特許第6387775号(P6387775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387775
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】携帯電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20180903BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20180903BHJP
   G06F 1/32 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   H02J7/02 V
   G06F1/26 F
   G06F1/26 331C
   G06F1/32 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-205099(P2014-205099)
(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-77065(P2016-77065A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003676
【氏名又は名称】ティアック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】本田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】織部 邦広
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/044297(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/077270(WO,A1)
【文献】 特開2011−139251(JP,A)
【文献】 特開2002−044876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26− 1/32
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と接続するためのUSBコネクタと、
二次電池と、
VBUSラインから前記二次電池への給電をON/OFFする給電スイッチと、
前記USBコネクタに外部機器が接続された場合に、給電と非給電のいずれかを選択するための選択メニューを表示し、ユーザが給電を選択した場合に前記給電スイッチをON制御して前記外部機器から前記二次電池への給電を実行し、ユーザが非給電を選択した場合に前記給電スイッチをOFF制御して前記外部機器から前記二次電池への給電を非実行とする制御手段と、
電源スイッチと、
を備え、
前記制御手段は、前記二次電池の蓄電残量及び前記電源スイッチを監視し、前記蓄電残量が予め設定されるレベル以下で前記給電スイッチがOFF制御されている場合において、前記電源スイッチがOFF操作されたときに、電源がOFFとなる前に前記給電スイッチを自動的にON制御に切り替える
ことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の携帯電子機器において、さらに、
前記給電スイッチを常時OFFに設定するための操作手段
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項3】
請求項1記載の携帯電子機器において、さらに、
前記給電スイッチを常時ONあるいは常時OFFに設定するための操作手段
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器に関し、特にUSBを介した給電制御に関する。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)は、データラインの他にVBUSラインを有し、このVBUSラインを介してAプラグが接続されたホスト側からBプラグが接続されたデバイス側に給電することが可能である。
【0003】
しかしながら、スマートフォンやポータブルヘッドホンアンプ装置等の携帯型電子機器は内蔵二次電池で動作するため、たとえAプラグが接続された側であっても、給電を行うのは一般的に好ましくない。
【0004】
特許文献1には、USBホスト機能を有する携帯機器であって、携帯機器が内部電源で動作している状態で、バスパワーで動作するデバイス機器が接続された場合に、携帯機器からデバイス機器への電源供給を停止することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、USBのAプラグ接続側の電子機器からUSBのBプラグ接続側の電子機器にVBUS給電の交替要求パケットを送信し、Bプラグ接続側の電子機器から承諾パケットを受信した場合に、Aプラグ接続側の電子機器からの給電を停止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−085248号公報
