特許第6387827号(P6387827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6387827データ伝送システムにおける通信装置およびその省電力化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387827
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】データ伝送システムにおける通信装置およびその省電力化方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/04 20060101AFI20180903BHJP
   H04L 29/08 20060101ALI20180903BHJP
   H04L 29/00 20060101ALI20180903BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   H04L13/00 303Z
   H04L13/00 307Z
   H04L13/00 T
   H04L12/28 200M
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-507405(P2014-507405)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】JP2013001900
(87)【国際公開番号】WO2013145651
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-73151(P2012-73151)
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】田島 章雄
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−077795(JP,A)
【文献】 特開2010−213259(JP,A)
【文献】 特開2000−069119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/955
H04L 13/00−13/18
H04L 29/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置であって、
前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段と、
前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、前記スリープ状態になる毎に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を送信する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置であって、
前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段と、
前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、前記スリープ状態にある期間中に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を送信する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信装置であって、前記制御手段が前記確認信号を送信する前記一の通信手段をチャネル順に切り替えることを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の通信装置であって、前記制御手段が前記確認信号を送信する前記一の通信手段をランダムに切り替えることを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1−のいずれか1項に記載の通信装置であって、前記スリープ状態になる前に、前記他の通信装置に対してスリープ状態に入ることを通知し、送信データが発生したときに前記他の通信装置に対して復帰信号を通知する、ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項1−のいずれか1項に記載の通信装置であって、前記スリープ状態になる前に、前記他の通信装置に対して、スリープ状態の情報と前記確認信号を送信するチャネルおよび周期情報とを通知することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
複数のチャネルにより接続され、前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段を有する第1通信装置と第2通信装置とを含むデータ伝送システムにおける省電力化方法であって、
前記第1通信装置が、前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、
前記第1通信装置が、前記スリープ状態になる毎に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記第2通信装置へ送信する、
ことを特徴とする省電力化方法。
【請求項8】
複数のチャネルにより接続され、前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段を有する第1通信装置と第2通信装置とを含むデータ伝送システムにおける省電力化方法であって、
