(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6387875
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】無線機および無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/30 20180101AFI20180903BHJP
【FI】
H04W76/30
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-59036(P2015-59036)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-178579(P2016-178579A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 元志
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−48323(JP,A)
【文献】
特開2002−64868(JP,A)
【文献】
特開2014−132263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した信号を通信圏内に送信する中継動作を行う中継局を介して、半二重の無線通信を行う無線機であって、
前記無線機を識別する識別情報を含む伝送信号を送信する送信部と、
少なくとも1つの前記伝送信号に相当する長さの遅延を生じる前記中継動作によって前記中継局から送られてくる信号を示す中継信号を受信する受信部と、
前記伝送信号の送信終了後に受信した前記中継信号の遅延分に、自装置を識別する前記識別情報が含まれている場合は、前記自装置が前記通信圏内にて送信を完了したと判断する判定部と、を備え、
前記判定部は、前記通信圏内にて送信を完了したと判断した場合には、前記自装置が前記通信圏内に存在すると判定することを特徴とする、
無線機。
【請求項2】
前記判定部は、前記伝送信号の送信を終了してから、予め定められた時間内に受信した前記中継信号の中に、前記自装置を識別する前記識別情報が含まれている場合は、前記自装置が前記通信圏内に存在すると判定する、
請求項1の無線機。
【請求項3】
前記無線機の送信用周波数帯域と、前記無線機の受信用周波数帯域とは異なる、
請求項1または2の無線機。
【請求項4】
前記伝送信号を変調する変調部と、
前記受信部で受信した前記中継信号を復調する復調部と、をさらに備え、
前記送信部は、前記変調部によって変調された前記伝送信号を送信し、
前記判定部は、前記復調部によって復調された前記中継信号の中に、前記自装置を識別する前記識別情報が含まれている場合は、前記自装置が前記無線通信圏内に存在すると判定する、
請求項3の無線機。
【請求項5】
前記判定部は、前記中継信号の中に、前記自装置を識別する前記識別情報が含まれていない場合は、前記自装置が前記通信圏内に存在しないと判定する、
請求項2の無線機。
【請求項6】
前記判定部による判定結果を報知する報知部をさらに備える、
請求項1乃至5のうちの何れか1つの無線機。
【請求項7】
受信した信号を通信圏内に送信する中継動作を行う中継局を介して、半二重の無線通信を行う無線機による無線通信方法であって、
前記無線機を識別する識別情報を含む伝送信号を送信し、
前記伝送信号の送信後、少なくとも1つの前記伝送信号に相当する長さの遅延を生じる前記中継動作によって前記中継局から送られてくる信号を示す中継信号を受信し、
前記中継信号の遅延分に、自装置を識別する前記識別情報が含まれている場合は、前記自装置が前記通信圏内にて送信を完了したと判断し、
前記通信圏内にて送信を完了したと判断した場合には、前記自装置が前記通信圏内に存在すると判断する、
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線機および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、それぞれが半二重の無線通信を行う複数の無線機(移動局)が、中継局を介して通信を行う技術が知られている。移動局側の送信周波数は中継局の受信周波数と同じであり、移動局側の受信周波数は中継局側の送信周波数と同じである。中継局が同じ周波数で同時に送受信することは困難であるため、中継局の送信周波数と受信周波数とは所定の周波数だけ離れている。どの移動局も同じ周波数で送信し、同じ周波数で受信することで、移動局間の1対1、または1対多(グループ通信)の通信が可能になる。
【0003】
