(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
災害時に携帯端末装置の自撮カメラが入出力画面の前方向を撮影した撮影画像を、受信して、前記撮影画像に基づいて前記携帯端末装置の利用者の緊急度を判定し、前記緊急度を送信する緊急度判定手段と、
前記携帯端末装置の前記利用者の顔写真を記憶する個人情報記憶手段と、
受信した前記撮影画像から顔画像を抽出し、抽出した前記顔画像と前記顔写真の人物が一致するかを判定する人物判定手段と、を備え、
前記緊急度判定手段は、前記人物が一致した場合、前記撮影画像から抽出した前記顔画像に基づいて前記緊急度を判定する安否確認装置。
前記緊急度判定手段は、前記人物が一致しない場合に、前記携帯端末装置に前記顔写真と問合せ画面を送信し、前記携帯端末装置から前記問合せ画面に対する応答を受信すると、前記応答に基づいて前記緊急度を判定する、請求項1又は2の安否確認装置。
a)外部からの通知を受信して災害を通知する災害検出手段、b)前記入出力画面、c)前記入出力画面の前方向を向いている前記自撮カメラ、d)前記災害検出手段から通知を受けると前記自撮カメラで前記撮影画像を撮影する自動撮影手段、および、前記安否確認装置との通信を行う通信手段と、を備える前記携帯端末装置と、
1)前記利用者と管理者連絡先を関連付けて記憶する連絡表記憶手段と、2)前記安否確認装置から所定レベル以上の前記緊急度を受信すると、前記利用者の前記管理者連絡先に通知を送信する緊急通知手段と、を備える人事管理装置と、
請求項1乃至請求項4の何れか1項の安否確認装置と、を包含する安否確認システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施の形態>
<概要>
本実施の形態にかかる安否確認システム50は以下の装置を含み、災害発生時に、利用者、例えば、利用企業の従業員の安否確認をすばやく正確に行う。また更に、安否確認システム50は、被災者の状況に応じた避難誘導の情報を提供する。
【0015】
a)スマートフォン等を代表とする携帯端末装置20
携帯端末装置20は、災害発生時に自動的に起動するアプリケーションプログラム(以下アプリ)が、マイク、カメラ、GPS、振動センサといった入力デバイスからの情報を自動的に安否確認装置10に送信する機能を有する。
【0016】
b)安否確認装置10
安否確認装置10は、携帯端末装置20から受信したマイク、カメラ、GPSの情報を取り込み、携帯端末装置20の利用者が「どこで、どのような状況下にあるか」を判断する。
【0017】
c)人事管理装置30
人事管理装置30は、安否確認装置10が判断した情報を基に、安全路への誘導をおこない、更に、優先的に救助が必要な従業員をリストアップして会社の管理者に提示する機能を有している。
【0018】
<構成>
図1は、第1の実施の形態にかかる安否確認システム50の構成を示す図である。安否確認システム50は、通信網40に接続された、安否確認装置10、携帯端末装置20、および、人事管理装置30を包含する。通信網40は、無線通信、および、有線通信が可能である。
【0019】
携帯端末装置20は、例えばスマートフォンであり、従業員等に予め支給されている。携帯端末装置20は、入出力画面21、自撮カメラ22、および、マイク/スピーカ27を備えている。また、携帯端末装置20には、安否確認アプリ23がインストールされている。
【0020】
入出力画面21は、例えば、タッチパネルであり、利用者から入力情報を取得するとともに、安否確認アプリ23からの出力情報を表示する。
【0021】
自撮カメラ22は、いわゆる「自撮り用のカメラ」である。すなわち、自撮カメラ22は、入出力画面21の近距離前方に有る利用者の顔を中心とした部分を撮影する。
【0022】
安否確認アプリ23は、災害検出部24、自動撮影部25、および、通信部26を包含している。
【0023】
災害検出部24は、例えば常時稼働しており、安否確認装置10からの自動撮影部25の起動指示受信、あるいは、緊急地震速報受信をトリガとして、災害の発生を検出する。災害検出部24は、災害を検出すると、自動撮影部25を起動する。災害検出部24は、携帯端末装置20のバッテリをセーブする為の処置、例えば、予め登録されている不要不急のアプリの停止を行っても良い。
【0024】
自動撮影部25は起動されると、自撮カメラ22を用いて、入出力画面21の前方の画像を撮影し、その他のセンサの測定値を収集し、撮影画像、利用者の識別子および各測定値を、通信部26を介して安否確認装置10に送信する。
【0025】
安否確認装置10は、緊急度判定部11、人物判定部12、および、個人情報記憶部13を備えている。個人情報記憶部13は、利用者の識別子に関連付けて、利用者の顔写真を記憶している。
