(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0015】
<発明の実施の形態1>
図1は、本実施の形態1にかかる警告装置10を搭載した移動体1の全体構成を示すブロック図である。移動体1は、警告装置10、表示装置21及びスピーカ22等を搭載し、運転者の操作により走行を行う。移動体1は、例えば、自動車等の車両である。警告装置10は、移動体1の走行中に撮影された画像を解析することで、移動体1と衝突等のおそれのある周辺の対象物を検出し、表示装置21又はスピーカ22等を通じて運転者に警告を行う装置である。なお、表示装置は、例えば、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイである。
【0016】
警告装置10は、画像取得手段11と、検出手段12と、判定手段13と、警告手段14とを備える。画像取得手段11は、移動体1の走行中に、移動体1の周辺領域を異なる複数のフィルタ特性により連続して並列に撮影する。そして、画像取得手段11は、撮影した複数の画像を、フィルタ特性ごとに時系列に沿った複数の画像群として取得する。言い換えると、画像取得手段11は、連続して撮影される複数の画像から構成される画像群を取得する。そして、画像取得手段11は、複数のフィルタ特性それぞれに基づく複数の画像群を取得する。画像取得手段11は、撮影装置111及び112を有する。撮影装置111及び112は、複数のフィルタ特性のそれぞれに対応する。そして、撮影装置111及び112のそれぞれは、対応するフィルタ特性により撮影を行なう。尚、画像取得手段11が備える撮影装置は2つに限定されない。例えば、画像取得手段11は、3つ以上のフィルタ特性のそれぞれに対応する3つ以上の撮影装置を有していても良い。また、撮影装置は、例えば、カメラである。
【0017】
検出手段12は、複数の画像群内の画像のそれぞれに対して、所定の対象物の検出を行う。ここで、対象物の検出とは、画像認識により対象物の外観の検出を試みる処理である。そして、検出手段12は、画像ごとに検出結果を生成する。
【0018】
例えば、車両の走行方向のカメラによる撮影画像には、道路の形状と共に道路の横断者が映されている場合がある。このような場合には、横断者の外観の領域が検出され得る。検出手段12は、このときの検出結果を指標値として生成する。また、検出手段12は、特許文献2に示すように、対象物の外観に関するパラメータを検出し、比較用パラメータと検出したパラメータとの一致する度合いを検出結果として生成してもよい。尚、各画像から対象物を検出する際に検出結果を生成する処理はこれに限定されない。また、対象物は、人間に限定されず、動物や他の車両等の移動体1の走行の妨げとなり得る移動体を含む。または、対象物は、移動体である必要はなく、路上で立ち止まっている人物等か、停車している車両か、通行止めを示す看板、路上に放置された障害物等であってもよい。なお、外観に関するパラメータとしては、例えば、輝度、彩度、エッジまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
判定手段13は、複数の画像群における対象物の検出結果を時系列に沿って比較して、対象物の移動の度合いを判定する。ここで、「検出結果を時系列に沿って比較」するとは、例えば、撮影時刻が隣接する画像同士の検出結果を比較することを示す。このとき、画像群ごとに比較を行っても良く、異なる画像群に属する画像同士の検出結果を比較してもよい。または、同じ撮影時刻における異なる画像群に属する画像同士の検出結果を比較してもよい。さらに、ある撮影時刻における異なる画像群に属する画像同士の検出結果の平均値を算出し、隣接する撮影時刻における平均値を比較してもよい。
【0020】
また、「移動の度合い」とは、例えば、対象物が移動体1に近付いているか、遠ざかっているかの度合い、つまり、対象物の移動体1への接近度合い又は接近速度や、対象物の移動速度や移動方向等を含む。また、「対象物の移動の度合いを判定」するとは、例えば、接近速度等が基準値と比べて速いか否か等を判定することを含む。または、対象物が道路を横切って移動している場合には、移動方向や移動速度と、移動体1の走行方向と走行速度とから対象物と移動体1との衝突確率を算出し、衝突確率が基準値を超えているか否か等を判定してもよい。
【0021】
