特許第6388086号(P6388086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388086パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物を含む表面処理剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388086
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物を含む表面処理剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20180903BHJP
   C08G 65/329 20060101ALI20180903BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20180903BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   C09K3/18 104
   C08G65/329
   G02C7/00
   G02B1/00
【請求項の数】17
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2018-2594(P2018-2594)
(22)【出願日】2018年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-111816(P2018-111816A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-3662(P2017-3662)
(32)【優先日】2017年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】三橋 尚志
(72)【発明者】
【氏名】能勢 雅聡
(72)【発明者】
【氏名】小澤 香織
(72)【発明者】
【氏名】山下 恒雄
【審査官】 五十棲 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−132719(JP,A)
【文献】 特開2015−168785(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/121211(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/038305(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/079743(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/18
C09D 1/00− 10/00
C09D 101/00−201/10
C08G 65/329
G02B 1/00
G02C 7/00
REGISTRY(STN)
CAplus(STN)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC12−(OC10−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
24は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n1は、(−SiR23n1243−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのn1が、1〜3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
α1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
α1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
β1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γ1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR11p112q113r1を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra1’を表し;
a1’は、Ra1と同意義であり;
a1中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(C1)および(C2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのq1が1〜3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
δ1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
δ1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR51p252q253r2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
51は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd1’を表し;
d1’は、Rd1と同意義であり;
d1中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
52は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
55は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
56は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n2は、(−Z−SiR55n2563−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し;
ただし、式(D1)および(D2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのn2は1〜3の整数であり;
53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表し;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(D1)および(D2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。]
よりなる群より選ばれる少なくとも1つのパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物および以下の式:
【化2】
[式中、
Rfは、Rfと同意義であり;
PFPEは、上記と同意義であり;
Xは、2〜10価の有機基であり;
は、ラジカル捕捉基または紫外線吸収基であり;
ε1は、1〜9の整数であり;
ε1’は、1〜9の整数である。]
で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物を含有する表面処理剤であり、
上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物とが、質量比において100:3〜100:110の範囲で含まれる、表面処理剤
【請求項2】
RfおよびRfが、各出現において独立して、炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項3】
PFPEが、各出現において独立して、下記式(a)、(b)または(c):
−(OC− (a)
[式中、dは1〜200の整数である。]
−(OC−(OC−(OC−(OCF− (b)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して、0以上30以下の整数であり;
eおよびfは、それぞれ独立して、1以上200以下の整数であり;
c、d、eおよびfの和は、10以上200以下の整数であり;
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
−(R−R− (c)
[式中、Rは、OCFまたはOCであり;
は、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2または3つの基の組み合わせであり;
jは、2〜100の整数である。]
である、請求項1または2に記載の表面処理剤。
【請求項4】
は、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、トリアジン類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、および、ベンゾキサゾール類の残基よりなる群から選ばれる少なくとも1である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項5】
は、
【化3】
(式中、Rg1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基である。)で表される基であることを特徴とする、請求後1〜4のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項6】
Xは、2価の有機基である、請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項7】
、X、XおよびXは、各出現において独立して、2価の有機基である、請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項8】
Rf−PFPE部およびRf−PFPE部の数平均分子量が、それぞれ独立して、500〜30,000である、請求項1〜のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項9】
パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物の数平均分子量が、2000〜8000の範囲にある、請求項1〜のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項10】
含フッ素オイル、シリコーンオイル、および触媒から選択される1種またはそれ以上の他の成分をさらに含有する、請求項1〜のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項11】
さらに溶媒を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項12】
防汚性コーティング剤または防水性コーティング剤として使用される、請求項1〜11のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項13】
真空蒸着用である、請求項1〜12のいずれかに記載の表面処理剤。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の表面処理剤を含有するペレット。
【請求項15】
基材と、該基材の表面に、請求項1〜13のいずれかに記載の表面処理剤により形成された層とを含む物品。
【請求項16】
前記物品が光学部材である、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記物品がディスプレイである、請求項15または16に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物を含む表面処理剤、より具体的には、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物およびパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物を含む表面処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の含フッ素シラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを提供し得ることが知られている。含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層(以下、「表面処理層」とも言う)は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、建築資材など種々多様な基材に施されている。
【0003】
そのような含フッ素化合物として、パーフルオロポリエーテル基を分子主鎖に有し、Si原子に結合した加水分解可能な基を分子末端または末端部に有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が知られている(特許文献1〜2を参照のこと)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−534696号公報
【特許文献2】国際公開第97/07155号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような表面処理層には、所望の機能を基材に対して長期に亘って提供するべく、高い耐久性が求められる。しかしながら、本発明者らは、上記のような表面処理層は、光、特に紫外線(UV)に曝露した場合の耐久性が十分でないことがあると気付いた。
【0006】
本発明は、高い光安定性、特に高い紫外線耐性を有する層を形成することのできる新規な表面処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の要旨によれば、
以下の式:
【化1】
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC12−(OC10−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
