(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動装置は、前記撮影装置の基準となる撮影方向に直交する仮想平面として予め定めた傾動基準面に対して前記可動体を任意の方向へ傾かせることにより、前記撮影装置の撮影方向を変化させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置搭載医療用照明装置。
前記可動装置は、可動体が傾く基準となる傾動基準点に対して90度離隔するように設定した可動体の第1位置と第2位置を、それぞれ傾動基準面に直交する方向へ往復動作させる第1駆動機構と第2駆動機構とを備え、これら第1駆動機構と第2駆動機構によって可動体の傾動方向および傾動角度を制御するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の撮影装置搭載医療用照明装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたカメラ付き照明装置では、照明装置にカメラが固定されているために、カメラの撮影位置および撮影方向は照明装置の位置および照射方向に依存することとなり、カメラの撮影位置または撮影方向を変えようとすると、照明装置の照射位置や照射方向も変わってしまうという問題がある。特に、歯科治療で口腔内の患部を照射している場合、患部は微小な領域であり、照明装置のハンドルを施術者が把持して照射方向や照射位置を変えなければならないため、照明装置の照射方向や照射位置を適切に調整することに加えて、カメラの撮影位置を適切に調整するには、熟練した技量と少なくない調節時間を必要とする。
【0006】
そこで、本発明は、照明本体の照射位置および照射方向の調整とは別に撮影装置の撮影方向を簡便に調整できる撮影装置搭載医療用照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、光源からの照射光によって患部を照らす照明本体と、患部の撮影に用いる撮影装置とを一体的に移動可能に設けた撮影装置搭載医療用照明装置であって、前記照明本体に固定される固定体に対して可動体が相対的に変位する可動装置を備え、前記撮影装置は、前記可動装置の可動体に取り付け、該可動体を動かすことで前記撮影装置の撮影方向を変化させ
、且つ、前記可動装置の可動範囲を制限することで、前記照明本体の光源によって照射される基準照射領域から撮影装置の撮影範囲が外れないようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の撮影装置搭載医療用照明装置において、前記可動装置は、前記撮影装置の基準となる撮影方向に直交する仮想平面として予め定めた傾動基準面に対して前記可動体を任意の方向へ傾かせることにより、前記撮影装置の撮影方向を変化させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載の撮影装置搭載医療用照明装置において、前記可動装置は、可動体が傾く基準となる傾動基準点に対して90度離隔するように設定した可動体の第1位置と第2位置を、それぞれ傾動基準面に直交する方向へ往復動作させる第1駆動機構と第2駆動機構とを備え、これら第1駆動機構と第2駆動機構によって可動体の傾動方向および傾動角度を制御するようにしたことを特徴とする
。
【0010】
また、請求項
4に係る発明は、前記請求項1〜請求項
3の何れか1項に記載の撮影装置搭載医療用照明装置において、前記照明本体は複数の光源を内蔵し、前記可動装置における可動体の変位による撮影装置の撮影方向に応じて、複数の光源による照明バランスを調整する照明バランス制御手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項
5に係る発明は、前記請求項1〜請求項
4の何れか1項に記載の撮影装置搭載医療用照明装置において、使用者が足で操作可能なフットスイッチの入力を受けて、前記可動装置の駆動制御を行うフットコントローラを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る撮影装置搭載医療用照明装置によれば、照明本体に固定される固定体に対して、撮影装置が固定される可動体が相対的に変位する可動装置を備えることで、照射位置および照射方向を適切に設定した照明本体を動かすこと無く、可動装置を用いて撮影装置の撮影方向のみを変化させることができる。また、特殊な照明の当て方で患部を照らすような場合でも、照明本体の光源による照射方向とは異なる向きに撮影装置の撮影方向を調整できるので、良好なアングルで患部を撮影できるというメリットもある。
