特許第6387809号(P6387809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387809
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】燃料電池系統連系システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20180903BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20180903BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20180903BHJP
【FI】
   H02J3/38 170
   H01M8/04
   !H01M8/12
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-241665(P2014-241665)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-103931(P2016-103931A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 立樹
【審査官】 原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/024406(WO,A1)
【文献】 特開2005−293998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2495
H02J 3/00−5/00
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を有する燃料電池システムと、
前記燃料電池及び系統電源に電気的に接続可能であると共に電気を消費する負荷に電気的に接続される分電部と、
前記分電部と系統電源との間において系統電源から負荷へ供給される電気量を検出する電気計測装置と、
前記分電部と前記燃料電池とを電気的に接続/遮断する切換えを行う切換え部と、
前記燃料電池から出力された直流電圧を昇圧するコンバータ部と、前記コンバータ部で昇圧された直流電圧を、系統電源と同期の取れた交流電圧に変換するインバータ部と、を有するパワーコンディショナと、
前記電気計測装置により検出された電気量に基づき、前記燃料電池から出力される電気量を制御するように、前記燃料電池システムを制御可能であり、前記パワーコンディショナから出力される電気量を制御するように、前記パワーコンディショナを制御可能であり、前記分電部と前記燃料電池とを電気的に接続/遮断する切換えを行うように、前記切換え部を制御可能である制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電気計測装置により検出された電気量の値が第1閾値を超える場合には、前記燃料電池から出力される電気量を増加させるように前記燃料電池システムを制御し、
前記電気計測装置により検出された電気量の値が、第1閾値を超えていた状態から第1閾値以下になった場合には、前記電気計測装置により検出された電気量の値が第1閾値以下になった時点における前記燃料電池から出力される電気量を維持するように、前記燃料電池システムを制御し、
前記電気計測装置により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、前記電気計測装置により検出される電気量の値が所定回数連続して減少したことを検出した場合には、前記燃料電池から出力される電気量を減少させるように前記燃料電池システムを制御し、
前記電気計測装置により検出された電気量の値が第2閾値以下であって0ではない場合には、前記パワーコンディショナから出力される電気量を抑制するように前記パワーコンディショナを制御し、
前記電気計測装置により検出された電気量の値が0である場合には、前記分電部と前記燃料電池とを電気的に遮断する切換えを行うように、前記切換え部を制御して、前記パワーコンディショナ及び前記燃料電池を系統電源から解列するとともに、前記インバータ部をゲートブロックするように前記パワーコンディショナを制御する燃料電池系統連系システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電気計測装置により検出された電気量の値が、第2閾値以下であって0ではない状態から第1閾値以下且つ第2閾値を超える状態になった場合には、前記パワーコンディショナから出力される電気量の抑制を解除するように前記パワーコンディショナを制御する請求項1に記載の燃料電池系統連系システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池と商用電源系統とを連系する燃料電池系統連系システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池等の発電部と商用電源系統(以下「系統」という)と、を連系する燃料電池系統連系システムが知られている。燃料電池及び系統電源に電気的に接続される分電部には、複数の負荷が電気的に接続される。燃料電池系統連系システムでは、燃料電池、及び/又は系統電源から各負荷に、各負荷で消費される電気が供給される。
【0003】
ところで、燃料電池系統連系システムでは、燃料電池で発電した電気が系統電源側に逆潮流しないように、燃料電池から系統に出力する電気量を制御する必要がある。
【0004】
特許文献1には、複数の電流センサを設け、各電流センサからの出力結果に基づいて、電源装置からの電力の出力を制御して、逆潮流を防止する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−150485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、他の方法として、分電部に接続されている各負荷のそれぞれに電力計を電気的に接続して、各負荷で消費される電気量を測定し、測定された電気量に基づいて燃料電池から出力される電気量を制御する方法が考えられる。しかし、この方法は、負荷の数分だけ電力計が必要であるという問題がある。
