(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気負荷への電力供給の制御を電磁リレーにて行う構成では、電磁リレーを導通状態とするためにコイルに通電する必要がある。コイルへ大電流を流すことにより、コイルの発熱及びコイルの寿命への悪影響等が懸念される。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電磁リレーのコイルへの通電量を削減することができるリレー制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリレー制御装置は、コイルへの通電により電磁リレーの導通又は遮断の切り替えを制御するリレー制御装置において、電源からの供給電圧を降圧して前記コイルへ出力する降圧DC/DC変換部と、該降圧DC/DC変換部の動作を制御するパルス周波数変調の制御信号を出力する制御部と、該制御部が出力した前記制御信号のうち、所定の周波数の信号を通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部及び前記降圧DC/DC変換部の間に介在し、前記フィルタ部が出力する信号に応じて前記降圧DC/DC変換部の動作を制御する回路部とを備え、前記回路部は、前記フィルタ部が前記制御信号を通過させない場合、前記降圧DC/DC変換部が前記電源からの供給電圧を降圧せずに出力するよう制御を行うと共に、回路内部の前記電源から接地電位への電流経路を遮断するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るリレー制御装置は、前記降圧DC/DC変換部は、
第1スイッチング素子の導通又は遮断の切り替えにより降圧を行うチョッパ方式の変換回路であり、前記回路部は、前記フィルタ部が前記制御信号を通過させない場合、前記
第1スイッチング素子を導通状態で維持するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るリレー制御装置は、前記フィルタ部が、前記制御信号を通過させない場合、所定電圧の信号を出力するようにしてあり、前記回路部は、前記フィルタ部
から入力された信号を増幅して出力する増幅回路であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るリレー制御装置は、前記コイルに直列接続され、導通又は遮断が前記制御部により制御される
第2スイッチング素子を更に備え、前記制御部は、前記降圧DC/DC変換部による降圧を停止した後に前記
第2スイッチング素子を導通状態とし、該
第2スイッチング素子を導通状態とした後に前記降圧DC/DC変換部による降圧を開始するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るリレー制御装置は、車両に搭載され、前記車
両のイグニッションスイッチがオフ状態の場合に、前記制御部から前記フィルタ部への前記制御信号を遮断する遮断部を更に備えることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、電源からの供給電圧を降圧DC/DC変換部にて降圧し、降圧した電圧を電磁リレーのコイルへ出力する。これにより電磁リレーのコイルを流れる電流量を低減することができる。リレー制御装置は、降圧DC/DC変換部の動作を制御するためのパルス周波数変調の制御信号を生成して出力する制御部を備える。またリレー制御装置は、制御部が出力する制御信号のうち、所定周波数の信号のみを通過させるフィルタ部と、フィルタ部の出力信号に応じて降圧DC/DC変換部の動作を制御する回路部とを更に備える。回路部は、フィルタ部が制御部からの制御信号を通過させない場合、降圧DC/DC変換部による降圧を行わず、電源電圧を電磁リレーのコイルへ出力するよう制御を行う。これにより、例えば制御部からの動作指令(即ち、制御信号)がない場合、又は、制御部の故障などにより正常な制御信号の出力が行われない場合等に、電源電圧を直接的にコイルへ出力して電磁リレーの導通又は遮断の制御を行うことができる。
また回路部は、フィルタ部が制御部からの制御信号を通過させない場合、その内部回路において電源からの電流経路が遮断する構成とする。これにより、電源電圧を直接的にコイルへ出力している状態において、回路部での消費電力を低減することができる。
【0013】