24は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n1は、(−SiR23n1243−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのn1が、1〜3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
α1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
α1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
β1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γ1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR11p112q113r1を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra1’を表し;
a1’は、Ra1と同意義であり;
a1中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(C1)および(C2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのq1が1〜3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
δ1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
δ1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR51p252q253r2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
51は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd1’を表し;
d1’は、Rd1と同意義であり;
d1中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
52は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
55は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
56は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n2は、(−Z−SiR55n2563−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し;
ただし、式(D1)および(D2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのn2は1〜3の整数であり;
53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表し;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(D1)および(D2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。]
よりなる群より選ばれる少なくとも1つのパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物および以下の式:
【化2】
[式中、
Rfは、Rfと同意義であり;
PFPEは、上記と同意義であり;
Xは、2〜10価の有機基であり;
は、ラジカル捕捉基または紫外線吸収基であり;
ε1は、1〜9の整数であり;
ε1’は、1〜9の整数である。]
で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物を含有する表面処理剤、が提供される。
【0008】
本発明の第2の要旨によれば、上記の表面処理剤を含有するペレットが提供される。
【0009】
本発明の第3の要旨によれば、基材と、該基材の表面に、上記の表面処理剤により形成された層とを含む物品が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新規なパーフルオロ(ポリ)エーテル基(以下、「PFPE」と称することがある)含有シラン化合物およびPFPE含有化合物を含む表面処理剤が提供される。さらに、この表面処理剤を含有するペレットが提供される。本発明によれば、上記表面処理剤により形成された層を含む物品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において用いられる場合、「2〜10価の有機基」とは、炭素を含有する2〜10価の基を意味する。かかる2〜10価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基からさらに1〜9個の水素原子を脱離させた2〜10価の基が挙げられる。2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
【0012】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
【0013】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6−10アリール基および5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0014】
本明細書において、アルキル基およびフェニル基は、特記しない限り、非置換であっても、置換されていてもよい。かかる基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0015】
(表面処理剤)
以下、本発明の表面処理剤について説明する。
【0016】
本発明の表面処理剤は、PFPE含有シラン化合物およびPFPE含有化合物を含む。
【0017】
本発明の表面処理剤を用いると、摩耗耐久性および耐UV性の良好な表面処理層が形成できる。上記表面処理層の基材側にはPFPE含有シラン化合物が比較的多く存在し、基材と結合して摩耗耐久性の良好な表面処理層の形成に寄与していると考えられる。上記表面処理層において、ラジカル捕捉基または紫外線吸収基を有するPFPE含有化合物が耐UV性の良好な表面処理層の形成に寄与していると考えられる。上記PFPE含有化合物は、好ましくは表面処理層の基材とは反対側(表面側)に比較的多く存在すると考えられる。
【0018】
本発明の表面処理剤を用いて形成された表面処理層(好ましくは表面処理層の表面側)にラジカル捕捉基または紫外線吸収基を有するPFPE含有化合物が存在することにより、UV照射後の表面処理層の物性も良好に維持されると考えられる。即ち、本発明の表面処理剤を用いて形成された表面処理層は、優れた耐UV性を有する。
【0019】
上記耐UV性は、例えば、後述するように、形成された表面処理層のUV照射前後の物性(例えば接触角、摩擦耐久性)の変化を測定することによって評価できる。
【0020】
上記接触角の変化は、例えば、UV照射前後の表面処理層の水の接触角の変化を測定し、UV照射前後の結果を比較することによって評価できる。
【0021】
上記摩擦耐久性の変化は、例えば、UV照射前後の表面処理層にそれぞれ摩擦を生じさせ、摩擦によって生じる表面処理層の物性(例えば接触角)の変化を測定し、UV照射前後の結果を比較することによって評価できる。摩擦は、例えば加重を付加した状態のスチールウールを表面処理層上において移動させることによって生じさせることができる。
【0022】
本発明の表面処理剤に含まれるPFPE含有シラン化合物とPEPE含有化合物との質量比(PFPE含有シラン化合物:PEPE含有化合物)は、特に限定されないが、100:0.001〜100:100の範囲にあってもよく、100:0.001〜100:60の範囲にあることが好ましく、100:0.01〜100:10の範囲にあることがより好ましく、100:0.1〜100:10の範囲にあることがさらに好ましく、100:1〜100:10の範囲にあることが特に好ましく、100:3〜100:10の範囲にあることが特に好ましい。上記のような質量比でPFPE含有シラン化合物およびPEPE含有化合物を含有する表面処理剤を用いて形成された表面処理層では、UV照射後であっても、UV照射前の表面処理層の物性(例えば接触角、摩擦耐久性)と同等の物性を得ることができ、さらにUV照射前の物性(例えば接触角)も良好となり得る。
【0023】
一の態様において、本発明の表面処理剤中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、PEPE含有化合物は、0.001質量部以上含まれることが好ましく、3質量部以上含まれることがより好ましく、5質量部以上含まれることがさらに好ましい。本発明の表面処理剤中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、PEPE含有化合物は、110質量部以下含まれることが好ましく、105質量部以下含まれることがより好ましい。
【0024】
一の態様において、表面処理剤に含まれるPFPE含有シラン化合物とPEPE含有化合物との質量比(PFPE含有シラン化合物:PEPE含有化合物)は、100:0.001〜100:110の範囲にあることが好ましく、100:3〜100:110の範囲にあることがより好ましく、100:5〜100:105の範囲にあることがさらに好ましい。
【0025】
上記PFPE含有シラン化合物の数平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは6,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは10,000以下である。このような数平均分子量を有することは、摩擦耐久性の観点から好ましい。「PFPE含有シラン化合物の数平均分子量」は、19F−NMR及びH−NMRを用いて測定することができる。
【0026】
上記PFPE含有シラン化合物は、表面処理剤100質量部に対し、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜30質量部含まれる。
【0027】
上記PFPE含有シラン化合物は、以下の式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)で表される化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1つである。摩擦耐久性が特に良好な観点からは、PFPE含有シラン化合物は、(C1)、(C2)、(D2)および(D2)で表される化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、(C1)および(C2)で表される化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1つであることがより好ましい。
【化3】
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC12−(OC10−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
24は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n1は、(−SiR23n1243−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのn1が、1〜3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
α1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
α1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
β1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γ1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR11p112q113r1を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra1’を表し;
a1’は、Ra1と同意義であり;
a1中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(C1)および(C2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのq1が1〜3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
δ1は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
δ1’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR51p252q253r2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
51は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd1’を表し;
d1’は、Rd1と同意義であり;
d1中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
52は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
55は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
56は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n2は、(−Z−SiR55n2563−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し;
ただし、式(D1)および(D2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのn2は1〜3の整数であり;