前記第1通信装置が、前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、
前記第1通信装置が、前記スリープ状態にある期間中に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記第2通信装置へ送信する、
ことを特徴とする省電力化方法。
【請求項9】
複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置におけるコンピュータを機能させるプログラムであって、
複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にする機能と、
前記スリープ状態になる毎に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記他の通信装置へ送信する機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置におけるコンピュータを機能させるプログラムであって、
複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にする機能と、
前記スリープ状態にある期間中に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記他の通信装置へ送信する機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のレーンを介した高速データ伝送システムに係り、特にデータトラヒックに応じたスリープ動作を導入したデータ通信システム、通信装置および省電力化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している10ギガビットイーサネット(10GbE)の次の高速イーサネット(イーサネットは登録商標。以下同じ。)として、IEEE802.3ba Task Forceにより、40ギガビットイーサネット(40GbE)、100ギガビットイーサネット(100GbE)が2010年に標準化された(非特許文献1)。10GbEでは、Coarse Wavelength Division Multiplex(CWDM)による10GBASE-LX4規格があったものの、主体はシリアル伝送による10GBASE-SR/LR/ERであった。
【0003】
一方、40GbEおよび100GbEでは、40Gb/sでシリアル伝送規格があるものの、伝送距離やデバイスの動作速度、コスト等を考慮した4チャネル(40GBASE-SR4/LR4: 10 Gb/s x 4 = 40 Gbps、100GBASE LR4/ER4: 25 Gb/s x 4 = 100 Gb/s)もしくは10チャネル(100GBASE-SR10: 10 Gb/s x 10 = 100 Gb/s)の並列(マルチレーン)伝送が主要な方式となっている。
【0004】
また、イーサネットの省電力化技術としてIEEE802.3az Energy Efficient Ethernet (EEE)が2010年に標準化された(非特許文献2)。本標準は、転送データがないときにSleep状態に入り、リンク故障と区別し生きていることを確認するためにHeart beat信号(Refresh信号ともいう。)を送るLPI(Low Power Idle;低電力アイドル)方式と、伝送速度を落とすRapid PHY Controlの二種類の技術からなる。しかし、IEEE802.3ba Ethernet Task Forceにおいては、トラフィックに応じたイーサネットインタフェース適応制御による省電力化に関しては検討されていない。
【0005】
特許文献1においては、低速イーサネットのトラフィック量を監視し、トラフィック量に応じ、40GbEや100GbEインタフェースの使用レーン数増減を決定する技術が開示されている。レーン数を削減する場合、40GbEや100GbEインタフェースの使用レーンを休止し、その後、対向装置の40GbEや100GbEインタフェースの使用レーンを休止させる。レーン数を増加する場合、40GbEや100GbEインタフェースの不使用レーンを復旧し、その後、対向装置の40GbEや100GbEインタフェースの不使用レーンを復旧させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−077795号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】IEEE802.3ba 40Gb/s and 100Gb/s Ethernet
【非特許文献2】IEEE802.3az Energy Efficient Ethernet
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献2に記載されたEEEは、伝送媒体が光ファイバ以外の電気ケーブルやバックプレーン伝送に対応した技術であり、40GbEおよび100GbEについては検討されていない。
【0009】
EEEのLPI方式を40GbEや100GbEに適用した場合、例えば、スリープ中にリンクが生きているかどうか確認するためのRefresh信号を特定のチャネル(ch.)のみで送出する場合では、Refresh信号を送るch.のみスリープ中に生きているかどうかわかるが、その他のチャネルはわからない。さらに、Refresh信号を送るch.が固定されると、そのch.のみ素子劣化(特に短波長光源の場合に問題となる。)が進行するという問題がある。
【0010】
