(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抵抗発熱体は、NTC特性を有しており、前記基板の長手方向に隣接する前記抵抗発熱体の前記第1の導体および第2の導体が接続されて、電気的に直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
前記抵抗発熱体は、前記基板の短手方向において、並設される前記抵抗発熱体の少なくとも一部がオーバーラップするように斜設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載のヒータ。
前記抵抗発熱体の列は、前記基板の短手方向に複数設けられ、前記基板の長手方向と平行となる方向において、前記抵抗発熱体の凹状の開口と底部とが対向して前記基板上に分割して並設されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して各実施形態を説明する。
【0012】
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の寸法や比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、各図面において同じ構成および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0013】
以下、第1の実施形態を、
図1を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係るヒータ1Aは、基板2と、導体30と、抵抗発熱体40と、を具備する。抵抗発熱体40は、一方側に開口を挟んで形成される一対の主体部および開口と対向するとともに一対の主体部を他端側で接続する底部を備えて全体として凹状に形成されている。抵抗発熱体40は、NTC特性を有しており、基板の長手方向に互いに離間するように複数並設されている。
【0015】
導体30は、抵抗発熱体の凹状の外周部に接触する第1の導体および抵抗発熱体の凹状の内周部に接触する第2の導体から形成されている。
【0016】
抵抗発熱体40は、基板2の長手方向に隣接する前記抵抗発熱体40の第1の導体および第2の導体が接続されて、電気的に直列接続されていることを特徴とする。
【0017】
図1に例示するように抵抗発熱体40は、基板2上で分割して形成されることにより、個々の抵抗発熱体40の基板2の長手方向での長さを抑制することが可能となる。また、非通紙部に配設される抵抗発熱体40のNTC特性を生かすことができるため、多種類のサイズの記録媒体を効率的に加熱することが可能となる。
【0018】
また、分割した抵抗発熱体40と導体30との接触長さが小さい場合、抵抗発熱体40が高抵抗化し、電流が流れにくくなる。その場合、適正な電流値を得ることができず、所望の発熱量を確保することが困難になる。抵抗発熱体40の抵抗値を適正値にするためには、抵抗発熱体40と導体30の接触長さを大きく形成する必要がある。
【0019】
本実施形態の抵抗発熱体40は、
図1に例示するように、第1の導体31と、第2の導体32に接続されることで、抵抗発熱体40と導体30との接触長さが従来よりも約2倍程度大きく形成されている。
【0020】
第1の導体31は、抵抗発熱体40a1の凹状の外周部に接触するように形成されている。また第2の導体32は、第1の導体31から延設して、基板2の長手方向に離間して配設される抵抗発熱体40a2の凹状の内側に入り込んで接触するように形成される。
【0021】
抵抗発熱体40と導体30が上述のように構成されることにより、各抵抗発熱体40の基板2の長手方向における長さを短くできると同時に、抵抗発熱体40と導体30との接触長さを大きく形成することができる。
【0022】
抵抗発熱体40は、凹状の外周部と凹状の内側の両方が導体30と接触することによって、電流が流れる経路(以下、電流経路と称す)が増大する。
【0023】
抵抗発熱体40内の電流経路は、第1の導体31と第2の導体32とを結ぶ経路となる。この構成によれば、抵抗発熱体40内に存在する各電流経路の距離が、短く形成される。
【0024】
抵抗発熱体40は、距離の短い電流経路が数多く存在することによって、抵抗値が下がり、電流が流れやすくなる。そのため適正な電流値を得ることができ、ヒータ1Aは必要とする発熱量を実現することが可能となる。
