(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入出力装置は、前記センサによって検出された少なくとも前記機械装置及び前記モータのいずれか一方に関連する情報、及び、少なくとも前記機械装置及び前記モータのいずれか一方に関連する情報が検出された時刻を含む前記データを生成し、前記モータ制御装置に送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のモータ制御システムでは、センサや周辺機器の各々がモータ制御装置に接続されているため、物理的又は処理的なコストが高くなる傾向にあるという課題があった。
【0006】
そこで、本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、物理的又は処理的なコストを低減することができるモータ制御システム及び入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の特徴は、モータで駆動するように構成されている機械装置と、前記モータの位置情報を検出するように構成されている位置検出器と、前記モータを制御するように構成されているモータ制御装置と、少なくとも前記機械装置及び前記モータのいずれか一方に関連する情報を検出するように構成されている1又は複数のセンサと、複数の入出力コネクタを具備する入出力装置とを具備しており、前記位置検出器及び前記入出力装置は、同一の通信路で前記モータ制御装置に接続されるように構成されており、前記センサは、前記入出力装置の前記入出力コネクタに接続されるように構成されており、前記位置情報は、前記位置検出器から前記モータ制御装置に送信されるように構成されており、少なくとも前記機械装置及び前記モータのいずれか一方に関連する情報は、前記センサのそれぞれから前記入出力装置に出力された後、前記入出力装置から前記通信路を介して1つの
データ内で纏めて前記モータ制御装置に送信されるように構成されていることを要旨とする。
【0008】
本開示の第2の特徴は、モータ制御システムで用いられる入出力装置であって、少なくともモータ及び前記モータで駆動するように構成されている機械装置のいずれか一方に関連する情報を検出するように構成されている1又は複数のセンサが接続されるように構成されている複数の入出力コネクタを具備しており、前記モータの位置情報を検出するように構成されている位置検出器と同一の通信路で前記モータ制御装置に接続されるように構成されており、前記センサのそれぞれから取得した少なくとも前記機械装置及び前記モータのいずれか一方に関連する情報を、前記通信路を介して1つの
データ内で纏めて前記モータ制御装置に送信するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、物理的又は処理的なコストを低減することができるモータ制御システム及び入出力装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発明者の見地によれば、モータ制御システムにおける稼働状況のセンシングは、近年ますます重要度を増しているが、センサ数を増やすと、配線数等の物理的なコストや通信量又は処理負荷等の処理的なコストが増加してしまう。特に、リアルタイムでセンシングが行われる場合は、これらのコストが増大する傾向がある。
【0012】
そこで、本発明の発明者は、モータ制御システムにおけるこれらのコストを軽減するために鋭意研究開発を行った結果、新規かつ独創的なモータ制御システムに想到した。以降、
図1〜
図3を参照して、本実施形態に係るモータ制御システム1の一例について説明する。
【0013】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係るモータ制御システム1は、機械装置10Aと、モータ10と、モータ制御装置20と、エンコーダ30と、入出力装置40と、複数のセンサ501〜506とを具備している。
【0014】
モータ制御装置20は、モータ10を制御するように構成されている。具体的には、モータ制御装置20は、モータ10へ電流や電圧等を出力するアンプを制御するコンピュータを含む装置である。すなわち、モータ10は、モータ制御装置20から印加された電圧又は電流に応じて回転するように構成されている。また、機械装置10Aは、モータ10で駆動するように構成されており、例えば、ロボット等が、かかる機械装置10Aに該当する。
【0015】
一般的に、サーボモータを制御するモータ制御装置20は、サーボコントローラ又はサーボアンプ等と呼ばれるものである。なお、モータ制御装置20は、モータ10を制御するように構成されている機器であればよく、例えば、インバータであってもよい。
【0016】
エンコーダ30は、モータ10の位置情報を検出するように構成されている位置検出器である。エンコーダ30は、例えば、光学式エンコーダであってもよいし、磁気式エンコーダであってもよい。エンコーダ30は、モータ制御装置20に対してモータ10の位置情報を送信するように構成されている。
【0017】
なお、本実施形態では、かかる位置検出器として、エンコーダ30を用いるケースを例に挙げて説明するが、本開示は、モータ10の位置情報を検出可能なセンサ(例えば、レゾルバ等)を用いるケースにも適用可能である。ここで、エンコーダ30は、モータ10が直動形モータ(リニアモータ)の場合に用いられるリニアスケール(リニアエンコーダ)であってもよい。
【0018】
また、モータ10は、回転形モータであってもよいし、直動形モータ(リニアモータ)であってもよい。ここで、モータ10が、回転形モータである場合、上述の位置情報は、回転角となり、モータ10が、直動形モータ(リニアモータ)である場合、上述の位置情報は、直動位置となる。
【0019】
入出力装置40は、複数の入出力コネクタ#1〜#8を具備しており、センサ501〜506等の他の周辺機器と接続するための汎用的な入出力ユニットである。入出力装置40は、モータ制御システム1において不足している入出力コネクタを増設するために用いられる。
【0020】
また、入出力装置40は、モータ制御装置20に対して、入出力コネクタ#1〜#8に接続されている周辺機器から入力された少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を送信するように構成されている。
