合には、履歴を参照し、現在位置が直近の所定回の履歴位置に対して誤差範囲に応じた所定の距離内にあり、且つ、当該履歴位置と同一の地方時設定に係る領域に属する場合には、エフェメリスの取得を行わないと判別する。
地方時の境界線は、国境などの行政区画に沿って設定されていることが多く、通常の生活圏は、一方の側にあることが多いので、一般的には明らかな位置変化が見られない限りはエフェメリスの受信に移行せずに、境界線の一方の側いると見なすことでエフェメリスの受信頻度を低減させることが出来る。一方で、境界線を越えて頻繁に移動するユーザや旅行者にとっては、単に境界線の一方の側にいると見做すことで誤判定が増加することになるので、直近の履歴で境界線のどちらの側にもいる場合があると判断される場合には、通常通りエフェメリスの取得を行うことで誤判定を防ぐことが出来る。
【0100】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、アルマナック、エフェメリスと衛星時計の補正パラメータとを両方同時に取得することとしたが、衛星時計の補正パラメータの取得は、別個に、又は、異なる頻度で行われても良い。
【0101】
また、上記実施の形態では、4機以上の測位衛星からの疑似距離を取得することとしたが、地方時の設定には高度方向の情報は重要ではないので、3機以上の測位衛星からの疑似距離を取得して地表面での位置を取得しても良い。或いは、測位の目的に応じて3機での測位を認めるか否かを切替設定しても良い。
【0102】
また、上記実施の形態では、アルマナックが通信部48を介して取得される場合と測位衛星からの受信データとして取得される場合とをそれぞれ示したが、両者が併用されても良い。この場合、通信部48を介して取得されたデータが一部の場合には、当該一部のデータの次回の測位衛星からの受信による更新タイミングを変更しても良いし、従来通りとしても良い。
【0103】
また、上記実施の形態では、地方時の判定に用いる場合に概略位置を算出することとしたが、通常の測位ほどの位置精度(数メートル精度など)が要求されない他の用途、例えば、国や地域を判定してカレンダーにおける祝祭日やイベント開催日の設定を行ったり、航空機での測位が可能になった場合にユーザが概略位置を取得したりするといった場合にも同様に本発明を適用することが出来る。
【0104】
また、上記実施の形態では、地方時情報の境界線に対して単純に2つの領域に跨っているか否か(誤差範囲内を境界線が通過しているか)を判別したが、領域数は3つ以上であっても良い。また、地方時の境界線が夏時間設定に係る領域の境界線であって、冬季などでいずれの地域でも夏時間が実施されていない場合には、エフェメリスの受信を行わせないように処理を追加しても良い。或いは、単純に一律の誤差(例えば、10km)を定めても良い。
【0105】
また、上記実施形態では、GPS衛星を例に挙げて説明したが、日本の準天頂衛星など、GPS衛星の航法メッセージに準拠したフォーマットで信号が送信されている測位衛星については、同様に本発明を適用することが出来る。
【0106】
また、ロシアのGLONASS衛星の場合、航法メッセージでは、15個のストリング(2秒)で構成されるフレーム(30秒)が5個配列されて2.5分で1つのスーパーフレームが構成されている。アルマナックは、ストリング6〜15において1衛星当たり2ストリングずつ用いられて送信されているので、これらのデータを取得することで、アルマナックのデータを効率良く受信して取得することが出来る。GLONASS衛星のアルマナックでは、軌道6要素に当たるもののうち、一部が異なるフォーマットで送信されている(例えば、GPS衛星における軌道長径の平方根の値の代わりに、平均公転周期(43200秒)からのずれ量が送信されている)ので、取得される値に応じた計算式で測位衛星の位置を求めれば良い。
【0107】
但し、GLONASS衛星では、ストリング1〜3の内部で送信されているエフェメリスにおいて、軌道パラメータではなく、基準日時における当該測位衛星の位置、速度及び加速度が送信されているので、等加速度運動で近似可能な範囲でのみ取得可能な位置情報なので、エフェメリスの一部を受信してアルマナックとして用いるのは難しい。
また、GLONASS衛星では、時刻がストリング1でのみ送信されているので、各ストリングの末尾で送信されているタイムマーク及び各ストリングの先頭で送信されているストリング番号で日時が同定出来る範囲内の誤差ではない場合には、ストリング1の受信を行う必要がある。即ち、アルマナックを含むストリングの受信だけでは日時を同定することが出来ない場合がある。
【0108】
また、上記実施の形態では、測位衛星の位置関係の指標としてDOPや衛星間角度を用いたが、その他のものを用いても良い。例えば、単に捕捉された測位衛星の数を基準として位置関係を簡単に見積もっても良い。また、上記実施の形態では、位置精度取得テーブル504で、境界線から20km圏と100km圏の設定を行ったが、異なる距離ステップであっても良く、また、ステップ数は、適宜設定され得る。
【0109】