また、LPI方式を40GbEや100GbEに適用する別の方式として、スリープ中にリンクが生きているかどうか確認するためのRefresh信号を各ch.で送出するような方式が考えられる。しかしながら、この方式では、各ch.のRefresh信号タイミングが揃うと、そのタイミングの消費電力が大きくなり、加えてノイズも大きくなるという問題が生じる。これを解決しようとして、スリープ中にRefresh信号を各ch.でタイミングをずらして送出した場合には、ピーク消費電力は小さくなるのでノイズは小さくなるが、トータルの消費電力削減効果は小さい。
【0011】
そこで、本発明の目的は、スリープ中に確認信号を送る際の素子劣化の防止、伝送ノイズの低減および消費電力の削減を達成できるデータ伝送システムにおける通信装置および省電力化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による通信装置は、複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置であって、前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段と、前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、前記スリープ状態になる毎に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を送信する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明による通信装置は、複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置であって、前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段と、前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、前記スリープ状態にある期間中に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を送信する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明による省電力化方法は、複数のチャネルにより接続され、前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段を有する第1通信装置と第2通信装置とを含むデータ伝送システムにおける省電力化方法であって、前記第1通信装置が、前記複数の通信手段でにより送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、前記第1通信装置が、前記スリープ状態になる毎に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記第2通信装置へ送信する、ことを特徴とする。
本発明による省電力化方法は、複数のチャネルにより接続され、前記複数のチャネルにそれぞれ対応した複数の通信手段を有する第1通信装置と第2通信装置とを含むデータ伝送システムにおける省電力化方法であって、前記第1通信装置が、前記複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にし、前記第1通信装置が、前記スリープ状態にある期間中に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記第2通信装置へ送信する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によるプログラムは、複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置におけるコンピュータを機能させるプログラムであって、複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にする機能と、前記スリープ状態になる毎に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記他の通信装置へ送信する機能と、を前記コンピュータに実現することを特徴とする。
本発明によるプログラムは、複数のチャネルにより他の通信装置と接続された通信装置におけるコンピュータを機能させるプログラムであって、複数の通信手段により送信される送信データがない場合に前記複数の通信手段を低電力アイドル方式のスリープ状態にする機能と、前記スリープ状態にある期間中に前記複数の通信手段から一の通信手段を順次選択し、選択された一の通信手段により、チャネル接続状態を確認するための確認信号を前記他の通信装置へ送信する機能と、を前記コンピュータに実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スリープ中に確認信号を送る際の素子劣化の防止、伝送ノイズの低減および消費電力の削減を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の第1実施形態によるデータ伝送システムにおける通信装置の送信部および受信部を示すブロック図である。
図2図2は本発明の第1実施形態によるデータ伝送システムの構成図である。
図3図3は本発明の第1実施形態によるデータ伝送システムにおける送信部の動作を示すタイミング図である。
図4図4は本発明の第1実施形態によるデータ伝送システムにおける送信側および受信側の動作を示すタイミング図である。