また本発明において降圧DC/DC変換部には、例えばスイッチング素子、コイル、コンデンサ及びダイオード等の回路素子を用いて構成されるチョッパ方式の変換回路を用いる。回路部は、フィルタ部を通過した制御信号に応じてスイッチング素子の制御を行うことによって、降圧DC/DC変換部の出力電圧値を調整することができる。また回路部は、フィルタ部が制御部からの制御信号を通過させない場合には、スイッチング素子を導通状態で維持することにより、電源電圧を直接的に出力させることができる。
【0014】
また本発明においてフィルタ部は、制御部からの制御信号を通過させない場合、所定電圧の信号(例えば接地電位の信号など)を出力する構成とする。回路部は、所定電圧の信号の入力に対して、降圧DC/DC変換部に電源電圧を直接的に出力させる構成とすることができる。また回路部は、フィルタ部の出力信号が変化しない場合、内部回路にて電圧変化が生じない回路構成とする。これにより、フィルタ部が制御信号を通過させない場合に、回路部での消費電力をより確実に低減することができる。
【0015】
また本発明においては、電磁リレーのコイルにスイッチング素子を直列接続し、このスイッチング素子の導通又は遮断の制御を制御部が行う。これにより電磁リレーの導通又は遮断を制御部が制御することができる。このスイッチング素子を導通状態へ切り替える場合には、制御部は、まず降圧DC/DC変換部の降圧を停止して電源電圧を直接的に電磁リレーのコイルへ出力した後に、スイッチング素子を導通状態へ切り替える。これにより電磁リレーの切替を高速に行うことができる。スイッチング素子を導通状態とした後、制御部は、降圧DC/DC変換部による降圧を開始する。これにより電磁リレーの切替後にコイルを流れる電流を低減できる。
【0016】
また本発明においてリレー制御装置は、車両に搭載される。リレー制御装置は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態の場合に、制御部からフィルタ部へ与える制御信号を遮断する遮断部を更に備える。これにより、車両のイグニッションスイッチがオフ状態の場合には、制御信号がフィルタ部を通過せず、降圧DC/DC変換部は電源電圧を直接的にコイルへ出力する。よってイグニッションスイッチがオフ状態の場合に回路部の消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による場合は、降圧DC/DC変換部にて電源電圧を降圧して電磁リレーのコイルへ出力する構成とすることにより、電磁リレーのコイルへの通電量を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係るリレー制御装置を搭載した車両の構成を示す模式図である。本実施の形態に係るリレー制御装置10は、車両1に搭載された電源装置2から一又は複数の電気的な負荷3への電力供給経路中にそれぞれ設けられた一又は複数の電磁リレー5の導通又は遮断の制御を個別に行う装置である。電源装置2は、車両1に搭載されたバッテリ又はオルタネータ等の装置であり、例えば12Vの電圧を出力する。車両1に搭載される電気的な負荷3は、例えばECU、通信装置、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、各種のセンサ、ランプ、モータ又はアクチュエータ等の装置であり、電源装置2から供給される電力により動作する。
【0020】
本実施の形態においては、電源装置2から各負荷3への電力供給経路には電磁リレー5がそれぞれ設けられている。電磁リレー5は、接点51及びコイル52(
図2において図示する)で構成され、コイル52への通電により接点51の導通又は遮断の切り替えを行う継電器である。本実施の形態において電磁リレー5は、コイル52への通電により接点51が導通状態となり、電源装置2から負荷3への電力供給経路が接続され、電源装置2から負荷3へ電力が供給されるものとする。ただし電磁リレー5は、コイル52の通電により接点51が遮断状態となるものであってもよい。
【0021】
リレー制御装置10は、電磁リレー5に対して個別にリレー制御信号を出力し、電磁リレー5の導通又は遮断の切り替えを個別に制御することによって、各負荷3への電力供給を制御する。リレー制御装置10には、車両1に設けられたIG(イグニッション)スイッチ7のオン/オフ状態を示すIG信号が入力されている。リレー制御装置10は、入力されたIG信号に基づいて、IGスイッチ7のオン/オフ状態に応じた電力供給制御を行う。
【0022】
図2は、リレー制御装置10の構成を示すブロック図である。なお