警告手段14は、判定された移動の度合いに応じて警告を行う。例えば、移動の度合いにより対象物が移動体1に近付いている場合には、警告を行う。特に、接近度合いが基準値を超えている場合には、警告度合いを大きくする。また、上述したように衝突確率が基準値を超えている場合にも、警告度合いを大きくする。
【0022】
図2は、本実施の形態1にかかる警告装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。警告装置10は、プロセッサ110、IF(InterFace)部120、撮影装置131及び132、並びに、記憶部140を備える。
【0023】
プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置である。IF部120は、警告装置10の外部との入出力を行うインタフェースである。特に、IF部120は、プロセッサ110の制御により、警告を示す情報を表示装置21又はスピーカ22へ出力する。
【0024】
撮影装置131及び132は、上述した撮影装置111及び112に対応する。撮影装置131は、第1のフィルタ1311及び第1の撮像素子1312を有する。第1のフィルタ1311は、第1の撮像素子1312に入射する光の波長を選択する処理を行う。つまり、第1のフィルタ1311は、撮影装置131の撮影時に適用されるフィルタである。第1のフィルタ1311は、例えば、近赤外領域を遮断して、可視光領域を通過させるフィルタ特性を有するものである。第1のフィルタ1311は、少なくとも昼間等、移動体1の周辺領域が明るい場合に適したフィルタであるものとする。第1の撮像素子1312は、第1のフィルタ1311を通過した光の強度を電気信号に変換する素子である。
【0025】
撮影装置132は、第2のフィルタ1321及び第2の撮像素子1322を有する。第2のフィルタ1321は、第2の撮像素子1322に入射する光の波長を選択する処理を行う。つまり、第2のフィルタ1321は、撮影装置132の撮影時に適用されるフィルタである。第2のフィルタ1321は、例えば、近赤外領域を遮断して、可視光領域を通過させるフィルタ特性を有するものである。第2のフィルタ1321は、少なくとも夜間等、移動体1の周辺領域が暗い場合に適したフィルタであるものとする。第2の撮像素子1322は、第2のフィルタ1321を通過した光の強度を電気信号に変換する素子である。
【0026】
記憶部140は、メモリ等の記憶装置である。記憶部140は、警告プログラム141、第1の画像群1421及び第2の画像群1422、検出結果143及び接近速度144を記憶する。警告プログラム141は、本実施の形態にかかる警告装置10の処理すなわち警告方法が実装されたコンピュータプログラムである。
【0027】
第1の画像群1421は、移動体1の走行中に、移動体1の周辺領域が第1のフィルタ特性により連続して撮影された複数の撮影画像14211、14212・・・の時系列に沿った集合である。例えば、撮影画像14211、14212、・・・は、この順序に連続して撮影されたものとする。また、第2の画像群1422は、第1の画像群1421の撮影と並行して、移動体1の周辺領域が第2のフィルタ特性により連続して撮影された複数の撮影画像14221、14222・・・の時系列に沿った集合である。例えば、撮影画像14221、14222、・・・は、この順序に連続して撮影されたものとする。つまり、撮影画像14211と14221とは、撮影時刻が対応し、撮影画像14212と14222とは、撮影時刻が対応する。
【0028】
検出結果143は、各撮影画像に対して対象物の検出を試みた結果である。検出結果143は、撮影画像ごとに存在するものとする。接近速度144は、対象物の移動体1への接近度合いの一例であり、移動体1に対する対象物の相対的な移動速度である。接近速度144は、撮影時刻のことから複数の画像の検出結果等から算出される。
【0029】
プロセッサ110は、記憶部140から警告プログラム141を読み込み、実行する。これにより、警告装置10は、IF部120、撮影装置131及び132を適宜用いて本実施の形態にかかる画像取得手段11、検出手段12、判定手段13及び警告手段14等として動作する。
【0030】