53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表し;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(D1)および(D2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。]
【0028】
式(A1)および(A2):
【化4】
【0029】
上記式中、Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。
【0030】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基における「炭素数1〜16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のアルキル基である。
【0031】
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCFH−C1−15フルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基である。
【0032】
該炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、具体的には−CF、−CFCF、または−CFCFCFである。
【0033】
上記式中、PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、
−(OC12−(OC10−(OC−(OC−(OC−(OCF
で表される基である。式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0以上100以下の整数である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0034】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。例えば、−(OC12)−は、−(OCFCFCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCFCFCF)−、−(OCFCF(CF)CFCFCF)−、−(OCFCFCF(CF)CFCF)−、−(OCFCFCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCFCFCF(CF))−等であってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCFCFCF)−である。−(OC10)−は、−(OCFCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCFCF)−、−(OCFCF(CF)CFCF)−、−(OCFCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCFCF(CF))−等であってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCF)−である。また、−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
【0035】
一の態様において、上記PFPEは、−(OC−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。好ましくは、PFPEは、−(OCFCFCF−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または−(OCF(CF)CF−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。より好ましくは、PFPEは、−(OCFCFCF−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
【0036】
別の態様において、PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)である。好ましくは、PFPEは、−(OCFCFCFCF−(OCFCFCF−(OCFCF−(OCF−である。一の態様において、PFPEは、−(OC−(OCF−(式中、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
【0037】
さらに別の態様において、PFPEは、−(R−R−で表される基である。式中、Rは、OCFまたはOCであり、好ましくはOCである。式中、Rは、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。好ましくは、Rは、OC、OCおよびOCから選択される基であるか、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC、OCおよびOCから独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、および−OCOCOC−等が挙げられる。上記jは、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC、OC、OC、OC10およびOC12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC−OC−または−(OC−OC−である。
【0038】
上記PFPEにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」)は、0.1以上10以下であり、好ましくは0.2以上5.0以下であり、より好ましくは0.2以上2.0以下であり、さらに好ましくは0.2以上1.5以下であり、さらにより好ましくは0.2以上0.85以下である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる表面処理層の滑り性、摩擦耐久性および耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、表面処理層の滑り性および摩擦耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0039】
Rf−PFPE部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜30,000、好ましくは1,000〜20,000、より好ましくは2,000〜15,000である。上記数平均分子量は、19F−NMRにより測定される値とする。
【0040】
別の態様において、Rf−PFPE−部分または−PFPE−部分の数平均分子量は、4,000〜30,000、好ましくは5,000〜10,000であり得る。
【0041】
上記式中、R23は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0042】
上記式中、R24は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0043】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=CR、−NR、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
【0044】
上記式中、R21は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0045】
上記式中、R22は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0046】
上記式中、n1は、(−SiR23n1243−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0である。ただし、式中、すべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式中、少なくとも1つはR23が存在する。
【0047】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(A1)および(A2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(即ち、α1を付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(A1)および(A2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0048】
上記式中、α1は1〜9の整数であり、α1’は1〜9の整数である。これらα1およびα1’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(A1)においては、α1およびα1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、α1およびα1’の和は10であり、例えばα1が9かつα1’が1、α1が5かつα1’が5、またはα1が1かつα1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、α1およびα1’は1である。式(A2)においては、α1はXの価数から1を引いた値である。
【0049】
上記Xは、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0050】
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、α1は1〜3であり、α1’は1である。
【0051】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、α1は1であり、α1’は1である。この場合、式(A1)および(A2)は、下記式(A1’)および(A2’)で表される。
【化5】
【0052】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
−(R31p’−(Xq’
[式中:
31は、単結合、−(CHs’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CHs’−であり、
s’は、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
は、−(Xl’−を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−、−S−、o−、m−もしくはp−フェニレン基、−C(O)O−、−Si(R33−、−(Si(R33O)m’−Si(R33−、−CONR34−、−O−CONR34−、−NR34−および−(CHn’−からなる群から選択される基を表し、
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC1−6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜100の整数、好ましくは1〜20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
l’は、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R31およびX(典型的にはR31およびXの水素原子)は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0053】
好ましくは、上記Xは、−(R31p’−(Xq’−R32−である。R32は、単結合、−(CHt’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CHt’−である。t’は、1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。ここに、R32(典型的にはR32の水素原子)は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0054】
好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−R31−X−R32−、または
−X−R32
[式中、R31およびR32は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0055】
より好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−(CHs’−X−、
−(CHs’−X−(CHt’
−X−、または
−X−(CHt’
[式中、s’およびt’は、上記と同意義である。]
である。
【0056】
上記式中、Xは、
−O−、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR34−、
−O−CONR34−、
−Si(R33−、
−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−O−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−O−(CHu’−Si(R33−O−Si(R33−CHCH−Si(R33−O−Si(R33−、
−O−(CHu’−Si(OCHOSi(OCH−、
−CONR34−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−CONR34−(CHu’−N(R34)−、または
−CONR34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R33
[式中、R33、R34およびm’は、上記と同意義であり、
u’は1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]を表す。Xは、好ましくは−O−である。
【0057】
上記式中、Xは、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR34−、
−CONR34−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−CONR34−(CHu’−N(R34)−、または