【0007】
また、燃料電池に電力計を電気的に接続して、燃料電池から出力される電気量を測定し、負荷で消費される電力と測定した電気量とに基づいて、逆潮流しないように燃料電池から出力される電気量を制御する方法が考えられる。
【0008】
しかし、燃料電池においては、電気量の出力を制御しようとしても、その制御がすぐに出力に反映されず、すぐに出力を低下させることはできない。
【0009】
したがって、本発明は、複数の電力計を必要とせず、且つ負荷によって消費される電気量に応じて、燃料電池から系統に出力される電気量を制御して、逆潮流を防止する燃料電池系統連系システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、燃料電池を有する燃料電池システムと、前記燃料電池及び系統電源に電気的に接続可能であると共に電気を消費する負荷に電気的に接続される分電部と、前記分電部と系統電源との間において系統電源から負荷へ供給される電気量を検出する電気計測装置と、前記分電部と前記燃料電池とを電気的に接続/遮断する切換えを行う切換え部と、前記燃料電池から出力された直流電圧を昇圧するコンバータ部と、前記コンバータ部で昇圧された直流電圧を、系統電源と同期の取れた交流電圧に変換するインバータ部と、を有するパワーコンディショナと、前記電気計測装置により検出された電気量に基づき、前記燃料電池から出力される電気量を制御するように、前記燃料電池システムを制御可能であり、前記パワーコンディショナから出力される電気量を制御するように、前記パワーコンディショナを制御可能であり、前記分電部と前記燃料電池とを電気的に接続/遮断する切換えを行うように、前記切換え部を制御可能である制御部と、を備え、前記制御部は、前記電気計測装置により検出された電気量の値が第1閾値を超える場合には、前記燃料電池から出力される電気量を増加させるように前記燃料電池システムを制御し、前記電気計測装置により検出された電気量の値が、第1閾値を超えていた状態から第1閾値以下になった場合には、前記電気計測装置により検出された電気量の値が第1閾値以下になった時点における前記燃料電池から出力される電気量を維持するように、前記燃料電池システムを制御し、前記電気計測装置により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、前記電気計測装置により検出される電気量の値が所定回数連続して減少したことを検出した場合には、前記燃料電池から出力される電気量を減少させるように前記燃料電池システムを制御し、前記電気計測装置により検出された電気量の値が第2閾値以下であって0ではない場合には、前記パワーコンディショナから出力される電気量を抑制するように前記パワーコンディショナを制御し、前記電気計測装置により検出された電気量の値が0である場合には、前記分電部と前記燃料電池とを電気的に遮断する切換えを行うように、前記切換え部を制御して、前記パワーコンディショナ及び前記燃料電池を系統電源から解列するとともに、前記インバータ部をゲートブロックするように前記パワーコンディショナを制御する燃料電池系統連系システムに関する。
【0011】
また、前記制御部は、前記電気計測装置により検出された電気量の値が、第2閾値以下であって0ではない状態から第1閾値以下且つ第2閾値を超える状態になった場合には、前記パワーコンディショナから出力される電気量の抑制を解除するように前記パワーコンディショナを制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の電力計を必要とせず、且つ負荷によって消費される電気量に応じて、燃料電池から系統に出力される電気量を制御して、逆潮流を防止する燃料電池系統連系システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池系統連系システム1を示すブロック図である。
図2】電気計測装置40の検出結果に基づく、制御部50による各装置に対する制御の流れを示すフローチャートである。
図3図2から続くフローチャートの続きを示す。
図4】制御部50による各装置に対する制御の流れを示すフローチャートである。
図5図4から続くフローチャートの続きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による燃料電池系統連系システム1について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態による燃料電池系統連系システム1を示すブロック図である。
以下の説明において「系統」とは、図1における位置P1から位置P2までの範囲を示す。例えば「系統」は、系統電源81の下流側から分電部41(負荷42)を含む範囲を示す。
また、逆潮流とは、燃料電池10から出力された電気が、図1における位置P1よりも系統電源81側に流れること示す。
また、フルロードとは、燃料電池10の電気出力が最大となっている燃料電池10の状態を示す。燃料電池10は、フルロードの場合に最も効率よく電気を発電(出力)することができる。
【0015】
図1に示すように、燃料電池系統連系システム1は、燃料電池10を有する燃料電池システム2と、パワーコンディショナ20と、電気計測装置40と、分電部41と、制御部50と、蓄電部としての蓄電池60と、直流駆動型補機としての補機70と、ダイオード(71、72、74及び76)と、補機用コンバータ部としてのDC/DCコンバータ73、及びAC/DCコンバータ75と、スイッチ(第1スイッチ11、第2スイッチ12、第3スイッチ13、切換え部としての第4スイッチ14、第5スイッチ15、及び第6スイッチ16)と、を備える。燃料電池システム2は、燃料電池10と、改質器30と、改質器30と燃料電池10とを接続するラインLと、改質器30に燃料ガスを供給するガス供給部(図示せず)と、を有する。
【0016】