図2においては、電源装置2に接続される箇所を「+B」と略示すると共に、負荷3及びこれへの電力供給経路は図示を省略する。本実施の形態に係るリレー制御装置10は、制御部11、フィルタ部12、回路部13及び降圧DC/DC変換部14等を備えて構成されている。制御部11は、マイクロコンピュータなどのIC(Integrated Circuit)として構成されていてもよく、又は、回路基板上に複数の回路素子を接続した制御回路として構成されていてもよい。本実施の形態において、制御部11には少なくともIGスイッチ7からのIG信号が入力され、これ以外に例えばアクセサリスイッチのオン/オフ状態を示す信号などが入力されていてもよい。
【0023】
また制御部11は、1つのPFM(Pulse Frequency Modulation、パルス周波数変調)信号と、複数のリレー制御信号とを少なくとも出力する。PFM信号は、降圧DC/DC変換部14の動作を制御する、即ち降圧DC/DC変換部14が出力する電圧の電圧値を制御するための信号である。PFM信号の周波数が高い場合に降圧DC/DC変換部14の出力電圧が高く、PFM信号の周波数が低い場合に降圧DC/DC変換部14の出力電圧が低くなる。制御部11は、出力するPFM信号の周波数を制御することによって、降圧DC/DC変換部14の動作を制御することができる。
【0024】
本実施の形態に係るリレー制御装置10では、制御部11が出力するPFM信号がフィルタ部12へ入力される。フィルタ部12は、所定の周波数(周波数帯)の信号を通過させるが、これ以外の周波数をカットする。本実施の形態においてフィルタ部12は、ハイパスフィルタであり、所定周波数を超える信号を通過させ、所定周波数を超えない信号をカットする。
【0025】
例えばフィルタ部12は、コンデンサC1、抵抗器R1及びダイオードD1を用いて構成される。フィルタ部12は、コンデンサC1の一端を入力として制御部11に接続されると共に、コンデンサC1の他端を出力とする。コンデンサC1の他端は、抵抗器R1を介して接地電位に接続されると共に、ダイオードD1のカソードが接続されており、ダイオードD1のアノードは接地電位に接続されている。この構成によりフィルタ部12は、所定周波数を超える信号を通過させ、所定周波数を超えない信号はカットする。フィルタ部12の出力は、信号をカットした場合(信号を通過させない場合)、接地電位となる。
【0026】
フィルタ部12が出力する信号(PFM信号又は接地電位)は、回路部13に入力される。回路部13は、フィルタ部12の出力信号を降圧DC/DC変換部14へ伝達するための回路である。例えば回路部13は、4つの抵抗器R2〜R5及び2つのトランジスタT1,T2を用いて構成される。なおトランジスタT1はNPN型のバイポーラトランジスタであり、トランジスタT2はPNP型のバイポーラトランジスタである。回路部13は、抵抗器R2の一端を入力としてフィルタ部12の出力に接続されている。抵抗器R2の他端はトランジスタT1のベースに接続され、トランジスタT1のエミッタは接地電位に接続され、トランジスタT1のコレクタは抵抗器R3を介して電源電位に接続されている。なお、
図2においては電源電位を+Bとして示してあるが、この電源電位は電源装置2の出力電位である。トランジスタT1のコレクタは、抵抗器R4を介してトランジスタT2のベースに接続されている。トランジスタT2のエミッタは電源電位に接続され、トランジスタT2のコレクタは抵抗器R5を介して接地電位に接続されている。回路部13は、トランジスタT2のコレクタを出力とし、降圧DC/DC変換部14に接続されている。
【0027】
この構成により回路部13は、フィルタ部12の出力信号を増幅して降圧DC/DC変換部14へ出力することができる。またフィルタ部12がPFM信号を通過させず、回路部13への入力が接地電位となった場合、回路部13の内部では電位変化が生じない。この状態において回路部13のトランジスタT1及びT2は共に非導通状態となり、回路部13内において電源電位から接地電位への電流経路は遮断される。このときの回路部13の出力は、接地電位となる。
【0028】
回路部13が出力する信号(PFM信号又は接地電位)は、降圧DC/DC変換部14へ入力される。降圧DC/DC変換部14は、入力信号に応じて電源電圧を降圧して出力する回路である。例えば降圧DC/DC変換部14は、トランジスタT3、ダイオードD2、コイルL1及びコンデンサC2を用いて構成される。なおトランジスタT3は、Pチャネル型の電界効果トランジスタである。降圧DC/DC変換部14は、トランジスタT3のゲートを入力として回路部13の出力に接続されている。トランジスタT3のソースは電源電位に接続され、トランジスタT3のドレインにはダイオードD2のカソードが接続され、ダイオードD2のアノードは接地電位に接続されている。またトランジスタT3のドレインにはコイルL1の一端が接続され、コイルL1の他端にはコンデンサC2の一端が接続され、コンデンサC2の他端は接地電位に接続されている。降圧DC/DC変換部14は、コイルL1の他端(コンデンサC2の一端)を出力とする。