−CONR34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R33
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
を表す。
【0058】
より好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−(CHs’−X−(CHt’−、または
−X−(CHt’
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0059】
さらにより好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−(CHs’−O−(CHt’−、
−(CHs’−(Si(R33O)m’−Si(R33−(CHt’−、
−(CHs’−O−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−(CHt’−、または
−(CHs’−O−(CHt’−Si(R33 −(CHu’−Si(R33−(Cv2v)−
[式中、R33、m’、s’、t’およびu’は、上記と同意義であり、vは1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]
である。
【0060】
上記式中、−(Cv2v)−は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−であり得る。
【0061】
上記X基は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基(好ましくは、C1−3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0062】
一の態様において、X基は、−O−C1−6アルキレン基以外であり得る。
【0063】
別の態様において、X基としては、例えば下記の基が挙げられる:
【化6】
【化7】
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CFO(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、および
【化8】
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6のアルキル基またはC1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、−(CHne−(neは2〜6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、PFPEと反対の基に結合する。]
【0064】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CO−、
−CONH−、
−CONH−(CH−、
−CONH−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
【化9】
などが挙げられる。
【0065】
さらに別の態様において、Xは、式:−(R16−(CFR17−(CH−で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0〜10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0066】
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR18−(式中、R18は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R16は、酸素原子または2価の極性基である。
【0067】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、−C(O)−、−C(=NR19)−、および−C(O)NR19−(これらの式中、R19は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピルであり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0068】
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0069】
この態様において、Xは、好ましくは、式:−(O)−(CF−(CH−(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0070】
上記式:−(O)−(CF−(CH−で表される基としては、例えば、−(O)x’−(CHz”−O−[(CHz’’’−O−]z””、および−(O)x’−(CFy”−(CHz”−O−[(CHz’’’−O−]z””(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1〜10の整数であり、z””は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
【0071】
別の好ましい態様において、Xは、−O−CFR20−(CFe’−である。
【0072】
上記R20は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。ここで低級フルオロアルキル基は、例えば炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0073】
上記e’は、それぞれ独立して、0または1である。
【0074】
一の具体例において、R20はフッ素原子であり、e’は1である。
【0075】
さらに別の態様において、X基の例として、下記の基が挙げられる:
【化10】
[式中、
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
各X基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CFO(CH−、
−CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、または
【化11】
[式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6のアルキル基またはC1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基(即ち、式(A1)および(A2)においては炭素原子、また、下記する式(B1)、(B2)、(C1)および(C2)においてはSi原子)に結合する−(CHn”−(n”は2〜6の整数)であり、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C1−6アルコキシ基である。
【0076】
この態様において、X、XおよびXは、それぞれ独立して、3〜10価の有機基であり得る。
【0077】
上記式中、tは、それぞれ独立して、1〜10の整数である。好ましい態様において、tは1〜6の整数である。別の好ましい態様において、tは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
【0078】
上記式中、Xは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表す。Xは、好ましくは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、より好ましくは、−(CH−(式中、uは、0〜2の整数である)である。
【0079】
好ましい式(A1)および(A2)で示される化合物は、下記式(A1’)および(A2’):
【化12】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC12−(OC10−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
24は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n1は、1〜3の整数であり、好ましくは3であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−CFR20−(CFe’−であり;
20は、各出現においてそれぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり;
e’は、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、−(CH−であり;
uは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数である。]
で表される化合物である。
【0080】
上記式(A1)および(A2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するパーフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端にヨウ素を導入した後、−CHCR22(X−SiR23n1243−n1)−に対応するビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
【0081】
式(B1)および(B2):
【化13】
【0082】
上記式(B1)および(B2)中、Rf、PFPE、R23、R24およびn1は、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0083】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(B1)および(B2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR23n1243−n1)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(B1)および(B2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0084】
上記式中のβ1は、1〜9の整数であり、β1’は、1〜9の整数である。これらβ1およびβ1’は、Xの価数に応じて決定され、式(B1)において、β1およびβ1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、β1およびβ1’の和は10であり、例えばβ1が9かつβ1’が1、β1が5かつβ1’が5、またはβ1が1かつβ1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、β1およびβ1’は1である。式(B2)において、β1はXの価数の値から1を引いた値である。
【0085】
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0086】
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、β1は1〜3であり、β1’は1である。
【0087】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、β1は1であり、β1’は1である。この場合、式(B1)および(B2)は、下記式(B1’)および(B2’)で表される。
【化14】
【0088】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0089】
中でも、好ましい具体的なXは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CO−、
−CONH−、
−CONH−(CH−、
−CONH−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
【化15】
などが挙げられる。
【0090】
好ましい式(B1)および(B2)で示される化合物は、下記式(B1’)および(B2’):
【化16】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC12−(OC10−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。添字a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
24は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
n1は、1〜3の整数であり、好ましくは3であり;
は、−CHO(CH−、−CHO(CH−または−CHO(CH−である]
で表される化合物である。
【0091】
上記式(B1)および(B2)で表される化合物は、公知の方法、例えば特開2013−117012号公報に記載の方法またはその改良方法により製造することができる。
【0092】
式(C1)および(C2):
【化17】
【0093】
上記式(C1)および(C2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0094】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(C1)および(C2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiRa1k1b1l1c1m1基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(C1)および(C2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0095】
上記式中のγ1は、1〜9の整数であり、γ1’は、1〜9の整数である。これらγ1およびγ1’は、Xの価数に応じて決定され、式(C1)において、γ1およびγ1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、γ1およびγ1’の和は10であり、例えばγ1が9かつγ1’が1、γ1が5かつγ1’が5、またはγ1が1かつγ1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、γ1およびγ1’は1である。式(C2)において、γ1はXの価数の値から1を引いた値である。