さらに、照明本体の光源によって照射される基準照射領域から撮影装置の撮影範囲が外れないように、可動装置の可動範囲を制限するので、効率よく迅速に撮影を行うことができ、使用者の利便性を高めると共に、患者の負担を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面に基づいて本発明に係る撮影装置搭載医療用照明装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態では、撮影装置として、高精細な動画と静止画をデジタルデータとして保存できるデジタルビデオカメラを用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、軽量のデジカメやカメラ付き携帯通信端末等を撮影装置として用いても良い。また、以下の説明では、便宜上、光の照射方向を前方、その逆を後方と呼び、鉛直方向に近似できる向きを上下方向と呼び、横方向は前方に向かった状態で左右側方と呼び分けることとする。
【0015】
本実施形態に係るカメラ搭載医療用照明装置1の外観は、
図1および
図2に示すように、円環状の照明本体2の両サイドを半円弧状の本体支持フレーム3で回動可能(回動方向は、
図1(a)中、矢印Aで示す)に軸支し、この本体支持フレーム3の後部を接続フレーム4に回動可能(回動方向は、
図1(a)中、矢印Bで示す)に軸支する。そして、この接続フレーム4の上端であるジョイント部4aを照明支持スタンド(図示省略)のジョイントアームに回動可能(回動方向は、
図1(a)中、矢印Cで示す)に軸支することで、照明支持スタンドに対して照明本体2の位置および向きを自在に調整できる。
【0016】
照明本体2は、円環状の光源収納枠21内に複数の光源(例えば、第1LED22a〜第10LED22j)を均等間隔に配置したもので、各光源から照射された光は図示を省略した導光板やレンズ部材を介して透光性の前面板23を透過し、前方へ照射される。なお、照明本体2の左右両側には使用者が把持するハンドル24、24を設けてあり、このハンドル24を持って照明本体2を動かすと、支持フレーム3や接続フレーム4の可動部、あるいは照明支持スタンドの可動部が夫々の自由度の範囲内で適宜に回動し、照明本体2を任意の位置で任意の向きに調整できる。
【0017】
上記照明本体2の中央空部には、撮影装置であるカメラ5の鏡筒部51が前方へ臨み、本体部52が照明本体2の背面よりも後方へ突出するように配置される。なお、照明本体2とカメラ5は直接固定されるものではなく、照明本体2の裏面側に取り付けられる可動装置固定部材6に可動装置7の固定体71が固定され、この可動装置7の可動体72に固定されたカメラ固定部材8にカメラ5が固定される。すなわち、固定体71に対して可動体72が変位する可動装置7が照明本体2とカメラ5との間に介在することで、照明本体2を動かすこと無くカメラ5の撮影方向を変えることができるのである。
【0018】
なお、本実施形態のカメラ搭載医療用照明装置1においては、カメラ5の鏡筒部51が照明本体2から出射される照明光の陰にならないよう、カメラ5が照明本体2よりも前方に突出する長さを抑え、その分だけカメラ5が照明本体2よりも後方へ突出する保持構造とする。そのため、カメラ固定部材8が固定される可動装置7の取付位置が照明本体2の背面よりも適宜後方になるよう、可動装置固定部材6の左右両側には後方延出腕部61,61を設け、これら後方延出腕部61,61の後端縁に連なるよう可動装置固定部62を形成し、可動装置固定部62の前面側に可動装置7を取り付けるようにした。
【0019】
可動装置7は、有底の略円柱状である固定体71の前面開口側に略円環状の可動体72を傾動自在に取り付けたものである。固定体71は、円柱状の周壁部71aの後方に円形状の固着壁部71bを設けることで前面開口の収容空部が形成され、固着壁部71bから収容空部内へ突出するように設けた第1ボス部71c、第2ボス部71d、第3ボス部71eを介して、可動装置固定部62にビス留めされる。一方、可動体72の前面側外縁部4カ所には止着ボス72aを設け(例えば、