燃料電池系統連系システム1は、発電部である燃料電池10と系統とを連系させることにより、分電部41に電気的に接続される負荷42に対して電力を供給する。
【0017】
[接続状態の説明]
以下の説明における電気的な接続とは、プリント基板上の配線、絶縁被覆された銅線により構成された導線等の、電気を伝達可能なものによる接続の総称である。
【0018】
パワーコンディショナ20は、コンバータ部としてのDC/DCコンバータ21と、系統連系インバータ部としての系統連系インバータ22と、を有する。DC/DCコンバータ21には、第3スイッチ13が電気的に接続されており、第3スイッチ13には、燃料電池10が電気的に接続されている。また、第3スイッチ13及び燃料電池10には、第2スイッチ12が電気的に接続されている。DC/DCコンバータ21には、系統連系インバータ22が電気的に接続されている。燃料電池10とDC/DCコンバータ21とは、第3スイッチ13を介して電気的に接続/遮断可能である。第3スイッチ13が閉じられている場合、燃料電池10と、DC/DCコンバータ21と、系統連系インバータ22とは、この順で電気的に直列接続される。より詳細には、DC/DCコンバータ21と系統連系インバータ22とは、DCバスにより電気的に接続されている。
【0019】
系統連系インバータ22には、第4スイッチ14が電気的に接続されている。第4スイッチ14には、系統が電気的に接続されている。系統連系インバータ22と系統とは、第4スイッチ14を介して電気的に接続/遮断可能である。
【0020】
また、系統連系インバータ22には、第5スイッチ15が電気的に接続されている。第5スイッチ15には、蓄電池60が電気的に接続されている。蓄電池60には、第6スイッチ16が電気的に接続されている。第6スイッチ16には、ダイオード71が電気的に接続されている。系統連系インバータ22と蓄電池60とは、第5スイッチ15を介して電気的に接続/遮断可能である。すなわち、蓄電池60は、第5スイッチ15と、系統連系インバータ22と、DC/DCコンバータ21と、第3スイッチ13と、を介して、燃料電池10に電気的に接続されている。
【0021】
燃料電池10には、所定のラインL(図1の鎖線で示されるライン)を介して改質器30が接続されている。「ライン」とは、流路、経路、及び管路等の総称である。
【0022】
第4スイッチ14には、分電部41が電気的に接続されている。分電部41には、系統電源81及び第1スイッチ11が電気的に接続されている。また、分電部41には、複数の負荷42が電気的に接続されている。電気計測装置40は、分電部41と系統電源81との間において系統電源81から負荷42へ供給される電気量を検出できるように、配置されている。
【0023】
第2スイッチ12には、ダイオード72が電気的に接続されている。ダイオード72には、DC/DCコンバータ73が電気的に接続されている。DC/DCコンバータ73には、ダイオード74が電気的に接続されている。
【0024】
第1スイッチ11には、AC/DCコンバータ75が電気的に接続されている。AC/DCコンバータ75には、ダイオード76が電気的に接続されている。ダイオード74及びダイオード76には、補機70及びコンデンサ77が電気的に接続されている。また、補機70及びコンデンサ77は接地されている。
【0025】
従って、燃料電池10と、第2スイッチ12と、ダイオード72と、DC/DCコンバータ73と、ダイオード74と、補機70とは、この順番に電気的に接続されている。また、燃料電池10と、第2スイッチ12と、ダイオード72と、DC/DCコンバータ73と、ダイオード74と、コンデンサ77とは、この順番で電気的に接続されている。
【0026】
また、蓄電池60と、第6スイッチ16、ダイオード71、DC/DCコンバータ73と、ダイオード74と、補機70とは、この順番で電気的に接続されている。蓄電池60と、第6スイッチ16、ダイオード71、DC/DCコンバータ73と、ダイオード74と、コンデンサ77とは、この順番で電気的に接続されている。
【0027】
また、系統電源81と、第1スイッチ11と、AC/DCコンバータ75と、ダイオード76と、補機70とは、この順番で電気的に接続されている。系統電源81と、第1スイッチ11と、AC/DCコンバータ75と、ダイオード76と、コンデンサ77とは、この順番で電気的に接続されている。
【0028】
制御部50は、スイッチ(11乃至16)と、系統連系インバータ22と、ガス供給部(図示せず)と、電気計測装置40と、補機70とに、電気信号を伝達可能に電気的に接続されている。
【0029】
[各装置の説明]
燃料電池10は、例えば、SOFC(固体酸化物形燃料電池)により構成される。燃料電池10においては、改質器30から供給された、水素を含む改質ガス(以下、「改質ガス」という)と、燃料電池10に供給された空気中の酸素とが反応することによる発電が行われる。燃料電池10によって発電された直流電圧は、第2スイッチ12及びダイオード72を介して、DC/DCコンバータ73に出力され、また、第3スイッチ13を介して、DC/DCコンバータ21に出力される。
【0030】
DC/DCコンバータ21は、燃料電池10から出力される112.5V程度の直流電圧を、所定の直流電圧に変換(昇圧)する。所定の直流電圧とは、例えば、系統連系インバータ22において系統に供給可能な電圧(例えば、AC200V)の生成ができる程度の電圧(例えば、DC280V)であり、この出力電圧は、固定値である。
【0031】
系統連系インバータ22は、DC/DCコンバータ21から出力される直流電圧を、系統に供給可能な所定の交流電圧(例えば、AC200V)に変換して系統に供給する。系統連系インバータ22は、交流電圧を系統に供給するため、系統連系インバータ22から出力される交流電圧の値は、固定値である。一方、系統連系インバータ22は、系統連系インバータ22から出力される電流の値を制御可能である。DC/DCコンバータ21及び系統連系インバータ22のトータルでの変換効率は、93%程度である。
【0032】