【0096】
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0097】
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、γ1は1〜3であり、γ1’は1である。
【0098】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、γ1は1であり、γ1’は1である。この場合、式(C1)および(C2)は、下記式(C1’)および(C2’)で表される。
【化18】
【0099】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0100】
中でも、好ましい具体的なXは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CO−、
−CONH−、
−CONH−(CH−、
−CONH−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
【化19】
などが挙げられる。
【0101】
上記式中、Ra1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR11p112q113r1を表す。
【0102】
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0103】
上記Zは、好ましくは、2価の有機基であり、式(C1)または式(C2)における分子主鎖の末端のSi原子(Ra1が結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
【0104】
上記Zは、好ましくは、C1−6アルキレン基、−(CH−O−(CH−(式中、gは、1〜6の整数であり、hは、1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0105】
式中、R11は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra1’を表す。Ra1’は、Ra1と同意義である。
【0106】
a1中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記Ra1において、R11が少なくとも1つ存在する場合、Ra1中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、Ra1中において直鎖状に連結される−Z−Si−の繰り返し数と等しくなる。
【0107】
例えば、下記にRa1中においてZ基を介してSi原子が連結された一例を示す。
【化20】
【0108】
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、ZSi以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、ZSiの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、SiでZSi繰り返しが終了している鎖は「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si、SiおよびSiでZSi繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4および5個である。なお、上記の式から明らかなように、Ra1中には、ZSi鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
【0109】
好ましい態様において、下記に示すように、「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化21】
【0110】
一の態様において、Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0111】
式中、R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。「加水分解可能な基」は、上記と同意義である。
【0112】
好ましくは、R12は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0113】
式中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0114】
式中、p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p1、q1およびr1の和は3である。
【0115】
好ましい態様において、Ra1中の末端のRa1’(Ra1’が存在しない場合、Ra1)において、上記q1は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0116】
好ましい態様において、Ra1の末端部の少なくとも1つは、−Si(−Z−SiR12q113r1または−Si(−Z−SiR12q113r1、好ましくは−Si(−Z−SiR12q113r1であり得る。式中、(−Z−SiR12q113r1)の単位は、好ましくは(−Z−SiR12)である。さらに好ましい態様において、Rの末端部は、すべて−Si(−Z−SiR12q113r1、好ましくは−Si(−Z−SiR12であり得る。
【0117】
上記式(C1)および(C2)においては、少なくとも1つのq1が1〜3の整数であり、すなわち、少なくとも1つのR12が存在する。
【0118】
上記式中、Rb1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0119】
上記Rb1は、好ましくは、水酸基、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)、−N(R)、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)であり、より好ましくは−ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、Rb1は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0120】
上記式中、Rc1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0121】
式中、k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数である。ただし、k1、l1およびm1の和は、3である。
【0122】
上記式(C1)および(C2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するパーフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端に水酸基を導入した後、末端に不飽和結合を有する基を導入し、この不飽和結合を有する基とハロゲン原子を有するシリル誘導体とを反応させ、さらにこのシリル基に末端に水酸基を導入し、導入した不飽和結合を有する基とシリル誘導体とを反応させることにより得ることができる。例えば、国際公開第2014/069592号に記載のように合成することができる。
【0123】
式(D1)および(D2):
【化22】
【0124】
上記式(D1)および(D2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0125】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(D1)および(D2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供する部(即ち、δ1を付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(D1)および(D2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0126】
上記式中、δ1は1〜9の整数であり、δ1’は1〜9の整数である。これらδ1およびδ1’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(D1)においては、δ1およびδ1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、δ1およびδ1’の和は10であり、例えばδ1が9かつδ1’が1、δ1が5かつδ1’が5、またはδ1が1かつδ1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、δ1およびδ1’は1である。式(D2)においては、δ1はXの価数から1を引いた値である。
【0127】
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0128】
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、δ1は1〜3であり、δ1’は1である。
【0129】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、δ1は1であり、δ1’は1である。この場合、式(D1)および(D2)は、下記式(D1’)および(D2’)で表される。
【化23】
【0130】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0131】
中でも、好ましい具体的なXは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CO−、
−CONH−、
−CONH−CH−、
−CONH−(CH−、
−CONH−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
【化24】
などが挙げられる。
【0132】
上記式中、Rd1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR51p252q253r2を表す。
【0133】
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0134】
上記Zは、好ましくは、C1−6アルキレン基、−(CH−O−(CH−(式中、gは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、hは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0135】
式中、R51は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd1’を表す。Rd1’は、Rd1と同意義である。
【0136】
d1中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記Rd1において、R51が少なくとも1つ存在する場合、Rd1中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「Rd1中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、Rd1中において直鎖状に連結される−Z−C−の繰り返し数と等しくなる。
【0137】
好ましい態様において、下記に示すように、「Rd1中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化25】
【0138】
一の態様において、Rd1のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0139】
式中、R52は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表す。
【0140】
は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
【0141】
好ましい態様において、Zは、C1−6アルキレン基、−(CHg’−O−(CHh’−(式中、g’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CHi’−(式中、i’は、0〜6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0142】
一の態様において、Zは、C1−6アルキレン基または−フェニレン−(CHi’−であり得る。Zが上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0143】
上記R55は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0144】
上記「加水分解可能な基」とは、式(C1)および(C2)と同様のものが挙げられる。
【0145】
好ましくは、R55は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)である。
【0146】
上記R56は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0147】
n2は、(−Z−SiR55n2563−n2)単位毎に独立して、1〜3の整数を表し、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
【0148】
上記R53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0149】
式中、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p2、q2およびr2の和は3である。
【0150】
好ましい態様において、Rd1中の末端のRd1’(Rd1’が存在しない場合、Rd1)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0151】