【0021】
複数のセンサ501〜506は、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を検出するように構成されている。かかる複数のセンサとしては、温度センサや圧力センサやトルクセンサや振動センサやリミットスイッチセンサやタッチセンサやI/O機器等が想定される。
【0022】
温度センサは、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方又はその付近の温度を検出するように構成されているセンサである。温度センサとしては、例えば、測温抵抗体式センサが用いられていてもよいし、熱電対式センサが用いられていてもよい。
【0023】
圧力センサは、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方又はその付近の圧力を検出するように構成されているセンサである。例えば、圧力センサは、かかる圧力について、ダイヤフラム(ステンレスダイヤフラム、シリコンダイヤフラム等)を介して、感圧素子で計測し、電気信号に変換し出力するように構成されている。
【0024】
トルクセンサは、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方のトルクを検出するように構成されているセンサである。トルクセンサは、例えば、非接触式トルクセンサであってもよいし、接触式トルクセンサであってもよい。
【0025】
また、モータ10に関連する情報は、モータ10の状態に関する情報のうち、モータ10の位置情報ではない情報を意味する。なお、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報は、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方の状態に応じて変化する情報であり、例えば、センサ501〜506により検出可能な情報であればよい。
【0026】
例えば、モータ10に関連する情報は、モータ10のトルクや、モータ10の温度や、モータ10が移動させるアーム等の物体の位置や、かかる物体に対する圧力や、又は、これらを検出するセンサ501〜506の状態(例えば、温度)等の情報である。
【0027】
また、モータ10に関する関連情報は、例えば、モータ10に対する出力制御や制御用パラメータの調整に用いられたり、モータ10の異常の有無の判断又はモータ10の寿命(残りの耐周期間)の予測に用いられたりする。
【0028】
本実施形態では、入出力装置40に6個のセンサ501〜506が接続されているケースを例に挙げて説明しているが、本開示は、入出力装置40に6個以外のセンサが接続されているケースや、入出力装置40にセンサ以外の周辺機器が接続されているケースに対しても適用可能である。
【0029】
また、本実施形態に係るモータ制御システム1において、エンコーダ30及び入出力装置40とモータ制御装置20との間の通信路は、同一の通信路となるように構成されている。すなわち、本実施形態に係るモータ制御システム1において、モータ制御装置20、エンコーダ30及び入出力装置40は、直列(ディジーチェーン状)に接続されるように構成されている。
【0030】
一方、本実施形態に係るモータ制御システム1において、センサ501〜506は、モータ制御装置20に接続される代わりに、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#8に接続されるように構成されている。
【0031】
ここで、モータ10の位置情報は、エンコーダ30からモータ制御装置20に送信されるように構成されている。一方、モータ10に関連する情報は、センサ501〜506から入出力装置40を介してモータ制御装置20に送信されるように構成されている。
【0032】
以下、
図2及び
図3を参照して、本実施形態に係るモータ制御システム1において実行される処理の流れの一例について説明する。
【0033】
図2に示すように、ステップS1001において、モータ制御装置20は、エンコーダ30及び入出力装置40に対して、モータ10の位置情報及びモータ10に関連する情報を送信するように指示するためのデータである「COM」を送信する。
【0034】
ステップS1002において、エンコーダ30は、モータ制御装置20に対して、モータ10の位置情報を含むデータである「RES#1」を送信する。
【0035】
入出力装置40は、ステップS1003において、センサ501〜506から少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を取得し、ステップS1004において、かかる少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報に基づいて、かかる少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を含むデータである「RES#2」を生成し、モータ制御装置20に対して「RES#2」を送信する。
【0036】
ここで、センサ501〜506は、所定タイミングで、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を検出してもよいし、入出力装置40からの指示に応じて、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を検出してもよい。
【0037】
同様に、センサ501〜506は、所定タイミングで、入出力装置40に対して、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を送信してもよいし、入出力装置40からの指示に応じて、入出力装置40に対して、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を送信してもよい。
【0038】
図3に、かかる「RES#2」のフォーマットの一例を示す。
図3(a)に示すように、「RES#2」のフォーマットは、アドレス部「A」と、データ部「DT」と、チェックコード部「CRC」とを有している。
【0039】