【0029】
この構成の降圧DC/DC変換部14は、いわゆるチョッパ方式の変換回路である。回路部13からPFM信号が入力されている場合、降圧DC/DC変換部14は、PFM信号の変化に応じてトランジスタT3がオン/オフを繰り返す。このオン/オフの繰り返しによるトランジスタT3のドレインの電圧変化はコイルL1及びコンデンサC2により平滑化されて出力される。降圧DC/DC変換部14は、入力されるPFM信号の周波数が高いほど、一定時間内におけるトランジスタT3のオン時間が増すため、出力電圧が高くなる。逆に、降圧DC/DC変換部14は、入力されるPFM信号の周波数が低いほど、一定時間内におけるトランジスタT3のオン時間が減少するため、出力電圧が低くなる。また入力信号が接地電位に固定されている場合、降圧DC/DC変換部14は、トランジスタT3がオン状態で維持されるため、電源電圧を出力する。
【0030】
本実施の形態においては、降圧DC/DC変換部14の出力は、車両1に設けられた全ての電磁リレー5のコイル52に与えられる(ただし、
図2において電磁リレー5は1つのみ図示してある)。各電磁リレー5は、接点51及びコイル52をそれぞれ有している。電磁リレー5は、コイル52への通電が行われることにより接点51が接続状態となる。
図1に示すように、電磁リレー5の接点51の一端は電源装置2の出力に接続され、他端は各負荷3に接続されている。また電磁リレー5のコイル52の一端は、上述のように降圧DC/DC変換部14の出力に接続されている。コイル52の他端は、トランジスタT4を介して接地電位に接続されている。トランジスタT4は、NPN型のバイポーラトランジスタであり、ベースが抵抗器R6を介して制御部11に接続され、エミッタが接地電位に接続され、コレクタが電磁リレー5のコイル52に接続されている。なお
図2において図示は省略してあるが、トランジスタT4及び抵抗器R6は、電磁リレー5毎に1組ずつ設けられる。
【0031】
制御部11は、各電磁リレー5に対してそれぞれリレー制御信号を出力する。制御部11がリレー制御信号として例えばハイレベルの信号を出力した場合、トランジスタT4がオンし、電磁リレー5のコイル52に電流が流れることによって接点51が接続状態となり、電源装置2から負荷3へ電力供給が行われる。これに対して制御部11がリレー制御信号としてローレベルの信号を出力した場合、トランジスタT4はオフ状態となり、電磁リレー5のコイル52に電流が流れないため接点51は遮断状態となり、電源装置2から負荷3への電力供給は行われない。
【0032】
なお
図2に示す電磁リレー5、トランジスタT4及び抵抗器R6は、例えばリレー制御装置10内に備えられていてもよく、また例えば対応する負荷3の近傍にそれぞれ配置されてもよく、また例えば電源装置2から各負荷3への電力供給経路中の適宜の位置に配置されてよい。
【0033】
制御部11は、入力されるIG信号に基づいて、IGスイッチ7がオフ状態である場合、PFM信号を出力しない(ローレベル又は接地電位の信号を出力する)。この場合、降圧DC/DC変換部14は、トランジスタT3がオン状態で維持されるため、電源電圧を出力する。IGスイッチ7がオン状態となった場合、制御部11は、PFM信号の出力を開始する。このときに制御部11は、電力供給を行う負荷3の数などに応じてPFM信号の周波数を適宜に設定する。
【0034】
また本実施の形態に係るリレー制御装置10は、電磁リレー5の遮断状態から導通状態へ切り替える場合(即ち、いずれかのリレー制御信号をローレベルからハイレベルへ変化させる場合)、制御部11が以下の制御を行う。制御部11は、まずPFM信号の出力を停止する。これにより降圧DC/DC変換部14は電源電圧を各電磁リレー5のコイル52へ出力する。次いで制御部11は、切替対象の電磁リレー5に対応するリレー制御信号をローレベルからハイレベルへ切り替える。これにより切替対象の電磁リレー5に対応するトランジスタT4がオン状態となり、コイル52に電流が流れて接点51が接続状態となる。電磁リレー5の切替時にコイル52の通電量を高めることによって、接点51の切り替えを高速化することができる。その後、制御部11は、PFM信号の出力を再開する。これにより降圧DC/DC変換部14は、電源電圧をPFM信号の周波数に応じて降圧して出力する。電磁リレー5の切替後は、降圧DC/DC変換部14が降圧した電圧を出力することによって、コイル52の通電量を低減することができる。なお電磁リレー5を導通状態から遮断状態へ切り替える場合には、上記のような制御を行う必要はなく、制御部11は、単にリレー制御信号をハイレベルからローレベルへ変化させればよい。
