(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1メイントランジスタがオンである間、前記第1配線、トランジスタ回路及び第2配線を電流が流れることによって、前記第1配線及び第2配線にエネルギーが蓄えられ、
前記第1メイントランジスタがターンオフした場合、前記第1配線、第1サージ防護デバイス及び第2配線を電流が流れることによって、前記第1配線及び第2配線に蓄えられているエネルギーが消費される
請求項1に記載のスイッチ回路。
前記第1配線を介して前記トランジスタ回路の一端に第1蓄電装置の正極が接続され、前記第2配線を介して前記トランジスタ回路の他端に第2蓄電装置の正極が接続されている
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ回路。
前記サブトランジスタは、前記第1メイントランジスタの前記第2電極に接続される第3電極と、前記第1メイントランジスタの前記制御電極に接続される第4電極と、第2の制御電極とを有し、
該サブトランジスタは、前記第3電極の電位を基準とした前記第2の制御電極の電圧が一定電圧以上となった場合にターンオンし、
前記サブトランジスタの前記第3電極及び第2の制御電極間に接続される抵抗と、
カソードが前記サブトランジスタの前記第2の制御電極に接続され、アノードが接地されているダイオードと
を備える請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
前記第1メイントランジスタのターンオンよりも前に前記遮断スイッチをターンオンし、前記第1メイントランジスタがターンオフしてから所定期間が経過した後に、前記遮断スイッチをターンオフするスイッチ制御部
を備える請求項5に記載のスイッチ回路。
前記第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタのターンオンよりも前に前記保護トランジスタをターンオンし、前記第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタがターンオフしてから所定期間が経過した後に、前記保護トランジスタをターンオフするスイッチ制御部
を備える請求項7に記載のスイッチ回路。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本発明が解決しようとする課題]
特許文献1に記載されているスイッチ回路では、例えば、蓄電装置の正極がバイポーラトランジスタのコレクタ電極に接続され、バイポーラトランジスタのエミッタ電極が負荷の一端に接続され、蓄電装置の負極と、負荷の他端とは接地される。この場合において、バイポーラトランジスタがターンオンしたとき、蓄電装置はバイポーラトランジスタを介して負荷に電力を供給し、バイポーラトランジスタがターンオフしたとき、蓄電装置から負荷への電力供給は停止する。
【0008】
バイポーラトランジスタをターンオンする場合、接地電位を基準としたバイポーラトランジスタのベース電極の電圧を上昇させることによって、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧を上昇させる。バイポーラトランジスタをターンオフする場合、接地電位を基準としたバイポーラトランジスタのベース電極の電圧を低下させることによって、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧を低下させる。
【0009】
バイポーラトランジスタ及び負荷を接続する配線はインダクタンス成分(以下、配線インダクタンスという)を有する。バイポーラトランジスタがオンである間、配線に電流が流れ、配線インダクタンスにエネルギーが蓄えられる。
【0010】
バイポーラトランジスタをターンオフするために、接地電位を基準としたバイポーラトランジスタのベース
電極の電圧を低下させた場合、バイポーラトランジスタのコレクタ電極及びエミッタ電極間の抵抗値が上昇し、配線を流れる電流が低下する。このとき、配線インダクタンスは、配線を流れる電流を維持するために、接地電位を基準したエミッタ電極の電圧を低下させ、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧を一定電圧以上に維持する。これにより、バイポーラトランジスタを介して電流が流れ、配線インダクタンスに蓄えられたエネルギーが放出される。このエネルギーがゼロとなった場合、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧は一定電圧未満となり、バイポーラトランジスタはターンオフする。
【0011】
配線インダクタンスが接地電位を基準としたエミッタ電極の電圧を一定電圧以上に維持している間、エミッタ電極の電位を基準とした
ベース電極の電圧は低いので、バイポーラトランジスタのコレクタ電極及びエミッタ電極間の抵抗値は大きい。このため、バイポーラトランジスタで消費される電力が大きく、バイポーラトランジスタから発生する熱量が大きい。従って、バイポーラトランジスタが高温となってバイポーラトランジスタの機能が低下する虞がある。
そこで、本願では、ターンオフが行われた場合にトランジスタで発生する熱量が小さいスイッチ回路と、該スイッチ回路を備える電源システムとを提供することを目的とする。
【0012】
[本開示の効果]
本開示によれば、ターンオフが行われた場合にトランジスタで発生する熱量が小さい。
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0014】
(1)本発明の一態様に係るスイッチ回路は、車両用のスイッチ回路であって、第1電極と第2電極と制御電極とを有し、前記制御電極と前記第2電極との間の電圧に応じて、前記第1電極と前記第2電極との間のオン/オフが切り替わる第1メイントランジスタ
と、該第1メイントランジスタの前記第2電極に接続される第2メイントランジスタとを含むトランジスタ回路と、該トランジスタ回路の両端間に接続され、印加される電圧を第1所定電圧以下に維持する第1サージ防護デバイスと、前記第1メイントランジスタの前記制御電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1メイントランジスタがターンオフした場合にターンオンするサブトランジスタと、前記第1メイントランジスタの前記制御電極に接続され、該制御電極の電圧を低下させることによって、前記第1メイントランジスタをターンオフする駆動回路とを備え、
前記第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタは同時にターンオン又はターンオフし、前記トランジスタ回路の一端に第1配線が接続され、前記トランジスタ回路の他端に第2配線が接続され、前記第1メイントランジスタがオンである間、前記第1配線、トランジスタ回路及び第2配線を電流が流れ、前記第1メイントランジスタがターンオフした場合、前記第1配線、第1サージ防護デバイス及び第2配線を電流が流れ、前記第1メイントランジスタがターンオフした場合、前記駆動回路、サブトランジスタ
、前記第2メイントランジスタの寄生ダイオード及び第2配線の順に電流が流れる。
【0015】
上記の一態様にあっては、例えば、第2電極の電位を基準とした制御電極の電圧が一定電圧以上である場合に第1メイントランジスタはターンオンし、第1メイントランジスタがオンである間、第1配線、トランジスタ回路及び第2配線を電流が流れる。第2電極の電位を基準として制御電極の電圧が一定電圧未満である場合に第1メイントランジスタはターンオフする。
駆動回路が固定電位、例えば接地電位を基準とした第1メイントランジスタの制御電極の電圧を低下させることによって、第1メイントランジスタがターンオフした場合、サブトランジスタがターンオンするので、第2電極の電位を基準とした制御電極の電圧が一定電圧未満に維持され、第1メイントランジスタのオフが維持される。結果、ターンオフが行われた場合に第1メイントランジスタで発生する熱量が小さい。
【0016】
また、第1メイントランジスタがターンオフした場合、第1配線及び第2配線の配線インダクタンスに起因して、固定電位を基準とした第1電極の電圧が上昇し、固定電位を基準とした第2電極の電圧が低下する。本態様では、トランジスタ回路の両端間に第1サージ防護デバイスが接続されている。このため、第1メイントランジスタがターンオフした場合、第1配線、第1サージ防護デバイス及び第2配線を電流が流れ、第1メイントランジスタの両端間に印加される電圧は第1所定電圧以下に維持される。第1メイントランジスタがターンオフした場合、駆動回路、サブトランジスタ
、前記第2メイントランジスタの寄生ダイオード及び第2配線の順に電流が流れる。
また、第1メイントランジスタに第2メイントランジスタが接続され、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタは同時にターンオン又はターンオフする。第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタがFET(Field Effect Transistor)である場合、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタ夫々について、第1電極及び第2電極間にダイオードが形成されている。第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタのダイオードのアノード又はカソードが互いに接続されるように、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタを接続することが可能である。この場合、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタがオフであれば、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタのダイオードを介して電流が流れることはない。
(2)本発明の一態様に係るスイッチ回路では、前記第1メイントランジスタがオンである間、前記第1配線、トランジスタ回路及び第2配線を電流が流れることによって、前記第1配線及び第2配線にエネルギーが蓄えられ、前記第1メイントランジスタがターンオフした場合、前記第1配線、第1サージ防護デバイス及び第2配線を電流が流れることによって、前記第1配線及び第2配線に蓄えられているエネルギーが消費される。
(3)本発明の一態様に係るスイッチ回路では、前記第1配線を介して前記トランジスタ回路の一端に第1蓄電装置の正極が接続され、前記第2配線を介して前記トランジスタ回路の他端に第2蓄電装置の正極が接続されている。
(4)本発明の一態様に係るスイッチ回路では、前記サブトランジスタは、前記第1メイントランジスタの前記第2電極に接続される第3電極と、前記第1メイントランジスタの前記制御電極に接続される第4電極と、第2の制御電極とを有し、該サブトランジスタは、前記第3電極の電位を基準とした前記第2の制御電極の電圧が一定電圧以上となった場合にターンオンし、前記サブトランジスタの前記第3電極及び第2の制御電極間に接続される抵抗と、カソードが前記サブトランジスタの前記第2の制御電極に接続され、アノードが接地されているダイオードとを備える。
【0019】
(5)本発明の一態様に係るスイッチ回路は、前記トランジスタ回路及び第1サージ防護デバイス間に接続される遮断スイッチを備える。
【0020】
上記の一態様にあっては、遮断スイッチがオフである場合、第1サージ防護デバイスに電流が流れることはない。トランジスタ回路を介して2つの蓄電装置を接続する場合において、トランジスタ回路を介して一方の蓄電装置の正極を他方の蓄電装置の負極に誤って接続したとき、大きな電流が流れる可能性がある。しかし、第1メイントランジスタ及び遮断スイッチがオフであれば、第1サージ防護デバイス1を介して大きな電流が流れることはない。
【0021】
(6)本発明の一態様に係るスイッチ回路では、前記第1メイントランジスタのターンオンよりも前に前記遮断スイッチをターンオンし、前記第1メイントランジスタがターンオフしてから所定期間が経過した後に、前記遮断スイッチをターンオフするスイッチ制御部を備える。
【0022】
上記の一態様にあっては、第1メイントランジスタのターンオンよりも前に遮断スイッチをターンオンし、第1メイントランジスタがターンオフしてから所定期間が経過した後に遮断スイッチをターンオフするので、第1サージ防護デバイスが適切に作用する。
【0023】