【特許文献2】特許第4063200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スマートフォン等の外部機器とポータブルヘッドホンアンプ装置等の電子機器をUSBケーブルのうちのOTG(USB On The Go)ケーブルで接続すると、OTGケーブルはBプラグをAプラグに変換する機能を有しているため、スマートフォン側がホスト、ポータブルヘッドホンアンプ装置側がデバイスとして機能し、スマートフォン側からポータブルヘッドホンアンプ装置に対して給電が行われることになる。
【0008】
しかしながら、スマートフォンは内蔵バッテリによる長時間使用が困難という課題を有しており、スマートフォンの長時間連続駆動が大きな技術課題となっている現状において、スマートフォンから給電を行うのは不都合な場合が多い。
【0009】
この場合、ポータブルヘッドホンアンプ装置がUSBコネクタへの外部機器接続を検出した場合に、常にVBUSによる給電を遮断する構成とすることも考えられるが、スマートフォンではなくパソコンに接続した場合にはむしろ積極的にパソコンから給電して内蔵二次電池を充電したいと欲する場合もあり、一律に給電を遮断するのはユーザの使い勝手を低下させるおそれがある。
【0010】
上記の従来技術では、スマートフォン側で給電を制御するものであり、スマートフォン側でデバイスの仕様に合わせた制御アプリケーションを用意する、あるいはデバイス側にスマートフォンに合わせた制御アプリケーションを用意しなければならず負担が大きい。スマートフォンにおける常駐アプリケーションが増えてCPUやメモリの負荷が増大する懸念もある。
【0011】
また、一部のスマートフォンでは、ポータブルヘッドホンアンプ装置に接続しても自動的に給電を行わない機種も知られているが、特別なプロトコルを実装する必要があり、また、他の機種では自動的に給電が実行されてしまうことから、接続される外部機器の種類や機種によらず、ポータブルヘッドホンアンプ装置側で給電を簡易に制御できることが望ましい。
【0012】
本発明の目的は、外部機器側の負荷を増大させることなく、スマートフォン等の外部機器とUSB接続した場合に必要に応じて給電を遮断してスマートフォン等の外部機器の内蔵バッテリの不必要な容量低下を防止できるとともに、コンピュータと接続した場合にはコンピュータからの給電を許容できるフレキシブルな携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、外部機器と接続するためのUSBコネクタと、二次電池と、VBUSラインから前記二次電池への給電をON/OFFする給電スイッチと、前記USBコネクタに外部機器が接続された場合に、給電と非給電のいずれかを選択するための選択メニューを表示し、ユーザが給電を選択した場合に前記給電スイッチをON制御して前記外部機器から前記二次電池への給電を実行し、ユーザが非給電を選択した場合に前記給電スイッチをOFF制御して前記外部機器から前記二次電池への給電を非実行とする制御手段と、電源スイッチと を備え、前記制御手段は、前記二次電池の蓄電残量及び前記電源スイッチを監視し、前記蓄電残量が予め設定されるレベル以下で前記給電スイッチがOFF制御されている場合において、前記電源スイッチがOFF操作されたときに、電源がOFFとなる前に前記給電スイッチを自動的にON制御に切り替えることを特徴とする。
【0014】
本発明の1つの実施形態では、さらに、前記給電スイッチを常時OFFに設定するための操作手段を備える。
【0015】
本発明の他の実施形態では、さらに、前記給電スイッチを常時ONあるいは常時OFFに設定するための操作手段を備える
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外部機器側の負荷を増大させることなく、スマートフォン等の外部機器とUSB接続した場合に必要に応じて給電を遮断して外部機器の内蔵バッテリの不必要な容量低下を防止できる。また、コンピュータと接続した場合にはコンピュータからの給電も許容できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の構成ブロック図である。
図2】実施形態の外部機器接続説明図である。
図3】実施形態の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、SDプレーヤ内蔵のポータブルヘッドホンアンプ装置1を例にとり説明する。ここで、ポータブルヘッドホンアンプ装置1は、スマートフォンその他の携帯機器と接続し、携帯機器から入力したデジタルオーディオ信号をD/Aコンバータで変換し、高品質のアンプで増幅してヘッドホン端子から出力する装置である。SDプレーヤは、SDカードに記憶されたデジタルオーディオ信号を再生して出力する装置である。本実施形態の装置は、これら2つの機能をともに実現する装置である。
【0019】
