【実施例】
【0063】
以下、実施例において本発明をさらに具体的に説明する。
<洗浄液の流れ>
水を洗浄液として用いた。各実施例、比較例では、新しい洗浄液は、凝固糸条束の走行方向の最下流にある向流洗浄浴に流入させている。それぞれの向流洗浄浴においては、その下流のところから洗浄液を流入し、その上流のところから洗浄液を流出させている。向流洗浄浴から流出した洗浄液は、上流側に向流洗浄浴がある場合は、そのすぐ上流側にある向流洗浄浴に流入させている。
【0064】
<流入部での洗浄液の線速度のCV[−]>
図1および
図2は向流洗浄浴の流入部での洗浄液の線速度のCVの測定方法を図示したものである。洗浄液に直径3mmの球体である発泡スチロールを浮かせ、流入される洗浄液の面上を、発泡スチロールの中心部が、凝固糸条束と平行な方向に30mm移動する時間を測定し、流入部での線速度を算出した。ただし、ノズルから流入する場合は、
図2のようにノズルから洗浄液の進行方向へ、すなわち上流方向へ、30mmの地点を始点として、さらに30mm移動する時間を測定した。並列に走行する凝固糸条束の最も端から反対の最も端の凝固糸条束までの範囲、すなわち
図1および
図2中のA−B線分の間で、A点、B点を含んで、等間隔の9点を測定し、その算術平均と標準偏差の割合を求め、流入部での洗浄液の線速度のCVとした。尚、本測定はアクリル系繊維束を製造する条件の下で行った。また、標準偏差は、下記の数式(1)で求めた。
【0065】
【数2】
【0066】
ここで、x
i(iは1〜9の値をとる)は線速度を表し、μ
1はx
1〜x
9の算術平均である。
【0067】
<流出部での洗浄液の線速度のCV[−]>
図3は流出部での洗浄液の線速度のCVの測定方法を図示したものである。洗浄液に直径3mmの球体である発泡スチロールを浮かせ、流出される洗浄液の面上を、凝固糸条束が走行する方向と逆方向に、かつ平行に発泡スチロールの中心部が30mm移動する時間を測定し流出部での線速度を算出した。並列して走行する凝固糸条束のうち、最も端から反対の最も端の凝固糸条束までの範囲、すなわち
図3中のA−B線分の間で、A点、B点を含んで等間隔の9点を測定し、その算術平均と標準偏差の割合を求め、流出部での洗浄液の線速度のCVとした。尚、本測定はアクリル系繊維束を製造する条件の下で行った。また標準偏差は上記数式(1)で求めた。
【0068】
<質量の測定>
質量は、JIS L0105(2006)に基づき20±2℃、相対湿度65%±4%の条件で測定した。
【0069】
<糸条束中の溶媒>
浴中処理工程通過後の糸条束を採取した。それを100℃の蒸留水中で1.5時間煮沸した。その糸条束を遠心分離機で脱水した後、100℃の乾燥機で2.0時間乾燥し、その後質量を測り、試料乾燥質量(g)とした。また、前記煮沸した液および遠心分離機で絞った液の混合液を100℃のウォーターバスを用いて水分を蒸発し濃縮した。その濃縮液をガスクロマトグラフィーによって分析し、予め作成した検量線を用いてジメチルスルフォキサイド(以下「DMSO」と言う)の質量(g)を求め、糸条束に残存する溶媒の量とした。ここで、アセト酢酸メチルを内部標準として用いた。溶媒残存量[糸条束中のDMSO残存量]は、計算式、糸条束中のDMSO残存量(ppm)=糸条束中のDMSO質量(g)×1000000/試料乾燥質量(g)により算出した。
【0070】
<溶媒残存量のCV>
並列に走行する全ての凝固糸条束の溶媒残存量を測定し、その算術平均と標準偏差の割合を求めて、溶媒残存量のCVとした。ここで標準偏差は下記の数式(2)で求めた。
【0071】
【数3】
【0072】
ここで、y
n(nは1〜Nの値をとる)は溶媒残存量を表し、μ
2はy
1〜y
Nの算術平均である。Nは凝固糸条束の本数である。
【0073】
<洗浄液質量比[−]>
単位時間あたりに向流洗浄浴中を走行する凝固糸条束中のアクリル系重合体の質量[g/分]に対する流入部から流入される洗浄液の単位時間あたりの質量[g/分]の比である。ここで、凝固糸条束中のアクリル系重合体の質量は、一定時間に吐出される重合体をサンプリングし、温水により溶媒等を抽出した後、100℃の乾燥機で2.0時間乾燥して残ったものの質量とした。一方最下流に位置する洗浄浴に、同じ時間に流入される洗浄液の質量を測定し、その比によって求めた。
【0074】
<混繊発生頻度[回/糸条束間/100m]>
洗浄浴の走行糸条束に対して下流のローラ出側において、並列して走行する糸条束間で走行距離100mの間に繊維同士が交差する頻度を数えた。
【0075】
<毛羽発生量[個/糸条束/1000m]>