図3は、本実施の形態1にかかる撮影から警告までの処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、撮影装置111は、移動体1の走行中に、移動体1の周辺領域を第1のフィルタ特性により連続して撮影する(S11)。そして、画像取得手段11は、撮影画像を第1の画像群として取得する(S12)。具体的には、画像取得手段11は、撮影するごとに撮影画像を記憶部140内の第1の画像群1421に対応付けて保存する。そして、検出手段12は、第1の画像群の各画像に対して所定の対象物の検出を行う(S13)。具体的には、検出手段12は、記憶部140に保存された第1の画像群1421に対応付けられた撮影画像14211等を読み出し、画像ごとに検出処理を行い、検出結果を記憶部140に保存する。
【0031】
また、撮影装置112は、ステップS11と並行して、移動体1の走行中に、移動体1の周辺領域を第2のフィルタ特性により連続して撮影する(S14)。そして、画像取得手段11は、撮影画像を第2の画像群として取得する(S15)。具体的には、画像取得手段11は、撮影するごとに撮影画像を記憶部140内の第2の画像群1422に対応付けて保存する。そして、検出手段12は、第2の画像群の各画像に対して所定の対象物の検出を行う(S16)。具体的には、検出手段12は、記憶部140に保存された第2の画像群1422に対応付けられた撮影画像14221等を読み出し、画像ごとに検出処理を行い、検出結果を記憶部140に保存する。
【0032】
尚、検出手段12は、撮影装置111及び112により撮影されるごとにステップS13及びS16の検出処理を行っても構わない。
【0033】
その後、判定手段13は、第1の画像群及び第2の画像群における検出結果を時系列に沿って比較して、対象物の移動の度合いを判定する(S17)。例えば、判定手段13は、検出結果に基づいて対象物における移動体1への接近速度を算出し、接近速度を用いて対象物の移動の度合いを判定する。そして、警告手段14は、判定された移動の度合いに応じて警告を行う(S18)。
【0034】
このように、本実施の形態1では、移動体1の走行中に移動体1の周辺を連続して撮影する際に、複数のフィルタ特性により並列して行う。このとき、撮影画像をフィルタ特性ごとの異なる画像群に時系列に沿って分類しておく。ここで、複数のフィルタ特性による撮影画像は、移動体1の外部環境の判別が困難な状況であっても、各時間帯で少なくともいずれかのフィルタ特性により撮影された画像の画質が、適切なフィルタ特性による撮影画像に相当する画質を維持している確率が高い。そのため、各画像に対する対象物の検出結果を、時系列に沿って比較することで、対象物の移動の度合いを判定できる。それ故、対象物の移動の度合いに応じて、運転者に適切に警告することができる。よって、安全性を高めることもできる。
【0035】
特に、接近速度を用いて移動の度合いを判定することで、衝突の危険性についてより直接的に判定できるため、警告の精度も向上できる。
【0036】
次に、上述した
図3のステップS17及びS18の詳細な処理を示す実施例1〜3を以下に示す。
【0037】
<実施例1>
本実施例1は、画像群ごとに接近速度を算出し、接近速度がより速い画像群に基づいて警告を行うものである。以下では、実施例1の処理を
図4に基づいて説明し、適宜、
図5を参照する。
図4は、本実施の形態1の実施例1における詳細な処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、
図5は、本実施の形態1の実施例1における処理の概念を説明するための図である。
【0038】
まず、判定手段13は、第1の画像群の中の画像間で時系列に沿って比較して、接近速度を算出する(S21)。
図5の例では、判定手段13は、第1の画像群31に属する撮影画像311と撮影画像312との検出結果を比較し、また、撮影画像312と撮影画像313との検出結果を比較することで、対象物の移動距離を求める。そして、判定手段13は、移動距離と時刻t1から時刻t3の時間とに基づいて第1の画像群31における対象物の接近速度を算出する。
【0039】
同様に、判定手段13は、第2の画像群の中の画像間で時系列に沿って比較して、接近速度を算出する(S22)。
図5の例では、判定手段13は、第2の画像群32に属する撮影画像321と撮影画像322との検出結果を比較し、また、撮影画像322と撮影画像323との検出結果を比較することで、対象物の移動距離を求める。そして、判定手段13は、移動距離と時刻t1から時刻t3の時間とに基づいて第2の画像群32における対象物の接近速度を算出する。尚、ステップS21及びS22は、並列実行する必要はない。つまり、判定手段13は、画像群ごとに接近速度を算出すればよい。