図1は、本実施形態の装置の構成ブロック図である。ポータブルヘッドホンアンプ装置1は、CPU10,ROM12,RAM14,USBコネクタ16,SDカード18,DAC(D/Aコンバータ)20,切替部22,アンプ24,PHONE(ヘッドホン)端子26,DIGITAL I/O LINE IN端子28,スイッチ30,表示部32,操作部34,充電回路36,二次電池38,及び給電スイッチ40を備える。
【0020】
CPU10は、ROM12に記憶されたプログラムに従い、RAM14をワーキングメモリとして用いて所定の処理(システム制御や各種信号処理等)を実行する。
【0021】
USBコネクタ16は、スマートフォン等の携帯機器やパソコンと接続するためのコネクタである。
【0022】
SDカード18は、デジタルオーディオデータを記憶する。
【0023】
CPU10は、スマートフォン等の携帯機器がUSBコネクタ16に接続され、デジタルオーディオ信号を受信すると、これをDAC20に出力する。また、図示しない操作部からの操作によりSDプレーヤ機能が選択されると、SDカード18に記憶されたデジタルオーディオ信号を読み出し、これをDAC20に出力する。
【0024】
DAC20は、デジタルオーディオ信号を処理してアナログオーディオ信号に変換し、切替部22に出力する。なお、DAC20は、PCM24bit/192kHz,DSD128の所謂ハイレゾ音源をアナログオーディオ信号に変換してもよい。
【0025】
切替部22は、複数の切替接点から構成され、DAC20の出力をアンプ24に出力するか、あるいはDIGITAL I/O LINE IN端子28から入力されたオーディオ信号をアンプ24に出力するかを切り替える。切替部22の切替は、CPU10からの制御信号(図中破線で示す)で制御される。
【0026】
アンプ24は、切替部22から出力されるオーディオ信号を増幅してPHONE(ヘッドホン)端子26に出力する。アンプ24は、例えばディスクリート構成のプッシュプル回路によりオーディオ信号を増幅する。なお、ゲインセレクタ等でアンプ24のゲインをハイ/ローの2段階で切替可能に構成してもよい。
【0027】
DIGITAL I/O LINE IN端子28は、DIGITAL INPUT(デジタル入力)とDIGITAL OUTPUT(デジタル出力)とLINE IN(アナログ入力)を共用する端子であり、DIGITAL INPUTはさらに、デジタル光入力とデジタル同軸入力を共用する。すなわち、本実施形態の端子28は、
デジタルオーディオ光入力
デジタルオーディオ同軸入力
アナログオーディオ入力
デジタルオーディオ同軸出力
の4つの入出力端子を1つの端子に集約したものである。
【0028】
スイッチ30は、ユーザ操作可能なスイッチであり、DIGITAL I/O LINE IN端子28を、DIGITAL I/O端子として機能させるか、LINE IN端子として機能させるかを切り替えるスイッチである。スイッチ30は、例えばDIGITAL I/O LINE IN端子28の近傍に設けられたスライドスイッチとして構成される。
【0029】
スイッチ30がLINE IN側に切り替えられた場合、CPU10は、スイッチ30による切替に応じて切替部22を制御し、DIGITAL I/O LINE IN端子28から入力されたアナログオーディオ信号をアンプ24に供給し、アンプ24で増幅してPHONE端子から出力する。また、スイッチ30がDIGITAL I/O側に切り替えられた場合、CPU10は、表示部32に選択メニューを表示し、ユーザがデジタル入力とデジタル出力のいずれかを選択できるようにする。デジタル入力とデジタル出力の選択は、メニュー階層から定常設定値として設定できるようにしてもよい。ユーザがデジタル入力を選択した場合、CPU10は、この選択に応じてDIGITAL I/O LINE IN端子28から入力されたデジタル光入力信号あるいはデジタル同軸入力信号を入力し、DAC20に供給する。また、切替部22を制御して、DAC20の出力をアンプ24に供給する。なお、デジタル光入力かデジタル同軸入力かは、インピーダンス特性の相違や光信号の検知等の識別情報を用いて識別する。ユーザがデジタル出力を選択した場合、CPU10は、この選択に応じてSDカード18に記憶されたデジタルオーディオ信号をDIGITAL I/O LINE IN端子28に出力する。
【0030】
DIGITAL I/O LINE IN端子28は、デジタル入力端子及びアナログ入力端子の機能を有しているため、デジタル出力端子を有する他のオーディオ機器、及びデジタル出力端子を有しない他のオーディオ機器と接続して、高品質なオーディオ信号をPHONE端子26から出力できる。
【0031】
操作部34は、外部機器がUSBコネクタ16に接続された場合の給電状態を設定する。本実施形態では、ユーザは以下の3つの状態のいずれかを設定可能である。
常時給電
常時非給電
USB接続されたときに選択メニューを表示
【0032】
上記のうち、(1)常時給電を設定した場合、CPU10は、USBコネクタ16に接続された外部機器からの給電を実行する。(2)常時非給電を設定した場合、CPU10は、USBコネクタ16に接続された外部機器からの給電を実行しない。さらに、(3)USB接続されたときに選択メニューの表示を設定した場合、CPU10は、USB接続を検出すると表示部32に選択メニューをポップアップ表示し、給電を実行するか否かをユーザが選択可能とする。例えば、