(7)本発明の一態様に係るスイッチ回路は、前記トランジスタ回路及び第1サージ防護デバイスの間に接続され、印加される電圧を第2所定電圧以下に維持する第2サージ防護デバイスと、前記第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタ間の接続ノード、並びに、前記第1サージ防護デバイス及び第2サージ防護デバイス間の接続ノードの間に接続される保護トランジスタとを備える。
【0024】
上記の一態様にあっては、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタ夫々が例えばFETである場合、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタ夫々の第1電極及び第2電極間にダイオードが形成されている。このとき、一方のダイオードのアノード(又はカソード)は他方のダイオードのアノード(又はカソード)に接続されている。このため、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタがオフである場合、2つのダイオードを介して電流が流れることはない。保護トランジスタがオフである場合、トランジスタ回路の両端間の電圧が、第1所定電圧及び第2所定電圧の和とならない限り、第1サージ防護デバイス又は第2サージ防護デバイスを電流が流れることはない。従って、第1メイントランジスタ及び保護トランジスタがオフである限り、たとえ、トランジスタ回路に接続する蓄電装置の電極を誤った場合であっても、第1サージ防護デバイス及び第2サージ防護デバイスを介して大きな電流が流れることはない。
【0025】
また、保護トランジスタがオンである場合において、トランジスタ回路の両端間に第1所定電圧又は第2所定電圧以上の電圧が印加されたとき、第1サージ防護デバイス又は第2サージ防護デバイスを電流が流れる。このとき、第1メイントランジスタ又は第2メイントランジスタに形成されているダイオードを介して電流が流れる。
【0026】
(8)本発明の一態様に係るスイッチ回路は、前記第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタのターンオンよりも前に前記保護トランジスタをターンオンし、前記第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタがターンオフしてから所定期間が経過した後に、前記保護トランジスタをターンオフするスイッチ制御部を備える。
【0027】
上記の一態様にあっては、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタのターンオンよりも前に保護トランジスタをターンオンし、第1メイントランジスタ及び第2メイントランジスタをターンオフしてから所定期間が経過した後に保護トランジスタをターンオフする。これにより、第1サージ防護デバイス及び第2サージ防護デバイスは適切に作用する。
【0028】
(9)本発明の一態様に係る電源システムは、前述したスイッチ回路と、前記第1配線を介して前記トランジスタ回路の一端に正極が接続される第1蓄電装置と、前記第2配線を介して該トランジスタ回路の他端に正極が接続される第2蓄電装置とを備える。
【0029】
上記の一態様にあっては、
第1蓄電装置及び第2蓄電装置中の一方の蓄電装置は、スイッチ回路を介して他方の蓄電装置に電力を供給し、他方の蓄電装置は充電される。スイッチ回路では、サブトランジスタが設けられているため、第1メイントランジスタがターンオンした場合に第1メイントランジスタで発生する熱量は小さい。
【0030】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るスイッチ回路及び電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0031】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における電源システム100の構成を示す概略図である。電源システム100は車両に搭載される。電源システム100はサージ防護機能付きのスイッチ回路110を有している。
図1の例示では、サージ防護機能付きのスイッチ回路110は経路PS1,PS2、第1メイントランジスタTr1、第2メイントランジスタTr2、サブトランジスタTr3及び第1サージ防護デバイス1を備えている。
【0032】
経路PS1,PS2は互いに並列に接続される。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2は、経路PS1の上に設けられて、相互に直列に接続されている。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はNチャネル型のFETであり、その順方向は互いに逆である。
【0033】
第1メイントランジスタTr1はドレイン電極(第1電極)とソース電極(第2電極)とゲート電極(制御電極)とを備えている。第1メイントランジスタTr1はゲート電極とソース電極との間の制御電圧に応じて、ドレイン電極とソース電極とのオン/オフを切り替える。第1メイントランジスタTr1の順方向はドレイン電極からソース電極へと向かう方向である。よってドレイン電極は第1メイントランジスタTr1の順方向の上流側の電極である。第2メイントランジスタTr2も第1メイントランジスタTr1と同様の構成を有する。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はトランジスタ回路として機能する。
【0034】
第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々では、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が正の一定電圧以上である場合、ドレイン電極及びソース電極間に電流が流れることが可能である。このとき、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々はオンである。ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が高い程、ドレイン電極及びソース電極間の抵抗値は小さい。また、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々では、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が正の一定電圧未満である場合、ドレイン電極及びソース電極間に電流が流れることはない。このとき、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々はオフである。第1メイントランジスタTr1の一定電圧は第2メイントランジスタTr2の一定電圧と略一致している。
【0035】
第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のソース電極は互いに接続されており、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極は夫々ゲート抵抗R1,R2を介して、駆動回路2の一つの出力端21に共通して接続されている。ゲート抵抗R1,R2夫々は、例えば第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極に印加される電圧の発振を、抑制することができる。
【0036】
また
図1の例示では、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2には、夫々、ダイオードD1,D2が並列に接続されている。ダイオードD1の順方向は第1メイントランジスタTr1の順方向と反対であり、ダイオードD2の順方向は第2メイントランジスタTr2の順方向と反対である。このような第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2及びダイオードD1,D2はいわゆる双方向スイッチを構成する。ダイオードD1,D2夫々は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の寄生ダイオードである。ダイオードD1,D2夫々のカソードは第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続され、ダイオードD1,D2夫々のアノードは第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のソース電極に接続されている。従って、ダイオードD1,D2のアノードが互いに接続されているので、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオフである場合にダイオードD1,D2を介して電流が流れることはない。
【0037】
サブトランジスタTr3はNPN型のバイポーラトランジスタである。サブトランジスタTr3は第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々のゲート電極とソース電極との間に設けられている。
図1の例示では、サブトランジスタTr3のコレクタ電極が、ゲート抵抗R1,R2夫々を介して第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極に接続され、サブトランジスタTr3のエミッタ電極が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のソース電極に接続される。
【0038】
サブトランジスタTr3のベース電極とエミッタ電極との間には、抵抗R3が設けられている。また、サブトランジスタTr3のベース電極は、抵抗R4及びダイオードD3を介して接地される。ダイオードD3の順方向は、サブトランジスタTr3のベース電極へ向かう方向である。従って、サブトランジスタTr3のベース電極は、抵抗R4の一端に接続され、抵抗R4の他端にダイオードD3のカソードが接続され、ダイオードD3のアノードは接地されている。
【0039】
サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧が正の一定電圧以上である場合、コレクタ電極及びエミッタ電極間を電流が流れることが可能である。このとき、サブトランジスタTr3はオンである。エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧が高い程、コレクタ電極及びエミッタ電極間の抵抗値は小さい。また、サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧が正の一定電圧未満である場合、コレクタ電極及びエミッタ電極間を電流が流れることはない。このとき、サブトランジスタTr3はオフである。サブトランジスタTr3は、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧に応じてターンオン又はターンオフする。
サブトランジスタTr3のターンオン及びターンオフに係る一定電圧は、第1メイントランジスタTr1のターンオン及びターンオフに係る一定電圧よりも十分に低く、第2メイントランジスタTr2のターンオン及びターンオフに係る一定電圧よりも十分に低い。
【0040】
サブトランジスタTr3は後述するように、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフするときに、ターンオンする。より具体的には、サブトランジスタTr3は第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のターンオフの開始から完了までの間にターンオンする。またサブトランジスタTr3のターンオン速度は、サブトランジスタTr3が設けられていないときの、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のターンオフ速度よりも速い。
【0041】
駆動回路2は直流電源E1から電源電圧を受け取って動作する。駆動回路2は例えば外部からスイッチ信号を受け取って、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極へと制御電圧を出力する。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のオン/オフが切り替えられる。
【0042】
