特許第6387798号(P6387798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387798
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180903BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H05K7/06 C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-228951(P2014-228951)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-91969(P2016-91969A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225583(JP,A)
【文献】 特開2015−172411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる柱部材と、
前記柱部材の軸線方向の一方の端部に設けられ、前記一方の端部にバスバーを締結する締結部と、
前記軸線方向の他方の端部に設けられ、前記柱部材を取付対象に取り付ける取付部と、を備え、
前記柱部材は、第1部分と、前記軸線方向から見て前記第1部分よりも面積が小さい第2部分と、を有する、支持部材。
【請求項2】
前記第2部分は、前記他方の端部を含む、請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
前記柱部材は、前記軸線方向から見て前記第2部分よりも面積が大きい第3部分を更に有し、
前記第1部分は、前記一方の端部を含み、
前記第3部分は、前記他方の端部を含む、請求項1に記載の支持部材。
【請求項4】
前記第2部分は、円柱である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項5】
前記第1部分の軸線は、前記第2部分の軸線と一致している、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項6】
前記樹脂は、熱硬化性樹脂である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項7】
前記柱部材は、絶縁性を有している、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーを支持する支持部材が知られている。例えば、特許文献1に記載の電池パックでは、単電池は、単電池本体から突出して設けられる正極端子と負極端子とを有し、隣り合う2つのうち一方の単電池の正極端子と他方の単電池の負極端子とがバスバーを介して接続されると共に、支持部材としてバスバーを電池パック上に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−129429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように2つの端子がバスバーで接続されると共に、バスバーを支持している場合、バスバーが通電により熱膨張すると、バスバーが締結されている2つの端子のそれぞれに互いに離れる方向に応力が加わる。このとき、端子に加わる応力が大きくなると、端子の締結面において、バスバーの滑りがバスバーの長さ方向に発生することがある。これにより、締結の緩み及び締結面の摩耗が生じ、抵抗成分が増加するおそれがある。
【0005】
本発明は、抵抗成分の増加を抑制することが可能な支持部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る支持部材は、樹脂からなる柱部材と、柱部材の軸線方向の一方の端部に設けられ、一方の端部にバスバーを締結する締結部と、軸線方向の他方の端部に設けられ、柱部材を取付対象に取り付ける取付部と、を備え、柱部材は、第1部分と、軸線方向から見て第1部分よりも面積が小さい第2部分と、を有する。
【0007】
この支持部材では、柱部材は、樹脂からなり、軸線方向から見て第1部分よりも面積が小さい第2部分を有している。このため、第2部分では、第1部分よりも曲げ剛性が低くなるので、バスバーが熱膨張して支持部材に応力が加わる場合、柱部材が第2部分で反ることにより、応力を吸収する。したがって、締結部の締結面において、バスバーの滑りがバスバーの長さ方向に発生することが抑制される。これにより、締結の緩み及び締結面における摩耗の発生を低減でき、抵抗成分の増加を抑制することが可能となる。
【0008】
上記第2部分は、他方の端部を含んでもよい。この場合、柱部材において第2部分は締結部から最も離れた部分に位置するので、第2部分の反りに対して締結部の移動量が大きくなる。したがって、締結部に加わる応力をより確実に吸収することができ、抵抗成分の増加を一層抑制することが可能となる。
【0009】