【0035】
図3は、リレー制御装置10が行う電磁リレー5の制御処理の手順を示すフローチャートである。例えばIGスイッチ7がオン状態となった場合などに、リレー制御装置10の制御部11は、PFM信号の出力を行う(ステップS1)。その後、制御部11は、車両1に設けられた複数の電磁リレー5のうち、少なくとも1つの電磁リレー5を遮断状態から導通状態へ切り替える必要が生じたか否かを判定する(ステップS2)。電磁リレー5の切り替えを行う必要がない場合(S2:NO)、制御部11は、ステップS1へ処理を戻す。
【0036】
電磁リレー5の切り替えを行う必要がある場合(S2:YES)、制御部11は、PFM信号の出力を停止する(ステップS3)。これにより各電磁リレー5のコイル52へ電源電圧が供給される。次いで制御部11は、切替対象の電磁リレー5に対応するリレー制御信号をローレベルからハイレベルへ変化させる(ステップS4)。これにより切替対象の電磁リレー5が導通状態となる。その後、制御部11は、PFM信号の出力を再開し(ステップS5)、ステップS2へ処理を戻す。
【0037】
以上の構成の本実施の形態に係るリレー制御装置10は、電源装置2から供給電圧を降圧DC/DC変換部14にて降圧し、降圧した電圧を電磁リレー5のコイル52へ出力する。これにより電磁リレー5のコイル52を流れる電流量を低減することができる。リレー制御装置10は、降圧DC/DC変換部14の動作を制御するためのPFM信号を生成して出力する制御部11を備える。またリレー制御装置10は、制御部11が出力するPFM信号のうち、所定周波数の信号を通過させるフィルタ部12と、フィルタ部12の出力信号に応じて降圧DC/DC変換部14の動作を制御する回路部13とを備える。回路部13は、フィルタ部12がPFM信号を通過させない場合、降圧DC/DC変換部14による降圧を行わず、電源電圧を電磁リレー5のコイル52へ出力するよう制御を行う。これにより例えば制御部11からPFM信号による動作指令がない場合、又は、制御部11の故障などにより正常なPFM信号の出力が行われない場合等に、電源電圧を直接的にコイル52へ出力して電磁リレー5の導通又は遮断の制御を行うことができる。
【0038】
また回路部13は、フィルタ部12が制御部11からのPFM信号を通過させない場合、その内部回路において電源電位から接地電位への電流経路がトランジスタT1及びT2により遮断される構成である。これにより、電源電圧を直接的に電磁リレー5のコイル52へ出力している状態において、回路部13での消費電力を低減することができる。
【0039】
また降圧DC/DC変換部14には、トランジスタT3、コイルL1、コンデンサC2及びダイオードD2を用いて構成されるチョッパ方式の変換回路を用いる。回路部13は、フィルタ部12を通過したPFM信号に応じてトランジスタT3の制御を行うことによって、降圧DC/DC変換部14の出力電圧値を調整することができる。また回路部13は、フィルタ部12が制御部11からのPFM信号を通過させない場合には、トランジスタT3を導通状態で維持することにより、電源電圧を直接的に出力させることができる。
【0040】
またフィルタ部12は、制御部11からのPFM信号を通過させない場合、例えば接地電位の信号を出力する構成である。回路部13は、フィルタ部12からの接地電位の信号入力に対して、降圧DC/DC変換部14に電源電圧を直接的に出力させる構成である。また回路部13は、フィルタ部12の出力信号が変化しない場合、内部回路にて電圧変化が生じない回路構成である。これにより、フィルタ部12がPFM信号を通過させない場合に、回路部13での消費電力を確実に低減することができる。
【0041】
また電磁リレー5のコイル52にはトランジスタT4を直列接続し、このトランジスタT4の導通又は遮断の制御を制御部11が行う。これにより電磁リレー5の導通又は遮断を制御部11が制御することができる。このトランジスタT4を導通状態へ切り替える場合、制御部11は、まず降圧DC/DC変換部14の降圧を停止して電源電圧を直接的に電磁リレー5のコイル52へ出力し、その後にトランジスタT4を通電状態へ切り替える。これにより切替時のコイル52の通電量を増加させることができるため、電磁リレー5の切り替えを高速に行うことができる。トランジスタT4を通電状態とした後、制御部11は、降圧DC/DC変換部14による降圧を開始する。これにより電磁リレー5の切替後にコイル52を流れる電流量を低減できる。