図3(b)を参照)、これら止着ボス72aを介してカメラ固定部材8の可動装置側固定部81がビス留めされ、可動装置側固定部81の適所から前方に突出するカメラ固定部82の上面にカメラ5の本体部51の底面をビス留めする。
【0020】
上記のようにして可動体72に固定されたカメラ5の撮影方向を変えるために、本実施形態に係る可動装置7は、固定体71に対する可動体72の傾き角度を変えることで、カメラ5の鏡筒部51の傾き方向や傾き角度を調整するものである。すなわち、固定体71の前面開口側へ配置した可動体72の前面が、照明本体2の照射方向にほぼ直交する仮想平面に位置する傾動基準面にあるときを基準状態とし、この基準状態から可動体71の前面が傾動基準面に対して任意の方向に傾くことで、カメラ5の撮影方向が変化するのである。なお、可動装置7はカメラ5の撮影方向を変化させることができれば良いので、例えば、固定体71に対して可動体72を上下左右の4方向へ自在に変位させることで、カメラ5の撮影方向が照明本体2の照射方向と平行を保ったまま、カメラ5の撮影位置を変化させるようにしても良い。
【0021】
可動装置7において、固定体71に対して可動体72を傾動自在に取り付ける構造も特に限定されるものではないが、例えば、適宜な可撓性と復元性を有する樹脂素材で形成した傾動支持部材73の略中央である傾動軸支部73aを傾動基準点として固定体71へ傾動自在に取り付けると共に、この傾動支持部材73の両端である固定端部73b,73bを、固定体72の内縁適所(傾動中心に対して180゜離れた2カ所)に設けた固定受部72b,72bに各々固定すれば、傾動支持部材73が接続されている可動体72を傾動基準面に対して任意の方向へ傾けることができる。なお、固定体71の前面開口と可動体72との間には適宜な空隙が生ずる配置としてあり、この空隙によって可動体72が固定体71に衝接しない範囲内で可動体72が傾動できるものとした。
【0022】
また、傾動支持部材73を第1ボス部71cと第2ボス部71dの間に位置させることで、傾動支持部材73がシーソー状に傾くときの傾動ガイドとしての機能と、傾動支持部73aに対して傾動支持部材73が回転することを防ぐ回転止めの機能を実現する。なお、可動体72が傾動基準面から傾くと、傾動支持部材73に多少の歪みが生ずる場合があるが、可動体72を傾動させる角度範囲を小さく(例えば、0〜5゜程度に)抑制することで、その歪みを傾動支持部材73自身の可撓性と復元性で十分吸収できる。
【0023】
可動装置7の固定体71に対して可動体72を手で動かし、照明本体2の照射位置および照射方向を固定したまま、カメラ5の撮影方向を変更するようにしても良いが、手動で可動体72の調整を行うのは煩雑であるし、可動装置7の可動範囲を超えてカメラ5を動かすなどして、照明本体2の照射位置や照射方向まで変わってしまう可能性もある。そこで、可動装置7に、可動体72の傾動方向や傾動角度を自在に変更できる駆動機構を搭載し、人手に依らずカメラ5の撮影方向を変更できるようにすることが望ましい。
【0024】
可動装置7に設ける駆動機構も特に限定されるものではないが、本実施形態の撮影装置搭載医療用照明装置1においては、可動体72が傾く基準となる傾動基準点(傾動支持部材73の傾動支持部73a)に対して90度離隔するように設定した可動体の第1位置(例えば、上部もしくは下部)と第2位置(例えば、右側部もしくは左側部)を、それぞれ前後方向(傾動基準面に直交する方向)へ往復動作させる第1駆動機構91と第2駆動機構92とを備え、これら第1駆動機構91と第2駆動機構92を個別に制御して可動体72の傾動方向および傾動角度を制御するものとした。
【0025】
第1駆動機構91は、例えば、第1モータ91aの駆動軸に取り付けられた第1ギア91bの駆動力を適宜な第1減速器91cを介して第1ピニオン91dに伝達し、第1ピニオン91dと歯合する第1ラック91eを前後方向へ移動させるものである。第1ラック91eは、可動体72の内側縁上部に設けた第1ラック固定部72c1に固定され、第1ラック91eの前後動に応じて、可動体72の上部が前方へ押し出されたり後方へ引き込まれたりする。
【0026】
上記のように構成した第1駆動機構91による動作を
図4に基づき説明する。例えば、照明本体2の光照射方向とほぼ平行になっているカメラ5の基準撮影方向(
図4中、一点鎖線で示す)に直交する傾動基準面に可動体72の前面が一致している状態を基準位置とする(
図4(a1),(a2)参照)。この基準位置から、第1モータ92aを駆動させて第1ピニオン91dを正転(