図5図5は本発明の第1実施形態によるデータ伝送システムの動作を示すシーケンス図である。
図6図6は本発明の第1実施形態によるデータ伝送システムのSleep期間に送るRefresh信号送信チャネルの一例を示す図である。
図7図7は本発明の第2実施形態によるデータ伝送システムにおける送信部の動作を示すタイミング図である。
図8図8は本発明の第2実施形態によるデータ伝送システムの動作を示すシーケンス図である。
図9】本発明の第2実施形態によるデータ伝送システムのRefresh信号を送るRefresh信号送信チャネルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態によれば、複数のチャネルの各々に対応した送受信リンクで、送信データがない場合に送信出力を断とし、その送信出力断の期間中、定期的にリンク状態を確認するための確認信号(Heart beat信号あるいはRefresh信号ともいう。)を送信する際、確認信号を送るチャネルを、送信出力断になる毎に、あるいは送信出力断となっている期間中に、切り替える。確認信号送信チャネルの切替はチャネル順であってもよいし、ランダムであってもよい。また、送信出力を断とする前に、送信側から受信側に送信出力を断とすることを通知し、送信する信号が生じた際に、前記断となっている状態から通常状態に戻すための復帰信号を通知することができる。さらに、確認信号を送る周期を通知し、その周期に基づいて省電力動作へ移行することもできる。受信側は通知された周期に従って電源供給をオフにすることも可能である。
【0018】
本発明の実施形態による省電力化方法によれば、たとえば40GbE/100GbEをはじめとするマルチレーン伝送技術において、転送データがないときスリープ動作を導入することで省電力化が達成されることに加え、確認信号送信チャネルを切り替えることで、特定チャネルの素子劣化を回避でき、さらに確認信号を送る際の伝送ノイズや消費電力の削減を達成できる。以下、波長数N(Nは自然数。以下同様)による波長多重システムを例にとって、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
1.第1実施形態
1.1)システム構成
図1に示すように、本実施形態によるデータ伝送システムの通信装置は、送信部1、受信部2、ファイバ31、32から構成される。送信部1、受信部2はチャネル数Nの複数チャネル(以下、ch.と略記する。)から成っている。図1では一方の通信装置のみを記載しているが、ファイバ31、32を介して対抗する通信装置があり、送信部1は対向する受信部と、受信部2は対向する送信部とそれぞれ接続されている。
【0020】
送信部1は、制御部10、MAC(Medium Access Control)11、波長MUX(マルチプレクサ)15、PHY(物理層デバイス)16から構成され、PHY16は、PCS(Physical Coding Sublayer)12、PMA(Physical Medium Attachment)13−1〜13−N、およびPMD(Physical Medium Dependent) 14−1〜14−Nにより構成されている。受信部2は、制御部20、MAC21、波長DMUX(デマルチプレクサ)25、PHY26から構成され、PHY26は、PCS22、PMA23−1〜23−N、PMD24−1〜24−Nにより構成されている。なお、送信部1の制御部10は、後述するように、送信データの有無に応じてPHY16をチャネルごとにスリープ動作および送信出力断の制御を行うことができ、受信部2の制御部20は、対抗する通信装置からの送信出力断の通知や復帰通知などの情報を受信すると、それに従ってPHY26をチャネルごとに省電力制御することができる。なお、後述する制御部10および20の省電力化制御機能は、通信装置の動作を制御するコンピュータ(プログラム制御プロセッサやCPU等)上でプログラムを実行することにより実現させることもできる。
【0021】
図2に示すように、送信側通信装置Aと受信側通信装置Bとが光伝送路30を通して接続されているとすると、送信側通信装置Aの送信部は図1に示す送信部1に対応し、受信側通信装置Bの受信部は図1に示す受信部2に対応する。以下、図2に示す伝送システムを用いて、本実施形態の動作を詳細に説明する。
【0022】
1.2)動作
本実施形態の送信側および受信側の動作を図3図6を参照しながら説明する。ただし、図3において、波形100−1は送信部1の消費電力の変化を表し、波形111−1はチャネルch.1の動作タイミングを、波形112−1はチャネルch.2の動作タイミングをそれぞれ表している。ここでは、煩雑さを回避するために、2つのチャネルch.1およびch.2のみを図示しているが、N波長チャネル全てで同様の動作となる。また、図4において、波形100−2は受信部2の消費電力の変化を表し、波形111−2は送信側のチャネルch.1の動作タイミングを、波形112−2は受信側のチャネルch.1の動作タイミングをそれぞれ表している。ここでは、煩雑さを回避するために、チャネルch.1のみを図示しているが、N波長チャネル全てで同様の動作となる。
【0023】
まず、図3および図5を参照しながら、送信側通信装置Aの送信部1の動作を説明する。送信部1の制御部10は、MAC11の転送データ量を監視し、転送データがない場合にはスリープ(Sleep)状態になるようにMAC11およびPHY16を制御する。スリープ指示を受けると、MAC11はスリープ状態に入ることを対向局(受信側通信装置B)に通知するために、Sleep通知信号をファイバ31を介して対向局へ送信し、リンク状態を監視するための確認信号(Refresh信号)を送信するチャネルch.とその送信周期も対向局に送信する(図5の動作200)。対向局は、Sleep信号、Refresh ch.および周期情報を受け取ると、Ack信号を返す(動作201)。