【0025】
ここで第2の導体32の形状の変形例として、抵抗発熱体40の凹状の内側に入り込んで接触する直線部を複数に形成する場合、あるいは、抵抗発熱体40の凹状の内周部に接触する先端を、直線状ではなく、曲線状などに形成する場合を考える。このように変形することにより、抵抗発熱体40と第2の導体32との接触長さは、第1の実施形態よりも大きく形成される。
【0026】
第1の導体31から延設される第2の導体32は、基板2の長手方向に分割して並設される抵抗発熱体40の凹状の内側に接触するように形成される。したがって、各抵抗発熱体40は、導体30によって電気的に直列に接続されている。このため、各抵抗発熱体40で電流値に差が生じることがなくなり、ヒータ1Aにおいて発熱分布が不均一になる現象を抑制することができる。
【0027】
基板2上に設けられる凹状の抵抗発熱体40は、一方側に開口を挟んで形成される一対の主体部および前記開口と対向するとともに前記一対の主体部を他端側で接続する底部を備えて全体として凹状に形成されればよい。このように形成されるものであれば、例えば全体が主として直線を用いて形成される凹状の他、一部が傾斜している形状や、全体が主として曲線を用いて形成されるU状であってもよい。また、曲線と直線とを組み合わせて形成される形状であってもよい。要するに、本発明および実施形態における作用を有する形態であれば、いずれの形態であってもよい。
【0028】
基板2の長手方向に分割して並設される抵抗発熱体40の数や、基板2の短手方向に複数設けられる抵抗発熱体40の列数は、本実施形態に限定されない。ヒータの種類や大きさ、用途に応じて適宜変更することができる。
【0029】
基板2は、耐熱性および絶縁性を有し、本実施形態では矩形状に形成されている。基板2は、例えば厚みが0.5mmから1.0mm程度の平板であり、アルミナ等のセラミック、ガラスセラミックまたは耐熱複合材料などから構成される。基板2の形状は、短手方向および短手方向と交差する長手方向を有していれば、本実施形態に限定されるものではない。
【0030】
次に、第2の実施形態について、
図2ないし
図3を参照して説明する。
図2に例示する抵抗発熱体40は、全体としてU状に形成されている。
【0031】
抵抗発熱体40は、底部が全体に半円状に湾曲するように形成されていて、全体としてU状に形成されている。抵抗発熱体40のU状の内周部に接触する第2の導体32の先端部も、U状に形成されている。
【0032】
第1の実施形態と第2の実施形態について、
図3を参照して比較する。ここで、抵抗発熱体40と、導体31と、導体32による構成を発熱体ブロック40と称する。
【0033】
図3(a)は、第1の実施形態の発熱体ブロック40A3を示し、抵抗発熱体40a3は、全体として凹状に形成されている。また、抵抗発熱体40a3の凹状の外周部に接触する第1の導体31a3の底部も、凹状に形成されている。抵抗発熱体40a3の凹状の内周部に接触する第2の導体32a2の先端は角状に形成されている。
【0034】
図3(b)は第2の実施形態の、発熱体ブロック40A3’を示し、抵抗発熱体40a3’は、全体としてU状に形成されている。また、抵抗発熱体40a3’のU状の外周部に接触する第1の導体31a3’の底部も、半円状に形成されている。並設される発熱体ブロック40A2’の第1の導体31a2’から延設される第2の導体32a2’は、抵抗発熱体40a3’のU状の内側に接触するように形成され、その先端は半円状に形成されている。
【0035】
抵抗発熱体40a3の凹状の底部に流れる電流経路のうち、第2の導体32a2の先端と、抵抗発熱体40a3を結ぶ最短の電流経路Aを最短電流経路A10、A20、A30とする。同様に、抵抗発熱体40a3’のU状の底部に流れる最短の電流経路Aを最短電流経路A10’、A20’、A30’とする。
【0036】
抵抗発熱体40a3では、最短電流経路A10とA30はほぼ同じ長さであるが、最短電流径路A20は、他の最短電流経路A10およびA30と比較して長くなっている。
【0037】
そのため、最短電流経路A20では他の最短電流経路A10、A30よりも電流が流れにくくなり、発熱量が少なくなる。凹状の抵抗発熱体40a3では、最短電流経路Aの長さが一様ではないことにより、発熱分布が不均一となる。
【0038】