アドレス部「A」には、「RES#2」の送信元情報が格納されるように構成されている。例えば、アドレス部「A」には、かかる送信元情報として、「RES#2」を送信する入出力装置40のアドレスが格納されるように構成されていてもよい。
【0040】
なお、アドレス部「A」に、「RES#2」の宛先情報が格納されるように構成されていてもよい。この場合、アドレス部「A」には、かかる宛先情報として、モータ制御装置20のアドレスが格納されるように構成されていてもよい。
【0041】
チェックコード部「CRC」には、「RES#2」の誤り符号検出で用いられるコード情報が格納される。誤り符号検出自体は、公知の種々の手法を適用可能であり、例えば、任意のピット数の巡回冗長検査を利用してよい。
【0042】
データ部「DT」には、センサ501〜506によって検出された少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報や、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報が検出された時刻等が格納されるように構成されている。
【0043】
例えば、
図3(b)に示すように、データ部「DT」には、「ALM」と「DI(Degital Inputs)」と「タイムスタンプ」と「DI1入力時刻」と「DI2入力時刻」と「DI3入力時刻」と「DI1情報」と「DI2情報」と「DI3情報」とが格納されるように構成されていてもよい。
【0044】
「ALM」には、入出力装置40自体の異常情報や、入出力装置40に接続されるセンサ501〜506の異常情報等を示すアラームコードが格納される。
【0045】
「DI」には、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#8に接続されているセンサ等の周辺機器の入力状態について示すフラグが格納される。例えば、入出力装置40の入出力コネクタ#1に対応するフラグが「1」である場合、かかる入出力コネクタ#1に接続されているリミットスイッチセンサがON状態であることを示し、かかるフラグが「0」である場合、かかるリミットスイッチセンサがOFF状態であることを示す。
【0046】
図3(c)の例では、DI1〜DI8が、入出力コネクタ#1〜#8に対応しており、入出力コネクタ#1〜#3(DI1〜DI3)にセンサ等の周辺機器が接続されている。
【0047】
「タイムスタンプ」には、「RES#2」が生成された時刻が格納されるように構成されている。なお、「タイムスタンプ」には、「RES#2」が生成された時刻の代わりに、入出力装置40によって「RES#2」が送信された時刻が格納されるように構成されていてもよい。
【0048】
「DI1入力時刻」〜「DI3入力時刻」には、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#3に接続されているセンサによって少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報が検出された時刻が格納されるように構成されている。なお、「DI1入力時刻」〜「DI3入力時刻」には、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#3に接続されているセンサによって検出された少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報が入出力装置40によって受信された時刻が格納されるように構成されていてもよい。
【0049】
「DI1情報」〜「DI3情報」には、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#3に接続されているセンサによって検出された少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報が格納されるように構成されている。
【0050】
本実施形態では、データ部「DT」に、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#3に接続されている全てのセンサに係る「DI1入力時刻」〜「DI3入力時刻」及び「DI1情報」〜「DI3情報」について格納されるケースを例に挙げて説明したが、本開示は、データ部「DT」に、入出力装置40の入出力コネクタ#xに接続されている複数のセンサの一部に係る「DIx入力時刻」及び「DIx情報」についてのみ格納されるケースについても適用可能である。
【0051】
また、本実施形態に係るモータ制御システム1では、データ部「DT」のどの領域に、「DIx入力時刻」及び「DIx情報」を格納するのかについては任意に設定することができる。
【0052】
本実施形態に係るモータ制御システム1によれば、入出力装置40が、複数のセンサ501〜506によって検出された少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を「RES#2」内に纏めてモータ制御装置20に送信するように構成されているため、高速通信時において、複数のセンサを接続することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係るモータ制御システム1によれば、少なくとも機械装置10A及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を検出するように構成されている複数のセンサ501〜506やモータ制御装置20において少配線化を図ることができる。
本開示に係るモータ制御システム1は、モータ10で駆動する機械装置と、モータ10の位置情報を検出するエンコーダ30と、モータを制御するモータ制御装置20と、少なくとも機械装置及びモータ10のいずれか一方に関連する情報を検出する1又は複数のセンサ501〜506と、複数の入出力コネクタ#1〜#8を具備する入出力装置40とを具備しており、エンコーダ30及び入出力装置40は、同一の通信路でモータ制御装置20に接続され、センサ501〜506は、入出力装置40の入出力コネクタ#1〜#8に接続され、位置情報は、エンコーダ30からモータ制御装置20に送信され、少なくとも機械装置及びモータ10のいずれか一方に関連する情報は、センサ501〜506から入出力装置40を介してモータ制御装置20に送信される。