半二重の無線機では、信号の送信中は中継局から中継された信号を受信することができないため、送信した信号が通信圏内で送信されたのか否か(自装置が通信圏内に存在するのか否か)を確認することができない。例えば特許文献1には、移動局は、通信圏内確認要求を示す信号を基地局に送信し、基地局は、移動局から通信圏内確認要求を示す信号を正常に受信した時のみ、移動局に対して、通信圏内確認応答を示す信号を送信し、移動局は、基地局から通信圏内確認応答を示す信号を正常に受信した時のみ、移動局(自装置)が通信圏内に存在すると判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−32005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、移動局は、自装置が通信圏内に存在するか否かを確認するための特別な信号(通信圏内確認要求を示す信号)を基地局に送信する必要があるので、通信処理が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特別な信号を必要とせずに、自装置が通信圏内に存在するか否かを確認することが可能な無線機および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、受信した信号を通信圏内に送信する中継動作を行う中継局を介して、半二重の無線通信を行う無線機であって、前記無線機を識別する識別情報を含む伝送信号を送信する送信部と、少なくとも1つの前記伝送信号に相当する長さの遅延を生じる前記中継動作によって前記中継局から送られてくる信号を示す中継信号を受信する受信部と、前記伝送信号の送信終了後に受信した前記中継信号の中に、自装置を識別する前記識別情報が含まれている場合は、自装置が前記通信圏内に存在すると判定する判定部と、を備える。
【0008】
また、本発明は、受信した信号を通信圏内に送信する中継動作を行う中継局を介して、半二重の無線通信を行う無線機による無線通信方法であって、前記無線機を識別する識別情報を含む伝送信号を送信し、前記伝送信号の送信後、少なくとも1つの前記伝送信号に相当する長さの遅延を生じる前記中継動作によって前記中継局から送られてくる信号を示す中継信号を受信し、前記中継信号の中に、自装置を識別する前記識別情報が含まれている場合は、自装置が前記通信圏内に存在すると判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる無線機は、特別な信号を必要とせずに、自装置が通信圏内に存在するか否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、無線機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、中継局のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、無線機が送信する伝送信号群と、中継局から受信する中継信号とのタイムラグの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、無線機が、伝送信号を送信した後に受信した中継信号に基づいて、自装置が通信圏内に存在するか否かを判定する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる無線機および無線通信方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態の無線通信システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、無線通信システム1は、複数の無線機10と、中継局20とを含む。中継局20は、受信した信号(何れかの無線機10から受信した信号)を通信圏内に送信する(通信圏内に存在する全ての無線機10に届くように送信する)中継動作を行い、各無線機10は、中継局20を介して、半二重の無線通信を行う。なお、半二重の無線通信とは、送信および受信の一方しか行うことができない無線通信の形態である。
【0013】
なお、ここでは、中継局20が同じ周波数で同時に送受信することは困難であるため、中継局20の送信周波数(無線機10側の受信周波数)と受信周波数(無線機10側の送信周波数)とは所定の周波数だけ離れている。すなわち、無線機10の送信用周波数帯域(中継局20の受信用周波数帯域)と、無線機10の受信用周波数帯域(中継局20の送信用周波数帯域)とは異なることを前提とする。
【0014】
なお、
図1の例では、無線通信システム1には、3台の無線機10が含まれているが、これに限らず、無線通信システム1に含まれる無線機10の台数は任意である。
【0015】
図2は、無線機10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2では、1台の無線機10のみが例示されているが、他の無線機10のハードウェア構成も
図2と同様である。
図2に示すように、無線機10は、操作部11と、マイク12と、マイコン13と、送信回路14と、送受信アンテナ15と、受信回路16と、スピーカ17とを備える。
【0016】
操作部11は、無線機10からの伝送信号の送信を指示するためのデバイスであり、この例では、ユーザによる押下操作を受け付けるボタン(以下、送信用ボタンと称する場合がある)で構成されている。無線機10は、送信用ボタン(操作部11)が押下されている間、伝送信号を送信する状態(送信状態)になり、送信用ボタンの押下が解除されると、中継動作によって中継局20から送られてくる信号(自装置が送信した伝送信号または他の無線機10が送信した伝送信号に相当)を示す中継信号を受信する状態(受信状態)になる。
【0017】
マイク12は、ユーザによって入力された音声を電気信号(アナログの電気信号)に変換するデバイスである。
【0018】