駆動回路2は接地されている。駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々について、接地電位を基準としたゲート電極の電圧を上昇させることによって、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧を上昇させる。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオンする。また、駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々について、接地電位を基準としたゲート電極の電圧を低下させることによって、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧を低下させる。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフする。駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のターンオン及びターンオフを同時に行う。ここで、「同時」は、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが完全に一致していることだけを意味せず、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが実質的に一致していることも意味する。
【0043】
第1サージ防護デバイス1は、経路PS2の上に設けられており、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路に対して、並列に接続されている。第1サージ防護デバイス1は、自身に印加される電圧が所定値(以下、降伏電圧とも呼ぶ)を超えたときに、電流を流す素子であり、いわゆるサージアブソーバである。第1サージ防護デバイス1としては例えば、半導体で構成されたサージアブソーバ(シリコンサージアブソーバ)、マイクロギャップ式のサージアブソーバ、アレスタ又はバリスタを採用することができる。第1サージ防護デバイス1の降伏電圧は例えば18[V]程度である。第1サージ防護デバイス1の両端間の電圧は降伏電圧以下に維持される。降伏電圧は、第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の端子電圧の差分値よりも高い。
【0044】
第1サージ防護デバイス1の他の構成として、2つのツェナーダイオードが直列に接続されている構成がある。この場合、一方のツェナーダイオードのカソードが他方のツェナーダイオードのカソードに接続されているか、又は、一方のツェナーダイオードのアノードが他方のツェナーダイオードのアノードに接続されている。2つのツェナーダイオードの降伏電圧は略一致している。
【0045】
図1の例示では、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極には、第1蓄電装置31の正極が接続されており、第2メイントランジスタTr2のドレイン電極には、第2蓄電装置32の正極が接続されている。第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の負極はいずれも接地されている。第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の電圧は例えば満充電状態において14[V]程度である。例えば第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32も車両に搭載される。
【0046】
図1の例示では、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極がコネクタ41に接続され、このコネクタ41に配線L1の一端が接続される。配線L1の他端は第1蓄電装置31の正極に接続される。同様に、第2メイントランジスタTr2のドレイン電極がコネクタ42に接続され、このコネクタ42に配線L2の一端が接続される。配線L2の他端は第2蓄電装置32の正極に接続される。配線L1,L2は例えばワイヤハーネスである。
図1の例示では、配線L1,L2の配線抵抗及び配線インダクタンスが等価的に示されている。配線抵抗は配線L1又は配線L2の抵抗成分であり、配線インダクタンスは配線L1又は配線L2のインダクタンス成分である。
【0047】
また車両には、多数の負荷(不図示)が設けられており、例えばこれらの負荷は、コネクタ41又はコネクタ42に接続される。これらの負荷は第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の少なくとも一方から電源電圧を受け取る。
【0048】
具体的には、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、前述した多数の負荷は、第1蓄電装置31又は第2蓄電装置32の一方から電源電圧を受け取る。更に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32中の一方の蓄電装置から他方の蓄電装置に電力が供給され、他方の蓄電装置は充電される。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオフである場合、コネクタ41に接続されている負荷には第1蓄電装置31から電力が供給され、コネクタ42に接続されている負荷には第2蓄電装置32から電力が供給される。
【0049】
次に、動作について説明する。ここでは代表的に、コネクタ41からコネクタ42へと電流が流れる場合について説明する。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンし、かつ、第1蓄電装置31の電圧が第2蓄電装置32の電圧よりも高ければ、第1蓄電装置31から配線L1、第1メイントランジスタTr1、第2メイントランジスタTr2及び配線L2を経由して第2蓄電装置32へ電流が流れる。これにより、第1蓄電装置31を用いて第2蓄電装置32が充電される。
【0050】
そして、第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の間を遮断するときには、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフさせる。
【0051】
図2は、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられていないスイッチ回路110の動作の説明図である。
図2には、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極及びソース電極夫々の電圧の推移と、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧の推移と、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を流れる電流の推移とが示されている。これらの推移では、横軸に時間が示されている。
図2に示すゲート電極及びソース電極夫々の電圧は、接地電位を基準とした電圧である。ゲート・ソース間の電圧は、ソース電極の電位を基準としたゲートの電圧である。
【0052】
駆動回路2は、ゲート電極の電圧を、予め設定されている設定電圧に調整することによって、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をオンにしている。このとき、ソース電極の電圧は、接地電位を基準とした第1蓄電装置31の端子電圧に略一致している。また、ゲート・ソース間の電圧は十分に高いため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の抵抗値は小さく、配線L1、第1メイントランジスタTr1、第2メイントランジスタTr2及び配線L2を介して、第1蓄電装置31から第2蓄電装置32に電流が流れている。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである間、配線L1,L2の配線インダクタンスにエネルギーが蓄えられる。
【0053】
駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするために、ゲート電極の電圧を、設定電圧から例えばゼロ[V]に調整する。この場合、配線L1の配線インダクタンスは、配線L1に流れている電流の大きさを維持するために、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧を上昇させる。また、ゲート電極の電圧が設定電圧からゼロ[V]に調整された場合、配線L2の配線インダクタンスは、配線L2に流れている電流の大きさを維持するため、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧を低下させる。これにより、ソース電極の電圧も低下する。
【0054】
配線L2の配線インダクタンスは、ゲート・ソース間の電圧が正の一定電圧以上となるまでソース電極の電圧を低下させる。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はオンに維持される。結果、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を介して電流が流れ続け、配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが放出される。配線L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなるまで、ゲート・ソース間の電圧は一定の電圧に維持され、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を流れる電流は一定の傾きで低下する。配線L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなった場合、ソース電極の電圧がゼロ[V]となる。これにより、ゲート・ソース間の電圧がゼロ[V]となり、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はターンオフする。当然のことながら、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオフである場合、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2に流れる電流はゼロ[A]である。
【0055】
配線L2の配線インダクタンスからエネルギーが放出されている間、ゲート・ソース間の電圧は小さいため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々におけるドレイン・ソース間の抵抗値は大きい。また、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を介して大きな電流、例えば100[A]を超える電流が流れる。このため、配線L2の配線インダクタンスからエネルギーが放出されている間、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々では大きな電力が消費され、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の温度が急速に上昇する。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の温度が高い場合、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の機能が低下する虞がある。
【0056】
図3は、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられているスイッチ回路110の動作の説明図である。
図3には、
図2と同様に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極及びソース電極夫々の電圧の推移と、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧の推移と、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を流れる電流の推移とが示されている。
【0057】
駆動回路2は、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられていない場合と同様に、ゲート電極の電圧を設定電圧に調整することによって、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をオンにしている。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである間、配線L1,L2の配線インダクタンスにエネルギーが蓄えられる。