好ましい態様において、Rd1の末端部の少なくとも1つは、−C(−Z−SiR52q253r2または−C(−Z−SiR52q253r2、好ましくは−C(−Z−SiR52q253r2であり得る。式中、(−Z−SiR52q253r2)の単位は、好ましくは(−Z−SiR52)である。さらに好ましい態様において、Rd1の末端部は、すべて−C(−Z−SiR52q253r2、好ましくは−C(−Z−SiR52であり得る。
【0152】
上記式中、Re1は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR55n2563−n2を表す。ここに、Z、R55、R56およびn2は、上記R52における記載と同意義である。
【0153】
上記式中、Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0154】
式中、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k2、l2およびm2の和は3である。
【0155】
一の態様において、少なくとも1つのk2は2または3であり、好ましくは3である。
【0156】
一の態様において、k2は2または3であり、好ましくは3である。
【0157】
一の態様において、l2は2または3であり、好ましくは3である。
【0158】
上記式(D1)および(D2)中、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。即ち、式中、少なくとも2つの−Z−SiR55n2563−n2基が存在する。
【0159】
式(D1)または式(D2)で表されるPFPE含有シラン化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造することができる。例えば、Xが2価である式(D1’)で表される化合物は、限定するものではないが、以下のようにして製造することができる。
【0160】
HO−X−C(ZOH)(式中、XおよびZは、それぞれ独立して、2価の有機基である。)で表される多価アルコールに、二重結合を含有する基(好ましくはアリル)、およびハロゲン(好ましくはブロモ)を導入して、Hal−X−C(Z−O−R−CH=CH(式中、Halはハロゲン、例えばBrであり、Rは二価の有機基、例えばアルキレン基である。)で表される二重結合含有ハロゲン化物を得る。次いで、末端のハロゲンと、RPFPE−OH(式中、RPFPEは、パーフルオロポリエーテル基含有基である。)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有アルコールとを反応させて、RPFPE−O−X−C(Z−O−R−CH=CHを得る。次いで、末端の−CH=CHと、HSiClおよびアルコールまたはHSiR55と反応させて、RPFPE−O−X−C(Z−O−R−CH−CH−SiR55を得ることができる。
【0161】
上記PFPE含有化合物は、以下の式によって表される化合物である。
【化26】
【0162】
Rfは、Rfと同意義である。PFPEは上記と同意義である。尚、表面処理剤に含まれるPFPE含有シラン化合物におけるPFPEと、PFPE含有化合物におけるPFPEは同じであっても、異なっていてもよい。
【0163】
上記式中、Xは、2〜10価の有機基である。当該X基は、式(1)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE−部)と、ラジカル捕捉基または紫外線吸収基であるRとを連結するリンカーと解される。したがって、当該X基は、式(1)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0164】
上記式中、ε1は1〜9の整数であり、ε1’は1〜9の整数である。これらε1およびε1’は、Xの価数に応じて変化し得る。ε1およびε1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、ε1およびε1’の和は10であり、例えばε1が9かつε1’が1、ε1が5かつε1’が5、またはε1が1かつε1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、ε1およびε1’は1である。
【0165】
上記Xは、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0166】
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、ε1は1〜3であり、ε1’は1である。
【0167】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、ε1は1であり、ε1’は1である。この場合、式(1)は、下記式(1’)で表される。
【0168】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0169】
中でも好ましい具体的なXは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CO−、
−CONH−、
−CONH−CH−、
−CONH−(CH−、
−CONH−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
【化27】
などが挙げられる。
【0170】
上記式中、Rは、ラジカル捕捉基または紫外線吸収基である。
【0171】
ラジカル捕捉基は、光照射、特にUV照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、またはトリアジン類の残基が挙げられる。ラジカル捕捉基としては、特にヒンダードアミン類の残基であることが好ましい。
【0172】
上記「残基」とは、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、またはトリアジン類に由来する基であり、上記構造の一部(例えば、水素原子等)が脱離した基をいう。例えば、ヒンダードアミン類の残基とは、ヒンダードアミン類の分子末端の水素原子が脱離した構造をいう。
【0173】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0174】
上記「残基」とは、ベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、またはベンゾキサゾール類に由来する基であり、上記構造の一部(例えば、水素原子等)が脱離した基をいう。
【0175】
好ましいRとしては、抗酸化剤または重合禁止剤として機能し得るものを用いることができ、例えば、以下に示す基、
【化28】
あるいは、下記の化合物に由来する基を挙げることができる。
α―トコフェロール、(+)−カテキン、クエルセチン、ビタミンC、グルタチオン、5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、p−フェニレンジアミン、4−アミノジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−i−プロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、4,4’−ジクミル−ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチル−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルナフチルアミン、N−ニトロソジナフチルアミン、p−ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p−ニトロソジフェニルアミン、α−ニトロソ−β−ナフトール、ピペリジン−1−オキシル、ピロリジン−1−オキシル,2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジニトロクレゾール、α−ピネン、α−テルピネン、1,4−シネオール、D−リモネン、1,8−シネオール、γ−テルピネン、p−シメン、テルピノーレン。これらの化合物は、上記化合物の分子内に存在する官能基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基もしくはチオール基)またはCH、CHもしくはCH基の炭素原子(具体的には、CH、CHもしくはCH基の水素原子を還元した後の炭素原子)を介して、(Rf−PFPE)ε1’−X−と結合し得る。
【0176】
上記式中、Rg1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基であり、好ましくはメチル基である。
【0177】
より好ましいRとしては、以下に示す基を挙げる事ができる。上記式中、Rg1は、上記と同意義である。
【化29】
【0178】
は、特に、以下の式(2)で表される基であることが好ましい。
【化30】
(式中、Rg1は上記と同意義である。)
【0179】
を有する化合物を含むことによって、本発明の表面処理剤は、耐UV性の良好な表面処理層の形成に寄与し得る。
【0180】
上記PFPE含有化合物は、例えば以下に説明する方法により製造できる。
【0181】
以下の製造方法は、式(2a)で表される化合物および式(2b)で表される化合物を混合し、式(2c)で表される化合物を含む生成物を得る工程を含む。
【化31】
(式中、Rは炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、好ましくはメトキシ基である。Rg1、RfおよびPFPEは上記と同意義である。)
【0182】
上記工程において、化合物(2a)と化合物(2b)との混合比(モル比)は、例えば、1:0.80〜1:10の範囲にある。
【0183】
上記工程において、反応溶媒は特には限定されないが、例えば、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテルを用いることができる。
【0184】
上記工程において、反応温度は特には限定されないが、例えば、20〜150℃の範囲において行うことができる。
【0185】
上記工程後、上記工程において得られた生成物に、例えばパーフルオロヘキサンおよびメタノール等の抽出用溶媒を加えて、式(2c)で表される化合物を抽出する工程を含むことができる。
【0186】
上記PFPE含有化合物は、特に限定されるものではないが、1000〜50000の平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2000〜20000、好ましくは2000〜10000、より好ましくは2000〜8000の平均分子量を有することが、形成される表面処理層の摩擦耐性が良好となる観点から好ましい。上記「平均分子量」は数平均分子量を言い、19F−NMR及びH−NMRにより測定することができる。
【0187】
好ましい態様において、真空蒸着法により表面処理層を形成する場合には、PFPE含有シラン化合物の数平均分子量よりも、PFPE含有化合物の数平均分子量を大きくしてもよい。例えば、PFPE含有シラン化合物の数平均分子量よりも、PFPE含有化合物の数平均分子量を、2,000以上、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上大きくしてもよい。このような数平均分子量とすることにより、より優れた摩擦耐久性と耐UV性を得ることができる。特に、上記のような数平均分子量とすることにより、表面処理層の表面付近にラジカル捕捉基または紫外線吸収基を有するPFPE化合物が多く存在し得、表面処理層の耐UV性の向上に寄与し得る。
【0188】
上記PFPE含有化合物は、本発明の表面処理剤100質量部に対し、好ましくは0.001〜50質量部、より好ましくは0.01〜10質量部含まれる。PFPE含有化合物が上記の範囲含まれることによって、本発明の表面処理剤は、形成される表面処理層の摩擦耐性および耐UV性の維持に寄与し得る。
【0189】
本発明の表面処理剤は、溶媒で希釈されていてもよい。このような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば:
パーフルオロヘキサン、CFCFCHCl、CFCHCFCH、CFCHFCHFC、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン((ゼオローラH(商品名)等)、COCH、COC、CFCHOCFCHF、C13CH=CH、キシレンヘキサフルオリド、パーフルオロベンゼン、メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、HCFCFCHOH、メチルトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸およびCFO(CFCFO)(CFO)CFCF[式中、mおよびnは、それぞれ独立して0以上1000以下の整数であり、mまたはnを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、但しmおよびnの和は1以上である。]、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,2−トリクロロ―3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンからなる群から選択されるフッ素原子含有溶媒等が挙げられる。
【0190】
上記溶媒中に含まれる水分含有量は、質量換算で20ppm以下であることが好ましい。上記水分含有量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。このような水分含有量であることによって、表面処理剤の保存安定性が向上し得る。
【0191】
本発明の表面処理剤は、さらに他の成分を含んでいてもよい。かかる他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、他の表面処理化合物、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒などが挙げられる。
【0192】
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf−(OCa’−(OCb’−(OCc’−(OCFd’−Rf ・・・(3)