【0040】
次に、判定手段13は、複数の画像群の中で接近速度がより速い画像群を選択する(S23)。つまり、判定手段13は、ステップS21及びS22で算出した接近速度を比較して、接近速度がより速い画像群が第1の画像群31と第2の画像群32のいずれであるかを判定して選択する。そして、判定手段13は、選択した画像群における接近速度を用いて対象物の移動の度合いを判定する(S24)。例えば、判定手段13は、選択した接近速度が所定の基準値以上か否かを判定し、基準値以上である場合には、対象物が移動体1により速く接近していると判定する。
【0041】
その後、警告手段14は、選択された画像群を用いて接近速度に応じた警告を行う(S25)。例えば、警告手段14は、接近速度が基準値以上である場合には、接近速度が基準値未満である場合よりも警告の度合いを高くする。ここで警告の度合いが高いものについて説明する。例えば、警告手段14は、選択された画像群に属する画像について、画像に含まれる対象物が強調される表示に加工して、表示装置21へ出力してもよい。なお、強調される表示とは、例えば、対象物を四角の線により囲むことや、対象物又は対象物の上方にマークを付すること、対象物の色彩を変更することなどがある。
【0042】
図6は、本実施の形態1の実施例1において対象物の位置を強調して画面に表示する例を示す図である。ここでは、表示画面41に、強調表示領域42が表示されていることを示す。尚、警告の度合いを高くする処理はこれに限定されず、例えば、警告手段14がスピーカ22を介して警告音を出力してもよい。
【0043】
一方で、一例として、警告の度合いが上記として比較して高くない場合(例えば、接近速度が基準値未満である場合)についても説明する。この場合では、選択された画像群に属する画像を表示装置21へ出力し、画面に表示させる。このとき、警告手段14は、選択された画像群に属する画像を加工せず表示装置21に表示させることや、表示装置21に画像を加工して表示させる場合には、警告度合いが高い場合と比較して対象物を囲む線を細くすることや、対象物の上方に付すマークを異ならせることや、変更させる対象物の色彩を異ならせることなどの処理を行う。また、警告手段14がスピーカ22を介して警告音を出力する場合には、警告度合いが高い場合と比較して音量を異ならせること、警告音を変更することなどの処理を行う。
【0044】
このように、本実施の形態1の実施例1では、一定の期間の外部環境において、より適切なフィルタによる撮影画像群を用いて対象物の移動度合いを判定するため、検出精度がより高い画像を用いて適切な警告を行うことができる。
【0045】
ここで、適切なフィルタによる撮影画像群に属する各画像は、対象物の検出精度が高いため、時系列で隣接する画像間の対象物の位置の差異が明確となる。つまり、対象物の移動が明確に把握できる。一方、不適切なフィルタにより撮影画像群に属する各画像は、対象物の検出精度が低いため、時系列で隣接する画像間の対象物の位置の差異は不明確となる。つまり、対象物が移動しているか否かの判別がしにくい。そのため、前者は後者に比べて接近速度が相対的に速く算出される。よって、接近速度がより速く算出された画像群では、フィルタによる検出精度も相対的に高いといえる。そして、検出精度の高い画像群を用いて画面に出力等することで、運転者に危険を的確に把握させることができる。
【0046】
また、例えば、接近速度が基準値を超えていた場合には、緊急性が高いため、警告の度合いをより高くすることで、運転者に適切に警告することができる。逆に、ある時刻の撮影画像に対象物が検出されても、以降の時刻の撮影画像には対象物が検出されなかった場合、対象物が誤検出であったか、対象物が移動体1から離れた可能性が高い。このような場合には、警告の対象外と判定することで過剰な警告を避けることができる。
【0047】
<実施例2>
次に、本実施例2は、外部環境の急激な変化に対応するために、時間帯ごとに検出精度の高い画像を選択するものである。以下では、実施例2の処理を
図7に基づいて説明し、適宜、
図8を参照する。
図7は、本実施の形態1の実施例2における詳細な処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、
図8は、本実施の形態1の実施例2における処理の概念を説明するための図である。
【0048】