改質器30は、都市ガス等の燃料ガスを供給可能な燃料ガス供給部(図示せず)に接続され、燃料電池10に対して、燃料電池10が発電の際に使用する改質ガスを所定のラインLを介して供給する。制御部50により、ラインLの上流側に接続されているガス供給部(図示せず)からのガスの流量が制御されると、改質器30から燃料電池10に供給される改質ガスの流量が制御される。改質器30から燃料電池10に供給される改質ガスの流量が制御されると、燃料電池10から出力される電気量が制御される。
【0033】
電気計測装置40は、系統電源81から負荷42に供給される電気量(すなわち、負荷42で消費される電力)を検出する。蓄電池60は、燃料電池10から供給される電気によって充電させられる。具体的には、電気計測装置40は、「CT(Current Transformer)」を有する電流センサにより構成されている。
【0034】
分電部41は、系統電源81及び/又は燃料電池10から出力される電気を、負荷42に分電させる装置を示す。負荷42は、分電部41に電気的に接続され、分電部41を介して供給される電気を消費する装置により構成されている。
【0035】
補機70は、燃料電池10において発電するために用いられる装置である。補機70は、例えば、空気を燃料電池10に供給するためのファン等である。補機70は、例えば、直流電圧(DC24V)により駆動可能である。補機70は、燃料電池10において発電された電気、蓄電池60に蓄えられている電気、系統電源81からの電気、のうちの何れか1つによって駆動される。
【0036】
コンデンサ77は、補機70へ供給される電気が切り替わる際に利用される。例えば、補機70が燃料電池10から出力される電気によって駆動されている状態で、燃料電池10が故障した場合を想定する。すると、補機70へ供給される電気が燃料電池10から系統電源81に切り替えられる(第2スイッチ12が開かれ第1スイッチ11が閉じられる)。切り替えている間には、燃料電池10及び系統電源81のいずれからも、補機70には電気は供給されない。この間、コンデンサ77に蓄えられている電気により、補機70が一時的に駆動させられる。コンデンサ77は、燃料電池10において発電された電気、蓄電池60に蓄えられている電気、及び系統電源81からの電気のうちの何れか1つによって充電される。コンデンサ77の容量は、蓄電池60の容量よりも遙かに小さい。
【0037】
ダイオード72及び74は、燃料電池10からDC/DCコンバータ73を介して、補機70及びコンデンサ77へ電流を供給する整流作用を有する。また、ダイオード71及び74は、蓄電池60からDC/DCコンバータ73を介して、補機70及びコンデンサ77へ電流を供給する整流作用を有する。また、ダイオード76は、系統電源81からAC/DCコンバータ75を介して、補機70及びコンデンサ77へ電流を供給する整流作用を有する。
【0038】
DC/DCコンバータ73は、燃料電池10から出力される直流電圧を、所定の直流電圧に変換(昇圧)して、補機70に供給する。AC/DCコンバータ75は、系統電源81から出力される交流電圧を補機70が利用可能な直流電圧に変換して、補機70に供給する。
【0039】
制御部50は、シーケンサーにより構成されており、燃料電池10について起動から発電までの一連の動作を制御する。制御部50は、マイコンにより構成されていてもよい。具体的に、例えば、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量を定期的に(例えば、所定の時間的間隔で)取得する。そして、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量に基づき、燃料電池システム2(例えば、ガス供給部(図示せず)から改質器30に供給される燃料ガスの量)と、スイッチ(11乃至16)の開閉と、パワーコンディショナ20から出力される電気量と、補機70と、を制御する。また、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量と、燃料電池10から出力される電気量とに基づき、負荷42から要求される電気量(負荷42で消費される電気量)を検知する。
【0040】
[検出された電気量に基づいて逆潮流を防止する制御方法]
次に、電気計測装置40により検出された電気量に基づいて逆潮流を防止する、制御部50による各装置に対する制御を、図2及び図3を参照して説明する。図2は、電気計測装置40の検出結果に基づく、制御部50による各装置に対する制御の流れを示すフローチャートの一部である。図3は、図2から続くフローチャートの残りの部分である。本制御は、例えば、燃料電池10が起動され、燃料電池10において発電されている状態になっており、且つ、電気計測装置40により検出された電気量が第1閾値を超えている状態になった時点以降に行われる制御である。具体的には、後述の図4のフローチャートにおけるステップST302の処理における判断がなされている場合に行われる処理である。
【0041】
ステップST201において、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値を超えているか否かを判断する。本実施形態における第1閾値の値は、1.0kWである。
検出された電気量の値が第1閾値を超えている場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST202に移行する。ステップST202において、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量を増加させるように燃料電池システム2を制御する。具体的には、制御部50は、改質器30に接続されているガス供給部(図示せず)を制御して改質器30へ供給される燃料ガスの供給量を増やす。改質器30へ供給される燃料ガスの供給量が増加されることにより、改質器30から燃料電池10へ供給される改質ガスの供給量が増える。これにより、燃料電池10において、より多くの電気が発電される。そして、制御部50の処理は、ステップST201へ移行する。