図4中、A方向へ回転)させ、第1ラック91eを前方へ送り出すと、可動体72の上部が前方へ突出して下部が後退する前傾状態となり、カメラ5の撮影方向は基準撮影方向よりも下向きとなる(
図4(b1),(b2)参照)。一方、基準位置から、第1モータ92aを反転駆動させて第1ピニオン91dを逆回転(
図4中、B方向へ回転)させ、第1ラック91eを後方へ送り出すと、可動体72の上部が後方へ退いて下部が前方へ突出する後傾状態となり、カメラ5の撮影方向は基準撮影方向よりも上向きとなる(
図4(c1),(c2)参照)。
【0027】
また、第2駆動機構92は、例えば、第2モータ92aの駆動軸に取り付けられた第2ギア92bの駆動力を適宜な第2減速器92cを介して第2ピニオン92dに伝達し、第2ピニオン92dと歯合する第2ラック92eを前後方向へ移動させるものである。第2ラック92eは、可動体72の内側縁左側部(
図3(b)においては、紙面に向って右側)に設けた第2ラック固定部72c2に固定され、第2ラック92eの前後動に応じて、可動体72の左側部が前方へ押し出されたり後方へ引き込まれたりする。
【0028】
上記のように構成した第2駆動機構92による動作を
図5に基づき説明する。例えば、照明本体2の光照射方向とほぼ平行になっているカメラ5の基準撮影方向(
図5中、一点鎖線で示す)に直交する傾動基準面に可動体72の前面が一致している状態を基準位置とする(
図5(a1),(a2)参照)。この基準位置から、第2モータ92aを駆動させて第2ピニオン92dを正転(
図5中、A方向へ回転)させ、第2ラック92eを前方へ送り出すと、可動体72の左側部が前方へ突出して右側部が後退する右傾状態となり、カメラ5の撮影方向は基準撮影方向よりも右向きとなる(
図5(b1),(b2)参照)。一方、基準位置から、第2モータ92aを反転駆動させて第2ピニオン92dを逆回転(
図5中、B方向へ回転)させ、第2ラック92eを後方へ送り出すと、可動体72の左側部が後退して右側部が前方へ突出する左傾状態となり、カメラ5の撮影方向は基準撮影方向よりも左向きとなる。
【0029】
以上のように、第1駆動機構91および第2駆動機構92を適宜に動作させることで、可動体72の傾動方向および傾動角度を任意に設定することができるので、好適な状態に設定した照明本体2に触れること無く、カメラ5の撮影方向を自在に調整することが可能である。
【0030】
上述した第1,第2駆動機構91,92のオン・オフ動作は、施術者が適宜な操作スイッチを使って任意に行うことができれば良いが、より使い勝手の良い制御を可能とするための制御構成を
図6のブロック図に基づいて説明する。
【0031】
使用者が足で操作可能なフットスイッチ10を設け、このフットスイッチ10からの入力を受けるフットコントローラ11が可動装置10や照明本体2に対する制御を行う。フットスイッチ10を用いれば、治療中に手指を用いずにカメラを操作できるので、効率的であると共に衛生的である。例えば、排他的に操作されるカメラ上スイッチ101aもしくはカメラ下スイッチ101bが操作されると、この入力を受けたフットコントローラ11の第1モータ制御手段111が第1モータ91aを正転もしくは逆転させることで、第1ラック91eを前方もしくは後方へ移動させ、排他的に操作されるカメラ左スイッチ102aもしくはカメラ右スイッチ102bが操作されると、この入力を受けたフットコントローラ11の第2モータ制御手段112が第2モータ92aを正転もしくは逆転させることで、第2ラック92eを前方もしくは後方へ移動させ、可動体72を任意の方向へ任意の角度だけ傾動させる。
【0032】
また、第1モータ制御手段111からの第1モータ駆動信号および第2モータ制御手段112からの第2モータ駆動信号は、カメラ撮影方向判定手段113へも供給され、カメラ5の撮影方向を判定するための情報として用いられる。すなわち、定速で正転もしくは逆転する第1モータ91aと第2モータ91bの駆動時間が分かれば、可動体72が傾いている方向および傾いている角度を演算により求めることができ、可動体72の傾動方向および傾動角度が分かればカメラ5の撮影方向を判定できるのである。
【0033】
上記カメラ撮影方向判定手段113により判定されたカメラの撮影方向はカメラ移動範囲規制手段114に供給され、カメラの撮影方向が予め定めたカメラ移動範囲内に収まっているか否かが判定され、カメラ移動範囲を超える場合には、第1モータ制御手段111もしくは第2モータ制御手段112へ強制停止の信号を送り、第1モータ91aもしくは第2モータ91bを停止させる。