抵抗発熱体40a3’の、開口と対向する底部はU状に形成され、抵抗発熱体40a3’の内側に接する導体32a2’の先端部も、U状に形成されている。そのため、最短電流経路A10’、A20’、A30’の長さはほとんど差がない。抵抗発熱体40a3’においては、最短電流経路Aの長さが場所によってほとんど変わらないことにより、発熱分布のムラを抑制することができる。
【0039】
このように、U状の発熱体ブロック40は、凹状の発熱体ブロック40と比較して、分割される各発熱体ブロック40が均一に発熱するため、ヒータ1Bの発熱分布のムラを抑制することが可能である。
【0040】
次に、発熱体ブロック40の形状と、発熱体ブロック40を並設する間隔について、
図3を参照して説明する。
【0041】
基板の長手方向と平行になるように並設される、各発熱体ブロック40Aの通紙方向視における隙間をGと称する。凹状の発熱体ブロック40A2と発熱体ブロック40A3の隙間をG1とし、並設されるU状の発熱体ブロック40A2’と発熱体ブロック40A3’の隙間をG2とする。
【0042】
隙間Gには、導体30のみが配設され、抵抗発熱体40が配設されないため発熱しない。そのため空隙部Wの面積が広いほどヒータ1Bの発熱分布が不均一となり、トナーの定着性が悪化する。しかし、導体30の材料である導電体ペーストが、並設される発熱体ブロック40の導体30と短絡しないように、必要な間隔を確保して基板2上に印刷する必要がある。
【0043】
例えば、発熱体ブロック40A3の導体31a3は、材料となる導電体ペーストを基板2上に印刷する際、並設される発熱体ブロック40A2の第1の導体31a2の凹状の底部と短絡しないように、必要な間隔を保持して印刷される。
【0044】
発熱体ブロック40A2の第1の導体31a2の凹状の底部と、それに対向して面する発熱体ブロック40A3の第1の導体31a3は、方向視において一定間隔で狭いため、形成時に接触しやすい。
【0045】
これに対し、発熱体ブロック40A2’の第1の導体31a2’の底部はU状であり、並設される発熱体ブロック40A3’の、対向して面する第1の導体31a3’から遠ざかるように、抵抗発熱体40a2’のU状の開口に向かって形成される。
【0046】
そのため第1の導体31a3’の印刷時に導電体ペーストが滲んでも、第1の導体31a2’と第1の導体31a3’は形成時に接触しにくくなる。
【0047】
したがって、U状の発熱体ブロック40A2’と発熱体ブロック40A3’の隙間G2は、凹状の発熱体ブロック40A2と発熱体ブロック40A3の隙間G1よりも、狭く形成することができる。
【0048】
抵抗発熱体40と導体30をU状に形成することにより、並設される抵抗発熱体40の隙間Gを小さく形成することができ、ヒータ1Bの発熱分布をより均一にすることが可能となる。
【0049】
抵抗発熱体40と導体30をU状に形成することで、抵抗発熱体40内での最短電流経路が均一になり、並設される抵抗発熱体40の隙間Gを狭く形成することが可能となる。ヒータ1Bの発熱分布を均一にするためには、抵抗発熱体40と導体30をU状に形成することが効果的である。
【0050】
次に、第3の実施形態について、
図4ないし
図5を参照して説明する。
【0051】
図1の例示では、基板2上に形成される抵抗発熱体40aの列と、抵抗発熱体40bの列は、基板2の長手方向の一方の端部に形成された給電用電極50aの方向に、各抵抗発熱体40のすべての開口を向けて配設されている。
【0052】
ここで、各抵抗発熱体40の通紙方向視における隙間を空隙部Wと称する。
【0053】
この場合基板2上に配設される各抵抗発熱体40の間には、通紙方向視において、空隙部Wが存在する。空隙部Wには抵抗発熱体40が配設されていないため、発熱しない。そのために、ヒータ1Aの発熱分布が均一にならず、部分的なトナーの定着不良を起こす要因となる。
【0054】
図4では、基板2の短手方向で離間して配設される、抵抗発熱体40aの列および、抵抗発熱体40bの列の各抵抗発熱体40の開口は、基板2の長手方向において、それぞれ逆向きに配設されている。
【0055】
ここで、抵抗発熱体40と、導体31と、導体32で構成されるものを発熱体ブロック40と称する。
【0056】
図4に例示するように、発熱体ブロック40A1の点線で囲まれたC1部と、発熱体ブロック40B1の点線で囲まれたC2部は、通紙方向視において重なって形成されている。