【0024】
送信部1の制御部10は、図3に示すように、Sleep信号送出後に、PHY16の出力を一定時間(Tq)だけOFFにする(Quiet)。時間Tq経過後、制御部10はPHY16をONにし、選択されたch.のリンク状態を確認するためのRefresh信号を時間Trだけ対向局へ送信する(動作202)。対向局はRefresh信号を受信するとAckを返す(動作203)。
【0025】
送信部1から送信されるRefresh信号は複数ch.のうち必要最低限な数、本例では1つのch.のみから送信されるので、Refresh信号を送る際の消費電力を最小にすることができる。また、Refresh信号を送るch.は特定のch.に固定せず、スリープ動作毎に変わるように制御される。たとえば、図6(A)に示すように、1回目のSleep状態ではch.1、2回目ではch.2・・・というようにチャネル順に変化させることもできるし、図6(B)に示すように、ランダムに変化させてもよい。各Sleep動作に移行する際に、Refresh信号を送るch.とその周期を送信側から受信側へ通知するのでランダムに変化させることも可能となる。
【0026】
MAC11に転送データが入力されると、制御部10は、スリープ状態から通常状態に復帰するようにMAC11およびPHY16に指示をする。MAC11は、復帰指示を受けると、復帰することを対向局に通知するためにWake信号をファイバ31を通して対向局に送信する(動作204)。このとき、以下で説明するように受信部2が送信部1に同期して省電力状態となっている場合は、Wake信号もRefresh信号と同様に、Refresh信号を送出して時間Tq後に送信する必要がある。
【0027】
次に、図4および図5を参照しながら、受信側通信装置Bの受信部2の動作を説明する。受信側では、送信側から通知されたSleep信号によりSleep状態に入る。この際、特に省電力動作をとらない方法もあるが、消費電力を最小限とするために受信側も送信側に同期してオフ(OFF)にすることができる。以下ではこの方法について説明する。
【0028】
受信側通信装置Bの受信部2におけるMAC21は、送信側通信装置Aから通知されたSleep信号とRefresh信号の送信ch.および周期情報とを受け取ると(動作200)、それらを制御部20に通知する。制御部20は、これらの通知情報に基づいて、PHY26をオフ制御し、Ackを送信側通信装置Aへ返し(動作201)、PHY26をオフ制御する。PHY26は、図4に示すように、送信側のPHY16と受信側のPHY26の立ち上がり時間を考慮した時間Tqr(Tqr<Tq)だけオフになる。Tqrは、送信側のPHY16と受信側のPHY26の立ち上がり時間を考慮しているので、時間Tqr後にWakeとなったとき、送信側から送られるRefresh信号を十分に受信することができる(図4参照)。なお、Sleep通知と同じ周期で送られたWake信号を受信すると、Ackを対向局に返し通常動作に復帰する。
【0029】
1.3)効果
上述したように、本実施形態によれば、送信データがない場合の送信出力断の期間中に確認信号(Heart beat信号あるいはRefresh信号)を送信する際、確認信号を送るチャネルを送信出力断になる毎に切り替える。確認信号送信チャネルの切替はチャネル順であってもよいしランダムであってもよい。このような確認信号送信チャネルの切替により、図3および図4における消費電力波形100−1および100−2で示すように、確認信号を送る際の電力を最低限に抑制することができ、さらなる省電力が実現される。
【0030】
2.第2実施形態
上述した第1実施形態では確認信号を送るチャネルを送信出力断になる毎に切り替えることで、送信出力断の期間中は、確認信号を送信するチャネルが固定されている。これに対して、本発明の第2実施形態によれば、送信出力断となっている期間中に確認信号を送るチャネルを切り替えることで、同様の効果を得ることができる。以下、図2に示す伝送システムを用いて、本発明の第2実施形態による省電力化方法を説明する。
【0031】
図7において、波形100−3は送信部1の消費電力の変化を表し、波形111−3はチャネルch.1の動作タイミングを、波形112−3はチャネルch.2の動作タイミングをそれぞれ表している。ここでは、煩雑さを回避するために、2つのチャネルch.1およびch.2のみを図示しているが、N波長チャネル全てで同様の動作となる。
【0032】
本実施形態では、各チャネルch.において、Sleep信号を送出してからWake信号を送出するまでのそれぞれのSleep動作中にRefresh信号を送信するch.を切り替える。図7に示す例では、スリープ期間中(Sleep1)に、Sleep信号を送信してからTq経過後にch.1だけでRefresh信号を送信し、さらにTq経過後にはch.2だけでRefresh信号を送信し・・・というように各スリープ期間で所定の周期によりRefresh信号送信チャネルを切り替える。
【0033】
図7および図8を参照しながら、送信側通信装置Aの送信部1の動作を説明する。送信部1の制御部10の制御に従って、MAC11はスリープ状態に入ることを対向局(受信側通信装置B)に通知するSleep通知信号を対向局へ送信し、リンク状態を監視するための確認信号(Refresh信号)を送信するチャネルch.、その周期および順番も対向局に送信する(図8の動作300)。対向局は、Sleep信号、Refresh ch.および順番情報を受け取ると、Ack信号を返す(動作301)。