【0026】
人物判定部12は、携帯端末装置20から送られてくる撮影画像から顔画像を抽出し、抽出した顔画像と個人情報記憶部13内の顔写真の人物が一致するかを判定する。
【0027】
緊急度判定部11は、携帯端末装置20から送られてくる撮影画像、その他の測定値、人物判定部12の判定結果に基づいて、利用者が救助を必要とする緊急度を判定し、人事管理装置30に送信する。
【0028】
人事管理装置30は、緊急連絡部31、および、連絡表記憶部32を備えている。連絡表記憶部32は、利用者の識別子に関連付けて、利用者の管理者の連絡先、例えば、メールアドレスを記憶している。
【0029】
緊急連絡部31は、安否確認装置10から送られてくる緊急度が所定以上である利用者を選択し、当該利用者の管理者の連絡先に通知する。
【0030】
ここで、安否確認装置10の緊急度判定部11、および、人物判定部12は、論理回路で構成される。個人情報記憶部13は、ディスク装置、または、半導体記憶装置等の記憶装置である。
【0031】
安否確認装置10は、コンピュータ装置60により実現されても良い。
図2は、コンピュータ装置60の構成図である。コンピュータ装置60は、バス64で相互に接続された、プロセッサ61、主記憶部63、および、外部記憶装置62を備える。プロセッサ61は、バス64を経由して、主記憶部63、および、外部記憶装置62に対してデータの読み書きを行う。また、プロセッサ61は、主記憶部63に格納されているプログラム65を実行する。なお、プログラム65は、当初外部記憶装置62に格納されており、コンピュータ装置60の初期設定時に、プロセッサ61が外部記憶装置62から主記憶部63にロードしても良い。
【0032】
ここで、主記憶部63は半導体メモリ装置である。外部記憶装置62はディスク装置、または、半導体記憶装置等の記憶装置である。
【0033】
プロセッサ61は、プログラム65を実行することにより、緊急度判定部11、および、人物判定部12として機能する。すなわち、プロセッサ61は、プログラム65を実行することにより、緊急度判定部11、および、人物判定部12が行う処理を実行する。主記憶部63、または、外部記憶装置62は、個人情報記憶部13として使用されても良い。
【0034】
同様に、人事管理装置30の緊急連絡部31は論理回路で構成される。連絡表記憶部32は、ディスク装置、または、半導体記憶装置等の記憶装置である。
【0035】
人事管理装置30は、
図2のコンピュータ装置60により実現されても良い。
【0036】
この場合、プロセッサ61は、プログラム65を実行することにより、緊急連絡部31として機能する。すなわち、プロセッサ61は、プログラム65を実行することにより、緊急連絡部31が行う処理を実行する。主記憶部63、または、外部記憶装置62は、連絡表記憶部32として使用されても良い。
【0037】
携帯端末装置20の安否確認アプリ23は、コンピュータ装置60でもある携帯端末装置20のプロセッサ61で実行されるプログラム65である。安否確認アプリ23は、論理回路で構成されても良い。
【0038】
<動作>
<携帯端末装置20の動作>
図3は、携帯端末装置20上で安否確認アプリ23が動作した時の入出力画面21上の表示例を示す。
【0039】
携帯端末装置20には、予め安否確認アプリ23がインストールされている(
図3のa))。そして、安否確認アプリ23は、例えば、災害検出等をトリガに動作を開始する。
【0040】
安否確認アプリ23の起動パターンには例えば3つがある。1つ目は、勤務先と同エリア内に居て被災した場合に、安否確認装置10からリモートで起動する事が出来る。2つ目は、遠隔地に出張等の場合に、利用者が安否確認アプリ23のアイコンを自身の指でクリックするなどして起動する事が出来る。3つ目は、マイク/スピーカ27と音声認識機能経由で起動する事が出来る。
【0041】
安否確認アプリ23は、動作を開始すると自動的に自撮画像を撮影して表示する。更に安否確認アプリ23は、日付、時刻、衛星からの測位情報(GPS)による現在場所を表示する(
図3のb))。あるいは、安否確認アプリ23は、入出力画面21を経由して、利用者から所在場所の自己申告を取得し、表示したりしても良い。
【0042】
安否確認アプリ23は、上述の各種情報を安否確認装置10に自動送信する。また、安否確認アプリ23は、従業員の緊急度に応じて人事管理装置30が送信してきた、例えば現地所在地点から最寄りの安全地帯または非常口までの「安全路」を表示して、利用者を誘導する(
図3のc))。
【0043】