「充電する」
「充電しない」
の2つのメニューを表示する。ユーザがこの選択メニュー表示に応じて「充電する」を選択すると、外部機器からの給電を実行する。他方、ユーザが「充電しない」を選択すると、外部機器からの給電を実行しない。
【0033】
従って、例えばパソコンと接続する場合がほとんどである場合には常時給電を設定し、スマートフォン等と接続する場合がほとんどである場合には常時非給電を設定し、パソコンに接続する場合もあればスマートフォンに接続する場合もある場合には接続時に選択メニューを表示する設定としておくことで、必要な場合には給電を実行しつつ、不必要な場合には給電を遮断できる。
【0034】
充電回路36は、USBコネクタ16に接続されたケーブルのVBUSを用いて二次電池38に充電電流を供給して二次電池38を充電する。
【0035】
二次電池38は、装置各部に電力を供給する。
【0036】
給電スイッチ40は、USBコネクタ16と充電回路36との間に配置され、VBUS経由の充電電流をON/OFF制御する。給電スイッチ40のON/OFFは、CPU10からの制御信号(図中破線で示す)で制御される。
【0037】
CPU10は、操作部34により常時給電が設定された場合、給電スイッチ40を常にON制御する。また、操作部34により常時非給電が設定された場合、給電スイッチ40を常にOFF制御する。さらに、操作部34により接続時の選択メニューが表示され、「充電する」が選択された場合には給電スイッチ40をON制御し、「充電しない」が選択された場合には給電スイッチ40をOFF制御する。
【0038】
図2は、ポータブルヘッドホンアンプ装置1をパソコン2あるいはスマートフォン3と接続した場合をそれぞれ示す。
【0039】
図2(a)は、USBケーブル100を介してポータブルヘッドホンアンプ装置1とパソコン2を接続した場合である。パソコン2側がホスト、ポータブルヘッドホンアンプ装置1がデバイスとして、VBUS経由でパソコン2からポータブルヘッドホンアンプ装置1に給電される。このとき、操作部34を操作して常時給電に設定しておけば、パソコン2からの給電により二次電池38が充電される。選択メニューで「充電する」を選択した場合も同様である。
【0040】
他方、図2(b)は、OTGケーブル200を介してポータブルヘッドホンアンプ装置1とスマートフォン3を接続した場合である。OTGケーブル200は、USBのBプラグ側をAプラグ側に変換する機能を有しており、この場合スマートフォン3がホストとなり、VBUS経由でスマートフォン3から給電しようとする。但し、操作部34を操作して常時非給電を設定、あるいは選択メニューで「充電しない」を選択することで、給電スイッチ40をOFF制御し、スマートフォン3からの給電を遮断できる(図において、X印は給電遮断状態を示す)。これにより、スマートフォン3からのデジタルオーディオ信号を変換・増幅してPHONE端子26から出力する場合においても、スマートフォン3側の内部バッテリの不必要な容量低下を防止できる。
【0041】
図3は、本実施形態の処理フローチャートである。
【0042】
まず、CPU10は、外部機器がUSB接続されたか否かを判定する(S101)。USB接続された場合、次に、操作部34により常時給電が設定されているか否かを判定する(S102)。
【0043】
常時給電が設定されている場合、CPU10は、給電スイッチ40をON制御する(S105)。これにより、外部機器からのVBUS経由の給電が可能となる。
【0044】
常時給電が設定されていない場合、CPU10は、操作部34により常時非給電が設定されているか否かを判定する(S103)。
【0045】
常時非給電が設定されている場合、CPU10は、給電スイッチ40をOFF制御する(S106)。これにより、外部機器からのVBUS経由の給電は実行されない。
【0046】
常時給電及び常時非給電のいずれも設定されていない場合、CPU10は、USB接続を検出すると表示部32に選択メニューを表示する(S104)。そして、ユーザが「充電する」等の給電を選択した場合には給電スイッチ40をON制御し(S105)、ユーザが「充電しない」等の非給電を選択した場合には給電スイッチ40をOFF制御する(S106)。
【0047】
このように、本実施形態では、ユーザがポータブルヘッドホンアンプ装置1と外部機器とをUSB接続した場合に、外部機器から常時給電するか、常時給電しないか、接続時にいずれかを選択するか、のいずれかのモードを選択できるように構成しているため、接続する外部機器に応じてフレキシブルに給電を制御できる。
【0048】