【0034】
送信部1の制御部10は、図7に示すように、Sleep信号送出後に、PHY16の出力を一定時間(Tq)だけOFFにする(Quiet)。時間Tq経過後、制御部10はPHY16のch.1のみをONにし、ch.1のリンク状態を確認するためのRefresh信号を時間Trだけ対向局へ送信する(動作302)。これに応答して対向局はRefresh信号を受信するとAckを返す(動作303)。さらに時間Tq経過後、制御部10はPHY16のch.2のみをONにし、ch.2のリンク状態を確認するためのRefresh信号を時間Trだけ対向局へ送信する(動作304)。なお、送信部1から送信されるRefresh信号は複数ch.のうち必要最低限な数であればよく、本例では1つのch.のみから送信されるので、Refresh信号を送る際の消費電力を最小にすることができる。
【0035】
このように、Refresh信号を送るch.は特定のch.に固定せず、スリープ動作中に所定周期で変わるように制御される。たとえば、図9(A)に示すように、スリープ期間中で所定期間経過ごとに、ch.1、ch.2・・・というようにチャネル順に変化させることもできるし、図9(B)に示すように、ランダムに変化させてもよい。Sleep通知の際に確認信号(Refresh信号)を送信するチャネルch.、その周期および順番も通知するのでランダムに変化させることも可能となる。
【0036】
MAC11に転送データが入力されると、制御部10は、スリープ状態から通常状態に復帰するようにMAC11およびPHY16に指示をする。MAC11は、復帰指示を受けると、復帰することを対向局に通知するためにWake信号をファイバ31を通して対向局に送信する(動作305)。このとき、図4で説明したように、受信部2が送信部1に同期して省電力状態となっている場合は、Wake信号もRefresh信号と同様に、Refresh信号を送出して時間Tq後に送信する必要がある。
【0037】
送信部1と同期した受信部2の省電力動作については第1実施形態と同様に実現することができるので、説明は省略する。
【0038】
上述したように、本実施形態によれば、送信データがない場合の送信出力断の期間中に確認信号(Heart beat信号あるいはRefresh信号)を送信する際、確認信号を送るチャネルを送信出力断の期間中に所定周期で切り替える。確認信号送信チャネルの切替はチャネル順であってもよいしランダムであってもよい。このような確認信号送信チャネルの切替により、図7における消費電力波形100−3で示すように、確認信号を送る際の電力を最低限に抑制することができ、さらなる省電力が実現される。また、本実施形態では波長多重の場合について説明したが、チャネル数と同じ本数のファイバを用いて伝送するシステムについても同様に実現することができる。
【0039】
3.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
(付記1)
複数のチャネルの各々に対応した送受信リンクにより他の通信装置と接続された通信装置であって、
前記複数のチャネルにそれぞれ対応した通信手段と、
送信データがない場合に前記通信手段の送信出力を断にし、その送信出力断の期間中にリンク状態を確認するための確認信号を送信するチャネルを前記複数のチャネルのなかで順次切り替える制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
(付記2)
付記1に記載の通信装置であって、前記制御手段は前記通信手段の送信出力を断にする毎に前記確認信号を送信するチャネルを順次切り替えることを特徴とする通信装置。
(付記3)
付記1に記載の通信装置であって、前記制御手段は前記通信手段の送信出力断の期間中に、前記確認信号を送信するチャネルを順次切り替えることを特徴とする通信装置。
(付記4)
付記1−3のいずれか1項に記載の通信装置であって、前記確認信号を送信するチャネルをチャネル順に切り替えることを特徴とする通信装置。
(付記5)
付記1−3のいずれか1項に記載の通信装置であって、前記確認信号を送信するチャネルをランダムに切り替えることを特徴とする通信装置。
(付記6)
付記1−5のいずれか1項に記載の通信装置であって、前記送信出力断とする前に、前記他の通信装置に対して送信出力断を通知し、送信データが発生したときに前記他の通信装置に対して復帰信号を通知する、ことを特徴とする通信装置。
(付記7)
付記1−6のいずれか1項に記載の通信装置であって、前記送信出力断とする前に、前記他の通信装置に対して、送信出力断の情報と前記確認信号を送信するチャネルおよび周期情報とを通知することを特徴とする通信装置。
(付記8)
付記1−6のいずれか1項に記載の通信装置であって、
前記通信手段が前記他の通信装置から送信出力断情報と前記リンク状態を確認するための確認信号を送信する周期情報とを受信すると、前記制御手段は前記周期情報に基づいて前記通信手段を省電力動作に移行させる、ことを特徴とする通信装置。
(付記9)
付記8記載の通信装置であって、前記制御手段は、前記省電力動作を前記他の通信装置から送信される確認信号に同期して周期的にオフにすることを特徴とする通信装置。
(付記10)
複数のチャネルの各々に対応した送受信リンクにより接続された第1通信装置と第2通信装置とを含むデータ伝送システムにおける省電力化方法であって、