また、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧は、接地電位を基準とした第1蓄電装置31の端子電圧に略一致しており、正の電圧である。このため、ダイオードD3の作用により、抵抗R3に電流が流れることはない。結果、サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧はゼロ[V]であり、正の一定電圧未満である。このため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、サブトランジスタTr3はオフである。
【0058】
駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするために、ゲート電極の電圧を、設定電圧から例えばゼロ[V]に調整した場合、配線L1の配線インダクタンスは、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧を上昇させ、配線L2の配線インダクタンスは、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧を低下させ、ソース電極の電圧を低下させる。
【0059】
ソース電極の電圧が低下した場合、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧が低下する。接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧が負の電圧となり、かつ、この電圧の絶対値が一定値以上となった場合、電流がダイオードD3及び抵抗R4,R3の順に流れ、抵抗R3で電圧降下が生じる。これにより、サブトランジスタTr3のエミッタ電極及びベース電極間に電圧差が発生する。これ以降、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧が低下すると共に、抵抗R3に流れる電流が上昇し、抵抗R3の電圧降下の幅が大きくなる。結果、サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧が上昇する。
【0060】
前述したように、サブトランジスタTr3のターンオフに係る一定電圧は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のターンオフに係る一定電圧よりも十分に低い。このため、ソース電極の電圧が低下した場合、まず、サブトランジスタTr3がターンオンする。そして、駆動回路2の出力端21から、サブトランジスタTr3、ダイオードD2及び配線L2の順に電流が流れ、配線L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが放出される。配線L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが放出されている間、サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧は低いため、サブトランジスタTr3におけるコレクタ・エミッタ間の抵抗値は大きい。しかし、駆動回路2の出力端21からサブトランジスタTr3を流れる電流は小さいため、サブトランジスタTr3で消費される電力は小さく、サブトランジスタTr3の温度の上昇幅は小さい。
【0061】
サブトランジスタTr3がオンである間、ゲート・ソース間の電圧は非常に低いため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はオフに維持され、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を流れる電流はゼロ[A]である。配線L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロになった場合、ソース電極の電圧がゼロ[V]となり、ゲート・ソース間の電圧がゼロ[V]となる。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオンすることはなく、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のオフが維持される。また、ソース電極の電圧がゼロ[V]となった場合、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧がゼロ[V]となるので、サブトランジスタTr3はターンオフする。
【0062】
図4は、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられているスイッチ回路110の動作の他の説明図である。
図4には、
図3で示したゲート・ソース間の電圧の推移が示されている。
図4には、更に、コネクタ41,42間の電圧の推移と、第1サージ防護デバイス1を流れる電流の推移とが示されている。これらの推移でも、横軸に時間が示されている。コネクタ41,42間の電圧は、コネクタ42の電位を基準としたコネクタ41の電圧である。
【0063】
ゲート・ソース間の電圧が高くて第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである間、コネクタ41,42間の電圧は略ゼロ[V]である。ゲート・ソース間の電圧が低下して第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした場合、前述したように、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧が上昇し、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧が低下する。このため、コネクタ41,42間の電圧は上昇する。コネクタ41,42間の電圧が第1サージ防護デバイス1の降伏電圧に到達した場合、配線L1、第1サージ防護デバイス1及び配線L2の順に電流が流れ、配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが消費される。配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなるまで、コネクタ41,42間の電圧は降伏電圧に維持され、第1サージ防護デバイス1を流れる電流は一定の傾きで低下する。配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなった場合、コネクタ41,42間の電圧は、第1蓄電装置31の端子電圧から第2蓄電装置32の端子電圧を減算することによって算出される電圧に維持される。
【0064】
コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れる場合、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられていないスイッチ回路110、並びに、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられているスイッチ回路110は、コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れる場合と同様に作用する。
第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンであり、かつ、第2蓄電装置32の電圧が第1蓄電装置31の電圧よりも高ければ、第2蓄電装置32から配線L2、第2メイントランジスタTr2、第1メイントランジスタTr1及び配線L1を経由して第1蓄電装置31へ電流が流れる。これにより、第1蓄電装置31は第2蓄電装置32によって充電される。
【0065】
以下では、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられていないスイッチ回路110について、コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れている場合における動作と、コネクタ41からコネクタ42へ電流が流れている場合における動作との違いを説明する。
【0066】
駆動回路2が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をオンにして電流がコネクタ42からコネクタ41へ流れている場合、ソース電極の電圧は、接地電位を基準とした第2蓄電装置32の端子電圧に略一致している。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである間、配線L1,L2の配線インダクタンスにエネルギーが蓄えられる。
【0067】
駆動回路2が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするために、ゲート電極の電圧を設定電圧から例えばゼロ[V]に調整した場合、配線L2の配線インダクタンスは、配線L2に流れている電流の大きさを維持するために、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧を上昇させる。また、ゲート電極の電圧が設定電圧からゼロ[V]に調整された場合、配線L1の配線インダクタンスは、配線L1に流れている電流の大きさを維持するため、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧を低下させる。これにより、ソース電極の電圧も低下する。
【0068】
配線L1の配線インダクタンスは、ゲート・ソース間の電圧が正の一定電圧以上となるまで、ソース電極の電圧を低下させる。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はオンに維持される。結果、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を介して電流が流れ続け、配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが放出される。配線L1の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなるまで、ゲート・ソース間の電圧は一定の電圧に維持され、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を流れる電流は一定の傾きで低下する。配線L1の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなった場合、ソース電極の電圧がゼロ[V]となる。これにより、ゲート・ソース間の電圧がゼロ[V]となり、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はターンオフする。
【0069】
配線L1の配線インダクタンスからエネルギーが放出されている間、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々では大きな電力が消費され、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の温度が急速に上昇する。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の温度が高い場合、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の機能が低下する虞がある。
【0070】
以下では、第1サージ防護デバイス1及びサブトランジスタTr3が設けられているスイッチ回路110について、コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れている場合における動作と、コネクタ41からコネクタ42へ電流が流れている場合における動作との違いを説明する。
【0071】
第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧は、接地電位を基準とした第2蓄電装置32の端子電圧に略一致しており、正の電圧である。このため、抵抗R3に電流が流れず、サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧はゼロ[V]であり、正の一定電圧未満である。結果、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、サブトランジスタTr3はオフである。