上記柱部材は、軸線方向から見て第2部分よりも面積が大きい第3部分を更に有し、第1部分は、一方の端部を含み、第3部分は、他方の端部を含んでもよい。この場合、第2部分は、両端部のいずれも含まず、且つ締結部及び取付部がいずれも設けられない。端部近傍且つ樹脂と締結部との界面付近、及び端部近傍且つ樹脂と取付部との界面付近では、せん断方向の応力集中が生じ、樹脂割れが発生し易くなることから、第2部分が端部を含まず、且つ当該界面から離れた構成とすることにより、このような樹脂割れを抑制することができる。
【0010】
上記第2部分は、円柱であってもよい。この場合、柱部材はどの方向にも均等に反り、曲げ易さに方向依存性がない。したがって、柱部材を取付対象に取り付ける際に、曲げ方向を考慮する必要がないので、取付作業性の向上が可能となる。
【0011】
上記第1部分の軸線は、上記第2部分の軸線と一致していてもよい。この場合、締結部の軸線と取付部の軸線とが一致するので、柱部材を取付対象に取り付ける際に、軸線方向から見た締結部の位置の変化を考慮する必要がない。したがって、取付作業性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
上記樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよい。この場合、支持部材の耐熱性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、支持部材における抵抗成分の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る電池パックの内部構成を示す側面図である。
図2図1のジャンクションボックス内の端子接続構造を拡大して示す図である。
図3図2のIII−III線に沿っての断面図である。
図4】(a)は図2の支持部材の軸線に沿っての断面図であり、(b)は図2の支持部材の上面図であり、(c)は図2の支持部材の下面図である。
図5】(a)は第2実施形態に係る支持部材の軸線に沿っての断面図であり、(b)は第2実施形態に係る支持部材の上面図であり、(c)はVc−Vc線に沿っての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中、「上」、「下」、「前」、「後」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電池パックの内部構成を示す側面図である。図1に示されるように、電池パック10は、筐体11と、ジャンクションボックス12と、コネクタ13と、複数の電池モジュール20と、を備えている。筐体11は、箱型形状を呈し、ジャンクションボックス12及び複数の電池モジュール20を収容するための収容空間Sを有する。
【0017】
筐体11は、四角板状の底板11aと、底板11aと対向して設けられる天板11bと、底板11aの周縁から立設される四角板状の前板11c、後板11d及び一対の側板11eと、を有している。図1には、一方の側板11eを除いた状態が図示されている。
【0018】
ジャンクションボックス12は、収容空間Sにおいて、天板11bと前板11cとの成す角部に設けられている。ジャンクションボックス12には、端子接続構造30(図2参照)及びリレー等が収容されている。
【0019】
コネクタ13は、筐体11の前板11cにおいて、ジャンクションボックス12が設けられる位置に対応して設けられている。コネクタ13には、出力用ケーブルC2(図2参照)が接続されている。
【0020】
各電池モジュール20は、筐体11の他方の側板11eに固定されている。各電池モジュール20は、並設された複数の電池セル(不図示)を含んでいる。電池セルは、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素蓄電池等の二次電池である。各電池セルは、並設方向に隣り合う電池セル同士の正極端子と負極端子とが隣り合うように配置されている。各電池セルは、並設方向に隣り合う電池セル同士の正極端子と負極端子とがバスバーによって交互に接続されることで、直列接続されている。
【0021】
複数の電池セルにおける直列接続の両端部に相当する正極端子と負極端子には、それぞれケーブルC1が接続されている。複数のケーブルC1は、この両端部に相当する正極端子とジャンクションボックス12内の端子接続構造30(図2参照)とを接続している。また、複数のケーブルC1は、この両端部に相当する負極端子とジャンクションボックス12内の端子接続構造30とを接続している。
【0022】
図2は、図1のジャンクションボックス内の端子接続構造を拡大して示す図である。図3は、図2のIII−III線に沿っての断面図である。図4(a)は図2の支持部材の軸線に沿っての断面図であり、図4(b)は図2の支持部材の上面図であり、図4(c)は図2の支持部材の下面図である。ジャンクションボックス12内には、複数の端子接続構造30が設けられている。図2及び図3では、そのうちの一つの端子接続構造30が示される。
【0023】
図2及び図3に示されるように、端子接続構造30は、バスバー31と、支持部材40と、を備えている。
【0024】