以下の説明では、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値を超えている場合を「(1)の場合」という。
【0042】
ステップST201において、検出された電気量の値が第1閾値を超えている状態から第1閾値以下になった場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST203に移行する。ステップST203において、制御部50は、燃料電池システム2で発電される電気量を、検出された電気量が第1閾値以下となった時点において出力されていた電気量に維持されるように、燃料電池システム2を制御する。具体的には、制御部50は、改質器30に供給されている燃料ガスの供給量が、電気量の値が第1閾値以下になった時点の供給量に維持されるように、ガス供給部(図示せず)を制御する。このように制御することにより、燃料電池10において発電される電気量の値は、第1閾値以下になった時点に燃料電池10において発電されていた電気量に維持される。
以下の説明では、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値を超えている状態から第1閾値以下になった場合を「(2)の場合」という。
【0043】
ステップST204において、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、電気計測装置40により検出される電気量の値が所定回数連続して減少(例えば、3回連続して減少)したことを検出したか否かを判断する。本実施形態における第2閾値の値は、0.5kWである。
【0044】
電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、電気計測装置40により検出される電気量の値が所定回数連続して減少したことを検出した場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST205に移行する。ステップST205では、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量を減少させるように燃料電池システム2を制御する。具体的に、制御部50は、改質器30に供給されている燃料ガスの供給量が減少されるようにガス供給部(図示せず)を制御する。このとき、制御部50は、例えば、電気計測装置40により検出される電気量の値が1.0kW以上になるまで、ガス供給部(図示せず)を制御する。制御部50がこのように制御することにより、燃料電池10において発電されていた電気量が減少される状態となる。そして、制御部50の処理は、ステップST206へと移行する。
【0045】
一方、ステップST204において、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、電気計測装置40により検出される電気量の値が所定回数連続して減少したことを検出しない場合(NO)には、制御部50の処理は、定期的(所定時間経過後)に、ステップST204に移行する。
以下の説明では、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、電気計測装置40により検出される電気量の値が所定回数連続して減少したことを検出した場合を「(3)の場合」という。
【0046】
図3に示すように、ステップST206において、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量の値が第2閾値(例えば、0.5kW)以下であって0ではないか否かを判断する。
電気計測装置40により検出された電気量の値が第2閾値(例えば、0.5kW)以下であって0ではない場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST207に移行する。ステップST207において、制御部50は、パワーコンディショナ20から出力される電気量を抑制するようにパワーコンディショナ20を制御する。具体的に、制御部50は、パワーコンディショナ20が有するパワー抑制機能を制御して、パワーコンディショナ20の出力を抑制する。このとき、制御部50は、例えば、電気計測装置40により検出される電気量の値が0.5kW以上になるまで、パワーコンディショナ20が有するパワー抑制機能を制御する。制御部50がこのように制御することにより、燃料電池10において出力されていた電気量に関わらず(電気量が維持されながら)、系統に供給される電気量が抑制される状態となる。そして、制御部50の処理は、ステップST208に移行する。
【0047】
一方、ステップST206の判断がNOの場合、制御部50の処理は、定期的(所定時間経過後)に、ステップST206に移行する。
以下の説明では、電気計測装置40により検出された電気量の値が第2閾値以下であって0ではない場合を「(4)の場合」という。
【0048】
ステップST208において、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量の値が0であるか否かを判断する。電気計測装置40により検出された電気量の値が0である場合(YES)、制御部50の処理は、ステップST209に移行する。ステップST209において、制御部50は、分電部41と燃料電池10とを電気的に遮断する切換えを行うように、切換え部(第4スイッチ14)を制御して、分電部41と燃料電池10とを電気的に遮断する。また、制御部50は、インバータ部(系統連系インバータ22)をゲートブロックするとともに、パワーコンディショナ20及び燃料電池10を系統電源81から解列するようにパワーコンディショナ20を制御する。
具体的に、制御部50は、インバータ部(系統連系インバータ22)をゲートブロックするとともに、第4スイッチ14を開くように制御する。或いは、制御部50は、インバータ部(系統連系インバータ22)をゲートブロックするとともに、第3スイッチ13と第4スイッチ14と、を開くように制御する。