式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16アルキル基(好ましくは、C1−16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子または水素原子を表し、RfおよびRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1−3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1〜300、より好ましくは20〜300である。添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
【0193】
上記一般式(3)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)および(3b)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf−(OCFCFCFb”−Rf ・・・(3a)
Rf−(OCFCFCFCFa”−(OCFCFCFb”−(OCFCFc”−(OCFd”−Rf ・・・(3b)
これら式中、RfおよびRfは上記の通りであり;式(3a)において、b”は1以上100以下の整数であり;式(3b)において、a”およびb”は、それぞれ独立して1以上30以下の整数であり、c”およびd”はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a”、b”、c”、d”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0194】
上記含フッ素オイルは、1,000〜30,000の平均分子量を有していてよい。これにより、高い表面滑り性を得ることができる。
【0195】
本発明の表面処理剤中、含フッ素オイルは、上記PFPE含有シラン化合物および上記PFPE含有化合物の合計100質量部(それぞれ、2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0〜500質量部、好ましくは0〜400質量部、より好ましくは5〜300質量部で含まれ得る。
【0196】
一般式(3a)で示される化合物および一般式(3b)で示される化合物は、それぞれ単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。一般式(3a)で示される化合物よりも、一般式(3b)で示される化合物を用いるほうが、より高い表面滑り性が得られるので好ましい。これらを組み合わせて用いる場合、一般式(3a)で表される化合物と、一般式(3b)で表される化合物との質量比は、1:1〜1:30が好ましく、1:1〜1:10がより好ましい。かかる質量比によれば、表面滑り性と摩擦耐久性のバランスに優れた表面処理層を得ることができる。
【0197】
一の態様において、含フッ素オイルは、一般式(3b)で表される1種またはそれ以上の化合物を含む。かかる態様において、表面処理剤中の上記PFPE含有シラン化合物および上記PFPE含有化合物の合計と、式(3b)で表される化合物との質量比は、10:1〜1:10であることが好ましく、4:1〜1:4であることが好ましい。
【0198】
好ましい態様において、真空蒸着法により表面処理層を形成する場合には、上記PFPE含有シラン化合物および上記PFPE含有化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を大きくしてもよい。このような平均分子量とすることにより、より優れた摩擦耐久性と表面滑り性を得ることができる。
【0199】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf’−F(式中、Rf’はC5−16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。Rf’−Fで表される化合物およびクロロトリフルオロエチレンオリゴマーは、RfがC1−16パーフルオロアルキル基である上記PFPE含有シラン化合物および上記PFPE含有化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
【0200】
含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0201】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0202】
本発明の表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記PFPE含有シラン化合物および上記PFPE含有化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0〜300質量部、好ましくは0〜200質量部で含まれ得る。
【0203】
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0204】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0205】
触媒は、上記PFPE含有シラン化合物の加水分解および脱水縮合を促進し、表面処理層の形成を促進する。
【0206】
他の成分としては、上記以外に、例えば、炭素数1〜6のアルコール化合物が挙げられる。
【0207】
本発明の表面処理剤は、1つの溶液(または懸濁液もしくは分散液)の形態であってもよく、あるいは、別個の上記PFPE含有シラン化合物の溶液と、上記PFPE含有化合物の溶液とを使用直前に混合する形態であってもよい。
【0208】
本発明の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【0209】
本発明の表面処理剤は、撥水性、撥油性、防汚性、防水性および高い摩擦耐久性を基材に対して付与することができることから、表面処理剤として好適に使用される。具体的には、本発明の表面処理剤は、特に限定されるものではないが、防汚性コーティング剤または防水性コーティング剤として好適に使用され得る。
【0210】
(物品)
次に、本発明の物品について説明する。
【0211】
本発明の物品は、基材と、該基材の表面に本発明の表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む。この物品は、例えば以下のようにして製造できる。
【0212】
まず、基材を準備する。本発明に使用可能な基材は、例えばガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。
【0213】
上記ガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
【0214】
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiOおよび/またはSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I−CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
【0215】
基材の形状は特に限定されない。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0216】
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜または熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入または増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素−炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア−ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
【0217】
またあるいは、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi−H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
【0218】
次に、かかる基材の表面に、上記の本発明の表面処理剤の膜を形成し、この膜を必要に応じて後処理し、これにより、本発明の表面処理剤から表面処理層を形成する。
【0219】
本発明の表面処理剤の膜形成は、本発明の表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
【0220】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
【0221】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
【0222】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0223】
湿潤被覆法を使用する場合、本発明の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本発明の表面処理剤の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:C5−12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC−6000)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ハイドロフルオロカーボン(HFC)(例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc));ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、HCFC−225(アサヒクリン(登録商標)AK225));ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE−3000))、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製のバートレル(登録商標)サイオン)など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上を組み合わせて混合物として用いることができる。さらに、例えば、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物およびパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有化合物の溶解性を調整する等のために、別の溶媒と混合することもできる。
【0224】
乾燥被覆法を使用する場合、本発明の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、または、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
【0225】
膜形成は、膜中で本発明の表面処理剤が、加水分解および脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本発明の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本発明の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本発明の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本発明の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0226】
触媒には、任意の適切な酸または塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
【0227】
次に、必要に応じて、膜を後処理する。この後処理は、特に限定されないが、例えば、水分供給および乾燥加熱を逐次的に実施するものであってよく、より詳細には、以下のようにして実施してよい。
【0228】
上記のようにして基材表面に本発明の表面処理剤を膜形成した後、この膜(以下、「前駆体膜」とも言う)に水分を供給する。水分の供給方法は、特に限定されず、例えば、前駆体膜(および基材)と周囲雰囲気との温度差による結露や、水蒸気(スチーム)の吹付けなどの方法を使用してよい。
【0229】
水分の供給は、例えば0〜250℃、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは100℃以上とし、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下の雰囲気下にて実施し得る。このような温度範囲において水分を供給することにより、加水分解を進行させることが可能である。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
【0230】
次に、該前駆体膜を該基材の表面で、60℃を超える乾燥雰囲気下にて加熱する。乾燥加熱方法は、特に限定されず、前駆体膜を基材と共に、60℃を超え、好ましくは100℃を超える温度であって、例えば250℃以下、好ましくは180℃以下の温度で、かつ不飽和水蒸気圧の雰囲気下に配置すればよい。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
【0231】
このような雰囲気下では、本発明のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物間では、加水分解後のSiに結合した基同士が速やかに脱水縮合する。また、かかる化合物と基材との間では、当該化合物の加水分解後のSiに結合した基と、基材表面に存在する反応性基との間で速やかに反応し、基材表面に存在する反応性基が水酸基である場合には脱水縮合する。その結果、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と基材との間で結合が形成される。