バスバー31は、導電性の金属により構成された板状部材である。バスバー31は、その厚さ方向から見て、例えば、矩形状を呈している。バスバー31には、複数の孔部32がバスバー31の長さ方向に沿って一列に設けられている。バスバー31は、2つの支持部材40間を接続すると共に、2つの支持部材40で支持されることにより筐体11から離間して設けられている。バスバー31の長さ方向の両端に位置する2つの孔部32には、2つの支持部材40がそれぞれ締結されている。バスバー31の残りの複数の孔部32には、複数のケーブルC1及び出力用ケーブルC2がそれぞれ締結されている。バスバー31は、複数のケーブルC1に接続される複数の電池モジュール20(図1参照)と、出力用ケーブルC2に接続されるコネクタ13(図1参照)とを、複数のケーブルC1及び出力用ケーブルC2を介して電気的に接続している。
【0025】
図4(a)〜図4(c)に示されるように、支持部材40は、樹脂からなる柱部材41と、軸線方向Dの一方の端部41aに設けられた締結部42と、軸線方向Dの他方の端部41bに設けられた取付部43と、を備えている。締結部42と取付部43とは、柱部材41を介して軸線方向Dに離間している。支持部材40の軸線Lは、柱部材41、締結部42及び取付部43のそれぞれの軸線と一致している。
【0026】
柱部材41は、例えば、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。柱部材41は絶縁性を有し、締結部42と取付部43とを電気的に絶縁している。柱部材41は、第1部分44と、第2部分45と、を有している。第1部分44及び第2部分45の軸線のそれぞれは、互いに一致し、且つ支持部材40の軸線Lと一致している。
【0027】
第1部分44は、一方の端部41aを含んでいる。第1部分44は、柱部材41が取付部43により筐体11等の取付対象に取り付けられる際に、把持手段により把持される部分である。把持手段は、例えば、レンチ及びスパナ等の工具である。第1部分44は、レンチ及びスパナ等の工具による把持を容易にするための形状を呈している。第1部分44は、六角柱であり、軸線方向Dから見て六角形を呈している。
【0028】
第2部分45は、他方の端部41bを含んでいる。第2部分45は、円柱であり、軸線方向Dから見て円形を呈している。第2部分45は、軸線方向Dから見て第1部分44よりも面積が小さい。軸線方向Dから見たときの第2部分45の面積は、軸線方向Dから見たときの第1部分44の面積の、例えば60〜90%の範囲で設定されることが好ましく、75〜85%の範囲で設定されることがより好ましい。当該数値範囲は、第1部分44及び第2部分45それぞれの軸線方向Dの寸法及び径等に応じ適宜変更可能である。
【0029】
軸線方向Dから見たときに、第1部分44の呈する六角形における二面幅W1は、第2部分45の呈する円の直径W2よりも大きい。第1部分44及び第2部分45の軸線のそれぞれは、互いに一致しているので、軸線方向Dから見たときに、第1部分44の呈する六角形の内部に第2部分45の呈する円全体が収まる。また、軸線Lから第1部分44の外周面までの最短距離W3は、軸線Lから第2部分45の外表面までの最長距離W4よりも大きい。更に言い換えると、軸線方向Dに直交する方向の第2部分45の断面積は、軸線方向Dに直交する方向の第1部分44の断面積よりも小さい。ここでは、第1部分44が六角柱であり、第2部分45が円柱であることから、軸線方向Dに直交する方向の第1部分44の断面積は、軸線方向Dから見たときの第1部分44の面積に等しく、軸線方向Dに直交する方向の第2部分45の断面積は、軸線方向Dから見たときの第2部分45の面積に等しい。したがって、軸線方向Dに直交する方向の第1部分44の断面積に対する軸線方向Dに直交する方向の第2部分45の断面積の比率は、軸線方向Dから見たときの第1部分44の面積に対する軸線方向Dから見たときの第2部分45の面積の比率と同様の範囲で設定される。
【0030】
締結部42は、例えば金属からなる。締結部42は、柱部材41に埋設された円柱状の基部42a(インサートボルト)と、基部42aから柱部材41の外部に突出する円柱状の突出部42bと、を有している。基部42aは、一方の端部41aにおいて、軸線方向Dと直交する方向に張り出す円環状の張出部42cを有している。突出部42bには、外周面にネジ溝が設けられている。突出部42bは、ボルトとして機能し、張出部42cは、ボルトの座面として機能する。
【0031】
取付部43は、例えば金属からなる。取付部43は、柱部材41に埋設された円柱状の基部43a(インサートボルト)と、基部43aから柱部材41の外部に突出する円柱状の突出部43bと、を有している。基部43aは、他方の端部41bにおいて、軸線方向Dと直交する方向に張り出す円環状の張出部43cを有している。突出部43bには、外周面にネジ溝が設けられている。突出部43bは、ボルトとして機能し、張出部43cは、ボルトの座面として機能する。
【0032】