【0042】
なお本実施の形態においては、車両1に搭載される電磁リレー5及びリレー制御装置10等を例に説明を行ったが、これに限るものではない。本技術は、車両以外に搭載又は設置等される電磁リレー及びリレー制御装置等に適用することができる。また本実施の形態においては、1つの負荷3に1つの電磁リレー5を設け、リレー制御装置10が電磁リレー5を個別に制御する構成としたが、これに限るものではない。電力供給の条件が同じ負荷3をグループ化することにより、例えば複数の負荷3に対して1つの電磁リレー5を設ける構成としてもよく、例えば1つのリレー制御信号を複数の電磁リレー5の制御に用いる構成としてもよい。
【0043】
またリレー制御装置10は、入力信号としてIG信号を受け付ける構成としたが、これに限るものではない。リレー制御装置10は、IG信号の他に、例えばアクセサリスイッチの状態を示す信号などの入力を受け付け、入力された信号に応じて電磁リレー5の制御を行う構成としてよい。また例えば、リレー制御装置10は、車両1に搭載された他の電子機器との間で車内ネットワークを介して通信を行い、通信にて得られた情報に基づいて電磁リレー5の制御を行う構成としてよい。また本実施の形態において説明した回路構成(
図2に示した回路構成)は、一例であって、この回路構成に限るものではない。
【0044】
(変形例1)
図4は、変形例1に係るリレー制御装置10の構成を示すブロック図である。なお
図4においては、回路部13、降圧DC/DC変換部14及び電磁リレー5等の図示は省略してある。変形例1に係るリレー制御装置10の制御部11は、発振回路111及び制御回路112を有している。発振回路111は、制御回路112が指定した周波数のPFM信号を生成して出力する回路である。制御回路112は、IG信号などの入力に応じて各電磁リレー5の制御を行う回路であり、リレー制御信号を生成して出力する。制御回路112は、発振回路111の動作(PFM信号の出力開始、停止及びPFM信号の周波数)を制御する信号を出力する。
【0045】
変形例1に係るリレー制御装置10では、制御部11及びフィルタ部12の間にAND素子113が設けられている。詳しくは、制御部11の発振回路111の出力がAND素子113の一方の入力とされ、IG信号がAND素子113の他方の入力とされ、AND素子113の出力がフィルタ部12への入力とされている。これによりAND素子113は、IG信号がオン状態(ハイレベル)である場合に、発振回路111が出力したPFM信号をフィルタ部12へ与える。またAND素子113は、IG信号がオフ状態(ローレベル)である場合に、発振回路111からフィルタ部12へのPFM信号を遮断し、ローレベルの信号をフィルタ部12へ与える。
【0046】
以上の構成の変形例1に係るリレー制御装置10は、車両1のIGスイッチ7がオフ状態(IG信号がローレベル)の場合に、制御部11からフィルタ部12へ与えるPFM信号を遮断するAND素子113を備える。これにより、車両1のIGスイッチ7がオフ状態の場合には、制御部11が出力するPFM信号がフィルタ部12を通過することはなく、降圧DC/DC変換部14は電源電圧を直接的に電磁リレー5のコイル52へ出力する。よってIGスイッチ7がオフ状態の場合に、回路部13の消費電力をより確実に低減することができる。なお変形例1においてはPFM信号を遮断するためにAND素子113を用いる構成としたが、これに限るものではない。PFM信号の遮断はこれ以外の種々の方法で行う構成としてよい。
【0047】
(変形例2)
上述の実施の形態においてフィルタ部12はハイパスフィルタとしたが、変形例2に係るリレー制御装置10は、フィルタ部12をバンドパスフィルタとする。変形例2に係るフィルタ部12は、所定の下限周波数を超えないPFM信号をカットすると共に、所定の上限周波数を超えるPFM信号をカットすることにより、下限周波数及び上限周波数間の周波数のPFM信号を通過させる。フィルタ部12が上限周波数を超えるPFM信号をカットする構成とすることにより、変形例2に係るリレー制御装置10は、例えば発振回路111が故障又は誤動作等により異常発振し、制御部11が上限周波数を超える高周波の信号を出力した場合などに、この信号に基づいて降圧DC/DC変換部14の動作が行われることを防止することができる。