なお、本実施形態におけるポータブルヘッドホンアンプ装置1では、給電スイッチ40がOFF制御されている状態でポータブルヘッドホンアンプ装置1の電源がOFF(二次電池38の充電切れや電源スイッチOFF)になってしまった場合、ポータブルヘッドホンアンプ装置1の内部設定が給電OFFに維持されているため、USBコネクタ16にケーブルを接続しても二次電池38が充電できない事態が発生する。この場合、電源スイッチを一旦ONにして給電スイッチ40をON制御に切り替えたり(二次電池38の充電切れの場合は電源スイッチを操作しても電源がONにならないため不可)、ACアダプタを使用してセルフパワーで充電することで対応可能であるが、ユーザの使い勝手をさらに良くするために、二次電池38の蓄電残量を監視し、二次電池38の蓄電残量が、例えば5%以下(電力供給が不安定になりそうなレベルや電力供給が停止しそうなレベルを考慮した任意の設定値)になったことを検出して、ポータブルヘッドホンアンプ装置1の電源が落ちる前に給電スイッチ40を自動的にON制御に切り替えたり、電源スイッチのOFF操作に応答して給電スイッチ40を自動的にON制御に切り替えるように構成してもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変形が可能である。
【0050】
例えば、本実施形態では、ユーザが、
常時給電
常時非給電
接続時に給電/非給電を選択
のいずれかを選択できるように構成しているが、通常は、USB接続された場合に給電されることに鑑みて、
(2)常時非給電
(3)接続時に給電/非給電を選択
のいずれかを選択できるように構成してもよい。さらに、
(3)接続時に給電/非給電を選択
のみが可能なように構成してもよい。この場合、CPU10は、USB接続を検出すると、図3の処理フローチャートにおいてS101からS104の処理に移行し、給電するか否かの選択メニューを表示部32に表示する。なお、選択メニューを表示してユーザがいずれかを選択するまでの間は、CPU10は、給電スイッチ40をOFF制御しておくことが望ましい。
【0051】
また、本実施形態では、常時給電、常時非給電をスライドスイッチ等のメカニカルスイッチとし、接続時に給電/非給電を選択するメニューを表示部32に表示する構成とすることができるが、ポータブルヘッドホンアンプ装置1の起動時に選択メニューを表示部32に表示し、この選択メニューで常時給電/常時非給電/接続時に選択のいずれかのメニューを選択するように構成してもよい。選択されたメニューはフラッシュROM等のROM12に記憶し、電源がOFFされた後でも記憶しておくことが望ましい。
【0052】
また、本実施形態では、ユーザが(3)接続時の給電/非給電を選択した場合に、CPU10は、外部機器のUSB接続を検出した場合に表示部32にポップアップ表示してユーザの選択を促すように構成しているが、ユーザがUSB接続時に操作部34を操作して表示部32に選択メニューを表示させて給電/非給電のいずれかを選択してもよい。但し、USB接続の度に階層メニュー等から給電/非給電を選択するのは煩わしいので、CPU10が接続時に自動的に選択メニューをポップアップ表示するのが好適であろう。
【0053】
また、本実施形態において、ポータブルヘッドホンアンプ装置1がAC電源で二次電池38を充電する機能を有しており、実際に充電している場合や、二次電池38が既に満充電状態にある場合は、たとえ常時給電や接続時に給電を選択したとしても、CPU10は給電スイッチ40をOFF制御することは言うまでもない。要するに、CPU10は、二次電池38の充電状態に応じて給電スイッチ40をON/OFF制御する公知の制御も併せて実行できる。従って、本実施形態における「常時給電」は、外部機器がUSB接続されたときには給電が常に開始される意味であり、二次電池38が満充電状態である等、外部機器からの給電が不要な場合にまで給電を行う意味ではない。
【0054】
また、本実施形態では、USBコネクタ16と充電回路36の間に給電スイッチ40を配置しているが、これは一例であり、給電スイッチ40を充電回路36内に組み込んでも良く、あるいは充電回路36と二次電池38の間に配置してもよい。要するに、VBUSラインによる二次電池38への給電を経路のいずれかで制御すればよい。
【0055】
また、本実施形態においては、USB接続された外部機器がコンピュータであるかスマートフォンであるかをUSB接続だけで識別することが困難であることに鑑みて接続時にユーザが選択する構成としているが、仮に、接続された外部機器を識別できる場合には、CPU10が識別結果に応じて給電/非給電を制御してもよい。但し、この場合でも、表示部32に「スマートフォンが接続されました。給電を開始しますか?」等のメニューを表示し、ユーザからの操作に応じて給電/非給電を実行するのが望ましい。
【0056】
さらに、本実施形態では携帯電子機器としてポータブルヘッドホンアンプ装置を例示したが、これに限定されるものではなく、OTGケーブルでコンピュータやスマートフォンと接続し得る任意の携帯電子機器に適用し得る。
【符号の説明】
【0057】
10 CPU、12 ROM、14 RAM、16 USBコネクタ、18 SDカード、20 DAC、22 切替部、24 アンプ、26 PHONE端子、28 DIGITAL I/O LINE IN端子、30 スイッチ、32 表示部、34 操作部、36 充電回路、38 二次電池、40 給電スイッチ。
図1
図2
図3