前記第1通信装置が、送信データがない場合に送信出力を断にし、その送信出力断の期間中にリンク状態を確認するための確認信号を送信するチャネルを前記複数のチャネルのなかで順次切り替える、ことを特徴とする省電力化方法。
(付記11)
付記10に記載の省電力化方法であって、前記第1通信装置が前記送信出力を断にする毎に前記確認信号を送信するチャネルを順次切り替えることを特徴とする省電力化方法。
(付記12)
付記10に記載の省電力化方法であって、前記第1通信装置が前記送信手段の送信出力断の期間中に、前記確認信号を送信するチャネルを順次切り替えることを特徴とする省電力化方法。
(付記13)
付記10−12のいずれか1項に記載の省電力化方法であって、前記確認信号を送信するチャネルをチャネル順に切り替えることを特徴とする省電力化方法。
(付記14)
付記10−12のいずれか1項に記載の省電力化方法であって、前記確認信号を送信するチャネルをランダムに切り替えることを特徴とする省電力化方法。
(付記15)
付記10−14のいずれか1項に記載の省電力化方法であって、前記第1通信装置が、前記送信出力断とする前に、前記第2通信装置に対して送信出力断を通知し、送信データが発生したときに前記第2通信装置に対して復帰信号を通知する、ことを特徴とする省電力化方法。
(付記16)
付記10−15のいずれか1項に記載の省電力化方法であって、前記第1通信装置が、前記送信出力断とする前に、前記第2通信装置に対して、送信出力断の情報と前記確認信号を送信するチャネルおよび周期の情報とを通知することを特徴とする省電力化方法。
(付記17)
付記10−16のいずれか1項に記載の省電力化方法であって、
前記第1通信装置が前記第2通信装置から送信出力断情報と前記リンク状態を確認するための確認信号を送信する周期情報とを受信すると、前記第1通信装置は前記周期情報に基づいて省電力動作に移行することを特徴とする省電力化方法。
(付記18)
付記17記載の省電力化方法であって、前記第1通信装置は前記省電力動作を前記第2通信装置から送信される確認信号に同期して周期的にオフにすることを特徴とする省電力化方法。
(付記19)
複数のチャネルの各々に対応した送受信リンクにより接続された第1通信装置と第2通信装置とを含むデータ伝送システムであって、
前記第1通信装置が、送信データがない場合に送信出力を断にし、その送信出力断の期間中にリンク状態を確認するための確認信号を送信するチャネルを前記複数のチャネルのなかで順次切り替える、ことを特徴とするデータ伝送システム。
(付記20)
付記19に記載のデータ伝送システムであって、前記第1通信装置が前記送信出力を断にする毎に前記確認信号を送信するチャネルを順次切り替えることを特徴とするデータ伝送システム。
(付記21)
付記19に記載のデータ伝送システムであって、前記第1通信装置が前記送信手段の送信出力断の期間中に、前記確認信号を送信するチャネルを順次切り替えることを特徴とするデータ伝送システム。
(付記22)
付記19−21のいずれか1項に記載のデータ伝送システムであって、前記確認信号を送信するチャネルをチャネル順に切り替えることを特徴とするデータ伝送システム。
(付記23)
付記19−21のいずれか1項に記載のデータ伝送システムであって、前記確認信号を送信するチャネルをランダムに切り替えることを特徴とするデータ伝送システム。
(付記24)
付記19−23のいずれか1項に記載のデータ伝送システムであって、前記第1通信装置が、前記送信出力断とする前に、前記第2通信装置に対して送信出力断を通知し、送信データが発生したときに前記第2通信装置に対して復帰信号を通知する、ことを特徴とするデータ伝送システム。
(付記25)
付記19−24のいずれか1項に記載のデータ伝送システムであって、前記第1通信装置が、前記送信出力断とする前に、前記第2通信装置に対して、送信出力断の情報と前記確認信号を送信するチャネルおよび周期の情報とを通知することを特徴とするデータ伝送システム。
(付記26)
付記19−25のいずれか1項に記載のデータ伝送システムであって、
前記第1通信装置が前記第2通信装置から送信出力断情報と前記リンク状態を確認するための確認信号を送信する周期情報とを受信すると、前記第1通信装置は前記周期情報に基づいて省電力動作に移行することを特徴とするデータ伝送システム。
(付記27)
付記26記載のデータ伝送システムであって、前記第1通信装置は前記省電力動作を前記第2通信装置から送信される確認信号に同期して周期的にオフにすることを特徴とするデータ伝送システム。
(付記28)
複数のチャネルの各々に対応した送受信リンクにより他の通信装置と接続された通信装置におけるコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記複数のチャネルにそれぞれ対応した通信機能と、
送信データがない場合に前記通信手段の送信出力を断にし、その送信出力断の期間中にリンク状態を確認するための確認信号を送信するチャネルを前記複数のチャネルのなかで順次切り替える機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は40GbE/100GbEをはじめとするマルチレーン伝送技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 送信部
2 受信部
10、20 制御部
11,21 MAC
12,22 PCS
13−1〜13−N、23−1〜23−N PMA
14−1〜14−N 24−1〜24−N PMD
15 波長MUX
25 波長DMUX
30、31,32 ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9