【0072】
駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするために、ゲート電極の電圧を、設定電圧から例えばゼロ[V]に調整した場合、配線L2の配線インダクタンスは、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧を上昇させ、配線L1の配線インダクタンスは、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧を低下させ、ソース電極の電圧を低下させる。ソース電極の電圧が低下した場合、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧が低下し、サブトランジスタTr3がターンオンする。
【0073】
そして、駆動回路2の出力端21から、サブトランジスタTr3、ダイオードD1及び配線L1の順に電流が流れ、配線L1の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが放出される。配線L1の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが放出されている間、サブトランジスタTr3で消費される電力は小さく、サブトランジスタTr3の温度の上昇幅は小さい。
【0074】
サブトランジスタTr3がオンである間、ゲート・ソース間の電圧は非常に低いため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2はオフに維持される。配線L1の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロになった後、ゲート・ソース間の電圧がゼロ[V]となり、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオフに維持される。また、ソース電極の電圧がゼロ[V]となった場合、サブトランジスタTr3はターンオフする。
【0075】
ゲート・ソース間の電圧が低下して第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした場合、前述したように、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧が上昇し、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧が低下する。このため、コネクタ41,42間の電圧の絶対値は上昇する。コネクタ41,42間の電圧が第1サージ防護デバイス1の降伏電圧に到達した場合、配線L2、第1サージ防護デバイス1及び配線L1の順に電流が流れ、配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーが消費される。配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなるまで、コネクタ41,42間の電圧の絶対値は降伏電圧に維持され、第1サージ防護デバイス1を流れる電流は一定の傾きで低下する。配線L1,L2の配線インダクタンスに蓄えられているエネルギーがゼロとなった場合、コネクタ41,42間の電圧の絶対値は、第2蓄電装置32の端子電圧から第1蓄電装置31の端子電圧を減算することによって算出される電圧に維持される。
【0076】
以上のように、駆動回路2が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフした場合、サブトランジスタTr3がターンオンするので、ゲート・ソース間の電圧が一定電圧未満に維持され、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のオフが維持される。結果、ターンオフが行われた場合に第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2で発生する熱量は小さい。また、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々のドレイン電極間に第1サージ防護デバイス1が接続されているので、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々の両端間に印加される電圧は降伏電圧以下に維持される。
【0077】
(実施形態2)
実施形態1では、一対の第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2が設けられているものの、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の両方が設けられる必要はない。例えば第2蓄電装置32の替わりに負荷が設けられるときには、第2メイントランジスタTr2は不要である。
以下では、実施形態2について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0078】
図5は実施形態2におけるスイッチ回路110の一部を示す概略図である。
図5の例示では、第1メイントランジスタTr1及び第1サージ防護デバイス1は、夫々経路PS1,PS2の上に設けられており、相互に並列に接続されることになる。またこの場合、第1サージ防護デバイス1は双方向に対応する必要はなく、片方向のサージ防護デバイスであってもよい。そして、第1サージ防護デバイス1の電圧(第1メイントランジスタTr1の順方向電圧)が降伏電圧を超えると、第1サージ防護デバイス1はオンする。なお、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の夫々に対して、片方向の第1サージ防護デバイス1を並列に接続させてもよい。降伏電圧は、第1蓄電装置31の端子電圧を超えている。実施形態2では第1メイントランジスタTr1がトランジスタ回路として機能する。
【0079】
図5の例示では、第1サージ防護デバイス1はツェナーダイオードを有し、このツェナーダイオードのカソード及びアノード夫々は、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極及びソース電極に接続されている。第1サージ防護デバイス1では、アノードの電位を基準としたカソードの電圧が降伏電圧となった場合、電流がカソードからアノードへ流れ、第1メイントランジスタTr1のドレイン及びソース間の電圧を降伏電圧以下に維持する。
第1メイントランジスタTr1のドレイン電極はコネクタ41に接続され、第1メイントランジスタTr1のソース電極は、コネクタ42と、サブトランジスタTr3のエミッタ電極とに接続されている。
【0080】
以上のように構成された実施形態2におけるスイッチ回路110は、実施形態1におけるスイッチ回路110と同様の効果を奏する。
なお、実施形態2におけるスイッチ回路110では、コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れることはない。また、実施形態2におけるスイッチ回路110では、第2メイントランジスタTr2及び抵抗R2は設けられていない。
【0081】
(実施形態3)
実施形態2において、第1メイントランジスタTr1の数は2以上であってもよい。
以下では、実施形態3について実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態2と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0082】
図6は、実施形態3におけるスイッチ回路110の一部を示す概略図である。複数の経路PS1が設けられ、各経路PS1は経路PS2に対して並列に接続されている。各経路PS1の上には第1メイントランジスタTr1が設けられる。つまり、複数の第1メイントランジスタTr1は互いに並列に接続されている。第1サージ防護デバイス1は、この複数の第1メイントランジスタTr1に対して並列に接続される。第1サージ防護デバイス1の個数は例えば第1メイントランジスタTr1の個数よりも少なく、
図6の例示では一つである。実施形態3では、複数の第1メイントランジスタTr1がトランジスタ回路として機能する。
【0083】
駆動回路2の出力端21は、抵抗R1を介して、複数の第1メイントランジスタTr1夫々のゲート電極に接続されている。駆動回路2は複数の第1メイントランジスタTr1のターンオン及びターンオフを同時に行う。ここで、「同時」は、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが完全に一致していることだけを意味せず、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが実質的に一致していることも意味する。
複数の第1メイントランジスタTr1夫々のドレイン電極及びソース電極間にダイオードD1が接続されている。
【0084】
以上のように構成された実施形態3におけるスイッチ回路110は、実施形態2におけるスイッチ回路110と同様の効果を奏する。
実施形態2,3において、第1メイントランジスタTr1は、Nチャネル型のFETに限定されず、NPN型のバイポーラトランジスタ又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であってもよい。
【0085】
(実施形態4)
実施形態1において、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路の数が2以上であってもよい。
以下では、実施形態4について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0086】
図7は、実施形態4におけるスイッチ回路110の一部を示す概略図である。複数の経路PS1が設けられ、各経路PS1は経路PS2に対して並列に接続されている。各経路PS1の上には互いに直列に接続された第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2が設けられる。つまり、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2からなる複数の直列回路が、互いに並列に接続されている。第1サージ防護デバイス1は、この複数の直列回路に対して並列に接続される。第1サージ防護デバイス1の個数は当該直列回路の個数よりも少なく、
図7の例示では一つである。実施形態4では、複数の第1メイントランジスタTr1及び複数の第2メイントランジスタTr2がトランジスタ回路として機能する。
【0087】
各第1メイントランジスタTr1のドレイン電極及びソース電極間にダイオードD1が接続されている。各第2メイントランジスタTr2のドレイン電極及びソース電極間にダイオードD2が接続されている。複数の第1メイントランジスタTr1夫々のソース電極は、サブトランジスタTr3のエミッタ電極に接続されている。
【0088】
駆動回路2の出力端21は、抵抗R1を介して、複数の第1メイントランジスタTr1夫々のゲート電極に接続されると共に、抵抗R2を介して、複数の第2メイントランジスタTr2夫々のゲート電極に接続されている。駆動回路2は全ての第1メイントランジスタTr1及び全ての第2メイントランジスタTr2のターンオン及びターンオフを同時に行う。ここで、「同時」は、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが完全に一致していることだけを意味せず、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが実質的に一致していることも意味する。
以上のように構成された実施形態4におけるスイッチ回路110は、実施形態1におけるスイッチ回路110と同様の効果を奏する。
【0089】
(実施形態5)
実施形態1において、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々の数は1つに限定されない。
以下では、実施形態5について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0090】