また、上記実施の形態では、指針61〜65を用いて日時を表示するアナログ電子時計を例に挙げて説明したが、液晶ディスプレイなどのデジタル表示が用いられる電子時計であっても良い。また、本発明の電波受信装置は、時計表示を主目的とする電子装置に限られず、概略位置の取得に係る各種電子装置に用いることが出来る。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理内容やその手順は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0111】
[付記]
<請求項1>
測位衛星から送信されている衛星信号を含む電波を受信して当該衛星信号を探索し、捕捉された衛星信号を復調する受信手段と、
捕捉、復調された前記衛星信号を解読する解読手段と、
外部から取得された前記測位衛星の概略軌道情報を含む位置算出情報を記憶する位置算出情報記憶手段と、
前記受信手段に少なくとも3機の測位衛星を捕捉させ、当該捕捉に係る情報又は前記捕捉された測位衛星から自機の現在位置までの距離にそれぞれ応じた距離指標値を算出するのに必要な所定の衛星信号部分又は捕捉に係る情報を取得させる受信制御手段と、
前記距離指標値及び当該距離指標値が得られた測位衛星の前記概略軌道情報を用いて現在位置を算出する位置取得手段と、
を備えることを特徴とする電波受信装置。
<請求項2>
前記位置算出情報には、前記測位衛星の時刻補正データが含まれることを特徴とする請求項1記載の電波受信装置。
<請求項3>
前記受信制御手段は、現在位置を取得する場合に、前記位置算出情報の取得対象として設定された測位衛星の当該位置算出情報を含む衛星信号が受信される期間に合わせて前記受信手段を動作させ、
復調された前記衛星信号から取得された前記位置算出情報により、前記位置算出情報記憶手段に記憶されている前記設定された測位衛星の位置算出情報を上書き更新させる記憶更新制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電波受信装置。
<請求項4>
前記受信制御手段は、位置算出情報の取得対象として、前記位置算出情報記憶手段に記憶されている位置算出情報に係る概略軌道の基準タイミングが古い測位衛星を優先的に設定することを特徴とする請求項3記載の電波受信装置。
<請求項5>
前記受信制御手段は、位置算出情報の取得対象として、前記受信手段による受信対象となり得る全ての測位衛星を順番に設定することを特徴とする請求項3記載の電波受信装置。
<請求項6>
世界の各地における地方時情報を記憶する地方時記憶手段と、
前記算出された現在位置が属する前記地方時情報を前記地方時記憶手段から取得する地方時取得手段と、
を備え、
前記受信制御手段は、前記算出された現在位置に対する所定の誤差範囲が複数の地方時設定に係る領域に跨がっている場合には、精密軌道情報を含む衛星信号が受信される期間に前記受信手段を動作させ、
前記地方時取得手段は、取得された前記精密軌道情報に基づいて算出された現在位置が属する前記地方時情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電波受信装置。
<請求項7>
概略軌道情報を用いて前記現在位置が算出された場合に、前記距離指標値が得られた測位衛星の衛星間角度と、前記概略軌道の基準タイミングからの経過時間とに基づいて前記誤差範囲を定める誤差範囲設定手段を備えることを特徴とする請求項6記載の電波受信装置。
<請求項8>
前記衛星間角度と前記経過時間の組み合わせに応じた前記誤差範囲をリスト記憶する誤差範囲対応記憶手段を備え、
前記誤差範囲設定手段は、算出された前記衛星間角度と前記経過時間とを用いて前記誤差範囲対応記憶手段の前記リストを参照する
ことを特徴とする請求項7記載の電波受信装置。
<請求項9>
前記誤差範囲は、前記距離指標値が得られた前記測位衛星の位置関係に応じて非等方的に設定されることを特徴とする請求項7又は8記載の電波受信装置。
<請求項10>
前記受信制御手段は、前記非等方的に設定された前記誤差範囲内に配置された複数の等方的な判定ブロックの何れかが複数の前記地方時設定に係る領域に跨がっているか否かを判別することで、精密軌道情報の取得要否を判別することを特徴とする請求項9記載の電波受信装置。
<請求項11>
過去に算出された位置の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記受信制御手段は、前記算出された現在位置に対する所定の誤差範囲が複数の地方時設定に係る領域に跨がっている場合には、前記履歴を参照し、前記現在位置が直近の所定回の履歴位置に対して前記誤差範囲に応じた所定の距離内にあり、且つ、当該履歴位置と同一の地方時設定に係る領域に属する場合には、精密軌道情報の取得を行わないと判別する
ことを特徴とする請求項8〜10の何れか一項に記載の電波受信装置。
<請求項12>
前記記憶更新制御手段は、前記取得された精密軌道情報に概略軌道情報に対応するデータが含まれている場合には、当該概略軌道情報に対応するデータにより、前記精密軌道情報と同一の測位衛星の概略軌道情報を上書き更新させることを特徴とする請求項6〜11の何れか一項に記載の電波受信装置。
<請求項13>
請求項6〜12の何れか一項に記載の電波受信装置と、
日時を計数する計時手段と、
計数されている日時を取得された地方時設定に応じた地方時に変換する地方時取得手段と、
変換された地方時を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子時計。