【0057】
C1部は、導体30とともに抵抗発熱体40a1が配設されているため発熱するが、C2部には導体30しか配設されないため発熱しない。
【0058】
図5は、
図4のA−A’方向視における概略断面図である。
【0059】
発熱体ブロック40B1のC2部と、発熱体ブロック40A1のC1部は、ヒータ1Cの通紙方向視において、重なって形成されている。
【0060】
記録媒体は最初に通過するC2部によっては加熱されないが、次に通過するC1部によって加熱される。
【0061】
C1部とC2部が通紙方向視において重なって形成されることにより、ヒータ1Cは通紙方向視において、C2部による非発熱領域を、C1部による発熱領域で補うことができる。
【0062】
同様に、発熱体ブロック40B3のC2’部による発熱領域と、発熱体ブロック40A3のC1’部による非発熱領域は、ヒータ1Cの通紙方向視において、重なって形成されているため、C1’部による非発熱領域をC2’部による発熱領域で補うことができる。
【0063】
ヒータ1Cでは通紙方向視において、記録媒体の加熱を必要とする範囲が、ヒータ1Cの発熱する領域を必ず通過する。そのためヒータ1Cは、通過する記録媒体の部分的なトナーの定着不良を抑制することができる。
【0064】
次に、第4の実施形態について、
図6を参照して説明する。
【0065】
第4の実施形態では、基板2の長手方向に並設される凹状の抵抗発熱体40の開口が、基板2の短手方向に向けて形成されている。抵抗発熱体40の開口は、並設される抵抗発熱体40の開口と通紙方向視において逆向きに配設されている。
【0066】
抵抗発熱体40は、導体30によって基板2の長手方向において電気的に直列に接続され、通紙方向視で互いに隣接する主体部の少なくとも一部がオーバーラップするように斜めに配設されている。
【0067】
第3の実施形態では、基板2の短手方向に離間して設けられる抵抗発熱体40aの列と、抵抗発熱体40bの列が、基板2の通紙方向視において、発熱領域が非発熱領域を補うことによって、記録媒体がヒータ1Cの発熱する箇所を必ず通過することが可能となる。
【0068】
しかし、ヒータ1Cの通紙方向視において、発熱領域が非発熱領域を補うC部と、2つの列の抵抗発熱体40が重なって配設される部分では、通過する記録媒体に伝わる熱量が異なる。したがってヒータ1Cでは、通過する箇所によって、記録媒体が受け取る熱量に差が生じ、トナーの定着が不均一となるおそれがある。
【0069】
第4の実施形態では、並設する抵抗発熱体40が基板2上で斜設されることにより、ヒータ1Dの通紙方向視において、発熱する領域がオーバーラップしている。これにより、通紙方向視で空隙部Wが形成されないとともに、ヒータ1Dを通過する箇所によって、記録媒体が受け取る熱量に差が生じる現象を抑制することが可能となる。
【0070】
第5の実施形態では、抵抗発熱体40が配設される領域での発熱分布のムラを抑制することができ、ヒータ1Dにおける発熱分布を均一にすることができる。
【0071】
ヒータ1Dの発熱分布を均一にするためには、抵抗発熱体40の開口を基板2の短手方向に向けて配設し、オーバーラップするように斜設することが望ましい。
【0072】
次に、第5の実施形態について、
図7を参照して説明する。
【0073】
第5の実施形態では、基板2の長手方向に並設されるU状の抵抗発熱体40の開口が、基板2の短手方向に向けて形成されている。抵抗発熱体40の開口は、並設される抵抗発熱体40の開口と通紙方向視において逆向きに配設されている。
【0074】
抵抗発熱体40は、導体30によって基板2の長手方向において電気的に直列に接続され、通紙方向視でオーバーラップするように斜めに配設されている。
【0075】
第5の実施形態においては、抵抗発熱体40は凹状に形成されるが、第5の実施形態においてはU状に形成される。
【0076】
図3で述べたように、抵抗発熱体40が凹状に形成される場合、抵抗発熱体40の最短電流経路Aの長さは一様でないため、発熱分布が不均一となる。しかし、抵抗発熱体40がU状に形成される場合、抵抗発熱体40の最短電流経路Aの長さは一様となり、発熱分布が均一になりやすい。
【0077】
第5の実施形態では、並設されるU状の抵抗発熱体40が基板2上でオーバーラップするように斜設されることにより、ヒータ1Dの発熱分布のムラを抑制することが可能となる。
【0078】