図8は、実施形態5におけるスイッチ回路110の一部を示す概略図である。このスイッチ回路110は、複数の第1メイントランジスタTr1及び複数の第2メイントランジスタTr2を有する。複数の第1メイントランジスタTr1が並列に接続され、複数の第2メイントランジスタTr2が並列に接続されている。各第1メイントランジスタTr1のドレイン電極及びソース電極間にダイオードD1が接続されている。各第2メイントランジスタTr2のドレイン電極及びソース電極間にダイオードD2が接続されている。実施形態5では、複数の第1メイントランジスタTr1及び複数の第2メイントランジスタTr2はトランジスタ回路として機能する。
【0091】
第1メイントランジスタTr1のドレイン電極及びソース電極間には、第1サージ防護デバイス1aが接続されている。
図8の例示では、第1サージ防護デバイス1aはツェナーダイオードを有し、このツェナーダイオードのカソード及びアノード夫々は、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極及びソース電極に接続されている。
同様に、第2メイントランジスタTr2のドレイン電極及びソース電極間には、第1サージ防護デバイス1bが接続されている。
図8の例示では、第1サージ防護デバイス1bもツェナーダイオードを有し、このツェナーダイオードのカソード及びアノード夫々は、第2メイントランジスタTr2のドレイン電極及びソース電極に接続されている。
【0092】
第1サージ防護デバイス1aのツェナーダイオードにおいて、アノードの電位を基準としたカソードの電圧が降伏電圧となった場合、カソードからアノードへ電流が流れる。第1サージ防護デバイス1aのツェナーダイオードのアノードから、複数のダイオードD2及び第1サージ防護デバイス1bの少なくとも1つを介して電流が流れる。
同様に、第1サージ防護デバイス1bのツェナーダイオードにおいて、アノードの電位を基準としたカソードの電圧が降伏電圧となった場合、カソードからアノードへ電流が流れる。第1サージ防護デバイス1bのツェナーダイオードのアノードから、複数のダイオードD1及び第1サージ防護デバイス1aの少なくとも1つを介して電流が流れる。
第1サージ防護デバイス1a,1b夫々の降伏電圧は、第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の端子電圧の差分値を超えている。
【0093】
駆動回路2は全ての第1メイントランジスタTr1及び全ての第2メイントランジスタTr2のターンオン及びターンオフを同時に行う。ここで、「同時」は、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが完全に一致していることだけを意味せず、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが実質的に一致していることも意味する。
以上のように構成された実施形態5におけるスイッチ回路110は、実施形態1におけるスイッチ回路110と同様の効果を奏する。
【0094】
なお、実施形態5において、第1メイントランジスタTr1の数は、第2メイントランジスタTr2の数と同じでもよく、異なっていてもよい。また、第1メイントランジスタTr1の数が1であって、第2メイントランジスタTr2の数が2以上であってもよい。更に、第2メイントランジスタTr2の数が1であって、第1メイントランジスタTr1の数が2以上であってもよい。
【0095】
(実施形態6)
図1に示すように第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32が設けられる場合、作業員は第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32を誤って接続する可能性がある。例えば第2蓄電装置32の正極と負極とを逆に接続することがある。つまり第2蓄電装置32の負極がコネクタ42に接続され、第2蓄電装置32の正極が接地される。以下では、このように正極と負極とを逆にして第1蓄電装置31又は第2蓄電装置32を接続する状態を、逆接続状態とも呼ぶ。
【0096】
この場合、第1サージ防護デバイス1には、第1蓄電装置31の電圧と、第2蓄電装置32の電圧との和が印加される。例えば第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の電圧が14[V]である場合には、第1サージ防護デバイス1には28[V]の電圧が印加される。第1サージ防護デバイス1の降伏電圧をこの和よりも大きく設定すると、上記のように第2蓄電装置32を誤接続しても、その作業中に電流が流れることを防止できる。しかしながら、第1サージ防護デバイス1の降伏電圧を増大すると、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2に生じる電圧の増大を招くので、好ましくない。
【0097】
そこで、実施形態6では、第1サージ防護デバイス1の降伏電圧の増大量を抑制しつつ、誤った接続による電流を防止することを企図する。
以下では、実施形態6について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0098】
図9は、実施形態6におけるスイッチ回路110の一部を示す概略図である。
図9のサージ防護機能付きのスイッチ回路110では、実施形態1と比較して、双方向スイッチである遮断スイッチS1を更に備えている。遮断スイッチS1は経路PS2において第1サージ防護デバイス1に直列に接続されている。つまり、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路は、第1サージ防護デバイス1及び遮断スイッチS1の直列回路に並列に接続される。実施形態6では、実施形態1と同様に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がトランジスタ回路として機能する。
【0099】
図9の例示では、遮断スイッチS1は、遮断トランジスタTr4,Tr5を備えている。遮断トランジスタTr4,Tr5は互いに直列に接続されており、その順方向は互いに反対である。遮断トランジスタTr4,Tr5はNチャネル型のFETである。また、遮断トランジスタTr4,Tr5には、夫々ダイオードD4,D5が並列に接続されている。遮断トランジスタTr4及びダイオードD4の順方向は互いに反対であり、遮断トランジスタTr5及びダイオードD5の順方向は互いに反対である。
【0100】
従って、遮断トランジスタTr4のドレイン電極は、第1サージ防護デバイス1のコネクタ42側の一端に接続され、遮断トランジスタTr4のソース電極は、遮断トランジスタTr5のソース電極に接続されている。遮断トランジスタTr5のドレイン電極は第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続されている。ダイオードD4,D5夫々は、遮断トランジスタTr4,Tr5の寄生ダイオードである。ダイオードD4について、カソードは遮断トランジスタTr4のドレイン電極に接続され、アノードは遮断トランジスタTr4のソース電極に接続されている。ダイオードD5について、カソードは遮断トランジスタTr5のドレイン電極に接続され、アノードは遮断トランジスタTr5のソース電極に接続されている。
【0101】
なお、遮断トランジスタTr4のドレイン電極が遮断トランジスタTr5のドレイン電極に接続されてもよい。この場合、遮断トランジスタTr4のソース電極は、第1サージ防護デバイス1のコネクタ42側の一端に接続され、遮断トランジスタTr5のソース電極は第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続される。また、遮断スイッチS1は第1サージ防護デバイス1に直列に接続されていればよい。このため、遮断スイッチS1は、第1サージ防護デバイス1のコネクタ41側の一端に接続されてもよい。
【0102】
遮断トランジスタTr4,Tr5夫々は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2と同様に、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が正の一定電圧以上である場合、オンである。また、遮断トランジスタTr4,Tr5夫々は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2と同様に、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が正の一定電圧未満である場合、オフである。遮断トランジスタTr4の一定電圧は遮断トランジスタTr5の一定電圧と略一致している。
【0103】
実施形態6におけるスイッチ回路110はスイッチ制御部6を更に有し、スイッチ制御部6は遮断トランジスタTr4,Tr5夫々のゲート電極に接続されている。スイッチ制御部6は、遮断トランジスタTr4,Tr5夫々について、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧を調整する。これにより、スイッチ制御部6は遮断トランジスタTr4,Tr5夫々のターンオン及びターンオフを行う。
【0104】
スイッチ制御部6は、遮断トランジスタTr4,Tr5を同時にターンオンすることによって、遮断スイッチS1をターンオンし、遮断トランジスタTr4,Tr5を同時にターンオフすることによって、遮断スイッチS1をターンオフする。
ここで、「同時」は、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが完全に一致していることだけを意味せず、ターンオン及びターンオフを行うタイミングが実質的に一致していることも意味する。
【0105】
電源システム100が逆接続状態であっても、第1メイントランジスタTr1、第2メイントランジスタTr2及び遮断スイッチS1がオフであれば、第1サージ防護デバイス1を介して大きな電流が流れることはない。よって、より小さな降伏電圧を有する第1サージ防護デバイス1を用いることができる。例えば、第1サージ防護デバイス1の降伏電圧は、実施形態1と同様の降伏電圧であってもよい。第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11夫々の降伏電圧は、第1蓄電装置31及び第2蓄電装置32の差分値を超えている。
また、電源システム100が逆接続状態である場合において、遮断スイッチS1がオフであるとき、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路に印加される電圧は、遮断スイッチS1及び第1サージ防護デバイス1の直列回路にも印加される。このとき、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路に印加される電圧は、遮断スイッチS1と、第1サージ防護デバイス1とに分圧される。よって、第1サージ防護デバイス1に印加される電圧は低いので、第1サージ防護デバイス1又は遮断スイッチS1が焼損することはない。
【0106】
スイッチ制御部6は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするまでに、遮断スイッチS1をターンオンする。つまり、遮断スイッチS1をオンした状態で、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフする。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした際に、第1サージ防護デバイス1は適切に機能する。
【0107】
遮断スイッチS1については、以後、常にオンしていてもよいし、あるいは、車両のイグニッションのオフに応じて、オフしてもよい。しかしながら、遮断スイッチS1をオンに維持するためには、スイッチ制御部6は制御電圧を出力する必要がある。ここでは遮断スイッチS1はノーマリオフである。この制御電圧の出力によって、電力を消費し得る。そこで、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオフした状態では、遮断スイッチS1もオフしてもよい。つまりスイッチ制御部6は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフしてから所定期間T1後に、遮断スイッチS1をターンオフしてもよい。
図10は、第1メイントランジスタTr1と遮断スイッチS1のタイミングチャートの一例を示している。
【0108】
この所定期間T1は次のように設定してもよい。即ち、第1サージ防護デバイス1に流れる電流がゼロに至るのに十分な期間を、所定期間T1として採用してもよい。言い換えれば、スイッチ制御部6は、第1サージ防護デバイス1に流れる電流がゼロに至った後に遮断スイッチS1をターンオフしてもよい。この期間については、例えば実験又はシミュレーションにより、予め求めることができる。このように電流がゼロの状態で遮断スイッチS1をターンオフすることで、遮断スイッチS1のスイッチング損失の発生を回避することができる。