【0049】
制御部50が、このように制御することにより、燃料電池10からパワーコンディショナ20に対して電気が供給されなくなり、且つパワーコンディショナ20から系統に対して電気が供給されない状態となる。すなわち、制御部50によるこのような制御により、燃料電池10から系統に対して供給される電気量が実質的に0とされる状態となる。
以下の説明では、電気計測装置40により検出された電気量の値が0である場合を「(5)の場合」という。
【0050】
ステップST209の処理を行った後、制御部50は、所定の時間経過後に、パワーコンディショナ20及び燃料電池10を系統電源81に並列させるともに、インバータ部(系統連系インバータ22)を系統電源81に並列(ゲートブロックを解除)させるようにパワーコンディショナ20を制御する。その後、燃料電池10が再起動された後に、制御部50の処理は、ステップST201に移行する。
【0051】
一方、ステップST208において、電気計測装置40により検出された電気量の値が0でない場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST210に移行する。ステップST210において、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量の値が、第2閾値以下であって0ではない状態から、第1閾値以下且つ第2閾値を超えている状態になったか否かを判断する。
【0052】
電気計測装置40により検出された電気量の値が、第2閾値以下であって0ではない状態から、第1閾値以下且つ第2閾値を超えている状態になった場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST211に移行する。ステップST211において、制御部50は、パワーコンディショナ20の出力の抑制を解除する(ST211)。その後、制御部50の処理は、ステップST204に移行する。
【0053】
制御部50によるこのような制御により、パワーコンディショナ20から出力される電気量の抑制が解除されるので、パワーコンディショナ20で昇圧された後に交流電圧に変換された電気は、電気量が抑制されることなく、系統に供給される。
【0054】
一方、ステップST210において、電気計測装置40により検出された電気量の値が、第2閾値以下であって0ではない状態から、第1閾値以下且つ第2閾値を超えている状態になっていない場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST208に移行する。
以下の説明では、電気計測装置40により検出された電気量の値が、第2閾値(例えば、0.5kW)以下であって0ではない状態から、第1閾値以下且つ第2閾値を超える状態になった場合を「(6)の場合」という。
【0055】
[蓄電池60及びコンデンサ77に充電する際の制御方法]
次に、燃料電池系統連系システム1の起動から、蓄電池60及びコンデンサ77に充電が行われる際の、制御部50による、各装置に対する制御の流れについて、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、制御部50による各装置に対する制御の流れを示すフローチャートの一部である。図5は、図4から続くフローチャートの残りの部分である。本制御は、燃料電池系統連系システム1の起動時に行われる処理である。制御部50は、図4及び図5で示される制御と並行して上述の図2及び図3に示される制御を行う。
【0056】
先ず、第1スイッチ11〜第6スイッチ16が開いている初期状態において、燃料電池10が起動される。ステップST301において、制御部50は、第1スイッチ11が閉じられるように第1スイッチ11を制御する。これにより、補機70に、系統電源81から電気が供給される。そして、制御部50による処理は、ステップST302へ移行する。
【0057】
ステップST302において、制御部50は、改質器30に供給される燃料ガスの量が最大となるようにガス供給部(図示せず)を制御した後、所定の時間が経過したか否かを判断する。所定の時間が経過している場合、燃料電池10から十分な量の電流が引き出されており、燃料電池10がフルロードで発電している状態になっていると想定できるからである。そして、ステップST302において、制御部50は、燃料電池10が最高出力で発電している状態(すなわち、燃料電池10がフルロードで発電している状態)であるか否かを判断する。
【0058】
燃料電池10がフルロードで発電していると判断した場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST303に移行する。一方、燃料電池10がフルロードで発電していないと判断した場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST302に移行する。
【0059】
ステップST303において、制御部50は、第2スイッチ12が閉じられるように第2スイッチ12を制御するとともに、第1スイッチ11が開けられるように第1スイッチ11を制御する。これにより、負荷42と補機70とに系統電源81から電気が供給されなくなり、負荷42と補機70とに燃料電池10から電気が供給される。
【0060】
ステップST304において、制御部50は、負荷42から要求される電気量(負荷42によって消費される電気量)が燃料電池10から供給される電気量よりも多いか否かを判断する。ここで「負荷42から要求される電気量」とは、実際に負荷42から要求される電気量を示す。以下のステップでは、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量が「負荷42から要求される電気量」よりも少なくなるように、操作することにより調整して、燃料電池10を制御する。
【0061】