マイコン13は、CPUとしてマイクロプロセッサを使用したコンピュータである。本実施形態では、マイコン13は、送信用ボタンが押下されている間、無線機10(自装置)を識別する識別情報(以下、「ID情報」と称する)を含む伝送信号を生成する。例えばユーザが、送信用ボタンを押下した状態で音声を入力すると、マイコン13は、マイク12から入力された電気信号をデジタルデータに変換し、その変換したデジタルデータ(以下、「音声データ」と称する)と、ID情報とを含む伝送信号を生成する。そして、マイコン13は、生成した伝送信号を符号化(エンコード)して、送信回路14へ供給する。
【0019】
図3は、伝送信号の一例を示す図である。
図3に示すように、伝送信号は、先頭信号と、音声データと、ID情報と、終話信号とから構成される所定サイズ(この例では1パケット分のサイズ)のデジタル信号で表される。マイコン13は、ユーザによる送信用ボタンの押下をトリガ(契機)として伝送信号の生成を開始し、送信用ボタンが押下されている間、伝送信号を連続的に生成して送信回路14へ供給する。また、送信用ボタンが押下されている期間内に、ユーザから入力された音声を示す音声データは、当該期間内に生成される複数の伝送信号の各々に対して割り当てられる(全音声データを分割する複数のデータと複数の伝送信号とが1対1に対応する形で割り当てられる)。
【0020】
図2の説明を続ける。送信回路14は、伝送信号を変調する変調部101を備える。変調方式の一例として、ここでは、4値FSK方式を用いている。送受信アンテナ15は、変調部101によって変調された伝送信号を送信する。この例では、送受信アンテナ15が請求項の「送信部」に対応していると考えることができる。また、送受信アンテナ15は、中継動作によって中継局20から送られてくる中継信号を受信する機能も有しており、請求項の「受信部」に対応していると考えることができる。
【0021】
受信回路16は、送受信アンテナ15で受信した中継信号を復調する復調部102を備える。マイコン13は、復調部102によって復調された中継信号を復号(デコード)し、その復号した中継信号に含まれる音声データをスピーカ17へ供給する。スピーカ17は、マイコン13から供給された音声データ(電気信号)を音声に変換して出力する。
【0022】
図4は、中継局20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、中継局20は、受信アンテナ21と、受信回路22と、マイコン23と、送信回路24と、送信アンテナ25を備える。
【0023】
受信アンテナ21は、無線機10から送られてくる伝送信号を受信する。受信回路22は、受信アンテナ21にて受信した伝送信号を復調してマイコン23に供給する。マイコン23は、受信回路22から供給された伝送信号を送信回路24へ供給する。送信回路24は、マイコン23から供給された伝送信号を変調する。送信アンテナ25は、送信回路24によって変調された伝送信号を、中継信号として通信圏内に送信する。つまり、送信アンテナ25は、通信圏内の全ての無線機10に届くように、中継信号を送信する。
【0024】
以下では、複数の無線機10のうちの何れか1つの無線機10に着目して説明する。説明の便宜上、着目した無線機10を「無線機10A」と称する。例えば無線機10Aが、1以上の伝送信号(「伝送信号群」と称する)を送信する場合を想定する。無線機10Aが送信した伝送信号群は、中継局20による中継動作によって、通信圏内の全ての無線機10に中継信号として送信されるため、送信元である無線機10Aにも送信される(折り返される)。
【0025】
ここで、本実施形態における中継局20による中継動作は、少なくとも1つの伝送信号に相当する長さの遅延(少なくとも1パケット分の遅延)を生じる。無線機10Aは、伝送信号群の送信中は中継信号を受信することはできないが、伝送信号群の送信終了後、送信済みの伝送信号群のうち、末尾から遅延分の長さに相当する部分を中継信号として受信することができる。
【0026】
これを利用して、無線機10Aのマイコン13は、伝送信号の送信終了後に受信した中継信号の中に、自装置を識別するID情報が含まれている場合は、自装置が通信圏内に存在すると判定する。より具体的には、マイコン13は、伝送信号の送信を終了してから、予め定められた時間内に受信した中継信号の中に、自装置を識別するID情報が含まれている場合は、自装置が通信圏内にて送信を完了したと判断し、自装置は通信圏内に存在すると判定する。この例では、マイコン13は、請求項の「判定部」に対応していると考えることができる。
【0027】
また、本実施形態では、マイコン13が、自装置が通信圏内に存在すると判定した場合、スピーカ17からは所定の音声(例えばビープ音)が出力される。なお、これに限らず、マイコン13が、自装置が通信圏内に存在すると判定した場合、所定の光を出射させる形態であってもよいし、所定の振動を発生させる形態であってもよい。要するに、無線機10Aは、マイコン13による判定結果を報知する報知部を備える形態であればよい。
【0028】
図5の例では、中継局20による中継動作は、2つの伝送信号に相当する長さの遅延(2パケット分の遅延)を生じる場合を例示しており、無線機10Aは、4つの伝送信号が連続する伝送信号群の送信終了後、その伝送信号群の末尾から2つ分の伝送信号を中継信号として受信している。無線機10Aのマイコン13は、伝送信号群の送信終了後に受信した中継信号(この例では送信済みの伝送信号群の末尾から2つ分の伝送信号)を確認して、自装置が通信圏内に存在するかどうかを判定する。