まず、判定手段13は、時刻t1に対応する画像同士を比較して検出精度の高い画像を選択する(S31)。例えば、時刻に対応する画像同士の検出精度の比較は、上述した検出結果の際に用いる外観に関するパラメータと比較用パラメータとを用いて、パターンマッチング手法等により一致する度合いを検出し、その結果を比較してもよい。続いて、判定手段13は、時刻t2に対応する画像同士を比較して検出精度の高い画像を選択する(S32)。同様に、判定手段13は、時刻t3に対応する画像同士を比較して検出精度の高い画像を選択する(S33)。尚、ステップS31〜S33の実行順序は、これに限定されない。
【0049】
図8の例では、判定手段13は、時刻t1に対応する撮影画像311と撮影画像321との検出結果を比較して、検出精度がより高い撮影画像311を選択したことを示す。同様に、判定手段13は、時刻t2に対応する撮影画像312と撮影画像322との検出結果を比較して、検出精度がより高い撮影画像322を選択したことを示す。そして、判定手段13は、時刻t3に対応する撮影画像313撮影画像323との検出結果を比較して、検出精度がより高い撮影画像313を選択したことを示す。
【0050】
その後、判定手段13は、時刻t1〜t3の選択画像間で、時系列に沿って比較して、接近速度を算出する(S34)。
図8の例では、判定手段13は、撮影画像311、撮影画像322及び撮影画像313を一つの画像群として接近速度を算出する。
【0051】
そして、判定手段13は、算出した接近速度を用いて対象物の移動の度合いを判定する(S35)。その後、警告手段14は、選択された各画像を用いて接近速度に応じた警告を行う(S36)。尚、ステップS35及びS36は、接近速度が基準値以上である場合に、
図6のように警告の度合いを高くしてもよい。
【0052】
このように、本実施の形態1の実施例2では、一定の期間内で外部環境の変化が激しい場合において、対象物の移動度合いを適切に判定し、適切な警告ができる。一定の期間内で外部環境の変化が激しい場合とは、例えば、トンネルに入る前後、又は、トンネルから出る前後や、急激な雲の動きにより天候が急変した場合等、周辺の明るさが急激に変化した場合が該当する。このような場合、時系列のある時点までは、第1のフィルタ特性により撮影された第1の画像群の検出精度が高いが、途中からは第1の画像群の検出精度が低下し、逆に、第2のフィルタ特性により撮影された第2の画像群の検出精度が高くなり得る。また、夕日と雲の関係で明るさが安定しないような場合には、
図8のように検出精度の高い画像群が交互になり得る。
【0053】
そこで、本実施例2では、撮影時刻ごとに検出精度を比較しているため、撮影時刻ごとの明るさに対して適切なフィルタ特性で撮影された画像を選択し、選択画像の集合により検出精度の高い画像群を構成できる。そのため、信頼性の高い接近速度を算出でき、適切な警告を行うことができる。
【0054】
<実施例3>
続いて、本実施例3は、複数のフィルタ特性のうち外部環境に対して適切なフィルタ特性の判別が困難な場合に、各フィルタ特性により撮影された画像を総合して検出精度を高めるものである。以下では、実施例3の処理を
図9に基づいて説明し、適宜、
図10を参照する。
図9は、本実施の形態1の実施例3における詳細な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図10は、本実施の形態1の実施例3における処理の概念を説明するための図である。
【0055】
まず、判定手段13は、時刻t1に対応する画像同士を比較して対象物の画像内の位置を特定する(S41)。次に、判定手段13は、時刻t2に対応する画像同士を比較して対象物の画像内の位置を特定する(S42)。同様に。判定手段13は、時刻t3に対応する画像同士を比較して対象物の画像内の位置を特定する(S43)。尚、位置を特定する処理は、比較対象画像内の対象物の位置の平均値を算出してもよい。また、比較対象画像同士を合成してもよい。尚、ステップS41〜S43の実行順序は、これに限定されない。
【0056】
図10の例では、判定手段13は、時刻t1に対応する撮影画像311と撮影画像321とから、対象物の位置をこれらの中間程度として特定したことを示す。同様に、判定手段13は、時刻t2に対応する撮影画像312と撮影画像322とを比較し、時刻t3に対応する撮影画像313と撮影画像323とを比較し、それぞれ対象物の位置をこれらの中間程度として特定したことを示す。
【0057】