負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量よりも多い場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST306に移行する。ステップST306において、制御部50は、第3スイッチ13及び第4スイッチ14を閉じるように、第3スイッチ13及び第4スイッチ14を制御する。これにより、燃料電池10で発電された電気は、補機70及び負荷42で利用される。そして、制御部50による処理は、ステップST304へ移行する。
【0062】
一方、負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量以下である場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST305に移行する。ステップST305において、制御部50は、第3スイッチ13と第4スイッチ14と第5スイッチ15とを閉じるように、第3スイッチ13と第4スイッチ14と第5スイッチ15とを制御する。これにより、燃料電池10で発電された電気は、補機70及び負荷42で利用されるとともに、余剰分の電気量(燃料電池10で発電される電気量から補機70及び負荷42で利用される電気量を差し引いた電気量)が蓄電池60に供給される。そして、制御部50の処理は、ステップST307へ移行する。
【0063】
ステップST307において、制御部50は、蓄電池60の充電が完了しても、依然として負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量以下であるか否かを判断する。
【0064】
負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量以下である場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST309に移行する。ステップST309において、制御部50は、第2スイッチ12が開くように第2スイッチ12を制御するとともに、第6スイッチ16が閉じるように第6スイッチ16を制御する。これにより、燃料電池10から補機70に対する電気の供給がされなくなる。また、蓄電池60から補機70に対して電気が供給される。そして、制御部50の処理は、ステップST310へ移行する。
【0065】
一方、ステップST307において、負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量よりも多い場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST308に移行する。ステップST308において、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量が維持されるように燃料電池システム2を制御する。制御部50の処理は、定期的に(所定の時間間隔で)、ステップST307に移行する。
【0066】
ステップST310において、制御部50は、燃料電池10から蓄電池60に電気を供給しても、依然として、負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量以下であるか否かを判断する。
【0067】
負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量以下である場合(NO)には、制御部50の処理は、ステップST311に移行する。ステップST311において、制御部50は、燃料電池10が発電させる電気量を少なくするため、燃料電池システム2を制御する。
具体的には、制御部50は、燃料電池10が供給される電気量を所定値以下の量に制限するため、ガス供給部(図示せず)から提供される燃料ガスの量を少なくするようにガス供給部を制御する。制御部50により、ガス供給部から提供される燃料ガスの量が少なくされると、改質器30から燃料電池10に供給される改質ガスの量が少なくなり、結果、燃料電池10から供給される電気量が所定位置以下に制限される。その後、制御部50は、所定のタイミングで「燃料電池10の発電量を増加させる」制御を行う。
【0068】
一方、ステップST310において、負荷42から要求される電気量が燃料電池10から供給される電気量よりも多い場合(YES)には、制御部50の処理は、ステップST312に移行する。ステップST312において、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量が維持されるように燃料電池システム2を制御する。制御部50の処理は、定期的に(所定の時間間隔で)、ステップST310に移行する。
【0069】
上記本実施形態の燃料電池系統連系システム1によれば、以下のような効果を得ることができる。
燃料電池系統連系システム1は、燃料電池10を有する燃料電池システム2と、燃料電池10及び系統電源81に電気的に接続可能であると共に電気を消費する負荷42に電気的に接続される分電部41と、分電部41と系統電源81との間において系統電源81から負荷42へ供給される電気量を検出する電気計測装置40と、分電部41と燃料電池10とを電気的に接続/遮断する切換えを行う切換え部(第4スイッチ14)と、燃料電池10から出力された直流電圧を昇圧するコンバータ部(DC/DCコンバータ21)と、コンバータ部(DC/DCコンバータ21)で昇圧された直流電圧を、系統電源と同期の取れた交流電圧に変換するインバータ部(系統連系インバータ22)と、を有するパワーコンディショナ20と、電気計測装置40により検出された電気量に基づき、燃料電池10から出力される電気量を制御するように、燃料電池システム2を制御可能であり、パワーコンディショナ20から出力される電気量を制御するように、パワーコンディショナ20を制御可能であり、分電部41と燃料電池10とを電気的に接続/遮断する切換えを行うように、切換え部(第4スイッチ14)を制御可能である制御部50と、を備えている。
電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値を超える場合((1)の場合)には、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量を増加させるように燃料電池システム2を制御する。