次に、図2及び図3を参照して、端子接続構造30の組み立て方法について説明する。まず、2つの支持部材40の突出部43bのそれぞれが、筐体11の他方の側板11eに設けられた所定のネジ穴11kに螺合される。この取付作業では、第1部分44がレンチ等の把持手段により把持され、回転されることで、突出部43bのそれぞれがネジ穴11kに螺合される。このように、取付部43によって支持部材40が筐体11に取り付けられる。
【0033】
続いて、筐体11に取り付けられた2つの支持部材40上に、バスバー31が載置される。このとき、バスバー31の複数の孔部32のうち、バスバー31の長さ方向の両端に位置する2つの孔部32のそれぞれを、バスバー31の一方の面31aから他方の面31bに向かって突出部42bが挿通するように、バスバー31が載置される。続いて、バスバー31の他方の面31bにおいて、突出部42bのそれぞれにナット47が螺合される。これにより、締結部42は、一方の端部41aにバスバー31を締結する。このとき、張出部42cは、締結面として機能する。
【0034】
このようにして組み立てられた端子接続構造30では、バスバー31は、支持部材40で支持されることにより、筐体11の他方の側板11eから離間して設けられている。バスバー31の残りの複数の孔部32には、複数のケーブルC1のうち、同一極性の複数のケーブルC1の接続端子T1が締結される。接続端子T1は、例えば挿通孔を有する丸端子である。接続端子T1の挿通孔と孔部32とにバスバー31の他方の面31bから一方の面31aに向かってボルト33が挿通され、バスバー31の一方の面31aにおいて、そのボルト33にナット34が螺合されることによって、接続端子T1がバスバー31に締結される。
【0035】
残りの複数の孔部32のうちの一つには、出力用ケーブルC2の接続端子T2が締結される。接続端子T2は、例えば挿通孔を有する丸端子である。接続端子T2の挿通孔と孔部32とにバスバー31の他方の面31bから一方の面31aに向かってボルト33が挿通され、バスバー31の一方の面31aにおいて、そのボルト33にナット34が螺合されることによって、接続端子T2が締結される。
【0036】
以上のように構成された支持部材40では、柱部材41は、樹脂からなり、軸線方向Dから見て第1部分44よりも面積が小さい第2部分45を有している。このため、第2部分45では、第1部分44よりも曲げ剛性が低くなるので、バスバー31が熱膨張して支持部材40に応力が加わる場合、柱部材41が第2部分45で反ることにより、応力を吸収する。したがって、締結部42の締結面において、バスバー31の滑りがバスバー31の長さ方向に発生することが抑制される。これにより、締結の緩み及び締結面における摩耗の発生を低減でき、抵抗成分の増加を抑制することが可能となる。
【0037】
柱部材が第2部分を有さず、第1部分のみからなる従来の支持部材と比較して、支持部材40では、第2部分45を有することにより、抵抗成分の増加を抑制することできる上、六角柱である第1部分44も有しているので、レンチ及びスパナ等の工具により把持し易く、筐体11等の取付対象への取付作業性も維持される。
【0038】
第2部分45は、他方の端部41bを含み、柱部材41において第2部分45は締結部42から最も離れた部分に位置する。このため、第2部分45の反りに対して締結部42の移動量が大きくなる。したがって、締結部42に加わる応力をより確実に吸収することができ、抵抗成分の増加を一層抑制することが可能となる。また、この場合、バスバー31の熱膨張により締結部42に加わる力が同じであっても、てこの原理により、柱部材41が反り易くなる。
【0039】
第1部分44は、一方の端部41aを含んでいる。一方の端部41aには、バスバー31が締結され、応力が集中し易い。したがって、軸線方向Dから見て第1部分44の面積を大きくし、第1部分44の強度を高めることにより、一方の端部41aに損傷が生じるのを抑制することができる。
【0040】
第2部分45は、円柱である。このため、柱部材41はどの方向にも均等に反り、曲げ易さに方向依存性がない。第2部分45が、例えば、角柱である場合、角柱は角部の方向には曲げ難いため、柱部材41の曲げ易さに方向依存性が生じる。この場合において、バスバー31による応力を柱部材41に十分に吸収させるためには、柱部材41を筐体11に取り付ける際に、バスバー31による応力の方向と、柱部材41の曲げ易い方向とを一致させる必要がある。これに対して、本実施形態によれば、柱部材41を筐体11に取り付ける際に、このような曲げ方向を考慮する必要がないので、取付作業性の向上が可能となる。
【0041】
第1部分44の軸線は、第2部分45の軸線と一致している。これにより、締結部42の軸線と取付部43の軸線とが一致し、柱部材41を筐体11に取り付ける際に、取付部43の軸線を回転軸としたときの取付部43の回転角度によらず、軸線方向Dから見た締結部42の位置が一定に保たれ易くなる。これにより、締結部42の位置を孔部32の位置と一致させ、孔部32を介して支持部材40をバスバー31に締結させ易くなる。仮に、第1部分44の軸線と第2部分45の軸線とが一致していない場合、当該回転角度によって軸線方向Dから見た締結部42の位置が変化することとなるので、柱部材41を筐体11に取り付ける際に、当該回転角度を考慮して、締結部42の位置を孔部32の位置と一致させる必要がある。これに対して、本実施形態によれば、柱部材41を筐体11に取り付ける際に、軸線方向Dから見た締結部42の位置の変化を考慮する必要がないので、取付作業性の向上を図ることが可能となる。また、第1部分44の軸線が第2部分45の軸線と一致していると、柱部材41の製造を容易化することが可能となる。更に、曲げ易さの方向依存性を低減することができる。