【0109】
以上のように構成された実施形態6におけるスイッチ回路110は、実施形態1におけるスイッチ回路110と同様の効果も奏する。
なお、遮断トランジスタTr4,Tr5夫々は、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFETであってもよい。この場合、遮断トランジスタTr4,Tr5夫々は、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が負の一定電圧未満である場合、オンである。また、遮断トランジスタTr4,Tr5夫々は、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が負の一定電圧以上である場合、オフである。
また、遮断スイッチS1の構成は、遮断トランジスタTr4,Tr5の代わりに、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等を用いる構成であってもよい。
【0110】
(実施形態7)
図11は、実施形態7におけるスイッチ回路110の一部を示す概略図である。
以下では、実施形態7について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0111】
図11のサージ防護機能付きのスイッチ回路110には、実施形態1と比較して、第2サージ防護デバイス11が更に設けられている。第2サージ防護デバイス11は経路PS2において第1サージ防護デバイス1に直列に接続されている。つまり、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11の直列回路は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路に並列に接続される。実施形態7では、実施形態1と同様に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がトランジスタ回路として機能する。
【0112】
図11のサージ防護機能付きのスイッチ回路110には、実施形態1と比較して、保護トランジスタTr6及びダイオードD6が更に設けられている。保護トランジスタTr6は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2間の接続ノードP1と、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11間の接続ノードP2との間に接続される。保護トランジスタTr6には、ダイオードD6が並列に接続されている。ダイオードD6の順方向は保護トランジスタTr6の順方向とは反対である。
図11の例示では、保護トランジスタTr6の順方向は接続点P2から接続点P1へと向かう方向である。保護トランジスタTr6はNチャネル型のFETである。
【0113】
このような構成によれば、第1メイントランジスタTr1、保護トランジスタTr6及びダイオードD1,D6が双方向スイッチを形成し、第2メイントランジスタTr2、保護トランジスタTr6及びダイオードD2,D6が双方向スイッチを形成する。ダイオードD6は保護トランジスタTr6の寄生ダイオードである。
【0114】
従って、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々のソース電極に保護トランジスタTr6のソース電極が接続されており、保護トランジスタTr6のドレイン電極は、第1サージ防護デバイス1のコネクタ42側の一端と、第2サージ防護デバイス11の一端とに接続されている。第2サージ防護デバイス11の他端は第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続されている。ダイオードD6について、カソードは保護トランジスタTr6のドレインに接続され、アノードは保護トランジスタTr6のソースに接続されている。第2サージ防護デバイス11は、第1サージ防護デバイス1と同様に構成されている。
【0115】
保護トランジスタTr6は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2と同様に、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が正の一定電圧以上である場合、オンである。また、保護トランジスタTr6は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2と同様に、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧が正の一定電圧未満である場合、オフである。
【0116】
実施形態7におけるスイッチ回路110はスイッチ制御部61を更に有し、スイッチ制御部61は保護トランジスタTr6のゲート電極に接続されている。スイッチ制御部61は、保護トランジスタTr6について、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電圧を調整する。これにより、スイッチ制御部61は保護トランジスタTr6のターンオン及びターンオフを行う。
【0117】
第1蓄電装置31又は第2蓄電装置32は第1メイントランジスタTr1、第2メイントランジスタTr2及び保護トランジスタTr6がオフである状態で接続される。このとき、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路に印加される電圧が、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11夫々の降伏電圧の和とならない限り、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11を介して電流が流れることはない。従って、第1メイントランジスタTr1、第2メイントランジスタTr2及び保護トランジスタTr6がオフである限り、たとえ、電源システム100が逆接続状態であっても、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11を介して大きな電流が流れることはない。また、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の直列回路に印加される電圧は、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11によって分圧される。よって、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11に印加される電圧は低いので、第1サージ防護デバイス1又は第2サージ防護デバイス11が焼損することはない。
【0118】
保護トランジスタTr6がオンである場合においては、第2メイントランジスタTr2のドレイン電極の電位を基準とした第1メイントランジスタTr1のドレイン電極の電圧が第1サージ防護デバイス1の降伏電圧となったとき、電流が第1サージ防護デバイス1、保護トランジスタTr6及びダイオードD2の順に流れる。同様の場合において、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極の電位を基準とした第2メイントランジスタTr2のドレイン電極の電圧が第2サージ防護デバイス11の降伏電圧となったとき、電流が第2サージ防護デバイス11、保護トランジスタTr6及びダイオードD1の順に流れる。
従って、例えば第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11として、実施形態1と同様の降伏電圧を有するサージ防護デバイスを採用することができる。
【0119】
スイッチ制御部61は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするまでに、保護トランジスタTr6をターンオンする。つまり、保護トランジスタTr6をオンした状態で、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフすることができる。これにより、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした際に、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11は適切に機能する。
【0120】
電流が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2を介してコネクタ41からコネクタ42へ流れている状態で、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした場合、前述したように、コネクタ42の電位を基準としたコネクタ41の電圧が上昇する。この電圧が第1サージ防護デバイス1の降伏電圧となった場合、コネクタ41から第1サージ防護デバイス1、保護トランジスタTr6及びダイオードD2の順に電流が流れる。
【0121】
同様に、電流が第2メイントランジスタTr2及び第1メイントランジスタTr1を介してコネクタ42からコネクタ41へ流れている状態で、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした場合、前述したように、コネクタ41の電位を基準としたコネクタ42の電圧が上昇する。この電圧が第2サージ防護デバイス11の降伏電圧となった場合、コネクタ42から第2サージ防護デバイス11、保護トランジスタTr6及びダイオードD1の順に電流が流れる。
従って、実施形態7におけるスイッチ回路110は、実施形態1におけるスイッチ回路110と同様の効果を奏する。
【0122】
保護トランジスタTr6については、ターンオンが行われた後、オンに維持されていてもよいし、あるいは、車両のイグニッションのオフに応じて、オフしてもよい。しかしながら、保護トランジスタTr6をオンに維持するために、スイッチ制御部61は制御電圧を出力する必要がある。ここでは保護トランジスタTr6はノーマリオフである。この制御電圧の出力によって、電力を消費し得る。そこで、遮断スイッチS1と同様に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフしてから所定期間後に、保護トランジスタTr6をターンオフしてもよい。
【0123】
またスイッチ制御部61は、第1サージ防護デバイス1及び第2サージ防護デバイス11に流れる電流がゼロになった後に、保護トランジスタTr6をターンオフしてもよい。これにより、保護トランジスタTr6のスイッチング損失を低減することができる。
なお、実施形態7において、保護トランジスタTr6は、スイッチとして機能すればよいため、バイポーラトランジスタ又はIGBT等であってもよい。
【0124】
(実施形態8)
実施形態1では、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極が第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続されている。しかしながら、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2の接続はこのような接続に限定されない。
以下では、実施形態8について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0125】
図12は実施形態8における電源システム100の概略図である。実施形態8におけるスイッチ回路110では、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極が第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続されている。第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2夫々のソース電極は、コネクタ41,42に接続されている。ダイオードD1のカソードはダイオードD2のカソードに接続され、ダイオードD1,D2夫々のアノードはコネクタ41,42に接続されている。第1サージ防護デバイス1はコネクタ41,42間に接続されている。サブトランジスタTr3のエミッタ電極は、第2メイントランジスタTr2のソース電極に接続されている。ダイオードD1,D2のカソードが互いに接続されているので、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオフである場合にダイオードD1,D2を介して電流が流れることはない。実施形態8では、実施形態1と同様に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がトランジスタ回路として機能する。