本実施形態では、抵抗発熱体40の列を1列で例示したが、基板2の短手方向において、複数列に形成されていてもよい。また、抵抗発熱体40の分割される数量や列数は本実施形態に限定されず、ヒータの種類や大きさ、用途に応じて適宜変更することができる。
【0079】
本発明における抵抗発熱体40は、8族、9族のルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)などの酸化物のうち、少なくとも1種類、あるいはそれ以上の種類を含有し、ホウケイ酸などのガラスに、チタン(Ti)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)などの酸化物を添加した混合物と、銀(Ag)とを含有する。
【0080】
抵抗発熱体40は、チタン酸化物を添加することにより、ヒータ1の抵抗温度係数TCR(Temperature Coefficient Resistance)を−400ppm/℃ないし−1000ppm/℃の範囲まで低くすることができるため、NTC特性をより得やすくなる。抵抗温度係数が、−800ppm/℃を超過すると、非通紙部の温度上昇を抑制する効果が低くなる。ヒータ1において、通紙部と非通紙部の温度差が大きくなりすぎることを抑制するためには、ヒータ1の抵抗温度係数を、−950ppm/℃程度まで下げることが望ましい。
【0081】
導体30は、抵抗発熱体40に電力を供給するものであり、基板2上に形成されている。導体30は、抵抗値の低い銀系の導電体材料を使用することで、電流を流れやすくし、抵抗発熱体40のNTC特性をより高めることが可能となる。
【0082】
オーバーコート層6は、基板2上に形成された導体30および抵抗発熱体40を覆っており、本実施形態では帯状に形成されている。オーバーコート層6は、例えば、アルミナ等の熱伝導性に優れた無機酸化物フィラーを、3〜25質量%加えたガラス層である。
【0083】
オーバーコート層6は、導体30及び抵抗発熱体40を覆っていることで、導体30および抵抗発熱体40が直接大気に露出することを防止し、外部からの干渉(例えば、機械的、化学的、電気的な干渉)によって導体30および抵抗発熱体40が損傷・破損することを抑制するものである。
【0084】
次に、ヒータ1を備えた画像形成装置100の一実施形態について説明する。
図8はヒータ1の使用例である画像形成装置100を示す説明図である。画像形成装置100は、ヒータ1と、定着フィルム200と、加圧ローラ300とで構成されている。なお、画像形成装置100は、実際は画像形成装置に内蔵されているが、画像形成装置は省略する。
【0085】
定着フィルム200は、ポリイミド樹脂等の耐熱性シートからなるロール状のフィルムである。この定着フィルム200の底部に、ヒータ1が配置されている。
【0086】
加圧ローラ300は、回転軸によって回転可能に構成されたローラである。そのローラの表面には、耐熱性の弾性材料として、シリコーンゴム層が形成されている。シリコーンゴム層は、定着フィルム200を介して、ヒータ1と弾接している。
【0087】
ヒータ1が通電され、抵抗発熱体40で熱が発生し、その熱は基板を介し、定着フィルム200および加圧ローラ300を加熱する。そこに、定着フィルム200および加圧ローラ300の回転によってトナー像500が付着した用紙400が送られると、トナー像500は加熱され、軟化溶融する。この後、加圧ローラ300の用紙排出側では用紙400がヒータ1から離れ、トナー像500’は自然放熱して冷却固化し、画像形成装置から離れる。
【0088】
本実施形態によれば、発熱分布の均一性に優れたヒータ1を用いることにより、定着性に優れた画像形成装置100を実現することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、ヒータ1を画像形成装置100のトナー定着用に使用する例を説明した。しかし、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、家庭用の電気製品、業務用や実験用の精密機器や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源として使用することができる。
【0090】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。