スチーム延伸後、走行する糸条束を目視により観察し、1つの糸条束1000mあたりの毛羽の発生個数を数えた。
【0076】
<実施例1>
アクリロニトリル99.5モル%、イタコン酸0.5モル%からなり、アクリル系共重合体を20質量%含むDMSO溶液を紡糸原液として、口金からDMSOと水からなる凝固浴中に紡出して、凝固糸条束を得た。
【0077】
図4に示すように、複数が直列に配列している向流洗浄浴の中に凝固糸条束を走行させ、浴中洗浄を行った。なお二重の波線は複数の向流洗浄浴の図示を省略していることを意味する。
【0078】
単繊維数12000本の凝固糸条束を並列に40本配置し、糸条束密度Mを2400dtex/mmとし、糸条束幅密度指数Lを15%とし、洗浄液質量比10とした。本実施例では向流洗浄浴の数は10である。
【0079】
最下流にある向流洗浄浴1dに、堰の中央部に対して両端部の高さの差が−3.0mmであって、中央部の上端部からそれぞれの端部の上端部までの高さが平滑に変化するオーバーフロー堰5dを超えて洗浄液を流入した。その向流洗浄浴から、前で説明したものと同じ形態のオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。さらに同じ形態の流入用オーバーフロー堰および流出用オーバーフロー堰を有する向流洗浄浴を用いて、洗浄液を流入、洗浄液を流出した。この流入、流出を向流洗浄浴すべてで行った。各向流洗浄浴において、洗浄液の流入部および流出部の線速度のCVを測定した。また浴中処理工程の後の糸条束の溶媒残存量を測定し溶媒残存量のCVを算出した。
【0080】
さらに、洗浄後の糸条束を浴中で延伸し、さらに浴中で油剤を付与した。尚、油剤としてはアミノ変性されたシリコーンを含有する油剤を用いた。次いで、160℃の加熱ローラを用いて、糸条束の含有水分量が1質量%以下となるまで乾燥し、次いで、加圧スチーム中で延伸することにより、フィラメント数12000本のアクリル系繊維束を得た。またスチーム延伸を行った後の糸条束毛羽発生量を測定した。結果を表1および表2に示す結果を得た。その後、得られたアクリル系繊維束を、空気中240〜280℃の耐炎化炉内を駆動ロールで搬送しながら耐炎化を行い耐炎化繊維束に転換した。さらに不活性雰囲気中300〜800℃の前炭化炉内を駆動ロールで搬送して予備炭化した後、不活性雰囲気中1500℃の炭化炉内を駆動ロールで搬送しながら炭化を行い、炭素繊維束を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
表1中、「流入方法」および「流出方法」の列の各欄で、かっこ内の数字は下に示す値である。
オーバーフローの場合:堰の中央部に対する両端部の高さの差
ノズルの場合:孔の数
多孔板の場合:開孔率。
【0083】
【表2】
【0084】
結果に対しては、次のとおりの基準で判定し、表1および表2に示した。
【0085】
<流入部での洗浄液の線速度のCVの平均[−]>
A:0.25未満、B:0.25以上0.30以下、C:0.30より大きい
なお、表1中のCVの範囲(A、BまたはC)は、1つの向流洗浄浴の流入部における洗浄液の線速度のCVの全ての向流洗浄浴での平均が該範囲(A、BもしくはC)にあることを示す。
【0086】
<流出部での洗浄液の線速度のCVの平均[−]>
A:0.25未満、B:0.25以上0.30以下、C:0.30より大きい
なお、表1中のCVの範囲(A、BまたはC)は、1つの向流洗浄浴の流出部における洗浄液の線速度のCVの全ての向流洗浄浴での平均が該範囲(A、BもしくはC)にあることを示す。
【0087】
<溶媒残存量のCV[−]>
A:0.15未満、B:0.15以上0.25以下、C:0.25より大きい。
【0088】
<混繊発生頻度[回/糸条束間/100m]>
A:10.0未満、B:10.0以上25.0未満、C:25.0以上。
【0089】
<スチーム延伸後の糸条束毛羽発生量[個/糸条束/1000m]>
A:0.0以上8.0未満、B:8.0以上16.0未満、C:16.0以上。
【0090】
<判定>
溶媒残存量のCV、混繊発生頻度、スチーム延伸後の糸条束毛羽発生量の各結果について、1項目でもCがある場合はC、Cはないが1項目でもBがある場合はB、全てがAの場合はAとした。
【0091】
<実施例2>
洗浄液質量比を13とした以外は実施例1と同様に製造、評価を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0092】
<実施例3>