【0232】
上記の水分供給および乾燥加熱は、過熱水蒸気を用いることにより連続的に実施してもよい。
【0233】
以上のようにして後処理が実施され得る。かかる後処理は、摩擦耐久性を一層向上させるために実施され得るが、本発明の物品を製造するのに必須でないことに留意されたい。例えば、本発明の表面処理剤を基材表面に適用した後、そのまま静置しておくだけでもよい。
【0234】
上記のようにして、基材の表面に、本発明の表面処理剤の膜に由来する表面処理層が形成され、本発明の物品が製造される。これにより得られる表面処理層は、高い摩擦耐久性を有する。また、この表面処理層は、高い摩擦耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
【0235】
すなわち本発明はさらに、前記硬化物を最外層に有する光学材料にも関する。
【0236】
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例、TV、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイまたはそれらのディスプレイの保護板、またはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
【0237】
本発明によって得られる表面処理層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu−ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバーなど。
【0238】
また、本発明によって得られる表面処理層を有する物品は、医療機器または医療材料であってもよい。
【0239】
表面処理層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、表面処理層の厚さは、1〜50nm、好ましくは1〜30nm、より好ましくは1〜15nmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性および防汚性の点から好ましい。
【0240】
以上、本発明の表面処理剤を使用して得られる物品について詳述した。なお、本発明の表面処理剤の用途、使用方法ないし物品の製造方法などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例】
【0241】
本発明の表面処理剤について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0242】
(合成例1)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、平均組成CFCFCFO(CFCFCFO)33CFCFC(O)OCHで表されるパーフルオロポリエーテル変性メチルエステル体10g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10g、および下記の化合物(A)0.43gを仕込み、窒素気流下、70℃において8時間撹拌させた。フラスコ内の溶液の温度が室温になるまで放冷後、上記フラスコにパーフルオロヘキサン20gおよびメタノール10gを加え、30分間撹拌させた。その後、分液操作を行い、パーフルオロヘキサン層を分取した。続いて、減圧下において上記層から揮発成分を留去することにより、末端にアミノ基を有する下記式により表されるパーフルオロポリエーテル基含有化合物(B)10gを得た。
・化合物(A):
・パーフルオロポリエーテル基含有化合物(B):
【0243】
(合成例2)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、平均組成CFO(CFCFOCFCFCFCFO)15CFCFOCFCFCFCHOCHCH=CHで表されるパーフルオロポリエーテル変性アリル体10.0g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10g、およびトリクロロシラン0.75gを仕込み、窒素気流下、5℃において30分間撹拌させた。続いて、上記フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.04ml加えた後、フラスコ内の溶液の温度を60℃まで昇温させ、この温度にて3時間撹拌させた。その後、減圧下で上記溶液から揮発成分を留去することにより、末端にトリクロロシランを有する下記式のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(C)10.1gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(C):
CF3O(CF2CF2OCF2CF2CF2CF2O)15CF2CF2OCF2CF2CF2CH2OCH2CH2CH2SiCl3
【0244】
(合成例3)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、合成例2にて合成された末端にトリクロロシランを有するパーフルオロポリエーテル基含有トリクロロシラン化合物(C)10.1gおよび1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを仕込み、窒素気流下、5℃において30分間撹拌させた。続いて、上記フラスコにアリルマグネシウムブロマイドを0.7mol/L含むジエチルエーテル溶液を13ml加えた後、フラスコ内の溶液の温度を室温まで昇温させ、この温度にて10時間撹拌した。その後、フラスコ内の溶液の温度を5℃まで冷却した。その後、フラスコにメタノールを4ml加えた後、パーフルオロヘキサン10gを加えて、30分撹拌した。その後、分液ロートを用いてパーフルオロヘキサン層を分取した。続いて、減圧下において上記層の揮発成分を留去することにより、末端にアリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有アリル体(D)9.8gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有アリル体(D):
CF3O(CF2CF2OCF2CF2CF2CF2O)15CF2CF2OCF2CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3
【0245】
(合成例4)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、合成例3にて合成した末端にアリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有アリル体(D)9.8g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン12g、およびトリクロロシラン1.44gを仕込み、窒素気流下、5℃において30分間撹拌した。続いて、上記フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.10ml加えた後、フラスコ内の溶液の温度を60℃まで昇温させ、この温度にて2時間撹拌した。その後、減圧下で上記溶液から揮発成分を留去することにより、末端にトリクロロシランを有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有トリクロロシラン化合物(E)10.1gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有トリクロロシラン化合物(E):
CF3O(CF2CF2OCF2CF2CF2CF2O)15CF2CF2OCF2CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si(CH2CH2CH2SiCl3)3
【0246】
(合成例5)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、合成例4にて合成した末端にトリクロロシランを有するパーフルオロポリエーテル基含有トリクロロシラン化合物(E)10.1g、および1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを加え、窒素気流下、50℃で30分間撹拌した。続いて、上記フラスコにメタノール0.30gおよびオルソギ酸トリメチル5.8gの混合溶液を加えた後、上記フラスコ内の溶液の温度を55℃まで昇温させ、この温度にて2時間撹拌した。その後、減圧下で上記溶液から揮発成分を留去することにより、末端にトリメチルシリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(F)10.0gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(F):
CF3O(CF2CF2OCF2CF2CF2CF2O)15CF2CF2OCF2CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
【0247】
(実施例1〜12および比較例1〜4)
下記表1に示す混合物または化合物を、合計濃度が20wt%になるように、それぞれハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE7200)に溶解させ、表面処理剤を調製した。
【0248】
実施例および比較例で用いた化合物G〜Iは、以下の通りである。
・化合物G
・化合物H
CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)24CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
・化合物I
CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)32CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
【0249】
上記で調製した表面処理剤を、それぞれ、基材である化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10−3Paとした。まず、二酸化ケイ素を5nmの厚さで、この化学強化ガラスの表面に蒸着させて、二酸化ケイ素膜を形成し、続いて、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤2mg(即ち、実施例1〜4では化合物(B)およびパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物0.4mg、比較例1〜4ではパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物0.4mgをそれぞれ含有)を蒸着させた。その後、表面処理剤を蒸着させた化学強化ガラスを、温度150℃で30分加熱処理し、その後、温度21℃および湿度65%の雰囲気下で24時間静置し、表面処理層を形成した。
【0250】
【表1】
【0251】
(評価)
・静的接触角の測定
上記の実施例1〜12および比較例1〜4で得られた表面処理層の水の静的接触角を測定した。水の静的接触角の測定は、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて、水1μLにて21℃、65%湿度の環境下で実施した。
【0252】
まず、初期評価として、表面処理層形成後、その表面に未だ何も触れていない状態で、表面処理層の水の静的接触角を測定した。
【0253】
上記の実施例および比較例にて基材表面に形成された表面処理層に、キセノンランプを用いてUVを400時間照射した。その後、UV照射後の表面処理層の水の静的接触角を測定した。キセノンランプを用いたUVの照射は、波長420nmにおいて放射照度2.2W/mにおいて行い、ランプと基材表面との距離は、10cmとした。静的接触角の測定値、およびUV照射前の水の静的接触角に対するUV照射後の水の静的接触角の比率(100×UV照射後の水の静的接触角/UV照射前の水の静的接触角)を下表に示す。
【0254】
【表2】
【0255】
・摩擦耐久性評価
UV照射前の表面処理層およびUV照射後の表面処理層のそれぞれについて、スチールウールを用いた摩擦耐久性試験を実施した。具体的には、表面処理層を形成した基材を水平に配置し、スチールウール(番手♯0000、寸法5mm×10mm×10mm)を表面処理層の露出上面に接触させ、その上に1,000gfの荷重を付与し、その後、荷重を加えた状態でスチールウールを140mm/秒の速度で水平方向に往復させた。往復回数1,000回毎に表面処理層の水の静的接触角(度)を測定することを、接触角の測定値が100度未満となるまで繰り返した(接触角の測定値が100度未満となるまで繰り返した)。表3に、接触角の測定値が100度未満となった時のスチールウールの往復回数を、スチールウール耐久性として示す。また、表3に、UV照射前のスチールウール耐久性に対するUV照射後のスチールウール耐久性の比率(100×UV照射後のスチールウール耐久性/UV照射前のスチールウール耐久性)を示す。
【0256】
【表3】
【0257】
実施例1〜12で形成された表面処理層の接触角の数値は、UV照射前後において低下していないことが分かった(表2)。表2の結果から、実施例1〜12で形成された表面処理層は、UV照射によっても撥水性の低下が生じにくく、優れた耐UV性を示すことが確認された。また、表3の結果から、実施例1〜12の表面処理層は、UV照射後であってもUV照射前と同等のスチールウール耐久性を有することが確認された。
【0258】
さらに、実施例1〜8、特に実施例1〜4で形成された表面処理層の接触角の数値は、UV照射前においても特に良好な値となった(表2)。表2の結果から、実施例1〜8で形成された表面処理層は、UV照射前から特に良好な撥水性を有することが確認された。UV照射によってもこの撥水性の低下が生じにくく、実施例1〜8で形成された表面処理層は、優れた耐UV性を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明は、種々多様な基材、特に透過性が求められる光学部材の表面に、表面処理層を形成するために好適に利用され得る。