【0126】
スイッチ回路110は、更に、サブトランジスタTr7、ダイオードD7及び抵抗R5,R6を有する。サブトランジスタTr7はNPN型のバイポーラトランジスタである。サブトランジスタTr7について、エミッタ電極は、第1メイントランジスタTr1のソース電極に接続され、コレクタ電極は、抵抗R1を介して第1メイントランジスタTr1のゲート電極に接続されると共に、抵抗R2を介してTr2のゲート電極に接続されている。サブトランジスタTr3のエミッタ電極及びベース電極間に抵抗R5が接続されている。サブトランジスタTr3のベース電極には、更に、抵抗R6の一端が接続され、抵抗R6の他端はダイオードD7のカソードに接続されている。ダイオードD7のアノードは接地されている。
【0127】
サブトランジスタTr7は、サブトランジスタTr3と同様に、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧が正の一定電圧以上である場合、オンである。また、サブトランジスタTr7は、サブトランジスタTr3と同様に、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧が正の一定電圧未満である場合、オフである。サブトランジスタTr7は、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧に応じてターンオン又はターンオフする。
サブトランジスタTr7のターンオン及びターンオフに係る一定電圧も、第1メイントランジスタTr1のターンオン及びターンオフに係る一定電圧よりも十分に低く、第2メイントランジスタTr2のターンオン及びターンオフに係る一定電圧よりも十分に低い。
【0128】
コネクタ41からコネクタ42へ電流が流れている場合において、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフしたとき、サブトランジスタTr3は実施形態1と同様に作用し、第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧は
図1に示すゲート・ソース間の電圧と同様に推移する。従って、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした後、第2メイントランジスタTr2のオフは維持される。
【0129】
図13はスイッチ回路110の動作の説明図である。
図13には、第1メイントランジスタTr1のゲート電極及びソース電極夫々の電圧の推移と、第1メイントランジスタTr1のゲート・ソース間の電圧の推移とが示されている。これらの推移では、横軸に時間が示されている。
図13に示すゲート電極及びソース電極夫々の電圧は、接地電位を基準とした電圧である。ゲート・ソース間の電圧は、ソース電極の電位を基準としたゲートの電圧である。
【0130】
駆動回路2が実施形態1と同様に第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をオンにしている場合、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧は、第1蓄電装置31の端子電圧と略一致しており、正の電圧である。このため、ダイオードD7の作用により、抵抗R5に電流が流れることはない。結果、サブトランジスタTr7においてエミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧はゼロ[V]であり、正の一定電圧未満である。このため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、サブトランジスタTr7はオフである。
【0131】
駆動回路2は、実施形態1と同様に、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするために、ゲート電極の電圧を、設定電圧から例えばゼロ[V]に調整する。配線L1の配線インダクタンスは、接地電位を基準としたコネクタ41の電圧を、コネクタ41,42間の電圧が第1サージ防護デバイス1の降伏電圧となるまで上昇させる。このとき、接地電位を基準としたサブトランジスタTr7のエミッタ電極の電圧は、依然として正の電圧であり、サブトランジスタTr7はオフに維持されている。
【0132】
第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極の電圧が設定電圧からゼロ[V]に調整された場合、第1メイントランジスタTr1のソース電極の電圧が上昇するため、第1メイントランジスタTr1のゲート・ソース間の電圧は負となる。このため、第1メイントランジスタTr1のゲート・ソース間の電圧が正の一定電圧以上となることはなく、第1メイントランジスタTr1はオフに維持される。
【0133】
第1サージ防護デバイス1は実施形態1と同様に作用する。従って、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした場合、配線L1,L2に蓄えられたエネルギーがゼロとなるまで、第1サージ防護デバイス1を介して電流が流れる。この電流は一定の傾きで低下する。配線L1,L2に蓄えられているエネルギーがゼロとなった場合、第1メイントランジスタTr1のソース電極の電圧は接地電位を基準とした第1蓄電装置31の端子電圧まで低下し、第1メイントランジスタTr1のゲート・ソース間の電圧は上昇する。このとき、ゲート・ソース間の電圧は依然として負であり、この電圧の絶対値は、接地電位を基準とした第1蓄電装置31の端子電圧に略一致する。
【0134】
コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れている場合におけるスイッチ回路110の動作は、コネクタ41からコネクタ42へ電流が流れている場合におけるスイッチ回路110の動作と同様である。コネクタ42からコネクタ41へ電流が流れている場合において、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフしたとき、サブトランジスタTr7は、コネクタ41からコネクタ42へ電流が流れている場合におけるサブトランジスタTr3と同様に作用する。従って、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした後、第1メイントランジスタTr1のオフは維持される。ここで、ダイオードD7及び抵抗R5,R6夫々は、ダイオードD3及び抵抗R3,R4に対応する。
【0135】
駆動回路2が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をオンにしている場合、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧は、第2蓄電装置32の端子電圧と略一致しており、正の電圧である。このため、ダイオードD3の作用により、抵抗R3に電流が流れない。結果、サブトランジスタTr3において、エミッタ電極の電位を基準としたベース電極の電圧は、ゼロ[V]であり、正の一定電圧未満である。このため、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がオンである場合、サブトランジスタTr7はオフである。
【0136】
駆動回路2は、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2をターンオフするために、ゲート電極の電圧を、設定電圧から例えばゼロ[V]に調整する。配線L2の配線インダクタンスは、接地電位を基準としたコネクタ42の電圧を、コネクタ41,42間の電圧の絶対値が第1サージ防護デバイス1の降伏電圧となるまで上昇させる。このとき、接地電位を基準としたサブトランジスタTr3のエミッタ電極の電圧は、依然として正の電圧であり、サブトランジスタTr3はオフに維持される。
【0137】
第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のゲート電極の電圧が設定電圧からゼロ[V]に調整された場合、第2メイントランジスタTr2のソース電極の電圧が上昇するため、第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧は負となる。このため、第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧が正の一定電圧以上となることはなく、第1メイントランジスタTr1はオフに維持される。ここで、第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧は、ソース電極の電位を基準としたゲートの電圧である。
【0138】
第1サージ防護デバイス1は実施形態1と同様に作用する。従って、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2がターンオフした場合、配線L1,L2に蓄えられたエネルギーがゼロとなるまで、第1サージ防護デバイス1を介して電流が流れる。この電流は一定の傾きで低下する。配線L1,L2に蓄えられているエネルギーがゼロとなった場合、第1メイントランジスタTr1のソース電極の電圧は接地電位を基準とした第2蓄電装置32の端子電圧まで低下し、第2メイントランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧は上昇する。このとき、ゲート・ソース間の電圧は依然として負であり、この電圧の絶対値は、接地電位を基準とした第2蓄電装置32の端子電圧に略一致する。
以上のように構成された実施形態8におけるスイッチ回路110は実施形態1におけるスイッチ回路110と同様の効果を奏する。
【0139】
なお、実施形態8において、実施形態4のように、第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2からなる複数の直列回路が互いに並列に接続されてもよい。この場合、第1メイントランジスタTr1のドレイン電極が第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続されている。各第1メイントランジスタTr1のソース電極はサブトランジスタTr7のエミッタ電極に接続され、各第2メイントランジスタTr2のソース電極はサブトランジスタTr3のエミッタ電極に接続される。
【0140】
また、実施形態8において、実施形態5のように、複数の第1メイントランジスタTr1が並列に接続されてもよいし、複数の第2メイントランジスタTr2が並列に接続されてもよい。更に、実施形態8において、実施形態6のように、遮断スイッチS1が第1サージ防護デバイス1に直列に接続されてもよい。また、実施形態8において、実施形態7のように、第2サージ防護デバイス11が第1サージ防護デバイス1のコネクタ42側の一端と第2メイントランジスタTr2のソース電極との間に接続され、保護トランジスタTr6が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のドレイン電極と、第1サージ防護デバイス1のコネクタ42側の一端との間に接続されてもよい。この場合において、保護トランジスタTr6がNチャネル型のFETであるとき、保護トランジスタTr6のドレイン電極が第1メイントランジスタTr1及び第2メイントランジスタTr2のドレイン電極に接続され、保護トランジスタTr6のソース電極が第1サージ防護デバイス1のコネクタ42側の一端に接続される。更に、実施形態8において、サブトランジスタTr7は、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、Nチャネル型のFETであってもよい。
【0141】
また、実施形態1−8において、サブトランジスタTr3は、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、Nチャネル型のFETであってもよい。
【0142】
上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0143】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。