向流洗浄浴の数を13とした以外は実施例1と同様に製造、評価を行い、アクリル系繊維束を得た。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0093】
<実施例4>
図4のように、最下流にある向流洗浄浴1dに、堰の中央部に対する両端部の高さが0.0mmであって、中央部の上端部からそれぞれの端部の上端部までが直線であるオーバーフロー堰5dを超えて洗浄液を流入した。向流洗浄浴1dから、オーバーフロー堰5dと同じ形態のオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。流出した洗浄液は、オーバーフロー堰5dと同じ形態のオーバーフロー堰を超えて流入した。このような洗浄液の流入、流出を各向流洗浄浴で行った。そして、最上流にある向流洗浄浴1tでは、最上流にあり、オーバーフロー堰5dと同じ形態のオーバーフロー堰5tにより流出した。それ以外の工程は、実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0094】
<実施例5>
洗浄液質量比7とした以外は、実施例4と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0095】
<実施例6>
洗浄液質量比4とした以外は実施例4と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0096】
<実施例7>
7つが直列で配置された向流洗浄浴で浴中処理を行った以外は、実施例4と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0097】
<実施例8>
4つが直列で配置された向流洗浄浴で浴中処理を行った以外は、実施例4と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0098】
<実施例9>
オーバーフロー堰を、堰の中央部に対する両端部の高さの差を−7.0mmにした以外は、実施例4と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0099】
<実施例10>
オーバーフロー堰を堰の中央部に対する両端部の高さを+5.0mmにした以外は、実施例4と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から、実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0100】
<実施例11>
図5に示すように、複数が直列に配列している向流洗浄浴の中に凝固糸条束を走行させ、浴中洗浄を行った。なお二重の波線は複数の向流洗浄浴の図示を省略していることを意味する。
【0101】
最下流にある向流洗浄浴1dに、40個の孔を有する流入ノズルを用いて洗浄液を流入し、そして中央部に対する両端部の高さの差が−5.0mmであって、中央部の上端部からそれぞれの端部の上端部までの高さが平滑に変化するオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。一つ上流の向流洗浄浴へは、ポンプにより、最下流にある向流洗浄浴に用いたものと同じ形態の40個の孔を有する流入ノズルを用いて洗浄液を流入した。向流洗浄浴からは、最下流にある向流洗浄浴に用いたものと同じ形態のオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。洗浄液の、流入、流出以外の条件は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0102】
<実施例12>
図5に示すように、最下流にある向流洗浄浴1dに、150個の孔を有する流入ノズルを用いて洗浄液を流入し、その後、中央部に対する両端部の高さの差が0.0mmであって、中央部の上端部からそれぞれの端部への堰の上端部までが直線であるオーバーフロー堰を超えて流出した。流出した洗浄液を、一つ上流の向流洗浄浴へ、ポンプにより最下流にある向流洗浄浴1dに用いたものと同様の150個の孔を有する流入ノズルを用いて流入した。各向流洗浄浴でも同様の洗浄液の流入、流出を行った。向流洗浄浴での流出、流入以外の条件は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0103】
<実施例13>
オーバーフロー堰に代えて、流入用および流出用の開孔板を使用した。開孔板の開孔率は31%とした。向流洗浄浴での流出、流入以外の条件は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0104】