【0042】
柱部材41は、熱硬化性樹脂により構成されるので、支持部材40の強度、難燃性、及び耐熱性を高めることが可能となる。
【0043】
(第2実施形態)
図5(a)は第2実施形態に係る支持部材の軸線に沿っての断面図であり、図5(b)は第2実施形態に係る支持部材の上面図であり、図5(c)はVc−Vc線に沿っての断面図である。図5(a)〜図5(c)に示されるように、第2実施形態に係る支持部材40Aは、第1実施形態に係る支持部材40(図4参照)と比較して、柱部材41が第3部分46を更に備える点、及び第2部分45が第1部分44と第3部分46との間に配置されている点で相違している。
【0044】
第3部分46は、他方の端部41bを含んでいる。第3部分46は、軸線方向Dから見て第1部分44と略同一形状を呈し、第1部分44と共に、柱部材41が取付部43により取付対象に取り付けられる際に、把持手段により把持され得る部分である。第3部分46は、軸線方向Dから見て第2部分45よりも面積が大きい。即ち、軸線方向Dに直交する方向の第3部分46の断面積が、軸線方向Dに直交する方向の第2部分45の断面積よりも大きい。
【0045】
基部42aの全体は第1部分44に設けられ、基部43aの全体は第3部分46に設けられている。即ち、第2部分45には、基部42a及び基部43aがいずれも設けられていない。
【0046】
以上のように構成された支持部材40Aでは、第1実施形態に係る支持部材40と同様の効果が奏される。更に、支持部材40Aは、軸線方向Dから見て第2部分45よりも面積が大きい第3部分46を有し、第1部分44は、一方の端部41aを含み、第3部分46は、他方の端部41bを含んでいる。この場合、第2部分45は、端部41a及び端部41bのいずれも含まず、且つ締結部42及び取付部43がいずれも設けられない。端部41a及び端部41bの近傍且つ樹脂と締結部42との界面付近、更に端部41a及び端部41bの近傍且つ樹脂と取付部43との界面付近では、せん断方向の応力集中が生じ、樹脂割れが発生し易くなることから、第2部分45が端部41a及び端部41bを含まず、且つ当該界面から離れた構成とすることにより、このような樹脂割れを抑制することができる。第1部分44及び第3部分46は、端部41a及び端部41bを含み、且つ締結部42及び取付部43が設けられているものの、樹脂が厚いので、樹脂割れが発生し難い。
【0047】
なお、本発明に係る支持部材は、上記実施形態に限定されない。柱部材は、第1部分及び第2部分を含んでいれば、どのような形状であってもよい。例えば、第1実施形態の支持部材40では、柱部材41は、第1部分44が一方の端部41aを含み、第2部分45が他方の端部41bを含むような形状であるが、第1部分44が他方の端部41aを含み、第2部分45が一方の端部41bを含むような形状であってもよい。また、第2実施形態の支持部材40Aでは、柱部材41は、第1部分44が一方の端部41aを含み、第3部分46が他方の端部41bを含むような形状であるが、第1部分44、第2部分45及び第3部分46のいずれが一方の端部41a又は他方の端部41bを含むような形状であってもよい。
【0048】
取付部43の突出部43bは、外周にネジ溝が設けられたボルトであるが、外周にネジ溝が設けられていなくてもよい。この場合、突出部43bがピンとして機能し、取付部43が筐体11にピン止めされてもよい。
【0049】
柱部材41は、例えば、PA66−GF等の繊維強化樹脂からなってもよい。この場合、支持部材40の強度を向上させることができる。また、この場合、支持部材40を高剛性とすることに加えて、耐熱性及び難燃性とすることも可能である。
【0050】
第1部分44及び第2部分45は、軸線方向Dから見た第1部分44の面積よりも第2部分45の面積の方が小さいという関係を満足していればよく、それぞれ六角柱及び円柱に限られず、どのような形状であってもよい。また、第3部分46は、第1部分44とは異なる形状を有してもよく、軸線方向Dから見て第2部分45よりも面積が大きければどのような形状であってもよい。
【0051】
締結部42は、張出部42cを有しなくてもよい。また、取付部43は、張出部43cを有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0052】
11…筐体(取付対象)、31…バスバー、40,40A…支持部材、41…柱部材、41a…一方の端部、41b…他方の端部、42…締結部、43…取付部、44…第1部分、45…第2部分、46…第3部分、D…軸線方向。
図1
図2
図3
図4
図5