その後、判定手段13は、特定した位置を時系列に沿って比較して、接近速度を算出する(S44)。
図10の例では、判定手段13は、画像331、332及び333を一つの画像群として接近速度を算出する。
【0058】
そして、判定手段13は、算出した接近速度を用いて対象物の移動の度合いを判定する(S45)。その後、警告手段14は、各時間帯の特定された対象物の位置を用いて接近速度に応じた警告を行う(S46)。尚、ステップS45及びS46は、接近速度が基準値以上である場合に、
図6のように警告の度合いを高くしてもよい。
【0059】
このように、本実施の形態1の実施例3では、各画像群の検出結果から平均等を取るため、誤判定の影響を抑制できる。また、例えば、夕方の場合、移動体1の周辺の明るさが昼間と夜間の間であるため、第1のフィルタ特性と第2のフィルタ特性のいずれが適切かの判断が困難な場合がある。そのような場合であっても、双方の検出結果の中間を取ることで、対象物の位置をある程度妥当な精度で特定できる。そのため、複数の画像群を総合的に用いて、対象物の検出精度を維持できる。
【0060】
<発明の実施の形態2>
本実施の形態2は、上述した実施の形態1の変形例である。上述した実施の形態1では、画像取得手段11は、2つの撮影装置を有するものであったが、本実施の形態2にかかる画像取得手段11は、1つの撮影装置を有するものである。
【0061】
図10は、本実施の形態2にかかる画像取得手段11aの構成を示すブロック図である。画像取得手段11aは、1つの撮影装置113を有する。撮影装置113は、複数のフィルタ特性を定期的に切り替えて撮影を行なう。撮影装置113は、フィルタ1131、撮像素子1132及び切替手段1133を備える。フィルタ1131は、撮像素子1132に入射する光の波長を選択する処理を行う。例えば、フィルタ1131は、可視光領域や近赤外領域を選択して光を通過させ、撮像素子1132へ入射する。尚、フィルタ1131には、赤外領域カットフィルタ(IRフィルタ)、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ等を含めることができる。つまり、フィルタ1131は、複数種類のフィルタ特性のうち選択されたものを実現できる。撮像素子1132は、フィルタ1131を通過した光の強度を電気信号に変換する素子である。切替手段1133は、フィルタ1131に対して選択したフィルタ特性を設定するものである。そして、切替手段1133は、定期的にフィルタ特性の選択を切り替える。尚、切替手段1133は、複数のフィルタ特性により複数の撮影装置が同時に同一の対象を撮影する場合と、実質的に同等となるような速さで、フィルタ特性を切り替えるものとする。なお、切替手段がクロックを有するか、またクロックによる信号を受信することにより、定期的に切り替え撮影を行う。
【0062】
このように、本実施の形態2によっても、上述した実施の形態1と同等の効果を奏することができる。また、本実施の形態2には、上述した実施例1〜3のいずれも適用することができる。
【0063】
<その他の発明の実施の形態>
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0064】
尚、上記判定手段は、前記検出結果を、各画像群の中の画像間で前記時系列に沿って比較して、前記画像群ごとに前記対象物への接近速度を算出し、前記複数の画像群の中で前記接近速度が最も速い画像群を選択し、前記選択した画像群における前記対象物の移動の度合いを判定するようにしてもよい。
【0065】
また、上述の車載装置の任意の処理は、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0066】
また、コンピュータが上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現される場合だけでなく、このプログラムが、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトウェアと共同して、上述の実施の形態の機能を実現する場合も、本発明の実施の形態に含まれる。さらに、このプログラムの処理の全てもしくは一部がコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットによって行われて、上述の実施の形態の機能が実現される場合も、本発明の実施の形態に含まれる。