携帯端末装置20内において、災害検出時に災害検出部24が自動撮影部25を起動する。自動撮影部25は起動されると、自撮カメラ22を用いて、入出力画面21の前方を撮影する。その理由は、利用者が健全であれば、災害情報を求めて入出力画面21を見ている可能性が高いからである。
【0044】
この可能性を高める為、自動撮影部25は、マイク/スピーカ27から、利用者の自撮り準備を促すメッセージを出力したり、一定時間、例えば、10秒ほど利用者が携帯端末装置20を覗き込むのを待って、撮影をしたりしても良い。
【0045】
その後、自動撮影部25は、GPSによる位置情報や、加速度センサの測定値等を収集し、撮影画像とともに、通信部26を介して安否確認装置10に送信する。このとき、自動撮影部25または通信部26は、利用者の識別子を併せて送信する。識別子は、携帯端末装置20の電話番号、MACアドレスでも良いし、予め記憶されている利用者のマイナンバーや社員番号でも良い。
【0046】
<安否確認装置10の動作>
携帯端末装置20が送信した撮影画像や利用者の識別子を受信すると、安否確認装置10の緊急度判定部11は、例えば撮影画像に基づいて、利用者の緊急度を判定する。
図4は、緊急度判定部11による、利用者の緊急度判定処理フローチャートの一部である。
【0047】
まず、緊急度判定部11は、携帯端末装置20が送信した撮影画像や利用者の識別子を受信すると(S1)、人物判定部12を起動する。人物判定部12は、撮影画像から人物像が抽出できるか否かを判定する(S2)。
【0048】
撮影画像から人物像が抽出できた場合(S2でYes)、人物判定部12は、個人情報記憶部13から、受信した識別子の利用者の顔写真を取得し、撮影画像から抽出した人物画像の人物との一致を判定する(S3)。撮影画像から抽出した人物画像が利用者識別子の人物と一致する場合(S3でYes)、緊急度判定部11は、撮影画像から抽出した人物画像における出血面積割合を算出する。この時、緊急度判定部11は、例えば、撮影画像から抽出した人物画像内で、出血と判断できる色彩を持つ人物画像内の領域の面積の割合を計算する。
【0049】
緊急度判定部11は、出血面積割合が所定値以上であれば(S6でYes)緊急度は「中」(S12)、所定値未満であれば(S6でNo)緊急度は「低」と判定する(S13)。この判断は、利用者本人が携帯端末装置20を使用しているので、それ程緊急度は高くはないとの考えによる。
【0050】
撮影画像から抽出した人物画像が利用者識別子の人物と一致しない場合(S3でNo)、緊急度判定部11は、状況問い合わせ画面と個人情報記憶部13から受信した識別子の利用者の顔写真を携帯端末装置20に送信する(S4)。これは、利用者本人が携帯端末装置20を使用できず、他人が使用している状況にあると考えられるので、本人特定の為に顔写真を送り、その状況を当該他人に答えてもらうために実行するのである。なお、状況問い合わせ画面と利用者の顔写真は、携帯端末装置20において通信部26が受信し、入出力画面21に表示される。
【0051】
状況問い合わせ画面に対する応答が得られれば(S5でYes)、緊急度判定部11は、応答内容に応じて緊急度を判定する(S11)。状況問い合わせ画面に対する応答が得られなければ(S5でNo)、緊急度判定部11は、緊急度を「高」と判断する。これは、利用者本人が携帯端末装置20を使用できず、他人が使用している状況にあり、かつ、当該他人は、同様に被災している等の状況にあり、救助支援の面で信頼できないと考えられるからである。
【0052】
人物判定部12が撮影画像から人物像が抽出できない場合(S2でNo)、緊急度判定部11は、撮影画像の明暗に応じて、緊急度を判定する。緊急度判定部11は、撮影画像が暗ければ(S7でYes)、緊急度を「高」と判定する(S14)。これは、利用者が、利用者本人が携帯端末装置20を使用できない状態で、暗い場所に閉じ込められている、例えば、意識が無い状態で、生き埋めになっている可能性が有るからである。
【0053】
緊急度判定部11は、撮影画像が暗くなければ(S7でNo)、緊急度を「中」と判定する(S15)。これは、利用者が、利用者本人が携帯端末装置20を使用できない状態で、戸外に放置されている可能性が有るからである。
【0054】
なお、緊急度判定部11は、緊急度の判定後(S10乃至S15)、判定した緊急度と利用者の識別子を人事管理装置30に送信する。
【0055】
また、緊急度判定部11は、適宜、例えば、S10、S14、および、S15の判定の前に、音声メッセージを携帯端末装置20に送信しても良い。緊急度判定部11は、音声応答があればその応答内容または音量に基づいて緊急度を判定し、音声応答が無ければ緊急度を「高」と判定しても良い。
【0056】
携帯端末装置20は、マイク/スピーカ27により音声通信を行うと共に、非常時伝言メッセージを録音する事が出来る。