<実施例14>
各洗浄浴において、洗浄液を堰の中央部に対して両端部の高さの差が0.0mmであって中央部の上端部から両端部の上端部までが直線であるオーバーフロー堰により、洗浄液を流入させ、そして各向流洗浄浴から開孔率31%の板により洗浄液を流出した。向流洗浄浴以外の条件は、実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
<実施例15>
各向流洗浄浴において、20個の孔を有する流入ノズルを用いて洗浄液を流入し、開孔率31%の板を通じて洗浄液を流出した。向流洗浄浴での流出、流入以外での条件は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
<実施例16>
各向流洗浄浴において、開孔率10%の板を通じて洗浄液を流入し、堰の中央部に対する両端部の高さの差が0.0mmで、中央部の上端部からそれぞれの端部の上端部までが直線であるオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。向流洗浄浴での流入、流出以外での条件は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様に行い炭素繊維束を得た。
<実施例17>
各向流洗浄浴で、開孔率60%の板を通じて洗浄液を流入し、開孔率60%の板を通じて洗浄液を流出した。流出、流入での条件以外は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。その後、得られたアクリル系繊維束から実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。
【0105】
<比較例1>
図4に示すように、それぞれの向流洗浄浴に、洗浄液を堰の中央部に対する両端部の高さの差が+8.0mmであって、中央部の上端部からそれぞれの端部の上端部への高さが平滑に変化するオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流入した。また洗浄液を流入したオーバーフロー堰と同様の形態のオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。流出、流入での条件以外は、実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。
【0106】
<比較例2>
それぞれの向流洗浄浴では、15個の孔を有する流入ノズルを用いて洗浄液を流入し、堰の中央部に対する両端部の高さが0.0mmであって、中央部の上端部からそれぞれの端部の上端部までが直線であるオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流出した。流出、流入以外は実施例1と同様に、製造を行い、アクリル繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。
【0107】
<比較例3>
それぞれの向流洗浄浴で開孔率65%の板を通じて洗浄液を流入し、開孔率65%の板を通じて洗浄液を流出した以外は実施例1と同様に製造を行い、アクリル繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。
【0108】
<比較例4>
それぞれの向流洗浄浴で開孔率8%の板を通じて洗浄液を流入し、開孔率8%の板を通じて洗浄液を流出した。流入、流出の条件以外は実施例1と同様に製造を行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。
【0109】
<比較例5>
それぞれの向流洗浄浴の最下流部に、液面の上部から直径30mmの円筒状の給水口を用いて洗浄液を流入した。各向流洗浄浴の最上流部に、堰の中央部に対する両端部の高さの差が0.0mmであって、中央部の上端部から両端部の上端部までが直線であるオーバーフロー堰を超えて、洗浄液を流出した。流入、流出の条件以外は実施例1と同様に行い、アクリル系繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。
【0110】
<比較例6>
それぞれの向流洗浄浴で、堰の中央部に対する両端部の高さの差が0.0mmであって中央部から両端部への上端部が直線であるオーバーフロー堰を超えて洗浄液を流入した。各向流洗浄浴では浴の最上流部の底に開けた抜き出し穴により洗浄液を流出した。それ以外は、実施例1と同様に製造を行い、アクリル繊維束を得た。また測定、評価も同様に行った。結果を表1および表2に示す。