【0034】
なお、カメラ移動範囲は任意に定めて構わないが、例えば、
図7に示すように、照明本体2の光源である第1〜第10LED22a〜22jから照射される光が照射距離αにおいて高輝度となる基準照射領域βは、歯科等での診療や治療において高頻度で利用されると想定されるものであるから、この基準照射領域βをカメラ移動範囲に設定しておけば、施術中に患部等を照らす範囲内にカメラ5の撮影範囲を制限することができる。このようにカメラ移動範囲を制限しなかった場合、誤ってカメラの撮影範囲が照明本体2による照射範囲から外れてしまうと、光量の乏しい暗い画面を見ても、撮影したい患部へカメラを戻す方向を瞬時に判断できないため、撮影に手間取り、患者の負担も大きくなってしまうという問題がある。
【0035】
したがって、フットコントローラ11の制御により、照明本体2の光源によって照射される基準照射領域からカメラ5の撮影範囲が外れないようにすれば、効率よく迅速に撮影を行うことができ、使用者の利便性を高めると共に、患者の負担を軽減できるというメリットがある。なお、
図7においては、第1〜第10LED22a〜22jが矩形の光源であることから基準照射領域βの形状も矩形としたが、これに限定されるものではなく、照明本体の光源に応じて円形、楕円形など、任意に定めて構わないし、この照射領域内のどの範囲までカメラ移動範囲に設定するかも任意である。
【0036】
カメラ撮影方向判定手段113からのカメラ撮影方向の情報は、照明バランス制御手段115にも供給され、照明バランス制御手段115は、カメラ5の撮影方向に応じて、撮影範囲に影響の少ない光源(第1〜第10LED22a〜22jの中から選定したもの)をオフにしたり照度を低減したりして、全体の照明バランスを調整する。このような照明バランスの自動調節機能を使えば、撮影範囲を効率的に照らすことができ、必要以上の光量で患者に眩しい思いをさせることもない。
【0037】
以上のように、フットスイッチ10とフットコントローラ11によって照明本体2や可動装置7を制御すれば、使用者にとって非常に利便性の高いものとなる。なお、カメラ移動範囲規制手段114に代えて、可動装置7内に複数のリミットスイッチ(
図6中、破線で示す)、ポテンショメータ或いはエンコーダ等を設けて、第1,第2モータ91a,91bを自動停止させるようにしても良い。具体的には、第1ラック91eの前方移動制限位置に達したときにオンとなる上限リミットスイッチ74aもしくは第1ラック91eの後方移動制限位置に達したときにオンとなる下限リミットスイッチ74bがオンになると、第1モータ制御手段111が第1モータ91aの駆動を停止し、第2ラック92eの前方移動制限位置に達したときにオンとなる左限リミットスイッチ75aもしくは第2ラック92eの後方移動制限位置に達したときにオンとなる右限リミットスイッチ75bがオンになると、第2モータ制御手段112が第2モータ92aの駆動を停止すれば、カメラ5の可動範囲を制限できるので、カメラ5の撮影範囲がカメラ移動範囲から外れることを防止できる。
【0038】
また、フットスイッチ10にリセットスイッチ103を設けておき、このリセットスイッチ103が操作されると、第1ラック91eおよび第2ラック92eを基準位置へ戻すように第1,第2モータ制御手段11,112が第1,第2モータ91a,91bの駆動制御を行うことで、カメラ5を基準撮影方向に復元させる機能を設ければ、使用者の利便性を一層高めることができる。
【0039】
上記実施形態においては、フットコントローラを用いる場合を示したが、これに限定されるものではなく、フットコントローラに代わる種々の制御手法、例えばハンドコントローラ等を用いることも可能である。また、撮影装置のコントロールは、マニュアルによる操作に限らず、自動制御としても良い。例えば、撮影装置により撮影した被施術者の顔を自動認識させて、患者の顔位置に追従して自動で撮影方向を変えてゆく自動制御を適用することも可能である。
【0040】
以上、本発明に係る撮影装置搭載医療用照明装置の実施形態を添付図面に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての撮影装置搭載医療用照明装置を権利範囲として包摂するものである。