【0057】
<人事管理装置30の動作>
人事管理装置30内において、緊急連絡部31は、安否確認装置10が送信した緊急度、および、利用者の識別子を受信し、緊急度が所定レベル以上、例えば、「高」であれば、連絡表記憶部32から受信した識別子の利用者の管理者連絡先を取得し、当該連絡先に通知する。
【0058】
<効果>
本実施の形態にかかる安否確認装置10は、被災者の状況を的確に反映しやすい情報に基づいて、被災者の置かれた状況の緊急度を判定する。その理由は、緊急度判定部11と人物判定部12が、携帯端末装置20が送信してきた、通常であれば利用者の顔であるべき撮影画像に基づいて、利用者の状況を判定するからである。
【0059】
本実施の形態にかかる安否確認システム50は、携帯端末装置20利用者の生命を確保し、利用者が会社の従業員である場合、会社の事業継続性を高める事ができる。その理由は、安否確認アプリ23が利用者本人の意識有無とは関係なく、状況にかかわる撮影画像を自動的に送信し、安否確認装置10が、その情報から利用者が置かれている状況の重篤性を自動判断するからである。さらに、人事管理装置30が、救援の優先順位を管理者、例えば、会社の上司に伝えるからである。
【0060】
即ち、利用者自らが、主体的に自身の安否情報を送信することが必須でなくなり、安否確認システム50は、怪我や意識喪失などにより、通知が遅れることで、生命にかかわる危険を低減することがきる。
【0061】
<変形例>
携帯端末装置20は、GPSから得た位置情報も送信する。安否確認装置10の緊急度判定部11は、位置情報を受信すると、人事管理装置30に転送しても良い。
【0062】
人事管理装置30は、連絡表記憶部32に利用者の識別子に関連付けて、利用者の勤務地情報を記憶しても良い。人事管理装置30が備える図示しない経路検索部は、受信した位置情報から勤務地における位置を特定し、避難場所への到達経路を検索し、安否確認装置10を経由して、携帯端末装置20に送信しても良い(
図3のc))。
【0063】
<第2の実施形態>
<構成と動作>
本発明の第2の実施の形態にかかる安否確認システム50において、携帯端末装置20は利用者の心拍数を送信する。安否確認装置10の個人情報記憶部13は、利用者の識別子に関連付けて、利用者の標準心拍数を記憶している。
【0064】
安否確認装置10の緊急度判定部11は、心拍数と識別子を受信すると、個人情報記憶部13内の当該利用者の標準心拍数を検索し、その差分に基づいて緊急度を判定する。
【0065】
図5は、第2の実施の形態にかかる安否確認システム50の構成を示す図である。本実施の形態において、携帯端末装置20の利用者は、腕時計70を身に付けている。
【0066】
腕時計70は、ウェアラブル端末装置である。腕時計70は、図示しない心拍計と近接無線通信部を備えている。安否確認アプリ23の自動撮影部25は、通信部26の近接無線通信機能を用いて腕時計70から心拍数を取得し、撮影画像等と共に安否確認装置10送信する。
【0067】
腕時計70は、脈拍の測定が出来るものであれば、一般的な心拍センサ(胸バンド型や身体貼り付け型などを含む)や、リストバンドやペンダント、指輪などの装身具、下着を含む衣服で代替えされても良い。
【0068】
また、携帯端末装置20が、例えば、スマートウォッチのようなウェアラブル端末装置であり、携帯端末装置20が直接心拍計を備えていても良い。
【0069】
<効果>
本実施の形態にかかる安否確認装置10は、被災者の状況を的確に反映しやすい多様な情報に基づいて、被災者の置かれた状況の緊急度を判定する。その理由は、緊急度判定部11が、心拍数に基づいて緊急度を判定するからである。
【0070】
<第3の実施形態>
図6は、第3の実施の形態にかかる安否確認装置10の構成を示す図である。安否確認装置10は、災害時に携帯端末装置20のカメラがディスプレイ画面の前方向を撮影した撮影画像を、受信して、撮影画像に基づいて携帯端末装置20の利用者の緊急度を判定し、緊急度を送信する緊急度判定部11を備える。
【0071】
緊急度判定部11は、例えば、人物画像か否か(
図4のS2)、本人か否か(S3)の判断を行わず、出血状態の判定(S6)や撮影画像の明度判定(S7)を実行するだけでも良い。
【0072】
本実施の形態にかかる安否確認装置10は、被災者の状況を的確に反映しやすい情報に基づいて、被災者の置かれた状況の緊急度を判定する。その理由は、緊急度判定部11が、携帯端末装置20が送信してきた、本来利用者の顔であるべき撮影画像に基づいて、利用者の状況を判定するからである。
【0073】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。