【0029】
図6は、無線機10Aが、伝送信号(伝送信号群)を送信した後に受信した中継信号に基づいて、自装置が通信圏内に存在するか否かを判定する処理の一例を示すフローチャートである。説明の便宜上、
図6の例では、無線通信システム1に含まれる他の無線機10(無線機10Aとは異なる無線機10)として1つの無線機10のみを記載し、「無線機10B」と表記する。
【0030】
まず、無線機10Aは、ユーザによる送信用ボタン(操作部11)の押下をトリガーとして、伝送信号の送信を開始する(ステップS1)。無線機10Aは、送信用ボタンが押下されている間、伝送信号を連続的に生成して送信する(ステップS2)。中継局20は、無線機10Aから受信した伝送信号を、中継信号として通信圏内に送信する中継動作を行う(ステップS3)。これにより、無線機10Aおよび無線機10Bの各々に対して中継信号が送信される(ステップS4)。この例では、無線機10Bは受信状態であるので、中継信号を受信する(ステップS5)。
【0031】
一方、無線機10Aは、伝送信号の送信が終了するまでの間、中継信号を受信することはできないが、ユーザによる送信用ボタンの押下が解除されたことをトリガーとして、伝送信号の送信を終了する(ステップS6)。最終の伝送信号を送信した後、無線機10Aは受信状態に移行し、中継信号を受信する(ステップS7)。
【0032】
次に、無線機10Aは、最終の伝送信号の送信を終了してから予め定められた時間内に中継信号を受信したか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の結果が否定の場合(ステップS8:No)、無線機10Aは、ステップS7で受信した中継信号は判定対象外の信号であると判断して破棄する(ステップS9)。ステップS8の結果が肯定の場合(ステップS8:Yes)、無線機10Aは、ステップS7で受信した中継信号(少なくとも1つ以上の伝送信号で構成される)に含まれるID情報が自装置を識別する情報であるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10の結果が肯定の場合(ステップS10:Yes)、無線機10Aは、所定の音声(例えばビープ音)をスピーカ17から出力する(ステップS11)。ステップS10の結果が否定の場合(ステップS10:No)、無線機10Aは、何も報知処理を行わない。
【0033】
以上に説明したように、本実施形態における中継局20による中継動作は、少なくとも1つの伝送信号に相当する長さの遅延を生じるので、無線機10Aは、伝送信号群(1以上の伝送信号)の送信後、送信済みの伝送信号群のうち、末尾から遅延分の長さに相当する部分を中継信号として受信することができる。これを利用して、無線機10Aは、伝送信号の送信終了後に受信した中継信号の中に、自装置を識別するID情報が含まれている場合は、中継局20との間で正常に信号の送受信を行うことができる状態であると判断し、自装置が通信圏内に存在すると判定する。これにより、特別な信号を必要とせずに、自装置が通信圏内に存在するか否かを確認することができるという有利な効果を達成できる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0035】
例えば無線機10Aのユーザは、音声を入力する前(発話前)に、一定時間の間、送信用ボタンを押下して、自装置が通信圏内であるか否かを判定させることもできる。この場合、音声の入力前における送信用ボタンの押下をトリガーとして、無線機10Aは、空の音声データを含む伝送信号の生成を開始する。上記と同様に、無線機10Aは、送信用ボタンが押下されている間、伝送信号(空の音声データを含む伝送信号)を連続的に生成して中継局20に送信し、ユーザによる送信用ボタンの押下が解除されたことをトリガーとして、伝送信号の送信を終了する。最終の伝送信号を送信した後、無線機10Aは受信状態に移行し、中継信号を受信する。そして、伝送信号の送信終了後に受信した中継信号の中に、自装置を識別するID情報が含まれている場合は、自装置が通信圏内に存在すると判定し、所定の音声をスピーカ17から出力する。これにより、ユーザは、発話前に、無線機10Aが通信圏内に存在することを確認することができる。
【0036】
また、上記したステップS8による、最終の伝送信号の送信を終了してから予め定められた時間内に中継信号を受信したか否かの判定を行わず、ステップS10を行ってもよい。また、通常の受信動作がステップS10から開始されるようにしてもよい。これらの場合、受信した信号のID情報が自装置であった場合にのみ自装置が通信圏内に存在すると判定して所定の音声をスピーカ17から出力し、受信した信号のID情報が自装置のID情報では無い場合は、送られてきた音声データの復号を開始すればよい。
【符号の説明】
【0037】
1 無線通信システム
10 無線機
11 操作部
12 マイク
13 マイコン
14 送信回路
15 送受信アンテナ
16 受信回路
17 スピーカ
101 変調部
102 復調部
20 中継局