電気計測装置40により検出された電気量の値が、第1閾値を超えていた状態から第1閾値以下になった場合((2)の場合)には、制御部50は、電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値以下になった時点における燃料電池10から出力される電気量を維持するように、燃料電池システム2を制御する。
電気計測装置40により検出された電気量の値が第1閾値以下且つ第2閾値を超える場合であって、電気計測装置40により検出される電気量の値が所定回数連続して減少したことを検出した場合((3)の場合)には、制御部50は、燃料電池10から出力される電気量を減少させるように燃料電池システム2を制御する。
電気計測装置40により検出された電気量の値が第2閾値以下であって0ではない場合((4)の場合)には、制御部50は、パワーコンディショナ20から出力される電気量を抑制するようにパワーコンディショナ20を制御する。
電気計測装置40により検出された電気量の値が0である場合((5)の場合)には、制御部50は、分電部41と燃料電池10とを電気的に遮断する切換えを行うように、切換え部(第4スイッチ14)を制御して、パワーコンディショナ20及び燃料電池10を系統電源81から解列するとともに、インバータ部(系統連系インバータ22)をゲートブロックするようにパワーコンディショナ20を制御する。
【0070】
[(1)の場合]
(1)の場合、複数の負荷42が分電部41に接続されているが、負荷42に対しては、系統電源81から多くの電気が供給されている状態だと推定できる。したがって、制御部50は、燃料電池10の電気出力がフルロードになるように制御することができる。このため、燃料電池10において効率よく発電を行うことができる。
【0071】
[(2)の場合]
(2)の場合、燃料電池10において出力される電気量が徐々に増加しているとともに、系統電源81から出力される電気量が徐々に減少している状態だと想定できる。制御部50は、系統電源81から出力される電気量の減少が実質的に止まるように、燃料電池10において出力される電気量を維持するように(出力される電気量が増加するのを防止するように)燃料電池システム2を制御することができる。
【0072】
[(3)の場合]
(3)の場合、燃料電池10から出力される電気量は維持されているので、分電部41において使用される電気量が減っている状態だと想定できる。ここで、制御部50は、減少する系統電源81から出力される電気量よりも、燃料電池10から出力される電気量が少なくなるように燃料電池システム2を制御することができる(例えば、電気計測装置40で検出される電気量が第1閾値以上となるまで燃料電池システム2を制御することができる)。
【0073】
[(4)の場合]
(4)の場合、(3)の場合から更に、分電部41において使用される電気量が減っている状態だと想定できる。ここで、制御部50は、系統電源81から系統に出力される電気量よりも、燃料電池10側から系統に出力される電気量が少なくなるように、燃料電池10から出力される電気量に関わらず、パワーコンディショナ20から出力される電気量を抑制するようにパワーコンディショナ20(パワー抑制機能)を制御することができる(例えば、電気計測装置40で検出される電気量が第2閾値以上となるまでパワーコンディショナ20を制御することができる)。
【0074】
[(5)の場合]
(5)の場合、分電部41に接続されている負荷42の数が、(4)の場合よりも更に減り、実質的に0となっている状態であると想定できる。このため、制御部50は、パワーコンディショナ20及び燃料電池10を系統電源81から解列する(第4スイッチを開く)とともに、インバータ部(系統連系インバータ22)をゲートブロックするようにパワーコンディショナ20を制御することができる。これにより、制御部50は、燃料電池10から系統に対して供給される電気量を実質的に0とすることができ、逆潮流を防止することができる。
【0075】
また、電気計測装置40により検出された電気量の値が、第2閾値以下であって0ではない状態から第1閾値以下且つ第2閾値を超える状態になった場合((6)の場合)には、制御部50は、パワーコンディショナ20から出力される電気量の抑制を解除するようにパワーコンディショナ20を制御する。
【0076】
[(6)の場合]
(6)場合、分電部41に接続される負荷42が、(4)の場合から、徐々に増えている状態であると想定できる。このため、制御部50は、パワーコンディショナ20から出力される電気量の抑制を解除するようにパワーコンディショナ20を制御することができる。(6)の場合、系統電源81から系統に出力されている電気量は徐々に多くなっている。
【0077】
以上(1)乃至(5)の場合、及び(6)において、制御部50は、負荷42によって消費される電気量に応じて、燃料電池から系統に出力される電気量を制御して、逆潮流を防止することができる。また、本実施例において、配置される電力計は、系統電源81と分電部41との間に電気的に接続される電気計測装置40のみであり、複数の電力計を必要としない。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。例えば、燃料電池系統連系システムに、燃料電池10、補機70及びコンデンサ77が、複数備えられていてもよい。また、コンデンサ77、蓄電池60は設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 燃料電池系統連系システム。
2 燃料電池システム
10 燃料電池
14 第4スイッチ(切替え部)
20 パワーコンディショナ
21 DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ部)
22 系統連系インバータ(系統連系インバータ部)
40 電気計測装置
41 分電部
42 負荷
50 制御部
81 系統電源
図1
図2
図3
図4
図5